JP5142640B2 - 圧力測定用材料 - Google Patents
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<1> 電子供与性無色染料前駆体と電子受容性化合物との発色反応を利用した圧力測定用材料であって、電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する発色剤層が基材上に設けられた第1の材料と、電子受容性化合物を含有する顕色剤層が基材上に設けられた第2の材料と、を含み、前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径Dに対する、前記マイクロカプセルの数平均壁厚δの比(δ/D)が、1.0×10−3以上2.0×10−2以下であって、前記顕色剤層の表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上1.1μm以下である圧力測定用材料。
<2> 0.05MPaでの加圧前後における発色濃度差ΔDが0.02以上であることを特徴とする前記<1>に記載の圧力測定用材料。
<3> 前記電子供与性無色染料前駆体がマイクロカプセルに内包されており、該マイクロカプセルの体積標準のメジアン径がAμmであるときに、(A+5)μm以上のマイクロカプセルが2cm×2cm当たり5000〜30000個存在することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の圧力測定用材料。
<4> 前記電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルの体積標準のメジアン径(Aμm)が10〜40μmであることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の圧力測定用材料。
(圧力測定用材料の構成)
本発明の圧力測定用材料は、電子供与性無色染料前駆体(以下、「発色剤」ともいう)および、好ましくは溶媒を内包したマイクロカプセルを含有する層と、前記電子供与性無色染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物(以下、「顕色剤」ともいう)を含有する層とを、それぞれ別個の基材に設けて(好ましくは塗工して)構成したものである。
本発明の圧力測定用材料においては、電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する発色剤層を基材上に塗工等して設けた第1の材料と、電子受容性化合物を含有する層を第1の材料とは別の基材上に塗工等して設けた第2の材料とから構成されることにより、その保存性や取扱い性が良好になる。
1.0×10−3 ≦ δ/D ≦ 2.0×10−2 ・・・式1
δ/D値が前記範囲内であると、カプセルサイズとカプセル壁の厚みとのバランスが良く、薄すぎて経時でカプセルの中身が漏れる等がなく、低圧領域(好ましくは0.1MPa未満の圧力領域)で良好な発色を得ることができる。
また、δ/D値が1.0×10−3未満であると、わずかな擦れであってもカプセルが破壊されてしまい、圧力測定時に良好な発色が得られなくなる。
また壁厚とは、マイクロカプセルのカプセル粒を形成する樹脂膜(いわゆるカプセル壁)の厚みをいい、数平均壁厚(μm)とは、5個のマイクロカプセルの個々のカプセル壁の厚みを走査型電子顕微鏡により求めて平均した平均値をいう。
本発明において、前記顕色剤層の表面の算術平均粗さRaは1.1μm以下であるが、擦れによる発色抑制と製造適性の観点から、0.1μm以上1.1μm以下である。
尚、顕色剤層の表面の算術平均粗さRaは、JIS−B−0601に準じて測定されるものである。具体的には市販のレーザー顕微鏡を用いて常法により測定することができる。
本発明の圧力測定用材料を構成する基材は、シート状、フィルム状、板状等のいずれであってもよく、具体的な例として、紙、プラスチィックフィルム、合成紙等が挙げられる。
また、前記合成紙の具体例としては、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等を二軸延伸してミクロボイドを多数形成したもの(ユポ等)や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどの合成繊維からなるもの、これらを紙の一部、一面、両面に積層したものなどが挙げられる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、加圧によって生じる発色濃度をより高くする点で、プラスチックフィルム、合成紙が好ましく、プラスチックフィルムがより好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
