JP5142759B2 - 電気化学分析システム及び電気化学分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学分析システム及び電気化学分析方法に関し、より詳細には、被検液中に微量に含有される被検物質を検出するために用いる電気化学分析システム及び電気化学分析方法に関する。
従来から、被検液を分析するシステムが種々提案されており、その一例として、カード式の使い捨て分析システムが提案されており(例えば、特許文献1)、携帯性、操作の簡便性を図る観点から、分析ホルダ、送液手段、処理ユニット等が一体となったシステムを利用している。
このシステムでは、分析に必要な機能部分を極めてコンパクトに一つのハウジング内に収めることにより、簡便な携帯型として構成されており、よって、被検物質が採集される現場での迅速な分析にも使用できるという利点がある。
WO2006/80186号公報
しかし、実験室ベースで分析習熟者が操作する、所謂プロユースの場合は、薬液、シリンジ、ポンプ等の扱いに習熟しているため、上述した構成部品が一体化したシステムとして構築されていないほうが都合のよいことがある。
つまり、各構成部品は、その機能、性能等によって各種のメンテナンス及び寿命等が一様でなく、各構成部品を単体でメンテナンスすることが必要になる。例えば、洗浄が必要な部品はまる洗いが必要であるし、極めて短い寿命で使い捨てが必要な部品は短い周期で部品を取り替えることが必要であり、あるいは、被検液や試薬等の液体が電子基盤等に接触しないように又は接触した場合には速やかに除去することなどが必要となる。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、被検物質の電気化学分析に必要な検出用カートリッジ、この検出用カートリッジに適合するよう設計された分析ホルダ、制御・計測・処理等を行う電子基盤ユニット等をそれぞれ独立した構成で提供することができる電気化学的分析システム及び電気化学的分析方法を提供することを目的とする。
本発明の電気化学分析システムは、
被検出物質を含む被検液を、貯留部を通過させることによって該貯留部に前記被検出物質を一時的に貯留する貯留ステップ、
一時的に貯留された被検出物質を溶離させる溶離液を前記貯留部に供給することによって前記被検出物質を溶離させて前記貯留部の下流に設けられた検出用電極に送りながら電気化学分析を行う検出ステップ
の2ステップからなる分析を行うための電気化学分析システムであって、
(A)第1及び第2の外部ポートを備え、これら第1及び第2の外部ポート間に、前記被検出物質を一時的に貯留する貯留部が配置された貯留部流路と、該貯留部流路と独立して形成された前記検出用電極が配置された電極室流路と、第3の外部ポートと、一端が第3の外部ポートに、他端が前記電極室流路に接続され、参照極が配置された参照極室流路と、前記電極室流路の下流に廃液ポートを有する検出用カートリッジと、
(B)該検出用カートリッジを着脱自在に収容し、前記検出用カートリッジの設置時に、
前記貯留部流路の前記第1の外部ポートを送液手段に接続するための溶離液供給流路、前記第2の外部ポートを前記電極室流路に接続する接続流路、前記参照極室流路に溶液を供給する参照極用溶液供給流路、前記検出用カートリッジの第2の外部ポートに接続し、電極室流路に溶液を供給する電解液供給流路及び前記検出用電極を電子基盤ユニットに接続するための端子を備える分析ホルダと、
(C)該分析ホルダの端子を介して検出用電極に接続し、電気制御計測を行う電子基盤ユニットと、
(D)該溶離液供給流路に接続された定量送液手段と、
(E)前記電子基盤ユニットの制御および計測と、外部の送液手段の送液との同期を促す表示を行う表示手段と
を備えることを特徴とする。
さらに、本発明のプログラムは、上述したシステムにおける電子基盤ユニットの制御および計測を行い、得られた計測結果を処理及び表示するプログラムであって、前記電子基盤ユニットの制御および計測と外部の送液手段の送液との同期を促す表示を行うことを特徴とする。
また、本発明の電気化学分析方法は、上述したシステムを用いて電子基盤ユニットの制御および計測を行う際、外部の送液手段の送液を、前記制御及び計測と同期して行うことを特徴とする。
さらに、本発明の別の電気化学分析方法は、被検物質を分析する方法であって、
前記貯留部に予め被検物質がトラップされた検出用カートリッジを分析ホルダにセットし、
前記電子基盤ユニットによって、貯留部上流から電極室流路への溶離液の送液と、電極への通電とを同期させて、前記被検物質に起因する電気信号を生成し、計測することを特徴とする。
本発明の電気化学的分析システム及び電気化学的分析方法によれば、被検物質及び薬液等によって汚染される検出用カートリッジ、分析ホルダ及び電子基盤ユニット等をそれぞれ独立した構成とすることにより、各構成部材を単独で洗浄、交換等するというように、システム全体のメンテナンス性を改善することができる。
また、ポンプ、バルブ、シリンジ等の既存の部品を利用することにより簡便かつ安価な構成として、高精度の分析を行うことが可能となる。
本発明の電気化学的分析システムは、主として、検出用カートリッジ、分析ホルダ及び電子基盤ユニットをそれぞれ独立した、つまりそれぞれが分離し、一体的にハウジング等の内部に収められていない形態で含んで構成される。なお、本発明における「分析」とは、被検物質の有無、濃度、組成その他の性質に関連する情報を発生させ、収集することを意味し、定量及び/又は定性分析のいずれをも含む。
本発明の電気化学分析システムにおける検出用カートリッジ10は、図1〜図3を参照して説明すると、少なくとも、貯留部26と、この貯留部26が配置された貯留部流路20と、内部に一対の電極(作用極31、対極32)が配置された電極室流路30とを備える。
