JP5142435B2 - ポリケチド合成基質の生合成 - Google Patents

ポリケチド合成基質の生合成 Download PDF

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Description

【0001】
(政府支援研究のもとでなされた発明に対する権利の申告)
本発明は、National Institutes of HealthおよびNational Science Foundationからの米国政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【0002】
(技術分野)
本発明は、原核生物宿主をポリケチド(polyketide)の効率的な産生へ適合させる方法に関連する。1つの局面では、宿主を、ポリケチド合成においてポリケチドシンターゼによって使用されるスターター(starter)および/またはエキステンダー(extender)ユニットを合成するように改変する。他の宿主改変もなされ得る。従って、本発明は、Escherichia coli、Bacillus、Myxococcus、およびStreptomycesのような多様な生物において、複雑なポリケチドを産生する方法を含む。
【0003】
(背景技術)
抗生物質エリスロマイシンの大環状核である、6−デオキシエリスロノリドB(6−deoxyerythronolide B)(6−dEB)のような複雑なポリケチドは、重要な天然産物のクラスを構成する。それらは、一般的に放線菌類において見出される、「モジュラー(modular)」ポリケチドシンターゼによって合成される。例えば、6−dEBの合成を引き起こすポリケチドシンターゼ(PKS)は、Sacromyces erythraeaにおいて産生される。これらネイティブな宿主において産生されるポリケチドは、一般的に引き続き、グリコシレーション、酸化、水酸化および他の修飾反応によって、完成した抗生物質を得るように仕立てられる。本研究室の最近の研究によって、Escherichia coliにおいて、ポリケチドシンターゼモジュールを機能的な形態で発現させることが可能であることが示された(Gokhale,R.S.ら、Science(1999)284:482−485)。しかし、E.coliまたは通常それらを産生しない他の宿主において、ポリケチド生合成のためのこれらのモジュラー酵素を利用するためには、インビボで、調節された様式で、それらの適切な基質を産生することも必要である。例えば、アセチルCoA、プロピオニルCoA、マロニルCoA、およびメチルマロニルCoAのような代謝物は、これら酵素の最も一般的な基質である。E.coliはアセチルCoA、プロピオニルCoA、およびマロニルCoAを産生する能力を有するが、後者の2つの基質は、細胞内に少量存在するのみであり、そしてその生合成は厳密に制御されている。E.coliがメチルマロニルCoAを合成する能力は、今まで記載されていない。
【0004】
同様の状況が、他の微生物細胞、特にEscherichia、Bacillus、Pseudomonas、およびFalvobacteriumの様々な種のような、天然ではポリケチドを産生しないものにおいて一般的である。従って、一般的に、必要なスターターおよび/またはエキステンダーユニットが、任意の特定の宿主で十分な量産生されない可能性がある。さらに、問題のPKSのアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメインの適切な選択によっては、今述べた基質よりも複雑な基質が使用され得る。例として、FK506合成のためのPKSは、マロニルCoAまたはメチルマロニルCoAに対してプロピルマロニルCoAのような基質を組み込むアシルトランスフェラーゼドメインを含む。あらゆる任意に選択された宿主生物において、適切なレベルでこの範囲の基質を提供する方法を利用可能にすることは有用である。
【0005】
原核生物宿主、特では天然ではポリケチドを産生しないものにおいてポリケチド産生を果たす際に克服される必要があり得るさらなる問題としては、E.coliのprpオペロンによってコードされる酵素のような、必要なスターターおよび/またはエキステンダーユニットを異化する酵素の存在が挙げられる。prpオペロンはこの生物における炭素およびエネルギー供給源として外来性のプロピオン酸塩の異化を担う。プロピオニルCoAをスターターユニットとして利用する、および/またはそのカルボキシル化産物であるメチルマロニルCoAをエキステンダーユニットとして利用するポリケチド産生を最適化するためには、プロピオニルCoAシンセターゼをコードする部分(E遺伝子座)を除いて、このオペロンの機能を停止させなければならない。スターターまたはエキステンダーユニットの異化酵素をコードするあらゆるさらなる遺伝子座も、有利なように機能停止させる。
【0006】
さらに、E.coliのような特定の原核生物宿主は、ポリケチドシンターゼの活性化に必要なホスホパンテテイニルトランスフェラーゼを欠損し得る。そのようなトランスフェラーゼも含むように宿主を修飾することが必要であり得る。
【0007】
まとめると、微生物、特に概して原核生物宿主において、そして特に天然ではポリケチドを産生しない宿主において、ポリケチドの産生を果たすことが有益である。これらの宿主は、多くの場合、形質転換の容易さ、培養中で迅速に増殖する能力等に関して、Streptomycesのようなネイティブなポリケチド産生株を超える利点を有する。これらの利点は、ポリケチドシンターゼの無作為変異誘発または遺伝子シャッフリング(gene shuffling)の結果を評価するのに特に有用である。従って、本発明は、微生物宿主をポリケチド産生のために適合させる複数のアプローチを提供する。
【0008】
(発明の開示)
本発明は、普遍的に有用な宿主生物であるE.coliにおける完全なポリケチド産物である6−dEBの産生を初めて達成した。この結果を達成するために使用した方法は、概して微生物宿主、特に原核生物に適合可能である。天然ではポリケチドを産生しない微生物宿主をそのような産生に適合させるために、および通常ポリケチドを産生する宿主におけるポリケチドの産生を増強するために、本方法を使用し得る。選択した宿主に依存して、必要な改変としては、ポリケチドシンターゼ遺伝子自体の発現系の、生物への組み込み;スターターおよび/またはエキステンダーユニットの異化酵素をコードする内因性遺伝子の機能停止;ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼのような、シンターゼの翻訳後修飾に必要な酵素の発現系の組み込み;ならびに、スターターおよび/またはエキステンダーユニットのレベルを増強する酵素の組み込みが挙げられ得る。宿主を適合させるために必要な改変の特定の組み合わせは、所望されるポリケチドの性質および宿主自体の性質に応じて変動する。
【0009】
従って、1つの局面では、本発明は、少なくとも1つのポリケチドの増強された合成のために遺伝子改変された、微生物宿主細胞に関する。ここで、この改変は、スターターおよび/またはエキステンダーユニット産生を触媒するタンパク質を産生するため、および/またはスターターおよび/またはエキステンダーユニットの少なくとも1つの内因性異化経路の機能停止のための、少なくとも1つの発現系の組み込みを含む。
【0010】
少なくとも1つのポリケチドシンターゼタンパク質発現系の組み込み、および、そして必要に応じて、少なくとも1つのホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ発現系の組み込みのような、さらなる改変もなされ得る。
【0011】
他の局面では、本発明は、本発明の改変細胞において、完全ポリケチドを含むポリケチドを調製する方法に向けられる。好ましい実施態様は、E.coliにおいて6−dEBまたは他の完全ポリケチドを合成する方法である。
【0012】
さらに別の局面では、本発明は、E.coliの高い形質転換効率を利用することによる、ポリケチドシンターゼ遺伝子の遺伝子シャッフリング(gene shuffling)または無作為変異誘発の結果を評価する方法に関する。
【0013】
(本発明の実施態様)
下記の例証的な例において、エリスロマイシンのポリケチド前駆体である6−dEBの産生を行うように、E.coliを改変する。この合成に必要な3つのタンパク質、DEBS1、DEBS2およびDEBS3は公知であり、そしてそれらをコードする遺伝子はクローニングおよび配列決定されている。しかし、アベルメクチン、オレアンドマイシン、エポチロン(epothilone)、メガロマイシン(megalomycin)、ピクロマイシン(picromycin)、FK506、FK520、ラパマイシン、タイロシン、スピノサド(spinosad)、および他の多数のポリケチド前駆体を産生する酵素をコードする遺伝子を含む、複数のさらなるPKS遺伝子もクローニングおよび配列決定されている。さらに、産生されるポリケチドの性質を変えるように、ネイティブなPKS遺伝子を改変する方法が記載された。ハイブリッドモジュラーPKSタンパク質の産生および合成システムが、米国特許第5,962,290号で記載および特許請求されている。効率的なジケチドの組み込みを可能にするようにPKS酵素を改変する方法が、米国特許第6,080,555号に記載されている。個々のドメインまたはドメインのグループの混合および整合化によってPKS酵素を改変する方法が、米国特許出願番号第09/073,538号に記載されている。特定のスターターまたはエキステンダーユニットを組み込むために、モジュラーPKSのモジュールの特異性を変化させる方法が、現在許可されている米国特許出願番号第09/346,860号に記載されている。ポリケチドへの組み込みのために、ジケチドを調製する改良方法が、米国特許出願番号第09/492,733号に記載されている。モジュール間のポリケチド鎖合成を媒介する方法が、米国特許出願番号第09/500,747号に記載されている。前述の特許および特許出願の内容は、本明細書中で参考として援用される。
