JP5141645B2 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両の走行時の挙動を安定化する車両の挙動制御装置に係り、より詳細には、車体スリップ角及びその微分値並びにその2階微分値を用いて与えられる制御量を用いて車両のスピン挙動(横滑り挙動)を抑制するよう挙動を制御する装置に係る。
自動車等の車両の運動制御の分野に於いて、制駆動系又は操舵系の作動を電子制御することにより、旋回中の車両のヨー方向の挙動の安定性を向上するVSC(Vehicle Stability Control)又はVDIM(Vehicle Dynamic Integrated Management)などの挙動制御技術が、既に、多数提案されている(例えば、特許文献1、2、3など)。典型的なVSCに於いては、車両の挙動が不安定となる可能性が発生すると、各輪のタイヤのスリップ率若しくはスリップ量(以下、「スリップ率等」とする。)又は車輪舵角の調節が為され、或いは、エンジン又はモーター出力が低減又は制限され車両の加速が制限される。よく知られているように、車両の左右輪に於いて制駆動力差を発生させるか或いは車輪舵角を調節すると、車両の重心周りにヨーモーメントが発生され、これにより車両の旋回方向が変更され、また、車速が低減されると、旋回に必要な横力が低減することになるので、各輪のスリップ率等又は車輪舵角の調節及び車両の加速の制限又は減速によって、車両のスピンなどの車両の不安定な挙動が抑制され、車両のヨー方向挙動の安定化が図られることとなる。
上記の如き挙動制御に於いては、より詳細には、車両の旋回状態を表す旋回状態量、例えば、車体スリップ角などの関数であるスピン状態量又は横滑り状態量、オーバーステア状態量、アンダーステア状態量など、が車両の挙動の指標値として参照され、これらの指標値が、安定的に走行中の車両に於いて想定される値を外れたとき、或いは、所定の閾値を超えたときに、挙動安定化制御、即ち、挙動を安定化させるヨーモーメント(挙動安定化ヨーモーメント)の発生又は車両の加速の制限若しくは減速が実行される。しかしながら、車両挙動を表す旋回状態量が閾値又は所定の範囲を越えてから、挙動安定化制御のための各輪のスリップ率等の調節(車輪スリップ制御)、車輪舵角の自動制御又は制駆動装置の制御が開始されるまでには、時間的な遅れが生じ得る。そこで、かかる制御に於いて、しばしば、制御の応答性を早め、車両挙動の不安定化傾向をより迅速に抑制するために、旋回状態量又はその一部の微分値が、更に車両の挙動の指標値に加えられることがある(例えば、特許文献1参照)。車両挙動を表す量の微分値は、車両挙動を表す量の一次進み量であるので、かかる微分値を挙動安定化制御実行のための指標値に加えておくことにより、上記の時間的な遅れを補償することが可能となる。
特開2004−306662 特開2005−206075 特開2006−056383
上記の如き車両挙動制御のうち、特に、車両のスピンを抑制するための制御(スピン抑制制御)に於いては、典型的には、車両の挙動の指標値、即ち、制御量として、車体スリップ角とその微分値の線形和であるスピン状態量
K1・β+K2・dβ/dt …(A)
が参照される(特許文献2)。ここで、K1、K2は、重み係数である。かかるスピン状態量は、車体スリップ角を0に戻すために必要なヨーモーメントに相当する量である。しかしながら、かかる量だけを参照して、挙動安定化制御を開始する場合には、既に触れた通り、時間的な遅れを生ずる可能性がある。そこで、スピン抑制制御に於いては、上記のスピン状態量に更に、車体スリップ角の2階微分値dβ/dtを加えた線形和、
K1・β+K2・dβ/dt+K3・dβ/dt …(B)
を制御量として、挙動安定化制御を実行させる場合がある(K3は、所定の係数)。かかる線形和を用いて制御する場合には、車両にスピンが発生する兆候が現れた段階で、挙動安定化制御が開始されるので、より確実に、車両がスピン状態に陥る可能性を回避できることとなる。この点に関し、本発明の発明者による研究によれば、上記の線形和(B)の如く、車体スリップ角の2階微分値dβ/dtを含む制御量を用いて挙動安定化制御を実行する場合、急操舵が繰り返されたときには、車体スリップ角の2階微分値dβ/dtの応答が早く、このことにより、挙動安定化制御の作用が早期に低減し、スピン抑制効果が損なわれる現象が生じ得ることが見出された(挙動制御が開始された後、その制御効果が現れ始めたときに、車体スリップ角の2階微分値がその兆候を捉えてしまうことに起因する。)。そこで、本願出願人による特願2008−204897に於いて、車体スリップ角と、車体スリップ角の微分値と、車体スリップ角の2階微分値とから算出される制御量に基づいて車両のスピンを抑制する挙動制御に於いて、急操舵が左右に(又は右左に)繰り返されたときには、制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与を低減し、これにより、挙動安定化制御の作用の早期の低減を回避し、車体のスリップ角又はヨーレートを迅速に収束させることを提案した。
しかしながら、本発明の発明者による更なる研究によれば、上記の如き挙動安定化制御のための制御量に於いて車体スリップ角の2階微分値を用いる制御手法を応答性が特に良いブレーキ系(アキュムレータが装備されたブレーキ系)を有する車両に於いて適用すると、通常の走行状態から最初に急操舵が実行された場合には、車体スリップ角の2階微分値の寄与により、旋回外輪に大きめのブレーキがかかることとなり、運転者のフィーリング(運転感覚)が悪化することが見出された。即ち、運転者のフィーリングを悪化させずに、スピン抑制効果を適確に得るためには、制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与を操舵条件に応じて更に適宜調節する必要がある。
かくして、本発明の一つの課題は、車体スリップ角及びその微分値並びにその2階微分値に基づいて算出される量を制御量として車両のスピン挙動を抑制するよう挙動安定化制御を実行する挙動制御装置であって、或る特定の操舵条件に於いて車体スリップ角の2階微分値の寄与による運転者のフィーリングの悪化が回避されるよう構成された装置を提供することである。
また、本発明のもう一つの課題は、上記の如き装置であって、最初の急操舵に於いて車体スリップ角の2階微分値の寄与が小さくなるよう構成された装置を提供することである。