また、貯留部流路20の上下流には、後述する種々の試薬、溶離液、被検液等の注入又は排出のための外部ポート21、22、電極室流路30の上下流には、同じく注入又は排出のための外部ポート23、24が形成されていることが好ましい。
さらに、検出用カートリッジ10は、参照極33が配置された参照極室流路34を有していることが好ましく、その一端は外部ポート25に、他端が電極室流路30に接続されていることが好ましい。この場合の外部ポート25は、通常、参照極室流路34に後述する種々の試薬等を注入するために用いられ、外部ポート25から注入された試薬等は、電極室流路30の下流に配置する外部ポート24から排出される。
貯留部流路20、電極室流路30及び参照極室流路34は、種々の試薬、溶離液、被検液等の流れを確保し、液体を移送及び/又は貯留することができるものである。これらの貯留部流路20及び電極室流路30は、検出用カートリッジ10内でそれぞれ独立して、つまり、互いに連結されずに形成されている。これらの各流路20、30、34の形状、長さ、大きさ、数等は特に限定されず、例えば、数μm〜数mmのオーダーの幅を有し、数μm〜百μmのオーダーの深さを有する溝により形成されていることが好ましい。例えば、流路の断面積は10μm2〜1mm2程度が挙げられる。
貯留部流路20内に配置された貯留部26は、例えば、その内部に被検物質をトラップし得る吸着担体27を備えている。貯留部26は、通常、被検液の注入のための外部ポート21の直下流に、つまり、外部ポート21と被検液を排出するための外部ポート22との間に形成されていることが好ましい。吸着担体は、例えば、メンブレンフィルタ、多孔質セラミック、多孔質ガラス等の多孔質物質、繊維(例えば、フィルタ等)、高分子膜、孔が形成された金属膜又は微粒子等の表面積の大きな材料を基材として用いることができる。また、基材の表面に、被検物質に対して化学反応を行う又は吸着作用を有する官能基等を修飾した又は重金属受容性物質で処理したものを用いてもよい。吸着担体は、上述したものの他、WO2006/80186号公報に記載のものを用いることができる。
また、電極室流路30に配置された一対の電極31、32は、被検物質を含む液体がこの電極31、32に接触したとき、被検物質の濃度に関する電気的情報を生成し得るように構成されていればよく、例えば、少なくとも一対の電極、つまり、1つの作用極31と、1つの対極32とを有していればよい。
特に、作用極31は、被検物質を吸着し、溶離液に接触したときに被検物質を溶離液中に放出する電極であり、印加できる電位の範囲が広く、腐食や酸化に耐性があることが好ましい。電位の範囲が広いとは、電気化学上、好ましくない水素イオンの発生又は酸化皮膜の生じない電位領域が広いことを意味する。
作用極31として使用するのに好ましい材料は、白金、金、水銀、銀、ビスマス、カーボン等が挙げられる。なかでも、測定対象である被検物質を吸着し易い材料であることが好ましい。例えば、被検物質がカドミウム、鉛、水銀及び六価クロム等である場合には、作用極31としてはカーボン表面を有する電極を使用し、砒素及び水銀測定用の作用極31としては金表面を有する電極を使用することが適している。
対極32は、作用極31との間で電流を流すためのものである。導電性の材料であれば、どのような材料であってもよい。
参照極33は、既知の安定した電位を示すことにより電位の基準とすることができる電極であることが適している。この場合の代表的な参照極33として、水素電極、飽和カロメル電極(水銀/塩化水銀電極)、銀ハロゲン化銀電極などを挙げることができる。銀/ハロゲン化銀電極としては、銀表面が塩素を含む溶液との平衡反応により塩化銀を形成している銀・塩化銀電極がある。この電極においては、電圧が印加された場合にも、銀と塩化銀との平衡状態が常時保たれるため、発現する電位は常時一定となり、参照極として用いることができる。銀・臭化銀電極及び銀・ヨウ化銀電極も使用できるが、材料の汎用性及び加工コストの観点からは、銀・塩化銀電極が好ましい。
これら電極のサイズ及び形状は特に限定されず、感度向上のために、いわゆる微小電極を用いることができる。
この検出用カートリッジ10は、例えば、図2に示すように、各流路20、30、34ののための凹部が一面又は両面に形成された、あるいはこれら流路20、30、34又は外部ポート21〜25を構成する貫通孔が形成された樹脂製のシート材を複数層、例えば、2層、3層(図2の11、12、13参照)、4層積層されることによって形成することができる。
また、図6及び図7に示すように、本発明の電気化学分析システムにおける別の検出用カートリッジ70として、貯留部流路20と電極室流路30とが、検出用カートリッジ70内で連結されたものであってもよい。
つまり、このような検出用カートリッジ70は、少なくとも、貯留部26と、この貯留部26が配置された貯留部流路20と、内部に一対の電極(作用極31、対極32)が配置された電極室流路30とを備えるとともに、貯留部流路20の延長状に流路77と、貯留部流路20の上流に外部ポート71と、貯留部流路20の延長状であって、流路77の下流に外部ポート72とを備える。
また、電極室流路30の下流には、外部ポート73が形成されていることが好ましい。さらに、検出用カートリッジ70は、参照極33が配置された参照極室流路34を有していることが好ましく、その一端は外部ポート74に、他端が電極室流路30に接続されていることが好ましく、電極室流路30と参照極室流路34との間には、外部ポート73が配置していることが好ましい。
これ以外の構成は、上述した検出用カートリッジ10と同様とすることができる。