【0014】
従って、選択された宿主を、そのようなシンターゼに含まれるタンパク質に適切な発現系をその宿主に組み込むことによって、可能性のある多くのポリケチドシンターゼのいずれか1つを含むように改変し得る。望ましい産物に依存して、完全なシンターゼまたは部分的なシンターゼのいずれかが供給され得る。宿主がポリケチドシンターゼを天然で産生し、そして通常の産物とは異なるポリケチドが望まれる場合には、ネイティブなPKSをコードする遺伝子を欠失させることが望ましくあり得る。そのような欠失の方法が、米国特許第5,830,750号に記載されており、この特許は本明細書中で参考として援用される。
【0015】
天然ではポリケチドを産生しない宿主に関しては、ポリケチドシンターゼを仕立てる酵素が欠損されているか、または不完全であり得るので、ポリケチドシンターゼ自体の発現系を供給することに加えて、これら酵素の発現系を供給することが必要であり得る。PKSの活性に必須の酵素の1つは、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼである。これらのトランスフェラーゼをコードする遺伝子はクローニングされ、そして入手可能である。これらは米国特許出願第08/728,742号において記載されており、それは例えばカナダ出願2,232,230において現在公開されている。これら文書の内容は、本明細書中で参考として援用される。
【0016】
選択された宿主に依存して、そのような宿主は、望ましいスターターおよび/またはエキステンダーユニットを異化するタンパク質を産生する遺伝子を天然に含み得る。1つの例は、サブユニットA−Dによってコードされるタンパク質が外来性のプロピオン酸塩を異化する、prpオペロンを含む。しかし、prpEによってコードされる酵素は、プロピオニルCoAシンセターゼであるので望ましい。異化酵素をコードするオペロンの部分を、E.coliの改変において有利なように機能停止させる。他の宿主における同様のオペロンも、必要に応じて機能停止させ得る。
【0017】
一般的に、全ての場合において、スターターおよび/またはエキステンダーユニットの産生を増強する酵素、およびこれらの産生酵素の活性化に必要なあらゆる酵素が、これらタンパク質の発現系を含むように細胞を改変することによって、その細胞に組み込まれる必要がある。
【0018】
この局面の1つの実施態様では、Rhizobium trifoliから最近クローニングされた、matABCオペロンを利用する(An,J.H.ら、Eur.J.Biochem.(1988)15:395−402)。このオペロンによってコードされる3つのタンパク質が存在する。
【0019】
MatAは、マロニルCoAデカルボキシラーゼをコードする。これは通常、以下の反応:マロニルCoA→アセチルCoA+CO2を触媒する。
【0020】
MatBは、マロニルCoAシンセターゼをコードする。これは以下の反応:マロン酸+CoASH→マロニルCoA(ATP依存性反応において)を触媒する。
【0021】
MatCは、マロン酸塩トランスポーターをコードする。これはマロン酸の細胞膜を横切る輸送を担うと考えられる
これらの酵素は、示された反応を触媒するその能力において、基質に関して幾分無差別的であることが、本明細書中で示された。従って、基質としてマロニルCoAおよびマロン酸(それぞれMatAおよびMatBに関して)に加えて、これらの酵素はまた、メチルマロニルCoAおよびメチルマロン酸;エチルマロニルCoAおよびエチルマロン酸;プロピルマロニルCoAおよびプロピルマロン酸等を利用し得る。従って、これらの酵素を、望ましいポリケチド合成のための、様々なスターターおよびエキステンダーユニットを提供するために使用し得る。
【0022】
この局面の別の実施形態では、S.coelicolor由来のmatBおよびmatCのホモログ(Genbankアクセッション番号第AL163003号)を使用し得る。
【0023】
プロピオニルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子も、エキステンダーユニットに対する基質を供給するのに有用である。このカルボキシラーゼ酵素は、Rodoriguez,E.ら、Microbiology(1999)145:3109−3119によって、Streptomyces coelicolor A3から特徴付けられたpccB遺伝子およびaccA2遺伝子によってコードされるダイマーである。これらのタンパク質の活性化には、ビオチンリガーゼが必要である。この酵素について典型的な基質は、プロピオニルCoAであり、それは次いでメチルマロニルCoAに変換される。反応は以下のように要約される:
プロピオニルCoA+CO2→メチルマロニルCoA(ATP依存性反応)。
【0024】
他のアシルCoA基質も、対応するマロニルCoA産物に変換され得る。
【0025】
ポリケチドの産生に有効な改変された宿主細胞を提供することに加えて、ポリケチドシンターゼ、その活性化酵素、およびスターターユニットおよび/またはエキステンダーユニットを提供する酵素をインビトロシステムで使用して、望ましいポリケチドを産生し得る。例えば、matABCオペロンによってコードされる酵素のような、酵素マロニルCoAデカルボキシラーゼおよび/またはマロニルCoAシンセターゼ、ならびに/またはpccB遺伝子およびaccA2遺伝子によってコードされる酵素のような、プロピオニルCoAカルボキシラーゼを、インビトロ培養で使用して、前駆体を望ましいPKSについての適切なエキステンダーユニットおよびスターターユニットに変換して、無細胞培養系またはインビトロ細胞培養系においてポリケチド合成を行い得る。CoAチオエステルはそのような無細胞合成系において最も高価な成分であるので、精製MatBは、ポリケチドの調製無細胞産生に、特に有利に使用される。あるいは、上記で述べたように、これらの遺伝子は、これら基質の、培養中の細胞による産生について一般的な戦略において使用される(あらゆる適切な組み合せで)。MatBおよびMatCを、あらゆるアルファカルボキシル化CoAチオエステルの産生を行うために使用し得る。ここで対応する遊離酸は、MatBによって基質として認識され得る。MatAタンパク質をまた、アセチルCoAおよびプロピオニルCoAのようなスターターユニットのインビトロレベルまたはインビボレベルを補充するために使用し得る。プロピオニルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子も、インビボで適切なエキステンダーユニットを合成する酵素を提供するために使用し得る。
【0026】
従って、本発明は、微生物宿主において、完全ポリケチドを含むポリケチドの産生を増強する方法を含む。その方法は、当該宿主に、ポリケチド構築に使用されるスターターユニットおよび/またはエキステンダーユニットの産生を増強する酵素についての発現系を提供することを含む。「完全」ポリケチドは、エリスロマイシン、メガロマイシン(megalomycin)等の前駆体であるポリケチドのような、抗生物質の基礎を形成するポリケチドである。酵素は、matABCオペロンによってコードされるもの、および他の生物体におけるそのホモログ、ならびにプロピオニルカルボキシラーゼをコードするpccB遺伝子およびaccA2遺伝子および他の生物体におけるそれらのホモログを含む。別の局面では、本発明は、1つ以上のこれらの酵素を無細胞系に提供することによって、無細胞系におけるポリケチド産生を増強する方法に指向される。
【0027】
本発明はまた、酵素を産生するように改変された細胞、およびこれらの細胞を使用してポリケチドを産生する方法、ならびに無細胞系を用いてポリケチドを産生する方法に向けられる。
【0028】
本発明はまた、この基質をスターターユニットまたはエキステンダーユニットに変換する内因性の酵素に対する基質を、培養液に追加することによって、微生物システムにおけるポリケチド産生を増強する方法を含む。
【0029】
本発明はまた、必要な基質を異化するタンパク質をコードする内因性遺伝子を無力化すること、これらの細胞にジケチド前駆体のような合成前駆体を供給することのような、ポリケチド産生を助ける改変を含む微生物宿主においてポリケチドを産生する方法を含む。
【0030】
産生されるポリケチドは、通常PKSによって産生されるものであり得、そして天然に存在し得る。この場合、インビボにおけるスターター/エキステンダー産生増強酵素をコードする遺伝子の存在、または無細胞系における酵素自身の存在は、単純に産生のレベルを増強し得る。それに加えて、PKSは、新規ポリケチドを産生するよう設計された改変PKSであり得、その産生は同様の方式で増強され得る。本明細書中で記載した酵素の、広い範囲の基質を受け入れる能力のために、エキステンダーユニットおよびスターターユニットを、広い範囲の容易に入手可能な試薬に基づいて提供し得る。上記で述べたように、ジケチド出発物質も供給され得る。
【0031】
従って本発明はまた、そのポリケチド産生を可能にするかまたは増強する、上記で記載した微生物宿主の様々な他の改変、およびそのような宿主を用いてポリケチドを産生する方法を含む。
【0032】
