JP5141938B2 - 歪補償回路 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波の電力増幅器で発生する非線形歪みを補償するのに用いて好適な歪補償回路に関する。
高周波電力増幅回路では、通常、動作点を付加効率の高い飽和点付近に設定するため、非線形歪みが多く発生する。このような非線形歪みにより、3次、5次等の混変調が生じ、このような混変調により、帯域内のC/N比(Carrier to Noise ratio)の劣化が生じ、BER(Bit Error Rate)が低下するという問題が生じる。また、帯域制限された入力信号が3次、5次混変調のために帯域外に信号が広がり、隣接チャンネルに干渉を与えるという問題がある。また、AM−PM変換による位相雑音のため、位相変調信号のBERが劣化するという問題がある。
これらの問題点を解決するために、例えば非特許文献1に示されるように、プリディストーション方式の歪補償回路が提案されている。
つまり、高周波増幅回路の非線形歪みについては、非線形特性が振幅歪みとなって現れるAM−AM特性と、非線形特性が位相歪みとなって現れるAM−PM特性とがある。このような非線形歪みが生じるような場合には、これと逆特性の歪みを、高周波増幅回路の前段で予め加えれば良いことになる。
図33に示す従来のプリディストーション方式の歪補償回路では、AM−AM特性の振幅歪みを除去するための回路系と、AM−PM特性の位相歪みを除去するための回路系とを用意して、非線形歪みをキャンセルするようにしている。
図33において、入力端子400からの入力信号は、入力信号検出回路401に供給されると共に、遅延回路402に供給される。遅延回路402の出力信号は、位相変調回路403、振幅変調回路404を介して、高周波増幅回路410に供給される。
また、入力信号検出回路401からの包絡線出力信号がA/Dコンバータ405でディジタル化され、ルックアップテーブル406a及び406bに供給される。
ルックアップテーブル406aには、AM−PM特性に基づいて、位相歪みをキャンセルするための位相歪成分データが記憶されている。ルックアップテーブル406bには、高周波増幅回路110のAM−AM特性に基づいて、振幅歪みをキャンセルするための振幅歪成分データが記憶されている。
ルックアップテーブル406aから読み出された位相歪みデータは、D/Aコンバータ407aでアナログ値に変換され、位相変調回路403に供給される。位相変調回路403で、高周波増幅回路410のAM−PM特性をキャンセルするように、入力信号の位相が変調される。
ルックアップテーブル406bから読み出された振幅歪みデータは、D/Aコンバータ407bでアナログ値に変換され、振幅変調回路404に供給される。振幅変調回路404で、高周波増幅回路410のAM−AM特性をキャンセルするように、入力信号の振幅が変調される。
また、高周波増幅回路410の出力信号は、出力端子412から出力されると共に、出力信号検出回路411に供給される。出力信号検出回路411の出力信号がコンパレータ408に供給される。コンパレータ408で、入力信号の検出値と出力信号の検出値とが比較される。このコンパレータ408の比較出力に基づいて、ルックアップテーブル406bが更新される。
S. Kusunoki "Power-Amplifier Module With Digital Adaptive Predistortion for Cellular Phones" IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques, Vol. 50, No. 12, December 2002
上述の従来のプリディストーション方式の歪補償回路では、ルックアップテーブル406a及び406bに、位相歪成分データ及び振幅歪成分データを蓄積し、入力信号検出回路401の出力信号をA/Dコンバータ405でバイナリ化してルックアップテーブル406a及び406bに送り、ルックアップテーブル406a及び406bの出力を、D/Aコンバータ407a及び407bでアナログ値に変換して、位相変調回路403及び振幅変調回路404に与えるようにしている。
このように、入力信号検出回路401からの出力信号をA/Dコンバータ405でバイナリ化してルックアップテーブル406a及び406bに送り、ルックアップテーブル406a及び406bの出力を、D/Aコンバータ407a及び407bでアナログ値に変換する構成では、ディジタル回路の内部クロックに同期して処理を行うため、A/Dコンバータ405からD/Aコンバータ407a及び407bの間に、数クロックの遅れが生じる。このため、RF信号ルートとディジタル歪発生回路との間の遅延差が大きくなり、特性が悪化する。
そこで、このような構成では、RF信号ルートとディジタル歪発生回路の遅延を一致させるために、RF信号ルート中に、遅延回路402を挿入している。遅延回路402としては、数クロック分の遅延量が必要なことから、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイスや長い遅延線路を付加するようにしている。
ところが、SAWデバイスの場合は上限周波数に限度があり、約2GHzが限度である。また、比帯域も約5%位が限度である。従って、上述の従来のプリディストーション回路では、マイクロ波以上で広帯域の使用には問題がある。また、遅延線路の場合、線路長が長くなり、大型化し、重量が大きくなるという問題が生じる。
また、ディジタル歪発生回路のサンプリングクロック周波数は、少なくとも信号帯域幅の4倍程度に設定され、広帯域を確保するためには、クロック周波数を上げる必要がある。ところが、上述の従来のプリディストーション回路では、クロック周波数を上げると、遅延回路402の動作に問題が生じる。このため、十分な帯域幅を有する回路を確保することが難しい。通常、衛星通信などでは36MHzから100MHz程度の帯域幅が要求されるため144Mspsから400Msps程度のスピードが要求されることになる。
また、従来では、A/Dコンバータ405で検出信号を等間隔の電圧幅で量子化している。このため、補償回路のダイナミックレンジを大きくし、且つ全レンジにわたって一定以上のC/N比を確保しようとすると、量子化ステップ電圧幅は、一番厳しい仕様を有する点で固定されることになる。このため飽和点付近、あるいはバックオフの大きな点においては、必要以上の低量子化雑音に抑えられることになり、またA/Dコンバータに対して、必要以上のビット数を要求することになる。
更に、このようなプリディストーション方式の歪補償回路では、RF信号ルートと歪発生回路との遅延差が性能を大きく左右する。従って、遅延回路402のような固定的な遅延回路では、RF信号ルートと歪発生回路との遅延差を除去することは難しく、RF信号ルートと歪発生回路との遅延差の調整が必要である。
更に、被補償高周波電力増幅器や歪補償回路そのものの温度変化や経時変化により、歪補償回路に要求される歪み特性が変化する。このため、温度変化や経時変化に対応して、歪成分データを書き換える必要がある。
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、広帯域、超高周波での動作を可能としての歪補償回路を提供することにある。
また、本発明の目的は、小型、軽量且つ低コストを図ることができる歪補償回路を提供することにある。
また、本発明の目的は、広くダイナミックレンジを確保できる歪補償回路を提供することにある。
また、本発明の目的は、RF信号ルートと歪発生回路との遅延差を簡単に調整できる歪補償回路を提供することにある。
また、本発明の目的は、最適な伝達特性にシステムを自動的に補正することができる歪補償回路を提供することにある。
上述の問題を解決するために、本発明は、入力高周波信号が伝送されるRFルートと、前記入力高周波信号の入力信号レベルに応じて、高周波増幅器の非線形歪をキャンセルするための歪成分を発生する歪発生手段と、前記歪発生手段からの歪成分により前記高周波入力信号に対して前記高周波増幅器の非線形振幅及び位相歪をキャンセルする変調手段とからなるようにしたプリディストーション方式の歪補償回路において、前記歪発生手段は、入力信号の入力信号レベルを検出する検波手段と、前記検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、同相成分についての偶数次多項式による歪成分を発生する第1のディジタル発生手段と、前記検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、直交成分についての偶数次多項式による歪成分を発生する第2のディジタル発生手段とを含み、前記変調手段は、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分岐する手段と、前記入力信号の同相信号成分と前記第1のディジタル発生手段からの同相成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第1の振幅変調手段と、前記入力信号の直交信号成分と前記第2のディジタル発生手段からの同相成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第2の振幅変調手段と、前記第1の変調手段の出力と前記第2の変調手段の出力とを合成する同相合成手段とを含むことを特徴とする歪補償回路。
好ましくは、前記第1及び第2のディジタル歪発生手段は、記憶素子が2次元配列され、入力信号レベルに対応する歪成分データが各行毎に記憶されているメモリマトリクスと、前記行選択信号により前記メモリマトリクスから読み出された歪成分データをアナログ信号に変換するD/A変換手段とからなり、前記検波手段は、入力信号レベルを複数の基準電圧と比較し、この比較結果に基づいて前記メモリマトリクスのうちの何れか1つの行を選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータであり、前記メモリマトリクスは、前記行選択信号により選択された行の前記記憶素子から行単位に一括で前記入力信号レベルに相当する歪成分データが読み出されることを特徴とする請求項1に記載の歪補償回路。
好ましくは、前記歪発生手段は、更に、前記メモリマトリクスから読み出された歪成分データを遅延時間を調整して前記D/A変換手段に出力する遅延調整手段を含むことを特徴とする。
好ましくは、RFルートの帯域濾波器を、RFルートの遅延量と、歪発生手段で生じる遅延量とを合わせるための遅延手段とすることを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅が一定となるように設定するようにしたことを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となるように設定したことを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定したことを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となるように設定したことを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となる設定とを、入力信号レベルに応じて組み合わせることを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となるように設定することを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となるように設定することを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の電圧と、高周波増幅器の飽和点を越える範囲の電圧とに分割され、メモリマトリクスにおける各行は、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域と、高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域とに分割され、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域には、入力信号レベルに対応する歪成分データがメモリマトリクスの各行毎に記憶され、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域には、出力信号レベルを一定とするリミッタデータがメモリマトリクスの各行毎に記憶されることを特徴とする。
好ましくは、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが飽和点より大きい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定することを特徴とする。
更に、好ましくは、高周波増幅器の出力信号に基づいて、歪成分データを更新する自動補正手段を有し、自動補正手段は、入力信号レベルを検出する検波手段と、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分割する直交分割手段と、高周波増幅器の出力信号と入力信号の同相成分とを乗算する第1の乗算手段と、高周波増幅器の出力信号と入力信号の直交成分とを乗算する第2の乗算手段と、検波手段の出力信号と第1及び第2の乗算手段の出力信号とを用いて、歪発生手段及び高周波増幅器からなる信号経路の総合伝達特性を求め、求められた総合伝達特性と予め設定された伝達特性とを比較して補正値を算出する演算手段と、演算手段で求められた補正値に基づいて、メモリマトリクスの各行の歪成分データを更新する制御手段とからなることを特徴とする。
本発明によれば、入力高周波信号が伝送されるRFルートと、入力高周波信号の入力信号レベルに応じて、高周波増幅器の非線形歪をキャンセルするための歪成分を発生する歪発生手段と、歪発生手段からの歪成分により高周波入力信号に対して高周波増幅器の非線形歪をキャンセルする変調手段とからなるようにしたプリディストーション方式の歪補償回路において、歪発生手段は、入力信号レベルを複数の基準電圧と比較し、この比較結果に基づいてメモリマトリクスのうちの何れか1つの行を選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータと、記憶素子が二次元配列され、入力信号レベルに対応する歪成分データが各行毎に記憶され、レベルコンパレータから行選択信号が供給されると、行選択信号により選択された行の記憶素子から行単位に一括で入力信号レベルに相当する歪成分データが読み出されるメモリマトリクスと、行選択信号によりメモリマトリクスから読み出された歪成分データをアナログ信号に変換するD/A変換手段とからなるようにしている。これにより、歪発生手段からは、1クロック以下のほぼリアルタイムで、波形変換を行い、歪成分を得ることができ、ディジタル歪発生器によって生じる遅延時間とRFルートによって生じる遅延時間との時間差の問題が改善できる。これにより、高速サンプリングにより、広帯域にわたって良好な特性を得ることができる。また、ほぼリアルタイムに波形変換を行うので、構成が簡単になり、小型、軽量、コストダウンを図ることができる。また、特別な遅延回路を必要としないので、クロック周波数を上げて、広帯域化を図ることができる。
