JP5142843B2 - 作業用手袋の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、各種の作業を行う際に手に装着して使用する作業用手袋の製造方法に関する。
従来、建設作業や運搬作業等に使用される作業用手袋には、綿等の生地糸を手袋状に編み上げたものがあった。作業用手袋には、物を掴むときに滑らないように手の平部分に合成ゴムなどで作られた滑り止め部が設けられたものがある。また、手の平の内側面にも滑り止め部が設けられているものもあり、これは作業者の手の平が作業用手袋の中で滑って移動することを防ぐことができるものである。このような作業用手袋として、例えば特許文献1に開示されている作業用手袋があり、手袋本体の手の平に対応する部分の内外側面に、合成ゴムによる滑り止め部が設けられている。
このような、内側面と外側面に滑り止め部が設けられている作業用手袋の製造方法は、例えば作業用手袋を裏返して内側面が露出した状態で作業用手袋の内側に板状の手型部材を入れて固定し、露出した内側面に内側滑り止め部を塗布して所定時間、例えば30分間乾燥する。次に作業用手袋を裏返して内側滑り止め部を作業用手袋の内側に入れ、もう一度板状の手型部材を入れて固定し、露出した作業用手袋の外側面に外側滑り止め部を塗布して所定時間、例えば30分間乾燥する。乾燥後、手型部材を引き抜いて製品となる。
実開平5−51910号公報
上記背景技術の場合、手袋本体を2度裏返さなければならず、また手型部材を入れる工程も2回必要であり、手間と時間がかかり生産性が良くなかった。また手袋本体に付着したゴム液を乾燥する工程も2回行うため、熱エネルギーを多く要するものであった。
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な製造工程で滑り止め部を設けることができ、生産効率が良好な作業用手袋の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、手に装着される手袋本体の内側に入れられる板状の手型部材に、内側滑り止め部を設け、前記手型部材に対面して前記内側滑り止め部を保護するガイド部材を配置し、前記ガイド部材が取り付けられた前記手型部材を前記手袋本体の内側に入れた後、前記ガイド部材を前記手袋本体から引き抜き、前記内側滑り止め部を前記作業用手袋の内側面に付着させ、この後、前記手袋本体の外側面に外側滑り止め部を付着させ、前記外側滑り止め部と内側滑り止め部の硬化処理を同時に行って前記内側滑り止め部と前記外側滑り止め部を前記手袋本体に固着する作業用手袋の製造方法である。
前記外側滑り止め部は合成ゴムを塗布するものであり、前記内側滑り止め部は天然ゴムのラテックスを塗布して形成するものであり、これらを同時に加熱して硬化処理を行うものである。
前記ガイド部材は、前記手型部材に対して内側滑り止め部の厚み分よりも離れて保持され、前記ガイド部材の前記手袋本体に挿通される端部は、前記手型部材に向かって傾斜して折り曲げられて前記手型部材に当接し、前記手型部材は前記各滑り止め部が硬化した後、前記手袋本体から引き抜いて取り外すものである。
本発明の作業用手袋の製造方法は、作業用手袋を裏返すことなく内側面に内側滑り止め部を取り付けることができ、また外側滑り止め部と内側滑り止め部を1回の硬化処理で同時に硬化させることができるため、製造工程と時間を短縮することができる。これにより、簡単な製造工程で高い生産効率を得ることができる。
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の作業用手袋10は、綿等の生地糸を手袋状に編み上げた手袋本体12が設けられている。手袋本体12は手の平部14と手の甲部16が筒状に形成され、手の平部14と手の甲部16の一方の端部には5本の指部18が形成されている。手の平部14と手の甲部16の他方の端部は筒状の手首部20が設けられ、手首部20は伸縮性が高い織り方で手首にフィットするように作られている。
作業用手袋10の手の平部14と、指部18の手の平部14側の面には、手袋本体12の外側面12aに、外側滑り止め部22が設けられている。外側滑り止め部22は、ゴム、塩化ビニル、シリコン等柔軟性を有し摩擦が高い材料で作られ、手袋本体12の生地に一部がしみ込んで固着されている。外側滑り止め部22の模様は、例えば複数の小さい円形が等間隔で均一に設けられている。
