JP6608121B2 - 圧力測定用材料、圧力測定用材料セット、圧力測定方法、及び圧力測定用液体セット - Google Patents
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Description
即ち、ローラ間の圧力調整などの場面において、ローラ間の被圧部位に圧力測定フィルムを挟み込んで圧力を与え、被圧部位から圧力測定フィルムを取り出し、取り出した圧力測定フィルムの発色の度合いから圧力の均一性を視覚的に判断することができる。
このように、締付け用の部材自体が邪魔して被圧部位を観察することができない場合に、被圧部位の圧力ないし圧力分布を把握する手段が求められている。
また、例えば、特開2009−19949号公報には、2枚の平座金の間に発色剤を封入してマイクロカプセル化した粒体が配合された表示部が介在した締付表示体が開示されており、表示部が外部から目視可能にはみ出すはみ出し部を形成して、ねじの締付を目視により確認できることが記載されている。
上記の通り、特開2009−19949号公報には、締付表示体の表示部によってねじの締付が目視で確認できることが記載されているが、表示部についての詳細がなく、単に感圧フィルムなどを用いてもよいと記載されているに留まる。上記したように、従来の圧力測定フィルムの発色剤層には、色が滲まない設計が施されていることが通例であり、特開2009−19949号公報のように、単に例えばボルトより大サイズの表示部を設けても、圧力が直接与えられないボルトの外側の領域での発色は期待できない。したがって、特開2009−19949号公報に記載の締付表示体では、圧力の度合いに応じた色濃度又は色相を得ることはできず、ひいては圧力分布の表示も不可能である。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、被圧部位を視認し得ない使用態様における圧力又は圧力分布が視覚的に捉えられる圧力測定用材料、圧力測定用材料セット、圧力測定方法、及び圧力測定用液体セットを提供することにある。
<1> 支持体と、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層と、支持体と発色剤層との間に配置され、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層と、を有し、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料である。
<2> 顕色剤層は、空隙量が1ml/m2〜10ml/m2である<1>に記載の圧力測定用材料である。
<3> 発色剤層は、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルの含有量が、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分に対して40質量%以上である<1>又は<2>に記載の圧力測定用材料である。
<4> 顕色剤層は、電子受容性化合物の含有量が、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分に対して、10質量%〜50質量%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の圧力測定用材料である。
<5> 電子受容性化合物の平均一次粒子径が10μm以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の圧力測定用材料である。
<7> 水溶性高分子化合物の含有量が、顕色剤層の全固形分に対して、20質量%以上である<6>に記載の圧力測定用材料である。
<8> 発色剤層は、更に、顕色剤層の表面に対する接触角が30°以下であるオイル成分を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の圧力測定用材料である。
<9> 電子供与性染料前駆体を含む発色剤層を有する発色材料と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層を有する顕色材料と、を含み、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料セットである。
<10> 顕色剤層は、空隙量が1ml/m2〜10ml/m2である<9>に記載の圧力測定用材料セットである。
<11> 発色剤層は、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルの含有量が、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分に対して50質量%以上である<9>又は<10>に記載の圧力測定用材料セットである。
被圧部位における、発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計の付与量に対する、発色剤層用液体の付与量の比率が、質量基準で0.5を超え0.8以下であり、
発色させる顕色剤層及び発色剤層は、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が5mmを越えて10mm以下である、圧力測定方法である。
<13> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の圧力測定用材料又は<9>〜<11>のいずれか1つに記載の圧力測定用材料セットを被圧部位に配置し、顕色剤層及び発色剤層に対して圧力を与えて発色させる工程を有する、圧力測定方法である。
<14> 被圧部位の材質が、金属又は樹脂である<12>又は<13>に記載の圧力測定方法である。
<15> 電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体と、を含み、圧力測定に使用される発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計量に対する、発色剤層用液体の量の比率が、質量基準で0.5を超え0.8以下である、圧力測定用液体セットである。
本開示の圧力測定用材料は、支持体上に、支持体側から順次、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層と、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層と、を有する。そして、本開示の圧力測定用材料は、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下の範囲とされている。
