JP5144020B2 - 廃棄物の油化方法 - Google Patents

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Description

本発明は廃棄物の油化方法に関し、特にコーキングの発生を抑制しつつ、廃プラスチック、廃潤滑油、廃タイヤ、廃食用油、廃溶剤、タンクスラッジなどをボイラ−燃料油、ディ−ゼル発電燃料油に使用できる高品質の液体燃料に転換できる方法に関する。
最近、環境汚染や温暖化現象が顕著な問題となってきたことから、一般廃棄物や産業廃棄物をどのようにリサイクルするかが重要な課題になっている。一般廃棄物及び産業廃棄物には廃プラスチック、廃潤滑油、廃タイヤ、廃食用油、廃溶剤、タンクスラッジなどが含まれるが、従来これらの廃棄物は概ね次のように処理されている。
廃プラスチックは日用品や建材の原材料、高炉還元材、ガス化、固形燃料などの原料として利用されている。また、廃潤滑油は加熱装置によって油水を分離した後、ろ過し、加熱によって軽質油分を分離し、遠心分離機によってスラッジを除去して再生重油として利用されている。
廃タイヤはセメント、ボイラ−固体燃料、ガス化の熱源として利用され、又加工して再生ゴム、粉末ゴム、軌道緩衝材等に利用されている。また、廃食用油は石鹸、飼料、塗料の原料に利用されているが、最近はアルコ−ルでエステル化し、バス等のディ−ゼルエンジンやディーゼル発電の燃料にも利用されている。
また、タンクやタンカ−のスラッジ中の残渣(WAXY残渣)は廃潤滑油処理と同様に処理されることがあるが、ほとんどは焼却されている。
最近、廃プラスチック、廃潤滑油、廃タイヤを熱分解することによって油化する方法が種々提案され(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)、リサイクル性の点から注目されている。
特開平07−233373号公報 特開平08−143872号公報 特開平09−57228号公報 特表2000−516658号公報
しかるに、熱分解槽を直接加熱することによって熱分解に必要な熱を供与するようにすると、熱分解槽内壁にコ−キングが発生し、さらには加熱炉の管内にもコーキングが発生する。他方、熱分解油を熱分解槽に吹き込んで熱分解に必要な熱を供与するようにすると、循環系内における熱分解油の加熱管内にコーキングが発生する。かかるコーキングの問題は油化装置を実用化する上での大きな障害となっていた。
本発明はかかる問題点に鑑み、コーキングが発生し難いようにした廃棄物の油化方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明に係る廃棄物の油化方法は、廃棄物を熱分解槽にて加熱して溶融させ、熱分解を行って熱分解ガスを回収し、この熱分解ガスを凝縮させて熱分解油を得る一方、得られた熱分解油のうちの軽質油を低温度で分留することによりコーキング原因物質を分離し、この軽質油留分を高温燃焼ガスと熱交換して所定の高温度に昇温し、熱分解槽に循環させて熱源とするようにしたことを特徴とする。
本発明の特徴の1つは軽質油を低温度で分留することによりコーキング原因物質を高温度側に分留して分離し、この軽質油留分を加熱管に流通させて高温燃焼ガスと熱交換し、所定の高温度、例えば約420°Cないし約460°Cに昇温して熱分解槽の熱源とし、二段階に熱分解を行う場合には例えば約330°Cないし約390°Cに昇温して低温の熱分解槽の熱源とするようにした点にある。これにより、軽質油留分の加熱管内におけるコーキングが発生し難くなり、しかも熱分解槽を直接加熱していないので、熱分解槽内のコーキングも発生し難くなる。その結果、廃棄物の油化装置を実用化する上での障害を取り除くことができ、廃プラスチック、廃潤滑油、金属部品を除去した廃タイヤ、廃食用油、廃溶剤及びタンクスラッジの1つ又は混合物を油化できる。