この検出用カートリッジ70は、例えば、図7に示すように、各流路20、30、34、77ののための凹部が一面又は両面に形成された、あるいはこれら流路20、30、34、77又は外部ポート71〜74を構成する貫通孔が形成された樹脂製のシート材を複数層、例えば、2層、3層、4層(図7の11a、12a、13a、14a参照)積層されることによって形成することができる。
なお、上述した本発明の検出用カートリッジには、所望の流路内又は流路間に1又は複数のポートがさらに形成されていてもよい。例えば、検出用カートリッジ10を例にとって説明すると、外部ポート23の下流側であって、電極室流路30とは分岐して形成された脱気等のための空気孔28がさらに形成されていてもよく、この空気孔28に至る手前に、気体は通すが液体は通さない素材からなる素材やフィルター36等を収容する濾過手段、つまり、フィルター部35が形成されていてもよい。
また、検出用カートリッジには、適当な位置、例えば、電極室流路30の下流に、廃液溜(図2の38、図6の39参照)が形成されていてもよい。
検出用カートリッジは、複数のシート材に、上述した凹部、貫通孔を形成した後、接着剤又は粘着剤層(図2の15、16又は図7の15a、16a、17aの参照)により接着する方法、高温又は超音波による接合、拡散接合などによって形成することができる。拡散接合は、接合する材料を高温高圧雰囲気に曝し、材料原子に拡散を生じさせ、接合面に一体的な融合を生じさせるものであり、例えば、シート材として、アクリル樹脂、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を用いて行うことができる。
分析ホルダ40は、上述したような検出用カートリッジ10を着脱自在に収容するために好適に用いられるものであり、図3及び図4を参照して説明すると、例えば、本体40aと蓋体40bとから構成されて、検出用カートリッジ10と、互いの形状に合わせて嵌合するように、凹部及び突起が設けられ、これらが相互に係合して、検出用カートリッジ10を分析ホルダ40に確実に保持することが好ましい。
分析ホルダ40は、主として、溶離液供給流路41と、接続流路42と、検出用カートリッジ10の検出用電極31、32、任意に参照極33を後述する電子基盤ユニットに接続するための端子37を備える。
また、分析ホルダ40には、接続流路42に接続し、検出用カートリッジ10の電極室流路30に溶液を供給する電解液供給流路43を有することが好ましく、さらに、検出用カートリッジ10の参照極室流路34に溶液を供給するための参照極用溶液供給流路45を備えていることが好ましい。
さらに、検出用カートリッジ10の電極室流路30の下流に形成された外部ポート24に接続する廃液用流路44を有していることが好ましい。
ここで、分析ホルダ40に検出用カートリッジ10をセットした際、通常、溶離液供給流路41は、貯留部流路20の上流の外部ポート21に連結され、接続流路42は、一端が貯留部流路20の下流の外部ポート22、他端が電極室流路30の上流の外部ポート23に連結され、電解液供給流路43は、外部ポート23近傍の接続流路42に連結され、参照極用溶液供給流路45は、参照極室流路34の外部ポート25に連結されることが好ましい。また、廃液用流路44は、電極室流路30の下流の外部ポート24に連結されるか、あるいは、各種溶液が排出されることがあるため、例えば、図5に示すように、分析ホルダ40内に廃液溜49が形成され、その廃液溜49に連結されていてもよい。
また、溶離液供給流路41は、図3〜図5に示すように、検出用カートリッジ10との接続のためのポート21aと外部との接続のための外部ポート21aaを有し、接続流路42は、検出用カートリッジ10との接続のためのポート22aと外部との接続のための外部ポート23aaを有し、電解液供給流路43は、検出用カートリッジ10との接続のためのポート23aと外部との接続のための外部ポート23aaを有し、参照極用溶液供給流路45は、検出用カートリッジ10との接続のためのポート25aと外部との接続のための外部ポート25aaを有し、廃液用流路44は、検出用カートリッジ10との接続のためのポート24aと外部との接続のため又は廃液ポートとしての外部ポート24aaを有している。
廃液溜49は、分析ホルダ自体が空洞になっており、外部ポート24aaがその空洞に通ずる開口部であることが好ましい。また、図2、図7の点線で示されるようにカートリッジ内に廃液溜38、39が設けられていてもよい。
このように、分析ホルダ40に接続流路42が形成されていることにより、検出用カートリッジ10内にジャンクションを設けることなく、検出用カートリッジ10自体を簡素化することができるとともに、ジャンクションに起因する微細な気泡等の導入を防止することができる。
また、本発明の分析ホルダは、上述した検出用カートリッジ70に好適に用いられる形態としてもよい。
つまり、図7を参照して説明すると、分析ホルダ80は、主として、検出用カートリッジ70の貯留部流路20に溶液を供給し得る溶離液供給流路81と、検出用カートリッジ70の検出用電極31、32、任意に参照極33を後述する電子基盤ユニットに接続するための端子を備え、上述したような接続流路を備えないものが挙げられる。
この分析ホルダ80には、検出用カートリッジ70の外部ポート72に接続され、電極室流路30に溶液を供給し得る電解液供給流路82を有することが好ましく、さらに、検出用カートリッジ10の参照極室流路34に溶液を供給するための参照極用溶液供給流路84を備えていることが好ましい。
さらに、検出用カートリッジ70の電極室流路30の下流に形成された外部ポート73に接続し、分析ホルダ内の廃液溜49に通じる廃液用流路83を有していることが好ましい。