ねじ等の固定部材における締付けの確認を行う場合に、ねじ等を締付けた後に圧力の度合いを確認するためにねじを緩めることは、締付け作業が再度発生するだけでなく、締付けたねじ等が良好に締付けられていることを直接的に確認することができない。
具体的には、圧力測定用材料(具体的には発色剤層及び顕色剤層)に対し、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合に、発色する発色部の直径を5mmを越えて10mm以下の範囲として発色させる。つまり、加圧されて発色する際、被圧部位での発色が周囲に滲み出し、発色部が被圧部位の面積より大きくなることで、被圧部位から外れた領域(例えばボルトによる締付領域の外周部)において圧力に応じた色濃度又は色相を捉えることができる。また、発色部の色濃度の変化又は色相の変化によって圧力分布を把握することも可能である。
ここで、発色部の「直径」としたのは、端子の先端形状が直径5mmの円形であるとした場合に、直径5mmの円形に対して、放射状に発色部が滲んで大きくなって同心円形になることを想定したものである。したがって、「先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が5mmを越えて10mm以下」であることは、発色部位の大きさ(即ち面積)が、被圧部位の大きさ(即ち面積)に対し、等倍を超えて4倍以下となることを意味する。つまり、被圧部位の形状が円形でない場合、発色部は、被圧部位の大きさ(即ち面積)に対して等倍を超えて4倍以下の範囲で形成される。
発色部の直径が5mmを越えると、発色部の面積拡大が期待できない従来の材料に比べ、被圧部位より面積の大きい発色部が得られ、ねじ等の固定部材のように締付けられる被圧部位が視認し得ない場合の圧力の度合い又は圧力分布を測定するのに適している。特に被圧部位から外れた領域(例えばボルトによる締付領域の外周部)において圧力に応じた色濃度又は色相変化を捉えることができる。
また、発色部の直径が10mm以下であることで、滲み出た色素が多くなり過ぎて垂れる等して測定対象を汚染する虞が少ない。
上記圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径としては、6mm〜10mmが好ましい。更に、発色部の直径は、発色部の視認性の観点からは、7.5mm〜10mmがより好ましく、発色部の視認性が高く、かつ、外観を損なわない観点からは、7.5mm〜9.0mmがより好ましい。
−発色剤層−
本開示の圧力測定用材料は、支持体上に形成された顕色剤層の上に発色剤層を有する。
発色剤層は、少なくとも電子供与性染料前駆体を含有し、必要に応じて、更に他の成分を含んでもよい。
電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されることで、圧力に対応してマイクロカプセルから放出される電子供与性染料前駆体の量が調節され、電子受容性化合物との反応量の変化に起因して発色部の色濃度又は発色分布の変化を良好に発現させることができる。
マイクロカプセルの平均一次粒子径は、発色剤層形成用の発色剤層用液体に対して、レーザ回折散乱法により測定される値であり、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定される。
マイクロカプセルの発色剤層中における含有量としては、5.0g/m2〜50.0g/m2が好ましく、10.0g/m2〜40.0g/m2がより好ましい。
また、発色剤層形成用の発色剤層用液体を塗布して発色剤層を形成する場合、塗布は、公知の塗布法により行うことができ、後述の顕色剤層用液体に使用可能な塗布法と同様である。
マイクロカプセルの含有量としては、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分質量に対して、40質量%〜80質量%がより好ましく、50質量%〜75質量%が更に好ましい。マイクロカプセルの含有量が80質量%以下であると、発色能力の点で有利である。
発色剤層は、電子供与性染料前駆体の少なくとも一種を含み、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセルに内包して含むことが好ましい。
電子供与性染料前駆体は、感圧複写紙あるいは感熱記録紙の用途において公知のものを使用することができる。電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物を使用することができる。
上記の化合物の詳細については、特開平5−257272号公報の記載を参照することができる。
電子供与性染料前駆体は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
2種以上の電子供与性染料前駆体を用いる場合、モル吸光係数εがそれぞれ10000mol−1・cm−1・L以上のものを2種以上併用するのが好ましい。
モル吸光係数ε= C/(A×B)
発色剤層は、更に、顕色剤層の表面に対する接触角が30°以下であるオイル成分を含むことが好ましい。また、発色剤層は、オイル成分をマイクロカプセルに内包して含むことが好ましい。
顕色剤層の表面に対する接触角としては、上記と同様の理由から、低いほど好ましく、25°以下がより好ましい。接触角の下限値は、5°以上が好ましい。
溶媒としては、感圧複写紙用途において公知のものを使用することができ、例えば、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系化合物、1−フェニル−1−キシリルエタン、1−フェニル−1−エチルフェニルエタン等のジアリールアルカン系化合物、イソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油等、鉱物油等の天然物高沸点留分等が挙げられる。
オイル成分をマイクロカプセルに内包させる場合、マイクロカプセルに内包される、オイル成分(好ましくは溶媒)と電子供与性染料前駆体との質量比(オイル成分:前駆体)としては、発色性の点で、98:2〜30:70の範囲が好ましく、97:3〜40:60の範囲がより好ましく、95:5〜50:50の範囲が更に好ましい。
発色剤層は、必要に応じて、補助溶媒をマイクロカプセルに内包して含んでもよい。