作業用手袋10の指部18の手の平部14側には、手袋本体12の内側面12bに、内側滑り止め部24が設けられている。内側滑り止め部24は、ゴム、塩化ビニル、シリコン等柔軟性を有し摩擦が高い材料で作られている。内側滑り止め部24は皮膚に直接接触するため、アレルギー物質を取り除いた脱タンパク天然ゴムラテックスを用いるとなお良い。そして手袋本体12の生地に一部がしみ込んで固定されている。内側滑り止め部24の形状は、指部18の幅よりも少し小さい矩形に形成され、各指部18に2個〜3個が指部18の長手方向に沿って等間隔に並べられて設けられている。
次に、この実施形態の作業用手袋10の製造方法について説明する。まず、図2に示すように、作業用手袋10の内側に入れられる板状の手型部材26を用意する。手型部材26は、作業用手袋10と同じように5本の指部28が形成されている。指部28同士の間隔はやや広く、作業用手袋10の指部18に差し込みやすくなっている。手型部材26の手首部30は、作業用手袋10の手首部20よりも長く形成されている。手型部材26の一方の側面26aは、作業用手袋10の内側に入れられたとき作業用手袋10の手の平部14に対面するものであり、側面26aの所定位置に、内側滑り止め部24を材料が柔らかい状態で取り付ける。手型部材26の側面26aには、フッ素樹脂コーティング等、剥離性を高める表面処理を行ってから内側滑り止め部24を塗布等により付着させるとよい。
次に、図3に示すように、内側滑り止め部24を取り付けた手型部材26に、ガイド部材32を取り付ける。ガイド部材32は、手型部材26と同じように5本の指部34が形成された板体であり、手型部材26に対してほぼ平行に内側滑り止め部24の厚みより高く離れてセットされている。ガイド部材32の指部34は、図7、図8に示すように、手型部材26の指部28の先端に向かって近づくように折り曲げられ、指部34の先端部36は、先が細くなる三角形状に形成され、手型部材26の側面26aに向かってさらに大きい角度で折り曲げられて当接しているとより好ましい。ガイド部材32の手首部38は、手型部材26の手首部30よりも長く形成されている。なお、ガイド部材32は手型部材26よりも一回り小さく設けても良く、同じ大きさに設けられてもよい。手型部材26の内側滑り止め部24を確実に覆う大きさであればよい。手首部38は、手型部材26の手首部30と同じ長さでも良い。
次に、図4に示すようにガイド部材32を取り付けた手型部材26を、作業用手袋10となる手袋本体12の内側に入れる。このとき手型部材26の内側滑り止め部24が取り付けられた側面26aが、手袋本体12の手の平部14に対向するようにする。また手型部材26の指部28の先端が、手袋本体12の指部18の先端に届くようにする。手型部材26の手首部30は、手袋本体12の手首部20から外側に突出する。そして、矢印に示すようにガイド部材32だけを手袋本体12から引き抜く。ガイド部材32の先端部36は手型部材26の側面26aに当接しているため、ガイド部材32を引き抜くときに先端部36が側面26aを移動して、内側滑り止め部24に直線の跡が残るが特に問題はない。
ガイド部材32を手袋本体12から引き抜くと、図5に示すように手型部材26に取り付けられた内側滑り止め部24が、手袋本体12の内側面12bに付着し、内側滑り止め部24が手袋本体12の内側面12bに浸透する。次に、図6に示すように手袋本体12の手の平部14の外側面12aに、外側滑り止め部22をプリント等で取り付ける。この状態で、約30分間所定温度で加熱乾燥し、外側滑り止め部22と内側滑り止め部24を硬化させて手袋本体12に固定する。その後、手袋本体12から手型部材26を引き抜いて外し、製品となる。なお、手型部材26の側面26aにフッ素樹脂コーティングして内側滑り止め部24を塗布することにより、内側滑り止め部24から手型部材26が簡単に剥がれて外すことができる。