一般的に高沸点炭化水素ほど熱力学安定度が低く、分解が起こりやすく、又沸点が同等の場合にはパラフインが最も分解しやすく、オレフイン、ナフテン、芳香族の順に続く。パラフインは低級のものほど熱安定性は高い。芳香族環縮合において例えばベンゼンの縮合によりビフエニル(C1210、沸点255℃)、フルオレン(沸点295℃)、アントラセン(沸点342℃)の生成が促進される。これらの物質は盛んにコーキングを生成する傾向があるため、高温度の分留によって軽質油から低減し除去する。
また、循環する軽質油留分には熱的に安定なトルエンやベンゼンなどの低沸点芳香族を定期的に混合し、コーキング原因物質を希釈するのがよい。
軽質油留分を高温燃焼ガスと熱交換する高温ガス発生器における軽質油留分の加熱管内の平均流速を約25m/sec以上、好ましくは約30m/sec以上とすると、例えば加熱管内を約2sec以下、好ましくは約1.5sec以下の時間で通過させることができ、これによって加熱管内におけるコーキングの生成を抑制でき、又たとえコーキングが生成されても運転しながら加熱管内をデコーキングすることができる。
また、熱分解油はオレフイン類が多いので、酸化しやすく、着色、悪臭や沈殿物生成などがあって油質は不安定であるので、主製品である中質油は溶剤で不純物を抽出し、改質して高品質化するのがよい。使用する溶剤はメタノ−ルで中質油と等量とする。
運転条件は常温常圧で処理する。中質油とメタノールを混合すると、比重差により不純物を含む溶剤と不純物が除去された中質油に分離する。前者は加熱した後、溶剤と不純物に分離し、蒸発した溶剤は冷却後再使用する。
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る廃棄物の油化方法に用いるシステムを模式的に示す。図1において、1は廃棄プラスチックの圧縮梱包機、2は廃タイヤからホイール(金属部品)を分離するホール分離設備、3は廃潤滑油から水分を除去する脱水処理機、4は廃塗料や廃溶剤から軽質分を取出す真空蒸発機、5は廃プラスチックや廃タイヤの投入機、6は廃プラスチックや廃タイヤを溶融し、廃潤滑油などとともに熱分解させる熱分解槽、7は熱分解槽6の外壁を加熱する加熱装置、8は熱分解槽6の槽底に設けられた残渣抜出し機、9は抜出された残渣を受けて冷却する冷却受槽、10は熱分解ガスから重質油を分離する分離槽、11は重質油を受ける重質油槽、12は重質油11からテレフタール酸を抜出すテレフタール酸抜出し部である。
また、13は重質油ポンプ、14は高温度の重質油と分留された軽質油留分との間で熱交換を行わせ、WAXY成分などを分離する熱交換器、15は中質油と軽質油との間で熱交換を行わせて軽質油を例えば約125°C以下の低温度で分留しコーキング原因物質を高温度側に分留して分離する熱交換器、16は熱交換後の中質油を冷却する中質油冷却器、17は冷却した中質油を受ける中質油槽、18は中質油ポンプ、19は軽質油を冷却する軽質油冷却器、20は軽質油を受ける軽質油槽、21は軽質油槽のドレイン抜き部、22は軽質油ポンプ、23は軽質油と高温の燃焼ガスとの間で熱交換を行わせて高温ガスを発生させる高温ガス発生器、24は高温の燃焼ガスを発生する熱風炉、25は消石灰と熱分解油とを混合した消石灰スラリーを貯留する消石灰槽、26は消石灰スラリーを熱分解ガスの配管に注入する消石灰注入ポンプ、27はNaOH洗浄塔、28は燃料ガス槽、29は燃料ガスシールポット、30は燃料槽、31はフレアースタック、32は熱分解槽6の分離板、33は中質油の改質システムである。
廃棄物を油化する場合、図1に示されるように、廃プラスチックは圧縮梱包機1で約500mm×500mm×500mmの大きさに圧縮梱包する。また、廃タイヤは分離設備2によってホイ−ルを除去した後、無破砕のままとしあるいは500mm程度の大きさに粗破砕する。これらの廃プラスチック及び廃タイヤは投入機5によって熱分解槽6に投入する。
