JP5142267B2 - 短鎖両性界面活性剤 - Google Patents

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Description

本発明は新規な短鎖両性界面活性剤に関する。さらに詳しく言えば、本発明は短時間で純度よく大量かつ簡便に製造可能であり、優れた界面特性(高い表面張力低下能、適度な濃度範囲でのミセル形成など)を示し、化学的安定性(室温での長期保存性など)も高く、特に生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)への作用が穏和であって、各種基板の表面処理剤、化粧品添加剤、顔料などの分散剤、乳化剤、脱乳化剤、塗料やインクなどに添加する湿潤剤や浸透剤、特にタンパク質のハンドリングなど生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)の各種処理剤として有用な新規な短鎖両性界面活性剤に関する。
炭化水素系界面活性剤は、洗浄、表面処理、金属加工、採鉱などに使用される工業用処理剤、家庭用洗浄剤ならびに清浄剤、さらにそれらのいくつかは生体分子との相互作用が比較的穏和であることから、医薬品、化粧品、食品の添加剤や、各種生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)の分離抽出剤、処理剤などとして広く使用されている。
このような炭化水素系界面活性剤としては、例えば、石鹸やアルキル硫酸ナトリウム、あるいはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどで例示されるアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム臭化物やアルキルピリジニウム塩化物などで例示されるカチオン性界面活性剤、アルキルスルホベタインやアルキルジメチルアミンオキシドなどで例示される両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリグリセリン脂肪酸エステル、あるいはアルキルポリグリコシドに例示される非イオン性界面活性剤が、人為的手段によって合成され、一般に入手容易な炭化水素系界面活性剤として上市されている。
また、フッ素化アルキル鎖に親水性基としてスルホン酸基やカルボキシル基が導入されたパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)などで例示されるフッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル直鎖同士の凝集エネルギーが非フッ素化アルキル直鎖同士の凝集エネルギーに比べてはるかに低い。
このため、炭化水素系界面活性剤では到達できない程度まで水の表面張力を低下させ得る、有機溶媒中でもその表面張力を著しく低下させ得る、など、優れた界面活性を示すことが知られている。
この特性から、フッ素系界面活性剤は、表面処理剤、顔料などの分散剤、塗料やインクなどに添加する湿潤剤や浸透剤などに広く使用されている。さらにフッ素化アルキル鎖自体は生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)との親和性も炭化水素鎖に比べて低いことが知られている(非特許文献1)。
しかしながら、上述した炭化水素系界面活性剤ならびにフッ素系界面活性剤については、それぞれ改善が望ましい性質もある。すなわち、炭化水素系界面活性剤については、直鎖長がある程度長く(通例炭素数10以上)ならないと、大きな表面張力低下能が得られず、また可溶化に必要なミセル形成濃度(臨界ミセル濃度)も適度な濃度範囲(0.1mM〜数10mM)にならない。
一方、イオン性界面活性剤の場合は、その溶解度が急激に低下する温度(クラフト点)が鎖長とともに上昇するため、温度によっては均一な溶液としては使用困難になることも多い。また溶液のpHや共存イオン種・濃度によっても界面特性が大きく影響される。加えて、タンパク質の可溶化においては、荷電基によってタンパク質の変性が引き起こされることはよく知られている。
また、非イオン性界面活性剤や両性界面活性剤の場合は、溶液条件には比較的影響されないが、例えば膜タンパク質可溶化に繁用されるオクチルグルコシドのような糖鎖を親水性基とする非イオン性界面活性剤は、臨界ミセル濃度が比較的高いため、生体高分子処理工程後の除去が容易であるが、化学的に不安定で常温では変質しやすく、また色素−タンパク質複合体において色素に影響を与え、生体高分子のハンドリングにおいて必ずしも適さない側面がある(非特許文献2)。
一方、ポリオキシエチレン鎖を親水性基とする非イオン性界面活性剤は、タンパク質変性など生体高分子への作用は著しく弱いが、臨界ミセル濃度が低い場合が多く、生体高分子処理工程後に除去するのが困難なことが多い。
