JP5141943B2 - 分子素子 - Google Patents

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Description

本発明は、機能長スケールがナノメートル(nm)単位である電子デバイス及び光デバイスに係り、より詳細にはスイッチング素子として有用な分子素子に関する。
半導体素子の微細化技術が伸展しているが、その微細化には限りがある。この半導体素子の微細化限界を克服するための次世代素子として、所謂、機能性分子を用いた分子素子の研究が進められている。このような分子素子の材料としては、カーボンナノチューブやフラーレンが知られている。金属内包フラーレンは、炭素からなるフラーレン殻の内部に金属原子を内包した機能性分子である。フラーレン殻と内包金属原子との電荷交換により分子内に電子状態の偏りと極性、つまり、永久双極子モーメントを有しているため、金属内包フラーレンを用いたスイッチについて多くの研究者がその動作の確認を試みてきた。
本発明者等は、非特許文献1において、金属内包フラーレンを用いた分子素子のスイッチング現象を世界で最初に報告した。金属内包フラーレンを用いた分子素子は、Au(111)上にアルカンチオールからなる自己組織化単分子膜(SAM)を形成し、この膜構造上に金属内包フラーレンとしてTb@C82を配置した素子である。走査トンネル分光(STS)測定を行った結果、Tb@C82の双極子モーメントの配向に起因したスイッチング現象が、極低温の13Kで初めて観測された。観測した電流電圧特性においては、電圧の掃引方向の違いによるヒステリシスや負性微分コンダクタンスも観測された。非特許文献1の金属内包フラーレンを用いた新規な分子素子は、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)2005において、半導体素子に代わる新規なロジックデバイスの候補として引用されている。
一方、ナノギャップ電極を作製する方法として、例えば、メカニカルブレイクジャンクション法(非特許文献2)、エレクトロマイグレーション法(非特許文献3)、エアブリッジマスクを用いた斜め蒸着法(非特許文献4及び5)、EBL(Electron Beam Lithography)による直接描画法(非特許文献6)、めっき法(非特許文献7及び8)などの各種方法が提案されている。そのうち、EBLによる直接描画法と無電解めっき法とを兼用することにより、幅3.3±1.4nmや5nm以下の隙間を再現性よく、かつ90%の歩留まりでナノギャップ電極を作製することが報告されている(非特許文献9)。
ところで、金属膜上に形成することができる自己組織化単分子膜として、ジチオカルバメート基及びその誘導体が非特許文献10に、β−シクロデキストリンチオール(Thiolated β-chyclodextrins)が非特許文献11に、ビオロゲン終端チオール(Viologen-terminated thiol)やフェロセン終端チオール(Ferrocene-terminated thiol)が非特許文献12に、N−(2−メルカプトエチル)−4−フェニルアゾベンゼンザミド(N-(2-mercaptoethyl)-4-phenylazobenzamide)が非特許文献13に、ジチオービスサクシニミジル終端チオール(Dithio-bis-succinimidyl-terminated thiol)が非特許文献14に、4’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−ブタン(4'-methyl-1,1'-biphenyl-4-butane)が非特許文献15に、メルカプトアルカノール(Mercaptoalkanol)やメルカプトアルカン酸(Mercaptoalkanoic Acid)が非特許文献16に、アミド終端チオール(amide-terminated thiol)、アミノ終端チオール(amino-terminated thiol)、3−アミノチオールフェノール(3-aminothiolphenol)が非特許文献17に、それぞれ報告されている。
Y. Yasutake, Z. Shi, T. Okazaki, H. Shinohara, and Y. Majima, "Single Molecular Orientation Switching of an Endohedral Metallofullerene", Nano Letters, 5, pp.1057-1060, 2005 M.A.Reed,他4名, "Conductance of a Molecular Junction", Science, 278, p.252, 1997 H.Park,他5名, "Nanomechanical Oscillations in a single-C60 Transistor", Nature, 407, p.57, 2000 Kazuki Sasao,他5名, "Observation of Current Modulation thorough Self-Assembled Monolayer Molecule in Transistor Structure", Jpn.J.Appl.Phys.,43, pp.L337-L339, 2004 J.O.Lee 他8名, "Absence of Strong Gate Effects in Electrial Measurements on Pheneylene-Based Conjugated Molecules", Nano Lett. 3, pp.113-117, 2003 M.S.M.Saifullah 他3名, "A reliable scheme for fabricating sub-5nm co-planar junctions for single-molecule electronics", Nanotechnology, 13, pp.659-662, 2002 Y.V.Kervannic 他4名, "Nanometer-spaced electrodes with calibrated separation", Appl.phys.Lett.,80, pp.321, 2002 B.Liu 他7名, "Controllable nanogap fabrication on microchip by chronopotentiometry", ElectrochimicaActa, 50, pp.3041-3047, 2005 C.S.Ah 他5名, "Fabrication of integrated nanogap electrodes by surface-catalyzed chemical deposition", Appl.Phys.Lett.,88, pp.133116, 2006 Y. Zhao,他3名, Journal of the American Chemical Society, 127, pp.7328-7329, 2005 J.-Y. Lee, 他1名, Journal of Physical Chemistry B, 102, pp.9940-9945, 1998 R. A. Wassel, 他3名, Nano Letters 3, pp.1617-1620, 2003 S. Yasuda, 他3名, Journal of the American Chemical Society, 125, pp.16430-16433, 2003 P. Wagner, 他4名, Biophysical Journal 70, pp.2052-2066, 1996 B. Lussem, 他5名, Langmuir, 22, pp.3021-3027, 2006 D. A. Hutt, 他1名, Langmuir, 13, pp.2740-2748, 1997 A. E. Hopper, 他3名, Surface and Interface Analysis, 31, pp.809-814, 2001
