JP5135498B2 - 成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、粒状物の粒子同士が接着剤を介して結合されてなる成形体に関する。
粒状物の粒子同士が接着剤を介して結合されてなる成形体としてはパーティクルボードなどが知られている。(例えば、特許文献1参照)
このような成形体においては、成形体に充分な強度を得ようとすると接着剤の量は10重量%以上となる。かさだかな成形体、すなわち、粒子間にある程度空隙が確保された成形体を得ようとすると接着剤の量を少なくする必要があり、この場合はそのために成形体は充分な強度が得られない。また、構造が密な成形体においても、接着剤の量を少なくすると成形体中の接着剤の分布の不均一さに起因して、充分な強度が得られない。
一方、成形体用の粒状物としては、籾殻のような副産物の利用が考えられる。籾殻はそれ自体もかさだかであり、防音性や衝撃エネルギー吸収性能を要求される自動車用内装材のような部材として、多孔質の成形体を得るうえで好適と考えられる。
籾殻を接着剤で固化してなる成形体に関しては、籾殻に水を噴射して表面を濡らした後、小麦粉、米粉、ゴムパウダーなどの接着剤となる植物性接着剤粉を散布し、次いで水を噴射して植物性接着剤粉を液状化してから、撹拌機で撹拌混合し、次いでこの籾殻を加圧してブロックに成型した後、このブロックを加熱乾燥して接着剤を固化させて、籾殻の繊維方向を横方向に揃えた断熱緩衝材を形成することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法においては、液状化された接着剤が加熱乾燥の際にマイグレーションにより成形体の表面など高温がわに移行する傾向があり、均一な接着構造が得られないおそれがある。また、この方法においては、未粉砕の籾殻の集合体はかさだか過ぎて強度不足となるおそれがある。
さらに、籾殻に破砕を加えることなく接着剤その他の固化材料を添加し、撹拌した上で、固化材料が硬化する以前に型枠へ入れて40〜70%の容量に圧縮し、その状態に保持して材料の固化を待ち、型枠を外して取り出す籾殻壁材の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法においては、圧縮により籾殻粒子間の空隙が潰されて、成形体は連続気孔を有しないものとなり、十分な防音性と衝撃エネルギー吸収性能を有するものとはならない。
また、多数の籾殻が硬化剤によって一体的に固化されていることを特徴とする籾殻を用いた建設資材が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この建設資材は、例えば、籾殻及び接着剤を大型の攪拌機やミキサー車等を用いて攪拌し、次に地盤上に混合された籾殻及び接着剤を流し込み、大型の平板状治具で平らに均し養生することによって得られるものであり、建設資材の50重量%ほどが接着剤であり、通気性はあるものの、十分な衝撃エネルギー吸収性能を有するものとはならない。また、このような籾殻及び接着剤を流し込む態様においては、接着剤の含有比率が10重量%ほどでは資材に十分な強度が得られない。
特開平5−162104 特開平6−8968号公報 特開平11−159055号公報 特開2003−13512号公報
本発明の目的は、少量の接着剤で充分な強度を有する成形体を提供しようとすることである。
本発明の目的は、この成形体による、吸音性、衝撃エネルギー吸収性に優れた自動車内装部材を提供しようとすることである。
本発明の要旨とするところは、未粉砕の籾殻と粉砕された籾殻との混合籾殻を主体とす 粒状物と、ポリビニルアルコールと、水との混合物を凍結したのち解凍し、解凍された 該混合物を加熱・乾燥てなる成形体であることにある。
本発明によると、少量の接着剤で充分な強度を有する成形体及びその製造方法が提供される。
本発明によると、この成形体による、吸音性、衝撃エネルギー吸収性に優れた自動車内装部材が提供される。
本発明の成形体は、骨材としての粒状物と、接着剤と水との混合液が、ゲル化により、あるいは気泡含有体化されて、自然流動が阻害されてなる軟体物、との混合物を乾燥し、該接着剤を硬化させて、粒状物の粒子同士を固着させてなるものである。