補助溶媒としては、沸点が50℃以下である溶媒が挙げられ、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチルなどのエステル系化合物、イソプロピルアルコール等のアルコール系化合物等が含まれる。
発色剤層は、電子供与性染料前駆体、オイル成分及び補助溶媒に加え、必要に応じて、更に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、水溶性高分子結着剤、疎水性高分子結着剤、界面活性剤、無機粒子(例えばシリカ粒子)、蛍光増白剤、消泡剤、浸透剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、臭気抑制剤、及び防腐剤等などを挙げることができる。
上記の添加剤は、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルに内包されてもよい。
シリカ粒子としては、例えば、気相法シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。上市されている市販品としては、例えば、日産化学(株)のスノーテックスシリーズ(例えばスノーテックス(登録商標)30)等を用いることができる。
発色剤層の厚み(マイクロカプセル径が層厚より大きい場合は層表面から露出したマイクロカプセルを除く厚み)は、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜40μmがより好ましい。
本開示の圧力測定用材料は、支持体上(即ち、支持体と上記発色剤層との間)に顕色剤層を有する。
顕色剤層は、少なくとも顕色剤である電子受容性化合物を含み、好ましくは水溶性高分子化合物を含み、必要に応じて、更に、水溶性高分子化合物以外のバインダー、顔料、及び添加剤等の他の成分を含んでもよい。
顕色剤層の空隙量が1ml/m2以上であると、被圧部位に対して発色部の色が拡がり(にじみ)過ぎず、被圧部位に対し適切な範囲に色の拡がり(にじみ)を発現させることができる。また、顕色剤層の空隙量が10ml/m2以下であることで、被圧部位に対する発色部の色の拡がり(にじみ)が適切な範囲に発現する。
顕色剤層の空隙量としては、2ml/m2〜8ml/m2がより好ましく、3ml/m2〜6ml/m2が更に好ましい。
顕色剤層を形成したPETフィルムを10cm×10cmに裁断し、質量(m1)を測定する。続いて、PETフィルム上の顕色剤層にジエチレングリコールを浸透させ、表面に残ったジエチレングリコールを拭き取った後、質量(m2)を測定する。そして、X=m2−m1とすると、下記式から空隙量が求められる。なお、ジエチレングリコールの密度は、1.118である。
空隙量(ml/m2)= 100×X÷1.118
顕色剤層は、電子受容性化合物の少なくとも一種を含む。
電子受容性化合物としては、無機化合物及び有機化合物を挙げることができる。
無機化合物の具体例としては、酸性白土、活性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、ベントナイト、カオリンのような粘土物質等が挙げられる。
有機化合物の具体例としては、芳香族カルボン酸の金属塩、フェノールホルムアルデヒド樹脂、カルボキシル化テンペルフェノール樹脂の金属塩等が挙げられる。
中でも、酸性白土、活性白土、ゼオライト、カオリン、芳香族カルボン酸の金属塩、カルボキシル化テンペルフェノール樹脂の金属塩が好ましく、酸性白土、活性白土、カオリン、芳香族カルボン酸の金属塩であることがより好ましい。
電子受容性化合物の含有量としては、上記と同様の理由から、10質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%が更に好ましい。
顕色剤層用液体は、電子受容性化合物を水等に分散した分散液でもよい。
電子受容性化合物を分散した分散液は、電子受容性化合物が無機化合物である場合は、無機化合物を機械的に水に分散処理させることにより調製することができる。また、電子受容性化合物が有機化合物である場合は、顕色剤層用液体は、有機化合物を機械的に水に分散処理するか、又は有機溶媒に溶解することにより調製することができる。
顕色剤層用液体の調製法の詳細については、特開平8−207435号公報に記載の方法を参照できる。
電子受容性化合物の平均一次粒子径としては、9μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましい。
また、電子受容性化合物の平均一次粒子径の下限は、0.1μm以上が好ましい。
電子受容性化合物の平均一次粒子径は、顕色剤層形成用の顕色剤層用液体に対して、レーザ回折散乱法により測定される値であり、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定される。
顕色剤層は、更に、水溶性高分子化合物を含むことが好ましい。顕色剤層が水溶性高分子化合物を含むことで、顕色剤層の空隙量をより低減することができる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等の各公報に記載されたものが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落0011〜0014に記載の化合物などが挙げられる。
水溶性高分子化合物の含有量が、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。水溶性高分子化合物の含有量が10質量%以上であると、顕色剤層の空隙量の低減に効果があり、空隙量を10ml/m2以下に調整しやすい。
水溶性高分子化合物の含有量としては、発色剤層及び顕色剤層の合計の全固形分に対して、22質量%〜40質量%が好ましい。
顕色剤層は、電子受容性化合物に加えて他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、バインダー、顔料、並びに蛍光増白剤、消泡剤、浸透剤、防腐剤等の添加剤等が挙げられる。
本開示の圧力測定用材料は、支持体を有している。
支持体は、シート状、フィルム状、又は板状等のいずれであってもよい。
支持体の具体的な例としては、紙、プラスチックフィルム、合成紙等が挙げられる。
プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム等を挙げることができる。