また、本発明によれば、歪発生手段は、入力信号の入力信号レベルを検出する検波手段と、検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、同相成分についての偶数次多項式による歪成分を発生する第1のディジタル歪発生手段と、検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、直交成分ついての偶数次多項式による歪成分を発生する第2のディジタル歪発生手段とを含み、変調手段は、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分岐する分岐手段と、入力信号の同相信号成分と、第1のディジタル歪発生手段からの同相成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第1の振幅変調手段と、入力信号の直交信号成分と、第2のディジタル歪発生手段からの直交成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第2の振幅変調手段と、第1の変調手段の出力と第2の変調手段の出力とを加算する合成する同相合成手段とを含むようにしている。これにより、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分割して、高周波増幅器により生じる非線形歪みを改善することができる。
また、本発明によれば、歪発生手段は、入力信号の入力信号レベルを検出する検波手段と、検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、位相歪成分を発生する第3のディジタル歪発生手段と、検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、振幅歪成分を発生する第4のディジタル歪発生手段とを含み、変調手段は、入力信号と第3のディジタル歪発生手段からの位相歪成分とを変調する位相変調手段と、入力信号と第4のディジタル歪発生手段からの振幅歪成分とを変調する振幅変調手段とを含むようにしている。これにより、これにより、入力信号を位相成分と振幅成分とに分割して、高周波増幅器により生じる非線形歪みを改善することができる。
また、本発明によれば、歪発生手段は、更に、メモリマトリクスから読み出された歪成分データを遅延時間を調整してA/D変換手段に出力する遅延調整手段を含むようにしている。このように、遅延時間を微細に調整することにより、より効果的に、混変調の抑制が可能になる。
また、本発明によれば、RFルートの帯域濾波器を、RFルートの遅延量と、歪発生手段で生じる遅延量とを合わせるための遅延手段とするようにしている。このため、特別な遅延回路を設けることなく、ディジタル歪発生器によって生じる遅延時間とRFルートによって生じる遅延時間との時間差を調整することができる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅が一定となるように設定するようにしている。また、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となるように設定するようにしている。また、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定するようにしている。また、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となるように設定するようにしている。
このように、基準電圧を最適化することで、量子化ステップ数を減らすことが可能になり、製造可能な論理回路数の範囲内で、且つ必要十分な量子化雑音比を確保しつつ、必要なダイナミックレンジを確保することができる。この結果、リミッタ機能を併せ持つことができ、通信衛星搭載用の増幅器等の多様な信号の増幅器に適用することができる。また、回路の素子数を減らすことができるので、比較的大きな素子を使用でき、高速なディジタル回路を構成することができる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、量子化ステップ幅が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となる設定と、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となる設定とを、入力信号レベルに応じて組み合わせるようにしている。これにより、更に、基準電圧を最適化することができ、量子化ステップ数を減らすことが可能になる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの積が一定となるように設定するようにしている。これにより、更に、基準電圧を最適化することができ、量子化ステップ数を減らすことが可能になる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅と入力信号レベルの2乗との積が一定となるように設定するようにしている。これにより、更に、基準電圧を最適化することができ、量子化ステップ数を減らすことが可能になる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の電圧と、高周波増幅器の飽和点を越える範囲の電圧とに分割され、メモリマトリクスにおける各行は、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域と高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域とに分割され、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域には、入力信号レベルに対応する歪成分データがメモリマトリクスの各行毎に記憶され、入力信号レベルが高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域には、出力信号レベルを一定にするリミッタデータがメモリマトリクスの各行毎に記憶されるようにしている。これにより、リミッタ機能を併せ持つことができ、通信衛星搭載用の増幅器等の多様な信号の増幅器に適用することができる。
また、本発明によれば、レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが飽和点より大きい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定するようにしている。これにより飽和点を超える広いリミッタ入力領域を併せ持っても、量子化ステップ数の急激な増大を抑えることができる。
また、本発明によれば、高周波増幅器の出力信号に基づいて、歪成分データを更新する自動補正手段を有し、自動補正手段は、入力信号レベルを検出する検波手段と、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分割する直交分割手段と、高周波増幅器の出力信号と入力信号の同相成分とを乗算する第1の乗算手段と、高周波増幅器の出力信号と入力信号の直交成分とを乗算する第2の乗算手段と、検波手段の出力信号と第1及び第2の乗算手段の出力信号とを用いて、歪発生手段及び高周波増幅器からなる信号経路の総合伝達特性を求め、求められた総合伝達特性と予め設定された伝達特性とを比較して補正値を算出する演算手段と、演算手段で求められた補正値に基づいて、メモリマトリクスの各行の歪成分データを更新する制御手段とからなるようにしている。これにより、動作中に歪成分データの変換テーブルを書き換えることができ、且つ、サンプリングデータ単位で歪成分データの変換テーブルを書き換えるため、書き換え時の特性のずれを最小に抑えることができ、温度変化、経時変化なとの連続的変化に対して対応でき、動作を止めることなく、混変調の抑制に最適な特性を維持することができる。
第1実施形態.
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリディストーション・ディジタル・リニアライザ1の構成を示すものである。
図1において、RFルート2は、分岐回路12、帯域濾波器13、分岐回路14とにより構成される。入力端子11からの入力信号は、分岐回路12で2つの経路の信号に分岐される。分岐回路12で分岐された主信号は、帯域濾波器13を介して、分岐回路14に供給される。帯域濾波器13は、入力信号の帯域を確保するものである。分岐回路14で、この入力信号が2つの経路の信号に分岐される。
直交変調器3は、90度ハイブリッド15、振幅変調器16a、16b、同相合成器17により構成される。振幅変調器16a、16bは乗算器である。同相合成器17は加算器である。分岐回路14で分岐された主信号は、90度ハイブリッド15に供給される。90度ハイブリッド15により、入力信号は、入力信号と同相の同相信号成分と、入力信号と90度の位相差を持つ直交信号成分とに分岐される。同相信号成分は振幅変調器16aに供給され、直交信号成分は振幅変調器16bに供給される。
ディジタル歪発生器4は、直線検波回路18、ディジタル歪発生回路19a、19b、クロック発生回路20、遅延調整回路21、低域濾波器22a、22b、バイアス回路23a、23bにより構成される。
分岐回路12で分岐された信号は、直線検波回路18に供給される。直線検波回路18は、直線検波により、入力信号の包絡線レベルを検出する。なお、ここでは直線検波回路18を設けているが、包絡線の自乗レベルを検出するようにしても良い。直線検波回路18で得られた包絡線レベルの検出値は、ディジタル歪発生回路19a及び19bに供給される。
ディジタル歪発生回路19a及び19bには、後に詳述するように、入力信号の包絡線レベルを変数とし同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データ及び入力信号の包絡線レベルを変数とし直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データが蓄積されたルックアップテーブルがそれぞれ設けられている。直線検波回路18で検出された入力信号の包絡線の検出値がディジタル歪発生回路19a及び19bに供給されると、この入力信号の包絡線の検出値に応じて、ディジタル歪発生回路19a及び19bからは、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データ及び直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データがそれぞれ出力される。
なお、歪波形の直流成分は、バイアス回路23a、23bで発生させることができる。歪波形は、バイアス回路23a、23bからの直流成分とディジタル歪発生回路19a、19bからの信号とを組み合わせた波形となる。
ディジタル歪発生回路19a及び19bの出力が低域濾波器22a及び22bをそれぞれ介して、振幅変調器16a及び16bにそれぞれ供給される。また、バイアス回路23a及び23bの出力が振幅変調器16a及び16bにそれぞれ供給される。
なお、低域濾波器22a及び22bは、サンプリング信号のエリアシングを除去するためのナイキストフィルタである。また、前述のRFルート2の帯域濾波器13は、入力帯域を確保すると共に、この低域濾波器22a及び22bとディジタル歪発生回路19a、19bで発生する遅延の和に相当する遅延を与えるものである。
クロック発生回路20で発生されたクロックは、ディジタル歪発生回路19a、19bに供給される。
振幅変調器16aで、入力信号の同相信号成分と、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分とが乗算される。また、振幅変調器16bで、入力信号と90度の位相差を持つ直交信号成分と、直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分とが乗算される。
振幅変調器16a及び振幅変調器16bの出力信号は、同相合成器17に供給される。同相合成器17で、振幅変調器16aの出力信号と振幅変調器16bの出力信号とが加算される。これにより、入力信号に対して、同相信号成分と同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値と、直交信号成分と直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値との和が求められる。
同相合成器17の出力信号が被補償回路である高周波増幅器24に供給される。高周波増幅器24は、入力信号を電力増幅するものであり、高周波増幅器24としては、例えば、進行波管増幅器(TWTA:Traveling Wave Tube Amplifier)やトランジスタ増幅器が用いられる。
高周波増幅器24は非線形歪み特性を有しているが、上述のように、入力信号に対して、同相信号成分と同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値と、直交信号と直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値とが加算される。これにより、非線形歪みをキャンセルするような歪成分が高周波増幅器24の前段で入力信号に対して変調され、リニアな特性の出力信号を得ることができる。
即ち、入力端子11に、図2(A)に示すような波形の高周波入力信号が入力されると、この入力信号は、90度ハイブリッド15により、図3(A)及び図3(B)に示すように、同相成分と、直交成分とに分岐される。また、この入力信号が直線検波回路18に供給され、直線検波回路18で、図2(B)に示すように、入力信号の包絡線レベルが検波される。この直線検波回路18の出力信号がディジタル歪発生回路19a及び19bに送られる。ディジタル歪発生回路19aからは、図2(B)に示す入力信号の包絡線レベルの検出値に応じて、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分が出力され、また、ディジタル歪発生回路19bからは、図2(B)に示す入力信号の包絡線レベルの検出値に応じて、直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分が出力される。振幅乗算器16aで、ディジタル歪発生回路19aの出力信号と入力信号の同相成分とが乗算され、振幅乗算器16bで、ディジタル歪発生回路19bの出力信号と入力信号の直交成分とが乗算され、同相合成器17でこれらが加算される。これにより、図2(C)に示すような波形の出力信号が得られる。これにより、高周波増幅器24の非線形歪をキャンセルすることができる。
例えば、高周波増幅器24のAM−AM伝達特性は図4に示すようになっており、そのAM−PM特性は図5に示すようになっている。この場合、ディジタル歪発生回路19a及び19bからは、図6で特性A1及びA2で示すように、同相歪成分及び直交歪成分が出力される。振幅変調器16a及び16bからは、図7で特性B1及びB2で示すように、同相信号成分及び直交信号成分の変調出力が得られる。これらの和におより、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1からは、図8に示すように、高周波増幅器24のAM−AM伝達特性をキャンセルするようなAM−AM特性が得られ、また、図9に示すように、高周波増幅器24のAM−PM伝達特性をキャンセルするようなAM−PM特性が得られる。