上記の課題は、本発明によれば、車体スリップ角と、車体スリップ角の微分値と、車体スリップ角の2階微分値とから算出される制御量に基づいて車両のスピンを抑制する車両の挙動制御装置であって、車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて車体スリップ角の2階微分値の大きさが所定値を超えた後にその所定値を下回るまで制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されることを特徴とする装置によって達成される。なお、かかる車両の挙動制御装置は、前記の制御量に基づいてスピンを抑制するヨーモーメントを発生することにより、或いは、車両の加速を制限することにより、車両のスピンの抑制をする形式のものであってよい(以下、同様。)。
車体スリップ角の2階微分値を用いたスピン抑制挙動安定化制御が実行される車両の走行中に於いて操舵が為されるとき、車体スリップ角の2階微分値の大きさは、車体のスリップ角及びその微分値の大きさよりも先に増大するので、急操舵が繰り返される場合に、挙動安定化制御が早期に実行され、車両のヨーレートを迅速に収束させ、車両がスピン状態に陥る可能性をより確実に回避することが可能となる。しかしながら、既に触れた如く、応答性の良いブレーキ系、即ち、各輪の制動力の増減変化が比較的迅速であるブレーキ系を装備した車両の場合、通常の走行状態から急操舵が最初に実行されたときに、車体スリップ角の2階微分値の増大に対応する制御量の増大により発生される旋回外輪の制動力が運転者に感知され、これにより、運転者が運転に違和感を覚える場合があった。そこで、上記の本発明の装置は、「車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて車体スリップ角の2階微分値の大きさが所定値を超えた後にその所定値を下回るまで」、即ち、通常の走行状態から最初に急操舵が為されることにより、車体スリップ角の2階微分値の大きさが上昇し下降するまでの間、制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与を低減し、これにより、旋回外輪の制動力の増大による運転者のフィーリングの悪化を回避するよう構成される(上記の「所定値」は、車体スリップ角の2階微分値がその所定値以下であれば、運転者のフィーリングに影響を与えないと判断される値であり、実験的又は理論的に適宜設定されてよい。)。
また、上記の本発明の装置の構成に於いて、一方の方向に最初の急操舵が実行された後、続けて逆方向に急操舵が実行された後、要すれば、ハンドルの切返しが実行された後のスピン抑制制御効果が現れることによる車体スリップ角の2階微分値の大きさの増大によるスピン抑制のための制御作用の低減が回避されるようになっていることが好ましい。従って、上記の本発明の装置は、前記の特願2008−204897にて提案されている通り、更に、車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値よりも大きい第二の所定値を超えたときから所定の期間内に前記一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され車体スリップ角の2階微分値の大きさが第二の所定値を超えた後(つまり、ハンドルの切返しが実行されることにより、車体スリップ角の2階微分値の大きさが左右方向のそれぞれに増減を繰り返した後に、スピン抑制制御効果が現れることによる車体スリップ角の2階微分値の大きさの増大が生ずるとき)にも、制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されるよう構成されていてよい(上記の「所定の期間」は、例えば、2〜数秒程度の任意に設定される期間であってよい。)。かかる構成により、急操舵が二回実行された後、車体スリップ角の2階微分値の寄与を低減し、スピン抑制制御の作用の早期の低減を回避して、車両の車体のスリップ角又はヨーレートが迅速に収束されることとなる。
なお、上記の構成に於いて制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与を低減する場合、車体スリップ角の2階微分値の寄与は無視されるようになっていてよい。
一方、通常の走行状態から最初の急操舵が実行された後、続けて逆方向に急操舵が実行されている期間については、応答性の良いブレーキ系を装備した車両であっても、車両のスリップ角とその微分値は、応答が遅れることとなる(最初の操舵により車両の向きが既に最初の操舵方向に傾いているので、2回目の逆向きの操舵に於いて、車両のスリップ角とその微分値の応答は更に遅くなる。)。従って、かかる期間、即ち、車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値を超えた後に車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値を下回ったときから前記の一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値を超えた後に前記所定値を下回るまでの期間に於いては、制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されないようになっていることが好ましい。これにより、応答の早い車体スリップ角の2階微分値の寄与がスピン抑制制御に適確に反映されることとなる。
ところで、応答性の良いブレーキ系を装備した車両の場合、ブレーキ系に対するスピン抑制制御のための制御指令が車輪の制動力に迅速に反映されるので、結局、車体スリップ角の2階微分値を利用してスピン抑制制御が有効に作用するのは、車両のスリップ角とその微分値の応答が大幅に遅れると想定される期間、即ち、別々の方向に急操舵を繰り返す場合の2回目の操舵中の期間であるということができる。そこで、もう一つの態様として、本発明による車体スリップ角と車体スリップ角の微分値と車体スリップ角の2階微分値とから算出される制御量に基づいて車両のスピンを抑制する車両の挙動制御装置は、車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて車体スリップ角の2階微分値の大きさが所定値を超えた後に車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値を下回ったときから前記の一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記の所定値を超えた後に前記の所定値を下回るときまでの期間のみ、車体スリップ角の2階微分値が制御量に寄与するよう構成されていてよい。これにより、応答性の良いブレーキ系を装備した車両に於いては、前記に述べた運転者のフィーリングの悪化とハンドルの切返しが実行された後のスピン抑制制御効果が現れることによる車体スリップ角の2階微分値の大きさの増大によるスピン抑制のための制御作用の低減との両方が回避されることとなる。