粒状物の素材としては、樹脂、木材、鉱物、セラミック等が挙げられる。このような素材は粉砕などにより粒子化される。粒子化された木材としては、おがくずや木材チップが挙げられる。あるいは粒状物はこれらの素材が粒子状に成形されたものであってもよい。また、粒状物あるいは粒状物の素材として籾殻やそば殻のような種皮が挙げられる。
粒状物のサイズは0.001〜10mmであることが好ましい。
接着剤としては水溶性の接着剤あるいはエマルジョンタイプの接着剤が用いられる。水溶性の接着剤としてはポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。エマルジョンタイプの接着剤としては、アクリル系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤、ウレタン系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、フェノール系樹脂接着剤、エポキシ系樹脂接着剤などが例示され、これらがエマルジョンの状態で用いられる。接着剤としてはこれらに限定されない。
本発明においては、成形体中の接着剤の含有量は2〜20重量%であることが好ましい。接着剤の比率がこの範囲を超えて大きくなると粒状物粒子間に介在する接着剤の層の厚さが過大となり、粒子間の接着力が、接着剤の含有量が2〜20重量%である場合にくらべ低下する。接着剤の比率がこの範囲を超えて小さくなると、十分な強度が得られない。
本発明の好ましい態様においては、まず、接着剤の水溶液またはエマルジョンがゲル化されることにより自然流動が阻害されてなる軟体物と、粒状物との混合物を得て、ついでこの混合物を加熱などにより乾燥し、これにより、この接着剤が乾燥され、硬化されて成形体を得る。接着剤の硬化はさらに加熱を伴なって行われてもよい。
この水溶液またはエマルジョンのゲル化は、例えば、水溶液またはエマルジョンにゲル化剤を混入したのち好ましくは低温で静置することによりなされる。ゲル化剤としては寒天、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられる。あるいは、にかわや、99%以上の高ケン化度のポリビニルアルコールのように水溶液そのものが静置することによりゲル化するものである場合は、単に水溶液を好ましくは低温で静置することによりなされる。
本発明においては、ゲル化は、接着剤の水溶液またはエマルジョンが粒状物と混合された状態でなされ、粒状物とゲル化された接着剤の水溶液またはエマルジョンとの複合ゲルが得られ、この複合ゲルを乾燥し、これにより、この接着剤が乾燥され、硬化されて成形体を得る。
この態様にあっては、ゲル化された低濃度の接着剤を乾燥することにより、小量の接着剤が万遍なく個々の粒状物粒子表面に極めて薄い層状態で付着し、その付着した接着剤を介して個々の粒子同士が接着されて、かさ密度が比較的低く、かつ、適度のサイズの連通孔が形成され、また、小量の接着剤で十分な強度を有する本発明の成形体が得られる。連通孔は成形体断面の顕微鏡観察により確認される。また、通気性あるいは透水性の有無で確認される。
この連通孔の存在により、本発明の成形体は優れた吸音特性を有する。
本発明においてポリビニルアルコールが用いられる場合、ポリビニルアルコールの水溶液は、凍結しついで解凍することによりゲル化が促進される。この凍結・解凍のサイクルは複数回くりかえされることがゲル化の促進にとって好ましい。凍結温度は−10〜−30℃であることが好ましい。凍結は1〜5kg/cmの加圧下でなされることが好ましい。
接着剤成分がポリビニルアルコールである場合、水溶液中に粒径500μm以下のシリカが混合されていると、ゲル化がさらに促進される。粒径500μm以下のシリカとしては、籾殻を粉砕して遊離したシリカ、石英ガラスの粉末、コロイダルシリカ等が挙げられる。粒状物と、ポリビニルアルコールと水と粒径500μm以下のシリカとを含む混合物を10℃以下に冷却することにより、粒状物とゲル化したポリビニルアルコールの水溶液とが複合された複合ゲルを得ることができる。
さらに、ポリビニルアルコールの水溶液は、粒状物として籾殻を用いると、両者の混合物の状態で上述の凍結・解凍などのゲル化手段により容易にゲル化することができ、複合ゲルを得ることができる。