自動補正回路5は、分岐回路27、乗算器28a、28b、遅延回路29、90度ハイブリッド30、直線検波回路31、A/Dコンバータ32a、32b、32c、演算回路33、制御回路34により構成される。自動補正回路5は、入力信号の包絡線レベルを検出し、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1と高周波増幅器24との合成特性を求め、予め決められていた線形特性からのずれを検出し、ディジタル歪発生回路のデータの書き換えを補正するものである。
高周波増幅器24の出力信号は、分岐回路25で分岐され、出力端子26から出力されると共に、自動補正回路5の分岐回路27に供給される。分岐回路27で、高周波増幅器24の出力信号が2つに分岐され、乗算器28a及び28bに供給される。
また、RFルート2の分岐回路14で分岐された入力信号が遅延回路29を介して、90度ハイブリッド30に供給されると共に、直線検波回路31に供給される。
直線検波回路31により、入力信号の包絡線レベルが検出される。この直線検波回路31の出力信号がA/Dコンバータ32cを介してディジタル化され、演算回路33に供給される。
また、90度ハイブリッド30により、高周波入力信号が同相信号成分と直交信号成分とに分岐される。同相信号成分が乗算器28aに供給され、直交信号成分が乗算器28bに供給され、それぞれの乗算器28a及び28bにおいて高周波増幅器24の出力との積をとることにより、高周波入力信号をリファレンスとして、出力信号の同相成分の包絡線レベルと、直交成分の包絡線レベルとが得られる。乗算器28a及び28bの出力信号は、A/Dコンバータ32a及び32bをそれぞれ介してディジタル化され、演算回路33に供給される。
演算回路33は、直線検波回路31、乗算器28a及び28bの出力信号を用いて、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1と高周波増幅器24の総合の伝達特性を求め、求められた伝達特性と予め設定された伝達特性を比較し、補正値を決定し、現在のディジタル歪発生回路19a及び19bのテーブルにある入出力特性に補正を加え、入出力特性を決定する。演算回路33で決定されたデータに基づいて、制御回路34を通して、ディジタル歪発生回路19a及び19bのテーブルのデータが設定される。演算回路33は、再度伝達特性の測定を行い、予め設定した伝達特性に収束したか確認し必要なら、再び補正値を決定し、ディジタル歪発生回路19a及び19bのテーブルにある入出力特性に補正を加え、入出力特性を決定し、収束するまでこれを繰り返す。本発明の第1実施形態においては、このように、ディジタル歪発生回路19a及び19bのテーブルを逐次書き換えることができる。これにより、温度変化、経時変化などの連続的変化に対応することができる。
上述のように、本発明の第1実施形態では、ディジタル歪発生回路19a及び19bにより、入力信号の包絡線レベルの検出値に応じて、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データ及び直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データを出力させ、振幅変調器16a及び16bにより、同相信号成分と同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値と、直交信号成分と直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分との乗算値とを求め、同相合成器17でこれらを加算するようにしている。これにより、非線形歪みをキャンセルするような歪成分が高周波増幅器24の前段で入力信号に対して変調され、リニア特性の出力信号を得ることができる。このことについて以下に説明する。
先ず、高周波増幅器24では素子の非線形伝達特性による非線形歪みが発生する。一般に、この非線形特性により、ベースバンド成分、基本波成分、2倍・3倍の高調波成分等が出力される。しかしながら、リニアライザは基本波の非線形特性を補償することにあるので、このような非線形回路の基本波成分の伝達関数にのみ着目し、これを求める。
角周波数woの近傍の入力信号x、は一般的に
x = a(t)・cos (wo・t) + b(t)・sin (wo・t) (1)
と表される。
非線形回路に入力信号を印加すると、回路のAM−PM伝達特性により直交信号成分が発生する。入力信号xに直交する直交信号成分yは
y = - a(t)・sin (wo・t) + b(t)・cos (wo・t) (2)
で表される。
出力信号zは、(1)式で示される入力信号の同相信号成分xの多項式と、(2)式で示される直交信号成分yの多項式との和で近似できると考えられる。
更に、入出力特性を飽和出力点で規格化し、以後の考察を簡単化する。先ず、sin関数或いはcos関数及びこれ等の線形和の偶数乗からは基本波近傍の成分は生成されないので、偶数次の項によって基本波成分は伝達されない。また、奇数次の項からは必ず基本波成分が生成される。このことから、基本波成分のみに着目すれば、多項式は奇数次の項からのみとなることがわかる。従って、基本波成分の伝達関数は、出力信号をzとすると、一般に、
z = c1・x + c3・x + c5・x + c7・x + c9・x + ・・・・・・
+ d1・y + d3・y3 + d5・y5 + d7・y7 + d9・y9 + ・・・・・・
(3)
となることがわかる。
上式に、同相信号成分x及び直交信号成分y
x = a(t)・cos (wo・t) + b(t)・sin (wo・t)
y = - a(t)・sin (wo・t) + b(t)・cos (wo・t)
をそれぞれ代入し、更に基本波成分のみ抽出し整理すると
z = ((c1 + (3/4)・c3・( a2 + b2 ) + (5/8)・c5・( a2 + b2 )2 + (35/64)・c7・( a2 + b2 ) + (63/128)・c9・( a2 + b2 ) + ・・・・・・・)・x
+ ((d1 + (3/4)・d3・( a2 + b2 ) + (5/8)・d5・( a2 + b2 )2 + (35/64)・d7・( a2 + b2 ) + (63/128)・d9・( a2 + b2 ) + ・・・・・・・)・y
(4)
となる。
即ち、同相信号成分xの係数部分、直交信号成分yの係数部分が一般の複素伝達関数のそれぞれ実数部、虚数部となる。
ここで、同相信号成分xを極座標系に変換すると
x = a(t)・cos (wo・t) + b(t)・sin (wo・t) = r(t)・sin (wo・t + φ(t))
(5)
ここで、
r(t) = SQRT ((a(t))2 + (b(t))2)
tan(φ(t)) = a(t) / b(t)
となる。
また、直交信号成分yを極座標系に変換すると
y = r(t)・sin (wo・t + φ(t) + π/2) = r(t)・cos (wo・t + φ(t))
(6)
となる。
従って
Figure 0005141938
となり、非線形回路の伝達関数は、入力信号の包絡線成分の多項式によって決定されることが明らかとなった。
上の(7)式を更に変形すると
Figure 0005141938
となる。
即ち、上の(8)式より、非線形の高周波回路の特性は、同相信号成分r(t)・sin (wo・t + φ(t))に、入力信号の包絡線信号r(t)を変数とする同相信号歪を与える偶数次多項式を掛け合わせたものと、
Figure 0005141938
直交信号成分r(t)・cos(wo・t + φ(t))に、入力信号の包絡線信号r(t)を変数とする直交信号歪を与える偶数次多項式を掛け合わせたもの
Figure 0005141938
との和として書き表すことができる。
以上のことから、(8)式に示す式を実現する回路を用意すると、任意の歪を有する非線形回路を実現でき、高周波増幅器の歪みをキャンセルすることができる。本発明の実施形態のプリディストーション・ディジタル・リニアライザ1は、これを具現化したものである。
高周波増幅器の入力をr(t)・sin(w0・t+φ(t))とすると、出力zは非線形回路の一般式(8)式を書き換えて、
Figure 0005141938
となる。
ここで
Figure 0005141938
である。θ(r(t))は、非線形回路による、位相歪を表している。また、Rr(r)、Ri(r)は、rの奇数次多項式(奇関数)である。リニアライザの伝達特性は、高周波増幅器24の伝達特性の逆関数であり、入力をr(t)・sin(w0・t+φ(t))とすると、リニアライザの出力zlは、
Figure 0005141938
となり、これを高周波増幅器の入力とすると、出力zは
Figure 0005141938
となり、リニアライザによって非線形特性が補償されることがわかる。
奇数次多項式R(r)の逆関数も奇数次多項式であり、R(r)の各項の係数より逆関数の各項の係数が求められ低次の項の係数から順次求めることができる。しかしながら、実際にはTWTAの伝達特性はすでにテーブル或いはグラフで与えられており、入出力の数値を入れ替えるだけで容易に逆伝達特性は決定される。
なお、直交変調器の場合はリニアライザの式を変形して
Figure 0005141938
従って、同相成分のディジタル歪発生回路19aには、
Figure 0005141938
で決定されるデータを、直交成分のディジタル歪発生回路19bには
Figure 0005141938
で決定されるデータを記憶させることにより非線形特性を補償することができる。
即ち、本発明の第1実施形態では、入力端子11に、
x = a(t)・cos (wo・t) + b(t)・sin (wo・t)
なる入力信号が入力される。
90度ハイブリッド15により、入力信号は、同相信号成分x
x = a(t)・cos (wo・t) + b(t)・sin (wo・t) = r(t)・sin (wo・t + φ(t))
と、直交信号成分y
y = -a(t)・sin (wo・t) + b(t)・sin (wo・t) = r(t)・cos (wo・t + φ(t))
とに分岐される。入力信号の同相信号成分xは振幅変調器16aに供給され、直交信号成分yは振幅変調器16bに供給される。
直線検波回路18で、直線検波により、入力信号の包絡線レベルが検出される。即ち、直線検波の場合には、cos成分の振幅値(a(t))と、sin成分の振幅値(b(t))との自乗和の平方根
r(t)=SQRT((a(t))2 + (b(t))2)
により、入力信号の包絡線レベルが得られる。また、自乗検波の場合には、
r(t)2=(a(t))2 + (b(t))2
により、入力信号の包絡線の自乗レベルが得られる。
伝達関数の同相信号成分の係数部分及び直交信号成分の係数部分は、包絡線r(t)の関数であり、検波出力を変数とする偶数次多項式の一意関数である。よって、ディジタル歪発生回路19a及び19bは、入力信号の包絡線レベルr(t)を入力とするルックアップテーブルにより実現することができる。
ディジタル歪発生回路19a及び19bには、ぞれぞれ、高周波増幅器24の非線形歪みをキャンセルするための同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データ及び直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データが蓄積されたルックアップテーブルが設けられている。直線検波回路18で検出された包絡線の検出値がディジタル歪発生回路19a及び19bに供給されると、この包絡線レベルに応じて、ディジタル歪発生回路19a及び19bからは、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分及び直交信号歪を与える偶数次多項式による歪成分が出力され、これが振幅変調器16a及び振幅変調器16bに供給される。なお、歪波形の直流成分は、バイアス回路23a、23bで発生させることができる。
振幅変調器16aで、入力信号の同相信号成分と、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分とが乗算される。また、振幅変調器16bで、入力信号の直交信号成分と、直交成分についての偶数次多項式による歪成分とが乗算される。同相合成器17で、振幅変調器16aの出力信号と振幅変調器16bの出力信号とが加算される。
これにより、(8)式に示したように、入力信号の同相成分と同相信号成分についての偶数次多項式による歪成分との乗算値と、入力信号の直交成分と直交信号成分についての偶数次多項式による歪成分との乗算値との和が求められる。
図1において、自動補正回路5では、直線検波回路31の出力と、高周波増幅器の出力とを用いて、入力信号の包絡線レベルを検出し、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1と高周波増幅器24との合成特性を求め、予め決められていた線形特性からのずれを検出し、ディジタル歪発生回路19a及び19bのルックアップテーブルの書き換えを行っている。
つまり、直線検波回路31の出力から、プリディストーション前の入力信号の包絡線レベルが検出される。ここで、入力信号を
a(t)・sin (wo・t) + b(t)・cos (wo・t)
とし、高周波増幅器24の出力信号を
c(t)・sin (wo・t +θ)+d(t)・cos (wo・t+θ)
とする。
高周波増幅器24の出力信号は、分岐回路25で分岐され、分岐回路27を介して、乗算器28a及び28bに供給される。この場合、乗算器28aのベースバンド出力は
Figure 0005141938
となる。また、乗算器28bのベースバンド出力は
Figure 0005141938
となる。
乗算器28aの出力と、乗算器28bの出力をそれぞれ2乗して和をとると、
Figure 0005141938
となる。
一方、直線検波回路31の出力は
Figure 0005141938
であるから、前式とよりAM−AM特性
Figure 0005141938
を得る。
乗算器28aの出力と乗算器28bの出力との自乗和と、直線検波回路31の出力との比較を行うことにより、AM−AM特性を得ることができる。
また、AM−PM特性については、乗算器28aの出力と乗算器28bの出力との比を一定にする必要がある。実際には、
c2+d2 = k(a2+b2)
c/d = Const
により、係数cとdとを決定するようにしている。
なお、遅延回路29は、分岐回路14から、直交変調器3、高周波増幅器24に至る経路の遅延量に相当する遅延を与えるものである。
次に、本発明の第1実施形態におけるディジタル歪発生回路19a、19bについて説明する。
ディジタル歪発生回路19a及び19bには、ぞれぞれ、同相信号歪を与える偶数次多項式による歪成分データ及び直交信号歪みを与える偶数次多項式による歪成分データが蓄積されたルックアップテーブルが設けられている。
このようなルックアップテーブルは、従来では、通常、図10に示すように、入力信号をバイナリのディジタル値に変換するA/Dコンバータ301と、A/Dコンバータ301の出力をアドレスとしてこれに対応する歪成分データを出力するメモリ302と、メモリ302の出力をアナログ値に変換するD/Aコンバータ303とから構成されている。この場合、入力信号をバイナリのディジタル値に変換してからメモリ302をアクセスして歪成分の波形を出力させるまでに、数クロックの時間が必要になる。