非特許文献1における分子素子は、13Kという極低温でしか動作せず、その原因としては、電極と金属内包フラーレンとの相互作用や金属内包フラーレンへの熱による擾乱、つまり、回転があると推定されている。このように、従来の金属内包フラーレンによる分子素子においては、13K以上の温度で動作させることができなかった。この点について、本発明者らは、ヘキサンチオールより鎖長の短いジエチルジチオカルバメートを用いて、自己組織化単分子膜の厚さを1.2nm以下とすることで解決し、単一ルテチウム金属内包フラーレン分子に書き込み、消去、読み出しに相当するパルス電圧を印加することで分子配向を制御して、メモリ素子を実現した。
しかしながら、従来の金属内包フラーレンを含んだ分子素子では、ON/OFFの2値のみのスイッチ動作を行うに過ぎず、多値スイッチ、単一電子回路、XOR回路などの論理素子は実現できていない。
本発明は上記課題に鑑み、金属内包フラーレンの方向を制御することで、多値スイッチや各種書き換え可能な論理素子を実現する分子素子を提供することを目的としている。
本発明者等は、鋭意研究を行なった結果、金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を外部電界によりフラーレンゲージの5員環及び6員環の各面において多段階に回転させて固定させることで、二重トンネル接合のクーロン島としての金属内包フラーレンのオフセット電荷を制御することができることに着目して、本発明に至った。
上記目的を達成するために、本発明の分子素子は、第1の電極と、第1の電極上に配置される第1の自己組織化単分子膜と、第2の電極と、第2の電極上に配置される第2の自己組織化単分子膜と、第1の自己組織化単分子膜と第2の自己組織化単分子膜との間に配置される金属内包フラーレンと、を備え、金属内包フラーレンと第1の電極との間には第1の自己組織化単分子膜を介して第1のトンネル接合が形成され、金属内包フラーレンと第2の電極との間には第2の自己組織化単分子膜を介して第2のトンネル接合が形成され、金属内包フラーレンに印加する電界で、金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を制御することを特徴とする。
上記構成において、第1の電極と第2の電極との間には、好ましくは、ナノオーダーの間隙が存在する。
金属内包フラーレンに外部電界を印加して、金属内包フラーレンの双極子モーメントを多段に変化させ、多段スイッチとして動作させることができる。
第1の電極と前記第2の電極との配置方向に対し直交する方向には、好ましくは、ゲート電極を備える。
上記構成によれば、金属内包フラーレンの双極子モーメントの向きが、外部からの電界により多段に変化することで、分子素子を多段スイッチとして動作させることができる。
上記構成において、第1の電極と第2の電極との配置方向に対し直交する方向に、好ましくは、ゲート電極を備える。第1の電極と第2の電極との配置方向に対し直交する方向の両側に、一対のゲート電極を備えていてもよい。
一対のゲート電極に電圧を印加し、金属内包フラーレンのオフセット電荷を変えることにより第1及び第2の電極間の電流を制御し、排他的論理和回路(XOR)又は排他的論理和の否定回路(XNOR)の動作を行なわせるようにしてもよい。
自己組織化単分子膜は、好ましくは、第1又は第2の電極となる金属原子に化学吸着する第1の官能基と、第1の官能基に結合する第2の官能基とから成り、第1の官能基が、チオール基、ジチオカルバメート基、キサンテート基の何れかの基である。自己組織化単分子膜の第2の官能基は、アルカン、アルケン、アルカン又はアルケンの水素分子の一部又は全部をフッ素に置換したもの、アミノ基、ニトロ基、アミド基の何れかの基であってよい。
上記構成によれば、ゲート電極を第1の電極及び第2の電極の配置方向と直交する方向に配置し、各電極に加える電圧の制御により金属内包フラーレンを面内制御することで、反転状態と非反転状態とを書き換え可能な3端子回路素子や、排他的論理和回路(XOR)と排他的論理和の否定回路(XNOR)とを書き換え可能な4端子回路素子として動作させることができる。
本発明によれば、各自己組織化単分子膜を配置する電極間の隙間をナノオーダーとすることで、金属内包フラーレンと自己組織化単分子膜を介して電極との間で形成されるトンネル接合でのトンネル抵抗を制御し、金属内包フラーレンに印加する電界により、金属内包フラーレンゲージの5員環及び6員環の各面において多段階に制御することで、多値スイッチや各種論理素子を実現することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
図1は本発明の分子素子10の構造を模式的に示す図である。図1に示すように、本発明の分子素子10は、基板1上に所定の隙間を有するよう対向配置される第1の電極2及び第2の電極3と、第1の電極2上に配置される第1の自己組織化単分子膜4と、第2の電極3上に配置される第2の自己組織化単分子膜5と、第1の自己組織化単分子膜4と第2の自己組織化単分子膜5との間に金属を内包したフラーレン(以下、「金属内包フラーレン」という。)6が配置されて構成される。つまり、本発明の分子素子10は、図1の左側から順に、第1の電極2と、第1の電極2上に配置される第1の自己組織化単分子膜4と、第1の自己組織化単分子膜4と第2の自己組織化単分子膜5との間に配置される金属内包フラーレン6と、第2の自己組織化単分子膜に接続される第2の電極3と、が配置されている。分子素子10は、金属内包フラーレン6と第1の自己組織化単分子膜4を介して第1の電極2との間に形成される第1のトンネル接合と、金属内包フラーレン6と第2の自己組織化単分子膜5を介して第2の電極3との間に形成される第2のトンネル接合とを有している。