ここで、分析ホルダ80に検出用カートリッジ70をセットした際、通常、溶離液供給流路81は、貯留部流路20の上流の外部ポート71に連結され、電解液供給流路82は、外部ポート72に連結され、参照極用溶液供給流路84は、参照極室流路34の外部ポート74に連結されることが好ましい。また、廃液用流路83は、電極室流路30の下流の外部ポート73に連結されていてもよい。
溶離液供給流路81は、検出用カートリッジ70との接続のためのポートと外部との接続のための外部ポート81aaを有し、電解液供給流路82は、検出用カートリッジ70との接続のためのポートと外部との接続のための外部ポート82aaを有し、参照極用溶液供給流路84は、検出用カートリッジ70との接続のためのポートと外部との接続のための外部ポート84aaを有し、廃液用流路83は、検出用カートリッジ70との接続のためのポートと分析ホルダ内の廃液溜49への開口部83aaを有している。
これらのような分析ホルダに備えられる端子37は、後述する制御ユニットに電気的に接続されるものであり、検出用カートリッジの各電極31、32、33に電力を供給、制御し、被検物質の有無、濃度、組成その他の性質に関連する電気信号を発生させるために用いられる。
分析ホルダ40、70における各外部ポート21aa〜25aa、81aa〜83aaには、任意に、送液手段(例えば、定量送液できる装置等)、具体的には、シリンジ、管、ポンプ等が接続されていてもよく、あるいは、廃液溜又は廃液のための送液手段が接続されていてもよい。
具体的には、外部ポート21aa、23aa、25aa、81aa、82aa、84aaには、市販シリンジを直接差し込める形態が好ましい。例えば、後述するインジェクションホルダ(図9の60参照)に直接シリンジの先端に適合する貫通孔を設けてもよいし、貫通孔(図9の64参照)及び貫通孔におけるシリンジ先端に適合するジョイント(図9の63参照)のような形態が適用されていてもよい。このようにシリンジを差込むことにより、手動で操作することができるために、送液システムを単純化及び安価に利用することが可能となるとともに、容易にシステムから取り外し、取替えることができるために。システム全体のメンテナンス性を改善することが可能となる。また、機械操作には実現できない、手動による微細な制御等を適用することができるため、より精度の高い分析が可能となる。
また、後述する電気化学的分析時に、貯留部26にトラップされた被検物質を溶離し、電極室流路30における各電極31、32に接触させるためには、溶離液を定量送液する必要があるために、微量の送液を定速かつ正確に行うことために、一般に使用される定量的な送液手段を用いることが好ましい。具体的には、外部ポート21aa、81aaには、定量的な送液手段を用いることが好ましい。
ここで、送液手段としては、シリンジポンプ、ローラーポンプ、ペリスタルティックポンプ、その他の汎用的な定量送液手段を用いることができる。特に、1〜10000μl/分の流量設定が可能で、10〜100μl/分の範囲にて一定の流速を安定して送液できるものが好ましい。言い換えると、吐出の流量バラツキが±20%以内、さらに±10%以内であるものが好ましい。また、脈流は、設定値に対して±20%以内であるものが好ましい。
特に有用なものは、市販のシリンジに薬液を注入し、シリンジポンプを用いて送液し得る手段であり、このようなシリンジポンプとしては、Kd Scientific社製「IN3000シリーズ」、ハーバードシリンジポンプ「MODEL11シリーズ」、Era社製「NE-1000」、アズワン社製「MSP-DT2」等が挙げられる。なお、これらの送液手段には、溶液、試薬等を充填したタンク等が通常連結されている。このような定量送液できる送液手段を用いることにより、電気化学分析中の被検物質を電極上に補集する過程の、単位時間当たりに電極表面近傍を通過する被検物質のイオンの数が多くなり、その結果、析出する被検物質の量が多くなるので、測定を高感度で行うことが可能になる。また、このように、送液手段を電気化学的分析システムと別個で用いることにより、既存の送液手段をそのまま利用することができることとなり、システム自体をより簡便かつ安価なものとすることができる。また、送液手段単独のメンテナンス等が可能となり、分析の精度を容易に維持することが可能となる。
電子基盤ユニット50は、図8を参照して説明すると、例えば、分析ホルダの端子37に接続された電極における電気特性を制御及び/又は計測する制御部51aと、分析ホルダの送液口からの送液と同期させることができる同期部52とを備える。具体的には、電子基盤ユニット50は、電極における電気特性を制御及び/又は計測し得る制御部51aを備えた電子基盤51と、市販のパーソナルコンピューター、PDA機器等の端末のCPU52a等を利用して実現し得る同期部52とを、一体的又は別個に備えるように構成することができる。
電子基盤ユニット50は、さらに、例えば、検出用カートリッジからの電気信号を読み取って被検物質の濃度に関する情報を生成する読取部(読取部は、電気信号を検出用カートリッジから受け取って処理し、被検体における被検物質の濃度に関する情報を生成する処理手段を備える)、A/Dコンバータ、制御回路及びマイクロプロセッサ等を含む演算処理部、その他の各種コンポーネント等を備えることができる。
また、同期部52は、上述したように、通常、パーソナルコンピューター等の端末のCPU52a等を利用して実現することができ、通常、同期部として機能するために、CPU等を適切に機能させるためのプログラムがインストールされたROM、RAM等の記憶部52bとともに構成されていてもよいし、情報処理手段等の電子処理部、検出結果等を表示するための表示部52c、情報を入力、操作するためのボタン等のユーザインタフェース等とともに構成されていてもよい。