合成紙の具体例としては、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート等を二軸延伸してミクロボイドを多数形成したもの(ユポ等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成繊維を用いて作製したもの、これらを紙の一部、片面もしくは両面に積層したもの等が挙げられる。
中でも、加圧により生じる発色濃度をより高める観点から、支持体としては、プラスチックフィルム、合成紙が好ましく、プラスチックフィルムがより好ましい。
本開示の圧力測定用材料セットは、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層を有する発色材料と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層を有する顕色材料と、を含み、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下の範囲とされている。
本開示の圧力測定用材料セットは、発色材料及び顕色材料に加え、必要に応じて、他の材料を含んでいてもよい。
また、顕色材料は、支持体と、支持体上に配置され、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層と、を有する態様でもよい。
電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されることで、圧力に対応してマイクロカプセルから放出される電子供与性染料前駆体の量が調節され、電子受容性化合物との反応量の変化に起因して発色部の色濃度又は発色分布の変化を良好に発現させることができる。
マイクロカプセルの含有量としては、発色材料及び顕色材料の合計の全固形分質量に対して、40質量%〜80質量%がより好ましく、50質量%〜75質量%が更に好ましい。マイクロカプセルの含有量が80質量%以下であると、発色性の点で有利である。
顕色剤層の空隙量が1ml/m2以上であると、被圧部位に対して発色部の色が拡がり(にじみ)過ぎず、被圧部位に対し適切な範囲に色の拡がり(にじみ)を発現させることができる。また、顕色剤層の空隙量が10ml/m2以下であることで、被圧部位に対する発色部の色の拡がり(にじみ)が適切な範囲に発現する。
顕色剤層の空隙量としては、2ml/m2〜6ml/m2がより好ましく、3ml/m2〜6ml/m2が更に好ましい。
10cm×10cmに裁断した顕色材料の質量(m1)を測定する。次いで、ジエチレングリコールを顕色材料の顕色剤層に浸透させ、表面に残ったジエチレングリコールを拭き取った後、質量(m2)を測定する。そして、X=m2−m1とすると、下記式から空隙量が求められる。なお、ジエチレングリコールの密度は、1.118である。
空隙量(ml/m2)= 100×X÷1.118
上記圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径としては、6mm〜10mmが好ましい。更に、発色部の直径は、発色部の視認性の観点からは7.5mm〜10mmがより好ましく、発色部の視認性が高く、かつ、外観を損なわない観点からは7.5mm〜9.0mmがより好ましい。
次に、本開示の圧力測定方法について態様ごとに説明する。
本開示の第1の態様の圧力測定方法は、既述の、発色剤層を形成するための発色剤層用液体、及び顕色剤層を形成するための顕色剤層用液体を用いて測定する方法である。
即ち、第1の態様の圧力測定方法は、
2つの材料がそれぞれ有する被圧部位の一方に、電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体を付与し、顕色剤層を形成する工程(以下、「顕色剤層形成工程」ともいう。)と、顕色剤層の上又は被圧部位の他方に、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体を付与して発色剤層を形成する工程(以下、「発色剤層形成工程」ともいう。)と、被圧部位に形成された顕色剤層及び発色剤層に対して圧力を与えて発色させる工程(以下、「発色工程」ともいう。)と、を有し、
被圧部位における、発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計の付与量に対する、発色剤層用液体の付与量の比率を、質量基準で0.5を超え0.8以下とし、かつ、発色させる顕色剤層及び発色剤層は、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が5mmを越えて10mm以下の範囲とされている。
この場合、発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計の付与量に対する、顕色剤層用液体の付与量の比率は、0.2以上0.5未満の範囲となる。
発色剤層及び顕色剤層を形成するにあたり、発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計の付与量のうち、発色剤層用液体の付与量の比率を、顕色剤層用液体の付与量に対して多くすることで、圧力測定用材料又は圧力測定用材料セットの、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径を、5mmを越えて10mm以下の範囲に調整することができる。
被圧部位の材質としては、金属又は樹脂であることが好ましい。金属及び樹脂の種類については、特に制限はなく、所望とする材質を適宜選択すればよい。
また、例えば、金属製の材料(例えば、ねじで締付けられる金属板)の表面に顕色剤層用液体を付与(例えば塗布)して顕色剤層を形成し、形成された顕色剤層の上に更に発色剤層用液体を重ねて付与(例えば塗布)して発色剤層を積層し、ねじを締付けて発色剤層及び顕色剤層に圧力がかかると発色し、ボルトの外側に滲み出た発色部において、圧力の度合い及び圧力分布を測定することができる。
顕色剤層形成工程では、2つの材料がそれぞれ有する被圧部位の一方に、電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体を付与し、顕色剤層を形成する。
2つの材料がそれぞれ有する被圧部位の一方とは、互いに向かい合う位置関係にあって同じ圧力が与えられる2つの材料の片方の部材における被圧部位を指す。
電子受容性化合物を分散した分散液は、電子受容性化合物が無機化合物である場合は無機化合物を機械的に水に分散処理させることにより調製することができる。また、顕色剤層用液体は、電子受容性化合物が有機化合物である場合は、有機化合物を機械的に水に分散処理するか、又は有機溶媒に溶解することにより調製することができる。
