JP5136106B2 - 石英ガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、石英ガラス、特に石英ガラスインゴットの製造方法に関する。
従来、石英ガラス(石英ガラスインゴット)は、SiCl等の液体珪素化合物が気化した珪素化合物ガスを含む原料ガスを、可燃性ガスである酸素(O)ガス及び水素(H)ガスとともに石英ガラスバーナーのノズルから噴出させ、珪素化合物ガスに、酸素ガス及び水素ガスを燃焼させた火炎(以下、「酸水素炎」という)による気相加水分解反応を生じさせてシリカ微粒子を生成し、これをターゲット上に堆積して溶融ガラス化することによって製造されている。
このような石英ガラスの製造方法においては、バーナーから噴出される原料ガスの流速が、得られる石英ガラスの特性に影響する傾向にある。すなわち、できるだけ流速が大きい方が石英ガラスの形成時間が短縮されるため好ましいが、流速が大きすぎると、反応が不完全なまま原料ガスが堆積面に到達するためシリカ微粒子の形成が不完全となるほか、堆積面の温度が下がることによって、石英ガラスに欠陥が生じ易くなる。一方、流速が小さすぎると、シリカ微粒子が大きく成長しすぎてそのかさ密度が低下し、このかさ密度の低い微粒子によって石英ガラスインゴットが泡を内包し易くなる。
したがって、十分に短時間で石英ガラスを形成しつつ、泡の形成を十分に抑制する観点からは、原料ガスの流速を適切に制御することが望ましい。この原料ガスの流速は、従来、原料ガスの体積流量を、ノズルにおける原料ガスが噴出される部分の断面積で割ることによって見積もられてきた(特許文献1参照)。
特許第3818567号公報
ところが、本発明者らの検討によると、上述したような原料ガスの流速制御だけでは、石英ガラスを良好に形成することができない場合もあることが判明した。例えば、バーナーとシリカ微粒子の堆積面との距離や、原料ガスが堆積面に到達するまでの時間等の要因によって、形成されるシリカ粒子の大きさが不均一となる場合があり、泡の発生を十分に抑制できないことも多かった。
そこで、本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、十分に泡の発生を抑制しながら石英ガラスの製造時間を短縮することができる石英ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の石英ガラスの製造方法は、珪素塩化物ガスを含む原料ガスを、酸素ガス及び水素ガスとともに所定の噴出部から噴出させ、珪素塩化物ガスと酸素ガス及び水素ガスによる火炎との反応により生じたシリカ微粒子をターゲット上に堆積させて溶融ガラス化した堆積物を形成し、石英ガラスを得る製造工程を有する石英ガラスの製造方法において、噴出部から、シリカ微粒子の堆積面までの距離D(m)と、原料ガスの真の流速R(m/s)との関係D/Rを、0.005〜0.007(s)の範囲とすることを特徴とする。
上記本発明の製造方法では、原料ガスの真の流速Rとして、カメラにより観察された上記火炎の移動速度を用いることが好ましい。
また、原料ガス、酸素ガス及び水素ガスを、原料ガスの周囲に酸素ガスが、酸素ガスの周囲に水素ガスがそれぞれ位置するように噴出部から噴出させ、製造工程よりも前に、カメラにより観察された上記火炎の移動速度と、酸素ガスの流速との比例係数を求める予備工程を行っておき、製造工程において、原料ガスの真の流速Rとして、比例係数と当該工程における酸素ガスの流速とを掛け合わせた値を用いるようにしてもよい。
本発明によれば、十分に泡の発生を抑制しながら石英ガラスの製造時間を短縮することができる石英ガラスの製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明については省略することとする。
