JP5140579B2 - 病原菌に対する生体防御を増強するヒアルロン酸結合性ペプチド - Google Patents

病原菌に対する生体防御を増強するヒアルロン酸結合性ペプチド Download PDF

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Description

本願は、2005年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/688,343号への優先権を主張する。
本発明は、ヒアルロン酸に結合するペプチド分野及びかかるペプチドを用いて細菌感染を阻害する方法に関する。
細菌感染は現在のところ感染患者に抗生物質を投与することにより治療されている。抗生物質は、細胞膜の破壊、細菌の細胞壁合成の阻害、細菌の核酸合成の阻害、細菌のタンパク質合成の阻害、及び細菌代謝に必要な酵素の阻害などの様々なメカニズムによって細菌の成長を遅くする又は細菌を死滅させる。一般に、抗生物質は感染レベルを一定の閾値まで減少させるのを助け、それにより宿主の免疫システムは感染を調節すること及び除去するのを助けることができる。抗生物質の使用には欠点がある。若年及び高齢の患者は抗生物質に伴う毒性又は副作用を受けやすい場合がある。抗生物質に対するアレルギーを患者がもっている又は発現する可能性がある。また、一部の抗生物質は有益で自然な患者の菌叢に対する毒性を有し、これが胃のむかつきや下痢等を引き起こし、患者が、初感染の治療中に発現する新規感染又は二次感染を起こしやすくなる可能性がある。抗生物質の過剰処方が、抗生物質に対して多くの細菌株が抵抗力を獲得する結果をまねいた。
ペニシリンは、ヒトの感染を治療するために同定され成功裏に使用された最初の抗生物質であった。ペニシリンに対する細菌の耐性が広まったため、ペニシリンは特定の種類の細菌による感染の治療にまれに使用されるだけである。現在使われている抗生物質に対して細菌が耐性を持つようになってきたので新しい抗生物質が開発されている。メチシリンは、ヘシウム菌(E. faecium)及び黄色ブドウ球菌(S. aureus)による感染の治療に有効な抗生物質である。メチシリンの耐性は広まり、ほとんどのメチシリン耐性株はまた複数の抗生物質にも耐性を示している。用語「MRSA」はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin resistant Staphylococcus aureus)を示す。典型的には、耐性菌による感染は初めに病院において見つかり、その後病院以外での又は地域感染型の感染を引き起こす。バンコマイシンはメチシリン耐性細菌株による感染に対する治療の切り札であり、MRSA及びその他のメチシリン耐性微生物に対して有効な唯一の抗生物質である。しかしながら、バンコマイシン耐性腸球菌及び黄色ブドウ球菌による感染が病院で見つかり、地域感染型の発生頻度が増加しつつある。細菌感染を治療するための新しい治療法の開発が必要である。
感染に対する防御のため、様々な種類の生物が、典型的には20〜40アミノ酸の長さの陽イオン性抗菌ペプチドを産生する。ほとんどは多様な微生物細胞を迅速に殺傷することが可能である。表面リポ多糖類との結合が関与して陽イオン性ペプチドとグラム陰性菌との初期相互作用が起き、その結果外膜二重層が変形すると考えられている。これにより、そこでペプチドチャネル形成が生じると提言されてきた細胞膜へのアクセスが可能になる。例えばポリアニオン系DNAへの結合により必須機能を阻害する場合、ペプチドチャネルの形成がプロトン駆動力の消滅及び必須分子の漏出につながるかどうか、或いはこれはペプチドを細胞質へ取り込む中間段階なのかに関する議論が高まっている。しかしながら、生死に関わる重度の感染が今もな発症しており、これは毒性バクテリアが先天性の陽イオン性抗菌ペプチドを回避する方法を生み出していることを示している。
例示的な抗菌ペプチドには以下が挙げられるこれらに限定されない:通常、鱗翅目(Steiner et al., Nature 292:246)及び双翅目(Merrifield et al., Ciba Found. Symp. 186:5, 1994)から作られ、ブタ腸によって(Lee et al., Proc, Nat'l Acad. Sci. USA 86:9159, 1989)、海の原索動物(Zhao et al., FEBS Lett. 412:144, 1997)の血液細胞によって作られるセクロピン;セクロピンAの合成類似物、メリチン、及びセクロピン−メリチンキメラペプチド(Wade et al., Int. J. Pept. Protein Res. 40:429,1992);セクロピンB類似物(Jaynes et al., Plant Sci. 89:43, 1993);キメラセクロピンA/Bハイブリッド(During, Mol. Breed. 2:297, 1996);マガイニン(Zasloff, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 84:5449, 1987);ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ウサギ、及びヒツジの白血球由来のカテリン関連抗菌性ペプチド(Zanetti et al., FEBS Lett. 374:1, 1995);例えば、ヒト好中球デフェンシン[HNP1−4]などの脊椎動物デフェンシン;マウス及びヒトの小腸のパネート細胞デフェンシン(Oulette and Selsted, FASEB J. 10:1280, 1996;Porter et al., Infect.Immun. 65:2396, 1997);ヒト上皮細胞のHBD−1などの脊椎動物β−デフェンシン(Zhao et al., FEBS Lett. 368:331, 1995);炎症を起こしたヒトの皮膚のHBD−2(Harder et al., Nature 387:861, 1997);ウシβ−デフェンシン(Russell et al., Inject. Immun. 64:1565, 1996)、ラディッシュ種子のRs− AFP1のような植物デフェンシン(Fehlbaum et al., J.Biol.Chem.269:33159, 1994)、α−及びβ−チオニン(Stuart et al., Cereal Chem.19:288,1942;Bohlmann and Apel.Annu.Rev.Physiol.Plant Mol.Biol.42:227,1991)、γ−チオニン(Broekaert et al., Plant Physiol.108:1353,1995)、抗真菌ドロソマイシン(drosomycin)(Fehlbaum et al., J.Biol.Chem.269: 33159,1994)、ミツバチ、マルハナバチ、ハナダカバチモドキ、スズメバチ(hornet)、スズメバチ(yellow jacket)、及びスズメバチ(wasp)によって産生されるアピダエシン(Casteels et al., J.Biol.Chem.269:26107,1994; Levashina et al., Eur.J.Biochem.233:694,1995)、ウシ好中球由来のインドリシジン(indolicidin)及びそれらの誘導体又は類似物などのカテリシジン(cathelicidin)(Falla et al., J.Biol.Chem.277:19298,1996)、ナイシン(nisin)などのバクテリオシン(bacteriocin)(Delves-Broughton et al., Antonie van Leeuwenhoek J.Microbiol.69:193,1996);ならびに抗真菌、抗菌及び抗ウイルス活性を有するプロテグリン(protegrin)及びタキプレシン(tachyplesin)(Tamamura et al., Biochim.Biophys.Acta 1163:209, 1993;Aumelas et al., Eur.J.Biochem.237:575, 1996;Iwanga et al., Ciba Found. Symp. 186:160,1994)。
Steiner et al., Nature 292:246 Merrifield et al., Ciba Found. Symp. 186:5, 1994 Lee et al., Proc, Nat'l Acad. Sci. USA 86:9159, 1989 Zhao et al., FEBS Lett. 412:144, 1997 Wade et al., Int. J. Pept. Protein Res. 40:429,1992 Jaynes et al., Plant Sci. 89:43, 1993 During, Mol. Breed. 2:297, 1996 Zasloff, Proc. Nat'l Acad. Sci USA 84:5449, 1987 Zanetti et al., FEBS Lett. 374:1, 1995 Oulette and Selsted, FASEB J. 10:1280, 1996;Porter et al., Infect.Immun. 65:2396, 1997 Zhao et al., FEBS Lett. 368:331, 1995 Harder et al., Nature 387:861, 1997 Russell et al., Inject. Immun. 64:1565, 1996 Fehlbaum et al., J.Biol.Chem.269:33159, 1994 Stuart et al., Cereal Chem.19:288,1942;Bohlmann and Apel.Annu.Rev.Physiol.Plant Mol.Biol.42:227,1991 Broekaert et al., Plant Physiol.108:1353,1995 Fehlbaum et al., J.Biol.Chem.269: 33159,1994 Casteels et al., J.Biol.Chem.269:26107,1994; Levashina et al., Eur.J.Biochem.233:694,1995 Falla et al., J.Biol.Chem.277:19298,1996 Delves-Broughton et al., Antonie van Leeuwenhoek J.Microbiol.69:193,1996 Tamamura et al., Biochim.Biophys.Acta 1163:209, 1993;Aumelas et al., Eur.J.Biochem.237:575, 1996;Iwanga et al., Ciba Found. Symp. 186:160,1994
抗生物質による細菌感染治療の代替案は、感染を促進及び増強する細菌の毒性因子を阻害又は抑制する方法である。しかしながら、細菌は宿主に多くの異なる影響を与える様々な毒性因子を産生する。このように、毒性因子一つだけを阻害又は抑制しても、感染に対して効果は極めて少ない。例えば、黄色ブドウ球菌は多くの毒性因子を発現し、これらは次のように分類される:(1)宿主組織におけるコロニー形成を促進する表面タンパク質;(2)組織における細菌の拡散を促進するインベイシン(例えば、ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ);(3)食作用性の貪食を阻害する表面因子(例えば、莢膜、プロテインA);(4)貪食細胞内での細菌生存を増強する生化学的性質(例えば、カロテノイド、カタラーゼの産生);(5)免疫学的な変装(例えば、プロテインA、凝固酵素、凝固因子);(6)真核生物の細胞膜を溶解する膜傷害毒素(例えば、ヘモリシン、ロイコキシン、ロイコシジン);(7)宿主組織にダメージを与える又は病気の症状を誘発する外毒素又はエンテロトキシン(例えば、SEA−G、TSST、ET);及び(8)抗菌剤に対する生来の及び後天的な耐性。かかるブドウ球菌の病原性因子は、宿主の免疫細胞を死滅させる、及び宿主の免疫細胞に非限定的に過度の刺激を与えて免疫システムによる病原菌への連携反応を阻害するスーパー抗原を産生する、などの方法で宿主組織への浸潤及び生体防御の無効化を促進する。黄色ブドウ球菌に起因する疾患の大部分にとって発症は多因子性であり、ある因子の役割又は因子の組み合わせを正確に決定するのは困難である。