本発明の圧力測定用材料の発色剤層に含有されるマイクロカプセルは、電子供与性無色染料前駆体の少なくとも一種を内包する。
マイクロカプセルに内包される電子供与性無色染料前駆体は、感圧複写紙あるいは感熱記録紙の用途において公知のものを使用することができる。例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物を使用することができる。
これら化合物の詳細については、特開平5−257272号公報に記載されており、電子供与性無色染料前駆体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
2種以上の電子供与性無色染料前駆体を用いる場合、εがそれぞれ10000 mol−1・cm−1・L以上のものを2種以上併用するのが好ましい。
モル吸光係数(ε)= C/(A×B)
本発明におけるマイクロカプセルは、電子供与性無色染料前駆体と共に溶媒の少なくとも一種を内包することができる。
マイクロカプセルに内包される溶媒としては、感圧複写紙用途において公知のものを使用することができる。例えば、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン類、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアリールアルカン類、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル類、その他トリアリールメタン類、アルキルベンゼン類、ベンジルナフタレン類、ジアリールアルキレン類、アリールインダン類等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油等、鉱物油等の天然物高沸点留分等が挙げられる。溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルは、それ自体公知の任意の方法、例えば、界面重合法、内部重合法、相分離法、外部重合法、コアセルベーション法等の方法により製造することができる。
電子供与性無色染料前駆体を内包する、ポリウレタン・ウレア壁のマイクロカプセルの分散液の調製は、感圧複写紙用途において公知の方法を使用することができる。例えば、電子供与性無色染料前駆体と多価イソシアネートとを溶媒に溶解した溶液(油相)を、水溶性高分子(ポリオール、ポリアミンなどのカプセル壁形成用物質)を含有する親水性溶液(例えば水など;水相)に乳化分散させ、得られた乳化分散液中の油滴をポリウレタン・ウレアで被覆してマイクロカプセル化する方法が挙げられる。このとき、加温することによって油滴界面で高分子形成反応が進み、マイクロカプセル壁を形成できる。
マイクロカプセルは上記のように分散液として得ることができるが、このマイクロカプセルの分散液は、そのまま電子供与性無色染料前駆体を含有する発色剤層を形成するための調製液(特に塗布液)としてもよい。また、上記のように得られたマイクロカプセルの分散液に更に、澱粉又は澱粉誘導体の微粉末、セルロース繊維粉末等の緩衝剤、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子結着剤、酢酸ビニル系、アクリル系、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス等の疎水性高分子結着剤、蛍光増白剤、消泡剤、浸透剤、紫外線吸収剤、防腐剤を添加して調製液(特に塗布液)としてもよい。
このようにして得られた調製液(特に塗布液)を、基材の上に塗工等して付与し、乾燥させることにより、圧力測定用材料を構成する発色剤層を形成することができる。
本発明の圧力測定用材料における第2の材料を構成する顕色剤層は、電子受容性化合物(顕色剤)の少なくとも1種を含有する。
本発明の顕色剤層に含有される電子受容性化合物としては、無機化合物と有機化合物を挙げることができる。無機化合物の具体例としては、酸性白土、活性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、ベントナイト、カオリンのような粘土物質等を挙げることができる。また、有機化合物としては、芳香族カルボン酸の金属塩、フェノールホルムアルデヒド樹脂、カルボキシ変性テルペンフェノール樹脂の金属塩等を挙げることができる。
顕色剤分散液は、電子受容性化合物が上記の無機化合物である場合、無機化合物を機械的に水系で分散処理することにより調製することができ、また、電子受容性化合物が有機化合物である場合、有機化合物を機械的に水系で分散処理するか、又は有機溶媒に溶解することにより調製することができる。