他方、フッ素系界面活性剤については、通常入手できるものはイオン性界面活性剤であるため、上述のように荷電基による生体高分子の変性を引き起こす懸念があり、好ましくない。またパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤は高価であり、優れた特性を保持しつつ、フッ素含有割合を減らす工夫が必要であるとされている(非特許文献3)。
E. Kissa, Fluorinated Surfactants and Repellents, 2nd Ed., Marcel Dekker, NY, 2001. N.A. Dencher, M.P. Heyn, FEBS Lett., 96 (1978) 322-326. 表面, 36 (1998) 62頁
本発明は、上述のような背景のもとで、短時間で純度よく大量かつ簡便に製造可能であり、優れた界面特性(高い表面張力低下能、適度な濃度範囲でのミセル形成など)を示し、化学的安定性(室温での長期保存性など)も高く、特に生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)への作用が穏和であるような界面活性剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決する界面活性剤を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、生体膜の主要構成脂質であるリン脂質のリンを含む両性イオン基が、ある範囲のpHでは正味の電荷を持たないこと、各種イオンとの相互作用が比較的弱いこと、および生体高分子である膜タンパク質と悪影響なく共在していることに着目し、これを親水性基として選定した。また、疎水性が高い一方、水中では広い温度範囲で水和結晶にならず液体相当の状態をとり、また溶解性が高いことに着目して、短主鎖長(炭素数8)のメチル分枝含有炭化水素鎖あるいは短主鎖長の部分的フッ素化炭化水素鎖を疎水鎖として選定した。これらの親水性基と疎水鎖を反応させることにより、優れた界面活性を示し、生体高分子への作用が穏和である、新規な短鎖両性界面活性剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1)
(式中、R〜Rは、水素原子又はフッ素原子、R〜R17は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、すべて同一でも異なっていても良い。ただし、R〜R17のすべてが水素原子であるものは除く。R18は、下記の(2)〜(5)のいずれかで表されるリン含有両性親水性基である。
で表される新規な短鎖両性界面活性剤を提供するものである。
本発明の新規な短鎖両性界面活性剤は、炭化水素鎖に導入されたメチル分枝や、分子内体積が異なるメチル基とトリフルオロメチル基、あるいはメチレン基とジフルオロメチレン基の組み合わせと言った部分的フッ素化炭化水素鎖により、疎水鎖同士の規則的な配向による充填性を低下させ、以て広い温度範囲で疎水鎖を液体相当の状態に維持できることにより、広い温度範囲でその溶液が調製できる。
また、メチル分枝や部分的フッ素化炭化水素鎖は主鎖部分の疎水性を高める一方、それらの凝集エネルギーは同鎖長のアルキル直鎖同士の凝集エネルギーに比べて低いため、より大きな表面張力低下能を発揮し、また、疎水性の向上により、同鎖長のアルキル直鎖の界面活性剤よりもミセルを形成しやすくなり、適度な濃度範囲(0.1mM〜数10mM)でミセルを形成する。
さらに、メチル分枝や部分的フッ素化炭化水素鎖は、生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)との相互作用が比較的弱く、また親水性基がタンパク質などの生体高分子と悪影響なく共在しているリン脂質のリンを含む両性イオン基であることから、正味電荷による生体高分子の変性作用の懸念も少なく、よって生体高分子に対して作用が穏和な両性界面活性剤ということができる。
また、本発明に係る短鎖両性界面活性剤は、短時間で純度よく大量かつ簡便に製造することができる。
本発明に係る新規な短鎖両性界面活性剤は、各種基板の表面処理剤、化粧品添加剤、顔料などの分散剤、乳化剤、脱乳化剤、塗料やインクなどに添加する湿潤剤や浸透剤、特にタンパク質のハンドリングなど生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)の各種処理剤として用いることができる。
本発明に係る新規な短鎖両性界面活性剤は、下記一般式(1)で表される。
(式中、R〜Rは、水素原子又はフッ素原子、R〜R17は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、すべて同一でも異なっていても良い。ただし、R〜R17のすべてが水素原子であるものは除く。R18は、下記の(2)〜(5)のいずれかで表されるリン含有両性親水性基である。