どの毒性因子がどの細菌に重要であるのかは明らかでなく、ある細菌種に重要であると特定された毒性因子が存在した場合、別の種にも重要であるかは明らかでない。
本発明者らは、細菌感染している動物を、塩基性アミノ酸残基を有し及び細菌莢膜上、細胞膜上、又は宿主組織内に存在する可能性のあるヒアルロン酸に結合可能なペプチドを用いて治療することにより、該動物の感染を阻害できることを発見した。
本発明によると、動物の細菌感染を阻害するためのヒアルロン酸結合性ペプチドの使用が提供される。
本発明によると、動物の細菌感染を阻害するためのモチーフ(motif)式B−X−Bを含むペプチドの使用が提供される。
一つの実施形態において、本発明は、次の式Iの配列を含むヒアルロン酸に結合する有効量のペプチドを投与することによって細菌感染を治療する方法を提供する:
−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X (I)
式中、
各Xは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Xは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立して塩基性アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立してイミノ又は芳香族アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立してジカルボン酸アミノ酸残基から選択され;及び
各Xは独立して脂肪族アミノ酸残基から選択される。
好ましい実施形態において、本発明は、次の式Iの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X (I)
式中、
各Xは独立してスレオニン又はセリンから選択され;
各Xは独立してメチオニン又はシステインから選択され;
各Xは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され;
各Xは独立してプロリン、フェニルアラニン、又はトリプトファンから選択され;
各Xは独立してアスパラギン又はグルタミンから選択され;及び
各Xは独立してロイシン、イソロイシン、バリン、又はアラニンから選択され、及びヒアルロン酸(以下、HA)を結合可能なペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式Iの好ましいペプチドは、TMTRPHFHKRQLVLS(配列番号:1)である。
別の実施形態において、本発明は、式IIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
(b)式IIの配列:
−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y (II)
式中、
各Yは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Yは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;及び
各Yは独立して塩基性アミノ酸残基から選択される。
好ましい実施形態において、本発明は式IIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y (II)
式中、
各Yは独立してセリン又はスレオニンから選択され;
各Yは独立してメチオニン又はシステインから選択され;及び
各Yは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され、及びHAを結合可能なペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式IIの好ましいペプチドは、STMMSRSHKTRSCHH(配列番号:2)である。
別の実施形態において、本発明は、次の式IIIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z (III)
式中、
各Zは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Zは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;及び
各Zは独立して塩基性アミノ酸残基から選択される、及びHAを結合するペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
好ましい実施形態において、本発明は、式IIIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z (III)
式中、
各Zは独立してセリン又はスレオニンから選択され;
各Zは独立してメチオニン又はシステインから選択され;及び
各Zは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され、及び細菌の細胞表面及び/又は莢膜に結合するペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式IIIの好ましいペプチドは、STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)である。式IIIのペプチドは、任意でC末端にバリン残基を含んでもよく、次の配列を有してもよい:STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)。
本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」という用語は、哺乳動物タンパク質にみられる、L−異性体及びD−異性体の両方を包含する20種類のαアミノ酸を含む。この用語はさらに代替アミノ酸残基も含み、例えば、ヒドロキシプロリン、α−アミノイソ酪酸、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸等が挙げられ、これらもまた完全に同様のやり方でペプチド配列に含めることが可能である。勿論、コードされたアミノ酸及び代替アミノ酸のD型も使用可能である。相対速度定数の決定方法、合成の実施方法、及び選択と解析の実施方法は、天然アミノ酸に関して以下で説明するやり方と全く類似している。したがって、必要な速度定数の数、混合物中の代表的なペプチドの数等に関する結果は、これらコードされていないアミノ酸を1つ、又はそれ以上、若しくは全ての残基として含むペプチドにもそのまま適用可能である。
アミノ酸残基を表す次の一般的な1文字及び3文字の省略形が本明細書全体を通じて使用されてもよい:A、Ala−alanine;R、Arg−Arginine;N、Asn−Asparagine;D、Asp−Aspartic acid;C、Cys−Cysteine;Q、Gln−Glutamine;E、Glu−Glutamic acid;G、Gly−Glycine;H、His−Histidine;I、Ile−Isoleucine;L、Leu−Leucine;K、Lys−Lysine;M、Met−Methionine;F、Phe−Phenyalanine;P、Pro−Proline;S、Ser−Serine;T、Thr−Threonine;W、Trp−Tryptophan;Y、Tyr−Tyrosine;及びV、Val−Valine。
ヒアルロン酸結合性ペプチド
本発明は、細菌感染している動物をヒアルロン酸と結合するペプチドで治療すると細菌感染が阻害されることを実証した。本発明の治療用ペプチドは9〜100アミノ酸の長さ、好ましくは15〜50アミノ酸の長さの、及び好ましくは15〜40アミノ酸の長さであってもよい。
治療用ペプチド少なくとも一つのアミノ酸残基配列の繰り返しB−X−Bを含んでいてもよく、式中Bは任意の塩基性アミノ酸残基であり、Xは任意の7個の非酸性アミノ酸残基である。ペプチドのヒアルロン酸への結合は、塩基性アミノ酸残基をB1とB2との間に添加する又はモチーフの片側に隣接させる(非同類置換)ことによって増強されてもよい。その他のヒアルロン酸結合モチーフ又はドメインもまたHA−結合性ペプチドに存在してもよい。例えば、CD44及びTSG−6のようなタンパク質、及びリンクタンパク質、アグリカン、ブレビカン、ニューロカン及びバーシカンのようなプロテオグリカンは、結合ドメインとして知られている約100個のアミノ酸からなる保存されたHA−結合領域を有している。
ファージ提示法で単離され、単純なR−Rの繰り返しを含み他の既知のHA結合モチーフを含まないペプチドは、B−X7−Bモチーフを含むペプチドに比べて結合力はいくらか劣るが、HAに特異的に結合することが証明されている。R−Rモチーフは、リンクタンパク質、CD44、アグリカン、及びバーシカン、並びにRHAMM、cdc37、P−32、SPACR、及びSPACRCANにおいて同定されているが、このモチーフのこれら分子によるHA結合への寄与は不明である(Amemiya et al, Biochimica et Biophysica Acta 1724 (2005) 94-99)。
米国特許第6,653,285号に記載されているように、ファージ提示法で単離された他のペプチド、HABP52、が高い結合力でヒアルロン酸(HA)に結合し、白血球のHAへの付着を阻害することが証明されている。これらペプチドは上記のHA結合モチーフとの類似性に欠ける。HABP52は、炎症性白血球の皮膚特異的な輸送をブロックすることによりマウスの接触過敏症反応を阻害する。ペプチドのHABP52ファミリーは、i)Gly−Ala−His−Trp−Gln−Phe−Asn−Ala−Leu−Thr−Val−Arg或いは4、5、6、9、10又は11以外の残基位置でのこれらの保存されたアミノ酸置換;ii)Gly−Ala−Ala−Trp−Gln−Phe−Asn−Ala−Leu−Thr−Val−Arg或いは4、5、6、9、10又は11以外の残基位置でのこれらの保存されたアミノ酸置換;iii)Gly−Ala−His−Trp−Gln−Phe−Ala−Ala−Leu−Thr−Val−Arg或いは4、5、6、9、10又は11以外の残基位置でのこれらの保存されたアミノ酸置換;及びiv)Gly−Ala−His−Trp−Gln−Phe−Asn−Ala−Leu−Thr−Val−Ala或いは4、5、6、9、10又は11以外の残基位置でのこれらの保存されたアミノ酸置換、から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを含む。
一つの実施形態において、本発明は、式Iの配列を含むヒアルロン酸に結合する有効量のペプチドを投与ことによって細菌感染を治療する方法を提供する:
−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X (I)