顕色剤層用液体の調製法の詳細については、特開平8−207435号公報に記載の方法を参照できる。
公知の塗布法としては、例えば、エアーナイフコーター、ロッドコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコータ−、エクストルージョンコーター、ダイコーター、スライドビードコーター、ブレードコーター等を用いた塗布法を挙げることができる。
発色剤層形成工程では、顕色剤層の上又は被圧部位の他方に、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体を付与して発色剤層を形成する。
2つの材料がそれぞれ有する被圧部位の他方とは、互いに向かい合う位置関係にあって同じ圧力が与えられる2つの材料のうち、顕色剤層が形成されていない他の片方の部材における被圧部位を指す。
発色剤層に含有されるマイクロカプセルは、既述のように分散液として得てもよい。得られたマイクロカプセルの分散液は、そのまま電子供与性染料前駆体を含む発色剤層を形成するための発色剤層用液体としてもよい。
発色工程では、被圧部位に形成された顕色剤層及び発色剤層に対して圧力を与えて発色させる。
圧力の付与は、任意の方法により点、線、又は面で圧力(点圧、線圧、又は面圧等)を与えることにより行うことができる。
圧力は、視認性と圧力分布の確認のしやすさの観点から、1.0MPa〜100MPaの範囲で選択すればよい。
本開示の第2の態様の圧力測定方法は、圧力測定用材料又は圧力測定用材料セットを用いて測定する方法である。
即ち、本開示の第2の態様の圧力測定方法は、既述の圧力測定用材料又は既述の圧力測定用材料セットを被圧部位に配置し、顕色剤層及び発色剤層に対して圧力を与えて発色させる工程を有している。
被圧部位の材質には、特に制限はなく、金属又は樹脂であってもよい。金属及び樹脂の種類については、特に制限はなく、所望とする材質を適宜選択すればよい。
本開示の圧力測定用液体セットは、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体と、を含み、圧力測定に使用される発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の固形分合計量に対する、発色剤層用液体の固形分量の比率を、質量基準で0.5を超え0.8以下としたものである。
本開示の圧力測定液体セットは、発色剤層用液体と顕色剤層用液体とを別々に含むものであり、既述の本開示の第1の態様の圧力測定方法に好適である。
また、「圧力測定に使用される発色剤層用液体及び顕色剤層用液体の合計量に対する、発色剤層用液体の量の比率」についても、既述の通りである。
−顕色剤含有液の調製−
電子受容性化合物(顕色剤)である活性白土:シルトンF−242(水澤化学工業株式会社)100部に、40質量%水酸化ナトリウム水溶液5部及び水300部を加えてホモジナイザーで分散し、これに更にカゼインのナトリウム塩の10質量%水溶液(バインダー)50部及びスチレン−ブタジエンラテックス(スマーテックスSN−307R、日本エイアンドエル株式会社製、固形分量=48質量%;バインダー)30部を添加し、電子受容性化合物を含有する顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)を調製した。
顕色剤層用塗布液中に分散された電子受容性化合物の平均一次粒子径を粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、5μmであった。
ハイゾールSAS−296(日本石油株式会社製のオイル成分(溶媒);1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンの混合物)70部に、電子供与性染料前駆体として3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB2)9部を溶解し、溶液Aを得た。次に、メチルエチルケトン1部に溶解したエチレンジアミンのブチレンオキシド付加物0.4部を、攪拌している溶液Aに加えて溶液Bを得た。さらに、メチルエチルケトン1部に溶解したトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物2部を、攪拌している溶液Bに加えて溶液Cを得た。そして、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ)6部を溶解した溶液中に上記の溶液Cを加えて、乳化分散した。乳化分散後の乳化液に水300部を加え、攪拌しながら70℃まで加温し、1時間攪拌後冷却した。水を加えて濃度を調整し、固形分濃度18質量%の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(発色剤層用液体)を調製した。
また、マイクロカプセルの平均一次粒子径を粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、8.0μmであった。
上記より得た顕色剤層用塗布液を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に固形分塗布量を15g/m2としてバーコーターにより塗布し、顕色剤層を形成した。次いで、顕色剤層の上に重ねて、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を、固形分塗布量を35.0g/m2としてバーコーターにより塗布し、発色剤層を形成した。
このようにして、PETフィルム上に顕色剤層と発色剤層との2層が順次積層されたモノシートタイプの圧力測定用材料を作製した。
なお、顕色剤層及び発色剤層の塗布量は、それぞれ塗布前後での、20cm×20cmの質量を上皿天秤により測定して確認した。
電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液の調製に用いたオイル成分(ハイゾールSAS−296)の顕色剤層の表面での接触角は、以下のようにして測定した。
即ち、PETフィルム上に顕色剤層用塗布液を塗布し、乾燥させて形成された顕色剤層の表面に対し、オイル成分を1μL滴下して0.1秒経過した時点で動的接触角測定装置(FIBRO DAT 1100、Fibro社製)により測定した。以下に示す他の実施例及び比較例においても同様に測定した。
上記の圧力測定用材料を用いて、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