これに対して、本発明の第1実施の形態では、図11に示すように、ディジタル歪発生回路19a及び19bを、メモリマトリクス51と、レベルコンパレータ52と、D/Aコンバータ53とから構成するようにしている。この例では、入力アナログ値をバイナリに変換するA/Dコンバータ301を用いることなく、ルックアップテーブルから直接歪データを読み出せるようにしており、1クロック以内のほぼリアルタイムで、歪成分の波形を得ることができる。なお、ディジタル歪発生回路19a及び19bは同様に構成される。
このような構成のディジタル歪発生回路19a及び19bの概要について、図12を参照しながら説明する。
図12において、メモリマトリクス51には、記憶素子が二次元配列されている。このメモリマトリクス51には、各行毎に、歪成分データが記憶されている。
レベルコンパレータ52は、複数のコンパレータ55_1、55_2、55_3、…、55_nと、ゲート回路56とを含んでいる。コンパレータ55_1、55_2、55_3、…55_nは、入力信号の包絡線レベルの検出値と、ステップ的に変化する各基準電圧e、e、e、…と比較する。ゲート回路56は、コンパレータ55_1、55_2、55_3、…の出力から、入力信号の包絡線レベルに対応して、メモリマトリクス51の1つの行を選択する行選択信号を出力する。
図1における直線検波回路18からの入力信号の包絡線レベルの検出値は、入力端子50に供給される。この入力信号の包絡線レベルの検出値は、入力端子50からレベルコンパレータ52の各コンパレータ55_1、55_2、55_3、…に供給され、コンパレータ55_1、55_2、55_3、…で、入力信号の包絡線の検出値と基準電圧e、e、e、…とがそれぞれ比較される。コンパレータ55_1、55_2、55_3、…の出力がゲート回路56に供給される。ゲート回路56からは、コンパレータ55_1、55_2、55_3、…の出力に応じて、メモリマトリクス51の行の1つを選択する行選択信号が発生される。
レベルコンパレータ52からの行選択信号がメモリマトリクス51に供給されると、メモリマトリクス51のうち、選択された1つの行のデータが読み出され、このデータがD/Aコンバータ53に送られる。メモリマトリクス51から読み出されたデータは、D/Aコンバータ53で、アナログ信号に変換され、出力端子58から出力される。
図13は、ルックアップテーブルの一例である。図13に示すルックアップテーブルでは、入力信号の包絡線レベルがe以下のときの歪成分データをD1とし、入力信号の包絡線レベルがe〜eのときの歪成分データをD2とし、入力信号の包絡線レベルがe〜eのときの歪成分データをD3とし、以下同様にして、入力信号の包絡線レベルがe以上のときの歪成分データをDn+1としている。
この場合、図12に示すように、メモリマトリクス51の行L1には、歪成分データD1が記憶され、メモリマトリクス51の行L2には、歪成分データD2が記憶され、メモリマトリクス51の行L3には、歪成分データD3が記憶され、以下同様にして、メモリマトリクス51の行Ln+1には、歪成分データDn+1が記憶される。
レベルコンパレータ52のコンパレータ55_1、55_2、55_3、…には、入力端子50から、入力信号の包絡線レベルの検出値が供給される。この入力信号の包絡線レベルの検出値がe以下の時には、ゲート回路56からは、行L1を選択する選択信号SEL1が出力される。これにより、メモリマトリクス51の行L1から、歪成分データD1が一括で読み出される。
入力信号の包絡線レベルの検出値がe〜eの時には、ゲート回路56からは、行L2を選択する選択信号SEL2が出力される。これにより、メモリマトリクス51の行L2から、歪成分データD2が一括で読み出される。
入力信号の包絡線レベルの検出値がe〜eの時には、ゲート回路56からは、行L3を選択する選択信号SE3が出力される。これにより、メモリマトリクス51の行L3から、歪成分データD3が一括で読み出される。
以下同様にして、入力信号の包絡線レベルの検出値に応じて、ゲート回路56からは、メモリマトリクス51のうちの1つの行を選択する選択信号が出力され、この選択信号により、メモリマトリクス51から、歪成分データが一括で読み出される。
このメモリマトリクス51から読み出された歪成分データは、D/Aコンバータ53に供給され、D/Aコンバータ53で歪成分データがアナログ信号に変換され、出力端子58から出力される。
本発明の実施形態では、このように、ディジタル歪発生回路19a及び19bを、メモリマトリクス51と、レベルコンパレータ52と、D/Aコンバータ53とから構成するようにしている。このような構成では、1クロック以内のほぼリアルタイムで歪成分を発生することができる。
また、このような構成では、歪成分の発生ばかりでなく、ディジタル歪発生回路19a及び19bにリミッタ機能を持たせることができる。
図14は、ディジタル歪発生回路19a及び19bにリミッタ機能を待たせるようにしたものである。ディジタル歪発生回路19a及び19bにリミッタ機能を持たせるようにした場合、図14に示すように、レベルコンパレータ52には、コンパレータ55_1〜55_n及びコンパレータ55_n+1〜55_mが設けられ、メモリマトリクス51には、行L1〜Ln、及び行Ln+1〜Lm+1が設けられる。そして、コンパレータ55_1〜55_nには、基準電圧e1〜enが設定され、コンパレータ55_n+1〜55_mには、基準電圧en+1〜emが設定される。基準電圧en+1〜emは、高周波増幅器24の飽和領域を越える入力電圧に相当する。
図15は、ディジタル歪発生回路19a及び19bにリミッタ機能を持たせた場合のルックアップテーブルを示すものである。図15に示すように、ルックアップテーブルは、歪成分データのためのテーブルと、リミッタデータのためのテーブルとに分割される。
基準電圧e1〜en+1は歪成分データ用のテーブルで、入力信号の包絡線レベルの検出値がe以下のときの歪成分データをD1とし、入力信号の包絡レベル線の検出値がe〜eのときの歪成分データをD2とし、入力信号の包絡線レベルの検出値がe〜eのときの歪成分データをD3とし、以下同様にして、入力信号の包絡線の検出値がe〜en+1以上のときの歪成分データをDn+1としている。
基準電圧en+1〜emはリミッタデータ用のテーブルで、入力信号の包絡線レベルの検出値がen+1〜en+2のときの歪成分データをLMD1とし、入力信号の包絡線レベルの検出値がen+2〜en+3のときの歪成分データをLMD2とし、入力信号の包絡線レベルの検出値がen+3〜en+4のときの歪成分データをLMD3とし、以下同様にして、入力信号の包絡線の検出値がem以上のときの歪成分データをLMDmとしている。
図14に示すように、メモリマトリクス51の行L1には、歪成分データD1が記憶され、メモリマトリクス51の行L2には、歪成分データD2が記憶され、メモリマトリクス51の行L3には、歪成分データD3が記憶され、以下同様にして、メモリマトリクス51の行Ln+1には、歪成分データDn+1が記憶されている。更に、メモリマトリクス51の行Ln+2には、リミッタデータLD1が記憶され、メモリマトリクス51の行Ln+3には、リミッタデータLMD2が記憶され、メモリマトリクス51の行Ln+4には、リミッタデータLMD3が記憶され、以下同様にして、メモリマトリクス51の行Lm+1には、リミッタデータLMDmが記憶されている。
このように、ディジタル歪発生回路19a及び19bにリミッタ機能を備えるようにした場合には、高周波増幅器24の飽和領域を越える入力信号の包絡線レベルに対する基準電圧まで、基準電圧の範囲が拡張される。そして、メモリマトリクス51は、歪成分データのルックアップテーブルを構成する行L1〜Ln+1と、リミッタデータのルックアップテーブルを構成する行Ln+2〜Lmに分割される。これにより、飽和領域を越える入力信号レベルに対して、リミッタデータを発生し、出力信号レベルを一定にすることができる。
ここで、リミッタデータは、出力信号レベルを一定にするものである。即ち、飽和入力点以上の入力に対して、入力信号の包絡線レベルrに比例した減衰量を与えるリミッタデータを、振幅変調器16a、16bに与えることで、リニアライザの出力を一定に保つようにする。このとき振幅変調器16a、16bの減衰量の比は、飽和点における減衰量の比を保つようにすることにより、リミッタ領域における位相を一定に保つことができ、位相変調信号や周波数変調信号に与える歪を最小にすることができる。
具体的には、高周波増幅器24の出力信号の同相成分をa、直交成分をbとすると、(a2+b2)又はSQR(a2+b2)が一定となるようなデータが求められ、このデータに基づいて、リミッタデータLMD1〜LMDmが設定される。
更に、後に説明するように、基準電圧を△r1max/rが一定となるように設定することにより、大幅にステップ数を減らすことができる。
リミッタ領域においては、高周波増幅器26の入力はほぼ飽和点入力点となるので、AM−AM伝達特性は極大点となり、入力の変化に対し出力の変化が最小となる。従ってAM−PM変換をどの程度に抑制するかによって△r1max/r=kの値を決定することができる。
本発明の第1実施形態では、このように、ディジタル歪発生回路19a及び19bとして、記憶素子が二次元配列されたメモリマトリクス51と、信号レベルと複数基準電圧との比較結果に基づいて、メモリマトリクス51の行の1つを選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータ52と、メモリマトリクス51から読み出された歪成分データをアナログ信号に変換するD/Aコンバータ53とを有するものを用いている。これにより、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との時間差tdの問題が改善できる。これにより、広帯域にわたって良好な特性を得ることができる。このことについて以下に説明する。
図1に示したプリディストーション・ディジタル・リニアライザ1では、十分な帯域幅を確保し、良好な特性を得るためには、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との時間差tdが重要になる。
つまり、混変調抑圧のメカニズムは、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1で生じた混変調成分と高周波増幅器24で生じた混変調成分が打ち消しあった結果として考えられる。そこで、これら2つの混変調成分の位相差が重要となる。
本発明では、このディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との時間差tdの重要性に着目し、ディジタル歪発生器4によって生じる絶対的な遅延時間を少なくし、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との差tdを小さくするようにしている。
つまり、本発明の実施形態では、ディジタル歪発生回路19a及び19bは、図11に示したように、メモリマトリクス51と、レベルコンパレータ52と、D/Aコンバータ53とより構成されている。このような構成では、入力値をバイナリデータに変換するA/Dコンバータが用いられておらず、入力信号の包絡線のレベルの検出値に対応する歪成分データがメモリマトリクス51の各行から一括して読み出される。このため、1クロック以内のほぼリアルタイムで、歪成分の波形を得ることができ、ディジタル歪発生回路19a、19bによって生じる遅延時間が小さくなる。
また、RFルート2の経路中には、図1に示したように、ナイキストフィルタの低域濾波器22a、22bの遅延時間と、ディジタル歪発生回路19a、19bで生じる遅延時間の和に相当する遅延量の帯域濾波器13が設けられ、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間とを合わせるようにしている。
即ち、帯域濾波器13は、帯域を確保するための濾波器であり、この帯域濾波器13の遅延量を、ナイキストフィルタである低域濾波器22a、22bにほぼ相当する遅延量とすれば、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間とを合わせることができる。この帯域濾波器13は、基本的には、低域濾波器22a、22bと同等のものを、周波数変換して使用すれば良い。また、ディジタル歪発生回路の遅延時間を等価するためにフィルタの段数を増やしたり、帯域幅を狭くするなどの手段を取ることができる。従って、SAWフィルタのような特別な素子を用いる必要はなく、小型軽量化が図れ、また、高周波特性も改善できる。
これにより、本発明の実施形態では、高速サンプリングにより、広帯域にわたって良好な特性を得ることができる。例えば、帯域外を含めた3次混変調全体を抑圧し特性を改善しようとした場合、ディジタル歪発生回路19a、19bでは、入力信号の包絡線信号を2乗して得られる2倍波成分を生成する必要がある。これの帯域幅は、高周波信号の帯域幅と等しい。折り返しによる、エリアシングを防ぐために、オーバーサンプリングを行うとすると、高周波信号の帯域幅の4倍程度のサンプリングクロックが少なくとも必要である。例えば500Mspsのサンプリングにより、帯域幅125MHzのリニアライザが実現可能になる。また、ほぼリアルタイムに波形変換を行うので、構成が簡単になり、小型、軽量、コストダウンを図ることができる。また、特別な遅延回路を必要としないので、クロック周波数を上げて、広帯域化を図ることができる。
上述のように、本発明の第1実施形態のプリディストーション・ディジタル・リニアライザ1においては、ディジタル歪発生回路19a及び19bとして、記憶素子が二次元配列されたメモリマトリクス51と、信号レベルと複数基準電圧との比較結果に基づいて、メモリマトリクス51の行の1つを選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータ52と、メモリマトリクス51から読み出された歪成分データをアナログ信号に変換するD/Aコンバータ53とを有するものを用いている。この場合、ディジタル歪発生回路19a及び19bでは、包絡線レベルの検出値をレベルコンパレータ52で量子化し、メモリマトリクス51から歪成分データを読み出し、D/Aコンバータ53でアナログ値に変換しているので、レベルコンパレータ52及びD/Aコンバータ53による量子化誤差が生じる。ここで、この量子化誤差について考察する。
本発明の第1実施形態のプリディストーション・ディジタル・リニアライザ1は、図16に示すように、RFルート2からの信号と、ディジタル歪発生器4を介された信号とを、直交変調器3で変調した構成として表すことができる。このことから、ディジタル歪発生器4の伝達関数を
g (r) = (c3/c1)・r2 + (c5/c1)・r + (c7/c1)・r6 + ・・・
(9)
とすると、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1の出力zは
z = c1・r・(1 + g (r)) (10)
として表される。
ここで、レベルコンパレータ52とD/Aコンバータ53による量子化誤差を△r1、△r2と仮定する。△r1は、本来、信号レベルはrであるべきところを、レベルコンパレータ52による量子化のため、ディジタル歪発生器4において、(r+△r1)と判定したために生じるものである。更に、D/Aコンバータ53においても、離散値しかとれないため、誤差△r2に伴う量子化誤差が発生する。