またさらに、ポリビニルアルコールの水溶液は、粒状物として粉砕された籾殻を用いると、両者の混合物の状態で上述の凍結・解凍などのゲル化手段によりさらに容易にゲル化することができる。これは、粉砕された籾殻中のシリカ成分が水溶液中に分散し、ゲルの架橋剤として作用するためと考えられる。
ポリビニルアルコールの水溶液のゲル化は、この水溶液に、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒド、でんぷん、ホウ酸、四ホウ酸アルカリ金属塩、アジピン酸およびトリメチロールメラミンのようなゲル化促進剤を混入させることによりなされてもよい。
接着剤としてポリビニルアルコールを用いる場合、水溶液のポリビニルアルコールの濃度は3〜15重量%であることが好ましい。
この複合ゲルは、乾燥することにより、成形体が得られる。複合ゲルの乾燥は加熱乾燥あるいは減圧乾燥によることが好ましい。常温の自然乾燥では乾燥中に成形体にそりや寸法変化が生ずる場合がある。乾燥は加熱乾燥によることが好ましいが、急速に乾燥するとゲルが崩れる(融解する)おそれがある。乾燥における昇温速度は1〜5℃/minであるとそのようなトラブルを生ずることがなく、良好な成形体が得られる。昇温速度は1〜2.5℃/minであることがこの点でさらに好ましい。また、乾燥における昇温速度が5℃/minをこえて大きくなると高強度の成形体が得られにくい。
ただし、接着剤としてポリビニルアルコールを用い、粒径100nm以下のコロイダルシリカをゲル化剤として用いた場合は、この昇温速度が5℃/minをこえて大きい場合であっても、ゲルの崩れもなく、高強度の成形体を得ることができる。
この加熱乾燥時のゲルの融解は、加熱乾燥時のゲルの体積変化で調べることができる。図1にシリカ粒子が混合されたポリビニルアルコール水溶液をゲル化したゲルの、乾燥時の昇温速度と乾燥後の残留体積(室温から200℃まで昇温して乾燥したときの乾燥後の体積の、乾燥前のゲルの体積に対する比率)との関係を示す。シリカ粒子は、粒径が4、20、40、450、30000nmの5種類の粉体をそれぞれ10重量%のポリビニルアルコール水溶液に混合した。混合比率は、いずれの試料も、ポリビニルアルコール水溶液10重量部に対して1重量部である。シリカ粒子が混合された水溶液を−20℃1時間で凍結しその後解凍してゲルを得た。
昇温速度が大きくなると一般には乾燥によりゲルが収縮して乾燥後には残留体積が小さくなるが、図1に示すように、シリカ粒子の粒径が小さいと5℃/minの昇温速度においても乾燥後に残留するゲルが認められ、シリカ粒子の粒径が小さくなるにつれて乾燥後の残留体積が大きくなる。殊に、粒径が4nmのときは、乾燥後の残留体積は50%を超え、昇温速度に無関係に一定であった。用いたポリビニルアルコールの1分子の長さを直線上に伸ばすと約10nm程度となるので、4nmはポリビニルアルコール分子と同程度の大きさとなる。従って、粒径4nmのシリカがポリビニルアルコールと結合し架橋点となって強固なゲルの骨格ができてゲルを安定化していると考えられる。シリカ粒子が大きくなると、ポリビニルアルコールはシリカ表面にとどまることとなり、架橋効果は少なく、このために残留体積が小さくなると考えられる。粒径の大小いずれの場合も、昇温速度が2.5℃/min以下であれば乾燥後の残留体積が大きいので、ポリビニルアルコールの微結晶の成長が促進されていることがわかる。複合ゲルにおいても、例えば、籾殻のようにシリカを含有する粒状物が複合されていると、乾燥後の残留体積の大きい複合ゲルを得ることができ、複合ゲルの乾燥により高強度の成形体が得られる。
本発明の他の態様においては、接着剤の水溶液またはエマルジョンに、さらに増粘剤や必要に応じ界面活性剤を投入して増粘し、これを撹拌して泡立てて気泡含有体化し、気泡含有体である軟体物となして、自然流動を阻害し、次いで粒状物と混合した混合物を所定の容器に入れて静置したのち、この混合物を加熱乾燥し、成形体を得ることができる。この態様にあっても、気泡含有体となされた低濃度の接着剤を乾燥することにより、小量の接着剤が万遍なく個々の粒状物粒子表面に極めて薄い層状態で付着し、その付着した接着剤を介して個々の粒子同士が接着されて、かさ密度が比較的低く、かつ、適度のサイズの連通孔が形成され、また、小量の接着剤で十分な強度を有する成形体が得られる。
増粘剤としては、セルロース系増粘剤、植物性ゴム、細菌発酵により生成されたゴム、発泡土、合成タイプの増粘剤が挙げられる。