上記と同様にして顕色剤層を形成したPETフィルムを用意し、下記式から顕色剤層の空隙量を求めた。
顕色剤層を形成したPETフィルムを10cm×10cmに裁断し、質量(m1)を測定した。次いで、ジエチレングリコールを顕色剤層の表面にのせて浸透させ、表面に残ったジエチレングリコールを拭き取った後、質量(m2)を測定した。そして、X=m2−m1を算出し、下記式から空隙量を求めた。なお、ジエチレングリコールの密度は、1.118である。
空隙量(ml/m2)= 100×X÷1.118
プレスケール専用加圧器(FPLH、富士フイルム株式会社製)を用い、円形状の先端を有し、かつ、先端の直径が5mmである端子を、圧力測定用材料の発色剤層の表面にあて、50MPaの圧力で加圧して発色した発色部の直径をスケーラーで測定した。
ステンレス製の板材に設けられた円形の孔(直径10mm)の周りを囲むようにして、ドーナツ形状(内径8mm、外径26mm)に成形した圧力測定用材料を載置し、この圧力測定用材料の上に重ねて外径16mmのワッシャーを載せ、この状態のままボルトを孔に通して50MPaの圧力で締付けた。この際、圧力測定用材料は、ステンレス製の板材上に、PETフィルムが板材に接触するように載置した。
締付け作業の後、圧力測定用材料の発色部(ワッシャーよりはみ出した圧力測定用材料の部分)を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:発色部が1mを超える距離にある場所からでも十分に視認できる。
B:発色部が0.3m以上1m未満の距離離れた場所から視認することができる。
C:発色部が0.3m未満の距離まで接近しても視認することができない。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料を発色させ、発色部に対し、以下の評価基準にしたがって圧力分布の確認の可否を判定した。
<評価基準>
可 :5mm径の端子で10MPa及び50MPaの圧力で加圧した際、発色径又は発色濃度の差が確認できる。
不可:5mm径の端子で10MPa及び50MPaの圧力で加圧した際、発色径又は発色濃度の差が確認できない。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料を発色させ、発色部における呈色安定性を以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:圧力測定用材料の発色部を25℃の流水で10秒間洗浄しても発色履歴が確認できた。
B:圧力測定用材料の発色部を25℃の流水で10秒間洗浄すると、発色履歴が例えば流される等で確認できなくなった。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料を発色させ、測定対象物であるステンレス製の板材及びボルトと圧力測定用材料との接触部分における汚れの程度を以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:測定対象物において、圧力測定用材料との接触部分に発色由来の汚れがない。
B:測定対象物において、圧力測定用材料との接触部分に極僅かに発色が付着する。
C:測定対象物において、圧力測定用材料との接触部分に明らかに発色由来の汚れが確認できる。
実施例1において、発色剤層及び顕色剤層に対して下記表1及び表2に示す変更を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、圧力測定用材料を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
実施例1において、ガラス基板(ダミーガラス基板、アズワン社製)の上に、実施例1と同様にして調製した顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)を、固形分塗布量を15g/m2としてバーコーターにより塗布し、顕色剤層を形成した。その後、顕色剤層の上に更に、実施例1と同様にして調製した電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を、固形分塗布量を35.0g/m2としてバーコーターにより塗布し、乾燥させて発色剤層を形成した。
以上のように、本実施例では、圧力測定用材料又は圧力測定用材料セット(発色材料及び顕色材料)を用いず、ガラス基板上に直接、顕色剤層用塗布液及び電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を塗布することによって顕色剤層と発色剤層とを付設した。ガラス基板上に付設された顕色剤層及び発色剤層は、圧力測定用材料として機能するものである。
顕色剤層及び発色剤層が付設されたガラス基板に対して、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
上記と同様にして顕色剤層のみが付設されたガラス基板を用意し、下記式から顕色剤層の空隙量を求めた。なお、顕色剤層の層厚には上記の値を用い、空隙量は上記と同様の方法で求めた。
空隙量(ml/m2)= 100×X÷1.118
上記「2a.発色部の直径」において、圧力測定用材料を、顕色剤層及び発色剤層が付設されたガラス基板に代えたこと以外は、同様にして測定した。
上記「3a.視認性」において、圧力測定材料とステンレス製の板材を、顕色剤層及び発色剤層が付設された上記ガラス基板に代えたこと以外は、同様にして測定した。
上記「3a.視認性」と同様にして発色させた発色部に対して、上記「4a.圧力分布の確認可否」と同じ評価基準にしたがって圧力分布の確認の可否を判定した。
上記「3a.視認性」と同様にして発色させた発色部における呈色安定性を、上記「5a.呈色安定性」と同じ評価基準にしたがって評価した。
上記「3a.視認性」と同様にして発色させ、ガラス基板と発色剤層及び顕色剤層との接触部分における汚れの程度を、上記「6a.測定対象の測定部分の汚れ」と同じ評価基準にしたがって評価した。
−顕色剤シートの作製−
実施例1と同様にして調製した顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの上に固形分塗布量を15g/m2としてバーコーターにより塗布し、乾燥させて顕色剤層を形成することにより、顕色剤シート(顕色材料)を作製した。