なお、上記の一連の本発明の装置の実施の形態に於いて、制御量は、車体スリップ角βと、車体スリップ角の微分値dβ/dtと、車体スリップ角の2階微分値dβ/dtと、所定の係数K1、K2、K3を用いて、
K1・β+K2・dβ/dt+K3・dβ/dt
により与えられてよい。その場合、かかる制御量が大きくなると、スピンを抑制するヨーモーメントが発生され、或いは、車両の加速が制限されることにより、スピンの抑制が図られる。制御量に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与の低減は、係数K3の値を0に設定することにより為されてよい。
かくして、本発明の装置の構成は、特に、応答性の良いブレーキ系を装備した車両に於いて適用され、車体スリップ角の2階微分値を用いた車両のスピン抑制制御を適確な時期に実行することにより、運転者のフィーリングの悪化を回避することが可能となる。本発明の装置によれば、急操舵が一回だけ実行される場合には、スピン抑制制御に於ける車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されることになるので、旋回外輪の制動力の過剰な増大が発生せず、運転者はかかる制動力の発生を殆ど感じることなく、運転することが可能となる。換言すれば、本発明の装置は、制御が過敏にならずに適時に実行されることを可能にするものであるということができる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明より明らかになるであろう。
図1(A)は、本発明の挙動制御装置の好ましい実施形態が搭載される車両の模式図であり、図1(B)は、本発明による挙動制御装置の好ましい実施形態を組み込んだ車両の電子制御装置の制御ブロック図である。 図2は、急操舵にて操舵角が右方へ変化させられた後、左方へ変化させられる場合の、操舵角(a)、スピン状態量及びそれを構成する各項(b)、左輪制御量(左前輪制動力)(c)及び右輪制御量(右前輪制動力)(d)を示したものである。図中、実太線は、それぞれ、本発明によるスピン状態量の演算処理の修正が為されない場合のそれぞれの値の変化であり、(b)、(c)、(d)に於ける丸点線は、本発明によるスピン状態量の演算処理の修正が為された場合のそれぞれの値の変化を示している。また、(b)に於いては、本発明によるスピン状態量の演算処理に於いて使用されるフラッグF1、F2、F3の設定が重畳して示されている。 図3は、本発明による挙動制御装置の好ましい実施形態に於けるスピン状態量の演算処理をフローチャートの形式にて表したものである。
車両の構成
図1(A)は、本発明の挙動制御装置の好ましい実施形態が組み込まれる自動車を模式的に示している。同図に於いて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RRを有する車両10には、通常の態様にて、運転者によるアクセルペダルの踏込みに応じて各輪(図示の例では、後輪駆動車であるから、後輪のみ)に制駆動力を発生する駆動系装置(一部のみ図示)と、前輪の舵角を制御するためのステアリング装置30(更に、後輪用の操舵装置が設けられていても良い。)と、各輪に制動力を発生する制動系装置40とが搭載される。駆動系装置は、通常の態様にて、エンジン及び/又は電動機(図示せず)から、変速機(図示せず)、差動歯車装置28等を介して、駆動トルク或いは回転力が後輪12RL、12RRへ伝達されるよう構成されている。なお、車両は、前輪駆動車又は四輪駆動車であってもよく、その場合、駆動系装置の回転力は、前輪又は全輪に伝達される。また、ステアリング装置は、運転者によって作動されるステアリングホイール32の回転を、倍力装置34により回転力を倍力しながら、タイロッド36L、Rへ伝達し前輪12FL、10FRを転舵するパワーステアリング装置であってよい。
制動系装置40は、運転者によるブレーキペダル44の踏込みに応答して作動されるマスタシリンダ45に連通した油圧回路46によって、各輪に装備をされたホイールシリンダ42i(i=FL、FR、RL、RR 以下同様。)内のブレーキ圧、即ち、各輪に於ける制動力、が調節される形式の電子制御式の油圧式制動装置である。油圧回路46には、通常の態様にて、各輪のホイールシリンダを選択的に、マスタシリンダ、オイルポンプ、アキュムレータ又はオイルリザーバ(図示せず)へ連通する種々の弁(マスタシリンダカット弁、油圧保持弁、減圧弁)が設けられており、通常の作動に於いては、ブレーキペダル44の踏込みに応答して、マスタシリンダ45の圧力がそれぞれのホイールシリンダ42iへ供給される。しかしながら、本発明による挙動制御又はその他の任意の制動力配分制御を実行するべく、各輪の制動力を個別に又は独立に調節する場合には、電子制御装置50の指令に基づいて、前記の種々の弁が作動され、各輪のホイールシリンダ内のブレーキ圧が、対応する圧力センサの検出値に基づいて、それぞれの目標圧に合致するよう制御される。その際、本発明による挙動制御装置が適用される制動系装置に於いてはアキュムレータが組み込まれ、ポンプ出力圧が蓄圧されているので、ブレーキ圧の増大は比較的高速にて達成されるよう構成されている。なお、制動系装置40は、空気圧式又は電磁式に各輪に制動力を与える形式又はその他当業者にとって任意の形式のものであってもよい。
本発明の挙動制御及び制動系装置40の作動制御は、既に触れたように、電子制御装置50により実行される。電子制御装置50は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。図に於いては、電子制御装置50には、車両の各部に設けられたセンサから、ブレーキペダル踏込量θb、操舵角δ、車輪速Vwi、各輪のホイールシリンダ内の圧力Pbi、横加速度Gy、ヨーレートγ等の検出値が入力されるよう例示されているが、本実施形態の車両に於いて実行されるべき各種制御に必要な種々のパラメータ、例えば、前後Gセンサ値等の各種検出信号が入力されてよい。
電子制御装置の構成及び作動
図1(B)は、本発明の挙動制御装置を実現する電子制御装置50を制御ブロックの形式にて表したものである。なお、図示の制御装置の構成及び作動は、車両の運転中、電子制御装置50内のCPU等の処理作動に於いて実現されることは理解されるべきである。
同図を参照して、本実施形態の挙動制御を実行する制御装置50は、その基本的な構成に於いて、公知の任意の形式のVSC、VDIM装置と同様であってよい。概して述べれば、制御装置50は、旋回中の車両の挙動を表す旋回状態量(旋回状態指標値)を算出し、その旋回状態量に基づいて、各輪の目標スリップ率Si及び駆動装置の駆動出力を低減するトルクダウン率Tdを決定するVSC部50aと、ブレーキペダルセンサ44からのブレーキペダル踏込量θbと各輪目標スリップ率Siとを参照して各輪のブレーキ圧を制御するべく油圧回路の各部へ制御指令を与える制動制御装置50bと、アクセル開度センサ16からのアクセル開度θaとトルクダウン率Tdとを参照してエンジントルクを制御する駆動制御装置50cとから構成される。