ここで、第1の電極2と第2の電極3との隙間は、第1の自己組織化単分子膜4を介して第1の電極2と金属内包フラーレン6との間でのトンネル電流が流れ、かつ、第2の自己組織化単分子膜5を介して第2の電極3と金属内包フラーレン6との間でのトンネル電流が流れるよう、1〜10nmのナノオーダーであることが必要であり、とくに、2〜5nmであることが好ましい。これは、電子のトンネル確率が距離に対して指数関数的に減衰するためである。即ち、真空の減衰定数は2.3Å−1であり、アルカンチオールの減衰定数は1.2Å−1であるので、真空では1.0Å、アルカンチオールでは1.9Åのトンネル距離で、トンネル抵抗が1桁増加する。よって、トンネル接合を形成するトンネルバリアの厚さをÅのオーダーで制御する必要がある。
また、第1の電極2と第2の電極3との隙間には、第1の自己組織化単分子膜4、第2の自己組織化単分子膜5を介在させて金属内包フラーレン6が配置されるので、第1の電極2と第2の電極3との隙間の長さは、金属内包フラーレン6の大きさよりも大きいことが必要である。
さらに、第1の電極2と第2の電極3との隙間は、不要なトンネル過程によるリーク電流を少なくすることが好ましい。
金属内包フラーレン6は、炭素元素からなるフラーレン6Aの内部に1個の金属原子6Bが挿入されてなる。金属原子6BがLuであるLu@C82は、内包金属原子であるLuがプラス3価に帯電し、フラーレン殻6Aがマイナス3価に帯電しており、フラーレン殻6A内のLu原子6Bの位置は中心からずれた位置に固定されているため、外観は対称であるが、電気的には非対称な構造となり、双極子モーメントを有している。したがって、金属内包フラーレン6の向きによって電気的な性質は異なる。この金属内包フラーレンの双極子モーメント6Cの向きを外部電界で段階的に変化させることで、多段スイッチ機能を持たせることができる。
ここで、第1の電極2及び第2の電極3は、絶縁基板上に形成してもよいし、図1に示すように、導電性基板1Aの表面に絶縁層1Bが形成されて構成されてもよい。この第1の電極2及び第2の電極3は、金(Au)などの単結晶でなることが好ましい。
第1の自己組織化単分子膜4は第1の電極2上に形成され、第2の自己組織化単分子膜5は第2の電極3上に形成されるが、何れの自己組織化単分子膜4及び5も、その形成過程において、自己組織化、つまりナノ構造が自発的に形成され、かつ、単分子の膜である。自己組織化単分子膜4、5は、何れも、第1の電極2や第2の電極3を構成する金属原子と化学吸着で結合する第1の官能基4A、5Aと、この官能基4A、5Aに化学結合する第2の官能基4B、5Bとを有している。
第1及び第2の電極2,3の金属原子と化学吸着で結合する第1の官能基4A、5Aとしては、チオール基(thiol)、ジチオカルバメート基(dithiocarbamate)、キサンテート基(xanthate)の何れかを挙げることができる。
第1の官能基4A、5Aに化学結合する第2の官能基4B、5Bとしては、アルカン、アルケン、アルカン及びアルケンの水素分子の一部又は全部をフッ素に置換したもの、アミノ基、ニトロ基、アミド基の何れかの基とすることができる。
第1及び第2の自己組織化単分子膜4、5の厚さは、分子素子10に流れるトンネル電流を大きくするためには、ヘキサンチオールの厚みである1.2nm以下であることが好ましく、より好ましくは、1nm以下である。この厚みが1.2nmよりも厚いと、13K以上の温度において、分子素子10がスイッチング動作を行なわない。
第1及び第2の自己組織化単分子膜4、5としては、ジエチルジチオカルバメート(diethyldithiocarbamate)を用いることができる。図2は、ジエチルジチオカルバメートの分子構造を示す図である。図2に示すように、ジエチルジチオカルバメートの下部の官能基4A、5A、即ち、二つのチオール基が電極2、3である金属電極層と化学吸着により結合(化学結合)していることが分かる。
図3〜図15は、本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。
図3は、本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造として、(A)がジチオカルバメート基を示し、(B)〜(M)がその誘導体を示す図である。図3(A)に示すジチオカルバメート基において、R及びRはそれぞれ異なるアルキル基である。図3(B)はジエチルジチオカルバメート(Diethyldithiocarbamate)を、図3(C)はジブチルジチオカルバメート(Dibutyldithiocarbamate)を、図3(D)はジイソプロピルジチオカルバメート(Diisopropyldithiocarbamate)を、図3(E)はピペリジンジチオカルバメート(Piperidine-dithiocarbamate)を、図3(F)はモルフォリンジチオカルバメート(Morpholinedithiocarbamate)を、図3(G)はビス-2-フィリジルメチルジチオカルバメート(Bis(2-pyridylmethyl)dithiocarbamate)を、図3(H)はメタフェタジチオカルバメート(Methamphetdithiocarbamate)を、それぞれ示している。
図3(I)〜図3(M)は、用いることができるR又はRのアルキル基を示し、それぞれ、(I)がtert−ブチル(tert-butyl)を、(J)がイソブチル(isobutyl)を、(K)がsec−ブチル(sec-butyl)を、(L)がneo−ペンチル(neopentyl)を、(M)がイソペンチル(isopentyl)を示している。
図4はβ−シクロデキストリンチオール(Thiolated β-chyclodextrins)を示しており、構造式中のアルキレン基(−CH−)の数nは6又は7とすることができる。図5はビオロジン終端チオール(Viologen-terminated thiol)を示しており、アルキレン基数nは、1〜11とすることができる。図6はフェロセン終端チオール(Ferrocene terminated thiol)を示しており、アルキレン基数nは1〜11とすることができる。
図7はN−2−メルカプトエチル−4−フェニルアゾベンゼンザミド(N-(2-mercaptoethyl)-4-phenylazobenzamide)を示しており、トランス及びシスの異性体を用いることができる。図8はジチオ−ビスサクシニミジル終端チオール)(Dithio-bis(succinimidylundecanoate))を示しており、アルキレン基数nは1〜11とすることができる。図9は4’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−ブタン(4'-methyl-1,1'-biphenyl-4-butane)を示している。
図10はメルカプトアルカノール(Mercaptoalkanol)を示しており、アルキレン基数nは1〜11とすることができる。図11はメルカプトアルカン酸(Mercaptoalkanoic Acid)を示しており、アルキレン基数nは1〜11とすることができる。
図12〜14は、アミド基、アミノ基及びニトロ基を含む自己組織化単分子膜の例であり、それぞれ、アミド終端チオール、アミン終端チオール、3−アミノチオールフェノールを示しており、アルキレン基数nは1〜11とすることができる。