なお、電子基盤ユニット50は、モバイル用途に適するように、バッテリー駆動としてもよいし、据え置きで測定する場合に適したAC電源による駆動としてもよい。
また、本発明の電気化学分析方法は、上述したシステムを用いて実現することができる。通常、本発明の電気化学分析方法では、重金属の検出を好適に行うことができる。
まず、本発明の電気化学分析を行う前に、電気化学分析を行う対象である被検物質を、上述した検出用カートリッジを用いて、その流路内に予め貯留する。つまり、被検出物質を含む被検液を、検出用カートリッジの貯留部を通過させることによって、この貯留部に被検出物質を一時的に貯留する。
この貯留のために、検出用カートリッジに対して、例えば、図9に示すようなインジェクションホルダ60を利用することができる。
インジェクションホルダ60は、検出用カートリッジ10を載置する本体60aと、検出用カートリッジ10を本体60aとの間に挟持して固定する蓋体60bとから構成されている。本体60aの検出用カートリッジ10直下には空洞が形成されており、この空洞は、検出用カートリッジ10に導入した被検液を溜める廃液溜の役割を果たす。また、蓋体60bには、検出用カートリッジ10のポートに対応する位置に貫通孔64が形成されており、この貫通孔64にシリンジ62の先端が適合するように、弾性体などによるジョイント63が嵌合されて、被検液を検出用カートリッジ10に供給することができる。
検出用カートリッジに供給された被検液は、吸着担体に到達し、ここで被検液に含まれる被検物質が一時的に吸着される。吸着担体を通過した残りの被検液は、検出用カートリッジの上述したポートから検出用カートリッジ外に排出される。
このように、予め被検物質がトラップされた検出用カートリッジを、上述した分析ホルダにセットする。
次いで、例えば、市販のシリンジに電解液を充填し、分析ホルダの外部ポート23aaに、別の市販のシリンジに、参照極用薬液を充填し、分析ホルダの外部ポート25aaにセットし、外部ポート21aaを閉塞して、電解液及び参照極用薬液を、検出用カートリッジの電極室流路30及び参照極室流路34にそれぞれ充填させる。なお、双方の溶液は、いずれも、外部ポート24aaから廃液溜49に廃液される。
その後、一時的に貯留された被検出物質を溶離させる溶離液を、貯留部に供給することによって被検出物質を溶離させて、貯留部の下流に設けられた検出用電極に送りながら電気化学分析を行う。この際、電子基盤によって、検出用カートリッジの流路への試薬の送液と、電極への通電とを同期させて、被検物質に起因する電気信号を生成し、計測し及び/又は処理する。なお、ここでの被検物質に起因する電気信号とは、被検物質の有無、濃度、組成その他の性質に関連する電気信号を意味する。また、同期させるとは、例えば、上述したプログラムのインターフェースが、表示部において送液開始を促すメッセージを表示し、そのメッセージに従って、送液開始と電極への通電のタイミングを合わせる、言い換えると、送液ポンプのスタートボタンと、端末の入力手段(例えば、キーボード)のエンターを同時に押すことが例示される。
具体的には、図3を参照して説明すると、上述したような定量送液手段(例えば、シリンジポンプ55)を利用して、分析ホルダ40のポート21aaから、検出用カートリッジ10の外部ポート21を通って、溶離液を定量送液する。この際、貯留部26内に配置された吸着担体27を通過し、別の外部ポート22から一旦検出用カートリッジ10外に導出される。溶離液は、化学反応又は吸着により吸着担体に保持されている被検物質を吸着担体から離脱させる作用を有し、典型的には、イオン交換反応によりこのような離脱を行わせる物質である。また、電気化学分析用の電解液として機能することが好ましい。溶離薬を吸着担体に一定流量で通すことによって、トラップされていた被検物質が吸着担体から溶離され、溶離液に含まれる形態で溶離液とともに、検出用カートリッジ10の別のポート22から導出される。
続いて、この試薬は、分析ホルダ40の接続流路42を通って、再び検出用カートリッジ10の外部ポート23から導入され、電極31、32が配置する電極室流路30を通り、別の外部ポート24から分析ホルダ40の廃液用流路44を通って、廃液溜49に排出される。
溶離液を定量送液と同時に、電子基盤ユニットが、電極31、32への通電を同期させて、被検物質に起因する電気信号を生成し、計測する。このような同期は、例えば、溶離液を定量送液の開始時に、例えば、表示装置に、同期を促す表示が表されることで実現される。このように、吸着担体からの被検物質の溶離から、後述するその分析までを連続して行うことができる。
あるいは、上述したような送液手段を利用して、検出用カートリッジのポートから溶離液が送り込まれ、吸着担体を通過し、吸着担体に保持されている被検物質を吸着担体から離脱させて、さらに、この被検物質を溶離液とともに、検出用カートリッジ内に形成された流路を通って、電極室に至り、別のポートから導出されてもよい。
なお、溶離液の定量送液の際、検出用カートリッジ又は分析ホルダに形成された各外部ポートは、任意に、バルブによって閉塞させてもよいが、カートリッジ内の流路が微細な場合には、市販シリンジを差し込んだ状態のままでも逆流のおそれはない。
この方法は、ボルタメトリ法によって行うことができる。アノーディックボルタメトリ法によって、カドミウム、鉛、ヒ素、セレン等の物質を定性または/および定量分析することが出来、カソーディックボルタメトリ法によって、クロム等の物質を定性または/および定量分析することができる。