かかる構成に於いて、まず、VSC部50aは、旋回中の車両の挙動を表す旋回状態量(旋回状態指標値)として、スピン状態量SPを下記の式により算出する。:
SP=K1・β+K2・dβ/dt+K3・d2β/dt2 …(1)
ここで、β、dβ/dt及びd2β/dt2は、それぞれ、車体スリップ角、車体スリップ角の微分値、車体スリップ角の2階微分値であり、K1、K2、K3は、実験的に決定される重み係数である(通常、定数)。かかるスピン状態量は、旋回中の車両のスピン状態又は横滑り量の指標値であり、概して述べれば、第1項及び第2項の和が、車体スリップ角を0に戻すために必要な(安定化)ヨーモーメントの大きさに相当し、車体スリップ角の2階微分値の項(第3項)は、制御応答を早めるべく更に付加されている。
上記の式(1)に於いて、車体スリップ角の微分値dβ/dtは、横加速度Gy、車速Vx、ヨーレートγを用いて、
dβ/dt=Gy/Vx−γ …(2a)
により与えられる。なお、車速Vxは、典型的には、車速決定部50dに於いて車輪速センサからの各輪の車輪速値Vwiから公知の任意の態様にて決定されてよいが、車速センサが設けられている場合にはその検出値が用いられてもよい。また、車体スリップ角は、式(2a)を積分して、
β=∫(Gy/Vx−γ)dt …(2b)
により与えられる。そして、車体スリップ角の2階微分値は、式(2a)を微分して、
d2β/dt2=d(Gy/Vx−γ)/dt …(2c)
により与えられる。
なお、車体スリップ角の2階微分値に対しては所謂「不感帯」が設けられていてよい。即ち、車体スリップ角の微分値dβ/dtから車体スリップ角の2階微分値d2β/dt2を算出するときに、(dβ/dt)を微分した値の絶対値が所定値より小さいときには、強制的に、車体スリップ角の2階微分値は0に設定される(d2β/dt2←0)。ただし、スピン状態量の値が不連続的に変化することを回避するために、式(1)の線形和の演算に於いては、(dβ/dt)を微分した値又は0を取る車体スリップ角の2階微分値d2β/dt2に一次回帰フィルタ処理(なまし処理)を施した値が採用される。
かくして、式(1)によりスピン状態量が算出されると、更に、VSC部50aでは、スピン状態量が0となるように車両の旋回挙動を修正するヨーモーメントを生成するための各輪タイヤのスリップ率(タイヤ力)の目標値Siが決定され、目標スリップ率Siは、制動制御装置50bへ送信される。制動制御装置50bでは、ブレーキペダル44の踏込量を考慮して、各輪の目標スリップ率Siが達成されるよう制動系装置の油圧回路46へ制御指令(回路内の種々の弁、ポンプに対する指令)を与え、各輪の制動装置(ホイールシリンダ)を作動する。典型的には、スピン状態量の大きさが0より大きい所定の閾値より大きいときに、旋回外方の前輪の目標スリップ率Siが選択的に増大され、これにより、車体を旋回外方へ回頭する方向のヨーモーメントが生成されて、車両のスピン(車両の後部の旋回外方へ横滑り)が抑制されることとなる。[典型的には、挙動を修正するのに必要十分なヨーモーメントを発生させるのではなく、スピン状態量が閾値を越えたときに、スピン状態量の大きさに応じて適当な量のヨーモーメントを発生させる方向に各輪スリップ率を配分制御し、フィードバック制御により各旋回状態量が所定値以下に落ち着くようスリップ率が調節される。]
また、上記のスピン状態量が所定の閾値より大きいときには、車両に於いて旋回に必要な横力を発生することができないか、或いは、後輪のタイヤ力が限界に達している可能性があるので、車両の増速を制限するべく、駆動出力の制限が実行されるようなっていてよい(車速が低減されれば、旋回に必要な横力が低減され、車両挙動が安定する。)。具体的には、まず、VSC部50aに於いて、スピン状態量の大きさが大きいほど、大きくなるトルクダウン率Tdが決定され、駆動制御装置50cへ送信される。駆動制御装置50cでは、かかるトルクダウン率Tdと、運転者のアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)に基づいて決定される運転者要求トルクとを参照して、駆動装置に対して与える要求駆動トルクが決定され、その値を実現する駆動装置の各部のための制御指令に変換され(制御指令は、ガソリンエンジンであれば、スロットル開度等である。)、駆動装置の各部へ与えられる。かくして、スピン状態量が0より大きいトルクダウン率Tdを与える間、駆動装置の駆動出力が制限されることとなる。
なお、上記の挙動制御装置に於いては、スピン状態量の他に、公知の任意の形式にて、ドリフトアウト状態、アンダーステア状態又はオーバーステア状態に陥ったこと又は陥るおそれがあることの指標となる旋回状態量が合わせて算出され、かかる旋回状態量を変数として、各輪目標スリップ率Si及びトルクダウン率Tdが算出されて、各輪制動装置のブレーキ圧と駆動装置の駆動出力が調節されるようになっていてよい。その場合、オーバーステア状態に陥ったこと又は陥るおそれがあることが検出された場合には、上記のスピン抑制と類似の態様にて、各輪ブレーキ圧が制御される。一方、ドリフトアウト状態又はアンダーステア状態に陥ったこと又は陥るおそれがあることが検出されたときには、旋回内方の前輪と両後輪の目標スリップ率Siが選択的に増大され、これにより、車両が減速されると伴に、車体を旋回内方へ回頭するヨーモーメントが生成される。そして、上記の如き車両の挙動が不安定であることが検出された場合には、いずれの場合も、スピン抑制と類似の態様にて、駆動出力の制限が為されるようになっていてよい。
スピン状態量の演算に於ける修正
上記の如く、VSC部50aでは、スピン状態量を算出し、これらの値が0に収束するよう、各輪のスリップ率(即ち、制動力)の調節或いは駆動出力の制限が実行される。かかる制御に於いて、本発明の発明者の研究によれば、「発明の概要」の欄に於いて述べられている如く、車両の制動系装置にポンプ出力を蓄圧するアキュムレータが組み込まれており、これにより、制御指令に対する制動力発生の応答が速い場合、通常の走行状態から急操舵を実行したときに、旋回外輪に制動力が発生していることが運転者に感知され、運転者のフィーリングが悪化する現象が見出された。また、特願2008−204897に於いても指摘されている如く、右旋回の後に左旋回へ、或いは、左旋回の後に右旋回へと、急操舵が2回別々の方向に繰り返された場合、車体スリップ角又はヨーレートが収束する前に、早期にスピン状態量が低減し、これにより、各輪に与えられるべきスピン抑制のための制動力が早期に低減してしまう現象が見出されている。図2は、上記の如き、通常の走行状態から急操舵を一方の方向に実行したとき(操舵角が右方へ変化させられたとき)の初期にやや過剰な旋回外輪の制動力の増大により運転者のフィーリングが悪化する現象と、更に急操舵が逆方向に為されたときに(操舵角が右方へ変化させられた後、左方へ変化させられる場合)、2回目の急操舵の後にスピン状態量が早期に、即ち、ヨーレートが収束する前に低減する現象とが観察される場合の、操舵角(a)、スピン状態量及びそれを構成する各項(b)、左輪制御量(左前輪制動力)(c)及び右輪制御量(右前輪制動力)(d)の実測データを示したものである(図に於いて、操舵角は、左旋回方向を正と定義し、車体スリップ角は、車両の前後方向軸から見た速度ベクトルの方向の角度で定義される。従って、車両の右旋回時、車体スリップ角は、+方向に変化する。)。