本発明の短鎖両性界面活性剤の第一の特徴は、親水基として、ある範囲のpHでは正味の電荷を持たないこと、各種イオンとの相互作用が比較的弱いこと、および生体高分子である膜タンパク質と悪影響なく共在することなどの利点を有する、陽イオン部位と陰イオン部位を共に有するリン含有両性親水性基を選定した点にある。
また、第二の特徴は、疎水基として、疎水性が高い一方、水中では広い温度範囲で水和結晶にならず液体相当の状態をとり、また溶解性が高いこと等の特長を有する、短主鎖長(炭素数8)のメチル分枝含有炭化水素鎖あるいは短主鎖長の部分的フッ素化炭化水素鎖を疎水鎖として選定した点にある。
そして、本発明は、これらの親水性基と疎水鎖を反応させることにより、優れた界面活性を示し、生体高分子への作用が穏和である、新規な短鎖両性界面活性剤を得ることに成功したものである。
上記第一の特徴に鑑み、上記一般式(1)において、R18としては、陽イオン部位と陰イオン部位を共に有するリン含有両性親水性基であればいずれでもよい。このような基としては、たとえば、ホスホコリン、ホスホエタノールアミン、ホスホエタノール-N-モノメチルアミン、ホスホエタノール-N,N-ジメチルアミンなどが例示される。この中でもホスホコリンが好ましい。
上記第二の特徴に鑑み、上記一般式(1)において、R〜Rは、水素原子又はフッ素原子、R〜R17は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基のいずれであってもよい。ただし、R〜R17のすべてが水素原子であるものは除かれる。R〜R17としては、この中でも、3,7-ジメチルオクタノール、3,7-ジ(トリフルオロメチル)オクタノール、3,7-ジ(トリフルオロメチル)-2,2,4,4,5,5,6,6,8,8,8-ウンデカフルオロオクタノール、8,8,8-トリフルオロオクタノール、7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクタノール、6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロオクタノール、5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタノール、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ウンデカフルオロオクタノール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクタノールから由来するものが好ましい。
一般式(1)で示される化合物の代表例としては、たとえば、以下のものが例示される。
本願発明に係る前記一般式(1)で示される化合物は、種々の方法で製造することができる。
このような製法例としては、例えば、末端不飽和アルコールに含フッ素アルキルヨウ化物を反応付加させ、その後、適当な手法でヨウ素と水素を交換させることにより、疎水鎖部分となる部分的フッ素化アルコールを生成させ、さらにこれに、親水性基部分であるホスホコリン基やホスホエタノールアミン基などを、例えば、2−ブロモエチルジクロロホスフェートと、対応するアミンの共存下、リン酸エステル縮合させる形で目的化合物を得ると言う方法が挙げられる。疎水鎖にメチル分枝やトリフルオロメチル分枝があるものについても、対応する市販の分枝アルキル化剤を利用することで疎水鎖部分を生成させ、これにリン酸エステル縮合により親水性基部分を導入して目的化合物を得るという方法が挙げられる。
本発明の新規な短鎖両性界面活性剤は、炭化水素鎖に導入されたメチル分枝や、分子内体積が異なるメチル基とトリフルオロメチル基、あるいはメチレン基とジフルオロメチレン基の組み合わせと言った部分的フッ素化炭化水素鎖により、疎水鎖同士の規則的な配向による充填性を低下させ、以て広い温度範囲で疎水鎖を液体相当の状態に維持できることにより、広い温度範囲でその溶液が調製できる。
また、メチル分枝や部分的フッ素化炭化水素鎖は主鎖部分の疎水性を高める一方、それらの凝集エネルギーは同鎖長のアルキル直鎖同士の凝集エネルギーに比べて低いため、より大きな表面張力低下能を発揮し、また、疎水性の向上により、同鎖長のアルキル直鎖の界面活性剤よりもミセル形成しやすくなり、適度な濃度範囲(0.1mM〜数10mM)でミセルを形成する。
さらに、メチル分枝や部分的フッ素化炭化水素鎖は、生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)との相互作用が比較的弱く、また親水性基がタンパク質などの生体高分子と悪影響なく共在しているリン脂質のリンを含む両性イオン基であることから、正味電荷による生体高分子の変性作用の懸念も少なく、よって生体高分子に対して作用が穏和な両性界面活性剤ということができる。