E.coliおよびBacillusのような他の原核生物のような宿主を改変して、そのような宿主でポリケチドの産生を可能にする能力は、多くの利点を有し、それらの多くはE.coliの生来の性質に存在する。1つの重要な利点は、天然にポリケチドを産生する他の微生物に比べて、E.coliが形質転換され得る容易さに存在する。この形質転換の容易さの、1つの重要な適用は、ポリケチドシンターゼの遺伝子シャッフリング(gene shuffling)の結果を評価することにある。従って、本発明のさらなる局面は、ポリケチドシンターゼ遺伝子シャッフリングの結果を評価することに指向される。その方法は、本発明によって改変されたE.coliの培養物を、シャッフルしたポリケチドシンターゼの混合物でトランスフェクトすること、および個々のコロニーを培養することを含む。ポリケチドを産生するこれらのコロニーは、うまくシャッフルされた遺伝子を含む。
【0033】
微生物宿主、特に原核生物宿主を、ポリケチドを産生するように改変することに加えて、これらの宿主をさらに、ポリケチドを「仕立てる(tailor)」酵素を産生し、そしてその抗生物質への変換を行うように改変し得る。そのような作成反応は、グリコシル化、酸化、水酸化等を含む。
【0034】
微生物宿主においてポリケチドの産生を行うために、ポリケチドの合成を行う酵素を誘導する前に、培養の実質的な増殖を可能にすることが好ましい。従って、天然にポリケチドを産生しない宿主において、必要なPKS遺伝子発現系は、IPTGによって誘導されるT7プロモーターのような、誘導プロモーターの制御下に置かれる。様々なそのような微生物宿主において誘導可能な、多数の適切なプロモーターが存在する。スターターまたはエキステンダーを合成する能力のような、改変された宿主の他の有利な特徴も、誘導性制御下にあり得る。最後に、ポリケチドシンターゼについての出発物質の前駆体を、合成が所望されるまで抑え得る。従って、例えば、出発物質がプロピオネート由来であるなら、細胞培養の間あらゆる所望の時点でプロピオネートを供給し得る。もしジケチド出発物質またはトリケチド出発物質を使用するなら、これも適切な時間まで抑えられ得る。前駆体を加える前に、最低限の培養液を使用し、そして代替の炭素供給源を、増殖のためのエネルギーおよび材料を供給するために採用する。
【0035】
上記で記載したように、本発明は、あらゆる任意の選択されたポリケチドの、インビトロ合成およびインビボ合成の両方についての方法を提供する。ここでインビボ合成は、あらゆる微生物、特に原核生物宿主で行なわれ得る。原核生物宿主は、典型的にはBacillus属、Pseudomonas属、Flavobacterium属、またはより典型的にはEscherichia属、特にE.coliである。インビトロ合成またはインビボ合成のどちらを採用するにせよ、1つ以上の適切なポリケチドシンターゼ(天然または改変されたものであり得る)、スターターユニットおよび/またはエキステンダーユニットを産生する1つ以上の酵素を供給することが必要であり得る。典型的には、フリーの酸をCoA誘導体に変換すること、そしてもし前述の酵素が宿主中で産生されるなら、それらを活性化する酵素を作成することを含む。それに加えて、インビボ合成に関しては、異化酵素を無力化することが必要であり得る。そうでなければ、それは適切な出発物質を破壊する。
【0036】
出発物質の産生に関して、matABCオペロンの遺伝子およびプロピオニルカルボキシラーゼをコードする遺伝子を、それらのコードするタンパク質を産生して無細胞ポリケチド合成に使用するために、そしてまた組換え宿主を改変して細胞培養中でポリケチドを産生するために採用し得る。これらの遺伝子およびそれらの対応するコードされた産物は、そのような合成が行われるあらゆる宿主において、ポリケチドシンターゼに対する最適なレベルの基質を提供するのに有用である。宿主は、天然にポリケチドおよびその対応する抗生物質を産生するものであり得るか、または天然にポリケチドを産生しないか、もしくは通常それが作らないポリケチドを産生するように改変されたかのいずれでもない、組換え改変された宿主であり得る。従って、ポリケチド合成に使用可能な微生物宿主は、Streptomycesの様々な系統、特にS.coelicolorおよびS.lividans、Myxococcusの様々な系統、E.coli、Bacillus、PseudomonasまたはFlavobacteriumのような工業的に好ましい宿主、および酵母のような他の微生物を含む。これらの遺伝子およびそれらの対応するタンパク質は、一般にポリケチド合成についての基質レベルを調節するのに有用である。
【0037】
(基質特異性およびポリケチドデザイン)
これらの遺伝子およびそれらの産物は、ある範囲の出発物質を利用する酵素の能力のために、特に有用である。従って、一般的に、プロピオニルカルボキシラーゼは、式R2−CH−CO−SCoAのチオエステルを、式R2C(COOH)COSCoAの対応するマロン酸チオエステルへ変換する。ここで各RはHまたは任意の置換アルキルまたは他の任意の置換ヒドロキシカルビル基である。N−アシルシステアミンチオエステルのような、天然補酵素Aチオエステル以外の他のチオエステルも使用し得る。同様に、matB遺伝子の産物は、式R2C(COOH)2のマロン酸誘導体を、対応するアシルチオエステルへ変換し得る。ここで各Rは独立にHまたは任意の置換ヒドロカルビル(hydrocarbyl)である。好ましい出発物質は、Rがアルキル(1−4C)であるもの、好ましくはRCH(COOH)2である。インビボ系に関しては、出発マロン酸関連物質の膜輸送を保証するために、matC遺伝子を含むことが有用であり得る。matA遺伝子は、スターターユニットとして使用するために、式R2C(COOH)COSCoAのマロニルCoA基質を、式R2CHCOSCoAの対応するアシルCoAへ変換するタンパク質をコードする。ここでRは上記で定義している。
【0038】
典型的には、上記で言及したヒドロカルビル基は、1〜8個のC、好ましくは1〜6個のC、そしてより好ましくは1〜4個のCのアルキル基である。アルキル基は、直鎖または分岐鎖であり得るが、好ましくは直鎖である。ヒドロキシカルビル基はまた、不飽和を含み得、そしてさらにハロ、ヒドロキシル、メトキシ、またはアミノまたはメチルまたはジメチルアミノのような置換基を含み得る。従って、ヒドロキシカルビル基は、式CH3CHCHCH2;CH2CHCH2;CH3OCH2CH2CH2;CH3CCCH2;CH3CH2CH2CH2CH2;等であり得る。
【0039】
置換アルキル基はまた、骨格鎖が1〜8個のC、好ましくは1〜6個のC、そしてより好ましくは1〜4個のCである。アルケニルおよびアルキニルヒドロカルビル(hydorcarbyl)基は、2〜8個のC、好ましくは2〜6個のC、そしてより好ましくは2〜4個のCを含み、そしてまた分岐または直鎖であり得、好ましくは直鎖である。
【0040】
出発物質として適切なジケチドを供給することによって、さらなる変動性を得ることができる。ジケチドは一般的に、1999年5月14日に出願され、そして本明細書中で参考文献に組み込まれる、米国特許出願番号第09/311,756号で述べられたもののような式である。様々の置換基を次いで導入し得る。従って、ジケチドは、一般式R’CH2CHOHCR2COSNAcである。ここでRは上記で定義され、そしてR’はアルキル、1〜8個のC、アリール、アリールアルキルなどであり得る。SNAcは、N−アセチルシステアミンのチオエステルを示すが、代替のチオエステルも使用され得る。
【0041】
ポリケチドのインビボ産生またはインビトロ産生のいずれかに関しても、望ましい特異性を有するアシルトランスフェラーゼドメインを、関連するPKSへ導入し得る。ATドメインの適切な特異性を保証する方法は、1999年7月2日に出願された米国特許出願番号第09/346,860号に詳しく記載されており、その内容は本明細書中で参考文献に組み込まれ、望ましい特異性を有するそのようなドメインをどのように作成および採用し得るかが記載されている。また、成長するポリケチド鎖の1つのモジュールから次のモジュールへの適切な移動を保証することによって、ポリケチドシンターゼモジュール有効性を媒介する方法も、インビトロにおけるこれら酵素の、またはインビボにおける遺伝子の使用に関連する。そのような方法は、2000年2月9日に出願された米国特許出願番号第09/500,747号に詳しく記載されており、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0042】
複数のPKSをコードするヌクレオチド配列は、望ましいPKS、およびマクロライド後(postmacrolide)変換に有用なタンパク質、およびその改変型を産生する組換え手順での、その使用を可能にする。例えば、エリスロマイシンの産生に関連する遺伝子のヌクレオチド配列が、米国特許第6,004,787号および米国特許第5,998,194号に;アベルメクチンに関しては米国特許第5,252,474号に;FK506に関しては米国特許第5,622,866号に;リファマイシンに関してはWO98/7868に;スピラマイシンに関しては米国特許第5,098,837号に開示されている。これらは単なる例である。望ましいコード配列の一部、または全てを、Jayeら、J.Biol.Chem.(1984)259:6331で記載されたような、そして例えばApplied Biosystems,Inc.から市販の、標準的な固相合成法を用いて合成し得る。
【0043】