同図を参照して、まず、図2(a)に示されている如く、操舵角が右方に急激に変化されるとき、当業者に於いて理解される如く、まず、スピン状態量SPの構成項である車体スリップ角の2階微分値の項(K3・d2β/dt2:実細線)が最初に増大し、しかる後に、車体スリップ角の微分値の項(K2・dβ/dt:一点鎖線)と、車体スリップ角の項(K1・β:破線)が順に増大する(図2(b))。ここに於いて、車体スリップ角の2階微分値の項の応答が迅速であることから、スピン状態量SP(実太線)は、図中、操舵角の変化に概ね追従して、図示の如く、単純に概ね上に凸に変化し、これにより、図2(c)の実線にて例示されている如く、左輪制御量が上に凸に発生される。しかしながら、制御指令に対する制動力発生の応答が速い場合、左輪制御量に対応する左輪(旋回外輪)の制動力の増大が、運転者に感知されるほど速く、これにより、運転者のフィーリングが悪化することとなる。
また、上記の右旋回の後、方向が転換され、左旋回が為されるとき、今度は、車体スリップ角の2階微分値の項がその変化に迅速に応答して、図中、下に凸状に変化し、これに遅れて、車体スリップ角の微分値の項が順に下に凸状に変化し、これにより、スピン状態量が下側に変化して、図(d)に例示されている如く、右輪制御量が発生されることとなる。[車体スリップ角の微分値の項が上側のピーク値から低減し始める際、車体スリップ角の2階微分値の項が過渡的に略0に保持された期間が存在する。これは、既に述べた如く、車体スリップ角の2階微分値に対して不感帯を設けているためである。以下同様。]そして、右輪制御量、つまり、右前輪制動力が増大すると、車両に該車両を旋回外方(右方向)に回頭するヨーモーメントが与えられ、スピンが抑制され始めることとなる。しかしながら、その後、かかる右輪制御量による効果により、車体スリップ角の微分値の項の大きさが低減を始めると(下側のピークから上昇し始めると)、車体スリップ角の2階微分値の項がその変化に迅速に反応して、車体スリップ角の微分値と車体スリップ角の項が収束する前に、再び、図中、上方に変化することとなる。そうなると、図示の如く、スピン状態量の大きさが一時的に低減し(図中、白抜き矢印の領域)、従って、右輪制御量も低減し、スピン抑制効果が阻害されることとなる。そして、かかるスピン抑制効果の一時的な低減により、ヨーレートの収束が遅れることとなる。
そこで、本発明の挙動制御装置の制御構成では、上記の如き、最初の急操舵(又は単発の急操舵)に於いて運転者のフィーリングの悪化を惹起する旋回外輪の制動力の過剰な増大を回避するために通常の走行状態から最初に急操舵が実行されている途中に於いて、及び、急操舵が別々の方向に2回続けて実行された後のスピン抑制効果の一時的な低減を回避するために2回の急操舵の後に、スピン状態量に於ける車体スリップ角の2階微分値の項の寄与を低減若しくは無視するようスピン状態量の演算処理の修正が図られる。かかる構成を達成するために、本実施形態に於いては、車体スリップ角の2階微分値の項を監視し、まず、車体スリップ角の2階微分値の項が0近傍の第一の閾値(所定値)の範囲を逸脱したときには、車体スリップ角の2階微分値の項がかかる閾値の範囲内に再び戻るまで、スピン状態量に於ける車体スリップ角の2階微分値の項の寄与が無視される。また、これと伴に、車体スリップ角の2階微分値の項が所定の期間内に別々の方向に比較的絶対値の大きい第二の閾値(第二の所定値)の範囲を逸脱して(これにより、急操舵が別々の方向に2回続けて為されたと判定することができる。)、その後、車体スリップ角の2階微分値の項の符号が最初に反転するとき、スピン状態量に於ける車体スリップ角の2階微分値の項の寄与が無視される。
なお、制御指令に対する制動力発生の応答が速い制動系装置の場合、通常の操舵時にスピン状態量に於いて車体スリップ角の2階微分値の項の寄与を反映させる必要性は少なく、車体スリップ角の2階微分値の項が好適に作用を発揮する期間は、最初に急操舵が実行された後から2回目の急操舵が逆方向に為されるまでの期間であるということができる。そこで、本実施形態に於いては、結局、車体スリップ角の2階微分値の項がスピン状態量に於いて反映される期間(低減されない期間)は、通常の走行状態から急操舵が一回為された後、二回目の急操舵が実行される期間(図2(b)に於いて、車体スリップ角の2階微分値が下に凸となる期間(F3←OFFと設定される期間))のみとされる。
図3は、上記の制御構成を達成するスピン状態量の演算処理をフローチャートの形式にて表したものである。なお、図示の処理は、車両の走行中、VSC部50aにて、所定の処理サイクル時間にて繰り返し実行される。
同図を参照して、図示の演算処理は、大別すると、下記の処理から構成される。:
処理(a)[ステップ10]−上記の式(1)にて示されている車体スリップ角、車体スリップ角の微分値及び車体スリップ角の2階微分値の線形和に於ける重み係数K1、K2、K3をそれぞれ任意の態様にて決定する処理;
処理(b)[ステップ20−50]−車両が右方向に急操舵されたか否かを判定し、右方向に急操舵されたと判定されると、そのときからの時間を計測する処理;
処理(c)[ステップ60−90]−車両が左方向に急操舵されたか否かを判定し、左方向に急操舵されたと判定されると、そのときからの時間を計測する処理;
処理(d)[ステップ100−140]−通常の走行状態に在る車両に於いて急操舵が左右方向のうちの一方に為されることにより車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値が一旦増大した後0近傍まで降下した時点と車両が右方向又は左方向に急操舵が為された後に所定の期間以内に逆の方向に急操舵が為された後に車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の符号が反転する時点とをそれぞれ検出し、かかる時点間に於いてステップ10にて設定された係数K3が使用されるように、即ち、車体スリップ角の2階微分値の項の寄与が低減されないように設定する処理;