式中、
各Xは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Xは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立して塩基性アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立してイミノ又は芳香族アミノ酸残基から選択され;
各Xは独立してジカルボン酸アミノ酸残基から選択され;及び
各Xは独立して脂肪族アミノ酸残基から選択される。
好ましい実施形態において、本発明は、次の式Iの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X (I)
式中、
各Xは独立してスレオニン又はセリンから選択され;
各Xは独立してメチオニン又はシステインから選択され;
各Xは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され;
各Xは独立してプロリン、フェニルアラニン、又はトリプトファンから選択され;
各Xは独立してアスパラギン又はグルタミンから選択され;及び
各Xは独立してロイシン、イソロイシン、バリン、又はアラニンから選択され、及びHAを結合可能なペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式Iの好ましいペプチドは、TMTRPHFHKRQLVLS(配列番号:1)である。
別の実施形態において、本発明は、式IIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
(b)式IIの配列:
−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y (II)
式中、
各Yは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Yは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;及び
各Yは独立して塩基性アミノ酸残基から選択される。
好ましい実施形態において、本発明は式IIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y (II)
式中、
各Yは独立してセリン又はスレオニンから選択され;
各Yは独立してメチオニン又はシステインから選択され;及び
各Yは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され、及びHAを結合するペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式IIの好ましいペプチドは、STMMSRSHKTRSCHH(配列番号:2)である。
別の実施形態において。本発明は、次の式IIIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z (III)
式中、
各Zは独立してヒドロキシアミノ酸残基から選択され;
各Zは独立して含硫アミノ酸残基から選択され;及び
各Zは独立して塩基性アミノ酸残基から選択され、及びヒアルロン酸を結合するペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
好ましい実施形態において、本発明は、式IIIの配列を含むヒアルロン酸結合性ペプチドを提供する:
−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z−Z (III)
式中、
各Zは独立してセリン又はスレオニンから選択され;
各Zは独立してメチオニン又はシステインから選択され;及び
各Zは独立してアルギニン、リジン、又はヒスチジンから選択され、及びヒアルロン酸を結合するペプチドのフラグメント、類似物、又は誘導体である。
式IIIの好ましいペプチドは、STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)である。式IIIのペプチドは、任意でC末端にバリン残基を包含してもよく、次の配列を有してもよい:STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)。
ヒアルロン酸結合性ペプチドの評価
本発明は、HABPは必ずしも殺菌性ではなく又は溶解作用を有し、したがって既知の陽イオン性抗菌ペプチドの作用機序と異なっていると思われることを実証する。ヒアルロナンとして知られるヒアルロン酸は、A群連鎖球菌(GAS)などの一部の病原菌の莢膜内、及び全脊椎動物の組織内の両方に見られる多糖類であり、細胞外マトリックスの主要構成要素である。組織の中でヒアルロン酸は構造的及び機能的役割の両方を果たす。例えば、ヒアルロン酸は皮膚(表皮)の主要構成要素であり、空間充填分子及び細胞外マトリックスのオーガナイザーである。しかしながら、構造的役割に加え、ヒアルロン酸はまたCD44及びRHAMMなどの細胞表面レセプターと相互作用する。ヒアルロン酸とCD44との相互作用によりケラチノサイト(皮膚細胞)の生存シグナルが生成され、創傷治癒に関与するようにケラチノサイトを刺激する役割を果たすと考えられる。さらに、リンパ球及びランゲルハンス細胞などの免疫システム細胞はヒアルロン酸に富んだ細胞外間隙を利用して表皮を横切り、この移動運動はこれら細胞のCD44レセプターのヒアルロン酸への低親和性結合によって決まる。
ヒアルロン酸はA群連鎖球菌(GAS)の細菌莢膜の毒性を高める成分であり、様々な役割を担っている。莢膜に存在するヒアルロン酸は、GASが、ヒアルロン酸細胞表面受容体を表示する脆弱な宿主細胞と付着するのを仲介し、感染及びコロニー形成を容易にする。さらに、ヒアルロン酸を含有する莢膜は、周囲の細胞外マトリックスと非常に似た表面を呈するのでウイルスによる貪食及び上皮摂取(epithelial ingestion)をGASが回避するのを助ける。この防御は、ヒアルロン酸耐性(hyaluronic acid-bearing)病原菌が細胞外間隙で増殖し、最後には組織及び血流へと深く浸透するのを可能にする。ヒアルロン酸細菌莢膜は、CD44結合及びシグナル伝達を介して細胞変化を引き起こす一面を担っていると認識されるに至っており、結果として堅固な細胞間結合の消失及びそれに続く宿主細胞間及び深部組織上への細菌のトランスロケーション(転座)を引き起こす。
連鎖球菌、ブドウ球菌、及びクロストリジウムなどの病原体が分泌するヒアルロニダーゼによる細胞外ヒアルロン酸ベース構造の破壊又はデポリメリゼーションは、これら細菌の拡散又は侵襲性を増大させることにも関与している。
ヒアルロン酸結合性ペプチド(HABP)は、いくつかの固有のメカニズムにより細菌感染の進行を和らげることが可能である。本発明者らは、HABPがHA及び莢膜にHAを有する細菌の両方に結合すること、及びHABPが好中菌とケラチノサイトの両方によって細菌の貪食を増強することを示すデータを公開する。HABPのヒアルロン酸含有細菌莢膜への結合は、免疫システムから病原菌を隠蔽する莢膜の能力を妨げて認識と貪食を高めることを可能とする。HABPのこれら莢膜への結合はまた、ヒアルロン酸仲介メカニズムを介した病原菌の感受性組織又は感受性細胞種への付着とコロニー形成能力を軽減させることも可能である。本発明者らはまた、HABPが、分極化したケラチノサイトの層を通ってGAS細胞がトランスロケーションするのを緩慢にすることを実証している。HABPの莢膜への結合は、表面HAがCD44又は細胞間結合やその他の感染前の事象の喪失につながるアルロン酸受容体を介するシグナル伝達事象をトリガーする能力もまた崩壊する。
本発明者らはHABPが病原性GASの動物モデル内での拡散を遅らせ、その結果ブドウ球菌感染部位の炎症を抑えることを実証している。HABPの細胞外ヒアルロン酸への結合は、病原菌が分泌するヒラルロニダーゼの細胞外マトリックスを脱重合させる能力に干渉し、そうして病原菌の拡散を遅らせることも可能である。HABPの細胞外ヒアルロン酸への結合は、免疫システム細胞の細胞外間隙における集結及び移動能力に干渉し、これにより炎症、特に組織の損傷を仲介してさらなる感染を促進する可能性のある病原菌に起因する損傷炎症を減少させる。
本発明のペプチドの重要な態様は、ヒアルロン酸含有細菌莢膜への結合能力及び/又は病原菌の感染を防止する又は軽減する能力である。任意のブドウ球菌又は連鎖球菌の細菌株を本発明のペプチドをスクリーニングするために使用することができる。実験用の株はATCCなどの供給源から入手可能であり、化膿連鎖球菌Su(S. pyogenes Su)(ATCC21060)、化膿連鎖球菌Sv(ATCC21059)、化膿連鎖球菌T−12(ATCC12353)、化膿連鎖球菌C−203(ATCC12384)、化膿連鎖球菌(ATCC19615)、化膿連鎖球菌(ATCC12344)及び化膿連鎖球菌(ATCC14289)、パスツレラ・マルトシド(Pasteurella multocida)、腺疫菌(Streptococcus equi)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(ATCC33400)、肺炎球菌(S.pneumoniae)(ATCC6303)、肺炎球菌(ATCC35088)、及び肺炎球菌(ATCC6314)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC12598)、黄色ブドウ球菌(ATCC33591)、黄色ブドウ球菌(ATCC25923)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(ATCC12228)、及び腸球菌属(Enterococcus)が挙げられる。ペプチドと細菌細胞表面及び/又は莢膜との結合の評価方法の多くは当該技術分野で既知である。一つの方法では、細菌をマルチウェルプレート(multiwell plate)又はスライドガラスなどの表面に不動化又は固定する。ペプチドを蛍光タグでラベルし、ウェル内で混合し、洗浄後のウェル内の残留蛍光を測定して結合を特定する。結合ペプチドは本明細書に記載されているSCRMなどの対照ペプチドと比べて少なくとも10倍の蛍光を有する。ペプチドの、例えば化膿連鎖球菌、肺炎球菌、パスツレラ・マルトシド、腺疫菌、及び黄色ブドウ球菌の莢膜への結合についてスクリーニングすることができる。
本明細書に記載のペプチド35のような複数のヒアルロン酸結合部位を有する本発明のペプチドは、ペプチドと混合したときに細菌凝集塊を生じさせることができ、莢膜結合(capsule binding)を示す。凝集はペプチドが細菌と架橋した結果であると予測されている。かかる細菌凝集は、ペプチド35を黄色ブドウ球菌及び化膿連鎖球菌(S.pyogenes)培養液に添加したときに観察される。
標準の操作手順により効力試験を行なうことができる。例えば、主要な有効性評価は標準のin vivo細菌感染モデルを用いて行なうことができる。処置時間とペプチドの投与量のいずれか又は両方を変えながら処置を開始する。陰性対照と比べ、ペプチドによる感染からの保護の有意な増加によりよい結果が示される。
提供される感染モデルの例は限定されない。当業者には理解されるように、特定の感染微生物に適切であれば他のモデルが使用可能である。特に、ある状況では動物モデルの代わりに細胞に基づいた感染モデルを用いることが可能である。
感染の調節活性の評価