図15は、本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造として、(A)がキサンテートを示し、(B)〜(E)がその具体例を示す図である。図15(A)に示すキサンテートにおいて、Rはアルキル基である。図15(B)〜(E)は、それぞれ、メチルキサンテート,エチルキサンテート、プロピルキサンテート、ブチルキサンテートを示している。アルキル基Rとしては、図3(I)〜(M)に示すtert−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,neo−ペンチル,イソペンチルとすることもできる。
本発明の分子素子10においては、自己組織化単分子膜4、5の第2の官能基4B、5Bと金属内包フラーレン6とが結合している。金属内包フラーレン6は、炭素元素からなるフラーレン6Aの内部に1個の金属原子6Bが挿入されている。この金属内包フラーレン6をM@Cnと表記することにする。ここで、Mは、フラーレン6Aに内包される金属原子であり、Cnはフラーレンであり、nは炭素原子数であり、n=60,70,72,74,76,78,80,82,84,86,88,90,92,94とすることができる。
金属Mとしては、3価の金属原子が好ましく、Sc(スカンジウム),Y(イットリウム)やランタノイドの何れかを用いることができる。ランタノイドとしては、La(ランタン),Ce(セリウム),Pr(プラセオジム),Nd(ネオジム),Pm(プロメチウム),Sm(サマリウム),Eu(ユウロピウム),Gd(ガドリニウム),Tb(テルビウム),Dy(ジスプロシウム),Ho(ホルミウム),Er(エルビウム),Tm(ツリウム),Yb(イッテルビウム),Lu(ルテチウム)が挙げられる。このような金属内包フラーレンとしては、Lu@C82,Er@C82やTb@C82などを用いることができる。
分子素子10は、第1の電極2及び第2の電極3となる電極層として(111)面を有するAu結晶、第1及び第2の自己組織化単分子膜4,5としてジエチルジチオカルバメート、金属内包フラーレン6としてLu@C82,Er@C82やTb@C82を用いて構成することができる。
本発明に係る分子素子の動作説明の前提として、金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を外部電界によりフラーレンゲージの5員環及び6員環の各面において多段階に回転させ、その各状態を固定することができることを説明する。
図16は、金属内包フラーレン6の配向を説明する図であり、(A)は金属内包フラーレン6の双極子モーメント6Cの方向を、(B)は外部電界7の向き及び方向により双極子モーメント6Cが回転することを示す図である。図16(A)に示すように、金属内包フラーレン6は、炭素元素からなるフラーレン6Aの内部に1個の金属原子6Bが挿入されてなる。例えば金属原子6BがLuであるLu@C82は、内包金属原子であるLuがプラス3価に帯電し、フラーレン殻6Aがマイナス3価に帯電しており、フラーレン殻6A内のLu原子6Bの位置は中心からずれた位置に固定されているため、外観は対称であるが、電気的には非対称な構造となり、双極子モーメント6Cを有している。図16(A)において、双極子モーメント6Cの方向は+Z軸方向である。
次に、この金属内包フラーレン6に対して外部電界7を加え、この外部電界7の向き及び強度を変えたとき、金属内包フラーレン6の状態がどのように変化するかについて説明する。
第1及び第2の自己組織化単分子膜4、5の鎖長を選択することで、基板1上の第1及び第2電極2、3と金属内包フラーレン6との間に働く力学的・電気的相互作用を制御し、ある温度下において金属内包フラーレン6の回転を止めることができることを本発明者らは確認している。即ち、自己組織化単分子膜4、5として鎖長の異なるアルカチオール分子を採用し、各自己組織化単分子膜上に金属内包フラーレンとしてTb@C82を配置してなる分子素子をSTMで観察した。すると、極低温68Kで観察したSTM像から、オクタンチオールやデカンチオール上のTb@C82分子は熱ゆらぎにより回転する一方、ヘキサンチオール上のTb@C82分子はその内部構造に起因すると考えられるストライプが観測されたので、ヘキサンチオール上のTb@C82分子は静止している。この結果から、アルカチオール分子の鎖長で、その上に配置される金属内包フラーレンに働く相互作用力を制御することができることが分かった。
よって、第1及び第2の自己組織化単分子膜4、5の鎖長を選択し、その間に金属内包フラーレン6を配置した状態で、金属内包フラーレン6に外部電界7を加えることで、金属内包フラーレン6の状態を制御できる。例えば第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を加えることにより、第1の電極2と第2の電極3との間及び周辺に外部電界7を加える。この際、第1の電極2と第2の電極3との間に印加する電圧の極性を変えることで、外部電界7の方向が変わり、電圧の大きさを変えることで外部電界7の強さを制御することができる。
ここで、外部電界7の単位はV/m(ボルトパーメートル)であり、双極子モーメント6Cの単位はCm(クーロンメートル)である。外部電界7と双極子モーメント6Cの単位同士を掛け合わせるとエネルギーの単位になる。よって、ある外部電界7の中で、双極子モーメント6Cの方向が外部電界7の方向に対して180度回転すると、その系の静電エネルギーは2×(外部電界)×(双極子モーメント)の大きさで変化することになる。さらに、双極子モーメント6Cには、静電エネルギーの角度方向の微分に比例したトルクが加わる。
これらの理由から、図16(B)に示すように、双極子モーメント6Cは外部電界7の方向に沿って並び、ある一定強度の外部電界7を印加した状態では、双極子モーメント6Cが外部電界7と同じ向きとなる。
即ち、図16(A)に示すように+Z方向に沿った双極子モーメント6Cを有する金属内包フラーレン6に対し、+Y方向の外部電界7の強度を大きくしていくと、図16(B)の右半分側に示すように+X方向側から−X方向に見て(図の正面から見て)時計回りに双極子モーメント6Cが回転する。その状態が符号6aの金属内包フラーレンである。そして、+Y方向の外部電界7がある一定の電界強度以上になると、+Y方向に沿った双極子モーメント6Cの状態を維持する。その状態が符号6bの金属内包フラーレンである。
逆に、図16(A)に示すように+Z方向に沿った双極子モーメント6Cを有する金属内包フラーレン6に対し、−Y方向の外部電界7の強度を大きくしていくと、図16(B)の左半分側に示すように+X方向側から−X方向に見て反時計回りに双極子モーメント6Cが回転する。その状態が符号6cの金属内包フラーレンである。そして−Y方向の外部電界7がある一定の電界強度以上になると、−Y方向に沿った双極子モーメント6Cの状態を維持する。その状態が符号6dの金属内包フラーレンである。