従って、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1の出力zは、以下のようになる。
z + △z= c1・r・(1 + g (r + △r1) + △r2)
= c1・r・(1 + g (r) + dg/dr ・△r1 + △r2) (11)
また、誤差のないときの出力は
z = c1・r・(1 + g (r ))
であるから、出力における量子化誤差△zは
△z = c1・r・dg/dr・△r1 + c1・r・△r2 (12)
となる。
高周波増幅器24の伝達関数をF(z)とすると、高周波増幅器24の出力における量子化誤差は、
△y = dF/dz・△z (13)
となる。
高周波器24の伝達関数F(z)をべき級数展開すると、
F (z) = a1・z + a3・z + a5・z + a7・z + a9・z + ・・・・・・ (14)
となる。これを微分すると、
dF/dz = a1 + 3・a3・z2 + 5・a5・z + 7・a7・z6 + 9・a9・z8 + ・・・・
(15)
となり、dF/dzが得られる。更に、(10)式を代入すると、
△y = dF/dz・△z
= (2・a1・c3・r2 +c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ ) ・△r1 + (a1・c1・r + 3・a3・(c1)・(r) +・・・・・・ ) ・△r2
(16)
となり、高周波増幅器24の出力における量子化誤差△yが得られる。
ここで、図17に示すように、レベルrに対して、量子化ステップ幅を△r1max、−△r1maxとして考える。同様に、D/Aコンバータ53の量子化ステップ幅を△r2max、-△r2maxとして考える。
出力における量子化誤差対包絡線レベル比は、(16)式の両辺を入力信号の包絡線レベルrで割って
△y/r = (2・a1・c3・r+c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ )・△r1max・(△r1/△r1max)+(a1・c1+3・a3・(c1)・(r) +・・・・・・ )・△r2max・(△r2/△r2max)
(17)
となる。
ここで、入力信号の包絡線レベルrはある微小範囲内では確率的に一様に分布していると仮定できる。即ち△r1/r1max、△r2/r2maxは、(-1,+1)において一様分布、且つ、この範囲内となる。従って、出力における包絡線レベル対量子化雑音比△y/rは、量子化ステップ幅r1max,r2maxで決定される。
以上を基に、レベルコンパレータ52の設定電圧について、考察する。なお、レベルコンパレータ52の設定電圧は量子化ステップを決めるもので、このレベルコンパレータ52の設定電圧は、具体的には、各コンパレータ55_1、55_2、55_3、…に設定される基準電圧e、e、e、…である。
レベルコンパレータ52では、図12に示したように、入力信号の包絡線レベルを、複数の基準電圧e、e、e、…と比較している。この場合、入力信号の包絡線レベルは、各基準電圧の中間の値に相当すると考えられる。即ち、包絡線レベルの検出値rは、図18に示すように、
=(ei+ei−1)/2
となる。
また、量子化ステップ幅△r1maxは、図18に示すように、
△r1max =(ei−ei−1)/2
となる。
また、D/Aコンバータ53としては一定の量子化ステップ幅のものを用いるとし、量子化ステップ幅△r2maxを一定とする。D/Aコンバータ53の入力はバイナリ化されており、量子化ステップ幅△r2maxは、量子化ステップ幅△r1maxに比較して十分小さくとることが可能であり、この場合でもメモリマトリクスのサイズが急激に大きくなることはない。例えばステップ幅を半分にしてもメモリマトリクスのコラムが1列増えるだけである。以下の議論において量子化ステップ幅△r2maxは無視するものとする。
レベルコンパレータ52の基準電圧としては、以下のように設定することが想定される。
(a)量子化ステップ幅△r1maxが一定となるように設定する。
(b)入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定する。
(c)入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rが一定とするように設定する。
(d)入力信号の包絡線レベルの2乗と量子化ステップ幅との積r2・△r1maxが一定となるように設定する。
以上直線検波回路18を用いた場合について論じたが、これを二乗検波回路に置き換えた場合も、あるいはその他の検波回路に置き換えた場合も、包絡線レベルrと量子化ステップ幅△rが上記関係を満たしていれば、直線検波回路を用いた場合と同様にステップ数の最適化が出来る。


なお、A/Dコンバータ、ルックアップテーブル、D/Aコンバータからなる従来のひずみ発生回路においても、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rが一定、入力信号の包絡線レベルの2乗と量子化ステップ幅との積r2・△r1maxが一定となるようにA/Dコンバータの基準電圧をとることによってADコンバータのビット数を小さくでき、結果的にメモリの容量を大幅に減らすことができる。
ただし、コンパレータ52の基準電圧を検波器の特性で変換する必要がある。例えば二乗検波回路では入力信号の包絡線レベルrと検波回路の出力r ’の関係は
r’=r2
であるので、二乗検波回路の場合の基準電圧ei ’は、上記で求めた直線検波回路の場合の基準電圧eiに対して
ei ’=ei
となる。
先ず、量子化ステップ幅△r1maxを一定とした場合について考察する。(17)式より、出力における量子化誤差対包絡線レベル比△y/rは、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxに比例する。
量子化ステップ幅△r1maxが一定、即ち
△r1max=k(kは固定値)
となるように基準電圧を設定した場合、(17)式は
△y/r = (2・a1・c3・r+c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ )・k・(△r1/△r1max
(18)
となり、第2項以下は3次以上の微小量として無視できるので、出力における量子化誤差対包絡線レベル比△y/rは、入力信号の包絡線レベルrに比例することなる。
ここで量子化ステップ幅△r1maxが一定であるから
△r1max =(ei−ei−1)/2= k
となる。従って、レベルコンパレータ52の各基準電圧の設定値は、以下のようになる。
i = 2・i・k +e0 (19)
ここで、kはある入力レベルrに於ける量子化誤差対信号レベル比が与えられたとき(18)式より求められる。この入力レベルrを含む最小値elow、最大値ehiの範囲内で当該ステップを適用すると、この範囲内のステップ数N0は(19)式より
N0= (ehi - elow ) /(2k) (20)
となる。
次に、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定した場合について考察する。
入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxを一定、即ち
r・△r1max=k(kは固定値)
となるよう基準電圧を設定した場合、(17)式より
△y/r = (2・a1・c3 +c1 (6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r2) +・・・・・・ )・k・(△r1/△r1max)
(21)
となり、第2項以下を2次以上の微小量として無視すると、出力における量子化誤差対包絡線レベル比△y/rは、入力信号の包絡線レベルrによらず常に一定となる。
このときステップiの基準電圧 は、r・△r1max = kとすると、以下のようになる。
r・△r1max = ((ei+ ei-1)/2)・((ei- ei-1)/2)=k (22)
よって、漸化式
ei 2 - ei-1 2 = 4・k (23)
を得る。
従って、レベルコンパレータ52の各基準電圧は、以下のようになる。
ei = 2・SQRT(k・i+ e02) (24)
ある入力レベルrに於ける量子化誤差対信号レベル比が与えられたとき(21)式よりkが求められる。この入力レベルrを含む最小値elow、最大値ehiの範囲内で当該ステップを適用すると、この範囲内のステップ数N1は
N1= (ehi 2 - elow 2 ) /(4k) (25)
となる。
次に、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定
とした場合について考察する。(17)式を更に書き換えると、
△y/r = (2・a1・c3・r2+c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ )・(△r1max/r)・(△r1/△r1max)
(26)
なる式が得られる。
ここで、入力信号の包絡線レベルrと量子化ステップ幅△r1maxとの比(△r1max/r)を一定、即ち
△r1max/r=k(kは固定値)
とし、上式に代入すると
△y/r = (2・a1・c3・r2+c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ )・k・(△r1/△r1max)
(27)
となり、出力における量子化誤差対包絡線レベル比は、包絡線レベルの検出値rの2乗に比例する。
このときステップiの基準電圧 は、△r1max /r= kとすると、以下のようになる。
△r1max/r = (ei- ei-1)/(ei+ ei-1)=k (28)
従って、漸化式
ei=(1+k)/(1-k)・ei-1 (29)
を得る。
レベルコンパレータ52の各基準電圧は以下のようになる。
ei=((1+k)/(1-k))i・e0 (30)
ここで、kはある入力レベルrに於ける量子化誤差対信号レベル比が与えられたとき(27)式より求められる。この入力レベルrを含む最小値elow、最大値ehiの範囲内で当該ステップを適用すると、この範囲内のステップ数Nは
N = (logehi - log elow)/log((1+k)/(1-k)) (31)
となる。
次に、入力信号の包絡線レベルの2乗と量子化ステップ幅との積r2・△r1maxを一定となるように設定した場合について考察する。(17)式を変形すると、
△y=(2・a1・c3+c1(6・a3・c1・c3 + (4・a1・c5)/c1) r2 + … ) r2 △r1max (△r1/△r1max)
(32)
となる。
ここでr2 △r1max=k 一定とおくと
△y=(2・a1・c3+c1(6・a3・c・c3+(4・a1・c5)/c1) r2+ … ) k (△r1/△r1max) (33)
となり、第2項以下はrの2乗以上の微小量として無視することができ、出力における量子化誤差△yはrによらず一定となる。
このときステップiの基準電圧 は、r2・△r1max = kから、以下のようになる。
r2・△r1max = ((ei+ ei-1)2/4)・((ei- ei-1)/2)=k (34)
より簡単な漸化式を得るために
(ei+ ei-1)2/4 = (ei 2+ei・ei-1+ei-1 2)/3 (35)
なる近似式を用いると
(ei - ei-1 )/6 = k (36)
なる漸化式を得る。
従って、レベルコンパレータ52の各基準電圧は、以下のようになる。
ei = 6・i・k+e0 (37)
ある入力レベルrに於ける量子化誤差対信号レベル比が与えられたとき(19)式よりkが求められる。この入力レベルrを含む最小値elow、最大値ehiの範囲内で当該ステップを適用すると、この範囲内のステップ数N2は
N2= (ehi - elow ) /(6k) (38)
となる。
以上の結果をまとめると、以下のようになる。
(a)量子化ステップ幅△r1maxが一定となるように設定した場合:量子化誤差は包絡線レベルrの2乗に比例し、量子化誤差対包絡線レベル比はrに比例する。
(b)入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定した場合:量子化誤差は包絡線レベルrに比例し、量子化誤差対包絡線レベル比はrにかかわらず一定となる。
(c)入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rが一定とするように設定した場合:量子化誤差は包絡線レベルrの3乗に比例し、量子化誤差対包絡線レベル比はrの2乗に比例する。
(d)入力信号の包絡線レベルの2乗と量子化ステップ幅との積r2・△r1maxが一定となるように設定した場合:量子化誤差が包絡線レベルrによらず一定となる。
以上の考察を基に、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1におけるレベルコンパレータ52の設定電圧について、更に考察する。
先ず、量子化ステップ△r1maxを一定とした場合には、上述のように、出力における量子化誤差対包絡線レベル比は、入力信号の包絡線レベルrに比例することになる。これに対して、3次混変調対信号比は、入力信号の包絡線レベルrの2乗に比例する((8)式参照)。よって、量子化誤差対3次混変調比は、入力信号の包絡線レベルの検出値rに反比例し、飽和点に近づくほど小さくなる。
3次混変調の改善が安定的に期待できるのは約20dB程度であること、飽和点付近での混変調の改善は不可能であることを考えると、飽和点付近の混変調歪が支配的である領域では、量子化誤差対3次混変調比を小さくすることは無意味である。飽和点付近及びそれ以上の入力においては、飽和点以下でどのように非線形性を改善しても、3次混変調歪は大幅な改善はされない。実際、入出力特性が飽和点以下で直線で飽和点以上の入力に対して一定の出力を有する理想的な場合でも、2波3次混変調は飽和点において約10dBとなる。この値は飽和点以下がどのような特性であっても殆ど変わらないことは経験的にもシミュレーション的にもわかっている。
これに対して、飽和点付近の混変調歪が支配的である領域で、量子化誤差対3次混変調比を一定に保つとすれば、量子化ステップ幅△r1maxを大きくとることができ、量子化ステップ数を減らせることができる。量子化誤差対3次混変調比を一定に保つというのは、3次混変調の改善は20dB から30dB以上は難しいということからも合理的な考え方である。
入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定とした場合、前述したように、出力における量子化誤差対包絡線レベル比は、包絡線レベルrの2乗に比例することになる。これは、入力信号の包絡線レベルが10dB下がると、出力における量子化誤差対包絡線レベル比が20dB改善されることを意味し、信号対3次混変調の関係と一致している。
即ち、この関係は、デシベル表示の両対数グラフで入力値と出力値とを表したときに、入力信号の包絡線レベルに対する出力における量子化誤差の変化と、入力信号の包絡線レベル対する3次混変調とが同じ傾きで変化することを意味する。よって、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定とすれば、量子化誤差対3次混変調比を一定に保つことができることになる。
また、
