JP2000355594A - 含フッ素新規化合物 - Google Patents

含フッ素新規化合物

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JP2000355594A
JP2000355594A JP11165964A JP16596499A JP2000355594A JP 2000355594 A JP2000355594 A JP 2000355594A JP 11165964 A JP11165964 A JP 11165964A JP 16596499 A JP16596499 A JP 16596499A JP 2000355594 A JP2000355594 A JP 2000355594A
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Tadao Nakaya
忠雄 仲矢
Michiaki Hida
道昭 飛田
Yukinori Noguchi
幸紀 野口
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】水の表面張力を著しく低下させる新規な化合物
を提供する。 【解決手段】一般式1のホスファチジルコリン基を含む
新規なフルオロカーボン系化合物。 (Rはメチル基またはエチル基、RおよびRは水
素、メチル基、エチル基またはベンジル基、RはCF
−または(CF−CF−を表し、nは1または
2の整数、mは1〜6の整数、そしてlは1〜9の整数
を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なホスファチ
ジルコリン基を含むフルオロカーボン系化合物に関し、
その水溶液は著しく低い表面張力を示し、例えば界面活
性剤として有用な化合物を提供する。
【0002】
【従来の技術】従来から、界面活性を示す化合物として
はカチオン系、アニオン系、ノニオン系あるいは両性イ
オン系と分類される種々の化合物が提案され、その洗浄
力、分散力、乳化力、可溶化力、湿潤力、殺菌力、起泡
力あるいは浸透力を活用して多様な目的に合わせて広い
方面で実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、例え
ばその水溶液が極めて低い表面張力を示す新規な化合物
を提供することである。
【0004】従来から界面活性剤として実用化されてい
る化合物では、その水溶液は通常20dyne/cm程
度、低くても高だか15dyne/cmという値の表面
張力を示すことが判っている。
【0005】これに対して、本発明者らは、本発明の新
規化合物の一つは1%水溶液で常温常圧で7.2dyn
e/cmという驚異的に低い値の表面張力を示すことを
発見した。因みに、水は20℃常圧で72.8dyne
/cmの表面張力値を持つことが知られている。
【0006】従って、本発明は、例えば、界面活性剤の
原料として有用な新規化合物を提供することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、界面活性
剤として有用な化合物を開発することを目的として鋭意
検討を進め、ホスファチジルコリン系の化合物に着目
し、フルオロカーボン基を導入した新規化合物を得た。
得られた化合物の水溶液の表面張力を測定したところ、
異常に低い値を示すという知見を得て、本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は、一般式(1)
【化1】 (式中、R1はメチル基またはエチル基、R2およびR3
は水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基、R
4はCF3−または(CF32−CF−を表し、nは1ま
たは2の整数、mは1から6の整数、そしてlは1から
9の整数を表す。)で表されるホスファチジルコリン基
を含むフルオロカーボン系化合物を提供するものであ
る。
【0009】式(1)において、R1、R2およびR3
メチル基であり、nが2であるホスファチジル残基が通
常「ホスファチジルコリン基」と呼ばれるが、本発明に
おいては、R1、R2およびR3が本発明で規定する基で
あり、nが1または2の整数である限りにおいて、この
「ホスファチジルコリン基」に類似の残基を「ホスファ
チジルコリン基」と総称する。
【0010】式(1)において、mは1から6の整数で
あるが、水に対する溶解性を考慮すると1または2であ
ることが好ましい。また、lは1から9の整数である
が、同様に水に対する溶解性を勘案すると7以下である
ことが好ましい。勿論、油溶性を活用する目的にはこれ
らの制限は必要としない。
【0011】本発明の新規化合物は、吸湿性が強く、む
しろ抱水性を持っており、常法で取り扱った場合、通常
1から3個の水分子を含む。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の化合物は、いずれも文献