また、本発明に係る短鎖両性界面活性剤は、短時間で純度よく大量かつ簡便に製造することができる。
本発明に係る新規な短鎖両性界面活性剤は、各種基板の表面処理剤、化粧品添加剤、顔料などの分散剤、乳化剤、脱乳化剤、塗料やインクなどに添加する湿潤剤や浸透剤、特にタンパク質のハンドリングなど生体高分子(脂質膜、タンパク質、糖鎖、核酸など)の各種処理剤として用いることができる。
以下、本発明につき実施例を挙げて説明するが、その要旨を越えない限り以下に限定されるものではない。
実施例1:化合物3の合成
[化合物1の合成]
5−ヘキセン−1−オール(1当量)と2,2,2−トリフルオロエチルヨウ化物(2〜5当量)のアセトニトリル−水混液に、炭酸水素ナトリウム(0.5当量)とハイドロサルファナトリウム(0.5当量)を加え、室温にて3−6日間攪拌した。水を加え、塩化メチレンで抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40% 酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、化合物1を63−73%で得た。
[化合物2の合成]
亜鉛(3当量)と塩化ニッケル(0.1当量)のテトラヒドロフラン−水懸濁液に、化合物1(1当量)のテトラヒドロフラン溶液を加え、室温にて18時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40% 酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、化合物2を83%で得た。
[化合物3の合成]
氷冷下、化合物2(1.0当量)のベンゼン溶液に、トリエチルアミン(2.5当量)、2−ブロモエチルジクロロホスフェート(1.5当量)のベンゼン溶液を順に加え、室温にて18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、水を加え4時間攪拌した。クロロホルムで抽出し、減圧下溶媒を留去した後、アセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=5:3:5混合溶媒と30%トリメチルアミン水溶液を加え、60℃で18時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物3を97%で得た。
化合物3はH−NMRおよび19F−NMRスペクトルにより同定した。
結果は以下の通りである。
H−NMR(TMS,CDCl−CDOD):1.38(bs、6H)、1.50−1.63(m、4H)、1.99−2.12(m、2H)、3.30(s、9H)、3.72(m、2H)、3.82(q、J = 6.70Hz、2H)、4.24(m、2H)。
19F−NMR(BTF,CDCl−CDOD):−3.60(t、J = 10.4Hz、3F)
実施例2:化合物6の合成
[化合物4の合成]
3−ブテン−1−オール(1当量)とパーフルオロブチルヨウ化物(2当量)のアセトニトリル−水混液に、炭酸水素ナトリウム(0.5当量)とハイドロサルファナトリウム(0.5当量)を加え、室温にて4日間攪拌した。水を加え、塩化メチレンで抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40% 酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、化合物4を75−85%で得た。
[化合物5の合成]
亜鉛(3当量)と塩化ニッケル(0.1当量)のテトラヒドロフラン−水懸濁液に、化合物4(1当量)のテトラヒドロフラン溶液を加え、室温にて18時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40% 酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、化合物5を66−76%で得た。
[化合物6の合成]
氷冷下、化合物5(1.0当量)のベンゼン溶液に、トリエチルアミン(2.5当量)、2−ブロモエチルジクロロホスフェート(1.5当量)のベンゼン溶液を順に加え、室温にて18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、水を加え4時間攪拌した。クロロホルムで抽出し、減圧下溶媒を留去した後、アセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=5:3:5混合溶媒と30%トリメチルアミン水溶液を加え、60℃で18時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物6を94%で得た。