外部電界7の強度は、素子の構造にも依存するため、第1の電極2及び第2の電極3に印加する電圧の値を、一般化して具体的に決めることは困難である。しかしながら、例えば走査型トンネル顕微鏡を用いた測定では、13Kにおいてオクタンチオール上のTb@C82に対して約1.8V/3nm=6×10V/m程度の外部電界を加えることで、双極子モーメントが外部電界方向に沿って配向することに起因した、金属内包フラーレンの分子配向スイッチ現象を観察している。また、0.9V/3nm=3×10V/m程度の外部電界強度下において、双極子モーメントの段階的な変化を観察している(非特許文献1)。
以上のことから、外部電界7の強度及び向きを調節することで金属内包フラーレン6を段階的に回転させ、その外部電界7の強度及び方向を維持することで金属内包フラーレン6の状態を固定することができる。
ところで、図1に示すようなナノメートルスケールの単一分子素子においては、金属内包フラーレン6が中間電極として作用し、この中間電極上を単一電子が輸送され第1の電極2と第2の電極3との間に流れる電流値が電子一つ一つに対応した不連続値をとる現象、所謂クーロンブロッケード現象が観測される。
図17は、図1に示す分子素子10を動作させるための回路構成を模試的に示す図である。図17に示すように、分子素子10を動作させるための回路は、分子素子10の第1の電極2に所定の電圧を印加するための可変直流電源11と、分子素子10から流れ出す電流を検知する電流計12とを、分子素子10に対し直列的に接続して構成されている。図1に示す分子素子10は、第1の自己組織化単分子膜4を介して第1の電極2と金属内包フラーレン6との間に形成される第1のトンネル接合8と、第2の自己組織化単分子膜5を介して第2の電極3と金属内包フラーレン6との間に形成される第2のトンネル接合9とが、金属内包フラーレン6で構成されるクーロン島を挟んで構成される。ここで、第1及び第2のトンネル接合の幅は何れも数nmであり、クーロン島である金属内包フラーレン6は直径1nm程度である。第1の電極2は可変直流電源11に接続され、第2の電極3は電流計12に接続される。よって、第1の電極2から第1のトンネル接合8を介して金属内包フラーレン6のクーロン島に対して単一電子(e)が輸送され、さらに、金属内包フラーレン6のクーロン島から第2のトンネル接合9を介して第2の電極3に単一電子が輸送される。第2の電極3に輸送された電子は、電流計12に流れる。
図18は、本発明の分子素子10の電流−電圧特性を示す図である。横軸は可変直流電源11の電圧値であって、分子素子10に印加する電圧値に相当する。縦軸は電流計12の値であり、分子素子10の第2の電極3から流れ出る電流の大きさである。図18に示すように、電圧がある閾値の範囲内では電流は流れず、電圧閾値を越えると電流が流れる。即ち、電圧値をゼロから増加させて第1の閾値を越えると、電流が流れ始め増加する。また、電圧の極性を変えて電圧値をゼロから逆向きに増加させて第2の閾値を越えると電流が逆向きに流れ始めて増加する。分子素子10は、単一電子の振る舞いを検知する単一分子素子として機能するため、非常に高感度な電流計として用いることもできる。
また、分子素子10は電子一つを検知するので、中間電極の周りの静電状態の影響を受けやすい。中間電極付近のトラップ電荷や残留不純物の影響により、中間電極付近に電荷が誘起される。この誘起される電荷をオフセット電荷Qと呼ぶ。このオフセット電荷は、浮遊電荷とか背景電荷とも呼ばれる。オフセット電荷Qは、−0.5eから+0.5eまで変化する。ここで、eは電子の単位電荷であり1.602×10−19Cである。
図19は、オフセット電荷Qをパラメータとして、図1に示す分子素子10の電流−電圧特性を示す図である。横軸は第1の電極2及び第2の電極3の間に印加する電圧であり、縦軸は第1の電極2と第2の電極3間に流れる電流である。図19から、各オフセット電荷Qにおいて、電圧0V付近で、クーロンブロッケード現象による電流が流れないギャップが観察される。このギャップ幅はオフセット電荷Qにより変化している。よって、このオフセット電荷Qによりギャップ幅が変調されていることが分かる。このように単一電子素子においてオフセット電荷Qの制御は、素子動作の安定性などの点からも重要である。
ところで、金属内包フラーレン6は、前述のように、内包金属の位置に起因した構造の非対称性から、金属内包フラーレン分子内に正の電荷と負の電荷の偏りが生じ、双極子モーメント6Cを有する。よって、金属内包フラーレン6は分子全体が双極子モーメント6Cの大きさに対応したオフセット電荷Qを有することになる。そのため、金属内包フラーレン6の分子配向が変化すると、即ち、双極子モーメント6Cが変化すると、第1及び第2の電極2、3から中間電極としての金属内包フラーレン6に電子又は正孔がトンネル過程により入ることでオフセット電荷Qが変化したことと同等の効果を観察することができる。この金属内包フラーレン6の向きに依存してオフセット電荷Qが変化することを、オフセット電荷の自己変調と称することにする。よって、分子素子10では、第1の電極2及び第2の電極3に印加する電圧によりオフセット電荷Qの制御を行うことができる。
以上のように、図1に示す分子素子10は、第1の電極2をソース電極とし、第2の電極3をドレイン電極として、ソース−ドレイン間に電圧を印加することで、第1のトンネル接合と第2のトンネル接合とでなる二重トンネル接合を介して、クーロン島としての金属内包フラーレン6のオフセット電荷Qを制御することができる。即ち、双極子モーメント6Cを有する金属内包フラーレン6を、ソース電極とドレイン電極との間で、外部電界7により分子配向を制御することで、分子配向を変化させ、換言すれば双極子モーメント6Cを変化させ、オフセット電荷Qの自己変調を生じさせることができる。
次に、このオフセット電荷Qの制御において、電流−電圧特性におけるクーロンステアケースが電圧軸方向にシフトすることについて説明する。単一電子現象が生じる単一分子素子では、中間電極上の電子の数、即ち、小数点以下の桁の電子数が重要となる。第1の電極2でなるソース電極と金属内包フラーレン6でなる中間電極とに形成された第1のトンネル接合8、第2の電極3でなるドレイン電極と金属内包フラーレン6でなる中間電極とに形成された第2のトンネル接合9それぞれでの電子のトンネル過程と、オフセット電荷Qによる影響と、により、中間電極上の電子数が変化する。中間電極上に電子がある場合には、次に中間電極にトンネルしようとする電子に対して、静電気力による反発力が存在する。そのため、中間電極上に電子が存在しない場合と比べ、その反発力分だけ余分に電圧を加える必要がある。そのため、オフセット電荷Qによって小数点以下の桁の電子数が変化すると、電子がトンネルできる電圧が変化し、電流−電圧特性がシフトする。つまり、オフセット電荷を制御することで、電流−電圧特性としてのクーロンステアケースが電圧軸方向にシフトする。