未記載の新規化合物であるが、例えばパーフルオロアル
キルアルコールと2−クロロ−2−オキソ−1,3,2
−ジオキサホスホラン(以下、単に「クロロホスホラ
ン」と略称することがある。)とを反応させ、得られた
生成物にアルキルアミンを反応させることによって製造
することができる。
【0013】パーフルオロアルキルアルコールとクロロ
ホスホランとの反応は、パーフルオロアルキルアルコー
ルをアルキルアミンの共存下に例えばテトラヒドロフラ
ンに溶解し、得られた溶液を十分に冷却し(例えば、マ
イナス15℃前後)、この溶液を冷却しながらクロロホ
スホランを滴下することによって行う。ここで得られた
生成物は、例えばアセトニトリルやジメチルホルムアミ
ドで代表される非プロトン系の極性溶媒に溶解し、アル
キルアミンを加えて常温下ないし加熱下で反応させ、目
的とする本発明の化合物を得る。この合成は、例えば、
特公平2−49316号公報に教示されている方法を参
考にすることができる。
【0014】本発明の新規化合物を製造するに当たって
用いるパーフルオロアルキルアルコールとしては、1
H、1H−トリフルオロエタノール、1H、1H−ペン
タフルオロプロパノール、1H、1H−ヘプタフルオロ
ブタノール、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノー
ル、2−(パーフルオロブチル)エタノール、6−(パ
ーフルオロブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ
ヘキシル)エタノール、3−(フルオロヘキシル)プロ
パノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノー
ル、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、3−
(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフ
ルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオ
クデシル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチ
ルエチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−3−メ
チルブチル)エタノール、2−(パーフルオロ−5−メ
チルヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロ−7−
メチルオクチル)エタノールなどを例示することがで
き、本発明はこれらの例示アルコールに限定されるもの
ではない。これらのフルオロアルキルアルコールはいず
れも市販されており、入手は可能である。
【0015】フルオロアルキルアルコールを溶解する溶
媒としては、両反応成分およびアルキルアミンを溶解し
得るものが好ましく、例えば、ジエチルエーテルやテト
ラヒドロフランなどを挙げることができる。アルキルア
ミンは、反応で生成する塩化水素を捕捉すところから反
応原料と等モルかやや過剰に用いるのが好ましく、トリ
アルキルアミンが好ましいが、これに限定されるもので
はない。
【0016】フルオロアルキルアルコールとクロロホス
ホランの反応は激しい発熱反応であり、マイナス50な
いし0℃という反応温度、通常はマイナス20ないし0
℃という温度に制御することが必要である。反応時間は
30分ないし数時間でよく、ほぼ定量的に生成物を得る
ことができる。副生するアルキルアミン塩酸塩を分離し
て、過剰のアルキルアミンと溶媒を留去して目的とする
生成物を得る。
【0017】得られた生成物は、アセトニトリルやジメ
チルホルムアミドで代表される非プロトン系の極性溶媒
に溶解し、これにアルキルアミンを加えて室温ないし6
0℃程度に加熱して反応させる。アルキルアミンとして
は、目的とする化合物に見合うアミンを選択して用いれ
ば良く、モノアルキルアミン、ジアルキルアミンおよび
トリアルキルアミンのいずれかが適宜用いられる。アル
キル基としては、炭素数が大きくなると目的とする化合
物の溶解性に難点があり、通常メチル基またはエチル基
が選ばれる。アルキルキル基にはベンジル基で代表され
るアラルキル基が含まれる。反応は数時間から十数時間
の間で行われる。
【0018】反応条件や反応生成物の処理方法について
は、実施例において詳述する。
【0019】
【実施例】以下、実施例によって本発明の新規化合物を
合成する。
【0020】実施例に示す表面張力は、協和界面科学株
式会社製の表面張力計「CBVP型CBVP−A3タイ
プ」を使用して測定した。
【0021】実施例1 500ml四つ口フラスコに2−(パーフルオロオクチ
ル)エタノール(ダイキン工業株式会社製「商品名:A