特定の活性をコードするPKSの部分を単離し、そして例えば異なるモジュラーPKSにおける対応する領域を置換するためにそれを使用することによって操作し得る。それに加えて、PKSの個々のモジュールを、適切な発現系にライゲーションして、そしてオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質の一部を産生するために使用し得る。次いで、タンパク質を単離および精製し得るか、またはポリケチド合成をもたらすためにインサイチュで使用し得る。モジュールもしくは全オープンリーディングフレーム、またはオープンリーディングフレームの組み合わせの組換え産生についての宿主に依存して、プロモーター、終結配列、エンハンサー等のような適切な制御配列を、望ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列にライゲーションする。様々な宿主に関して適切な制御配列が、当該分野で周知である。
【0044】
これらのヌクレオチド配列の利用可能性が、適切な酵素についての適切な発現系を含むように改変された宿主細胞を用いた、新規ポリケチドおよびその対応する抗生物質の産生の可能性を拡大する。異なるPKSの骨組みにそれらを置換することによって、またはそのような置換または他の変異誘発変化の代わりに、またはそれに加えてハイブリッドを形成することによって、ドナーPKSの様々な活性コード領域を操作することによって、広範な種々のポリケチドおよび対応する抗生物質を得ることができる。これらの技術は、例えば1998年5月6日に出願され、そして本明細書中で参考文献に組み込まれる、米国特許出願番号第09/073,538号に記載されている。
【0045】
例えば、天然シンターゼ遺伝子の全てまたは採用された一部によってコードされる骨組みを用いることによって、新規ポリケチドを産生するポリケチドシンターゼを得ることができる。シンターゼは、少なくとも1つの機能的なモジュール、好ましくは2または3つのモジュール、そしてより好ましくは4つ以上のモジュールを含み、そして生じたポリケチドの性質が変化するように、これら機能的モジュールの1つ以上の活性に変異、欠失、または置換を含む。この記述は、タンパク質および遺伝的レベルのどちらにもあてはまる。特に好ましい実施形態は、KS、AT、KR、DH、またはERが欠失したか、またはKS、AT、KR、DH、またはERが異なるPKS、もしくは同じPKSにおける別の位置由来の活性のバージョンで置換されたものを含む。少なくとも1つの非縮合サイクル酵素活性(KR、DH、またはER)が欠失したものか、またはこれら活性のいずれかが変異して合成される最終的なポリケチドが変化した誘導体も好ましい。
【0046】
従って、天然に存在するPKSの様々な誘導体をコードするヌクレオチド配列、および様々なポリケチドを得るために、酵素活性コード部分の「ミキシングおよびマッチング」によって、望ましい数の構築物を得ることができ、そして変異を、ネイティブな宿主PKS遺伝子集団またはその一部に導入し得る。
【0047】
慣用的な技術を用いて、ネイティブな配列に変異を作製し得る。変異の基質は、遺伝子の全集団またはそれらの1つまたは2つのみであり得る。変異の基質はまた、1つ以上のこれら遺伝子の一部であり得る。変異の技術は、変異を含む合成オリゴヌクレオチドを調製すること、および変異配列を、制限エンドヌクレアーゼ消化を用いて(例えば、Kunkel,T.A.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoderら、BioTechniques(1987)5:786を参照のこと)、または他の当該分野で公知の様々な方法によって、PKSサブユニットをコードする遺伝子へ挿入することを含む。
【0048】
酵素活性をコードするヌクレオチド配列の選択された部分の無作為変異誘発をまた、当該分野で公知のいくつかの異なる技術によって、例えばオリゴヌクレオチドリンカーをプラスミドに無作為に挿入することによって、X線または紫外線の照射によって、インビトロDNA合成の間に正しくないヌクレオチドを組み込むことによって、誤りがちな(error−prone)PCR変異誘発によって、合成変異体を調製することによって、または化学物質によってインビトロでプラスミドDNAに障害を与えることによって、達成し得る。
【0049】
酵素活性をコードする領域の変異形態を提供することに加えて、異なるPKSシンターゼ由来、または同じPKSシンターゼの異なる位置由来の対応する活性をコードする領域を、例えば適切なプライマーを用いたPCR技術を使用して回収し得る。「対応する」活性をコードする領域によって、同じ一般的な型の活性をコードする領域を意味される−例えば、遺伝子集団の1つの位置におけるケトレダクターゼ活性は、その遺伝子集団の別の位置における、または異なる遺伝子集団におけるケトレダクターゼをコードする活性と「対応する」。同様に、完全なレダクターゼサイクルは、対応すると考えられる−例えばKR/DH/ERはKR単独に対応する。
【0050】
宿主ポリケチドシンターゼの特定の標的領域を置換する場合、この置換は、適当な制限酵素を用いてインビトロで行い得るか、またはドナープラスミド中の置換遺伝子およびレシピエントプラスミド中のレセプター領域の相同配列フレーミング(framing)を含む、組換え技術を用いてインビボで行い得る。異なる温度感受性を有するプラスミドを有利に含む、このような系は、例えば、PCT出願WO96/40968に記載されている。
【0051】
最後に、ポリケチドシンターゼ遺伝子は、一般的なDNA配列と同様に、上記で概略を述べた系統的な変更およびランダム変異誘発のための方法に加えて、Maxygenに与えられた米国特許第5,834,458号、ならびにAffymaxに与えられた米国特許第5,830,721号、同第5,811,238号および同第5,605,793号に記載されたような、「遺伝子シャッフリング」の技術によって改変され得る。この技術において、bPKSをコードするDNA配列を、制限酵素によって切断し、増幅し、そして次いで、再度連結する。これは、再編成された遺伝子の混合物を生じ、この混合物は、そのポリケチドを産生する能力について評価され得る。容易に形質転換される宿主(例えば、E.coli)における、ポリケチドを産生するその能力は、これを実用的なアプローチにする。
【0052】
産生されるポリケチドに関して、ポリケチドシンターゼを構築するために5つの自由度が存在する。第1に、ポリケチド鎖の長さは、PKS中のモジュールの数によって決定される。第2に、PKSの炭素骨格特性は、各位置でのエキステンダーユニット(例えば、マロニル、メチルマロニルまたはエチルマロニルなど)の特性を決定する、アシルトランスフェラーゼの特異性によって決定される。第3に、ローディングドメイン(loading domain)の特異性もまた、得られるポリケチドの炭素骨格に対して影響を及ぼす。従って、ローディングドメインは、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのような、異なるスターターユニットを使用し得る。第4に、ポリケチドの様々な位置における酸化状態は、そのモジュールのデヒドラターゼ部分およびレダクターゼ部分によって決定される。これは、ポリケチドにおけるケトン、アルコール、二重結合または単結合の存在および位置を決定する。最後に、得られたポリケチドの立体化学は、シンターゼの3つの局面の機能である。第1の局面は、エキステンダーユニットとしての置換マロニル基と関連するAT/KS特異性に関連し、この特異性は、還元サイクルが存在しない場合または還元サイクルがケトレダクターゼのみを含む場合にのみ、立体化学に影響を与える(なぜなら、デヒドラターゼがキラリティーを破壊するからである)。第2に、ケトレダクターゼの特異性が、任意のβ−OHのキラリティーを決定する。最後に、エキステンダーユニットとしての置換マロニル基に対するエノイルレダクターゼの特異性が、完全なKR/DH/ERが利用可能な場合に、結果に影響を与える。
【0053】
1つ有用なアプローチは、モジュール1におけるKS活性を改変することであり、代替的なスターターユニットおよびモジュール1エキステンダーユニットを取り込む能力を生じる。このアプローチは、本明細書中で参考として援用されるPCT出願US/96/11317に例示され、ここで、KS−I活性は、変異によって不活性化される。次いで、ポリケチド合成を、モジュール1ジケチド産物の化学的に合成したアナログを供給することによって開始させる。次いで、本発明の方法を使用して、エキステンダーユニット量を増大させる得る。
【0054】
モジューラーPKSは、それらのスターターユニットに対して緩やかな特異性を有する(Kaoら、Science(1994)、前出)。モジュ−ラーPKSはまた、それぞれの縮合サイクルにおけるエキステンダーユニットの選択において、かなりの多様性をも示す。縮合反応後のβ−ケト還元の程度もまた、遺伝子操作により変更されることが示されている(Donadioら、Science(1991)、前出;Donadio,Sら、Proc Natl Acad Sci USA(1993)90:7119−7123)。同様に、ポリケチド産物のサイズは、適切な数のモジュールを持つ変異体を設計することによって変更され得る(Kao,C.M.ら、J Am Chem Soc(1994)116:11612−11613)。最後に、これらの酵素は、高度に制御された様式でそれらの産物における重要な範囲の不斉中心を生成することについて、特に周知である。本発明の方法により産生されるポリケチドおよび抗生物質は、代表的に、単一の立体異性体形態である。本発明の化合物は、立体異性体の混合物として生じ得るが、このPKS系を用いることによって、個々の立体異性体を生成させることが、より実用的である。
【0055】
PKSのポリケチド産物は、抗生物質活性を示すために、代表的には、ヒドロキシル化、酸化および/またはグリコシル化によって、さらに修飾され得る。
【0056】