アノーディックボルタメトリ法では、検出用電極に被検出物質の酸化還元電位以下の電位(プレーティング電位)をかけた状態で第1のポンプを作動させて溶離液を貯留部の上流から流すことにより、イオン化された被検出物質が検出用電極(後述する作用電極)に接触する。検出用電極は酸化還元電位以下となっているため、イオン化された被検出物質は金属として検出用電極に析出する。
所定量の溶離液を流した後、送液を止めて検出用電極の電位を上げていくと、被検出物質の酸化還元電位に達したところで電極表面に析出していた被検出物質がはがれる。このとき電極にイオン化した被検出物質の量に応じた電流が流れるのでそれを測定する。得られた電位―電極ピーク電位から被検出物質の定性分析、ピーク面積や高さから定量分析を行うことができる。
カソーディックボルタメトリ法では、検出用電極に被検出物質の吸着脱離電位以上の電位をかけた状態で第1のポンプを作動させて溶離液を貯留部の上流から流すことにより、吸着された被検出物質が検出用電極(後述する作用電極)に接触する。検出用電極は吸着脱離電位以下となっているため、被検出物質は検出用電極に吸着する。
所定量の溶離液を流した後、送液を止めて検出用電極の電位を下げていくと、被検出物質の吸着脱離電位に達したところで電極表面に吸着していた被検出物質が脱離する。このとき電極にイオン化した被検出物質の量に応じた電流が流れるのでそれを測定する。得られた電位―電極ピーク電位から被検出物質の定性分析、ピーク面積や高さから定量分析を行うことができる。
また、本発明のプログラムは、上述した電気化学分析方法を実現するためのものであり、少なくとも、電子基盤ユニットの制御及び計測と、外部の送液手段の送液との同期を促す表示を行うステップを備える。
具体的には、このステップを行う前に、予め電気化学分析を行う対象である被検物質を、その流路内に貯留した検出用カートリッジ準備し、この被検物質がトラップされた検出用カートリッジを分析ホルダにセットし、検出用カートリッジの電極室流路及び参照極室流路に薬液等を充填し、活性化させておく。
その後、被検出物質を溶離させる溶離液を貯留部に定量送液するステップを有し、このステップによって、被検出物質を溶離させ、検出用電極に送りながら電気化学分析を行うことができる。
また、電子基盤ユニットによる検出用電極へ通電ステップを有する。このステップは、上述した定量送液するステップと同期するように促す表示がなされるか、実際、同期して行われる。
さらに、電子基盤ユニットによる同期を促す表示を行うステップを有する。
これらのステップの後、検出用電極では、被検物質に起因する電気信号を生成し、電子基盤ユニットによって計測することができる。
本発明のプログラムでは、この3つのステップが、同時又は略同時に行われるようにプログラミングされている。
なお、このプログラムは、FD、CD、MD、DVD、HD等の種々の媒体に記録することができる。
以下、本発明の電気化学分析システム及び電気化学分析方法を図面を参照して具体的に説明する。
(電気化学分析システムの構成)
この実施例の電気化学分析システムは、図1〜図3に示す検出用カートリッジ10を備える。
この検出用カートリッジ10は、例えば、凹部及び/又は貫通孔がそれぞれ形成された3層のシート材11、12、13が粘着剤層(15、16)によって液密に張り合せられて構成されている。典型的には、各シート材の大きさは、平面形状が35mm×50mmであり、厚さは1mmであり、重ね合わせた状態で約3mmとなる。なお、各粘着剤層には、必要な箇所に微細な孔が形成されている。
特に、図2に示すように、シート材11には、溶液、試薬等を導入/排出するための複数の外部ポート21〜25が形成されている。
また、シート材11には、アニオン性物質又はカチオン性物質を吸着し得る吸着担体を配置するための貯留部26用の凹部、アニオン性物質を検出するための作用極31及びこの電極に対応する対極32、参照極33をそれぞれ配置するため電極室流路30用の凹部がそれぞれ形成されている。
例えば、カドミウム、鉛、水銀及び六価クロム(カチオン)測定用の作用極としては、板状カーボン電極を用いることができる。また、ガラス基材上にクロム層を介して金層が形成された金電極を用ることにより、砒素及びセレン(アニオン)測定用の作用極を構成することができる。対極には、作用極と同様の板状カーボン電極を使用し、参照極には、アルミナ基材上に銀/塩化銀ペースト(日本アチソン社製6022)が塗布された電極を使用することができる。
図1〜図3では、説明の便宜上、カチオン又はアニオン測定用の電極のいずれか一系統を示すのみであるが、双方を搭載する場合には、二系統の電極を同様に検出用カートリッジの全面に搭載してもよい。
電極の大きさは全て統一されており、例えば3.5mm×8.4mm×0.5mmが挙げられ、電極表面とシート材11表面が面一となるように、各電極がシート材11の凹部にそれぞれ収められている。
シート材12には、上述したポート22に対応して、溶液、試薬等を導入/排出するための貫通孔が形成されている。また、シート材11との対向面には、吸着担体27を配置するための貯留部26用の凹部、外部ポート23に対応する貫通孔に連結して、各電極31、32を活性化するための電解質溶液を収容する電極室流路30を構成する凹部が形成されている。また、外部ポート25に対応する貫通孔に連結して、参照極33を活性化するための電解質溶液を収容する参照極室流路34を構成する凹部が形成されている。シート材12における、後述するシート材13との対向面には、上述したポート23に対応する空気孔28に連結して、例えばフィルター36を収容するための凹部が形成されている。
シート材13には、上述した外部ポート21及び貯留部26用の凹部に対応して貯留部流路20を構成する凹部が形成されており、シート材12におけるフィルター36を収容するための凹部に連結するポート28を構成する貫通孔が形成されている。