さらに、本発明においては、接着剤としてポリビニルアルコールを用い、この接着剤に粒径500μm以下のシリカ粉末を混合することにより、高強度の成形体を得ることができる。ポリビニルアルコールとシリカとの親和性によりポリビニルアルコールの接着力が向上することがその理由のひとつと思われる。
シリカ粉末としては、石英ガラスの粉や、コロイダルシリカが挙げられる。さらには、籾殻の粉砕物由来のシリカ成分粉末が挙げられる。籾殻はシリカ成分を約17%と豊富に含有しているので、籾殻の粉砕物を分級した微粉末には、粉砕により遊離した、シリカを主成分とするシリカ成分粉末が多く含まれる。籾殻の粉砕物は、成形体の骨材としての粒状物としても用いることができる。
図1からも裏付けられるように、籾殻の微粉砕物(粒径500μm以下)を骨材としての粒状物として用い、接着剤としてポリビニルアルコールを用いると、その籾殻とポリビニルアルコールとの親和性により高密度で高強度の成形体が得られる。
本発明においては、混合物に可塑剤、着色剤、増量剤、活性炭等の助剤が添加されてもよい。接着剤がポリビニルアルコールである場合は、可塑剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールが例示される。これらの可塑剤により、成形体の靭性が改善される。活性炭の添加により成形体に脱臭機能を付与できる。
粒状物として籾殻を用いる場合、籾殻は完全あるいは不完全に炭化された燻炭籾殻であってもよい。燻炭籾殻が用いられると、成形体は籾殻特有の臭気が感ぜられなくなり好ましい。また、臭気成分を吸収する脱臭機能を付与できる。
本発明の成形体は粒状物の粒子同士が強固に結合しているので、かさだかに成形されて成形体内部に空隙が存在する多孔質の構造となっても実用上充分な強度を有する。このような多孔質の構造の本発明の成形体は衝撃のエネルギーを吸収する性能に優れるので、ニーボルスター用等の自動車内装部材として好適に用いることができる。
自動車内装部材として用いられる成形体としては、籾殻を主体とする粒状物と接着剤との混合体が成形されて該接着剤が硬化されてなる成形体が好ましい。この籾殻は、全籾殻中の0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻の比率が30重量%以上であることが好ましい。また、成形体中の前記接着剤の比率は2〜20重量%であることが好ましい。さらに、この成形体は、連通孔を有する多孔質状であり、かさ密度は0.1〜1.3g/cmであることが好ましい。
また、本発明の成形体は、かさ密度や粒状物の粒子形状を選定することにより、25%圧縮されたときの応力が0.1〜1.5MPaの成形体とすることができる。このような成形体はさらに優れた衝撃エネルギー吸収性能を有し、自動車内装部材としてさらに好適に用いることができる。
すなわち、例えば、本発明の成形体が、0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻の比率が30重量%以上であり、成形体中の接着剤の比率が2〜20重量%であり、さらに、この成形体が連通孔を有する多孔質状であり、かさ密度は0.1〜1.1g/cmであると、25%圧縮されたときの応力が0.1〜1.5MPaの成形体とすることができる。
また、本発明においては、0.5mm未満の径に粉砕された籾殻の比率が50重量%以上であると、微細な連通孔を有する多孔質状でありかつかさ密度が1.0〜1.3g/cmの成形体を得ることができる。特に、この場合、接着剤としてポリビニルアルコールを用いた場合は、25%圧縮されたときの応力が3MPa以上の強固な成形体とすることができる。この成形体は、成形型を用いて任意の形状に成形でき、また微細な連通孔がもたらす表面の微細凹凸による独特の天然物の質感を有し、かつ優れた吸音性を有するので、デッキボード等の自動車内装部材として好適に用いることができる。
本発明の成形体は、接着剤の比率が2〜20重量%と小さいので、接着剤を水等の溶媒で希釈した希釈液と、籾殻を主体とする粒状物とを混合撹拌したのち、ブロック状、板状等の所定の形状に成形し、次いで溶媒を乾燥するとともに接着剤を硬化させることにより均一な接着構造が得られる。
