JP5137244B2 - 券類等証票印刷物の真偽判別用具 - Google Patents

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本発明は、乗車券、急行券、特急券、指定席券、入場券、金券、食券等、多種多様の券類等の証票印刷物の真偽判別用具の技術分野に属するものである。
今日、乗車券、急行券、特急券、指定席券、入場券、金券、食券等、多種多様の券類等の証票印刷物が発行されているが、これらの偽造が後を絶たないのが現実である。そこで例えば、券類の表面に発色剤を塗布しておく一方、スタンプに使用するインクに、前記発色剤と反応して発色する色素を加え、スタンプが押された部分のカード基体の色の変化によりカード類の真偽(真がん)を判別するようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。
ところが今日、券類等の証票印刷物の表面全体を着色するものが多く、前記従来のもののように発色による真偽判別とした場合に、証票印刷物の表面全体に予め施された色と、真偽判別のための色とが紛らわしいことが想定され、このようなときには真偽判別が難しいという問題がある。そのうえ、スタンプを押した部分が発色するため、この発色状態を確認するだけで偽造防止の仕掛けがあることを見破られてしまい、偽造者がこれに気づいて該当する色彩のインクで意図的にスタンプすること等で偽造されてしまうという問題がある。
そこで証票印刷物の表面にルミノール反応するときの正触媒であるコバルトイオンを仕込んでおき、真偽判断が要求されたとき、過酸化水素を含有したルミノールのアルカリ溶液を付着させ、ルミノール発光の有無によって真偽判定をするようにし、そしてこの際に、外光が強く、発光状態を確認しづらい場合、箱状の遮光フードを用いて外光の侵入を避けるようにしたものを提唱した(特許文献2)。
特開平6−55882号公報 特開2003−85613号公報
ところが前記遮光フードを用いたものあっても、結局のところ、ルミノール発光の最大波長である425nm付近の光を選択的に透過する光学フィルターを通して確認しようとするものであるため、透過する光が波長の絞り込まれたものになって暗く見づらく、特に昼間のように明るいところでは見誤りが発生する惧れがあり、ここに本発明が解決せんとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、化学発光体が施された証票印刷物の真偽判別をするための判別用具であって、該真偽判別用具は、証票印刷物を覆蓋するべく、下端側が開口し、天井面部と筒状の側面部とを有した容器状体のものであると共に、前記天井面部は、外光が用具内に入るのを遮光し、内光が用具に出ることは妨げない遮光材を用いて構成する一方、側面部は不透光性素材を用いて構成したことを特徴とする券類等証票印刷物の真偽判別用具である。
請求項1の発明とすることで、外光が真偽判別用具内に入り込んで内部を明るくしてしまうことが回避され、そして化学発光による光は内部が暗い状態で光ることになってこれが遮光材を通して観察できることになって真偽判別を明るい昼間であっても確実にでき、判別精度が向上する。
次ぎに、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。本発明に用いる化学発光体はルミノール(C:5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジオン(3−アミノフタル酸ヒドラジド))に代表される。ルミノールは、アルカリ溶液で可溶化した状態で、塩化コバルト(II)(CoCl)、硫酸銅(II)(CuSO)、あるいはヘミン(C3432FeIIICl)等の化学発光反応を行わせるための正触媒の存在下で、過酸化水素、次亜塩素酸塩などの酸化剤(酸素)で酸化すると黄緑色の化学ルミネセンスを示す。
このような化学発光体(化学発光物質)としては、ルミノールに限定されず、イソルミノール、N−エチルイソルミノール、N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノールヘミサクシミド、N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノール等のルミノール類、さらにはロフィン、ルシゲニン、過シュウ酸エステルなどがあり、これら化学発光体のなかから任意に選択して採用できるが、ルミノール、イソルミノールが安定性や量子収率の点で好ましく、また、人体に対する影響を考えたとき、特にルミノールが好ましい。
一方、券類等の証票印刷物の表面(裏面も含む。以下同じ)には、前記正触媒から選択されたものを仕込んでおく。そして、該仕込まれた証票印刷物の表面に、調合(後述する調合も含む)されたルミノール溶液(例えばルミノール−水酸化ナトリウム−過酸化水素溶液、あるいはルミノール−炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム−過酸化水素溶液がある。以下同じ)を証票印刷物の表面に吹き付け、刷毛塗りする等して付着させ、証票印刷物の発光状態を、真偽判別用具を用いて確認する。