また、廃潤滑油やタンクWAXY残渣は脱水処理機3で脱水した後、ポンプによって予備加熱して熱分解槽6に吹き込む。廃塗料や廃溶剤は真空蒸発装置4によって軽質分を取り出し後、ポンプによって熱分解槽6へ吹き込む。
熱分解槽6では常圧、約420°C、約4時間の熱分解反応時間が与えられることにより、廃プラスチック、廃タイヤ、廃潤滑油、タンクWAXY残渣が熱分解され、熱分解ガスと熱分解残渣が得られる。熱分解ガスは配管によって分離槽10に送られ、まず重質油が分離されて重質油槽11で受けられ、テレフタール酸が抽出される。この重質油は熱分解ガスとともに熱交換器14に送られ、前段の熱交換器15からの軽質油留分と熱交換され、重質油やWAX成分が分離され、重質油槽11に戻される。
重質油を分離された熱分解ガスは熱交換器15に送られ、軽質油槽20から送られてきた軽質油と熱交換され、軽質油は例えば約125°C以下の低温度で分留されてコーキング原因物質が除去され、熱交換後の熱分解ガスからは中質油成分が分離され、冷却器16で冷却されて中質油槽17で受けられる。中質油を分離された熱分解ガスは軽質油成分であるので、冷却器19で冷却され、軽質油槽20で受けられる。軽質油槽20の軽質油の一部は洗浄塔27でNaOH洗浄された後、燃料ガス槽28に貯留され、シールポット29を経て熱風炉24に送られ、燃料の一部として利用される。
また、熱分解槽6における熱分解に要する熱量は回収した熱分解油によって与える。即ち、凝縮した熱分解軽質油を軽質油ポンプ22でポンプアップして熱交換器14、15で熱分解ガスと熱交換させ、例えば約125°C以下の低温度に加熱して分留することにより軽質油からコーキング原因物質を分離する。
この軽質油留分を高温ガス発生器23で熱風炉24で発生した高温の燃焼ガスと熱交換して例えば約420°Cないし約460°Cの高温ガスとし、これを熱分解槽6の底部に直接吹き込むことにより熱分解に要する熱量を与える。高温度の燃焼ガスは軽質油留分との熱交換の後、約300°Cで高温ガス発生器23から大気中に放出される。
高温ガス発生器23の加熱管内には軽質油が流通するが、軽質油は350°C以上でコ−キングを生成する。そこで、図2に示されるように、高温ガス発生器23では低温部(〜350°C)23Aを設けるとともに、2個の高温部(350°C〜460°C)23Bを並列に設け、全体を3分割する。低温部23Aは年間を通して使用され、高温部23Bは定期的に切替えてスチ−ムで洗浄し、デコーキングする。2つの高温部23Bの間に圧力差が発生したら、切り替えてデコ−キングを行なう。高温ガス発生器23の循環軽質油入口配管23Cには若干の蒸気が導入される。
カーボン、石、金属などを含む熱分解残渣は熱分解槽6の槽底から残渣抜出し機8によって間欠的に冷却受槽9に抜出されて冷却される。
また、消石灰Ca(OH)2粉末を消石灰槽25で熱分解油と混合し、スラリ−状態で熱分解ガス配管へ理論量の1.5〜3倍吹き込むことにより、溶融及び熱分解時に発生する塩化水素等の有害物質を中和することができる。
更に、熱分解ガス中には未反応の塩化水素等の酸性物質が含まれるが、これはNaOH洗浄塔27で吸収してクリ−ンな燃料ガスとして使用する。
図3は中質油の高品質化システムの例を示す。図において、33Aは滞留槽、33Bは循環ポンプ、33Cはスタティックミキサー、33Dは供給弁、33Eは分離槽、33Fは溶剤冷却器、33Gは溶剤蒸発器、33Hは中質油加熱器、33Jは中質油冷却器、33Kは不純物回収槽、33Lは溶剤回収槽である。
主製品である中質油は常温まで冷却した後に高品質化システム33に導入されて溶剤抽出され、高品質化される。ここでは溶剤、例えばメタノ−ルを常温常圧で中質油に対してほぼ等量用いる。両液はまず十分接触させた後、スタティックミキサ−33C(又は攪拌機など)で攪拌した後、分離槽33Eで10〜30分間静置すると、比重差で上相と下相に分かれる。