△y=α・r・(△r1max/r)=α・r・k・(△r1/△r1max)
α=2・a1・c3
となるので出力の量子化雑音は、3次混変調と同様の周波数成分を持つ。従って、出力における量子化雑音は常に3次混変調にマスクされることになる。
プリディストーション・ディジタル・リニアライザ1で発生させた3次混変調歪と、高周波増幅器24で発生した3次混変調が位相的に打ち消しあって抑制されると考えると、この関数は最適の関係を与えるものと考えられる。よって、飽和点付近の混変調歪が支配的である領域では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定とすることが最適であると考えられる。
しかしながら、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定とすると、入力信号の包絡線レベルrが小さくなると、量子化ステップ幅△r1maxも共に小さくなり際限がなくなり、ステップ数が無限となる。
そこで、図19(A)に示すように、飽和点付近の混変調歪が支配的である領域では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定となるようにレベルコンパレータ52の基準電圧を設定し、量子化誤差対3次混変調比を一定に保ち、入力信号の包絡線レベルが所定値rx以下では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定し、量子化誤差対包絡線レベル比を一定にするか、又は、図19(B)に示すように、入力信号の包絡線レベルが所定値rx以下では、入力信号の包絡線レベルの2乗と量子化ステップ幅との積r2・△r1maxが一定となるように設定し、量子化誤差を一定とする。
即ち、図20に示すように、デシベル表示の両対数グラフで入力値と出力値とを表したとする。図20において、P1は補償後の入出力特性を示し、P2は補償前の3次混変調特性を示し、P3は補償後の3次混変調を示し、P4は最適化された量子化誤差を示し、P5は量子化ステップ幅を一定とした場合の量子化誤差を示す。

補償前の3次混変調は、特性P2で示すように、傾き3の特性となる。これに対して、量子化ステップ幅△r1maxを一定にすると、量子化誤差は包絡線レベルの2乗に比例するので、特性P5で示すように、傾き2の特性となる。このように、3次混変調の特性が傾き3で、量子化誤差の特性が傾き2となることから、量子化ステップ幅を一定とした場合には、飽和点付近の理論的に混変調特性の改善が見込めない領域において、3次混変調対量子化雑音比が入力の増加とともに大きくなる。このことは、飽和点付近で必要以上にステップ幅を小さくし量子化ステップ数を増大していることを示す。
混変調歪が支配的である領域では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定としたとすると、量子化誤差は包絡線レベルrの3乗に比例し、傾き3の変化となる。よって、3次混変調の特性の傾きと同一となり、3次混変調対量子化雑音比を一定に保つことができることになる。しかしながら、この場合、入力信号の包絡線レベルが小さくなると、量子化ステップ幅△r1maxも共に小さくなり、際限がなくなり、ステップ数が無限となる。
そこで、混変調歪が支配的である領域では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rが一定となるように設定し、量子化雑音が十分小さくなった所定値rx以下では、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定する。この場合、特性P4で示すように、所定値rx以下では、傾きが1、即ち出力信号対量子化雑音比が一定となり、所定値rxを越えると、傾き3の特性となり、最適な量子化誤差特性が得られる。
一般に、無線通信においては、熱雑音などの外部雑音を考慮したうえでシステム設計、回線設計がされており、量子化雑音のみを極端に抑制しても、システムとしての効果が期待できない。実際に受信側では熱雑音など外部からの雑音は増幅器からの送信出力によらず一定である。従って送信出力がある一定レベル以下においては送信信号に含まれる量子化雑音を抑制する必要が無い。この場合は所定値rx以下において、入力信号の包絡線レベルの二乗と量子化ステップ幅との比r2*△r1maxを一定とすることにより量子化雑音を包絡線レベルによらず一定とすることが出来、これによりさらに量子化ステップ数を減らすことが出来る。3次混変調以外の信号に付随する雑音、或いは熱雑音などの外来雑音が支配的な領域においては、上述の方法で量子化ステップ数を減らすことができる。
上述のように、量子化ステップ幅の設定の仕方を組合せることにより、それぞれのシステムに最適な量子化雑音に対する要求を設定することができる。これにより、ステップ数を大幅に減らすことができ、回路の簡素化、高速化が可能となり、コストダウンも図れる。
例えば、飽和点における出力における量子化誤差対包絡線レベル比を−45dB、IBO(Input Back-off)10dBの点において−65dB、それ以下の入力レベルに対しては−65dB一定と設定することにより、システムに必要な量子化雑音対信号レベルを保ちつつ、量子化ステップ数を等差数列コンパレータで構成する場合に比較して大幅に削減できる。飽和点からIBO10dBの点までは、非補償の高周波増幅器24の3次混変調特性から、約−35dB下げた値である。これはリニアライザによる3次混変調の改善が20−30dBであることを考慮すれば十分な値である。特に、飽和点付近における2波C/3IM(キャリア対3次混変調)が10数dB程度であること、混変調の改善が殆ど不可能な領域であること等を考慮すれば、十分な値である。
IBO10dBから、飽和点まで、設定された量子化誤差対包絡線レベル比は2dB/dBで増加しており、これは入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定となるようにレベルコンパレータ52の基準電圧を設定することによって得られる。また、IBO10dB以下の領域では、設定された量子化誤差対包絡線レベル比は一定であり、これは入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との積r・△r1maxが一定となるように設定することによって得られる。
高周波増幅器の特性から近似式を求め、更に逆関数を求めることにより
△y = (2・a1・c3・r2 +c1(6・a3・c1・c3+(4・a1・c5/c1))(r) +・・・・・・ ) ・△r1
の各係数を求めることができる。
実際のTWTAで第1項の係数を求めると2・a1・c3=0.544となる。この場合r=0.316(OBO;-10dB)、△y=0.00017783(-75dB)より
△r1max/r=0.01034
r・△r1max=0.00103
となり、(25)、(31)式よりステップ数が求められ、それぞれ55.6、24.2が得られコンパレータに要求される総ステップ数は約80ステップとなる。
このように、入力信号の量子化誤差対包絡線レベル比が65dBとなる所まで、入力信号の包絡線レベルと量子化ステップ幅との比△r1max/rを一定となるように量子化ステップ幅を設定し、入力信号の量子化誤差対包絡線レベル比が65dBとなる所以下では、入力信号の包絡線レベルrと最大量子化誤差△r1maxとの積r・△r1maxが一定となるように量子化ステップ幅を設定した場合、トータルでのステップ数は約80ステップとなる。この場合、零を除く最小の量子化ステップe1は、信号入力−24dB相当となり、これ以下ではディジタル化は行われないことになる。
これに対して、量子化ステップ幅△r1maxを一定とした場合、IBO10dBの点で、量子化誤差対包絡線レベル比が65dBとなるようにすると、(20)式よりステップ数は306となる。量子化ステップ幅△r1maxが一定の場合は前述したように量子化誤差対包絡線レベル比が入力レベルの変化に対して1dB/dBで変化しており、3次混変調が支配的な領域に於いても、IBO10dB以下の領域に於いても前述の例よりステップが細かく設定されており最適化されていないためである。
このように、量子化ステップ幅を最適化することで、量子化ステップ数を大幅に減らすことが可能になり、製造可能な論理回路数の範囲内で、且つ必要十分な量子化雑音比を確保しつつ、20dB〜30dBのダイナミックレンジを容易に得ることができる。また、衛星搭載用の機器などでは、素子の大きさを大きくできるので耐放射線特性の良いものができる。
前述したように、本発明の実施形態では、図11に示したように、ディジタル歪発生回路19a及び19bを、メモリマトリクス51と、レベルコンパレータ52と、D/Aコンバータ53とから構成するようにしており、このような構成では、図14に示したように、ルックアップテーブルを拡張することにより、歪成データの発生ばかりでなく、リミッタとして用いることができる。しかしながら、リミッタ機能を付加することで、レベルコンパレータ52の入力電圧範囲が2−3倍になる。従来のように△r1maxを一定とするとそのまま量子化ステップ数が2−3倍になってしまい、コンパレータやメモリの素子数が急激に増えてしまうことになる。従って、リミッタ機能を持たせるようにした場合には、量子化ステップ数を減らすことが重要である。
上述のように、量子化ステップ幅を最適化し、量子化ステップ数を減らすことで、リミッタ機能を容易に実現でき、これにより、通信衛星搭載用の増幅器等の多様な信号の増幅器に適用することができる。
また、本発明の第1実施形態のおけるディジタル歪発生回路19a、19bでは、図12に示したように、包絡線レベルの検出値と基準電圧との比較結果に基づいて、メモリマトリクス51の行の1つを選択しているので、ステップ数の増加は、メモリマトリクス51の行数の増加を意味することになる。よって、量子化ステップ数を削減することで、回路の素子数を減らすことができる。また、このことは、比較的大きな素子を使用できることを意味し、高速なディジタル回路を構成することができるということにもなる。
ディジタル歪み発生回路の具体例.
次に、ディジタル歪発生回路19a、19bの具体例について詳細に説明する。図11に原理構成で示したように、ディジタル歪み発生回路19a、19bは、基本的には、メモリマトリクス51と、レベルコンパレータ52と、D/Aコンバータ53とから構成される。更に、具体例では、図21に示すように、メモリマトリクス51から読み出された歪成分データを、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に送るようにしている。遅延調整回路54は、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との時間差tを調整するものである。先ず、レベルコンパレータ52の具体構成について説明する。
図22は、レベルコンパレータ52の第1の例を示すものである。図22において、基準電圧(VREF)の入力端子151と接地間に、ラダー抵抗153_1、153_2、153_3、…が設けられる。ラダー抵抗153_1、153_2、153_3、…の段間の出力がコンパレータ154_1、154_2、154_3、…の一方の入力端に供給される。
入力端子152からの入力信号がコンパレータ154_1、154_2、154_3、…の他方の入力端に供給される。コンパレータ154_1、154_2、154_3、…で、入力信号と、ラダー抵抗153_1、153_2、153_3、…の段間からの複数の基準電圧とがそれぞれ比較される。
コンパレータ154_1、154_2、154_3、…には、ストローブ信号(STB)が供給される。コンパレータ154_1、154_2、154_3、…にストローブ信号が供給されると、コンパレータ154_1、154_2、154_3、…のそれぞれからの比較出力が現れる。
コンパレータ154_1、154_2、154_3、…の出力がNANDゲート156_1、156_2、156_3、…に供給される。
即ち、最下位のコンパレータ154_1の出力がNANDゲート156_1の2つの入力端に反転されて供給されると共に、NANDゲート156_2の一方の入力端に反転されて供給される。コンパレータ154_2の出力がNANDゲート156_2の他方の入力端に反転されて供給されると共に、NANDゲート156_3の一方の入力端に供給される。以下、各コンパレータ154_3、154_4、…の出力は、それぞれ、NANDゲート156_3、156_4、…の他方の入力端に反転されて供給されると共に、NANDゲート156_4、156_5、…の一方の入力端に供給される。そして、最上位のNANDゲート156_nの2つの入力端には、最上位のコンパレータ154_n−1の出力が供給される。
NANDゲート156_1、156_2、156_3、…の出力は、インバータ157_1、157_2、157_3、…にそれぞれ供給される。インバータ157_1、157_2、157_3、…には、クロックが供給される。
インバータ157_1、157_2、157_3、…には、クロックが供給されると、NANDゲート156_1、156_2、156_3、…の出力がインバータ157_1、157_2、157_3、…でそれぞれ反転されて出力される。
このような構成のレベルコンパレータでは、入力値のレベルを、抵抗153_1、153_2、153_3、…の段間で設定される複数の基準電圧と比較し、この比較結果に応じて、メモリマトリクスの行の1つを選択する行選択信号を発生することができる。
図23は、レベルコンパレータ52の第2の例を示すものである。この例は、コンパレータ154_1、154_2、…として、正転出力と反転出力とが出力できるものを用いている。他の構成については、基本的に、図22に示した第1の例と同一であり、その説明を省略する。
次に、メモリマトリクス51の具体構成について説明する。図24は、メモリマトリクス51の第1の例を示すものである。
図24において、メモリマトリクス51には、記憶素子161及びスイッチ素子162が二次元配列される。同一行に並ぶ記憶素子161は、それぞれ、対応する行の書込選択線SWL1、SWL2、…、SWLmに接続される。また、同一行に並ぶスイッチ素子162の制御端子は、それぞれ、読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmに接続される。
同一列に並ぶ記憶素子161は、それぞれ、対応する列のデータ書込線WL_1及び ̄WL_1、WL_2及び ̄WL_2、…、WL_n及び ̄WL_nに接続される。また、同一列に並ぶスイッチ素子162の出力端子は、それぞれ、対応する列のデータ読出線RL_1、RL_2、…、RL_nに接続される。ここで、 ̄はNOTを意味する。
記憶素子161は、図25に示すように、MOSトランジスタQ1〜Q4からなるフリップフロップと、アクセストランジスタとして機能するMOSトランジスタQ5及びQ6で構成される。MOSトランジスタQ1〜Q4からなるフリップフロップは、MOSトランジスタQ5及びQ6からなるアクセストランジスタを介して、データ書込線WLj及び ̄WLjに接続されている。MOSトランジスタQ5及びQ6のゲートは、書込選択線SWLiに接続されている。このような記憶素子では、書込選択線SWLiをHレベルにすると、MOSトランジスタQ5及びQ6がオンとなり、データ書込線WL及び ̄WLから送られてきたデータがMOSトランジスタQ5及びQ6を介してMOSトランジスタQ1〜Q4からなるフリップフロップに書き込まれる。