接着剤としては、籾殻の粒子同士を接着できるものであればとくに限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤を用いることができる。
また、本発明においては、粉状のホットメルト樹脂と籾殻を主体とする粒状物とを混合したのち所定の形状に成形し、次いで加熱により粒状物を構成する粒子同士をホットメルト樹脂を介して融着させて自動車内装部材に好適な成形体の接着構造が得られる。ホットメルト樹脂としては、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリオレフィン系ホットメルト樹脂、ポリ乳酸系ホットメルト樹脂を用いることができる。
成形の方法としては、プレス成形、形枠取り、射出成型、ブロー成型、押し出し成型、キャスティング成形などが挙げられる。所定の形状に成形し加圧時、あるいは加圧したのち乾燥や加熱が行われる。自動車内装部材のかさ密度はこの加圧の程度により調整できる。
本発明の成形体においては、籾殻中の、0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻の比率が30重量%以上であることにより、自動車内装部材として用いる場合に好適な微孔が形成され、この微孔は連通孔であり、成形体の内部全体に均一に分布して存在する。このような微孔の構成が、本発明の成形体に、優れた吸音性と優れた衝撃エネルギー吸収性をもたらす。籾殻を用いた本発明の成形体は、吸音周波数帯域が、成形体のかさ密度や構成する籾殻の粒径を調整することにより変えることができる。これにより、使用目的に応じて好ましい吸音周波数帯域を有する成形体を得ることができる。
籾殻中の、0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻の比率が30重量%未満であり、その他の籾殻の径が0.5mm未満であると、かさ密度が小さくなり、微孔の径が小さくなり、優れた衝撃エネルギー吸収性が得られない。
籾殻中の、0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻の比率が30重量%未満であり、その他の籾殻の径が1.5mmを超えるとあるいは未粉砕の籾殻であると、かさ密度が過小になり、優先的な特性として特に高強度が要求される構造部材として用いる自動車内装部材としては強度が十分でない場合がある。この場合にかさ密度を大きくするために成形時の圧力を大きくすると、微孔の径が過小となり、連通孔が形成されにくく、自動車内装部材としての優れた衝撃エネルギー吸収性が得られない。
0.5〜1.5mm径に粉砕された籾殻など、本発明における籾殻の粉砕は、未粉砕の籾殻を粉砕機により粉砕して得られる。粉砕機としては例えば、回転刃方式の粉砕機が挙げられる。回転刃方式においては、円形ケースの内周面に配置した複数枚の固定刃に対して、シャフトに取り付けた複数枚の回転刃が回転することにより、固定刃の隙間に挟まった籾殻が擦りあわされ、粉砕される。粉砕の手段はこれに限定されず公知の粉砕手段の使用が可能である。粉砕された籾殻は常法により分級して用いる。
また、本発明の成形体においては、かさ密度が0.1〜1.1g/cmの範囲を超えて大きくなると微孔の径が小さくなり、自動車内装部材としての優れた衝撃エネルギー吸収性が得られない。かさ密度が0.1〜1.1g/cmの範囲を超えて小さくなると、自動車内装部材としての十分な強度が得られない。
また、本発明においては、水溶性の接着剤を用い、この接着剤を水で希釈して水溶液となし、次いでこの水溶液と籾殻とを混合した混合物を加熱乾燥して自動車内装部材を得てもよいが、このような態様においては、液状化された接着剤が加熱乾燥の際にマイグレーションにより成形体の表面など高温がわに移行する傾向があり、均一な接着構造が得られにくい。本発明においては、この水溶液と籾殻とを混合した混合物を所定の容器に入れて静置し、この水溶液をゲル化用助剤等を用いてゲル化して軟体物となして自然流動を阻害し、次いでこの混合物を加熱乾燥し、自動車内装部材を得ることにより、このトラブルを解消できる。籾殻と接着剤と水とを同時に混合して混合物を得ることが好ましい。このようなゲル化を伴なう態様にあっては、ゲル化された低濃度の接着剤を乾燥することにより、小量の接着剤が万遍なく個々の籾殻粒子表面に極めて薄い層状態で付着し、その付着した接着剤を介して個々の籾殻粒子同士が接着されて、かさ密度が0.1〜1.1g/cmと低くかつ、適度のサイズの連通孔が形成され、また、小量の接着剤で十分な強度を有する均一な接着構造の自動車内装部材が得られ、好ましい。