前記正触媒の証票印刷物への具体的な仕込み方法であるが、証票印刷物が、図1に示すような乗車券1である場合、その仕込み部1a、1b、1cは、例えば、
(1)製作(製造)時に券面に予め任意の記号やマークを正触媒で印刷しておくか、インクに加えて文字等と共に印刷しておく。
(2)発券時に乗車券3に必要な文字等を印刷するインクに正触媒を加えておく(感熱印刷方式の場合にあっては、サーマルヘッドに正触媒のプリント機能を備えさせておくか、熱転写リボンに予め正触媒を加えておく)。
(3)発券時に券面の表裏任意の位置に正触媒を印刷しておくか、ゴム印等により押なつしておく。
(4)改札時にスタンプするインクに正触媒を加えておく(自動改札機にあっては、サーマルヘッドに正触媒のプリント機能を備えさせておくか、熱転写リボンに予め正触媒を加えておく)。
(5)検札時にスタンプするインクに正触媒を加えておく。
(6)途中下車時にスタンプするインクに正触媒を加えておく。
等して随時仕込むことができる。つまり、正触媒の仕込みは、券類の印刷時等に限定されず、製作時や発券後においても必要において随時実行できる。
正触媒は前述したように水溶液として仕込むことができが、その濃度はpmol L−1(ピコモル リットルのマイナス1乗)オーダーで良いから、券類に仕込んでおいても肉眼で仕込み処理がなされているか否かの判別をすることは全くできず、このため、証票印刷物は通常のものと見分けがつかず、いつ、どこでどの様な偽造対策処理が実施されているかを見破られる惧れがない。
そして真偽の確認を求められた場合、例えば証票印刷物が券類で、旅客からの券類の払戻し請求等があったようなとき、前記調合されたルミノール溶液を券類に付着させ、ルミノールによる発光の有無により真偽の判断をすることになるが、そのため図2に示すような真偽判別用具2を用いることで、強い外光が存在するところでも容易に判別することができる。
前記真偽判別用具2は、下端面が開口し、天井面部3と筒状の側面部4とによって容器状体(蓋状体)に形成されている。そして本実施の形態では、天井面部3が遮光板で構成され、側面部4は不透光性素材によって構成されている。天井面部3を構成する遮光板は、本実施の形態のものは、外光については遮光して一部の光しか透光しない(あるいは全部の光を透光しない)が、内光に対しては遮光することなく(一部は僅かではあるが遮光してもよい)透光する所謂遮光ガラスを採用しているが、遮光素材を樹脂材に練りこんだもの、あるいは遮光フィルムを透光性板材に貼付したものであっても勿論よい。
そしてこのものでは、ルミノール反応させた乗車券1を平滑な板状体の上に載置し、真偽判別用具2で該載置した乗車券1を覆蓋する。そして天井面部3を覗いて見た場合に、外光が天井面部3から用具2内に入り込んでしまうことを遮光するため、用具2内が明るくなってしまうことがなく、暗い状態を維持できることになる。そうしてこの暗い状態で乗車券1から発せられるルミノールの光は、天井面部3を通してみることで認識され、真偽判別の精度が向上し、真偽判別が容易になる。
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、乗車券1の真偽判別をするにあたり、予め乗車券1にルミノールの正触媒を施したものである場合、ルミノールの水酸化ナトリウム溶液と過酸化水素溶液とを調合したルミノール反応用液を券面に施せば、ルミノール反応が進んで化学発光することになるが、該化学発光から発せられる光を認識するところが昼間のように明るい雰囲気下である場合、その真偽判断が難しいものになる。このようなとき、真偽判別用具2を乗車券1で覆うと、明るい外光が容器内に入り込むことが妨げられて用具2内が明るくなってしまうことがなく暗い状態に維持することができ、そうしてこの暗い状態においてルミノール反応による化学発光が天井面部3を通して確認できることになるため、検知精度が向上し、真偽判別の制度を向上することができる。
乗車券の正面図である。 (A)〜(C)真偽判別容器の正面図、平面図、斜視図である。
符号の説明
1 乗車券
1a、1b、1c 仕込み部
2 真偽判別用具
3 天井面部
4 側面部

Claims (1)

  1. 化学発光体が施された証票印刷物の真偽判別をするための判別用具であって、該真偽判別用具は、証票印刷物を覆蓋するべく、下端側が開口し、天井面部と筒状の側面部とを有した容器状体のものであると共に、前記天井面部は、外光が用具内に入るのを遮光し、内光が用具に出ることは妨げない遮光材を用いて構成する一方、側面部は不透光性素材を用いて構成したことを特徴とする券類等証票印刷物の真偽判別用具。
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