処理(e)[ステップ150−160]−ステップ100−140で検出される時点間以外に於いて、係数K3を0に設定し直して、スピン状態量に於いて、車体スリップ角の2階微分値の項が反映されないようにする処理;
処理(f)[ステップ170]−上記までの処理に従って与えられた係数K1−K3を用いて、スピン状態量を算出する処理。
上記の処理構成に於いて、まず、処理(a)では、式(1)のスピン状態量の線形和に用いる重み係数が、通常、実験的に得られたデータから決定される(ステップ10)。ただし、本実施形態では、実質的には急操舵が繰り返される際の2回目の操舵中にのみ、車体スリップ角の2階微分値の項をスピン状態量に反映させることとなるので、ここで決定される係数K3の値は、急操舵が実行された後、以下のステップ106でF3がOFFに設定されない限り、そのまま使用されず、ステップ160にて、K3=0が再設定される。
上記の処理(b)では、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が比較的絶対値の大きい第二の閾値th2を上回っているか否か、即ち、
K3・d2β/dt2>th2 …(3)
が成立しているか否かがまず判定される(ステップ20)。もし式(3)が成立していれば、右方への急操舵が為されたと判定され、そのことを記憶するために、フラグF1がONとされる(ステップ30)。そして、一旦、フラグF1が設定されると、続いて繰り返される処理サイクルに於いて、カウントT1が増大される(ステップ40、50)。
上記の処理(c)では、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が比較的絶対値の大きい閾値−th2を下回っているか否か、即ち、
K3・d2β/dt2<−th2 …(4)
が成立しているか否かがまず判定される(ステップ60)。もし式(5)が成立していれば、左方への急操舵が為されたと判定され、そのことを記憶するために、フラグF2がONとされる(ステップ70)。そして、一旦、フラグF2が設定されると、続いて繰り返される処理サイクルに於いて、カウントT2が増大される(ステップ80、90)。
かくして、上記の処理(b)又は(c)に於いては、左右方向のいずれか一方の方向に急操舵が実行され、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第二の閾値の範囲th2〜−th2のいずれかの側を越えたことが判定されると、フラッグF1又はF2の一方がON状態となり、対応するカウンタT1又はT2のカウントが開始される。そして、その後、車両の左右方向のうちの他方の方向に急操舵が実行されると、フラッグF1及びF2が共にON状態となる。
上記の処理(d)では、端的に述べれば、単発の急操舵又は急操舵の繰り返しがあったときに、急操舵の1回目による車体スリップ角の2階微分値の項の大きさの増大と、急操舵の2回目の後のスピン抑制効果が現れることよる車体スリップ角の2階微分値の項の大きさの増大がスピン状態量に於いて反映されないように、フラッグF3の設定が為される。
具体的には、処理(d)に於いては、まず、カウンタT1又はT2のカウントが開始された後に処理サイクルが繰り返される間、カウンタT1又はT2の値がTht1又はTht2に到達したか否かを監視する処理(ステップ100)が実行される。ここでは、カウンタT1又はT2のうちのいずれか一方がTht1又はTht2に到達したときには、それまでのフラッグの設定は、全てリセットされる(ステップ110)。なお、上記の所定の期間Tht1及びTht2は、任意に設定されてよい短い期間、例えば、2〜数秒である(通常、同じ長さであってよい。)。従って、ここでは、最初の急操舵があって短い期間内に2回目の急操舵があったか否かが検出されることとなる。
一方、カウンタT1又はT2の値がTht1又はTht2に到達していないとき、処理(d)では、フラッグF1及びF2のうちの少なくとも一方がONになっているか否か、即ち、急操舵が実行されたか否かを判定する処理(ステップ102)と、フラッグF1及びF2のうちのいずれかがONになっているときに車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値が比較的絶対値の小さい閾値th1より小さくなっているか否か、即ち、
|K3・d2β/dt2|<th1 …(5)
を満たす否かを判定する処理(ステップ104)とが実行される。ここで、フラッグF1及びF2のうちのいずれか一方のみがONであり、且つ、条件(5)が成立していないときには、通常の走行状態から急操舵が一回だけ実行された状態であり、且つ、車体スリップ角の2階微分値の項がまだ大きいことになるので(フラッグF1及びF2のうちのいずれか一方がONになるとき、車体スリップ角の2階微分値の項の絶対値は既にth1を上回っている。)、F3がONに維持され、後で、K3は0に設定し直されることとなる(ステップ160)。また、処理サイクルが繰り返された後、条件(5)が成立したときには、車体スリップ角の2階微分値の項が一旦上昇した後に降下したことになるので、この時点で、F3がOFFに変更される(ステップ106)。即ち、ステップ102−106では、車両に於いて急操舵が左右方向のうちの一方に為されることにより車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値が一旦増大した後に0近傍まで降下した時点が検出され、そのとき初めて、ステップ10にて設定された係数K3が使用されるようにする設定が実行されることとなる。
次いで、処理(d)に於いては、フラッグF1及びF2が共にON状態となっているか否か、即ち、急操舵が右又は左に実行されることにより車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第二の閾値の範囲th2〜−th2の一方の側を越えた後、カウンタT1又はT2が所定値Tht1又はTht2に到達する前に、更に最初の急操舵の方向とは別の方向に急操舵が実行されることにより車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第二の閾値の範囲th2〜−th2の他方の側を越えたか否かを監視する処理(ステップ120)が実行される。フラッグF1及びF2が共にON状態となっていなければ、急操舵は、一方向にのみ実行されただけであるので、フラッグF3は変更されない(F3がONであれば、ONのままとされ、F3がOFFであれば、OFFのままとされる。)。