ポリケチドをグリコシル化するための方法は、当該分野において一般的に公知であり;グリコシル化は、適切なグリコシル化酵素を提供することによって細胞内でもたらされ得るか、または、化学合成手段(本明細書中で参考として援用される、米国出願番号第09/073,538号に記載されるような)を使用することによってin vitroでもたらされ得る。
【0057】
抗生物質モジューラーポリケチドには、任意の多くの異なる糖が含まれ得るが、D−デソサミンまたはそれらの類似アナログが、最も一般的ではある。例えば、エリスロマイシン、ピクロマイシン、ナルボマイシンおよびメチマイシンは、デソサミンを含む。エリスロマイシンはまた、L−クラジノース(3−O−メチルミカロース)を含む。タイロシンには、ミカミノース(4−ヒドロキシデソサミン)、ミカロースおよび6−デオキシ−D−アロースが含まれる。2−アセチル−1−ブロモデソサミンは、ポリケチドをグリコシル化するためのドナーとして使用されている(Masamuneら、J Am Chem Soc(1975)97:3512、3513)。他の、明らかにより安定的なドナーとしては、グリコシルフルオリド、チオグリコシドおよびトリクロロアセトイミデートが挙げられる(Woodward,R.B.ら、J Am Chem Soc(1981)103:3215;Martin,S.F.ら、Am Chem Soc(1997)119:3193;Toshima,K.ら、J Am Chem Soc(1995)117:3717;Matsumoto,T.ら、Tetrahedron Lett(1988)29:3575)。グリコシル化はまた、出発物質としてマクロライドおよびS.erythraeaの変異体を使用してもたらされ得、このS.erythraeaの変異体は、変換を行うためのこのマクロライドを合成することができない。
【0058】
一般的に、グリコシル化をもたらすためのアプローチは、ヒドロキシル化に関しての上記アプローチを反映する。天然の供給源から単離したかまたは組み換え産生した精製酵素を、in vitroで使用し得る。あるいは、グリコシル化は、内因性または組換え産生された細胞内グリコシラーゼを用いて、細胞内でもたらされ得る。さらに、合成的化学法が使用され得る。
【0059】
宿主が通常ポリケチドを産生する場合、これらの宿主による内因性ポリケチド産生を阻害するように、これらの宿主を改変することが望ましくあり得る。そのような宿主は、例えば、参考として本明細書中で援用される米国特許第5,672,491号に記載され、これは、以下の実施例において使用される、S.coelicolor CH999を記載する。このような宿主においては、組換え産生されたポリケチドシンターゼを構築する酵素の翻訳後修飾のための酵素的活性を与えることが必要とされないかもしれない。これらの宿主は、一般に、シンターゼの機能性に必要とされるパンテテイニル残基を提供するための、ホロ−ACPシンターゼと呼ばれる、適切な酵素を含む。しかし、通常ポリケチドを産生しない酵母、植物または哺乳類細胞のような宿主において、組換え産生されたPKSを機能性に変換するための適切なホロ−ACPシンターゼを提供する(代表的には、組換え手段による)必要があり得る。そのような酵素の提供は、例えば、本明細書中で参考として援用されるPCT出願WO98/27203に記載されている。
【0060】
また、宿主および所望の産物の性質に依存して、「テーラリング(仕立て)(tailoring)酵素」またはそれらをコードする遺伝子を提供することが必要であり得る。ここで、これらのテーラリング酵素は、酸化、ヒドロキシル化、グリコシル化などによって産生された、マクロライドを修飾する。
【0061】
このコードヌクレオチド配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列および/または終結配列と作動可能に連結され、これらの配列は、これらの配列と適合性の宿主細胞において、そのコードヌクレオチド配列の発現をもたらすように作動する;染色体外エレメントまたはベクターとしてこれらの配列を含むように改変されたか、あるいは、これらの配列が染色体に組み込まれたかの、いずれかの宿主細胞、および、これらの改変された宿主細胞を用いてPKSおよびPKS後酵素ならびにポリケチドおよび抗生物質を産生する方法。
【0062】
宿主PKS遺伝子における酵素的活性を置換するため、または宿主PKS遺伝子のこれらの領域における変異を支持するための、種々の操作を行うために使用するベクターは、その得られたコード配列の発現が適切な宿主においてもたらされる様式で、そのコード配列に作動可能に連結された制御配列を含むように、選択され得る。しかし、簡単なクローニングベクターも同様に使用され得る。
【0063】
特に有用な制御配列は、それ自身で、または適切な調節系を用いて、増殖性の菌糸体において増殖期から静止期への移行中に発現を活性化する配列である。例示的なプラスミド実例pRM5に含まれる系(すなわち、actI/actIIIプロモーター対およびactII−ORF4、アクチベーター遺伝子)が、特に好ましい。特に好ましい宿主は、より明瞭な結果が得られるように、それら自身のポリケチド産生手段を欠く宿主である。この型の例示的な宿主細胞には、PCT出願WO 96/40968で記載される改変されたS.coelicolor CH999培養物およびS.lividansの類似の株が含まれる。
【0064】
本発明の組み換えベクターを適切な宿主に導入する方法は、当業者に公知であり、代表的には、CaCl2または他の薬剤(例えば、二価陽イオン、リポフェクチン、DMSO)の使用、プロトプラスト形質転換およびエレクトロポレーションが挙げられる。
【0065】
1997年12月に出願された出願番号第08/989,332号(本明細書中で参考として援用される)に開示されるように、いくつかの宿主が、シンターゼのアシルキャリアタンパク質を活性化するための適切な翻訳後機構を天然では含まないとしても、広範な宿主が使用され得る。これらの宿主は、改変をもたらすための適切な組換え酵素で改変され得る。
【0066】
(出発物質の増強および多様性)
従って、スターターユニットおよび/またはエキステンダーユニットの産生を触媒するタンパク質(およびそれらのコード配列)が、通常産生されるよりも高いレベルで、広範は種々のこれらのスターターユニットおよびエキステンダーユニットを提供することによってポリケチド産生を増強するするために、使用され得る。これらのタンパク質は、種々の基質を使用して反応を触媒するので、これらは、広範な種々のPKS(改変されたか、改変されていないに関わらず)についてのスターターユニットおよびエキステンダーユニットの利用可能性を増強する汎用性ツールである。上記のように、特に有用であるのは、matABCオペロン(または他の種における類似のオペロン)の産物およびpccB遺伝子およびaccA2遺伝子(または他の種におけるそれらのアナログ)によりコードされるプロピオニックカルボキシラーゼである。これらの酵素およびこれらのコード配列は、matABCオペロンおよびプロピオニックカルボキシラーゼをコード遺伝子が、種々の基質に対する必要とされる反応を行うのみならず、ポリケチド合成における使用に必要とされる立体化学を有する産物の産生を行うという、本出願人の発見の観点において有用である。
【0067】
適切なスターターユニットおよびエキステンダーユニットを提供するたのた本明細書中で記載される遺伝子の能力を、下記のように確認した。
【0068】
(実施例1)
(CoAシンターゼを用いるマロニル−CoAおよび2S−メチルマロニル−CoAの産生)
E.coli株L8は、アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子において温度感受性変異を有し、その結果、マロニル−CoAは、37oCでアセチル−CoAから産生され得ない。しかし、この遺伝子産物は、30oCでこの変換をもたらし得る。Harder,M.E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1972)69:3105−3109を参照のこと。マロニル−CoAへのアセチル−CoAのアセチル−CoAカルボキシラーゼ変換は、E.coliにおけるマロニル−CoA産生についての唯一の公知の経路であり、かつマロニル−CoAは、脂肪酸生合成に不可欠であるので、E.coliのこの変異株は、30oCでは増殖し得るが、37oCでは増殖することができない。matABCオペロンを保有するL8の形質転換体は、プラスミドpMATOP2で形質転換することによって産生される。このプラスミドは、matA、matBおよびmatC遺伝子をそれらのネイティブプロモーターの制御下で含み、そしてAn,J.H.ら、Eur.J.Biochem.(1998)257:395−402に記載される。この形質転換体は、マロン酸の非存在下では37℃でなお増殖できないが;1−5mMのマロン酸を添加することにより、この温度で増殖が可能となる(プラスミドの非存在下では、マロン酸は、37oCでの増殖を支持し得ない)。しかし、細胞外マロン酸濃度は、重要である。なぜなら、40mMへの濃度の増加は、増殖の不在を生じ、これは、おそらく、利用可能な補因子Aの量に比較したマロニル−CoAの過剰産生によって引き起こされる代謝不均衡に起因する。致死性もまた、このmatABCオペロンを保持するプラスミドおよび高濃度のメチルマロン酸存在下で、XL1−Blue(E.coliの野生型株)において誘導された。
【0069】
にもかかわらず、上記で示された結果は、matBによりコードされるタンパク質が、遊離マロン酸が利用可能であり;そしてmatCによりコードされるタンパク質によって細胞に輸送される限り、生理的状態下でインビボにてマロニル−CoAを産生することを実証する。従って、matBC遺伝子は、E.coli細胞においてマロニル−CoA利用能を補助するために使用され得、このE.coli細胞において、複合ポリケチドが、マロン酸を供給することによって産生される。