詳細は、特開平8−207435号公報に記載された方法を参照することができる。
上記のようにして調製された電子受容性化合物分散液は、そのまま電子受容性化合物を含有する顕色剤層を形成するための調製液(特に塗布液)としてもよい。
本発明においては、顕色剤層を形成するための調製液(特に塗布液)にバインダーを含有することが好ましい。含有するバインダーの種類と含有量とを適宜調整することで、顕色剤層表面の算術平均粗さRaを所望の範囲とすることができる。
10〜23質量%含むことが好ましく、電子受容性化合物として芳香族カルボン酸の金属塩を含み、かつ、バインダーを全固形分に対して10〜20質量%含むことがより好ましい。
1−フェニル−1−キシリルエタン(新日本石油(株)製、ハイゾールSAS296)70部に、電子供与性無色染料前駆体として下記化合物(A)9部を溶解し、溶液Aを得た。次に、メチルエチルケトン1部に溶解したエチレンジアミンのブチレンオキシド付加物0.4部を、攪拌している溶液Aに加えて溶液Bを得た。さらに、メチルエチルケトン1部に溶解したトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物2部を、攪拌している溶液Bに加えて溶液Cを得た。そして、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)6部を溶解した溶液中に上記の溶液Cを加えて、乳化分散した。乳化分散後の乳化液に水300部を加え、攪拌しながら70℃まで加温し、1時間攪拌後冷却した。水を加えて濃度を調整し、固形分濃度18%の電子供与性無色染料前駆体内包マイクロカプセル液(A)を得た。
上記より得たマイクロカプセル液(A)を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの上に、乾燥後の質量が3.0g/m2となるように、バーコーターにより塗布、乾燥させて発色剤層を形成し、電子供与性無色染料前駆体シート(1)を得た。
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸亜鉛10部、炭酸カルシウム100部、ヘキサメタリン酸ナトリウム1部及び水200部を、サンドグラインダーを用いて平均粒子径が2μmになるように分散させて分散液を調製した。次いでこの分散液に、ポリビニルアルコールの10%水溶液100部及びスチレン−ブタジエンラテックスを固形分として10部、水450部を添加して電子受容性顕色剤含有塗布液を調製した。厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの上に、電子受容性顕色剤含有塗布液を固形分塗布量が6g/m2になるように塗布、乾燥して顕色剤層を形成し、顕色剤シート(1)を得た。
以上のようにして、電子供与性無色染料前駆体シート(1)及び顕色剤シート(1)からなる2シートタイプの圧力測定用材料を作製した。
実施例1の顕色剤シートの作製において、ポリビニルアルコールの10%水溶液100部の代わりに、ポリビニルアルコールの10%水溶液60部を用いた以外は、実施例1と同様にして、顕色剤シート(2)を得た。
これにより、電子供与性無色染料前駆体シート(1)及び顕色剤シート(2)からなる2シートタイプの圧力測定用材料を作製した。
実施例1の顕色剤シートの作製において、ポリビニルアルコールの10%水溶液100部の代わりに、ポリビニルアルコールの10%水溶液140部を用いた以外は、実施例1と同様にして、顕色剤シート(3)を得た。
これにより、電子供与性無色染料前駆体シート(1)及び顕色剤シート(3)からなる2シートタイプの圧力測定用材料を作製した。
−顕色剤シートの作製−
硫酸処理活性白土100部に40%水酸化ナトリウム水溶液5部、水300部を加えてホモジナイザーで分散し、さらにカゼインのナトリウム塩の10%水溶液50部、スチレン−ブタジエンラテックスを固形分換算量で30部を添加して電子受容性顕色剤含有塗布液を調製した。厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートシートの上に、電子受容性顕色剤含有塗布液を固形分塗布量が10g/m2になるように塗布して、顕色剤シート(4)を得た。
これにより、電子供与性無色染料前駆体シート(1)及び顕色剤シート(4)からなる2シートタイプの圧力測定用材料を作製した。
実施例1の顕色剤シートの作製において、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの代わりに、50g/m2の上質紙を用いた以外は実施例1と同様にして、顕色剤シート(5)を得た。