実施例1と同様にして調製した電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を、別の厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの上に固形分塗布量を35.0g/m2としてバーコーターにより塗布し、乾燥させて発色剤層を形成することにより、発色剤シート(発色材料)を作製した。
なお、顕色剤層及び発色剤層の塗布量は、それぞれ塗布前後における、20cm×20cmの質量を上皿天秤により測定して確認した。
作製した圧力測定用材料セットを用い、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表2に示す。
上記の顕色材料を用い、下記式から顕色剤層の空隙量を求めた。
10cm×10cmに裁断した顕色材料の質量(m1)を測定した。次いで、ジエチレングリコールを顕色剤量の顕色剤層の表面にのせて浸透させ、表面に残ったジエチレングリコールを拭き取った後、質量(m2)を測定した。そして、X=m2−m1を算出し、下記式から空隙量を求めた。なお、ジエチレングリコールの密度は、1.118である。
空隙量(ml/m2)= 100×X÷1.118
プレスケール専用加圧器(FPLH、富士フイルム株式会社製)を用い、円形状の先端を有し、かつ、先端の直径が5mmである端子を、発色剤層と顕色剤層とが互いに接するように重ねた発色材料及び顕色材料における発色材料のPETフィルム面にあて、50MPaの圧力で加圧して発色した発色部の直径をスケーラーで測定した。
ステンレス製の板材に設けられた円形の孔(直径10mm)の周りを囲むようにして、ドーナツ形状(内径8mm、外径26mm)に成形した発色材料及び顕色材料を、板材側から顕色材料と発色材料とを順に重ねて載置した。発色材料及び顕色材料は、発色剤層と顕色剤層とが互いに接するように重ねた。そして、発色材料の上に重ねて外径16mmのワッシャーを載せ、この状態のままボルトを孔に通して50MPaの圧力で締付けた。締付け作業の後、発色部(ワッシャーよりはみ出した発色材料及び顕色材料の部分)を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:発色部が1mを超える距離にある場所からでも十分に視認できる。
B:発色部が0.3m以上1m未満の距離離れた場所から視認することができる。
C:発色部が0.3m未満の距離まで接近しても視認することができない。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料セットを発色させ、発色部に対し、上記「4a.圧力分布の確認可否」と同じ評価基準にしたがって圧力分布の確認の可否を判定した。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料セットを発色させ、発色部における呈色安定性を上記「5a.呈色安定性」と同じ評価基準にしたがって評価した。
上記「3a.視認性」と同様にして締付け作業を実施して圧力測定用材料セットを発色させ、測定対象物であるステンレスの板材及びボルトと圧力測定用材料との接触部分における汚れの程度を上記「6a.測定対象の測定部分の汚れ」と同じ評価基準にしたがって評価した。
実施例15の顕色剤シートの作製において、実施例1と同様にして調製した顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)を、下記の顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして、顕色剤シート及び発色剤シートを作製し、実施例15と同様の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表2に示す。
電子受容性化合物(顕色剤)であるシルトンF−242(水澤化学工業株式会社)100部に、40質量%水酸化ナトリウム水溶液5部、水溶性高分子化合物である20質量%PVA−105((株)クラレ製)810部、及び水300部を加えてホモジナイザーで分散した。得られた分散物に、更にカゼインのナトリウム塩の10質量%水溶液(バインダー)50部及びスチレン−ブタジエンラテックス(スマーテックスSN−307R、日本エイアンドエル株式会社製、固形分量=48質量%;バインダー)30部を添加し、電子受容性化合物を含有する顕色剤層用塗布液(顕色剤層用液体)を調製した。
顕色剤層用塗布液中に分散された電子受容性化合物の平均一次粒子径を粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、5μmであった。
ハイゾールSAS−296(日本石油株式会社製のオイル成分(溶媒);1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンの混合物)70部に、電子供与性染料前駆体として3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB2)9部、電子受容性化合物としてビスフェノールA9部を溶解し、溶液Aを得た。次に、メチルエチルケトン1部に溶解したエチレンジアミンのブチレンオキシド付加物0.4部を、攪拌している溶液Aに加えて溶液Bを得た。さらに、メチルエチルケトン1部に溶解したトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物2部を、攪拌している溶液Bに加えて溶液Cを得た。そして、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ)6部を溶解した溶液中に上記の溶液Cを加えて、乳化分散した。乳化分散後の乳化液に水300部を加え、攪拌しながら70℃まで加温し、1時間攪拌後、冷却した。水を加えて濃度を調整し、マイクロカプセルに電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物が内包された、固形分濃度18質量%のマイクロカプセル液を調製した。
調製されたマイクロカプセル液をPETフィルムの上に、固形分塗布量を50.0g/m2としてバーコーターにより塗布し、マイクロカプセル層を形成した。
以上のようにして、PETフィルム上に単層のマイクロカプセル層が付設された圧力測定用材料を作製した。
表1及び表2中、顕色剤粒子径は、顕色剤の平均一次粒子径を意味する。
表3中、発色部直径は、5mmの端子で50Mpaの圧力で加圧したときの発色部の直径を指す。
表1及び表2中の成分の詳細は、以下の通りである。
・ODB2:3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、山本化成社