【0070】
マロン酸をマロニル−CoAに変換することに加えて、MatBはまた、メチルマロン酸をメチルマロニル−CoAに変換することが示されている。しかし、得られた産物の立体化学は、報告されていない。この立体化学は、重要である。なぜなら、モジュラーポリケチドシンターゼは、2S−メチルマロニル−CoAという、メチルマロニル−CoAの1つの異性体のみを受容するということが知られているからである(Marsden,A.F.ら、Science(1994)263:378−380)。MatBがメチルマロニル−CoAの正確な異性体を作製し得るか否か調べるために、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合体(GST−MatB)タンパク質をコードする構築物を使用して、このタンパク質を産生した。An,J.H.ら、Biochem.J.(1999)344:159−166を参照のこと。GST−MatBタンパク質を、記述されるような標準的なプロトコールに従って精製し、そしてGST−MatBタンパク質を精製し、エリスロマイシンポリケチドシンターゼ(これもまた、Gokhale,R.S.ら、Science(1999)284:482−485で記述されているようにE.coliにおいて発現される)の(モジュール6+TE)と混合した。
【0071】
初期の研究において、出願人は、インビトロで以下の反応を触媒する能力を実証することによって、(モジュール6+TE)の活性を確かめた。
【0072】
(2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシ−ペンタン酸のN−アセチルシステアミンチオエステル+2(RS)−メチルマロニル−CoA+NADPH→(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−へプタン酸δ−ラクトン+NADP+
【0073】
GST−MatBについての基質としてメチルマロン酸を使用して得られた、このメチルマロニルチオエステル生成物は、この反応のエキステンダーユニットの供給源として作用する正確な立体化学を提供する。より詳細には、インサイチュで上記ポリケチドシンターゼについての基質を生成するために、以下の反応混合物(6+TEおよびGST−MatBを含む)を、100mM リン酸ナトリウム(pH7)緩衝液、1mM EDTA、2.5mM DTTおよび20%グリセロールの反応緩衝液中で、調製した。
【0074】
40mM メチルマロン酸(pH6)
16.6mM MgCl2
5mM ATP
5mM CoASH
13.3mM NADPH
1mM (2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタン酸のN−アセチルシステアミンチオエステル(放射活性形態に調製した)。
【0075】
4時間後、反応物をクエンチし、酢酸エチルで抽出した(反応容量の3倍量で2回の抽出)。サンプルを、減圧下で乾燥し、薄層クロマトグラフィー分析に供した。
【0076】
ポジティブコントロールを、先に記載した条件と同じ条件下で行った。すなわち、この条件下において、(RS)−メチルマロニル−CoAを、メチルマロン酸、MgCl2、ATP、CoASHおよびGST−MatBの組み合わせと置換した。ネガティブコントロールは、GST−MatB融合タンパク質を除いてた、上記に列挙した全ての化合物を含んだ。結果は、上記の二つの酵素系が、ポジティブコントロール反応に匹敵する量で予期された産物を産生し得ることを示す。このことは、MatBが、メチルマロニル−CoAの正確な異性体を合成することを確証する。
【0077】
従って、MatB/MatCは、ポリケチド生合成のための、インビボでのマロニル−CoAおよび2S−メチルマロニル−CoAの両方の合成に有用である。これは、生理学的条件下でのインビボで2S−メチルマロニル−CoAを産生する能力を有するE.coliを操作する最初の例である。さらに、インビボでのmatAの共発現は、プロピオニル−CoAへのメチルマロニル−CoAの変換が可能にし、それにより、このスターターユニットの利用可能な供給源を補助する。
【0078】
(実施例2:プロピオニル−CoAカルボキシラーゼの、2S−メチルマロニル−CoA産生能力)
上記S.coelicolor由来のプロピオニルカルボキシラーゼ遺伝子を利用するために、Hamilton,C.M.ら、J.Bacteriol.(1989)171:4617−4622により開発された方法を用いてE.coli発現宿主(BL−21(DE3))を調製した。新しい株(BAP1)は、E.coliのprpオペロンに挿入されたBacillus subtilis由来のホスホパンテテイン−トランスフェラーゼ遺伝子(sfp遺伝子)を持つ。T7プロモーターにより、sfp発現がもたらされる。組み換え法において、prpE遺伝子をもまた、T7プロモーターの制御下に置いたが、残りのオペロンを除去した。この遺伝子工学的改変により、理想的に3つの性質が与えられる。即ち、1)DEBSおよび可能性のある潜在的他のポリケチドシンターゼ(PKSs)の翻訳後修飾に必要なsfp蛋白質発現;2)理論的にプロピオン酸へのCoASH連結能力を持つ推定的プロピオニル−CoAシンターゼであるprpE蛋白質の発現;および3)炭素/エネルギー源としてプロピオニル−CoAを代謝できない細胞環境、である。
【0079】
まず、BAP1株のsfp遺伝子産物産生により、BAP1株が、これらの細胞で産生されるPKSのホスホパンテテイニル化を引き起こし得るということが実証された。BAP1を、モジュール6+TEについての発現系を持つプラスミドでトランスフェクションし、これにより産生されたモジュールの活性を、sfp遺伝子をプラスミドで挿入したBL−21(DE3)細胞中で組み換え法的に産生されるモジュール活性と比較した。これらのレベルは同等であった。対照的に、BL−21(DE3)において単独で発現させた場合、モジュール6+TEは活性を示さなかった。さらに、BAP1に関して、単独の炭素源としてプロピオン酸が存在する場合、増殖活性がないことを確認した(BL21(DE3)のようなE.coli株により示される特性)。BAP1は、MatBCおよびプロピオニル−CoAカルボキシラーゼなどの酵素と組み合わせたポリケチドシンターゼの異種発現に対する好適な宿主である。
【0080】
T7プロモーター下で、E.coliにおいてプロピオニル−CoAカルボキシラーゼ酵素を発現させた。産生酵素は、インビトロでモジュール6+TEに対して基質を供給し得た。このことは、(2S,2R)2−メチル−3−ヒドロキシペンタン酸のN−アセチルシステアミンチオエステルに対して、プロピオニル−CoAカルボキシラーゼ酵素のメチルマロニル−CoAチオエステル産物のカップリングを利用して証明された。プロピオニル−CoAカルボキシラーゼの構成成分をコードする上記pccBおよびaccA2遺伝子を発現させ、その産物を標準的手順に従って個別に精製した。最初に、pccBおよびaccA2サブユニットを氷上、150mM リン酸(pH7)および300μg BSA中で複合体形成させた。1時間後、100μl体積に対して次の基質を添加し、30℃でさらに30分間インキュベーションを行った。基質とは、
1mM プロピオニル−CoA
50mM 重炭酸ナトリウム
3mM ATP
5mM MgCl2 であった。
【0081】
次に、全量200μlになるように次の試薬の最終セットとともにモジュール6+TEを添加し、30℃でさらに1時間反応させた。試薬の最終セットとは、
10% グリセロール
1.25mM DTT
0.5mM EDTA
4mM NADPH
2mM (2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタン酸のN−アセチルシステアミンチオエステル(放射活性形態として調製)であった。
【0082】
本反応を停止し、上記のように抽出し、予想した産物の形成が示された。ポジティブコントロールには、ラセミ体のマロニル−CoAが含まれていた。本反応からATPまたは重炭酸ナトリウムのどちらかを除去した場合、産物は全く産生されなかった。従って、プロピオニル−CoAカルボキシラーゼにより、ポリケチドシンターゼ活性に適切な基質が産生された。これはポリケチド産生、特に上記の新規発現宿主であるBAP1との組み合わせにおいて特に有用である。
【0083】
pRSG32によりDEBS蛋白質DEBS1+TEを産生させる。DEBS1は、3つのDEBS蛋白質の中で最も弱い発現を示し、最近まで、本酵素はインビトロで全く活性が観察されなかった。しかしながら、M9最小培地中におけるpRSG32を含むE.coliの増殖および22℃での蛋白質発現誘導により、現在、DEBS1+TE活性が再現性をもって観察される。
【0084】
プラスミドpRSG32(DEBS1+TE)およびp132(プロピオニル−CoAカルボキシラーゼのαおよびβコンポーネントを持つプラスミド)を、BAP1に共トランスフェクションした。10mlのM9最小培地の培養を対数増殖期の中間まで増殖させ、IPTGでの誘導および、0.267mM 14Cプロピオン酸添加のために1mlに濃縮した。次に、試料を22℃で12−15時間インキュベーションした。次に、TLC解析のために培養上清を酢酸エチルで抽出した。産物は予想されたポジティブコントロールと共に移動した。野生型BL−21(DE3)を用いた場合、またはp132を除去した場合、これと同じ産物は検出不可能であった。このように、カルボキシラーゼは適切な立体異性体を形成する。