まず、本実施形態の製造方法に用いる石英ガラス(石英ガラスインゴット)の製造装置について説明する。
図1は、好適な実施形態に係る石英ガラスの製造装置の構成を示す概略図である。図1に示す製造装置10は、合成炉11と、この合成炉11に取り付けられたバーナー12と、合成炉11内にバーナー12と対向するように配置されたターゲット14とを備えている。また、製造装置10において、合成炉11の側方には、合成炉11の壁面に設けられた窓部15から内部の様子を観察する高速カメラ16が配置されている。この高速カメラ16は、カメラボックス17内に配置されており、合成炉11からの熱等から保護されている。
バーナー12は、合成炉11の上壁に取り付けられ、原料ガス、酸素ガス及び水素ガスが噴出される噴出部12aを下方に向けるようにして配置されている。図2は、バーナー12を噴出部12a側から見た平面図である。図示のように、バーナー12における噴出部12aの部分は、同心円状に配置された3つの管から構成される3重管構造を有している。この噴出部12aにおいては、内側から、原料ガス管121、酸素ガス管122及び水素ガス管123が同心円状に配置されている。
噴出部12aでは、ターゲット14に向かって原料ガス管121から原料ガスが噴出される。また、これとともに、酸素ガス管122及び水素ガス管123からそれぞれ噴出された酸素ガス及び水素ガスが燃焼してなる酸水素炎Fが、ターゲット14に向かうように形成される。なお、各ガス管は、必ずしも上記のような順序で配置されていなくてもよいが、原料ガスと酸水素炎Fとの反応を十分に生じさせるためには、各管を上記のような配置として、原料ガスの周囲から酸素ガスが、酸素ガスの周囲から水素ガスがそれぞれ噴出されるようにすることが好ましい。
ターゲット14は、合成炉11内において、その上面がバーナー12の噴出部12aと対向するようにバーナー12の下方に配置されている。製造装置10を用いた石英ガラスの製造方法では、このターゲット14上に、原料ガスと酸水素炎Fとの反応によって生じたシリカ微粒子が堆積されて、堆積物13が形成される。このターゲット14は、例えば、堆積物13の成長にともなって噴出部12aとシリカ微粒子の堆積面Sとの距離を一定に保つことができるように上下に移動可能となっている。ここで、「シリカ微粒子の堆積面」とは、上記反応によって生じたシリカ微粒子が堆積される面のことをいう。したがって、製造開始時にはターゲット14の上面が堆積面Sとなり、製造途中にはターゲット14上に形成された堆積物13におけるシリカ微粒子が到達する部分の面が堆積面Sとなる。
合成炉11の側壁には、内部の様子を視認できるように窓部15が取り付けられている。この窓部15は、例えば、酸水素炎Fからの光を選択的に透過できるようなフィルターを有していてもよい。こうすれば、高速カメラ16による後述するような原料ガスの真の流速の測定を行い易くなる場合がある。
カメラボックス17内に配置された高速カメラ16は、窓部15を通して合成炉11の内部を観察することができ、特に、バーナー12から噴出された酸水素炎Fを観察することができる。高速カメラとしては、少なくとも酸水素炎Fを撮影可能であり、好ましくは100フレーム毎秒以上、より好ましくは200フレーム毎秒以上のフレームレートを有するものを用いる。このような高速カメラによれば、バーナー12から噴出される酸水素炎Fの移動を詳細に観察することができ、原料ガスの真の流速をより正確に求めることができる。
次に、このような製造装置10を用いた石英ガラスの製造方法について説明する。
まず、珪素塩化物ガスを含む原料ガスをバーナー12に供給する。この際、珪素塩化物ガスの移動を容易にするため、酸素ガス等のキャリアガスを珪素塩化物ガスとともに原料ガスとして供給してもよい。また、これの原料ガスとともに、酸素ガス及び水素ガスをバーナー12に供給する。ここで、珪素塩化物ガスとしては、液状の珪素塩化物を気化させたものを用いる。珪素塩化物としては、SiCl等が例示できる。