また、MOSトランジスタQ1〜Q4の記憶データは、スイッチ素子162を介して、データ読出線RLjに読み出される。スイッチ素子162は、クロックドインバータである。読出選択線SRLiをHレベルにすると、スイッチ素子162が動作状態となり、MOSトランジスタQ1〜Q4からなるフリップフロップ71に記憶されていたデータは、スイッチ素子162を介して反転されて、データ読出線RLjに読み出される。
図24において、行アドレスデコーダ163から、インバータ164_1、164_2、…及びクロックドインバータ165_1、165_2、…を介して、書込選択線SWL1、SWL2、…、SWLmが導出される。クロックドインバータ165_1、165_2、…には、書き込み信号(Write)が与えられる。
行データバッファ166からは、データ書込線WL1、WL2、…、WLnが導出されると共に、インバータ167_1、167_2、…、167_nを介して、データ書込線 ̄WL1、 ̄WL2、…、 ̄WLnが導出される。
読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmは、レベルコンパレータ52から導出される。データ読出線RL1、RL2、…、RLnは、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に導かれる。
読み出し時には、レベルコンパレータ52からの出力に基づいて、読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmのうちの1つに、Hレベルの読出選択信号が送られる。この読出選択信号により、選択された行のスイッチ素子162がアクティブとなり、選択された行の記憶素子161から、行単位でデータの読み出しが行われる。
このデータは、その行のスイッチ素子162を介して、データ読出線RL1、RL2、…、RLnに送られ、データ読出線RL1、RL2、…、RLnから、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に送られる。
書き込み時には、行アドレスデコーダ163に入力された行アドレスにより、メモリマトリクス51の1つの行が選択される。選択された行に基づいて、書込選択線SWL1、SWL2、…、SWLmのうちの1つに、行アドレスデコーダ163からHレベルの書込選択信号が送られる。そして、行データバッファ166からのデータがデータ書込線WL1及び ̄WL1、WL2及び ̄WL2、…を介して、所望の行の記憶素子161に送られ、その行に並ぶ記憶素子161にデータが書き込まれる。
図26は、このようなメモリマトリクス51の各部の動作を示すタイミングチャートである。レベルコンパレータ52から、図26(A)に示すように、時点t1のタイミングで、i番目の行を選択する信号が出力されると、この信号は、読出選択線SRLiを介して、i番目の行に並ぶスイッチ素子162に送られる。これにより、i番目の行に並ぶ記憶素子161からは、図26(B)に示すように、歪成分データの列データが出力される。この歪成分データの列データは、データ読出線RL1、RL2、…、RLnを介して出力され、遅延調整回路54を介して、図26(C)に示すタイミングで、D/Aコンバータ53に入力される。D/Aコンバータ53からからは、図26(D)に示すように、遅延調整回路54による遅延時間Tdだけ遅れて、時点t2で、歪成分のアナログ値が出力される。
また、更新する歪成分データのアドレスが、図26(E)に示すように、時点t11で確定され、行アドレスデコーダ163から、図26(F)に示すように、i番目の行の書込選択線SWiに、選択信号が与えられる。また、図26(G)に示すように、行データバッファ166に、更新する歪成分データが出力される。
図26(B)に示したように、時点t1でi番目の行に並ぶ記憶素子161からのデータの読み出しが完了した後の、時点t12で、図26(H)に示すように、書き込み信号Writeがクロックドインバータ165に送られる。これにより、図26(I)に示すように、i番目の行に並ぶ記憶素子161に、新たな歪成分データが書き込まれる。
このように、メモリマトリクス51からは、1クロック以内のほぼリアルタイムで歪成分を出力させることができる。また、このメモリマトリクス51では、スイッチ素子162をアクティブにしてデータの読み出しを終了したら、直ちに、記憶素子161へのデータの書き込みを行うことができる。これにより、動作中に、サンプリングデータ単位で、歪成分データの書き換えを行うことができる。このように、動作中に歪成分データの変換テーブルを書き換えることができ、且つ、サンプリングデータ単位で歪成分データの変換テーブルを書き換えるため、書き換え時の特性のずれを最小に抑えることができ、温度変化、経時変化等の連続的変化に対して対応でき、動作を止めることなく、混変調の抑制に最適な特性を維持することができる。
次に、メモリマトリクス51の他の具体構成について説明する。図27は、メモリマトリクス51の第2の例を示すものである。
図27において、同一行に並ぶ記憶素子171は、それぞれ、対応する行の書込選択線SWL_1、SWL_2、…、SWL_mに接続される。また、同一行に並ぶ記憶素子171は、それぞれ、読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmに接続される。
同一列に並ぶ記憶素子171は、それぞれ、対応する列のデータ書込線WL1及び ̄WL_1、WL_2及び ̄WL_2、…に接続される。また、同一列に並ぶ記憶素子171は、それぞれ、対応する列のデータ読出線RL_1及び ̄RL_1、RL_2及び ̄RL_2、…に接続される。
記憶素子171は、図28に示すように、MOSトランジスタQ11〜Q14からなるフリップフロップと、書き込み側アクセストランジスタQ15及びQ16と、読み出し側アクセストランジスタQ17及びQ18とから構成される。
MOSトランジスタQ11〜Q14からなるフリップフロップは、MOSトランジスタQ15及びQ16からなるアクセストランジスタを介して、データ書込線WLj及び ̄WL_jに接続されている。また、MOSトランジスタQ11〜Q14からなるフリップフロップは、MOSトランジスタQ17及びQ18からなるアクセストランジスタを介して、データ読出書RLj及び ̄RL_jに接続されている。
MOSトランジスタQ15及びQ16のゲートは、書込選択線SWLiに接続されている。また、MOSトランジスタQ17及びQ18のゲートは、読出選択線SRLiに接続されている。
このような記憶素子では、書込選択線SWLiをHレベルにすると、MOSトランジスタQ15及びQ16がオンとなり、データ書込線WL及び ̄WLから送られてきたデータがMOSトランジスタQ15及びQ16を介してMOSトランジスタQ11〜Q14からなるフリップフロップに書き込まれる。
また、読出選択線SRLiをHレベルにすると、MOSトランジスタQ17及びQ18がオンとなり、MOSトランジスタQ11〜Q14の記憶データは、MOSトランジスタQ17及びQ18を介して、データ読出線RLj及び ̄RLjに読み出される。
図27において、行アドレスデコーダ163から、インバータ164_1、165_2、…及びクロックドインバータ165_1、165_2、…をそれぞれ介して、書込選択線SWL1、SWL2、…、SWL_mが導出される。クロックドインバータ165_1、165_2、…には、書き込み信号(Write)が与えられる。
行データバッファ166からデータ書込線WL1、WL2、…、WLnが導出されると共に、インバータ167_1、167_2、…、167_nを介して、データ書込線 ̄WL1、 ̄WL2、…、 ̄WLnが導出される。
読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmは、レベルコンパレータ52から導出される。
データ読出線RL1、RL2、…、RLn及び ̄RL1、 ̄RL2、…、 ̄RLnには、プリチャージ回路173が設けられる。また、データ読出線RL1、RL2、…、RLn及び ̄RL1、 ̄RL2、…、 ̄RLnの出力側には、センスアンプ172が設けられる。データ読出線RL1、RL2、…、RLnは、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に導かれる。
読み出し時には、プリチャージ回路173により、データ読出線RL1、RL2、…、RLn及び ̄RL1、 ̄RL2、…、 ̄RLnがプリチャージされる。レベルコンパレータ52からの出力に基づいて、読出選択線SRL1、SRL2、…、SRLmのうちの1つに、Hレベルの読出選択信号が送られる。この読出選択信号により、選択された行の記憶素子171から、行単位でデータの読み出しが行われる。このデータは、データ読出線RL_1及び ̄RL1、RL_2及び ̄RL2、…、RL_n及び ̄RLnに送られ、データ読出線RL_1、RL_2、…、RL_nから、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に送られる。D/Aコンバータ53で、このデータがアナログ信号に変換されて出力される。
書き込み時には、行アドレスデコーダ163に入力された行アドレスにより、メモリマトリクス51の行が選択される。選択された行に基づいて、書込選択線SWL1、SWL2、…、SWLmのうちの1つに、行アドレスデコーダ163からHレベルの書込選択信号が送られる。そして、行データバッファ166からのデータがデータ書込線WL1及び ̄WL1、WL2及び ̄WL2、…を介して、所望の行の記憶素子161に送られ、その行に並ぶ記憶素子161にデータが書き込まれる。
図29は、このようなメモリマトリクス51の各部の動作を示すタイミングチャートである。図29(B)に示すように、時点t0で、プリチャージ回路173で、データ読出線RL1及び ̄RL1、RL2及び ̄RL2、…がプリチャージされる。
レベルコンパレータ52から、図29(A)に示すように、時点t1のタイミングで、i番目の行を選択する信号が出力されると、この信号は、読出選択線SRLiを介して、i番目の行に並ぶスイッチ素子162に送られる。これにより、i番目の行に並ぶ記憶素子171からは、図29(C)に示すように、歪成分データの列データが出力される。この歪成分データの列データは、データ読出線RL1及び ̄RL1、RL2及び ̄RL2、…を介して出力され、遅延調整回路54を介して、D/Aコンバータ53に送られる。D/Aコンバータ53からからは、図29(D)に示すように、遅延調整回路54による遅延時間Tdだけ遅れて、時点t2でD/Aコンバータ53に入力され、図29(E)に示すように、D/Aコンバータ53から、歪成分のアナログ値が出力される。
また、更新する歪成分データのアドレスが、図29(F)に示すように、時点t11で確定され、行アドレスデコーダ163から、図29(G)に示すように、i番目の行の書込選択線SWiに、選択信号が与えられる。また、図29(H)に示すように、行データバッファ166に、更新する歪成分データが出力される。
図29(B)に示したように、読み出しが完了した後の、時点t12で、図29(I)に示すように、書き込み信号Writeがクロックドインバータ165に送られる。これにより、図29(J)に示すように、i番目の行に並ぶ記憶素子161に、新たな歪成分データが書き込まれる。
このように、メモリマトリクス51からは、1クロック以内のほぼリアルタイムで歪成分が出力される。また、このメモリマトリクス51では、データの読み出しを終了したら、直ちに、記憶素子161へのデータの書き込みを行うことができる。これにより、動作中に、サンプリングデータ単位で、歪成分データの書き換えを行うことができる。
次に、D/Aコンバータ53の具体例について説明する。D/Aコンバータ53としては、フラッシュ型のD/Aコンバータが用いられる。
図30は、このようなD/Aコンバータ53の一例である。このD/Aコンバータ53は、R−2Rラダーの構成のフラッシュ型のD/Aコンバータである。
図30において、基準電圧Vrefと接地間に、抵抗値がRの抵抗181_1、181_2、181_3、…と、抵抗値が2Rの抵抗182が直列に接続される。抵抗181_1、181_2、181_3、…及び抵抗値が2Rの抵抗182の各接続点に、抵抗値が2Rの抵抗183_1、183_2、183_3、…の一端に接続される。抵抗183_1、183_2、183_3、…の他端がスイッチ回路184_1、184_2、184_3、…に接続される。
スイッチ回路184_1、184_2、184_3、…の一方の接点が演算増幅器185の反転入力端子に接続される。スイッチ回路184_1、184_2、184_3、…の他方の接点が演算増幅器185の非反転入力端子に接続される。スイッチ回路184_1、184_2、184_3、…は、それぞれ、入力ディジタルデータの各ビットにより切り替えられる。
演算増幅器185の非反転入力端子が接地される。演算増幅器185の出力端子と反転入力端子との間に、抵抗186、スイッチ回路187が接続される。
このような構成のD/Aコンバータでは、抵抗値がRの抵抗181_1、181_2、181_3、…と、抵抗値が2Rの抵抗182、抵抗183_1、183_2、183_3、…とにより、R−2Rラダーが構成される。そして、スイッチ回路184_1、184_2、184_3、…を、それぞれ、入力ディジタルデータの各ビットにより切り替えることで、演算増幅器185の出力からは、入力ディジタルデータに対応するアナログ値の電圧を得ることができる。
次に、遅延調整回路54の具体例について説明する。図31は、遅延調整回路54の一例を示すものである。図31に示すように、遅延調整回路54は、クロックドインバータ191、192と、nクロックの間データを保持する記憶素子193,194と、必要な遅延時間後データをD/Aコンバータ53に出力するクロックドインバータ195、196とからなる。この実施形態では、2相で最大2サンプリングクロックの遅延を実現できる。
メモリマトリクス51から読み出されたデータは、データ読出線RL1、RL2、…、RLnを通して、クロックドインバータ191及び192に送られる。なお、ここでは2相であるので2つのクロックドインバータ191及び192が設けられているが、n相の場合はn個のクロックドインバータが設けられる。
クロックドインバータ191及び192に印加されるサンプリングクロックCK1、CK2は交互に加えられるので、2相のデータとして記憶素子193及び194にデータが交互に蓄えられる。なお、n相の場合は順次、n個のメモリにデータが蓄えられる。それぞれの記憶素子193及び194は、次のデータが来るまで、2クロック(nクロック)の期間データが保持されるので、この間に、クロックCK3、CK4により、任意の遅延時間を待って、出力のクロックドインバータ195及び196を開くことにより、必要な遅延時間を持つデータをD/Aコンバータ53に出力することができる。
前述したように、精度の高い歪み補正を行うためには、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間とRFルート2によって生じる遅延時間との差tdを短縮することが重要である。このように、遅延調整回路54を設けると、ディジタル歪発生器4によって生じる遅延時間と、RFルート2によって生じる遅延時間との差Tdが短縮するように、調整することができる。
第2実施形態.