感染調節活性を評価するために、本発明のペプチドの活性度をin vitroモデル又は動物モデルを用いてアッセイすることができる。これらアッセイは現在文献において説明がなされており、当業者にはよく知られている。これらには、好中菌、好酸球、マクロファージ、及びケラチノサイトのような免疫に関与する哺乳動物細胞による炎症、微生物感染の程度、及び細菌の貪食をモニターするためのアッセイが含まれるがこれらに限定されない。
本発明の化合物は、極性ケラチノサイト上皮を通っての細菌移行を阻害するその能力を測定することによって感染の調節活性をスクリーニングすることが可能である。
本明細書で使用するとき「結合性ペプチド」「ぺプチド」又は「HABP」という用語はヒアルロン酸に結合可能な上記式のペプチドを意味する。本発明のペプチドは当初ヒアルロン酸(HA)に結合するように設計された。しかしながら、ヒアルロン酸を莢膜に含んでいるか不明である黄色ブドウ球菌などの細菌種、又は莢膜を有さない種などの細菌種による感染に結合する及び感染を阻害するペプチドの能力によって証明されているように、ペプチドは他の細胞又は標的にも結合することが可能である。HSBPの細菌細胞表面標的には他のグリコサミノグリカン、酸性多糖分子、糖脂質、ペプチドグリカン、リポ多糖体、及びタンパク質が含まれてよい。この用語はペプチドのフラグメント、類似物、及び誘導体を含み、これらはヒアルロン酸又は他の標的に結合する能力を維持している。本明細書で定義されるヒアルロン酸結合性ペプチドはまとめて本発明のペプチドと呼ばれる。治療用ペプチドは左旋性L立体異性体構造のアミノ酸残基から構成されてもよく、これはアミノ酸がどのように天然に生じたかに対応し、或いは右旋性又はD立体異性体であってもよい。若しくはペプチドはL立体異性体とD立体異性体のアミノ酸残基の混合から構成されてもよい。
「類似物」と言う用語は、本明細書に示される式I、II、又はIIIに示される配列の細菌莢膜に結合するペプチドと実質的に同一であるアミノ酸残基配列を有する任意のペプチドを含み、1つ以上の残基が機能的に同様な残基で保存的に置換され、ヒアルロン酸結合性ペプチドを模倣する(mimic)能力を示す。保存的置換の例は、アラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、又はメチオニンなどの1つの無極性(疎水性)残基と別のものとの置換、1つの極性(親水性)残基とアルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、グリシンとセリンとの間などの別のものとの置換、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどの1つの塩基性残基と別のものとの置換、又はアスパラギン酸又はグルタミン酸などの1つの酸残基との別のものとの置換を含む。「保存的な置換」という用語はまた、かかるポリペプチドが必要な細菌結合活性を示すという条件で非誘導化残基の代わりに化学的に誘導化された残基を使用することを含む。実質的に同一は、少なくとも75%の相同性を保有する及びヒアルロン酸への結合能を保有するペプチドを意味するものとする。
「誘導体」は作用基の反応により化学的に誘導された1つ以上の残基を有するペプチドを意味する。かかる誘導体分子には、例えば、遊離アミノ基が誘導化されてアミン塩酸塩、p-トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、又はホルミル基を形成する分子が含まれる。遊離カルボキシル基は、誘導化されて塩、メチル及びエチルエステル、或いは他の種類のエステル又はヒドラジドを形成し得る。遊離ヒドロキシル基は、誘導化されてO−アシル又はO−アルキル誘導体を形成し得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素は誘導化されてN−im−ベンジルヒスチジンを形成し得る。また誘導体として含まれるものは、20個の標準アミノ酸のうち1つ以上のアミノ酸誘導体を含むペプチドである。例えば、4−ヒドロシキプロリンはプロリンと置換され得、5−ヒドロキシリジンはリジンと置換され得、3−メチルヒスチジンはヒスチジンと置換され得、ホモセリンはセリンと置換され得、及びオルニチンはリジンと置換され得る。さらに、本発明のヒアルロン酸結合性ペプチドは、必要な結合活性が実質的に維持される限りにおいて、本明細書に示される配列を有するポリペプチドの配列に対し1つ以上の残基の付加及び/又は欠失を有する任意のペプチドを含む。
「フラグメント」という用語は、本明細書で示されるアミノ酸残基配列を有するペプチドより短いアミノ酸残基配列を有する任意の主題のペプチドを示す。
本発明は、本発明のヒアルロン酸結合性ペプチドの環状誘導体を含む。環化反応はペプチドがさらに有利なコンフォメーションをとることを可能にする。ペプチドの環化反応は当該分野で既知の技術を用いて達成することができる。特に、遊離スルフヒドリル基を有する2つの適切に離間した化合物の間にジスルフィド結合を形成することができる。結合は、アミノ酸、非アミノ酸成分、又はこれら2つの組み合わせの側鎖間に形成されてよい。
本発明のペプチドはN−末端又はC−末端融合タンパク質として調製することができる。融合タンパク質は、組み換え技術又は化学的架橋によって、ペプチドのN−末端又はC−末端を選択されたタンパク質又は所望の生物学的機能を有する選択マーカーの配列と融合することにより調製できる。得られた融合タンパク質は本明細書に記載のような選択されたタンパク質又はマーカータンパク質と結合したペプチドを含んでいる。融合タンパク質を調製するのに使用されてよいタンパク質の例には、免疫グロブリン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(glutathione S-transferase)、血球凝集素、及び切断されたmyc遺伝子があげられる。
本発明のペプチドは、従来の方法を採用して、様々な酵素、蛍光物質、蛍光体、及び放射性物質でラベルすることができる。好適な酵素、蛍光物質、蛍光体、及び放射性物質は当業者には周知である。
ペプチドの調製
本発明のペプチドは、固相合成(Merrifield, J. Am. Chem. Assoc. 85:2149-2154(1964))又は均質溶液中での合成(Houbenwely, Methods of Organic Chemistry, ed. E. Wansch, Vol. 15 I and II, Thieme, Stuttgart(1987))などの蛋白質化学において周知の技術を用いた化学合成によって調製され得る。
本発明のペプチドは遺伝子組み換え技術によって調製されてもよい。本発明のペプチドを遺伝子組み換え技術によって調製するために、細菌莢膜結合性ペプチドをコードするDNA配列を用意し、形質転換宿主細胞を産生する宿主細胞に導入されることの可能な組換え発現ベクターに挿入しなければならない。好適な宿主細胞には様々な種類の原核及び真核宿主細胞が含まれる。例えば、本発明のタンパク質は大腸菌、昆虫細胞(バキュロ・ウイルスを使用)、酵母細胞、又は哺乳類細胞などの細菌細胞の中で発現させてもよい。細菌莢膜結合性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターはまた、融合部分をコードする遺伝子も含み得る。かかる遺伝子は、組換えペプチドの発現を増加し、組換えペプチドの溶解度を上昇させ、及び親和性精製においてリガンドとして振舞うことにより標的組換えペプチドの生成を助ける。例えば、融合タンパク質の精製の後で組換えタンパク質を融合部分から切り離すのを可能にするために、タンパク質切断部位を標的組換えタンパク質に添加してもよい。
医薬組成物及び送達
本発明のペプチドは、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸等を含む無機酸、又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸(tolunesulphonic acid)等を含む有機酸、と反応することにより薬学的塩に変えることができる。
現在記載しているペプチドは様々な生理学的キャリア分子(physiological carrier molecules)と共に調製されてもよい。単離されたペプチドを細菌細胞又は感染部位を標的とする能力を増強する分子と共に合成することも可能である。かかる分子の例には、炭水化物類、ポリアミン類、アミノ酸類、ペプチド類、脂質類、及び細菌の成長に不可欠な分子が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、ペプチドは脂質、陽イオン性脂質、又は陰イオン性脂質と組み合わせることができる。得られたペプチド/脂質エマルジョン、又はリポソーム懸濁液はとりわけ、ペプチドのin vivoの半減期を効果的に増加させることができる。治療用ペプチドと共に用いるのに好適な陰イオン性脂質の例は、カルジオリピン、ジミリストイル、ジパルミトイル、或いはジオレオイルホスファチジルコリン又はフォスファチジルグリセロール、パルミトイロレオイルホスファチジルコリン(palmitoyloleoyl phosphatidyl choline)又はホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、及びコレステロールのアニオン型を含むがこれらに限定されない。陽イオン、陰イオン、及び/又は中性脂質組成類或いはリポソームの使用は、一般に国際公開特許番号第WO90/14074号、同第WO91/16024号、同第WO91/17424号、及び米国特許第4,897,355号に記載されており、これらは参照することにより本明細書に組み込まれる。グリコアミノグリカン調節ペプチドを脂質関連構造(lipid-associated structures)にアセンブルことで、好適な標的剤(targeting agent)(例えば、特定の抗体又はレセプター)をペプチド/脂質の複合物に組み入れることにより、ペプチドを特定の細菌細胞種に仕向けることができる。
薬学的キャリア(pharmaceutical carrier)と共に混合した本発明のペプチドを含む医薬組成物は、従来の医薬配合技術に従って調製することが可能である。キャリアは投与に好適な調合の形態によって様々な形状とすることができる。例えば、静脈注射、口径、局所、エアロゾル(局所又は肺送達用)、坐薬、非経口、接眼、外科的洗浄(surgical wash)、又は脊髄麻酔注射の形状が挙げられる。
経口投与形状の組成物の調製では任意の通常の薬学的媒体を使用することができ、例えば、経口液体製剤(例えば、懸濁液、エリキシル剤、及び水溶液など)の場合は、水、グリコール、油、アルコール、香料添加剤、防腐剤、着色剤等など;又経口固形製剤(例えば、粉体、カプセル、及び錠剤など)の場合は、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、潤滑油、結合剤、崩壊剤等などのキャリアである。投与が容易なことから、錠剤及びカプセルが最も有利な経口投与単位形であり、この場合には明らかに固体の薬学的キャリアを使用する。所望であれば、錠剤は通常の技術によって糖衣及び腸溶コーティングされてもよい。
注射による非経口での使用には、製剤は、水溶性又は可溶化及び薬学上許容可能な形態のペプチドを適切な生理食塩水に入れた水溶液を含んでもよい。注射可能な懸濁液もまた適切な液体キャリア、懸濁剤、等張性調節剤、防腐剤等を使用して調剤することができる。非経口投与可能な組成物の製剤の実際の方法及び対象への投与のために必要な調整は当業者には既知及び明らかであろう。これらは、例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 15th Ed., Mack publishing Company, Easton, Pa.(1980)により詳細に記載されており、この文献は参照することにより本明細書に組み込まれる。現在記載されているペプチドは、投与される特殊なペプチドのために定められた最大耐性量(MTD)より低い濃度で、非経口で投与されるべきである。