・CVL:クリスタルバイオレットラクトン、土谷化学株式会社
・アルケンL:アルキルベンゼン、JX日鉱日石エネルギー株式会社
・KMC−500:ジイソプロピルビフェニル、呉羽化学工業社
・ガレオンアースSH:活性白土、水澤化学工業株式会社
・ガレオンアースNV:活性白土、水澤化学工業株式会社
・BPA:ビスフェノールA、出光興産株式会社
・ガラス基板:ダミーガラス基板、アズワン社
これに対して、比較例1では、発色部が滲み出ないため、顕色剤層中の空隙量が大きくなり過ぎ、視認性に劣り、圧力分布の確認も行えなかった。また、発色剤及び顕色剤を同一層内に含ませた比較例2では、発色部での滲み出しが多過ぎるため、視認性こそ良好になるものの、発色濃度が高くなり過ぎて圧力分布の確認が行えず、しかも測定対象への汚れの付着が認められた。
本明細書に記載された全ての文献、特許、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (14)
- 支持体と、
電子供与性染料前駆体を含む発色剤層と、
前記支持体と前記発色剤層との間に配置され、前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層と、
を有し、
前記顕色剤層は、空隙量が1ml/m 2 〜10ml/m 2 であり、かつ、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料。 - 支持体と、
電子供与性染料前駆体を含む発色剤層と、
前記支持体と前記発色剤層との間に配置され、前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層と、
を有し、
前記顕色剤層は、前記電子受容性化合物の含有量が、前記発色剤層及び前記顕色剤層の合計の全固形分に対して、10質量%〜50質量%であり、かつ、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料。 - 前記発色剤層は、前記電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルの含有量が、前記発色剤層及び前記顕色剤層の合計の全固形分に対して40質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の圧力測定用材料。
- 前記電子受容性化合物の平均一次粒子径が10μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧力測定用材料。
- 前記顕色剤層は、更に、水溶性高分子化合物を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧力測定用材料。
- 前記水溶性高分子化合物の含有量が、前記顕色剤層の全固形分に対して、20質量%以上である請求項5に記載の圧力測定用材料。
- 前記発色剤層は、更に、前記顕色剤層の表面に対する接触角が30°以下であるオイル成分を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の圧力測定用材料。
- 電子供与性染料前駆体を含む発色剤層を有する発色材料と、
前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層を有する顕色材料と、
を含み、
前記顕色剤層は、空隙量が1ml/m 2 〜10ml/m 2 であり、かつ、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料セット。 - 電子供与性染料前駆体を含む発色剤層を有する発色材料と、
前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層を有する顕色材料と、
を含み、
前記顕色剤層は、前記電子受容性化合物の含有量が、前記発色剤層及び前記顕色剤層の合計の全固形分に対して、10質量%〜50質量%であり、かつ、
先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が、5mmを越えて10mm以下である、圧力測定用材料セット。 - 前記発色剤層は、前記電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルの含有量が、前記発色剤層及び前記顕色剤層の合計の全固形分に対して40質量%以上である請求項8又は請求項9に記載の圧力測定用材料セット。
- 2つの材料がそれぞれ有する被圧部位の一方に、電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体を付与し、顕色剤層を形成する工程と、
前記顕色剤層の上又は前記被圧部位の他方に、電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体を付与して発色剤層を形成する工程と、
前記被圧部位に形成された前記顕色剤層及び前記発色剤層に対して圧力を与えて発色させる工程と、
を有し、
前記被圧部位における、前記発色剤層用液体及び前記顕色剤層用液体の合計の固形分付与量に対する、前記発色剤層用液体の固形分付与量の比率が、質量基準で0.5を超え0.8以下であり、
発色させる前記顕色剤層及び前記発色剤層は、先端の直径が5mmの端子により50MPaの圧力で加圧して発色させた場合の発色部の直径が5mmを越えて10mm以下である、
圧力測定方法。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の圧力測定用材料又は請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の圧力測定用材料セットを被圧部位に配置し、顕色剤層及び発色剤層に対して圧力を与えて発色させる工程を有する、圧力測定方法。
- 前記被圧部位の材質が、金属又は樹脂である請求項11又は請求項12に記載の圧力測定方法。
- 電子供与性染料前駆体を含む発色剤層用液体と、
前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物を含む顕色剤層用液体と、
を含み、圧力測定に使用される前記発色剤層用液体及び前記顕色剤層用液体の固形分合計量に対する、前記発色剤層用液体の固形分量の比率が、質量基準で0.5を超え0.8以下である、圧力測定用液体セット。
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