ここで、図19を再度参照すると、オフセット電荷Qの値により、電流がゼロのときの電圧の値、即ち、電圧の幅が異なる。これにより、図1に示す分子素子10は多段スイッチとして機能する。図16を参照して説明したように、外部電界7の方向及び大きさを制御することで、金属内包フラーレン6の双極子モーメント6Cを外部電界7の向きに平行に配向することができる。よって、外部電界7を徐々に印加したり、またはパルス的に印加することで、金属内包フラーレン6の分子配向を段階的に制御することができる。分子配向を段階的に制御することは、オフセット電荷Qの値を段階的に変化させることを意味する。ここで、オフセット電荷Qの値の段階的変化は、前述のように、分子素子10の電流−電圧特性が分子配向のそれぞれの向きに応じてシフトすることから、同じ大きさの電圧でも電流がONとなったり、OFFとなったりする。以上のことから、分子素子10による多値スイッチを実現することができる。
次に、図1に示す分子素子10の2端子回路にさらに電極を追加して、3端子回路、4端子回路として構成した場合を説明する。
図20は、本発明の分子素子20を示す図で、(A)はその模式図、(B)はその等価回路を示す図である。本発明の分子素子20は、図1に示す分子素子10において、第1の電極2と第2の電極3との配置方向に垂直で、第1の電極2と第2の電極3との隙間に臨むように、第3の電極21が図示しない基板上に配置されて構成されている。第1の電極2、第2の電極3、第3の電極21は、それぞれ、ソース電極S、ドレイン電極D、ゲート電極Gとして作用する。この分子素子20の等価回路は、図20(B)に示すように、第1の自己組織化単分子膜4を介して第1の電極2と金属内包フラーレン6との間に形成される第1のトンネル接合8と、第2の自己組織化単分子膜5を介して第2の電極3と金属内包フラーレン6との間に形成される第2のトンネル接合9とが直列に接続され、第1のトンネル接合8と第2のトンネル接合9との間の所謂、中間電極(クーロン島)にゲートキャパシタンスCgを介して容量結合された回路として表される。
図20に示す分子素子20は所謂、3端子素子であり、ソース−ドレイン間に電圧を印加することのみならず、ゲート電極として機能する第3の電極21によってもオフセット電荷Qを制御することができる。ゲート電圧は、ゲート電極21とソース電極2との間に印加すればよい。一般的な単一電子トランジスタにおいては、横軸にゲート電圧、縦軸にソース−ドレイン電圧にとってコンダクタンスをプロットすると、クーロンダイヤモンドと呼ばれる菱形の電流の流れない領域が観察される。このクーロンダイヤモンドは、オフセット電荷Qを変化させることにより、ゲート電圧方向にシフトさせることができる。例えばソース−ドレイン間に電圧を徐々に加えたり、パルス的に加えることにより、金属内包フラーレンの双極子モーメント6Cの方向を変化させてオフセット電荷Qを変化させると、コンダクタンスが変化することになる。
次に、図20に示す分子素子20が論理素子として機能することを説明する。
例えば、ソース−ドレイン間とゲートにそれぞれ一定の電圧を加えたとき、電流が流れている状態があり、さらに、ソース−ドレイン間の電圧を徐々に大きくしたり、パルス状に加えることにより、双極子モーメント6Cの向きを変化させることができる。また、元と同じソース−ドレイン間及びゲートに各電圧を印加することで分子配向が変化し、この変化に起因してオフセット電荷Qが変化するので、クーロンダイヤモンドがゲート電圧軸方向にシフトし、電流値が変化し、電流が流れない状態とすることができる。
よって、図20に示す分子素子20において、金属内包フラーレン6のオフセット電荷Qを変調させて制御することで、ゲート電圧を入力とし、ドレイン電流を出力として、例えば電流が流れている状態を「1」とし、電流が流れていない状態を「0」とすることで、分子素子20を反転回路としても機能させたり、非反転回路として機能させることもできる。また、分子素子20を反転回路の状態から非反転回路の状態に書き換えたり、その逆の書き換えも実現することができる。
図21は、本発明の分子素子30を示す図で、(A)はその模式図、(B)はその等価回路を示す図である。本発明の分子素子30は、図1に示す分子素子10において、第1の電極2と第2の電極3との配置方向に垂直で、第1の電極2と第2の電極3との隙間に臨むように互いに対向させて第3の電極31及び第4の電極32が基板1上に配置されて構成されている。第1の電極2、第2の電極3はそれぞれソース電極S、ドレイン電極Dとして作用し、第3の電極31と第4の電極32は、第1のゲート電極G1、第2のゲート電極G2として作用する。この分子素子30の等価回路は、図21(B)に示すように、第1の自己組織化単分子膜4を介して第1の電極2と金属内包フラーレン6との間に形成される第1のトンネル接合8と、第2の自己組織化単分子膜5を介して第2の電極3と金属内包フラーレン6との間に形成される第2のトンネル接合9とが直列に接続され、第1のトンネル接合8と第2のトンネル接合9との間の所謂、中間電極に第1のゲートキャパシタンスCg1、第2のゲートキャパシタンスCg2を介して容量結合された回路として表される。
図21に示す分子素子30では、第1のゲート電極(G1)31と第2のゲート電極(G2)32とを対向させ、かつ、ソース電極(S)2とドレイン電極(D)3とが設けられている方向に対して直交するように各電極2,3を設け、ソース電極2及びドレイン電極3の間と、第1のゲート電極31−第2のゲート電極32間とに、それぞれ電界を加えることで、金属内包フラーレン6の双極子モーメント6Cの方向を水平面内で制御することができる。ここで、第1のゲート電極31及び第2のゲート電極32へのゲート電圧は、各ゲート電極31,32とソース電極2との間に印加されることで、金属内包フラーレン6のオフセット電荷Qを容易に制御することができる。従って、第1のゲート電極G1、第2のゲート電極G2からオフセット電荷Qをそれぞれ変化させることで、書き換え可能な論理素子を実現させることができる。
ここで、クーロンブロッケード現象において、オフセット電荷の大小により電流をON/OFFできることを説明する。
分子素子30において、金属内包フラーレン6はクーロン島として作用し、金属内包フラーレン6上のエネルギー準位は離散化しており、不連続化している。
図22は分子素子30のエネルギーダイヤグラムであり、(A)はクーロンブロッケードの状態、(B)は単一電子トンネルの状態でのエネルギーダイヤグラムである。図において、μ、μはそれぞれソースとドレインのフェルミ準位(electrochemicalポテンシャル)を示している。このフェルミ準位より下側の領域は電子に占有されて、フェルミ準位より上側の部分には電子が存在しない。
図22(A)に示されているように、ソースのフェルミ準位μとドレインのフェルミ準位μの間にクーロン島のエネルギー準位μN−1、μ、μN+1が存在しない場合において、μとμN−1の各エネルギー準位には電子が存在する。しかし、ソース、ドレイン側は電子で占められており、μ、μN−1の準位には電子が入る場所がない。つまり、この状態がクーロンブロッケードの状態である。またμN+1の準位はソース・ドレインのフェルミ準位より上にあるため、μN+1の準位にトンネルすることができる電子が存在しない。このような場合、電子がトンネルすることができず、結果として回路に電流は流れない。