これにより、電子供与性無色染料前駆体シート(1)及び顕色剤シート(5)からなる2シートタイプの圧力測定用材料を作製した。
(算術平均表面粗さRaの測定)
JIS-B−0601に準じ、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8700)を用いて、上記で得られた顕色剤シートの顕色剤層表面の算術平均粗さRaを測定した。結果を表1に示した。
15cm×25cmの平滑なガラス板上に、10cm×20cmに裁断した顕色剤シートを、顕色剤層面を上にして(PETシートがガラス板に接触するようにして)固定した。その上に、5cm×5cmに裁断した電子供与性無色染料前駆体シートを、発色剤層面を下にして(発色剤層面と顕色剤層が接するようにして)重ねた。電子供与性無色染料前駆体シート上から0.001MPaの荷重をかけながら、電子供与性無色染料前駆体シートを3m/分の速度で5cm水平に移動させた。その後、重ね合わせた両シートを剥離し、濃度計RD−19(グレタグマクベス社製)を用いて、顕色剤シートに形成された発色部の濃度(DA)を測定した。また、これとは別に、未使用の顕色剤シートについて同様の方法で初期濃度(DB)を測定した。そして、濃度DAから初期濃度DBを減算し、発色濃度ΔDを求め、下記の評価基準にしたがって評価した。なお、「○」が実使用上許容できる範囲である。結果を表1に示した。
○(ΔD=0.00):擦れによる発色は認めらなかった。
△(0.00<ΔD≦0.01):擦れによる発色が僅かに認められた。
×(ΔD>0.01):擦れによる発色が明確に認められた。
得られた圧力測定用材料を5cm×5cmのサイズに裁断し、電子供与性無色染料前駆体シートと顕色剤シートとを、電子供与性無色染料前駆体シートの発色剤層の表面と顕色剤シートの顕色剤層の表面とが向き合うようにして重ね合わせ、重ね合わせた両シートを表面が平滑なガラス板2枚で挟み、その上に錘を乗せることによって0.05MPaの圧力で加圧し、発色させた。その後、重ね合わせた両シートを剥離し、濃度計RD−19(グレタグマクベス社製)を用いて、顕色剤シートに形成された発色部の濃度(DA)を測定した。また、これとは別に、未使用の顕色剤シートについて同様の方法で初期濃度(DB)を測定した。そして、濃度DAから初期濃度DBを減算し、発色濃度ΔDを求め、下記の評価基準にしたがって評価した。なお、「○」以上が実使用上許容できる範囲である。結果を表1に示した。
◎(ΔD>0.06):発色が明確に認められ、濃度は高かった。
○(0.03<ΔD≦0.06):発色が明確に認められた。
△(0.01≦ΔD≦0.03):発色が微かに認められた。
×(ΔD=0.0):発色は認めらなかった。
電子供与性無色染料前駆体シートの発色剤層の表面を光学顕微鏡で観察し、メジアン径A=20μmであるマイクロカプセルのうち直径25μm〔(A+5)μm〕以上のマイクロカプセルの2cm×2cm当たりの数を計測した。結果を表1に示した。
Claims (4)
- 電子供与性無色染料前駆体と電子受容性化合物との発色反応を利用した圧力測定用材料であって、
電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含有する発色剤層が基材上に設けられた第1の材料と、
電子受容性化合物を含有する顕色剤層が基材上に設けられた第2の材料と、
を含み、
前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径Dに対する、前記マイクロカプセルの数平均壁厚δの比(δ/D)が、1.0×10−3以上2.0×10−2以下であって、
前記顕色剤層の表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上1.1μm以下である圧力測定用材料。 - 0.05MPaでの加圧前後における発色濃度差ΔDが0.02以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧力測定用材料。
- 前記電子供与性無色染料前駆体がマイクロカプセルに内包されており、該マイクロカプセルの体積標準のメジアン径がAμmであるときに、(A+5)μm以上のマイクロカプセルが2cm×2cm当たり5000〜30000個存在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力測定用材料。
- 前記電子供与性無色染料前駆体を内包するマイクロカプセルの体積標準のメジアン径(Aμm)が10〜40μmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧力測定用材料。
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