このようにバーナーに供給された原料ガス、酸素ガス及び水素ガスを、バーナー12の噴出部12aにおける原料ガス管121、酸素ガス管122及び水素ガス管123からそれぞれ噴出させる。これにより、原料ガスの周囲から酸素ガスが、酸素ガスの周囲から水素ガスがそれぞれ噴出される。
そして、噴出部12aからは、原料ガスが噴出するとともに、酸素ガスと水素ガスとの燃焼によって生じた酸水素炎Fが噴射されることとなる。そして、原料ガス中の珪素塩化物ガスは、このようにして生じた酸水素炎Fによって気相加水分解反応を受け、シリカ(例えばSiO)を生成する。こうして形成されたシリカは、主にシリカ微粒子の形態でターゲット14に向かって移動し、ターゲット14の上面に到達する。
バーナー12の噴出部12aからの各ガスの噴出を継続すると、上記反応により形成されたシリカ微粒子がターゲット14上に徐々に堆積していき、やがて溶融ガラス化した堆積物13が形成される。このようにして、ターゲット14上にシリカ微粒子の堆積物13からなる石英ガラスインゴットが成長する。
このような一連の石英ガラスの製造工程においては、噴出部12aから、珪素塩化物ガスと酸水素炎Fとの反応により生じたシリカ微粒子の堆積面Sまでの距離D(m)と、原料ガスの真の流速R(m/s)と、の関係D/Rを、0.005〜0.007(s)の範囲とする。
このD/Rの値は、すなわち、バーナー12における噴出部12aから原料ガス及び酸水素炎Fが噴射され、これらの反応によりシリカ微粒子が形成されて堆積面Sに到達するまでの時間を意味する。そして、D/Rを上述した好適範囲となるように設定することで、上記の距離D、原料ガスの流速R及びシリカ微粒子が形成されて堆積されるまでの時間の3条件が好適となるため、原料ガスと酸水素炎との反応を十分に生じさせるとともに、過度なシリカ微粒子の成長を抑制することが可能となり、これによりシリカ微粒子を均一に形成させることができる。その結果、泡の発生を十分に抑制しながらできるだけ短時間で石英ガラスを製造することが可能となる。
このD/Rが0.005(s)未満であると、珪素塩化物ガスの加水分解反応が十分に生じなかったり、シリカ微粒子の温度が低くなったりして、泡が発生し易くなる。一方、0.007(s)を超えると、生成したシリカ微粒子のかさ密度が低下し、やはり泡が発生し易くなる。このような不都合を一層低減する観点からは、D/Rは、0.0054〜0.0070(s)の範囲とすることがより好ましい。
ここで、噴出部12aからシリカ微粒子の堆積面Sまでの距離Dとは、上述したように、製造工程の開始段階では、噴出部12aからターゲット14の上面までの距離であり、ターゲット14上に堆積物13が形成されている段階では、噴出部12aからこの堆積物13におけるシリカ微粒子が到達する部分の面までの距離である。なお、シリカ微粒子は、実際には噴出部12aからほぼ直線状に移動するため、上記距離Dは、噴出部12aの先端と、ターゲット14の上面又は堆積物13における最も噴出部12aに近い点との間の距離(以下、これらをまとめて「バーナー・堆積面距離」という)としてもよい。
また、原料ガスの真の流速Rとは、噴出部12aから噴出された原料ガスの実際の流速であり、従来、原料ガスの流速として見積もられてきた「原料ガスの体積流量/原料ガスの噴出部の断面積」で表わされるものとは異なる。
本発明者らの検討によると、従来見積もられてきた原料ガスの流速はあくまでも噴出部12aにおける理論上の値なのであって、実際には、原料ガスとともに噴出される酸素ガス、水素ガスの影響やその他の要因によって、噴射部12aから噴出された原料ガスの本当の流速とは必ずしも一致していないことが判明した。そのため、従来の原料ガス流速の値に基づいて石英ガスの製造を制御すると、予想とは異なりシリカ微粒子が良好に形成されず、泡の発生を十分に防ぐことができないといった不都合が生じる場合が多かった。これに対し、本実施形態では、このような原料ガスの「真の流速」を適用することによって、シリカ微粒子の製造条件を適切に設定することが可能となるため、上述した効果が確実に発揮される。