一方、図22(B)に示されているように、ソースのフェルミ準位μとドレインのフェルミ準位μの間に、クーロン島のエネルギー準位μが存在する場合は、電子がトンネルする。即ち、先ずドレイン側の電子が占められている部分から電子がμ上に一つトンネルする。次にソース側の電子が存在しない領域に電子がトンネルすることができる。μN−1、μN+1の準位では、図22(A)の場合と同様に電子はトンネルできない。よって、回路上には、エネルギー準位μを介した単一電子トンネルによる電流が流れる。
以上のように、単一電子素子における電流のON/OFFはクーロン島のエネルギー準位の位置がソース・ドレインのフェルミ準位間に存在するかどうかで決まる。ところで、エネルギー準位を制御する方法としては、ソース・ドレイン間の電圧を変化させることにより、ソースのフェルミ準位μとドレインのフェルミ準位μのエネルギー差を大きくし、ソースのフェルミ準位μとドレインのフェルミ準位μとの間にクーロン島のエネルギー準位を存在させることにより電流を流す方法と、ゲート電極・分子配向制御によるオフセット電荷を制御することで、クーロン島のエネルギー準位を上下させて電流を流す方法の二つの方法がある。
特に、本発明の分子素子30におけるエネルギー準位の制御には後者の手法を採用する。即ち、ゲート電圧を加えることで、クーロン島の電荷状態を制御し、クーロン島のエネルギー準位が上下し、このエネルギー準位がソースのフェルミ準位μ−ドレインのフェルミ準位μ間に存在する場合にのみ電流が流れる。本発明の分子素子30では、エネルギー準位の制御方法として、ゲート電極31,32による制御に加えて、金属内包フラーレンの双極子モーメント6Cによるスイッチに起因したオフセット電荷による制御に基づいている。双極子モーメント6Cの向きを予めソース・ドレイン電極である第1の電極2、第2の電極3の何れかからパルス電圧を加えて制御することによりオフセット電荷を制御することができる。また、ゲート電極である第3の電極31又は第4の電極32の一方によりオフセット電荷を制御することができる。このとき双極子モーメント6Cの向きを制御すると、同じゲート電圧を加えても電流が流れる場合と流れない場合の二つの場合を作ることができる。
以上のように、図21に示す分子素子30では、第3の電極31への電圧印加の有無による双極子モーメント6Cの向きと、第4の電極32への電圧印加とにより、オフセット電荷を独立に制御することができることを利用し、同じ構造の素子において金属内包フラーレン6内の分子の配向を制御することでXORとXNORとを実現することができる。即ち、ソース−ドレイン電圧、2つのゲート電圧として略同じ電圧値を用いても、双極子モーメント6Cの向きを制御することにより、XORとXNORの何れかを動作させることができる。
本発明の分子素子30によるXOR論理回路について説明する。
図23は、図20に示す分子素子30がXOR論理素子を実現している場合のタイムチャートである。図23において、(a)は第1のゲート電極(G1)31に印加する電圧Vg1波形、(b)は第2のゲート電極(G2)32に印加する電圧Vg2波形、(c)はソース−ドレイン間に流れる電流波形を示している。なお、横軸は時間である。図24は、図23に示すタイムチャートを真理値表として示したテーブルである。
図23に示すように、第1のゲート電極(G1)31及び第2のゲート電極(G2)32に、それぞれ、「1」に対応するパルス電圧印加を繰り返す。そのとき、第2のゲート電極(G2)32に印加するパルス幅を、第1のゲート電極(G1)31に印加するパルス幅の自然数倍(図では2倍)とする。第1のゲート電極(G1)31及び第2のゲート電極(G2)32に印加される電圧の値により、金属内包フラーレン6のオフセット電荷が制御され、所定の電圧を印加されたソース電極Sからドレイン電極Dに流れ出る電流が制御される。図22に示したタイムチャートの例では、第1のゲート電極(G1)31及び第2のゲート電極(G2)32に対する「0」「1」の各入力に応じて、ドレイン電極Dから排他的論理和(XOR)を出力させることができる。また同様に、排他的論理和の否定(XNOR)をドレイン電極Dから出力させることもできる。
図21に示す分子素子30において、ソース電極2及びドレイン電極3間に一定の電圧を印加した状態の下、第1のゲート電極31及び第2のゲート電極32への電圧印加の組合せで、金属内包フラーレンのオフセット電荷を制御し、ソース電極2とドレイン電極3とに流れる電流をON/OFFすることで、論理素子を実現することができる。
以上のように、互いに対向する電極対に加える電圧を制御することで、金属内包フラーレン6の方向の面内制御を行い、これにより、金属内包フラーレン6のオフセット電荷Qの変調・制御で、排他的論理和回路(XOR)と排他的論理和の否定回路(XNOR)を書換え可能に実現させることができる。
次に、本発明の分子素子10、20、30の製造方法について説明する。
基板1に電子線リソグラフィー法(EBL)及びめっき法により第1の電極2と第2の電極3とを所定の隙間を開けて形成する。このとき、先ず、電子線リソグラフィー法では、10〜15nmの隙間が開くように、一対の電極をパターン化して形成する。その後、その一対の電極に、無電解めっきや電解めっきを施すことで、所定の隙間を有するよう第1の電極2と第2の電極3を作製する。なお、分子素子20の場合には第3の電極21、分子素子30の場合には第3の電極31及び第4の電極32も、同様にして第1の電極2及び第2の電極3と同時に形成する。
その後、第1の電極2、第2の電極3上にそれぞれ形成する第1の自己組織化単分子膜4や第2の自己組織化単分子膜5は、非特許文献2〜10などの公知方法により形成することができる。第1の電極2及び第2の電極3上に形成させるために、マスクなどを用いても良い。
金属内包フラーレン6は、内包させたい金属6Bを混練したグラファイトロッドを用いて直流アーク放電を行ない、得られたススを、精製、分離することで得られる。この精製及び分離工程には、液体クロマトグラフィーを使用することができる。このようにして製造した金属内包フラーレン6を、第1の自己組織化単分子膜4と第2の自己組織化単分子膜5とに跨るように配置する。
以上により、本発明の分子素子10、20、30を作製することができる。
以下、本発明による分子素子の実施例について説明する。
先ず、ステップ1として、電子線リソグラフィー法により、電極パターンを形成する。即ち、シリコン基板上に熱酸化膜を形成したシリコン熱酸化膜基板上に、電子線露光によりソース及びドレイン電極2,3間に30〜40nm程度のギャップをもつパターンを描画する。さらに、このパターンに直交するようにソースあるいはドレイン電極2,3から50nmのギャップをもつゲート電極対31,32のパターンも併せて描画する。この作製したパターンにクロム(Cr)を5nm、金(Au)を15nm蒸着し、リフトオフすることで、シリコン熱酸化膜基板上に金電極パターンを作製する。