他方、もしフラッグF1及びF2が共にON状態となったときには、急操舵が別々の方向に2回続けて実行された時の後に生ずるスピン抑制効果の一時的な低減を回避するべく、(フラッグF3がOFFとなっていれば、)フラッグF3がONに戻され、スピン状態量に於ける車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の寄与が低減されるよう設定される。しかしながら、ステップ120が初めにイエスとなるときは、2回目の急操舵が為された直後、即ち、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第二の閾値の範囲th2〜−th2を越えた直後であり、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値は依然として大きな値となっているので、この状態で車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の値を強制的に0に設定することは好ましくない。そこで、ステップ120がイエスとなるときには、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の値が小さくなるとき、或いは、かかる値の符号が逆転するときが検出される。具体的には、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値が
|K3・d2β/dt2|<th1 …(6)
を満たす否かが判定される(ステップ130)。そして、処理サイクルが繰り返されるうちに、式(6)が成立したときには、そのことを記憶するため、フラッグF3がONに設定される(ステップ140)。
総じて、処理(d)では、F1又はF2のいずれか一方がONになった後、最初に車体スリップ角の2階微分値の項が第一の閾値の範囲th1〜−th1に入ったときに、F3がOFFにされ、その後、所定期間が経過したとき又はF1又はF2のうちの他方がONになった後に最初に車体スリップ角の2階微分値の項が第一の閾値の範囲th1〜−th1に入ったときに、F3がONにされることとなる。
上記の処理(e)では、処理(d)に於けるF3の設定を受けて、F3がONのときには、係数K3が、ステップ10での決定された値によらず、強制的に0に設定される(ステップ150−160)。そして、上記の一連の処理の後、処理(f)に於いて、式(1)を用いてスピン状態量が算出される。処理(e)によるK3の強制的な0の設定があったときには、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2は、無視されることとなり、スピン状態量SPは、
SP=K1・β+K2・dβ/dt …(1’)
により与えられることは理解されるべきである。
以上の処理(a)〜(f)に於ける処理を、図2(b)に例示の車両の操舵状態に対応して整理すると、以下の如くとなる。
(i)急操舵が実行されないとき又は実行される前−車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2は、所定の閾値範囲th2〜−th2から逸脱せず、F1、F2は、全てOFFである。従って、ステップ102に於いてノーと判定され、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2を用いずに算出される。
(ii)急操舵がいずれか一方に実行されたとき−車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第二の閾値範囲th2〜−th2の一方の側から逸脱し(図2(b)では、th2の側から逸脱)、F1又はF2の一方のみがONに設定され、カウンタT1又はT2による時間の計測が開始される。この段階では、ステップ102に於いてイエスと判定される。しかしながら、ステップ104で、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第一の閾値範囲th1〜−th1に入る前であれば、ステップ106が迂回され、ステップ120でノーと判定されるので、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2を用いずに算出される。
(iii)車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の大きさが降下したとき−ステップ104で、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が第一の閾値範囲th1〜−th1に入ると、ステップ106にてF3がOFFに設定される。この時点では、急操舵が逆方向に為されていないので、ステップ120でノーと判定され、結局、ここで初めて、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2をそのまま用いて算出される。
(iv)急操舵がいずれか一方に実行された後、所定の期間が経過する前に、急操舵が別の方向に実行されたとき−車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が所定の閾値範囲th2〜−th2の他方の側から逸脱し(図2(b)では、−th2の側から逸脱)、F1及びF2の双方がONに設定された状態となり、ステップ120の判定がイエスとなる。しかしながら、この段階では、まだ、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値は、所定値th1より大きく、フラッグF3は、OFFのままであるので、ステップ150の判定は、ノーであり、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2をそのまま用いて算出される。
(v)車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の符号が逆転するとき−車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値が所定値th1より小さくなりフラッグF3はONとなる(ステップ130、140)。そうなると、ステップ150の判定は、イエスとなり、K3が0に設定され、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2を無視して算出される。
(vi)最初の急操舵から所定の期間が経過したとき−ステップ100の判定がイエスとなり、それまでのフラッグ及びカウンタの設定が図3のステップ110の如くリセットされる。従って、スピン状態量は、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2を用いずに算出される(最初の急操舵があったときから、2回目の急操舵がないまま、所定の期間が経過したときも同様である。)。