原料ガスの真の流速Rは、例えば、噴出部12aから噴出された原料ガスの移動速度を実測することによって求めることもできるが、実際には困難である。そこで、本実施形態では、原料ガスの真の流速Rは、酸水素炎Fの移動を高速カメラ16により観察することによって求める。
すなわち、合成炉11の側方に配置された高速カメラ16を用い、窓部15を通して合成炉11内部を観察する。この際、高速カメラ16には、バーナー12における噴出部12a及び堆積面Sが映り込むようにする。噴出部12aから酸水素炎Fが噴出している場合、この酸水素炎Fからの光は高速カメラ16によって明瞭に視認することができる。
この高速カメラ16を用い、酸水素炎Fを上述したような高いフレームレートで撮影を行うと、この酸水素炎Fにおける濃淡のムラを追跡することができるので、これにより酸水素炎Fの移動を観察することができる。また、この場合の酸水素炎Fの移動距離は、画像上で観測される移動距離から実際の距離に変換することによって得られる。こうして得られた酸水素炎Fの移動距離と、撮影を行ったフレームレートとの積を求めることで、酸水素炎Fの移動速度を算出することができる。そして、この酸水素炎Fの移動速度は、噴出部12aから噴出された原料ガスの流速とほぼ等しいため、これに基づいて原料ガスの真の流速Rを見積もることができる。
このような原料ガスの真の流速Rは、例えば、原料ガス、酸素ガス及び水素ガスのうちのいずれか又は複数の流量等を調節することによって制御することができる。
D/Rの値を上述した好適範囲に調整するためには、製造装置10におけるバーナー12の出力やターゲット14の位置等を調節することで、D及び/又はRが適切な値となるように設定すればよい。例えば、石英ガラスの製造開始時には、初期のバーナー・堆積面距離である噴出部12aからターゲット14の上面までの距離、及び、バーナー12による各ガスの噴出流量を調整して、D/Rが好適範囲となるように設定する。
また、石英ガラスの製造過程においては、堆積物13が噴出部12aに向かって徐々に成長していくため、これに合わせてバーナー12による原料ガスの噴出圧力を段階的に低下させてRを徐々に小さくするか、ターゲット14を徐々に下降させてバーナー・堆積面距離Dを一定範囲に保つか、或いはこれらの両方を行うことにより、D/Rの値が上記範囲内に保たれるようにする。ただし、バーナー12の出力を変えるとシリカ微粒子等の形成が安定しなくなる場合もあるため、ターゲット14を移動させることがより好ましい。
なお、ターゲット14の形状によっては、シリカ微粒子が堆積する初期段階において堆積面Sの形状が大きく変化することもあるが、このような場合には、堆積物13が一定の堆積面形状を維持しながら定常的に成長するようになった段階で、D/Rが上記の範囲となるように設定してもよい。このようにして得られた石英ガラスインゴットは、少なくともD/Rを上記の範囲に設定して堆積させた領域については、泡の発生が十分に抑制されたものとなる。
また、D/Rの値が上記の範囲であっても、D又はRの値が極端に大きいか小さい場合は、石英ガラスが良好に形成されずに、泡が発生し易くなる場合もある。そのため、上記効果をより確実に得る観点からは、Dの範囲は、0.28〜0.40mとすることが好ましく、0.31〜0.36mとすることがより好ましい。また、Rの範囲は、35〜65m/sとすることが好ましく、40〜55m/sとすることがより好ましい。
上述したような石英ガラスの製造工程においては、良好に石英ガラスを形成させるため、以下に示すような製造条件を満たすようにすることが好ましい。