化合物6はH−NMRおよび19F−NMRスペクトルにより同定した。
結果は以下の通りである。
H−NMR(TMS,CDCl−CDOD):1.69(m、4H)、2.10(m、2H)、3.30(s、9H)、3.71(m、2H)、3.88(m、2H)、4.27(bs、2H)。
19F−NMR(BTF,CDCl−CDOD):−18.38(t、J = 10.44Hz、3F)、−51.90(m、2F)、−61.75(m、2F)、−63.30(m、2F)。
実施例3:化合物7の合成
[化合物7の合成]
氷冷下、1H,1H−パーフルオロオクタン−1−オール(1.0当量)のベンゼン溶液に、トリエチルアミン(2.5当量)、2−ブロモエチルジクロロホスフェート(1.5当量)のベンゼン溶液を順に加え、室温にて18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、水を加え4時間攪拌した。クロロホルムで抽出し、減圧下溶媒を留去した後、アセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=5:3:5混合溶媒と30%トリメチルアミン水溶液を加え、60℃で18時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物7を75%で得た。
化合物7はH−NMRおよび19F−NMRスペクトルにより同定した。
結果は以下の通りである。
H−NMR(TMS,CDCl−CDOD):3.25(s、9H)、3.68(m、2H)、4.29(m、2H)、4.37(td、J = 14.4、6.71Hz、2H)。
19F−NMR(BTF,CDCl−CDOD):−18.04(t、J = 9.14Hz、3F)、−58.07(m、2F)、−59.25(m、4F)、−59.97(bs、2F)、−60.51(bs、2F)、−63.34(m、2F)。
実施例4:化合物8の合成
[化合物8の合成]
氷冷下、1H,1H−パーフルオロ−(3,7−ジメチルオクタン−1−オール)(1.0当量)のベンゼン溶液に、トリエチルアミン(2.5当量)、2−ブロモエチルジクロロホスフェート(1.5当量)のベンゼン溶液を順に加え、室温にて18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、水を加え4時間攪拌した。クロロホルムで抽出し、減圧下溶媒を留去した後、アセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=5:3:5混合溶媒と30%トリメチルアミン水溶液を加え、60℃で18時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物8を72%で得た。
化合物8はH−NMRおよび19F−NMRスペクトルにより同定した。
結果は以下の通りである。
H−NMR(TMS,CDCl−CDOD):3.26(s、9H)、3.71−3.73(m、2H)、4.29(m、2H)、4.34−4.43(m、2H)。
19F−NMR(BTF,CDCl−CDOD):−7.92(m、3F)、−9.14(m、6F)、−48.7(m、1F)、−50.2(m、3F)、−56.1(m、2F)、−123.3(m、2F)。
実施例5:化合物9の合成
[化合物9の合成]
氷冷下、3,7−ジメチルオクタン−1−オール(1.0当量)のベンゼン溶液に、トリエチルアミン(2.5当量)、2−ブロモエチルジクロロホスフェート(1.5当量)のベンゼン溶液を順に加え、室温にて18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去した後、水を加え4時間攪拌した。クロロホルムで抽出し、減圧下溶媒を留去した後、アセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=5:3:5混合溶媒と30%トリメチルアミン水溶液を加え、60℃で18時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物9を93%で得た。
化合物9はH−NMRスペクトルにより同定した。
結果は以下の通りである。
H−NMR(TMS,CDCl−CDOD):0.860(d、J=6.63Hz、6H)、0.863(d,J=6.40Hz、3H)、1.05−1.41(m、7H)、1.46−1.66(m、3H)、3.38(s、9H)、3.77−3.89(m、4H)、4.26(m、2H)。
実施例6:気水界面特性評価
短鎖両性界面活性剤の気水界面における特性の評価として、臨界ミセル濃度および表面張力低下能を測定した。評価方法は以下の通りである。
[臨界ミセル濃度]