−1820」)8.0g(0.017モル)、トリエチ
ルアミン2.0g(0.020モル)およびテトラヒド
ロフラン200mlを投入し、攪拌しながらマイナス1
5℃前後に冷却した。2−クロロ−2−オキソ−1,
3,2−ジオキサホスホラン2.4g(0.017モ
ル)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、得られた
溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて緩やかに滴下
した。滴下終了後、フラスコを氷水中に漬け、さらに3
0分間攪拌した。フラスコを取り出して室温まで戻し、
沈殿物をガラスフィルターでろ別し、ろ液を濃縮した。
濃縮液にアセトニトリルを投入して溶解した後、この溶
液を耐圧びんに移した。一方、トリメチルアミン塩酸塩
80gに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、生成したト
リメチルアミンを冷却して捕集し、前記耐圧びんに投入
した。耐圧びんを50℃の水浴中で30分間振とうし、
さらに室温で一晩振とうし、反応を終了した。反応液を
エバポレーターに移し、アセトニトリルを留去した後、
ジエチルエーテルとアセトンを投入して洗浄し、未反応
物を取り除き、さらに真空乾燥して目的とする生成物を
得た。収率は65%であった。
【0022】得られた生成物の赤外線吸収を測定したと
ころ、「図1」の赤外吸収スペクトルに見られる通り、
3400cm−1に水に基づく水酸基の特性吸収、30
00cm−1にメチレン基に基づく特性吸収および12
00〜1250cm−1および1050〜1080cm
1にりん酸根に基づく特性吸収があり、目的とするホ
スファチジルコリン基を含むフルオロカーボン系化合物
であることが判る。
【0023】生成物の元素分析結果は次の通りであっ
た。
【0024】 C15174NPF17・2H2Oとしての 計算値 C:27.06% H:3.16% N:2.11% 生成物の実測値 C:26.87% H:3.09% N:2.08% 得られた生成物の0.01重量%水溶液は、常温常圧で
8.1dyne/cmという低い表面張力の値を示し
た。
【0025】実施例2 500ml四つ口フラスコに式C25(CF2CF2n
CH2CH2OH(ここでnの平均値は3であり、n=3
の成分を54%含有している)で示されるフルオロアル
キルアルコール(ダイキン工業株式会社製「商品名:R
f−エタノール」)32.5g(0.07モル)、トリ
エチルアミン8.3g(0.08モル)およびテトラヒ
ドロフラン200mlを投入し、攪拌しながらマイナス
15℃前後に冷却した。2−クロロ−2−オキソ−1,
3,2−ジオキサホスホラン10g(0.07モル)を
テトラヒドロフラン20mlに溶解し、得られた溶液を
前記フラスコに滴下ロートを用いて緩やかに滴下した。
滴下終了後、フラスコを氷水中に漬け、さらに30分間
攪拌した。フラスコを取り出して室温まで戻し、沈殿物
をガラスフィルターでろ別し、ろ液を濃縮した。濃縮液
にアセトニトリルを投入して溶解した後、この溶液を耐
圧びんに移した。一方、トリメチルアミン塩酸塩60g
に水酸化ナトリウム水溶液を添加し、生成したトリメチ
ルアミンを冷却して捕集し、前記耐圧びんに投入した。
耐圧びんを80℃の水浴中で30分間振とうし、さらに
室温で一晩振とうし、反応を終了した。反応液をエバポ
レーターに移し、アセトニトリルを留去した後、ジエチ
ルエーテルとアセトンを投入して洗浄し、未反応物を取
り除き、さらに真空乾燥して目的とする生成物を得た。
収率は62%であった。
【0026】得られた生成物の融点を測定したところ、
220〜240℃で黄変し、分解した。
【0027】得られた生成物の赤外線吸収を測定したと
ころ、実施例1で得られた生成物の赤外吸収スペクトル
と実質的に同じ特性吸収スペクトルが観察され、目的と
するホスファチジルコリン基を含むフルオロカーボン系
化合物であることが判る。
【0028】また重水素化メタノール中で核磁気共鳴ス
ペクトルを測定したところ、3.10ppmにメチルア
ンモニウム基に起因する9H、3.15ppmにメチレ
ン基に起因する2H、3.50〜4.0ppmにホスフ
ォエチル基に起因する8Hのスペクトルが見られた。ス
ペクトルの解析から生成物に含まれる水は2分子である
ことが判った。
【0029】生成物の元素分析結果は次の通りであっ
た。
【0030】 C15174NPF17・2H2Oとしての計算値 C:27.1% H:3.16% N:2.11% 生成物の実測値 C:26.81% H:3.12% N:1.99% ここで得られた生成物の1重量%水溶液は、極めて低い
表面張力の値を示し、その値はpH依存性を示し、酸性
域で相対的に低い値を示し、pH3では25℃常圧下で
7.2dyne/cmという極めて低い表面張力の値を
示した。