【0085】
さらに、pRSG32、p132、およびpCY214をトランスフォーメーションしたBAP1を含むM9最小培地100ml培養(プロピオニル−CoAカルボキシラーゼαサブユニットに対するビオチンの結合を促進するビオチンリガーゼが含まれていた)を、IPTGを用いて誘導し、そして100mg/L 13C−プロピオン酸を添加するために対数増殖期の中間まで増殖させた。培養上清の抽出および試料の濃縮に際して、13C−NMRにより、予想された富化された産物ピークの位置が確認された。BL−21(DE3)を用いた次のネガティブコントロール実験では、同一のスペクトラムを確認できなかった。インビボで複合ポリケチドを生成するE.coli活性の実証に加えて、これらの結果はまた、BAP1において発現するようにプログラムされているprpE蛋白質が活性を持つということも示唆している。
【0086】
(実施例3:S.coelicolorにおける6−dEB産生の促進)
matBおよびmatC遺伝子の存在はまた、ベクターpCK7上のDEBS遺伝子複合体を挿入してこのポリケチドを産生するように組み換え技術により改変されたS.coelicolorにおける6−dEBの組み換え産生をも促進し得た。DEBS遺伝子を持つプラスミドにより50mg/Lの6−デオキシエリスロノリドB(deoxyerythronolide B)を産生するStreptomyces coelicolorの組み換え株において、matBおよびmatC遺伝子を発現させた。pCK7上のDEBS遺伝子のすぐ下流にmatBおよびmatC遺伝子を挿入した。さらに詳細に言うと、matBC遺伝子の供給源は、matBC遺伝子を持つpMATOP2由来の5kb BglII/HindIII断片を含むPCR−Blunt(Invitrogen)の誘導体であるpFL482である。pFL494をもたらすために、matBC遺伝子を含むpFL482のNsiI断片を、DEBS遺伝子と同じ方向でpCK7のユニークなNsiI部位にクローニングした。S.coelicolor CH999へのプラスミドpFL494のトランスフォーメーションにより、外因性メチルマロン酸(0.1−1g/L)存在下で100−300%のマクロライドタイター上昇が起こった。
【0087】
さらに詳細に説明すると、プラスミドpCK7またはpFL494存在下または非存在下でのS.coelicolor CH999培養物を、フラスコ中でビス−トリスプロパンバッファー(28.2g/L)を補給したR6培地(スクロース、103g/L;K2SO4、0.25g/L;MgCl2・6H2O、10.12g/L;プロピオン酸ナトリウム、0.96g/L;カサミノ酸(Difco)、0.1g/L;微量元素溶液、2mL/L;酵母抽出物(Fisher)、5g/L;pH7)を用いて増殖させた。微量元素溶液には、ZnCl2,40mg/L;FeCl3・6H2O、200mg/L;CuCl2・2H2O、10mg/L;MnCl2・4H2O、10mg/L;Na247・10H2O、10mg/L;(NH46Mo724・4H2Oが含まれていた。プラスミドが含まれる細胞を選択するために、全ての培地に50mg/L チオストレプトン(thiostrepton)(Calbiochem)を添加し、泡立ちを抑えるために5mL/LのアンチフォームB(Antifoam B)(JT Baker)を添加した。培養中に添加する前に、最終DMSO濃度が培地中で約1mL/LになるようにチオストレプトンをDMSOで溶解した。
【0088】
50mL培地の接種により発酵のための種培養を調製し、その後、250mLのバッフル付きフラスコ(Bellco)中で240rpm、30℃にて2日間増殖させた。次に、これらの種培養を、250mLのバッフル付きフラスコ中で、最終体積の5%で、1g/Lのメチルマロン酸存在下または非存在下で50mLの培地への接種に使用した。全てのフラスコ培養を二重試験で行い、毎日試料採取した。バッチ対バッチの結果の再現性を確認するために、一度全体の実験を繰り返した。
【0089】
Allec 500 蒸発光散乱検出器を取り付けたHewlett−Packard 1090 HPLCを用いて6−dEBおよび8,8a−デオキシオレアンドリド(deoxyoleandolide)の定量を行った。HPLC試料をまず、不溶性物質を除去するために5分間、12,000Xgで遠心した。上清(20μL)を4.6X10mmカラム(Inertsil,C18 ODS3,5μm)に載せ、水で洗浄(1ml/分で2分間)し、最後にメインカラム(4.6X50mm、同一の固定相および流速)で、水100%から、アセトニトリル100%までの6分間のグラジエント条件で溶出した。次に、100%アセトニトリルのまま1分間維持した。これらの条件下で、6−dEBは6.2分で溶出、8.8a−デオキシオレアンドリドは5.8分で溶出された。発酵培養液から精製された6−dEBから標準物質を調製した。測定誤差は±10%と推定した。
【0090】
上記のように、pCK7またはpFL494のどちらかを含むS.coelicolor CH999をその6−dEBおよび8,8a−デオキシオレアンドリド生産性に関して比較した。
【0091】
結果を次に示す。
【0092】
1.細胞密度は、両株で実質的に同じであった。
【0093】
2.6日後の最終タイターとして、mg/liters/hourまたはmg/literのいずれで測定しても、6−dEBおよび8,8a−デオキシオレアンドリド両方の産生は、CH999/pCK7と比較して、CH999/pFL494で劇的に促進されている。(スターターユニットとしてプロピオニル−CoAよりもむしろアセチル−CoAを使用するので、8,8a−デオキシオレアンドリドは、位置12にエチルの代わりにメチルを含むということを除いて6−dEBと同じである。)より具体的に、6日後、CH999/pFL494+メチルマロン酸により180mg/Lの6−dEBおよび約90mg/Lの8,8a−デオキシオレアンドリドが産生された。メチルマロン酸を培地に添加しない場合、8,8a−デオキシオレアンドリドが約40mg/L産生された一方、6−dEBは130mg/Lのレベルで産生された。pCK7を持つように改変したCH999について、培地中にメチルマロン酸が存在する場合、6−dEB産生は60mg/Lのみで、その一方、8,8a−デオキシオレアンドリド産生は約20mg/Lであった。メチルマロン酸を添加しない場合、この2種類の改変細胞におけるこれらのそれぞれのマクロライド産生量がわずかに減少した。
【0094】
3.CH999/pFL494は完全に、第6日までに1g/Lで補給したメチルマロン酸を消費した。
【0095】
4.1g/Lメチルマロン酸消費の結果、マクロライドは200mg/Lに累積的に上昇し、メチルマロン酸から産物への転換効率は35%を示した。
【0096】
5.CH999/pFL494は、外因性メチルマロン酸が存在しない場合でも両マクロライドの産生促進を示す(上記2を参照)。
【0097】
6.CH999/pCK7は、外因性メチルマロン酸を添加した場合、6−dEB産生量が20%上昇した(上記2を参照)。
【0098】
天然および異種宿主における既知のポリケチド生産性の促進に加えて、新規ポリケチド産生に対してもMatBを使用する。ポリケチド生合成に対する、(スクシニル−CoAに対して高い特異性を持つ)メチルマロニル−CoAムターゼおよび(アセチル−CoAおよび/またはプロピオニル−CoAが望ましい)アセチル/プロピオニル−CoAカルボキシラーゼなどのようなα−カルボキシル化CoAチオエステル構成要素を産生する他の酵素と比較して、MatBは広い範囲の基質に対して活性を持つ。マロン酸およびメチルマロン酸に加えて、MatBはエチルマロン酸、ジメチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、プロピルマロン酸、アリルマロン酸、シクロプロピルマロン酸、およびシクロブチルマロン酸などの基質を、それらの対応するCoAチオエステルへ活性化し得る。
【0099】
これらの基質のポリケチドシンターゼへの取り込みには適切なアシルトランスフェラーゼ(AT)が必要であり、これらの基質はポリケチドシンターゼの適当なモジュールへ操作され得、その結果ポリケチドシンターゼは、非天然基質を受容し得る。CH999/pFL494に供給した場合、これらのジカルボン酸からは検出可能な量の新規化合物が得られないが、あるPKS酵素は天然に、直交性の基質特異性を持つATドメインを持つ。例えば、FK506PKSは、マロニル−CoAまたはメチルマロニル−CoAなどの基質よりはむしろプロピルマロニル−CoAなどのような大型の基質を通常的に取り込むアシルトランスフェラーゼドメインを含み、従って、全くPKSを操作することなく、MatB−産生非天然構成要素を受容し得る。
【0100】
Lai,J.ら、Biochemistry(1999)38:1643−1651で記述されている蛋白質工学的方法を用いて、pFL494におけるDEBSのモジュール6のATドメインを、エチルマロニル−CoAを取り込むニダマイシン(niddamycin)AT4ドメイン由来の特異性決定部分を持つように改変した。Kakavas,S.J.ら、J.Bacteriol(1997)179:7515−7522を参照すること。得られたプラスミドpFL508をCH999に形質転換した。この株にエチルマロン酸を供給することにより、マススペクトロメトリーで、6dEBに匹敵するレベルの2−エチル−6dEBに対応する産物の検出が可能であった。エチルマロン酸を添加しない場合、またはmatBC遺伝子を欠くコントロール株の場合、新規化合物は検出不可能であった。
【0101】
(実施例4:E.coliにおける6−dEB産生)
