JP5139348B2 - 光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明者らは、先に、ニトロソ化合物と、下記一般式(I)で表されるシリルエノールエーテル化合物とを、フッ化銀・2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2,2’−bis(diphenylphosphino)−1,1’−binaphthyl,BINAP)等のルイス酸触媒の存在下で反応させ、アミノオキシ化合物を製造する方法を提案している(特許文献1参照)。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷が少なく且つ工業的に有利な方法で、光学純度が高い光学活性なアミノオキシ化合物を高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、アルコール、触媒量のスズ化合物、ビフェニル骨格を有する光学活性なジホスフィン化合物及び銀化合物の存在下で、下記一般式(1)で表されるニトロソ化合物と、下記一般式(2)で表されるエノラート化合物と、を反応させることを特徴とする下記一般式(3)で表される光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法を提供する。
R1におけるアリール基は、フェニル基、1−ナフチル基又は2−ナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
R1がアリール基であるニトロソ化合物としては、特に好ましいものとして、ニトロソベンゼンが例示できる。
R1におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、分岐鎖状であることが特に好ましい。また、該アルキル基の炭素数は、3〜10であることが好ましく、4〜7であることがより好ましい。
R1がアルキル基であるニトロソ化合物としては、ニトロソ基がアルキル基の第三級炭素原子に結合しているものが好ましく、具体的には、2−ニトロソイソブタン、2−ニトロソ−2−メチルペンタン等が例示できる。
R1が複数の置換基を有する場合、これら置換基は互いに同一でも異なっていても良い。
R2〜R4における非環状炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでも良いが、飽和であることが好ましい。また、炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が例示でき、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
前記ジホスフィン化合物としては、公知のものが使用でき、特に限定されないが、好ましいものとして、下記一般式(4a)又は(4b)で表されるもの(以下、ジホスフィン化合物(4a)、ジホスフィン化合物(4b)と言うことがある)が例示できる。
X及びYにおける置換基の好ましいものとしては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、保護基を有するアミノ基又はニトロ基等が例示できる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合は、炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとして、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が例示できる。
環状のアルキル基である場合は、単環構造及び多環構造のいずれでも良く、炭素数が3〜10であることが好ましく、より好ましいものとして、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が例示できる。
ハロゲン原子で置換される水素原子の数は特に限定されず、一つでも良いし、複数でも良く、全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い。複数の水素原子がハロゲン原子で置換されている場合、これら複数のハロゲン原子は、全て同一でも良いし、一部又は全てが異なっていても良い。
X及びYにおける置換基としてのハロゲン原子は、前記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子と同様である。
X及びYにおける置換基としてのアミノ基が有する保護基は、特に限定されず、公知のものから適宜選択できる。
ジホスフィン化合物(4b)においても、複数のYは互いに同一でも異なっていても良い。すなわち、結合しているリン原子が同一であるか異なっているかによらず、すべてのYが同一でも良いし、一部のYが異なっていても良く、すべてのYが異なっていても良い。
前記銀化合物は、特に限定されないが、好ましいものとして、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフラート)の銀塩(AgOSO2CF3(AgOTf))、四フッ化ホウ酸銀(AgBF4)、六フッ化アンチモン酸の銀塩(AgSbF6)、六フッ化リン酸銀(AgPF6)、チオフラートの銀塩(AgNTf2)等の銀フッ化物;過塩素酸銀;酢酸銀等が例示でき、なかでも酢酸銀が特に好ましい。
Zにおけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、好ましいものとして具体的には、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。なかでも、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が例示でき、なかでもn−ブチル基が特に好ましい。