このように構成される検出用カートリッジ10は、通常、図3〜図5に示すような分析ホルダ40を構成する本体40a及び蓋体40bに液密に組み込んで分析に付される。
分析ホルダ40は、その本体40aに、検出用カートリッジ10の各外部ポート21〜25のそれぞれに接続するポート21a〜25aを有し、これらのポート21a〜25aに連結される流路(それぞれ、溶離液供給流路41、接続流路42、電解液供給流路43、廃液用流路44、参照極用溶液供給流路45)が形成されている。なお、各流路(溶離液供給流路41、電解液供給流路43、廃液用流路44、参照極用溶液供給流路45)は、分析ホルダ40の本体40a内を通って、それぞれ分析ホルダ40の外部にいたる外部ポート21aa、23aa、24aa、25aaに接続されている。
これらの外部ポート21aa、23aa、25aaには、直接又は適当なジョイントを介して、例えば、溶離液(電解液を兼ねた)又は電解液(参照極用)等を充填したシリンジを直接挿入することができるし、特に外部ポート21aaには、送液手段(例えば、図3に示したシリンジポンプ55)を接続することができる。
分析ホルダ40の蓋体40bは、検出用カートリッジ10に配置された各電極31、32、33に接続される端子37を備えている。
このような検出用カートリッジ10は、まず、図9に示した、インジェクションホルダ60を利用することにより、予め被検液を導入し、貯留部26における吸着担体27内に被検物質をトラップさせておく。
続く分析は、例えば、図8に示すように、検出用カートリッジ10がセットされた上述した分析ホルダ40に、電子基盤ユニット50と、シリンジポンプ55とがセットされて、行われる。
電子基盤ユニット50は、表示部52c、操作ボタンなどのユーザインタフェース、CPU52a等を兼ね備えたコンピュータを利用して実現される同期部52と、少なくとも制御部51aを含む電子基盤51とを備えている。これら同期部52及び電子基盤51は、電源供給のためにバッテリー等に接続されている。
なお、これらの電子基盤ユニット50を構成する各コンポーネントは、それ自体、いずれも周知のものが利用される。また、電子基盤ユニット50、それに搭載されるコンポーネント等の構成は、使用する検出用カートリッジの構成、特性、機能等に対応するように、流路、ポートが確保されるとともに、それらの作動を実現するために、適宜変更することができる。
(測定例)
以下に、検出用カートリッジ10を用いて、被検物質を測定する操作を行った。
なお、検出用カートリッジの構成は、
吸着担体:3M社製エムポア(アニオン用フィルター)、
作用極:金電極(シリコンウェハへの金のスパッタリングにより作成)
対極:カーボン電極(三菱鉛筆社製PFCE)
参照極:Ag/AgCl電極(Ag、AgCl混合ポリエステル系樹脂を塗布して作成)
を用いた。
まず、図1〜図3に示す検出用カートリッジ10を準備し、検出用カートリッジ10を上述したインジェクションホルダ60にセットし、吸着担体の前処理を行った。この前処理は、50%メタノール溶液、1M−NaOH溶液をこの順で通液した。
次に、外部ポート21から被検液(10ppbの砒素溶液)10mlを注入し、吸着担体27を通過させて外部ポート22から排出させる。このとき、測定対象の砒素は、吸着担体に吸着により補足され、排出される溶液中には含まれない。
得られた検出用カートリッジ10を、上述した分析ホルダ40にセットし、検出用カートリッジ10の前処理を行った。この前処理は、検出用カートリッジ10内の参照極33の活性化のために、1.6−NaCl、10mM−クエン酸一水和物を含む溶液を分析ホルダ40の外部ポート25aaから、シリンジを用いて手動で注入し、参照極用溶液供給流路45、検出用カートリッジ10の外部ポート25、参照極室流路34、検出用カートリッジ10の外部ポート24、分析ホルダ40の廃液用流路44を通って、ポート24aから分析ホルダ40内の廃液溜49(図示せず)に排出する。
続いて、作用極31及び対極32に対して、溶離液と兼用する電解質溶液(1M−NaCl、0.53M−L−システイン一塩酸塩、1M−塩酸を含む)を、分析ホルダ40の外部ポート23aaから、シリンジを用いて手動で注入し、電解液供給流路43、検出用カートリッジ10の外部ポート23、電極室流路30、検出用カートリッジ10の外部ポート24、分析ホルダ40の廃液用流路44を通って、ポート24aから分析ホルダ40内の廃液溜49(図示せず)に排出する。
次いで、測定を開始する。
この測定は、アノーディックストリッピングボルタメトリ法;ASVを利用するものであり、測定をスタートさせるために、シリンジポンプでの溶離液の送液(つまり、ここでは定量送液ポンプの作動開始)と電極への電圧印加とを同時に開始し、プレーティングを、−0.4V溶離液の吐出を20μm/分の一定の流速で、5分間行った。
この間、溶離液は、分析ホルダ40内の外部ポート21aaから、定量送液ポンプを用いて自動的に注入し、溶離液供給流路41、検出用カートリッジ10の外部ポート21、貯留室流路20、貯留部26内の吸着担体27、検出用カートリッジ10の外部ポート22、分析ホルダ40の接続流路42を通って、再び検出用カートリッジ10の外部ポート23から導入され、電極室流路30、外部ポート24、分析ホルダ40の流路44を通って、ポート24aから分析ホルダ40内の廃液溜49(図示せず)に排出する。
この際、溶離液が吸着担体を通過すると吸着担体に捕捉されていた砒素が離脱して溶離液中に移動し、溶離液の流れに伴って電極近傍に達する。このとき作用極31には砒素を析出するための電位(−0.4V)が印加されているため、電極近傍では砒素の還元反応が起こり、作用極31上に析出する。