本発明者らは、機能的PKS、パンテテイニルトランスフェラーゼおよび、スターターユニットおよびエキステンダーユニットを産生する一つ以上の経路を発現する能力をプログラムした場合に、E.coliが複合化した完全なポリケチド形成能を持つことを示した。prpオペロンのprpA−D部分を欠失させることによって、即ちプロピオニル−CoAシンテターゼをコードするprpE遺伝子座をもT7プロモーター制御下に置くことによって、Bacillus subtilis由来のホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ遺伝子(sfp遺伝子)をファージT7プロモーター制御下の染色体に挿入することにより、Novagenから得たE.coli株BL−21(DE)を遺伝子工学的に改変した。次に、この遺伝子工学的改変株を、プロピオニル−CoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子、およびプロピオニル−CoAカルボキシラーゼ酵素を活性化するために必要なビオチンリガーゼをコードする遺伝子と同様に、またT7プロモーター制御下でDEBS1、DEBS2およびDEBS3蛋白質をコードする3つの遺伝子に対する発現系を持つように改変した。得られたE.coliは、6−dEBについての完全なシンターゼ、このPKS活性化に必要なホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ、プロピオニルCoAからメチルマロニル−CoAを供給するプロピオニル−CoAカルボキシラーゼ酵素を含み、また、外因性プロピオン酸をプロピオニル−CoAへと変換させ得る外因性プロピオニル−CoAシンターゼの産生に対する誘導手段を持つ。さらに、プロピオン酸異化の外因性の系が解除されている。
【0102】
従って、誘導プロモーターの制御下で、E.coliに対してスターターユニットおよびエキステンダーユニットの両方の合成のための酵素が与えられ、スターターユニットおよびエキステンダーユニットのプロピオン酸前駆体の分解のための外因性の機構が解除され、PKS蛋白質の活性化のための酵素の発現系とともに、必要なPKS蛋白質に対する発現系(誘導プロモーター下)が与えられている。
【0103】
より詳細に、Hamiltonら、J.Bacteriol(1989)171:4617−4622で記述されている手順に従って遺伝子工学的に改変したBL−21(DE3)株を調製した。この文献に記述されているpMAK705誘導体を調製した。得られたベクターにおいて、sfp遺伝子と組み合わせたT7プロモーターは、prpオペロンのA遺伝子座上流と一致する1000塩基対配列およびこのオペロンのE遺伝子座下流の配列と一致する1000塩基対配列と隣接した。Nakanoら、Mol.Gen.Genet.(1992)232:313−321で記述されているプラスミド、pUC8−sfpからsfp遺伝子を得た。得られた挿入配列はprp遺伝子座A−Dを欠失し、それらの場所にsfp遺伝子を制御するT7プロモーターが挿入されており、さらにその結果、T7プロモーター制御下にprpE遺伝子座が置かれている。T7プロモーターはIPTGにより誘導可能である。
【0104】
BAP1と呼ばれる、得られた遺伝子工学的改変宿主に対して、それぞれ異なる抗生物質耐性について選択可能な3つのプラスミドを用いてトランスフェクションを行った。これらのプラスミドは次のようなものであった。即ち、
pBP130は、Novagenから入手したpET21(carbR)由来で、T7プロモーター制御下でDEBS2およびDEBS3遺伝子を持つように改変した。
【0105】
pBP144も、Novagenから入手可能なpET28(kanR)改変体で、T7プロモーター制御下でpccおよびDEBS1遺伝子を持つ。
【0106】
pCY214(cmR)は、araプロモーター下でE.coli bira(BirA)(ビオチンリガーゼ)遺伝子を持つもので、Chapman−Smithら、Biochem.J.(1994)302:881−887で記述されている。このプラスミドはDr.Hugo Gramajoから譲渡された。PCC蛋白質およびpcc遺伝子は、Rodriguezら、Microbiol.(1999)145:3109−3119にて記述されている。
【0107】
6−dEBを産生させるために、pBP130、pBP144およびpCY214で形質転換したBAP1細胞を適切な抗生物質を添加してM9最小培地中で増殖させた。本培養を対数増殖期の中間まで増殖させ、その後IPTGおよびアラビノースによる誘導を行い、250mg/L 13C−1−プロピオン酸を付随的に添加した。誘導培養は22℃で12−24時間行った。(最小培地およびより低温であることの両方がDEBS遺伝子発現に有用であることが分かった。プロピオン酸が6−dEBに転換されていた一方で、グルコースにより一般的代謝のための炭素源およびエネルギー源が与えられたため、このプロトコールにより、6−dEBの増殖関連産生が可能になった。)
12−24時間後、培養上清を酢酸エチルで抽出した。13C−NMR解析を行うために、有機層を減圧下で乾燥させCDCl3で再溶解した。付随するスペクトラムにより、6−dEBが主要な13C−標識産物であることが示された。13C−1−プロピオン酸の代わりに13C−3−プロピオン酸を用いた別の実験で確認されたように、120−140ppmの範囲のピークを持つ他の主要な13C標識化合物は、プロピオン酸取り込み由来ではなかった。6−dEBに対応するピーク強度から、少なくとも75%の外因性プロピオン酸が6−dEBに転換されたと推定される。このことは、発酵終了時に培養用培地の13C NMRスペクトラム由来プロピオン酸シグナルが消えたことと一致した。pBP130またはpBP144のどちらかを欠損しているネガティブコントロール株では、検出可能な量の6−dEBが生じなかった。
【0108】
低い細胞密度(OD600が0.5−2.5の範囲)で前述の実験を行った。E.coliにおける組み換え産物合成の主要な長所は、その特異的触媒活性を著しく損失することなく、この細菌が非常に高い細胞密度(OD600が100−200の範囲)まで増殖し得るということである。
【0109】
非天然発現系におけるmatBおよびC遺伝子または、他生物由来である任意のそれらのホモログを使用することは、任意の微生物宿主における任意のα−カルボキシル化CoAチオエステルのインビボ産生のための一般的方法として有用である。そのようなCoAチオエステルのインビボ産生は、天然ポリケチド生産性の促進または新規ポリケチドの産生を意味し得るだろう。matA遺伝子もまた、インビボレベルでのアセチル−CoAおよびプロピオニル−CoAのような基質供給に有用である。そのような無細胞合成系においてCoAチオエステルが最も高価な成分であるため、精製MatBをまた、調製用のインビトロ ポリケチド産生にも使用する。
【0110】
(実施例5:ジケチドの取り込み)
実施例4で記述したBAP1 E.coli宿主生物に対して、PCCAおよびBサブユニットのための発現系を持つp132および、DEBS3のモジュール6+TEのための発現系を持つpRSG36を用いてトランスフェクションを行った。トランスフェクションを行った培養物を、両プラスミドについて最小選択培地中で増殖させ、14C標識ジケチドを供給した。誘導を行い、プロピオン酸を与えた場合、14C標識トリケチドが得られた。

Claims (6)

  1. ポリケチドの合成について遺伝子改変された組換えE.coli宿主細胞であって、
    該改変は、
    a)Streptomyces coelicolor由来のmatBC遺伝子またはRhizobium trifoli由来のmatBC遺伝子の組込み;
    b)モジュラーポリケチドシンターゼについての少なくとも1つの発現系の組込み;および
    c)Bacillus subtilis由来sfp遺伝子の組込み;
    を含む、宿主細胞。
  2. 請求項1に記載の宿主細胞であって、
    前記改変は、Rhizobium trifoli由来のmatA遺伝子の組込みをさらに含む、
    宿主細胞。
  3. 請求項1に記載の宿主細胞であって、
    前記matBC遺伝子は、Rhizobium trifoli由来である、
    宿主細胞。
  4. ポリケチドを産生するための方法であって、
    該ポリケチドが産生される条件下で、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の細胞を培養する工程
    を包含する、方法。
  5. ポリケチドの合成について遺伝子改変されている組換えE.coli宿主細胞であって、
    該改変は、
    a)Streptomyces coelicolor由来のpccB遺伝子およびaccA2遺伝子を含むプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(pcc)発現系の組込みであって、該pcc発現系は、2S−メチルマロニルCoAを合成可能な酵素を産生する、組込み;
    b)モジュラーポリケチドシンターゼについての少なくとも1つの発現系の組込み;および
    c)Bacillus subtilis由来sfp遺伝子の組込み;
    を含み、該細胞のprpA〜Dオペロンは欠失している、宿主細胞であって、ここで、該E.coliがBAP1である、宿主細胞
  6. ポリケチドを産生するための方法であって、
    該ポリケチドが産生される条件下で、請求項5に記載の細胞を培養する工程
    を包含する、方法。
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