かくして、上記の処理の構成によれば、通常の走行状態から初めて急操舵が為されたとき、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の大きさが一旦上昇した後に下降するときから、急操舵が(短い)所定の期間内に2回別々の方向に実行された後にスピン抑制効果により車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の大きさが上昇するまでの期間に於いて、スピン状態量の演算に於いて、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が反映され、それ以外の期間では、スピン状態量の演算に於いて、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2が無視されることとなる。そうなると、スピン状態量SPは、最初の急操舵時及び2回の急操舵後の車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の絶対値の増大による影響を受けずに、即ち、図2(b)の「修正後」と付された丸点線にて示されている如く推移することとなる。そして、かかるスピン状態量の修正により、最初の急操舵中、旋回外輪のスピン抑制のための制御量に於いては、図2(c)にて「修正後」と付された丸点線にて示されている如く、増大幅が抑制され、これにより、旋回外輪の制動力の増大が運転者に感知されにくくなり、フィーリングの悪化が抑制される。また、2回目の急操舵に於いては、図2(d)にて「修正後」と付された丸点線にて示されている如く、制御量が一時的低減をせずに推移し、これにより、ヨーレートに於ける収束の遅れが解消されることが期待される。
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、スピン状態量の演算に於いて、車体スリップ角の2階微分値の項K3・d2β/dt2の寄与を低減する際、その項の値を完全に無視するのではなく、その項の値を通常の半分又はそれ以下にするなど、単に値の大きさを小さくするだけでもよい。また、スピン状態量は、式(1)の形式の線形和に限らず、その他の形式で表されてもよく、そのような場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。
10…車両
12FL〜RR…車輪
28…差動装置
30…ステアリング装置
34…倍力装置、操舵角センサ
36L、R…タイロッド
40…制動装置
42FL〜RR…各輪ホイールシリンダ
46…油圧回路
50…電子制御装置
62…横加速度センサ
64…ヨーレートセンサ

Claims (9)

  1. 車体スリップ角と、車体スリップ角の微分値と、車体スリップ角の2階微分値とから算出される制御量に基づいて車両のスピンを抑制する車両の挙動制御装置であって、前記車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが所定値を超えた後に前記所定値を下回るまで前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されることを特徴とする装置。
  2. 請求項1の装置であって、更に、前記車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値よりも大きい第二の所定値を超えたときから所定の期間内に前記一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記第二の所定値を超えた後、前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されることを特徴とする装置。
  3. 請求項1又は2の装置であって、前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されるとき、前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が無視されることを特徴とする装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの装置であって、前記車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値を超えた後に前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値を下回ったときから前記一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値を超えた後に前記所定値を下回るときまで前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されないことを特徴とする装置。
  5. 車体スリップ角と、車体スリップ角の微分値と、車体スリップ角の2階微分値とから算出される制御量に基づいて車両のスピンを抑制する車両の挙動制御装置であって、前記車体スリップ角の2階微分値が、前記車両の左右方向のうちの一方の方向に操舵が実行されて前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが所定値を超えた後に前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値を下回ったときから前記一方の方向とは逆の方向に操舵が実行され前記車体スリップ角の2階微分値の大きさが前記所定値を超えた後に前記所定値を下回るときまでの期間のみ、前記制御量に寄与することを特徴とする装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの装置であって、前記制御量が、車体スリップ角βと、車体スリップ角の微分値dβ/dtと、車体スリップ角の2階微分値dβ/dtと、所定の係数K1、K2、K3を用いて、
    K1・β+K2・dβ/dt+K3・dβ/dt
    により与えられることを特徴とする装置。
  7. 請求項6の装置であって、前記制御量に於ける前記車体スリップ角の2階微分値の寄与が低減されるとき、係数K3の値が0に設定されることを特徴とする装置。
  8. 請求項1の装置であって、前記制御量に基づいて前記車両のスピンを抑制するヨーモーメントを発生することを特徴とする装置。
  9. 請求項1の装置であって、前記制御量に基づいて前記車両の加速が制限されることを特徴とする装置。
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