短鎖両性界面活性剤を蒸留水に種々の濃度で溶解し、それぞれの水溶液の25℃における表面張力を、ウィルヘルミープレート法により測定した。ウィルヘルミープレートとしては、表面を荒らした赤熱処理後の白金板を用い、これを電子天秤に装着して測定に供した。界面活性剤濃度(対数)と表面張力との関係をプロットし、グラフの屈曲点を臨界ミセル濃度と決定した。
[表面張力低下能]
短鎖両性界面活性剤の蒸留水に対する表面張力低下能を、臨界ミセル濃度における25℃での表面張力から決定した。なお、臨界ミセル濃度以上でも表面張力が大きく変化する場合は、臨界ミセル濃度より高い濃度に調製した溶液試料の表面張力も測定した。
25℃における臨界ミセル濃度および表面張力低下能の結果を表1に示す。表1から、比較に用いた炭化水素系直鎖両性界面活性剤のオクチルホスホコリンに比べ、新規の短鎖両性界面活性剤である化合物3、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9の蒸留水中での臨界ミセル濃度は、使用上適度と考えられる濃度範囲(0.1mM〜数10mM)であること、また水溶液の表面張力は比較例より低くなり、新規の短鎖両性界面活性剤は、その表面張力低下能が向上することが認められた。
実施例7:可溶性タンパク質に対する変性作用
短鎖両性界面活性剤の可溶性タンパク質に対する変性作用を評価するため、可溶性酵素である卵白リゾチーム(分子量14.3kD)を可溶性タンパク質のモデルとして用い、その溶菌活性への影響を測定した。
卵白リゾチームの基質としては、グラム陽性菌であるMicrococcus lysodeikticusを用いた。乾燥菌体を最終濃度0.25mg/mlとなるよう、50mMリン酸緩衝液(pH6.2)に懸濁し、これに所定の濃度の界面活性剤溶液を添加し、さらにこれに卵白リゾチームを最終濃度2.5μg/mlとなるよう添加した。卵白リゾチームの溶菌反応により混合懸濁液が透明になる過程を、450nmにおける吸光度減少により観察した。反応は全て25℃で行った。
その結果、短鎖両性界面活性剤の化合物6,化合物7,化合物8については、それぞれ1mMの濃度までは卵白リゾチームの溶菌活性に有意な変化をもたらさなかった。また化合物9は10mMの濃度までは卵白リゾチームの溶菌活性に有意な変化をもたらさなかった。これらに比較して、タンパク質の変性可溶化剤として繁用されるイオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム(純水中の臨界ミセル濃度8.5mM)は、1mMで卵白リゾチームの溶菌活性を消失させた。短鎖両性界面活性剤の卵白リゾチームに対する変性作用は極めて低いと判断された。
実施例8:膜タンパク質との相互作用
短鎖両性界面活性剤の膜タンパク質との相互作用を評価するため、色素を含む膜タンパク質であるバクテリオロドプシン(分子量26kD)脂質膜複合体(紫膜)を膜タンパク質のモデルとして用い、紫膜内で形成しているバクテリオロドプシン三量体に対しての作用を検討した。
紫膜をバクテリオロドプシンの最終濃度として3.3μMとなるように25mMリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁し、さらに種々の濃度で調製した界面活性剤溶液を添加した後、25℃の暗所で24時間インキュベートした。バクテリオロドプシン三量体色素(レチナール)間の励起子相互作用は、円二色性スペクトルの400−700nm領域において負のコットンカップレットとして現れるが、二量体や単量体に分解すると、コットンカップレットの振幅が小さくなる。この振幅の大きさを指標に、界面活性剤濃度に対するバクテリオロドプシンの膜内会合性変化(二量体ないし単量体化)を、円二色性スペクトル測定により比較した。測定は全て25℃で行った。
その結果を図1および図2に示す。なお、これらの図は紫膜懸濁液に界面活性剤を添加し、25℃の暗所にて24時間インキュベートした後、円二色性スペクトルを測定することにより作成したものである。
図1および図2から、本発明に係る短鎖両性界面活性剤(化合物6〜9)は、比較となる汎用界面活性剤(オクチルグルコシド、Triton X−100)や市販の短鎖両性の界面活性剤(ジオクタノイルレシチン)に比べて色素三量体の残存率が大きく、膜タンパク質への作用は極めて低く、この膜タンパク質に対しては極めて穏和な界面活性剤であると判断された。
種々の界面活性剤変化に依存するバクテリオロドプシンの色素三量体の残存率の変化を示すグラフ。 種々の界面活性剤変化に依存するバクテリオロドプシンの色素三量体の残存率の変化を示すグラフ。

Claims (2)

  1. 下記の式(1)〜(5)のいずれかで表される短鎖両性界面活性剤。
  2. 請求項1に記載の短鎖両性界面活性剤からなる生体高分子用界面活性剤。
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