局所性投与では、キャリアは製剤によって様々な形態をとることができ、クリーム、皮膚用パッチ剤、シャンプー、包帯剤(dressing)、ジェル、ローション、軟膏、目薬又は液体であってもよい。
エアロゾルは、単離したタンパク質製剤を、エチルアルコールなどの噴霧剤又は高圧ガス及び溶媒相(propellant and solvent phases)に溶解又は懸濁することにより調製することができる。局所性又はエアロゾルの形状の薬学的組成物は、使用される特定の形態によって一般に、約0.01重量%〜約40重量%、好ましくは約0.02重量%〜約10重量%、さらに好ましくは約0.05重量%〜約5重量%のペプチドを含む。
坐薬はペプチドをカカオ脂、カカオバター、グリセリン、ゼラチン、又はポリオキシエチレングリコール(polyoxyethylene glycol)などの脂質ビヒクルに混合することにより調製する。
現在記載されている単離されたペプチド及びそれらの組成物は、従来の抗生剤を投与するのに用いられる事実上いずれの手段で体に投与してもよい。生物活性化合物を動物に送達する様々な送達システムが当該技術分野では既知である。これらのシステムには口径、非経口、舌下、膀胱洗浄、膣内、直腸、腸管、坐薬、経鼻、及び吸入が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で使用するとき「非口径」という用語は、皮下、静脈、筋肉、動脈、腹腔(intraabdominal)、腹腔(intraperitoneal)、関節、眼内又は眼球、耳内、髄腔、脊椎、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、髄腔、肺内又は経肺動脈、滑液嚢、及び尿道への注射又は注入技術を意味する。特定の送達システムは治療する領域の位置に左右され、場所の決定及び適切な送達システムの選択は当業者が十分対応できる範囲である。
徐放性製剤の好適な例は、ペプチドを含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、マトリックスは、例えば、造形品、例えばフイルム、又はマイクロカプセルの形をとる。徐放性製剤マトリックスの例には次が挙げられる:ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、Langer et al. (1981) J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277及びLanger (1982) Chem. Tech. 12:98-105によって記載されているようなポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、欧州特許第58,481号)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸とのコポリマー(Sidman,et al.),1983,Biopolymers 22:547)、非分解性エチレンビニルアセテート(Langer et al. (1981) supra)、リュープロレリン・デポTM(the Lupron Depot. TM.)などの分解性乳酸・グリコール酸コポリマー(乳酸・グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸(poly-D-(-)-3-hydroxybutyric acid)(欧州特許第133,988号)。
ペプチド組成物はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合化(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセル)によって調製されるマイクロカプセルの中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノパー ティクル、及びナノカプセル)の中に、又はマクロエマルジョンの中に封入され得る。かかる技術は、Remington' Pharmaceutical Sceincesに開示されている。
エチレン−酢酸ビニル及び乳酸グリコール酸などのポリマーは分子を、100日を上回る期間の間放出させることができる一方で、いくつかのハイドロゲルは短い期間、分子を放出する。被包化された分子が比較的長期間体内に留まる場合には、それらは37℃下での湿気への暴露の結果変性もしくは凝集を生じ、その結果、生物学的活性の喪失及び免疫原性の変化の可能性をもたらすことがある。関与するメカニズムに基づく安定化のために、例えば、適切な添加物を用い、そして特別なポリマーマトリックス組成物を開発することにより合理的なストラテジーを考案することができる。
さらに、徐放性製剤組成物はリポソームに(liposomally)取り込まれるペプチドを含む。本発明のリポソーム含有組成物はそれ自体が既知である次の文献に記載の方法で調整することができる:ドイツ特許第3,218,121号;Epstein et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692;Hwang et al. (1980) Proc. Natl. Acad., Sci. USA 77:4030-4034;欧州特許第52,322号;欧州特許第36,676号;欧州特許第88,046号;欧州特許第143,949号;欧州特許第142,641号;日本特許出願第83−118008号;米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;及び欧州特許第102,324号。通常、リポソームは、小さい(約200〜800オングストローム)単層型であり、その脂質含量は、約30mol%のコレステロールよりも高く、選択比率は、最適な抗体治療のために調節される。好適な徐放性製剤の形成の具体例は欧州特許第647,449号に記載されている。
治療用に使用される組成物の有効量は、例えば治療対象、投与経路、及び患者の状態によって決定する。したがって、臨床医は、最適な治療効果を得るように投与量を適切に定量し、投与経路を修正することが必要である。単一で用いられる場合の分子の一日の典型的な投与量は、患者の体重1kgあたり一日約1μgから最高100mg又はそれ以上であり、上記の要因によって左右され、好ましくは約10μg/kg/日〜50mg/kg/日である。
治療用薬剤で特定組織をターゲッティングすることは送達効果を上げるために望ましい。ターゲッティングは投与経路を介して受動機構により達成することができる。特定組織の能動的ターゲッティングもまた用いることができる。リポソーム、コロイド懸濁液、及びウイルス・ベクターの使用することで、例えば標的組織の成分のレセプターとして働く分子を含有させるなど、治療薬剤を含有する製剤の組成物を変えることにより特定組織のターゲッティングが可能となる。例には砂糖、糖脂質(glycoplipids)、ポリヌクレオチド、又はタンパク質が挙げられる。これらの分子を治療薬剤に包含させることができる。あるいは、これら分子は、例えば、分子をコードするポリヌクレオチドの含有又は標的分子を提供するパッケージングシステムの利用などの間接的な方法によって包含させることができる。特定組織に治療薬剤を送達するのにどの分子及び手順が有用であるかは、当業者に既知であるか、本明細書の教示を用いることにより確定できるであろう。
細菌感染
本発明のペプチドは、ペプチドが結合しているどうか不明である細菌に感染した患者の治療に使用することができる。患者はヒトであってもよいが、ペプチドは家畜への適用にも使用できる。ペプチドは、ヒトにおける様々な化膿性(膿を形成する)感染症及び中毒(toxinoses)を引き起こす黄色ブドウ球菌による感染を治療するために使用され得る。黄色ブドウ球菌は、膿痂疹、おでき、麦粒腫、及びせつ腫症などの表層病変;肺炎、乳腺炎、静脈炎、髄膜炎、及び尿路感染症(urinary tract infection)などのさらに重篤な感染症;蜂巣炎、骨髄炎、及び心内膜炎などの深在性感染症を引き起こす。黄色ブドウ球菌は外科創傷の院内(院内で起こる(nosocomial))感染及び留置医療器具に関連する感染の主な原因である。黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンを食物に放つことにより食中毒を起こし、また血流の中にスーパー抗原を放つことにより毒素性ショック症候群を引き起こす。表皮ブドウ球菌は健康なヒトの皮膚に生息するが、免疫障害を持つ個体に脅威を与える。黄色ブドウ球菌もまた多くの抗生物質に耐性を持つ。
本発明のペプチドは、連鎖球菌(E. faecalis)、エンテロコッカス・デュランス(E. durans)、ヘシウム菌(E. faecium)(以前はS. faecalis、 S. durans、 S. faecium)などの腸球菌種、及び腸球菌連鎖球菌(中でもストレプトコッカス・ボビス(S.bovis)及びストレプトコッカス エクイニィス(S.equinus)が最も一般的)による感染症の治療にも使用することができる。ヒトの感染は、ほとんどが連鎖球菌、ヘシウム菌、又はストレプトコッカス・ボビスによるものである。エンテロコッカス同様、ストレプトコッカス・ボビスは一般に消化管の中で発見される。ストレプトコッカス・ボビスは、特に腸腫瘍又は他の重大な病変が存在する場合には細菌性心内膜炎の重大な原因となる。連鎖球菌及びヘシウム菌は、心内膜炎、尿路感染症、腹腔内感染症、蜂巣炎、及び傷創感染並びに同時発生的な菌血症(concurrent bacteremia)を引き起こす。
本発明のペプチドは連鎖球菌種による感染の治療にも使用することができる。A群連鎖球菌(化膿連鎖球菌(S.pyogenes))はヒトにとって最も毒性の強い種であり、咽頭炎、へんとう炎、創傷及び皮膚感染、敗血症、猩紅熱、肺炎、リウマチ熱、及び糸球体腎炎の原因である。壊疽性筋膜炎は、組織の深層部(筋膜)への攻撃のその急速な進行から最も致命的なA群連鎖球菌感染である。侵襲性連鎖球菌もまた関節又は骨感染症、破壊的な(destructive)創傷感染及び筋炎、髄膜炎及び心内膜炎を引き起こす。B群連鎖球菌はストレプトコッカス・アガラクチアエ(S. agalactiae)としても知られ、重篤な感染症、特に新生児敗血症、分娩後敗血症、心内膜炎、及び敗血症性関節炎を引き起こす。緑色連鎖球菌は次の5つの主要な口腔細菌種から成る:齲蝕原因菌(S. mutans)、ストレプトコッカス・サンギュイス(S. sanguis)、ストレプトコッ カス・サリバリウス(S. salivarius)、ストレプトコッ カス・ミチオール(S. mitior)、及びストレプトコッ カス・ミレリ(S. milleri)。ストレプトコッ カス・ミレリはにさらにストレプトコッカス コンスティラタス(S. constellatus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S.intermedius)、及びトレプトコッカス・アンギノーサス(S. anginosus)細分化される。これらの分類及び同定については今もなお意見の相違が存在している。魚の病原菌であるストレプトコッカス インアエ(S. inae)は、生きている又は殺したばかりの水産養殖魚(通常テラピア(tilapia)又はマス)を扱った皮膚損傷のある患者における蜂巣炎及び侵襲的感染の突発を引き起こす可能性がある。