図32は、本発明の第2実施形態のプリディストーション・ディジタル・リニアライザ101の構成を示すものである。上述の第1実施形態では、入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分割して、プリディストーション処理を行っていたのに対して、この実施形態では、振幅成分と位相成分とに分けてプリディストーション処理を行っている。
図32において、RFルート102は、分岐回路112、帯域濾波器113、分岐回路114とにより構成される。入力端子111からの入力信号は、分岐回路112で2つの経路の信号に分岐される。分岐回路112で分岐された主信号は、帯域濾波器113を介して、分岐回路114に供給される。分岐回路114で、この入力信号が2つの経路の信号に分岐される。
位相及び振幅調整器103は、位相変調器116、振幅変調器117により構成される。分岐回路114で分岐された主信号は、位相変調器116、振幅変調器117を介して、高周波増幅器124に送られる。
ディジタル歪発生器104は、直線検波回路118、ディジタル歪発生回路119a、119b、クロック発生回路120、遅延調整回路121、低域濾波器122a、122b、バイアス回路123a、123bにより構成される。
分岐回路112で分岐された信号は、直線検波回路118に供給される。直線検波回路118は、直線検波又は自乗検波により、入力信号の包絡線を検出する。直線検波回路118で得られた包絡線の検出値は、ディジタル歪発生回路119a及び119bに供給される。
ディジタル歪発生回路119aには、振幅歪みデータについてのルックアップテーブルが設けられている。直線検波回路118で検出された包絡線の検出値がディジタル歪発生回路119aに供給されると、この包絡線の検出値に応じて、ディジタル歪発生回路119aからは、振幅歪みデータが出力される。
また、ディジタル歪発生回路119bには、位相歪みデータについてのルックアップテーブルが設けられている。直線検波回路118で検出された包絡線の検出値がディジタル歪発生回路119bに供給されると、この包絡線の検出値に応じて、ディジタル歪発生回路119bからは、位相歪みデータが出力される。
ディジタル歪発生回路119aの出力が低域濾波器122aを介して振幅変調器117に供給される。ディジタル歪発生回路119bの出力が低域濾波器122bを介して位相変調器116に供給される。
なお、低域濾波器122a及び122bは、折り返し歪みを除去するためのナイキストフィルタであり、前述のRFルート102の帯域濾波器113は、入力帯域を確保すると共に、この低域濾波器122a及び122bに相当する遅延を与えるものである。
クロック発生回路120で発生されたクロックは、ディジタル歪発生回路119a、119bに供給される。
位相変調器116で、高周波増幅器124の位相歪みをキャンセルするような位相歪みが付加される。また、振幅変調器117で、高周波増幅器124の振幅歪みをキャンセルするような振幅歪みが付加される。
位相変調器116及び振幅変調器117を介された入力信号が高周波増幅器124に供給される。高周波増幅器124は、入力信号を電力増幅するものであり、高周波増幅器124としては、例えば、進行波管増幅器(TWTA)やトランジスタ増幅器が用いられる。高周波増幅器124で、入力信号が電力増幅される。
高周波増幅器124は非線形歪み特性を有しているが、上述のように、位相変調器116及び振幅変調器117で、この位相歪み及び振幅歪みをキャンセルするような位相歪み及び振幅歪みが入力信号に対して与えられる。これにより、入力信号に対してリニア特性の出力信号を得ることができる。
自動補正回路105は、分岐回路127、乗算器128a、128b、遅延回路129、90度ハイブリッド130、直線検波回路131、A/Dコンバータ132a、132b、132c、演算回路133、制御回路134により構成される。自動補正回路105は、入力信号の包絡線の瞬時値を検出し、プリディストーション・ディジタル・リニアライザ101と高周波増幅器124との合成特性を求め、予め決められていた非線形特性からのずれを検出し、歪み発生回路のデータを書き換えて補正するものである。
本発明の第2実施形態においても、ディジタル歪発生回路119a及び119bとして、図11に示したように、記憶素子が二次元配列されたメモリマトリクス51と、信号レベルと複数基準電圧との比較結果に基づいて、メモリマトリクス51の行の1つを選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータ52と、メモリマトリクス51から読み出された偶数次多項式による歪成分データをアナログ信号に変換するD/Aコンバータ53とを有するようにしたものが用いられる。これにより、ディジタル歪発生器104によって生じる遅延時間を少なくし、ディジタル歪発生器104によって生じる遅延時間とRFルート102によって生じる遅延時間との差tdを小さくして、必要な帯域を確保し、特性を改善するようにしている。ディジタル歪発生回路119a及び119bの詳細につては、前述の第1実施形態と基本的に同一であり、その説明を省略する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
本発明は、衛星通信のトランスポンダや地上局の高周波増幅回路として使用できる他、携帯電話等、各種の高周波増幅回路に使用可能である。
本発明の第1実施形態の全体構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態の動作説明に用いる波形図である。 本発明の第1実施形態におけるディジタル遅延発生回路の説明に用いるブロック図である。 本発明の第1実施形態におけるディジタル遅延発生回路の一例のブロック図である。 本発明の第1実施形態におけるディジタル遅延発生回路の基本構成のブロック図である。 本発明の第1実施形態におけるディジタル遅延発生回路におけるテーブルの一例の説明図である。 リミッタ機能を併せ持つディジタル遅延発生回路におけるテーブルの一例のブロック図である。 リミッタ機能を併せ持つディジタル遅延発生回路におけるテーブルの一例の説明図である。 ディジタル遅延発生回路における量子化歪みの説明に用いるブロック図である。 ディジタル遅延発生回路における量子化歪みの説明図である。 ディジタル遅延発生回路における量子化歪みの説明図である。 量子化ステップの組み合わせの説明図である。 量子化ステップの説明に用いるグラフである。 ディジタル遅延発生回路の具体構成の説明に用いるブロック図である。 ディジタル遅延発生回路におけるレベルコンパレータの第1の具体構成のブロック図である。 ディジタル遅延発生回路におけるレベルコンパレータの第2の具体構成のブロック図である。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第1の具体構成のブロック図である。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第1の具体構成におけるメモリ素子の接続図である。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第1の具体構成の説明に用いるタイミングチャートである。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第2の具体構成のブロック図である。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第2の具体構成におけるメモリ素子の接続図である。 ディジタル遅延発生回路におけるメモリマトリクスの第2の具体構成の説明に用いるタイミングチャートである。 ディジタル遅延発生回路におけるA/Dコンバータの具体構成の一例の接続図である。 ディジタル遅延発生回路における遅延調整回路の具体構成の一例の接続図である。 本発明の第2実施形態の全体構成を示すブロック図である。 従来のプリディストーション方式の高周波増幅回路の一例のブロック図である。
符号の説明
1 プリディストーション・ディジタル・リニアライザ
2 RFルート
3 直交変調器
4 ディジタル歪発生器
5 自動補正回路
11 入力端子
12 分岐回路
13 帯域濾波器
14 分岐回路
15 90度ハイブリッド
16a、16b 振幅変調器
17 同相合成器
18 直線検波回路
19a、19b ディジタル歪発生回路
20 クロック発生回路
21 遅延調整回路
22a、22b 低域濾波器
23a、23b バイアス回路
24 高周波増幅器
25 分岐回路
26 出力端子
27 分岐回路
28a、28b 乗算器
29 遅延回路
30 90度ハイブリッド
31 直線検波回路
32a、32b、32c A/Dコンバータ
33 演算回路
34 制御回路
51 メモリマトリクス
52 レベルコンパレータ
53 D/Aコンバータ
54 遅延調整回路
56 ゲート回路

Claims (14)

  1. 入力高周波信号が伝送されるRFルートと、
    前記入力高周波信号の入力信号レベルに応じて、高周波増幅器の非線形歪をキャンセルするための歪成分を発生する歪発生手段と、
    前記歪発生手段からの歪成分により前記高周波入力信号に対して前記高周波増幅器の非線形振幅及び位相歪をキャンセルする変調手段と
    からなるようにしたプリディストーション方式の歪補償回路において、
    前記歪発生手段は、
    入力信号の入力信号レベルを検出する検波手段と、
    前記検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、同相成分についての偶数次多項式による歪成分を発生する第1のディジタル発生手段と、
    前記検波手段で検出された入力信号レベルに基づいて、直交成分についての偶数次多項式による歪成分を発生する第2のディジタル発生手段とを含み、
    前記変調手段は、
    入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分岐する手段と、
    前記入力信号の同相信号成分と前記第1のディジタル発生手段からの同相成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第1の振幅変調手段と、
    前記入力信号の直交信号成分と前記第2のディジタル発生手段からの同相成分についての偶数次の多項式による歪成分とを乗算する第2の振幅変調手段と、
    前記第1の変調手段の出力と前記第2の変調手段の出力とを合成する同相合成手段とを含む
    ことを特徴とする歪補償回路。
  2. 前記第1及び第2のディジタル歪発生手段は、
    記憶素子が2次元配列され、入力信号レベルに対応する歪成分データが各行毎に記憶されているメモリマトリクスと、
    前記行選択信号により前記メモリマトリクスから読み出された歪成分データをアナログ信号に変換するD/A変換手段とからなり、
    前記検波手段は、
    入力信号レベルを複数の基準電圧と比較し、この比較結果に基づいて前記メモリマトリクスのうちの何れか1つの行を選択する行選択信号を発生するレベルコンパレータであり、前記メモリマトリクスは、
    前記行選択信号により選択された行の前記記憶素子から行単位に一括で前記入力信号レベルに相当する歪成分データが読み出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の歪補償回路。
  3. 前記歪発生手段は、更に、前記メモリマトリクスから読み出された歪成分データを遅延時間を調整して前記D/A変換手段に出力する遅延調整手段を含むことを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  4. 前記RFルートは、入力信号を帯域制限する帯域濾波器を含み、前記帯域濾波器は、前記RFルートの遅延量と、前記歪発生手段で生じる遅延量とを合わせるための遅延手段とすることを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  5. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルrに対して量子化ステップ幅△rが一定となるように設定することを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  6. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルrに対して量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの積が一定となるように設定したことを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  7. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルrに対して量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定したことを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  8. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルrに対して量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrの2乗との積が一定となるように設定したことを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  9. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルrに対して量子化ステップ幅△rが一定となる設定と、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの積が一定となる設定と、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となる設定と、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrの2乗との積が一定となる設定とを、入力信号レベルに応じて組み合わせるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の歪補償回路。
  10. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルとrの積が一定となるように設定することを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  11. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが所定値より大きい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定し、入力信号レベルが所定値より小さい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrの二乗との積が一定となるように設定することを特徴とする請求項2に記載の歪補償回路。
  12. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、前記入力信号レベルが前記高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の電圧と、前記高周波増幅器の飽和点を越える範囲の電圧とに分割され、
    前記メモリマトリクスにおける各行は、前記入力信号レベルが前記高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域と、前記高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域とに分割され、前記入力信号レベルが前記高周波増幅器の飽和点を越えない範囲の領域には、前記入力信号レベルに対応する歪成分データが前記メモリマトリクスの各行毎に記憶され、前記入力信号レベルが前記高周波増幅器の飽和点を越える範囲の領域には、出力信号レベルを一定にするリミッタデータが前記メモリマトリクスの各行毎に記憶される
    ことを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  13. 前記レベルコンパレータにおける複数の基準電圧は、入力信号レベルが飽和点より大きい領域では、量子化ステップ幅△rと入力信号レベルrとの比が一定となるように設定することを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
  14. 更に、前記高周波増幅器の出力信号に基づいて、前記歪成分データを更新する自動補正手段を有し、
    前記自動補正手段は、
    入力信号レベルを検出する検波手段と、
    前記入力信号を同相信号成分と直交信号成分とに分割する直交分割手段と、
    前記高周波増幅器の出力信号と前記入力信号の同相成分とを乗算する第1の乗算手段と、
    前記高周波増幅器の出力信号と前記入力信号の直交成分とを乗算する第2の乗算手段と、
    前記検波手段の出力信号と前記第1及び第2の乗算手段の出力信号とを用いて、前記歪発生手段及び前記高周波増幅器からなる信号経路の総合伝達特性を求め、求められた総合伝達特性と予め設定された伝達特性を比較して補正値を算出する演算手段と、
    前記演算手段で求められた補正値に基づいて、前記メモリマトリクスの各行の歪成分データを更新する制御手段と
    からなることを特徴とする請求項に記載の歪補償回路。
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