廃潤滑油の場合は上相の中質油、下相のメタノ−ルに分離するが、廃プラスチックの場合には種類により相が逆転することがある。
両液を分離した後、廃メタノ−ルは溶剤蒸発器33Gで蒸発させることにより、残渣に不純物が濃縮され、蒸発したメタノ−ルは溶剤冷却器33Fで例えば40°Cに冷却して凝縮させた後、再使用する。
不純物を分離された中質油中にはメタノ−ルが若干残っているので、加熱器33Hで加熱してメタノ−ルを気化させて分離した後、冷却器33Jで凝縮して再使用する。メタノ−ルは約98%回収して再使用できる。上述の工程を1〜2回繰り返すことにより、十分に高品質の中質油が得られる。
他方、熱分解残渣中には石、金属、未分解物、熱分解カ−ボンなどの異物が含まれる。そこで、残渣抜出し機8によって異物を含む残渣を自動的にかつ間欠的に、例えば30分間隔で引抜き、スチ−ムや冷却水で冷却した後、冷却受槽9から系外に排出する。
以上のような本例の油化方法では、熱分解槽6の熱源として用いる熱分解軽質油は約350°C以上でコ−キングを起こすので、次のような対策をとっている。
熱分解軽質油の組成を高温ガス発生器23の加熱管内でコ−キングを起こしにくい留分とするために、軽質油を沸点約125°C以下の低温度で分留し、熱力学に不安定なパラフイン等のコーキング原因物質を分留によって軽質油から分離している。
また、定期的に熱的に安定な廃トルエンやベンゼン等を外部から軽質油に混ぜ、コーキングの原因物質を希釈するようにしている。
高温ガス発生器23の軽質油の入口に少量、例えば軽質油量に対して約2wt%のスチ−ムを注入し、入口部の流速維持と管内洗浄を図っている。
高温ガス発生器23の高温部23Bの出口管内でコ−キングが生成しやすいので、高温ガス発生器23のその部分23Bはスチ−ム洗浄することにより、運転しながら定期的にデコーキングできるような構造を採用している。
また、高温ガス発生器23の加熱管内のコーキング生成を抑制する効果ある方法の一つとして高温ガス発生器23の加熱管内をいかに短時間で通過させるかである。本例では管内平均流速を約25m/sec、好ましくは約30m/secとし、例えば約2sec以下、好ましくは約1.5secで通過させるようにしている。
脱塩化水素は熱分解槽6の熱分解ガスの配管に消石灰を原料中の塩素を中和するのに必要な理論量に対して1.5〜3倍添加することにより行う。消石灰は熱分解油と混合して定量ポンプを介して熱分解ガスの配管中に添加し、下流側に分離槽10を設けて飛散する消石灰反応物を捕獲し、分離できるようにしている。
熱分解油はオレフイン類が多いので、酸化しやすく、着色、悪臭や沈殿物生成などがあって油質は不安定であるので、主製品である中質油は溶剤で不純物を抽出し改質する。使用する溶剤はメタノ−ルで中質油と等量混合する。
運転条件は常温常圧で処理する。まず中質油とメタノ−ルを1対1で混合し、約20分間接触させた後、分離槽33Eに吹き込み、比重差により不純物を含む溶剤と不純物が除去された中質油に分離し、前者は加熱した後、溶剤と不純物に分離し、蒸発した溶剤は冷却後再使用する。後者の中質油には若干の溶剤が溶解しているので、加熱して溶剤を蒸発させて分離した後、中質油は冷却して製品とする。蒸発された溶剤は冷却して再使用する。溶剤の回収率は約98%である。
廃潤滑油を熱分解すると、分解ガス、軽質油、中質油、重質油が得られる。製品である中質油の品質は溶剤抽出することにより、灰分0.81〜0.006wt%、塩素分850ppm〜100ppm、硫黄分0.44〜0.1wt%、窒素分800ppm〜70ppmに改善される。
廃タイヤを常圧、450°C、3〜5時間保持によって熱分解した後、溶剤抽出処理すると、1.3〜1.5wt%の硫黄分は0.5wt%に低下させることができる。