腺疫(Streptococcus equi)は重要なウマ疾患であり、多くの場合高い罹患率(90%)で突発的に発生するが死亡率は低い(5%>子馬)。腺疫はストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)の感染によって発生する。感染の典型的な兆候は体温上昇、食欲喪失、軽い咳、鼻の化膿性分泌物、及び顔のリンパ節の腫大であり、多くの場合腫れ物ができ(abscessate)て突発的である。
本発明のペプチドはパスツレラ菌種による感染の治療にも使用することができる。肺パスツレラ菌(Pasteurella pneumotropica)は、多くは臨床疾患を伴わない日和見病原体である。しかしながら、宿主に感染すると一般に宿主の呼吸器、尿生殖路、又は結膜から回収される。一般的な宿主には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、猫、及び他の実験動物が含まれる。ヒトの場合、パスツレラ・ムルトシダ亜種ムルトシダ(Pasteurella subsp. multocida)、パスツレラ・ムルトシダ亜種セプチカ(Pasteurella subsp. septica)、パスツレラ・キャニス(Pasteurella canis)、パスツレラ・ストマチス(Pasteurella stomatis)、及びパスツレラ・ドグマチス(Pasteurella dogmatis)の多くの株が感染したヒトから単離されている。パスツレラ感染の症状は、体のどの器官が関係し、疾患がどのくらいの期間存在しているのかによって様々である。
本発明のペプチド或いはその類似物又は誘導体は個別に使用してもよいし、又は1つ以上の異なる抗微生物ペプチド或いはその類似物又は誘導体、及び本明細書に記載されているような1つ以上の抗微生物剤と組み合わせて使用してもよい。したがって、ヒアルロン酸結合性ペプチドと抗微生物剤の相乗的組合せは、同様又は改善された治療効果を得るための一方又は両方の薬剤の投与量を低減させることができる。これにより投与量を減らすことができ、したがって(例えば、アミノグリコシド抗生物質の)毒性の潜在的な出現率を低減させることができ、高価な抗微生物剤(例えば、バンコマイシン)のコストを下げることが可能になる。ヒアルロン酸結合性ペプチド製剤と抗微生物剤の同時又は順次的投与が、様々な微生物に起因する感染のさらに効果的な治療を提供すると予想される。特に、ヒアルロン酸結合性ペプチド及び抗微生物剤の、これら製剤が個別に使用される場合に通常治療効果のある薬用量より少ない投与量で、感染性疾患の成功裏の治療及び予防を達成することが可能である。或いは、抗生物質とヒアルロン酸結合性ペプチド製剤を、それぞれの薬剤の通常効果的な薬用量で投与することが可能であるが、その場合2つの薬剤の組合せが更に強力な効果を提供する。
上記したように、ヒアルロン酸結合性ペプチドは、他の既知の抗微生物剤と相乗的に組み合せて使用してもよい。抗微生物剤には、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、及びフルオロキノロンが挙げられるが、これらに限定されない。抗生物質の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:ペニシリンG(CAS登録番号:61−33−6)、メチシリン(CAS登録番号:61−32−5);ナフシリン(CAS登録番号:147−52−4)、オキサシリン(CAS登録番号:66−79−5);クロキサシリン(CAS登録番号:61−72−3);ジクロキサシリン(CAS登録番号:3116−76−5);アンピシリン(CAS登録番号:69−53−4);アモキシシリン(CAS登録番号:26787−78−0);チカルシリン(CAS登録番号:34787−01−4);カルベニシリン(CAS登録番号:4697−36−3);メゾシリン(CAS登録番号:51481−65−3);アゾシリン(CAS登録番号:37091−66−0);ピペラシリン(CAS登録番号:61477−96−1);イミペネム(CAS登録番号:74431−23−5);アズトレオナム(CAS登録番号:78110−38−0);セファロチン(CAS登録番号:153−61−7);セファゾリン(CAS登録番号:25953−19−9);セファクロール(CAS登録番号:70356−03−5);セファマンドールギ酸塩ナトリウム(Cefamandole formate sodium)(CAS登録番号:42540−40−9);セフォキシチン(CAS登録番号:35607−66−0);セフロキシム(CAS登録番号:55268−75−2);セフォニシド(CAS登録番号:61270−58−4);セフメタゾール(CAS登録番号:56796−20−4);セフォテタン(CAS登録番号:69712−56−7);セフェプロジル(cefprozil)(CAS登録番号:92665−29−7);リンコマイシン(CAS登録番号:154−21−2);リネゾリド(CAS登録番号:165800−03−3);ロラカルベフ(loracarbef)(CAS登録番号:121961−22−6);セフェタメト(CAS登録番号:65052−63−3);セフォペラゾン(CAS登録番号:62893−19−0);セフォタキシム(CAS登録番号:63527−52−6);セフチゾキシム(CAS登録番号:68401−81−0);セフトリアキソン(CAS登録番号:73384−59−5);セフタジジム(CAS登録番号:72558−82−8);セフピム(CAS登録番号:88040−23−7);セフィキシム(CAS登録番号:79350−37−1);セフポドキシム(CAS登録番号:80210−62−4);セフスロジン(CAS登録番号:62587−73−9);フレロキサシン(CAS登録番号:79660−72−3);ナリジクス酸(CAS登録番号:389−08−2);ノルフロキサシン(CAS登録番号:70458−96−7);シプロフロキサシン(CAS登録番号:85721−33−1);オフロキサシン(CAS登録番号:82419−36−1);エノキサシン(CAS登録番号:74011−58−8);ロメフロキサシン(CAS登録番号:98079−51−7);シノキサシン(CAS登録番号:28657−80−9);ドキシサイクリン(CAS登録番号:564−25−0);ミノサイクリン(CAS登録番号:10118−90−8);テトラサイクリン(CAS登録番号:60−54−8);アミカシン(CAS登録番号:37517−28−5);ゲンタマイシン(CAS登録番号:1403−66−3);カナマイシン(CAS登録番号:8063−07−8);ネチルミシン(CAS登録番号:56391−56−1);トブラマイシン(CAS登録番号:32986−56−4);ストレプトマイシン(CAS登録番号:57−92−1);アジスロマイシン(CAS登録番号:83905−01−5);クラリスロマイシン(CAS登録番号:81103−11−9);エリスロマイシン(CAS登録番号:114−07−8);エリスロマイシン・エストレート(CAS登録番号:3521−62−8);エチルコハク酸エリスロマイシン(CAS登録番号:41342−53−4);グルコヘプタン酸エリスロマイシン(CAS登録番号:23067−13−2);ラクトビオン酸エリスロマイシン(CAS登録番号:3847−29−8);ステアリン酸エリスロマイシン(CAS登録番号:643−22−1);バンコマイシン(CAS登録番号:1404−90−6);テイコプラニン(CAS登録番号:61036−64−4);クロラムフェニコール(CAS登録番号:56−75−7);クリンダマイシン(CAS登録番号:18323−44−9);トリメトプリム(CAS登録番号:738−70−5);スルファメトキサゾール(CAS登録番号:723−46−6);ニトロフラントイン(CAS登録番号:67−20−9);リファンピン(CAS登録番号:13292−46−1);ムピロシン(CAS登録番号:12650−69−0);メトロニダゾール(CAS登録番号:443−48−1);セファレキシン(CAS登録番号:15686−71−2);ロキシスロマイシン(CAS登録番号:80214−83−1);コアモキシクラブアネート(Co-amoxiclavuanate);ピペラシリンとタゾバクタムの組み合わせ;及びこれらの様々な塩、酸、塩基、及びその他誘導体。
HABPペプチド:HABP01はヒアルロン酸(HA)結合性ペプチドであり、SCRMはHABP01と同一のアミノ酸塩基組成物を有するが、スクランブル配列を有するペプチドである。HABP01はHAに結合するが、他の分子にも結合することができる。HABP42はHABP01と同一のアミノ酸配列を有するが、全て(D異性体)アミノ酸残基から構成される。HABP33は、ヒトRHAMMのHA結合ドメインに基づいており、次のモチーフに一致する1つのHA結合ドメインを有すると予測されている:塩基性アミノ酸−7アミノ酸−塩基性アミノ酸。BP35は少なくとも2つのHA結合ドメインを有すると予測されている。
Figure 0005140579
HABPをL−アミノ酸(全てD異性体のHABP42を除く)と合成してC末端をアミド化する。ペプチドは標準fMOC化学反応を用いてシンペプ社(SynPep Corporation)(カリフォルニア州ダブリン(Dublin, CA))で合成され、>95%純度に精製した。純度を確かめるため逆相HPLCで各合成ペプチドを分析し、出荷前に2mg/バイアル(vial)にアリコートして凍結乾燥した。
凍結乾燥された合成ペプチドを、in vitro又はin vivo実験のいずれかでの使用する前にpH7.4のPBSに再懸濁させた。HABP01及びSCRMのフルオレセイン結合を、5,6−カルボキシフルオレセイン、サクシニミジルエステル(succinimidyl ester)(5,6FAM)(分子プローブ、オレゴン州ポートランド(Portland, OR))を用いてメ−カーの取扱説明書のとおりに行ない、セファデックス(Sephadex)G−25カラム(アマルシャム社(Amersham)ニュージャージー州ピスカタウエイ(Piscataway, NJ))の上に分割した。PB結合の陽性対照として、精製された高分子量rooster comb HA(シグラアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis, MO))を使用した。
細菌株:GAS株950771は、水痘後壊疽性筋膜炎及び敗血症の子供から採取した中莢膜保有M3臨床分離株であり、950771由来の同質遺伝子型莢膜欠損変異株、188、である。GASをトッドヒューイト培地(Todd Hewitt broth)(ジフコ社(Difco))で、0.15のOD650中対数期まで、実験を通して常に37℃で培養した。5%vol/vol羊血液(BAP)(PMLマイクロビオロジカルズ社(PML Microbiologicals)(カナダ国ブリティッシュ・コロンビア(British Columbia))を追加した市販のトリプトソイ寒天培地を全平板培養に使用した。ストレプトコッカス・エクイ(ATCC53185)及びパスツレラ・ムルトシダ(P. multocida)(ATCC11039)
をATCCから購入して推奨される通りに培養した。つまり、ストレプトコッカス・エクイはトッドヒューイト培地で培養し、ストレプトコッカス・ウベリス(S. uberis)及びパスツレラ・ムルトシダはブレインハートインフュージョン(ジフコ社)で、OD650が0.15になるまで37℃で培養した。各実験と平行して定量培養をを行い、接種材料の感染の多重度(MOL)を検証した。
ヒアルロン酸と結合相互作用するペプチドの研究における表面プラズモン共鳴分光法