ステップ2として、無電解メッキによるギャップ幅の変調を行う。即ち、ヨードチンキに金を溶かした溶液にアスコルビン酸(ビタミンC)を還元剤として加えたメッキ液を調製する。メッキ液を超純水で希釈し、所定の濃度にする。調製したメッキ液に電子線リソグラフィー法により作製した金電極パターンを浸し、金の自己触媒型無電解メッキを行うことで、金電極上だけに金をメッキする。一定時間後、基板を取り出し、洗浄する。
ステップ3として、自己組織化単分子膜の成膜を行う。即ち、無電解メッキにより作製したナノギャップ電極を自己組織化単分子膜の溶液に浸す。これにより、金電極上に自己組成化単分子膜を成膜する。
そして、ステップ4として、金属内包フラーレン6を分散させる。即ち、自己組成化単分子膜で保護された金ナノギャップ電極間に、金属内包フラーレン6を導入する。金属内包フラーレン6の第1の導入方法としては、ソース−ドレイン電極2,3間に電圧を加えた状態で、金属内包フラーレン6を溶解した溶液(溶媒としては二硫化炭素CS)を滴下する。このとき、ソースとドレイン間の抵抗変化の有無から金属内包フラーレン6が導入されたか否かを確認することができる。金属内包フラーレン6の第2の導入方法は、真空装置を用いて金属内包フラーレン6を蒸着する方法である。蒸着中、ソース・ドレイン間の抵抗を測定し、抵抗変化の有無から金属内包フラーレンがギャップ間に収まったかどうかを判断する。
以上のプロセスを経ることで分子素子を作製する。
図25は、基板1上にナノギャップを有するように各電極を形成した分子素子の走査電子顕微鏡像を示す図である。図26は、図25に示す走査型電子顕微鏡の拡大図である。何れもステップ2の段階でのサンプルの走査電子顕微鏡像である。
図25及び図26から、第1の電極2としてのソース電極と、第2の電極3としてのドレイン電極との隙間が3〜5nmであることが分かる。よって、10nm以下の幅のナノギャップ電極が作製できていることが分かる。
以上のステップを経ることで分子素子が作製できたことを確認した。
本発明の分子素子10、20、30は、将来需要が高まると考えられるnmスケールのメモリや論理回路への展開が期待され、分子ナノエレクトロニクスの分野において重要な役割を果たすことが期待される。
本発明の分子素子の構造を模式的に示す図である。 本発明の分子素子において、自己組織化単分子膜として用いることができるジエチルジチオカルバメートの分子構造を示す図である。 (A)〜(M)は、本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 (A)〜(E)は、本発明に用いることができる自己組織化単分子膜の化学構造を示す図である。 金属内包フラーレンの配向を説明した説明図である。 本発明の分子素子を動作させるための回路構成を模試的に示す図である。 本発明の分子素子の電流−電圧特性を示す図である。 オフセット電荷をパラメータとして、図1に示す分子素子の電流−電圧特性を示す図である。 本発明の分子素子を示す図で、(A)はその模式図、(B)はその等価回路を示す図である。 本発明の分子素子を示す図で、(A)はその模式図、(B)はその等価回路を示す図である。 図21に示す分子素子のエネルギーダイヤグラムであり、(A)はクーロンブロッケードの状態、(B)は単一電子トンネルの状態でのエネルギーダイヤグラムである。 図20に示す分子素子がXOR論理素子を実現している場合のタイムチャートである。 図23に示すタイムチャートを真理値表として示したテーブルである。 ナノギャップを有するように各電極を形成したサンプルの走査電子顕微鏡像を示す図である。 図25に示す走査型電子顕微鏡の拡大図である。
符号の説明
1:基板
1A:導電性基板
1B:絶縁層
2:第1の電極(ソース電極)
3:第2の電極(ドレイン電極)
4、5:自己組織化単分子膜
4A、5A:第1の官能基
4B、5B:第2の官能基
6、6a、6b、6c:金属内包フラーレン
6A:フラーレン
6B:金属原子
6C:双極子モーメント
7:外部電界
8:第1のトンネル接合
9:第2のトンネル接合
10、20、30:分子素子
11:可変直流電源
12:電流計
21、31:第3の電極(第1のゲート電極)
32:第4の電極(第2のゲート電極)

Claims (8)

  1. 第1の電極と、該第1の電極上に配置される第1の自己組織化単分子膜と、第2の電極と、該第2の電極上に配置される第2の自己組織化単分子膜と、上記第1の自己組織化単分子膜と上記第2の自己組織化単分子膜との間に配置される金属内包フラーレンと、を備え、
    上記金属内包フラーレンと上記第1の電極との間には上記第1の自己組織化単分子膜を介して第1のトンネル接合が形成され、
    上記金属内包フラーレンと上記第2の電極との間には上記第2の自己組織化単分子膜を介して第2のトンネル接合が形成され、
    上記金属内包フラーレンに印加する電界で、上記金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を制御することを特徴とする、分子素子。
  2. 前記第1の電極と前記第2の電極とがナノオーダーの間隙で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。
  3. 前記金属内包フラーレンに外部電界を印加して、該金属内包フラーレンの双極子モーメントを多段に変化させ、多段スイッチとして動作させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分子素子。
  4. 前記第1の電極と前記第2の電極との配置方向に対し直交する方向に、ゲート電極を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。
  5. 前記第1の電極と前記第2の電極との配置方向に対し直交する方向の両側に、一対のゲート電極を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。
  6. 前記一対のゲート電極に電圧を印加し、前記金属内包フラーレンのオフセット電荷を変えることにより第1及び第2の電極間の電流を制御し、排他的論理和回路(XOR)又は排他的論理和の否定回路(XNOR)の動作を行わせることを特徴とする、請求項に記載の分子素子。
  7. 前記自己組織化単分子膜は、前記第1又は第2の電極となる金属原子に化学吸着する第1の官能基と、該第1の官能基に結合する第2の官能基とから成り、
    上記第1の官能基が、チオール基、ジチオカルバメート基、キサンテート基の何れかの基であることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。
  8. 前記自己組織化単分子膜の第2の官能基が、アルカン、アルケン、アルカン又はアルケンの水素分子の一部又は全部をフッ素に置換したもの、アミノ基、ニトロ基、アミド基の何れかの基であることを特徴とする、請求項に記載の分子素子。
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