また、廃タイヤと廃プラスチックを混合して熱分解すると、硫黄分は混合割合に基づいて変動するが、液収率は混合割合よりも上昇することが確認できた。
廃食用油のうち、廃植物油の動粘度(cst/30°C)は25〜30cstである。エステル化すれば、6.7cstに改善できる。
廃プラスチック、廃潤滑油、廃タイヤの熱分解中質油の粘度は約4.0cst/30°Cである。この中質油に約20wt%の廃食用油を混合して溶剤抽出することにより、グリセリン分はかなり分離でき、粘性も8cst/30℃となり、冷凍庫に保存しても固まらない程度の流動性となることが確認された。
廃塗料にはキシレン、トルエン、酢酸ビニルなどの有機溶剤が含まれている。まず、廃塗料を真空加熱で有機溶剤が着色しない程度に蒸発分離する。残った残渣には塗料用の樹脂でアルキド、アクリル、メラミン及び顔料が含まれている。この残渣を熱分解処理することにより液体が得られる。残渣量は大幅に低減する。
タンクやタンカ−の底にはWAXYな残渣が溜まっている。これらは脱水した後、熱分解の原料とすることができる。熱分解することにより、廃潤滑油と同等の液収率と品質が得られる。
1、効率化
溶融及び熱分解に必要な熱量は熱分解軽質油を約420°Cないし約450°Cに再加熱して直接熱分解槽6内に吹き込むようにしたので、熱分解槽6内の熱伝達がよく、しかも槽内でのコーキングは僅かである。廃プラスチックや廃潤滑油には塩素が含まれている。従来は高価な押出機や2〜3時間滞留時間(約320°C下)を与えて脱塩化水素を行なっていたが、本法を実施することにより処理速度は2〜3時間改善され、かつ塩酸を回収せずに熱分解槽6ですぐ中和するので、装置の腐食は大幅に改善された。
2、熱分解コーキング問題の大幅改善と安定運転の寄与
熱分解の最大のポイントはいかにコーキンクを抑制して長期運転に結びつけるかである。本例では溶融及び熱分解に必要な熱は間接加熱でなく熱分解した軽質油を高温ガス発生器23にて約420°Cないし約460°Cのガスとして熱分解槽6内に直接吹き込むことで、コーキングを抑制できた。更に、分解しにくい軽質油組成を見出し、高温ガス発生器23の入口配管に若干のスチ−ムを吹き込むことにより、管内のコーキングを抑制できた。
高温ガス発生器23の加熱管内出口部(管内350°C以上)でコーキングが生成するので、高温ガス発生器23を低温部(〜350°C)23Aと2列の高温部(350〜460°C)23Bに3分割し、低温部23Aは通年使用し、高温部23Bは定期的に運転をしながらスチ−ムで洗浄してデコーキングするようにしたので、長期安定運転が可能となった。
3、装置費の低減
本方法は破砕機等前処理設備、高価な押出機、高温用攪拌機、高温ポンプを使用せず、汎用機器でもって構成することが可能である。よって、設備費は従来型と比較して非常に安価となる。本方法では熱分解槽内に熱分解油を直接吹き込む直接加熱方式であるので、スケ−ルアップが可能である。
4、熱分解油の主製品である中質油の高品質化
溶剤抽出法を採用することにより、酸化安定性は石油製品並みとなり、また有機塩素化合物、窒素化合物、臭素化合物、硫黄化合物を低減することができた。
5、複合廃棄物の混合処理のメリット
廃プラスチック、廃タイヤ以外に液体である廃潤滑油、廃塗料残渣、WAXY油と同時処理することにより、熱分解槽6内の粘性が低下し、熱伝達が良くなる。廃食用油をエステル化して粘性を下げる方法では高コストとなるが、本法では簡単に粘性と流動性を改善することが可能である。
図4は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では熱分解槽6の他に、第2の熱分解槽42が設けられている。熱分解槽6は熱分解油のうちの軽質油を低温度で分留することによりコーキング原因物質を分離した軽質油留分を高温ガス発生器23で熱風炉24からの高温の燃焼ガスと熱交換して低温、例えば約330°Cないし約390°Cとし、これを熱源としてマイルド熱分解を行うようになっている。