ペプチドのヒアルロン酸(HA)への結合を定量するため、表面プラズモン共鳴分光法(SPR)による研究をバイオコア(Biocore)T−100で実施した。ビオチンで標識したヒアルロン酸(シグマ(Sigma)B1557、>97%純度のヒアルロン酸ナトリウム塩(hyaluron sodium salt)(rooster combより入手)、平均約850kDd,98%ラベル付け)をストレプトアビジンコートシリーズSセンサーチップSAのフローセル4個のうちの1個の上に固定した。残りの3個のフローセルのうち1個にはビオチンHAを固定せずチップ表面への非特異結合を評価するための対照として使用した。次に、ペプチドを表面全域に注入し、結合相互作用の程度を反応単位(RU)で測定した。
HABP35のHAへの平均の純結合量は399±77RU、又は、かなりの量の結合であった。その他のHA結合性ペプチドもまた肯定的なRU値を有した。26アミノ酸対照ペプチド(control peptide)であるメリチンは否定的な純RU応答(−503±5RU)を示し、HAへの結合がないことを示した。固定されたHA表面全体への注入の前に標識をしていないHAをHABP35に加えたことによる競合的阻害により、HABP35のHAへの特異的結合が確認され、測定値は−316RUとなった。
HABPのHA及びHA莢膜保有細菌への結合
HABPがGAS莢膜と特異的に結合することができるかどうかを分析するため、HA莢膜発現を最大とする目的でバクテリアを中期対数増殖期(mid-log phase)まで培養し、10μg/mlのFITC結合HABP01又はSCRMのいずれかとインキュベートした。陽性対照として、精製されたHAを1mg/ml、又は陰性対照として、HA莢膜を欠損しているGASの同質遺伝子型変異株を用意した。ウェルごとの細菌数をコントロールするためにGASに特異的な抗体を使用した。蛍光定量法で分析の結果、HABP01は莢膜保有GASと精製HAの両方に特異的に結合したが、莢膜非保有GASには結合しなかった(表2)。対照SCRMペプチドは細菌、即ち対照試料に結合しなかった。共焦点顕微鏡法及び蛍光定量法による測定では、HABP35もまた莢膜保有GASに特異的な結合を示したが、莢膜非保有GASに結合しないHABP35も検出された(データは示さず)。
Figure 0005140579
黄色ブドウ球菌に対する直接殺菌作用を有さないHABP
HABP35及びHABP53の抗菌作用を、変更した米国臨床検査標準化協会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(NCCLS)の大量希釈ブロス法(macrodilution broth method)を使って測定した。黄色ブドウ球菌PS80を、5%羊血を含むトリプトソイ寒天培地で一晩培養した。コロニーを、5mlのミュラーヒントン及びBP35又は53を含む各チューブの中の、無菌食塩水及び終末濃度が5×10CFU/mlになるように調製した希釈溶液に懸濁した。1、10、及び100μg/mL濃度でHABPを試験した。植菌するとすぐにチューブを周囲空気で、37℃でインキュベートし、細菌の濃度を4時間、8時間、及び24時間後に測定した。検査パラメータの変更はHABPの十倍希釈を含み、成長又は阻害の視覚測定よりむしろ菌数を4時間、8時間、及び24時間後に測定した。定量培養を4時間、8時間、及び24時間後に行い、HABPを含まない対象と比較して黄色ブドウ球菌の成長がHABP35又は52によって阻害されていないことを実証した。
HABP35の溶血作用の定量
高等真核細胞におけるペプチドの毒性の評価を提供するため、HABP35の溶血作用(MHC)の測定を実施した。設定された薬剤であるメリチンへの相対的な溶血作用と直接比較するため、ハチ毒から単離した自然発生の高度溶血ペプチドを含有させた。溶血作用の定量は、分光光度法的に測定されたように、ヒトの赤血球からヘモグロビンを放出して測定した。
溶血の測定の方法はChen et al., 2005に記載されている12時間プロトコル(twelve-hour protocol)に従った。簡潔に述べると、ペプチドの希釈系列を512〜1μg/mLの倍数希釈で調製した。各ペプチド濃度の3倍の定量を1%のヒトの赤血球細胞に添加し、37℃で12時間インキュベートした。溶血の陰性対照は、ペプチドを添加していない1%赤血球細胞で構成された。溶血の陽性対照は、0.15MのNHCl中の1%赤血球細胞であった。ヘモグロビンの放出は562nmの吸光度で測定した。
溶出パーセントは、ペプチドの光学密度(OD)の溶出の、溶血作用に対する陽性対照のODに対する比として計算する。このデータは、HABP35は、最も高濃度(512μg/mL)での実験おいて軽度の溶血作用を示すことを実証している(図2)。それに比べ、メリチンは溶血剤として500倍を超える強さであることが示され、1μg/mL未満の濃度で見られる溶血と同じレベルであった。メリチンは強力な溶血ペプチドであると考えられ、これは同じ方法によって15.6μg/mlのMHC値を有すると先に判定した溶血ペプチドV681と同等である。
ケラチノサイトによる細菌内部移行に対するHABPの効果
莢膜保有GASはケラチノサイトにより吸収されにくい。それにもかかわらず、HABPが存在すると細胞内の莢膜保有GASが顕微鏡により観察された。この内部移行を定量するため、ケラチノサイト単分子層を、100μg/mlのHABP01又はSCRMの存在下で4時間、HA莢膜保有細菌で感染させた。ペニシリンとゲンタマイシンを3時間後に添加して細胞外細菌を殺して細胞を採取した。HABP01で処置された細菌はSCRMで処置された又は処置されていない試料の約40倍効率的に、無莢膜保有GASで得たのと同様のレベルで内部移行した。無莢膜保有GASの内部化はいずれのペプチドにも影響されなかった。
HABPはin vitro好中球によりGASの殺傷効果を高める
莢膜保有GASは、細菌表面に結合する抗体が存在しない場合、オプソニン化アッセイで好中球による殺傷に耐性を示す。細菌表面に結合するHABPは好中球の細胞毒性を促進することができる。GASを50μg/mLのSCRM、HABP01又はHABP35でインキュベートし、10%吸収ヒト血清を含む媒質中でヒト好中球と混合し、オプソニン化アッセイを実施した。定量培養のアリコート(25μl)を、好中球をGASと混合した直後及び37℃で2時間インキュベーションした後に回収した。CFUでの対数の増加又は減少を計算した。インキュベーションの2時間後に、PBS又はSCRMで処置したGASにCFUの約1.5対数の増加が観測された。HABP01で処置されたGASにおくれCFUの増加は1対数を少し超えるほどであった。しかしながら、GASを50μg/mLのHABP35で処置すると、オプソニン化アッセイ(p>0.0001)の2時間後にCFUが検出されない結果となった(p>0.0001)。5又は10μg/mLのHABP35で処置されたGASは2時間で細菌の数が>2対数減少した(p>0.0001)。
HABP35での処置の後の細菌数の減少はペプチドのGASへの毒作用のせいではない。2、4、6、及び24時間後に行なわれた定量培養及び光学密度の測定値が、GAS細胞がHABP35を50μg/mLまで含む培養液で成長することができることを実証した。したがって、オプソニン化アッセイで観察されたCFUの劇的な減少はHABP35存在下での好中球によるGAS殺傷の増加に起因している可能性が高い。
極性ケラチノサイト培養による細菌の転位置の評価
細胞培養:in vitroでのケラチノサイト培養の準備のため、中咽頭からヒト一次OKP7細胞を抽出した。ケラチノサイトを、ウェルあたり5×10細胞で、ポリカーボネート・トランズウェル(Transwell)薄膜支持(12ウェルプレート、孔の寸法は3.0μm;コスター社(Costar))又は組織培養用(tissue culture treated)プラスチックプレートの上に播種した。毎日媒質を換えながら、5%加湿COのcSFM媒質の中で、37℃で5〜10日間培養した。一旦コンフルエントしたら、ソディウムフルオレセインへの浸透率を測定、或いは一部の実験では経上皮電気抵抗を測定して単分子層の保全を評価する前に、cSFMのカルシウム濃度を1.2mMに増加して細胞をさらに2日間培養した。
感染手順:トランスウェルインサート(Transwell insert)でのケラチノサイト層の培養物は、GAS、ストレプトコッカス・エクイ、ストレプトコッカス・ウベリス、及びパスツレラ・マルトシドを有する上部チャンバに、ケラチノサイトあたり1細菌の感染多重度(MOl)で、HABP01又はSCRMの存在下又は非存在下で植菌した。感染した培養物は5%COで所望の時間、37℃でインキュベートした。転位置の実験では、ケラチノサイトを収容しているトランスウェルインサートは、新鮮培地を収容している新しいウェルに2時間毎に移され、ケラチノサイト層を通って下のチャンバに転位置した細菌の異常繁殖を防止した。細菌転位置は下のチャンバからの培養物によって2時間間隔で定量化した。
細菌転位置の実験を、HABP01の細菌傍細胞転位置へのインパクトを測定するために極性化したケラチノサイトの培養を通じて実施した。ケラチノサイト又は細菌を100μg/mLのHABP01で処置すると、PBS又はSCRMで処置するのと比べてインタクトなケラチノサイト培養液全体にわたるGASの転位が75〜85%減少し、ストレプトコッカス・エクイでは98%、パスツレラ・マルトシドでは98%、及びストレプトコッカス・ウベリスでは73%減少した(図3)。
HABP33、HABP35、及びHABP42の存在下でGASをインキュベーションするとさらにGASの転位置が遅くなった。GASをケラチノサイトに添加してから2時間後に、GASの約530CFUが、PBS又はSCRMペプチドで処置した培養物の下方で検出された。HABP01又はHABP42のいずれかで処置すると、GAS細菌の転位数が75〜85%減少し、HABP33で処置すると転位するGASは90%近く減少した。HABP35で処置すると、GASのケラチノサイト層全体にわたる転位は完全に阻害された。
軟組織侵襲的感染のモデルマウスにおけるHABPの役割の評価
軟組織侵襲的感染のモデルマウス:生後4〜6週の雌のCBA/Jマウス(ジャクソン・ラボラトリー(Jackson Laboratory)、ミネソタ州)をGASでインキュベートした。一時的にマウスを麻酔し右側の毛を剃った。初期対数増殖期ブロス培養から約1.5×10cfuのGASを50μlの無菌のPBS又はHABPに懸濁させ、皮膚表面のすぐ下に27ゲージ針を用いて植菌した。1日2回、3〜5日間動物を観察した。連続的な尾静脈からの出血を毎日行い、生細菌CFUの計数のために50μlの血液をBAPに接種し、37℃で24時間インキュベートした。実験後も生存したか常に瀕死の状態に見える動物を安楽死させて無菌法により脾臓を取り出した。脾臓を1mlのTHBでホモジネートし、100μlのホモジネートをBAPの上で培養基で培養(plate)した。一部の実験では、感染中の動物を様々な時点で麻酔し、接種部位の組織切片を病理組織学的実験のために用意した。
HABP処置マウスは対照と比べて細菌の播種が24時間から48時間遅かった。HABP35を単回投与して処置するとマウスは完全に細菌から守られた。細菌の播種の遅れは感染後24時間の死亡率の減少と相関していたが、一旦播種が発生すると、HABP処置マウスは急死した。感染部位の病理組織学的分析は典型的なGASの側方播種(ateral dissemination)を示した。対照的に、HABP処置マウスは細菌の接種部位近傍でのインタクトな集中を示し、24時間の間拡散は見られなかった。