Zにおけるアリール基は、単環構造及び多環構造のいずれでも良く、好ましいものとして具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が例示できる。
Zにおけるアラルキル基の好ましいものとしては、ベンジル基、フェネチル基等が例示できる。
また、スズ化合物の使用量は、ニトロソ化合物(1)に対して、1〜50モル%であることが好ましく、2〜30モル%であることがより好ましい。
さらに、アルコールの使用量は、該アルコール中の水酸基のモル数が、ニトロソ化合物(1)1モルに対して、10〜60モルとなる量であることが好ましく、20〜40モルとなる量であることが好ましい。
ジホスフィン化合物と、前記銀化合物中の銀原子の、使用量の比率(モル比)は、前記ジホスフィン化合物:前記銀原子で7:3〜3:7であることが好ましく、6:4〜4:6であることがより好ましく、5:5であることが最も好ましい。
また、ジホスフィン化合物と銀化合物との錯体の使用量は、ニトロソ化合物(1)に対して、1〜30モル%であることが好ましく、5〜15モル%であることがより好ましい。
反応時間は、使用する各原料の種類や反応温度等によって適宜調整すれば良いが、通常は、0.2〜15時間であることが好ましく、0.5〜10時間であることがより好ましい。
このように、本発明によれば、途中で各種中間体を取り出すことなく、一つの容器中で反応を完結させることで、簡単な操作で目的物が得られる。この時、スズ化合物(7)の使用量は触媒量で良く、環境への付加を軽減できる。また、ジホスフィン化合物(4a)と銀化合物(6)との錯体を使用することで、目的物を光学純度が高い光学活性体として得られる。さらに、中性に近い穏やかな条件で反応が進行するので、副反応を抑制でき、目的物を高収率で得られる。
以下に示す実施例、比較例では、ホスフィン配位子として、以下のキラルなホスフィン配位子(化合物(9a)〜(9e))を使用した。これらのうち、化合物(9a)、(9b)及び(9c)が、本発明で使用するジホスフィン化合物に該当する。なお、下記式中、「t−Bu」はtert−ブチル基を、「Ph」はフェニル基をそれぞれ示す。また、これらホスフィン配位子としては、具体的には、以下のものを使用した。
化合物(9a):関東化学社製、化合物(9b):アヅマックス社製、化合物(9c):高砂香料工業社製、化合物(9d):東京化成工業社製、化合物(9e):Sigma−Aldrich社製
一般式(1)で表されるニトロソ化合物としてニトロソベンゼン(下記化合物(1a))、一般式(2)で表されるエノラート化合物として下記化合物(2a)、スズ化合物としてジ(n−ブチル)ジメトキシスズ、アルコールとしてメタノール、銀化合物として酢酸銀をそれぞれ使用し、表1に示すホスフィン配位子を使用して、アミノオキシ化合物を製造した。より具体的には、以下の通りである。
アルゴン置換したシュレンク管に酢酸銀(AgOAc、8.4mg、化合物(1a)に対して10モル%)、表1に示すホスフィン配位子(化合物(1a)に対して10モル%)、トルエン2mlを加え、遮光して室温で攪拌し、ホスフィン配位子の銀錯体を含むトルエン溶液を調製した。
別のアルゴン置換したシュレンク管に、化合物(2a)(121.8mg、化合物(1a)に対して2倍モル量)、化合物(1a)(53.6mg)、トルエン2mlを加え、この溶液を−78℃で冷却した。先に調製したホスフィン配位子の銀錯体を含むトルエン溶液を−78℃に冷却後、ジ(n−ブチル)ジメトキシスズ(15.99mg、化合物(1a)に対して20モル%)、メタノール(0.48g、化合物(1a)に対して30倍モル量)を加え、5分間攪拌した。ここに化合物(2a)と化合物(1a)を含むトルエン溶液を、ステンレスカニュラチューブを通してゆっくり滴下した。−78℃で攪拌後、表1に示す反応時間で反応を行った。
反応終了後、飽和食塩水、メタノール、フッ化カリウムを加えて反応を停止させた。次いで、シリカゲルクロマトグラフィーにより、反応生成物を精製して目的物である化合物(3a)を取り出した。なお、反応では目的物以外に、化合物(A)が生成していた。化合物(3a)の収率、化合物(3a)及び化合物(A)の生成比率、これら化合物の光学純度(%ee)をそれぞれ表1に示す。なお、化合物(3a)及び化合物(A)の生成比率は、各々の重さを計算することにより求めた。
Claims (5)
- アルコール、触媒量のスズ化合物、ビフェニル骨格を有する光学活性なジホスフィン化合物及び銀化合物の存在下で、下記一般式(1)で表されるニトロソ化合物と、下記一般式(2)で表されるエノラート化合物と、を反応させることを特徴とする下記一般式(3)で表される光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法。
- 前記アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項1記載の光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるニトロソ化合物が、置換基を有していても良いニトロソベンゼンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法。
- 前記一般式(2)で表されるエノラート化合物が、前記R2とR3とが相互に結合して環を形成している化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学活性なアミノオキシ化合物の製造方法。
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