【0031】メタノールやエタノールの表面張力の値
も、それぞれに得られた生成物を1重量%添加すると以
下のように低下することが判った(常温常圧で測定し
た)。
【0032】 メタノール エタノール 1重量%添加 17.8dyne/cm 19.9dyne/cm 無添加 22.3dyne/cm 21.8dyne/cm 実施例3 500ml四つ口フラスコに式2−(パーフルオロヘキ
シル)エタノール(ダイキン工業株式会社製「商品名:
A−1620」)8.0g(0.022モル)、トリエ
チルアミン2.6g(0.08モル)およびテトラヒド
ロフラン200mlを投入し、攪拌しながらマイナス1
5℃前後に冷却した。2−クロロ−2−オキソ−1,
3,2−ジオキサホスホラン3.1g(0.022モ
ル)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、得られた
溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて緩やかに滴下
した。滴下終了後、フラスコを氷水中に漬け、さらに3
0分間攪拌した。フラスコを取り出して室温まで戻し、
沈殿物をガラスフィルターでろ別し、ろ液を濃縮した。
濃縮液にアセトニトリルを投入して溶解した後、この溶
液を耐圧びんに移した。一方、トリメチルアミン塩酸塩
80gに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、生成したト
リメチルアミンを冷却して捕集し、前記耐圧びんに投入
した。耐圧びんを50℃の水浴中で30分間振とうし、
さらに室温で一晩振とうし、反応を終了した。反応液を
エバポレーターに移し、アセトニトリルを飛ばした後、
ジエチルエーテルとアセトンを投入して洗浄し、未反応
物を取り除き、さらに真空乾燥して目的とする生成物を
得た。収率は60%であった。
【0033】得られた生成物の赤外線吸収を測定したと
ころ、実施例1で得られた生成物の赤外吸収スペクトル
と実質的に同じ特性吸収スペクトルが観察され、目的と
するホスファチジルコリン基を含むフルオロカーボン系
化合物であることが判る。
【0034】生成物の元素分析結果は次の通りであっ
た。
【0035】 C13174NPF13・2H2Oとしての 計算値 C:27.61% H:3.72% N:2.48% 生成物の実測値 C:27.49% H:3.66% N:2.31% 得られた生成物の1重量%水溶液は、常温常圧で10.
4dyne/cmという表面張力の値を示した。
【0036】実施例4 500ml四つ口フラスコに2−(パーフルオロデシ
ル)エタノール(ダイキン工業株式会社製「商品名:A
−2020」)10g(0.018モル)、トリエチル
アミン2.2g(0.022モル)およびテトラヒドロ
フラン200mlを投入し、攪拌しながらマイナス15
℃前後に冷却した。2−クロロ−2−オキソ−1,3,
2−ジオキサホスホラン2.6g(0.018モル)を
テトラヒドロフラン20mlに溶解し、得られた溶液を
前記フラスコに滴下ロートを用いて緩やかに滴下した。
滴下終了後、フラスコを氷水中に漬け、さらに30分間
攪拌した。フラスコを取り出して室温まで戻し、沈殿物
をガラスフィルターでろ別し、ろ液を濃縮した。濃縮液
にアセトニトリルを投入して溶解した後、この溶液を耐
圧びんに移した。一方、トリメチルアミン塩酸塩40g
に水酸化ナトリウム水溶液を添加し、生成したトリメチ
ルアミンを冷却して捕集し、前記耐圧びんに投入した。
耐圧びんを80℃の水浴中で30分間振とうし、さらに
室温で一晩振とうし、反応を終了した。反応液をエバポ
レーターに移し、アセトニトリルを飛ばした後、ジエチ
ルエーテルとアセトンを投入して洗浄し、未反応物を取
り除き、さらに真空乾燥して目的とする生成物を得た。
収率は65%であった。
【0037】得られた生成物の赤外線吸収を測定した結
果、実施例1で得られた生成物と同様の特性吸収スペク
トルが認められ、目的とするホスファチジルコリン基を
含むフルオロカーボン系化合物であることが判る。
【0038】生成物の元素分析結果は以下の通りであっ
た。
【0039】 C17174NPF21・2H2Oとしての 計算値 C:26.60% H:2.75% N:1.83% 生成物の実測値 C:26.35% H:2.61% N:1.67% ここで得られた生成物の1重量%水溶液は、常温常圧下
で17dyne/cmの表面張力値を示した。
【0040】実施例5 500ml四つ口フラスコに2−(パーフルオロオクチ
ル)エタノール(ダイキン工業株式会社製「商品名:A
−1820」)2.0g(0.005モル)、トリエチ
ルアミン1.53g(0.006モル)およびテトラヒ
ドロフラン100mlを投入し、攪拌しながらマイナス
15℃前後に冷却した。2−クロロ−2−オキソ−1,
3,2−ジオキサホスホラン0.6g(0.005モ