まず、バーナー12から噴出される酸素ガス及び水素ガスの各ガスの流量(m/s)は、それぞれ、0.0005〜0.0009及び0.0015〜0.0027とすることが好ましい。また、原料ガスの流量は、大きすぎると反応が不十分となるため、0.00025(m/s)以下とすることが好ましい。各ガスの流量がこれらの範囲を満たすことで、珪素塩化物ガスの加水分解反応が効率よく生じるようになり、石英ガラスの製造を良好に行うことができる。なお、これらの流量は、マスフローコントローラによって計測・制御することができる。原料ガスにキャリアガスも導入する場合は、珪素塩化物の反応を十分に生じさせるために、珪素塩化物ガスとキャリアガスとの流量の比率は、原料ガス/キャリアガスで7〜2(体積比)程度とすることが好ましい。
また、製造工程中の合成炉11内の温度は、1000〜1700℃とすることが好ましく、1200〜1500℃とすることがより好ましい。合成炉11内の温度の要因としては、酸水素炎Fによる熱、堆積物13からの輻射熱、合成炉11の壁面の熱等が考えられる。特に調整のし易さの観点からは、合成炉11の壁面温度を変化させることによって合成炉11内の温度を上記好適範囲に保つことが好ましい。ただし、石英ガラスの製造段階で生じる酸水素炎F等によって自然に合成炉11内の温度が好適範囲内となる場合は、特段の温度調節処理は行わなくてもよい。
以上のような本実施形態の製造装置及び製造方法によれば、上述したように、バーナー・堆積面距離D(m)と、原料ガスの真の流速R(m/s)との関係D/Rを0.005〜0.007(s)の範囲としていることから、上記距離D、原料ガスの流速R及びシリカ微粒子の形成時間のバランスが適切となり、これにより均一なシリカ微粒子の形成ができるようになり、その結果、泡の発生を抑制しながら短時間で石英ガラスを製造することが可能となる。そして特に、本実施形態では、原料ガスの真の流速Rを用いていることから、従来と比べてこれらの制御を正確に行うことができる。
なお、本発明の石英ガラスの製造方法は、必ずしも上述した実施形態に限定されない。以下、本発明の他の好適な実施形態について説明する。
例えば、まず、上述したD/Rの設定において、原料ガスの真の流速Rとしては、以下に示すような酸素ガスの流速に基づいて設定した値を用いてもよい。
すなわち、本発明者らが、石英ガラスの製造に用いられる原料ガス、酸素ガス及び水素ガスの各流速と、上述した高速カメラによる原料ガスの真の流速Rとの関係について検討を行ったところ、この真の流速Rは、実際には原料ガスの流速ではなく、酸素ガスの流速に依存していることが判明した。この酸素ガスの流速は、酸素ガスの体積流量(m/s)を当該酸素ガスが噴射される酸素ガス管122の部分(内側の原料ガス管121を含まない部分)の断面積で割ることによって見積もられる値である。
そこで、まず、石英ガラスの製造工程の前に、原料ガスの流量を変えながら、それぞれの原料ガス流量における原料ガスの真の流速Rを上述したような高速カメラを用いた方法によって求める。それから、各原料ガス流量において見積もられた酸素ガス流速と、当該原料ガス流量で得られた原料ガスの真の流速Rとの比例係数を最小二乗法によって算出する(以上、予備工程)。
そして、石英ガラスの製造工程においては、D/Rの値を好適範囲(0.005s〜0.007s)に調整する際に、原料ガスの真の流速Rとして、実際に高速カメラを用いた測定を行う代わりに、上記の比例係数と酸素ガス流速とを掛け合わせることによって算出された値を用いる。この場合の真の流速Rは、上述したような予備工程を経て得られた比例係数に基づいていることから、高速カメラを用いて得られる原料ガスの真の流速Rとほぼ等しくなる。