この実施形態の作業用手袋10は、物を掴むときに滑らないため、建設作業や運搬作業等いろいろな作業が正確で安全なものになる。作業用手袋10の製造方法は、内側面12bの内側滑り止め部24を、手袋本体12を裏返すことなく取り付けることが可能であり、製造工程が簡単である。内側滑り止め部24は、まず手型部材26の所定位置に取り付けられ、手型部材26により内側面12bに取り付けられるため、手袋本体12への取付位置や形状が正確である。手型部材26は、ガイド部材32が内側滑り止め部24を覆って取り付けられた状態で手袋本体12に入れられるため、手袋本体12の内側面12bの他の部分に、内側滑り止め部24の材料が付かず、きれいに仕上げることができる。ガイド部材32の先端部36は、三角状に細く手型部材26の側面26aに斜めに当接しているため、手袋本体12に入れるときに内側面12bにひっかかることがなく円滑に入れることができ、手袋本体12の細い指部18にも簡単に入れることができる。先端部36は小さい面積で手型部材26の側面26aに接しているため、ガイド部材32の強度が強く、またガイド部材32を引き抜くときに内側滑り止め部24に形成される直線の跡は細く支障がないものとなる。
作業用手袋10の外側面12aの外側滑り止め部22と、内側面12bの内側滑り止め部24は、一度の乾燥工程で硬化させることができ、製造にかかる時間を短縮し、乾燥する熱量を節約する効果もある。
なお、この発明の作業用手袋の製造方法は、上記実施形態に限定されず、例えば、ガイド部材32の先端部36は、治具等により手型部材26から確実に離間していれば、先端部36を設けなくても良いものであり、その他各部材の素材も適宜変更可能である。さらに、内側滑り止め部と外側滑り止め部の材料は、自由に変更可能であり、同じ硬化処理で硬化するものであれば、互いに異なる材料で作られても良い。また、内側滑り止め部と外側滑り止め部の取付位置や形状、色等も自由にデザインすることができる。
この発明の一実施形態の作業用手袋の正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程を示す正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程を示す正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程を示す正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程を示す正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程を示す正面図(a)と右側面図(b)である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程に使用する手型部材とガイド部材を示す右側面図である。 この実施形態の作業用手袋の製造工程に使用する手型部材とガイド部材を示す上面図である。
符号の説明
10 作業用手袋
12 手袋本体
14 手の平部
18 指部
22 外側滑り止め部
24 内側滑り止め部
26 手型部材
32 ガイド部材

Claims (3)

  1. 手に装着される手袋本体の内側に入れられる板状の手型部材に、内側滑り止め部を設け、前記手型部材に対面して前記内側滑り止め部を保護するガイド部材を配置し、前記ガイド部材が取り付けられた前記手型部材を前記手袋本体の内側に入れた後、前記ガイド部材を前記手袋本体から引き抜き、前記内側滑り止め部を前記作業用手袋の内側面に付着させ、この後、前記手袋本体の外側面に外側滑り止め部を付着させ、前記外側滑り止め部と内側滑り止め部の硬化処理を同時に行って前記内側滑り止め部と前記外側滑り止め部を前記手袋本体に固着することを特徴とする作業用手袋の製造方法。
  2. 前記外側滑り止め部は合成ゴムを塗布するものであり、前記内側滑り止め部は天然ゴムのラテックスを塗布して形成するものであり、これらを同時に加熱して硬化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の作業用手袋の製造方法。
  3. 前記ガイド部材は、前記手型部材に対して内側滑り止め部の厚み分よりも離れて保持され、前記ガイド部材の前記手袋本体に挿通される端部は、前記手型部材に向かって傾斜して折り曲げられて前記手型部材に当接し、前記手型部材は前記各滑り止め部が硬化した後、前記手袋本体から引き抜いて取り外すことを特徴とする請求項1記載の作業用手袋の製造方法。
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