溶離液の流入及び析出電位の印加は5分間行う。
その後、電位の挿引を開始する。挿引の条件は以下の通りである。
挿引の方式:LSV(linear sweeping voltammetry)
析出電位:−0.4V
析出時間:5分
掃引速度:0.4V/秒
掃引開始電位:−0.4V
掃引終了電位:0.8V
これらの制御は、電子基盤ユニット50、特に電子基盤によって、プログラム通りに実行される。
上記の操作を行った際の電位−電流曲線を作成したところ、0.3V付近に砒素のピークが得られ、ピーク面積から求めた濃度は10ppbであった。
また、連続して10枚の検出用カートリッジを同様に測定してピーク面積を比較したところ、CV値10%以内の安定した結果を得た。
本発明の電気化学分析システムは、所定の流路を確保することができるものであれば、このシステム自体の構成にかかわらず、いずれの態様の検出装置、検出方法においても広範に利用することができる。
本発明のこの態様による電気化学分析システムは、特に、土壌や泥濘などに含まれる重金属の検出に好適に使用できる。
本発明の電気化学分析システムを構成する検出用カートリッジの斜視図である。 本発明の電気化学分析システムを構成する検出用カートリッジの分解図である。 検出用カートリッジにおける液流を説明するための検出用カートリッジ及び分析ホルダの断面図である。 検出用カートリッジと分析ホルダとの組み合わせ構造を分解して示す斜視図である。 図4の分析ホルダの裏面を示す斜視図である。 本発明の電気化学分析システムを構成する別の検出用カートリッジの分解図である。 検出用カートリッジにおける液流を説明するための別の検出用カートリッジ及び分析ホルダの断面図である。 本発明の電気化学分析システムの構成を説明するための概略ブロック図である。 検出用カートリッジとインジェクションホルダとの組み合わせ構造を分解して示す斜視図である。
符号の説明
10、70 検出用カートリッジ
11、12、13、11a、12a、13a、14a シート材
15、16、15a、16a、17a 接着剤層
20 貯留部流路
21〜25、71〜74 外部ポート
21a〜25a ポート
21aa、23aa、24aa、25aa 外部ポート
26 貯留部
27 吸着担体
28 ポート
30 電極室流路
31 作用極
32 対極
33 参照極
34 参照極室流路
36 フィルター
37 端子
38、39、49 廃液溜
40、70 分析ホルダ
40a 本体
40b 蓋体
41、81 溶離液供給流路
42 接続流路
43、82 電解液供給流路
77、流路
44、83 廃液用流路
45、84 参照極用溶液供給流路
50 電子基盤ユニット
51 電子基盤
51a 制御部
52 同期部
52a CPU
52b 記憶部
52c 表示部
55 シリンジポンプ
60 インジェクションホルダ
60a 本体
60b 蓋体
62 シリンジ
63 ジョイント
64 貫通孔

Claims (4)

  1. 被検出物質を含む被検液を、貯留部を通過させることによって該貯留部に前記被検出物質を一時的に貯留する貯留ステップ、
    一時的に貯留された被検出物質を溶離させる溶離液を前記貯留部に供給することによって前記被検出物質を溶離させて前記貯留部の下流に設けられた検出用電極に送りながら電気化学分析を行う検出ステップ
    の2ステップからなる分析を行うための電気化学分析システムであって、
    (A)第1及び第2の外部ポートを備え、これら第1及び第2の外部ポート間に、前記被検出物質を一時的に貯留する貯留部が配置された貯留部流路と、該貯留部流路と独立して形成された前記検出用電極が配置された電極室流路と、第3の外部ポートと、一端が第3の外部ポートに、他端が前記電極室流路に接続され、参照極が配置された参照極室流路と、前記電極室流路の下流に廃液ポートを有する検出用カートリッジと、
    (B)該検出用カートリッジを着脱自在に収容し、前記検出用カートリッジの設置時に、
    前記貯留部流路の前記第1の外部ポートを送液手段に接続するための溶離液供給流路、前記第2の外部ポートを前記電極室流路に接続する接続流路、前記参照極室流路に溶液を供給する参照極用溶液供給流路、前記検出用カートリッジの第2の外部ポートに接続し、電極室流路に溶液を供給する電解液供給流路及び前記検出用電極を電子基盤ユニットに接続するための端子を備える分析ホルダと、
    (C)該分析ホルダの端子を介して検出用電極に接続し、電気制御計測を行う電子基盤ユニットと、
    (D)該溶離液供給流路に接続された定量送液手段と、
    (E)前記電子基盤ユニットの制御および計測と、外部の送液手段の送液との同期を促す表示を行う表示手段と
    を備えることを特徴とする電気化学分析システム。
  2. 請求項に記載のシステムにおける電子基盤ユニットの制御および計測を行い、得られた計測結果を処理及び表示するプログラムであって、前記電子基盤ユニットの制御および計測と外部の送液手段の送液との同期を促す表示を行うことを特徴とするプログラム。
  3. 請求項に記載のシステムを用いて電子基盤ユニットの制御および計測を行う際、外部の送液手段の送液を、前記制御及び計測と同期して行うことを特徴とする電気化学分析方法。
  4. 請求項に記載のシステムを用いて被検物質を分析する方法であって、
    前記貯留部に予め被検物質がトラップされた検出用カートリッジを分析ホルダにセットし、
    前記電子基盤ユニットによって、貯留部上流から電極室流路への溶離液の送液と、電極への通電とを同期させて、前記被検物質に起因する電気信号を生成し、計測することを特徴とする電気化学分析方法。
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