第2の熱分解槽42は熱風炉41を備え、熱分解槽6からの未熱分解油を含む残渣をロータリバルブ40を介して受皿43で受け、熱風炉24の高温燃焼ガスを熱源として間接加熱され、高温、例えば420°Cないし約460°Cでハード熱分解を行うようになっている。
廃プラスチックなどの炭化水素の熱分解速度を速める場合、熱分解温度を上げることが効果的であるが、熱分解に必要な熱を高温ガス発生器23のみで全て与えることが難しいこともある。
そこで、本例では2つの熱分解槽6、42を設け、最初の熱分解槽6の運転条件を常圧で、例えば約380°Cとし、コーキング原因物質を除去した高温ガス発生器23からの軽質油留分によって熱分解に必要な熱量の60%〜80%を与え、マイルド熱分解を行わせる。
特に、ポリエチレン樹脂は分解し難い。そこで、後段の第2の熱分解槽42で熱分解に必要な熱量の20%〜40%を熱風炉24からの高温燃焼ガスによって与え、第2の熱分解槽42を約420°C〜約460°Cに間接加熱して昇温させ、短時間でハード熱分解を行わせる。
第2の熱分解槽42内においてハード熱分解を行わせる為にコーキングが発生する。それに対処する為に熱分解槽42内に受皿を設けたり、小型キルン機を設けたり、予備機を設けたりする。第2の熱分解槽42の容量は熱分解槽6の約1/3である。
廃プラスチック、廃潤滑油、廃タイヤ、廃食用油、廃WAXY油、塗料残渣が発生する場所で利用でき、しかも熱分解中質油が高品質であるので、ボイラ−燃料やディ−ゼル発電用の燃料に使用できる。
本発明に係る複合廃棄物の油化方法の好ましい実施形態を模式的に示す工程図である。 上記実施形態における高温ガス発生器の構造例を示す図である。 上記実施形態における中質油の高品質化システムの例を示す図である。 第2の実施形態を模式的に示す工程図である。
符号の説明
6 熱分解槽
14 熱交換器
15 熱交換器(分留)
23 高温ガス発生器
23A 低温部
23B 高温部
42 第2の熱分解槽

Claims (5)

  1. 廃棄物を熱分解槽にて加熱して溶融させ、熱分解を行って熱分解ガスを回収し、この熱分解ガスを凝縮させて熱分解油を得る一方、
    熱分解槽(6)から取り出され重質油を分離された熱分解ガスは熱交換器(15)に送られ、熱分解ガスからコーキング原因物質を含む中質油を分離し、さらに中質油が分離された熱分解ガスを冷却器(19)で冷却して得られる軽質油の一部を、熱交換器(15)における熱分解ガスの熱交換媒体として利用することで、125°C以下の低温度で熱分解ガスからコーキング原因物質を分離することを可能ならしめるとともに、熱交換された軽質油を高温燃焼ガスと熱交換して所定の高温度に昇温し、熱分解槽(6)の槽底に循環させて熱分解の熱源とするようにしたことを特徴とする廃棄物の油化方法。
  2. 軽質油を低沸点芳香族で希釈して熱分解槽に循環させるようにした請求項1記載の廃棄物の油化方法。
  3. 軽質油留分を高温燃焼ガスと熱交換する高温ガス発生器における軽質油留分の加熱管内の平均流速を25m/sec以上とすることにより、コーキングの生成を抑制するとともに、運転中において加熱管内をデコーキングし得るようにした請求項1記載の廃棄物の油化方法。
  4. 廃棄物が廃プラスチック、廃潤滑油、金属部品を除去した廃タイヤ、廃食用油、廃溶剤及びタンクスラッジから選ばれる1又は複数である請求項1記載の廃棄物の油化方法。
  5. 上記得られた熱分解油のうちの中質油を常温常圧下、等量のメタノール液と混合して不純物を抽出することにより中質油を高品質化する一方、メタノールを回収し再使用するようにした請求項1記載の廃棄物の油化方法。
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