したがって、石英ガラスの製造工程において、上記のように酸素ガスの流速に基づいて算出された原料ガスの真の流速Rを用いたとしても、高速カメラによる測定を行った場合と同等に、距離D、原料ガスの流速R及びシリカ微粒子の形成時間の3条件を適切に設定することが可能となり、泡の発生を抑制しながら短時間で石英ガラスの製造を行うことができる。また、この場合、いったん上記の比例係数を求めてしまえば、石英ガラスの製造工程中、常に高速カメラによる測定を行う必要が無くなるため、石英ガラスの製造作業を一層簡便化することも可能となる。
また、本発明の他の実施形態として、例えば、高速カメラの設置場所が異なる形態も例示できる。図3は、高速カメラの設置場所を変えた製造装置の例を示す図である。すなわち、図1に示したように、高速カメラ16を、酸水素炎Fに対して垂直方向から観察するように配置すると、上述したバーナー・堆積面距離Dが大きすぎる場合、このDの全てにわたって観察を行うことができなくなる場合もある。その場合は、例えば図3に示すように、高速カメラ16を、酸水素炎Fに対して斜め方向(図中、下方向)から観察を行うように配置して、酸水素炎F、すなわちバーナー・堆積面距離Dの全範囲が確実に撮影範囲に収まるようにしてもよい。同様の観点から、高速カメラ16の合成炉11からの設置距離も適宜変更してもよい。
さらに、バーナー12における各ガスを噴出する噴出部12aは、上述したような3重管構造に限られず、更なる多重管構造を有していてもよい。この場合であっても、良好にシリカ微粒子を形成する観点からは、原料ガスの周囲からは酸素ガスが、酸素ガスの周囲からは水素ガスがそれぞれ噴出されるような順序で各管を配置することが好ましい。
また、噴出部12aは、このような多重管構造だけでなく、各ガスの噴出部がそれぞれ複数個ずつ設けられたような構造を有していてもよい。この場合、原料ガスの周囲から酸素ガスが、酸素ガスの周囲から水素ガスが噴出するようにするためには、同一種のガスの噴出部が中心部分から同じ半径の箇所に位置するようにして、各ガス噴出部を上記の順となるように配置させればよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
[比例係数の算出]
(各原料ガス流量における真の原料ガス流速Rの測定)
まず、図1に示すような製造装置10を用い、SiClガス及びキャリアガスとしての酸素ガスを含む原料ガスとともに、可燃性ガスである酸素ガス及び水素ガスをバーナー12における図2に示す噴出部12aの各ガス管からそれぞれ噴出させた。これにより、原料ガス中のSiClガスと、酸素ガス及び水素ガスの燃焼により生じた酸水素炎Fとの気相加水分解反応を生じさせ、この反応により生じたシリカ微粒子をターゲット14の堆積面S上に堆積させて、溶融ガラス化した石英ガラスインゴットを形成した。
この石英ガラスインゴットの製造時に生じる酸水素炎Fについて、高速カメラ16を用いて画素数160×120ピクセル、800fpsのフレームレートの条件で高速撮影を行った。この撮影画像より、酸水素炎Fのムラが、バーナー12の噴出部12aから、ターゲット14の上面に到達するまで、又は、ターゲット上に堆積物13が形成されている場合はこの堆積物13に到達するまでの距離を測定し、得られた画像上の距離を実際の距離に換算した。そして、この距離と、高速カメラ16のフレームレートとの積により酸水素炎Fの移動速度を求め、これを原料ガスの真の流速Rと見積もった。
なお、ここでは、表1に示すように各条件を変化させながら同様の工程を複数回行い、各条件における真の原料ガス流速Rを求めた。
Figure 0005136106

なお、表中の言葉の意味は、次の通りである。
・原料ガス管断面積:図2に示す噴出部12aにおける原料ガス管121に囲まれた領域の面積
・原料ガス流量:SiClガスとキャリアガスである酸素ガスの合計の体積流量
・酸素ガス管断面積:図2に示す噴出部12aにおける酸素ガス管122に囲まれた領域の面積から原料ガス管121に囲まれた領域の面積を引いた値
・酸素ガス流量:酸素ガスの体積ガス流量