無処置及びSCRMペプチドで処置したGAS感染マウスの、感染部位から採取した組織切片の共焦点顕微鏡での観察は、感染部位に多数の多形核白血球(好中球、好塩基球、及び好酸球を含むPMN)が存在することを示している。PMNは細菌の密集体及び周辺組織の両方に位置し、広範囲の隆起、組織の壊死、及び亀裂骨折を伴っていた。一方、HABP処置マウスでは、細菌集中部位周辺又は増殖巣の中の細胞のいずれにも目に見えるPMNはわずかであった。細菌集中の崩壊が明らかな部分では、散在する細菌と接触して漸加したPMNが目に見えた。
ブドウ球菌感染
細菌株。米国微生物系統保存機関(American Type Culture collection)から黄色ブドウ球菌PS80(セロタイプ(cerotype)8)を入手した(#27700)。これは腹腔内膿瘍形成の強力な誘発剤である。黄色ブドウ球菌COLは、セロタイプ5カプセルを形成するメチシリン耐性株である。ブドウ球菌を、2%のNaclを追加したコロンビア寒天(columbia agar)(ディフコ・ラボラトリーズ(Difco Laboratories)、ミシガン州デトロイト(Detroit, MI))上で、37℃で24時間培養した。
黄色ブドウ球菌傷創感染症モデルマウス。マウス(C57BL6、雌、生後6〜8週)をジャクソン・ラボラトリー(メイン州バー・ハーバー(Bar Harbor, ME))から入手した。マウス群(N=4/群/実験)を100mg/kgのケタミン及び10mg/kgのキシラジンで麻酔し、右大腿を剃り、ヨード及び70%エタノールで手術部位を消毒した。大腿筋を露出するために皮膚を切開し、外科用メスを大腿筋に、骨に達する深さまで入れて1cmの切り込みを作った。次に筋肉を1本の4−0絹縫合で閉じ、10〜10CFUの範囲の投与量の、10μlの黄色ブドウ球菌懸濁液を縫合下の切り込みに導入した。さらに4本のプロレン(Prorene)を使用して皮膚を閉じた。このマウスを術後3日間麻酔した。創傷筋肉組織を摘出し、重さを測り(〜0.08g)、1mlのトリプティックソイブイヨン(tryptic soy broth)にホモジナイズした。ホモジネートの連続希釈物を2つにプレートし、結果をCFU/g組織として示した。2種類の方法でペプチドを動物に投与した。ほとんどの実験で、HABPをPBSに可溶化し、細菌のチャレンジ(challenge)に続いて10μl容量で傷の中にピペットで投与した。ほとんどの実験で100μgの投与量を使用した。治療法の研究のため、25ゲージ針を装着した1mlのツベルクリン注射器で0.25ml容量のペプチドを投与し、創傷末端を含む太腿筋に切開部位から注入した。10CFUにチャレンジする際にHABP35、HABP52、又はHABP42(100μg)をマウスの創傷に投与した結果、PBSでの処置に比べ、3日後には創傷部の細菌負荷が減少した(図4A)。HABP35又はHABP52で処置すると著しく減少する結果となった(p<0.0001及びp<0.01、それぞれPBS対照との比較)。SCRMでコントロールしたペプチドで処置をしてもこの効果は得られなかった。
PBS対照に比べ、HABP35又はHABP52で処置したマウスは10倍の量の接種材料(10CFU)でのチャレンジに対しても効果的であった(図4B)。この摂取材料及びPBSにチャレンジしたマウスの定量培養は〜10CFU/g組織であった一方、HABP35又はHABP52で処置した場合は細菌数が〜3定数減少した。対照的に、HABPBP35で処置した場合は10CFU使用したときにこの効果を得られなかった。かかるペプチドでこれらの動物を処置した場合、PBS処置と比べて創傷部の細菌数は減少しなかった(図4C)。
HABP処置の用量反応。次の一連の実験でHABPの効果を測定した。10CFU黄色ブドウ球菌でチャレンジする際にマウスを10、50、又は100μgのHABP35で処置した(図5)。細菌負荷を軽減するには50又は100μgで処置するのが最も効果的であった(投与量50μg対PBS、p<0.005、投与量100μg対PBS、p<0.0001)。しかしながら、10μg投与量を用いるとこの作用は薄れた。
HABP35処置による治療上の効果。チャレンジに続いて2時間又は6時間後に投与した場合の、BP35がマウスの創傷の程度を軽減する能力を測定した。これらの実験では、HABP35(100μg)を縫合切開部を含む大腿筋の中(しかし切開部の外側)に、25ゲージ針(0.25ml)の注射器を介して投与した。ペプチド又はPBSを、チャレンジの際(t=0時間)、チャレンジ後2時間後、又は10時間後(t=2又は6時間)に投与した。チャレンジ時のペプチドの投与は創傷の細菌数を著しく減少させた(図5A、p<0.001、PBS処置と比較)。これは切開部自体に対して末梢側にペプチドを投与すると、ピペットで創傷に直接ペプチドを定置するのと同様の効果が得られることを示している。
チャレンジ後2時間後にHABP35で処置しても創傷の細菌数を著しく減少させた(図6A、p<0.001、PBSと比較)。一方、t=6時間にHABP35で処置しても細菌数の減少を引き起こさなかった。これらデータは、治療形態で提供された場合、BPでの処置は効果的でありえることを明らかにした。
HABPはMRSAに起因する傷創感染を改善する。黄色ブドウ球菌、MRSA株Colの抗生物質耐性菌株に起因する創感染を改善するHABP35の能力をモデルで評価した。マウスを該株10CFUでチャレンジし、チャレンジした時点でHABP35(100μg)によって処置した。これらの実験では、チャレンジに続いてHABP35を切開部の中に直接接種した。HABP35での処置は細菌負荷を有意に、PBS処置対照動物の約2定数軽減した(図6B,p<0.001)。
宿主反応のグロスパソロジー(gross pathology)及び織学的分析。10CFU黄色ブドウ球菌にチャレンジしてPBSで処置した動物のグロスパソロジー実験が、縫合部位周辺に特定される化膿性炎症反応を明らかにした。一方、HABP35(100μg)で処置したマウスはずっと少ない炎症を示した。これら創傷の組織学的検査がこれら知見を確かなものとした。筋肉組織を手術後の指定された間隔でマウスから採取し、10%緩衝ホルマリンの中に固定し、パラフィンにマウントした。5〜6μmの切片を切り取って顕微鏡検査用にヘマトキシリン及びエオシンで染色した。PBS処置創傷は縫合部位において大規模な炎症細胞への浸潤を示し、周囲の筋肉にまで広がっていた。細胞浸潤物は主にPMN及びフィブリンから構成されていた。HABP35で処置するとPMNの創傷部位への浸潤は顕著に少なくフィブリン沈着も少なかった。
統計的分析。全ての動物実験を少なくとも2回行いデータをプールした。黄色ブドウ球菌CFU/g組織の比較をアンペアード・スチューデント・tテスト(unpaired Student t test)(インスタット・グラフパッド・ソフトウエアー社(InStat, GraphPad Software)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego, Ca))のウェルチ・モディフィケーション(Welch modification)によって実施した。
ブドウ球菌増殖に対するヒアルロン酸結合性ペプチドの効果を示す図である。 HABP35の溶血作用を示す図である。 極性化したケラチノサイトの培養によるA群連鎖球菌、腺疫菌、パスツレラ・マルトシド、及び黄色ブドウ球菌の転位置を示す図である。 黄色ブドウ球菌起因の手術創感染に対するヒアルロン酸結合ペプチドによる処置の効果を示す図である。 手術創感染に対するHABP35処置の用量反応を示す図である。 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染に対する治療上の処置の効果を示す図である。

Claims (10)

  1. STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)、
    STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)、
    LKQKIKHVVKLKVVVKLRSQLVKRKQN(配列番号:7)、及び
    GAHWQFNALTVRGGGS(配列番号:9)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドの有効量の使用方法であって、細菌感染を抑制するための薬剤の製剤のためのペプチドの有効量の使用方法。
  2. 請求項1に記載のペプチドの有効量の使用方法であって、前記細菌は、パスツレラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、及び腸球菌から成る群から選択される、ペプチドの有効量の使用方法。
  3. 請求項2に記載のペプチドの有効量の使用方法であって、前記ペプチドは
    LKQKIKHVVKLKVVVKLRSQLVKRKQN(配列番号:7)であるペプチドの有効量の使用方法。
  4. 請求項1に記載のペプチドの有効量の使用方法であって、前記薬剤は、少なくとも一つの抗生物質と結合したペプチドを含む、ペプチドの有効量の使用方法。
  5. STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)、
    STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)、
    LKQKIKHVVKLKVVVKLRSQLVKRKQN(配列番号:7)、及び
    GAHWQFNALTVRGGGS(配列番号:9)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドを含む抗菌性化合物の使用方法であって、ヒト及び動物の細菌感染の治療のための薬剤の製剤に用いられる、抗菌性化合物の使用方法。
  6. 請求項5に記載の抗菌性化合物の使用方法であって、前記細菌は、パスツレラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、及び腸球菌から成る群から選択される、抗菌性化合物の使用方法。
  7. STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)、
    STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)、
    LKQKIKHVVKLKVVVKLRSQLVKRKQN(配列番号:7)、及び
    GAHWQFNALTVRGGGS(配列番号:9)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドと、第二の抗微生物剤と、を含む抗微生物剤。
  8. 請求項7に記載の抗微生物剤の組成であって、前記第二の抗微生物剤は抗生物質である、抗微生物剤の組成。
  9. STMMSRSHKTRSHH(配列番号:3)、
    STMMSRSHKTRSHHV(配列番号:4)、
    LKQKIKHVVKLKVVVKLRSQLVKRKQN(配列番号:7)、及び
    GAHWQFNALTVRGGGS(配列番号:9)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドの使用方法であって、ヒト及び動物を細菌感染からより確実に保護するための薬剤の製造のためのペプチドの使用方法。
  10. 請求項9に記載のペプチドの使用方法であって、前記ペプチドは少なくとも一つの抗生物質を結合した状態で投与される、ペプチドの使用方法。
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