ル)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、得られた
溶液を前記フラスコに滴下ロートを用いて緩やかに滴下
した。滴下終了後、フラスコを氷水中に漬け、さらに3
0分間攪拌した。フラスコを取り出して室温まで戻し、
沈殿物をガラスフィルターでろ別し、ろ液を濃縮した。
濃縮液にアセトニトリルを投入して溶解した後、この溶
液を耐圧びんに移した。次いで、N,N−ジメチルベン
ジルアミン1.2g(0.009モル)を前記耐圧びん
に投入した。耐圧びんを50℃の水浴中で30分間振と
うし、さらに室温で一晩振とうし、反応を終了した。反
応液をエバポレーターに移し、アセトニトリルを飛ばし
た後、ジエチルエーテルとアセトンを投入して洗浄し、
未反応物を取り除き、さらに真空乾燥して目的とする生
成物を得た。収率は65%であった。
【0041】得られた生成物の赤外線吸収を測定したと
ころ、「図2」の赤外吸収スペクトルに見られる通り、
3400cm−1に水に基づく水酸基の特性吸収、30
00cm−1にメチレン基に基づく特性吸収、1500
cm−1にフェニル核に基づく特性吸収および1200
〜1250cm−1および1050〜1080cm−1
りん酸根に基づく特性吸収があり、目的とするホスファ
チジルコリン基を含むフルオロカーボン系化合物である
ことが判る。
【0042】生成物の元素分析結果は次の通りであっ
た。
【0043】 C21214NPF17としての 計算値 C:34.01% H:2.83% N:1.89% 生成物の実測値 C:33.70% H:2.57% N:1.70%
【0044】
【発明の効果】実施例に示したごとく、本発明の新規化
合物は、水に対して極めて特異的に表面張力を低下させ
ることが判った。さらには、アルコール類でも表面張力
を低下させるという特異な性質を持つことも判った。こ
のような特異な性質を持つことから、界面活性剤として
の実用化、具体的には、表面張力が以上に低いと言う特
徴を生かして細部にまで浸透して洗浄効果を発揮する精
密部品用洗浄剤、毒性が少なく構造的にリン脂質コリン
に近いことから皮膚に優しい食器用洗剤やシャンプー類
としての使用が可能である。
【0045】また、クリームなどの化粧品やエマルジョ
ン塗料などに有用な乳化剤、顔料インクや水性塗料など
に有用な分散剤としての用途が期待される。
【0046】さらには、抗菌性、殺菌性、抗血栓性とい
った種々の性質を示すことが期待され、生体膜のタンパ
ク質を可溶化する能力が期待でき、バイオケミストリー
の分野で実用化されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】「図1」は、実施例1で得られた本発明の新規
化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図2】「図2」は、実施例5で得られた本発明の新規
化合物の赤外吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H003 AA02 AD08 DA02 DA14 DA15 DA17 FA01 4H050 AA01 AB68

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表されるホスファチジルコ
    リン基を含むフルオロカーボン系新規化合物。 【化1】 (式中、R1はメチル基またはエチル基、R2およびR3
    は水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基、R
    4はCF3−または(CF32−CF−を表し、nは1ま
    たは2の整数、mは1から6の整数、そしてlは1から
    9の整数を表す。)
  2. 【請求項2】式(1)において、R1、R2およびR3
    メチル基である請求項1に記載の新規化合物。
  3. 【請求項3】請求項2においてnおよびmが整数2であ
    り、R4がCF3−である新規化合物
  4. 【請求項4】請求項2においてlが1から7の整数であ
    る新規化合物。
  5. 【請求項5】1個以上の水分子を抱水している請求項1
    に記載の新規化合物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007084752A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Nof Corp 複合材料成形物及びその製造方法
JP2009209251A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 短鎖両性界面活性剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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