・酸素ガス流速:酸素ガス流量/酸素ガス管断面積で表わされる値
・従来の原料ガスの流速:原料ガス流量/原料ガス管断面積で表わされる値
表1に示した結果から明らかなように、原料ガスの真の流速Rは、従来見積もられてきた原料ガスの流速とは全く相関しておらず、酸素ガスの流速と相関していることが判明した。
(比例係数の算出)
上記表1に示した結果から、酸素ガスの流速と原料ガスの真の流速との比例係数を最小二乗法により算出した。その結果、比例係数は、2.1であった。
[石英ガラスインゴットの製造]
(実施例1〜3、比較例1〜7)
上記と同様の装置を用いて同様の方法により表2に示す各条件で、実施例1〜3及び比較例1〜7の石英ガラスインゴットの製造を行った。この際、原料ガスの真の流速Rとしては、高速カメラによる測定は行わずに、上記で得られた比例係数2.1と、酸素ガスの流速(酸素ガスの流量/酸素ガス管の断面積)とを掛け合わせて得られた値を用いた。また、各実施例及び比較例においては、製造工程中、下記の「バーナー・堆積面距離D」がほぼ一定に保たれるようにターゲット14を徐々に下降させた。
Figure 0005136106

なお、表2中の言葉の意味は次の通りである。なお、表1中と同義のものについては、説明を省略する。
・バーナー・堆積面距離D:噴出部12aから、シリカ微粒子の堆積面Sまでの距離
・D/R:バーナー・堆積面距離D/原料ガスの真の流速Rで表わされる値
・泡不良率:100×石英ガラスインゴット中に形成された泡の合計長さ/石英ガラスインゴットの全長で表わされる値
上記表2において、泡不良率の値が小さいほど、泡が形成されておらず、良好に石英ガラスインゴットが形成されたことを意味する。したがって、表2に示すように、D/Rが本発明の範囲内であった実施例1〜3によれば、D/Rが本発明の範囲外であった比較例1〜7に比べて、泡の発生が極めて少ない石英ガラスインゴットを製造することができることが確認された。
石英ガラスの製造装置の構成を示す概略図である。 バーナー12を噴出部12a側から見た平面図である。 高速カメラの設置場所を変えた製造装置の例を示す図である。
符号の説明
10…製造装置、11…合成炉、12…バーナー、12a…噴出部、13…堆積物、14…ターゲット、15…窓部、16…高速カメラ、17…カメラボックス、121…原料ガス管、122…酸素ガス管、123…水素ガス管、F…酸水素炎、S…堆積面。

Claims (3)

  1. 珪素塩化物ガスを含む原料ガスを、酸素ガス及び水素ガスとともに所定の噴出部から噴出させ、珪素塩化物ガスと酸素ガス及び水素ガスによる火炎との反応により生じたシリカ微粒子をターゲット上に堆積させて溶融ガラス化した堆積物を形成し、石英ガラスを得る製造工程を有する石英ガラスの製造方法において、
    前記噴出部から前記シリカ微粒子の堆積面までの距離D(m)と、前記原料ガスの真の流速R(m/s)と、の関係D/Rを、0.005〜0.007(s)の範囲とする、ことを特徴とする石英ガラスの製造方法。
  2. 前記原料ガスの真の流速Rとして、カメラにより観察された前記火炎の移動速度を用いる、ことを特徴とする請求項1記載の石英ガラスの製造方法。
  3. 前記原料ガス、前記酸素ガス及び前記水素ガスを、前記原料ガスの周囲に前記酸素ガスが、前記酸素ガスの周囲に前記水素ガスがそれぞれ位置するように前記噴出部から噴出させ、
    前記製造工程よりも前に、カメラにより観察された前記火炎の移動速度と、酸素ガスの流速と、の比例係数を求める予備工程を行い、
    前記製造工程において、前記原料ガスの真の流速Rとして、前記比例係数と当該工程における酸素ガスの流速とを掛け合わせた値を用いる、ことを特徴とする請求項1記載の石英ガラスの製造方法。
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