あるいはまた、本発明においては、接着剤を水で希釈し、あるいはエマルジョンとなして、さらに増粘剤や必要に応じ界面活性剤を投入して増粘し、これを撹拌して気泡含有体である軟体物となして、自然流動を阻害し、次いで籾殻と混合した混合物を所定の容器に入れて静置したのち、この混合物を加熱乾燥し、自動車内装部材を得ることができる。この態様にあっては、気泡含有体となされた低濃度の接着剤を乾燥することにより、小量の接着剤が万遍なく個々の籾殻粒子表面に極めて薄い層状態で付着し、その付着した接着剤を介して個々の籾殻粒子同士が接着されて、かさ密度が0.1〜1.1g/cmと低く、かつ、適度のサイズの連通孔が形成され、また、小量の接着剤で十分な強度を有する自動車内装部材が得られ、好ましい。
ポリビニルアルコールの水溶液を籾殻との混合物の状態でゲル化した複合ゲルを、乾燥することにより、自動車内装部材用の成形体を得る場合、複合ゲルの乾燥は加熱乾燥あるいは減圧乾燥によることが好ましい。常温の自然乾燥では乾燥中に成形体にそりや寸法変化が生じ好ましくない。また、急速に乾燥するとゲルが崩れる。乾燥における昇温速度は1〜5℃/minであるとそのようなトラブルを生ずることがなく、良好な成形体が得られる。また、乾燥における昇温速度が大きいと高密度の成形体が得られない。乾燥における昇温速度を調整して適切な密度の成形体とすることにより優れた衝撃エネルギー吸収性有する成形体が得られる。
本発明の成形体は以下に示す実験例、実施例でわかるように吸音性に優れる。
なお、以下の実験例、実施例、比較例における籾殻の粒径は顕微鏡で観察した粒子の長径と短径の平均値であり、各試料の粒径は、その試料からランダムに選択した粒子100個の測定値の平均値である。
[実験例1]
図2、図3に成形体と各種木材(すぎ、桐、ラワン)との周波数別の吸音率の測定結果を示す。この測定に用いた成形体は以下により作製した。
籾殻の粉砕:回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。
籾殻の配合:未粉砕のもの・・・1重量%
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・50重量%
0.5mm未満の径に粉砕されたもの・・・49重量%、
ポリビニルアルコール水溶液濃度・・・濃度10重量%
ポリビニルアルコール水溶液と籾殻との配合比率・・・1:1(なお、本明細書においては、各種材料の比率はとくに断りのない限り重量比を表すものとする。)
凍結温度×時間・・・−20℃×10分
凍結時の加圧力・・・2kg/cm
凍結・解凍のサイクル回数・・・3回
乾燥条件・・・2℃/minで昇温し80℃に達するまで乾燥
得られた成形体のかさ密度・・・1.1g/cm
吸音特性の測定:
測定装置・・・マイクロホンインピーダンス測定装置(MS−1020型 Breuel
& Kjaer 製)
・太管使用の場合(測定領域50〜1600Hz);試料の外径99mm、厚さ 成形体・・・10mm、木材・・・13mm
・細管使用の場合(測定領域500〜6500Hz);試料の外径29mm、厚さ 成形体・・・10mm、木材・・・13mm
図2は太管使用の場合、図3は細管使用の場合の測定結果である。図2より、実験例1で得られた成形体は各種木材に比べて50〜1600Hzでの吸音率が高いことがわかる。図3より、実験例1で得られた成形体は各種木材に比べ6500Hz近傍での吸音率が高いことがわかる。
[実験例2]
図4に成形体の周波数別の吸音率の測定結果を示す。この測定に用いた成形体は以下により作製した。
成形体A
籾殻の粉砕:回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。
籾殻の配合:0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・20重量部
粉砕し200メッシュの篩を通過させ分級したもの・・・15重量部
ポリビニルアルコール水溶液濃度・・・濃度10重量%
ポリビニルアルコールと籾殻との配合比率・・・1:3.5
成形体B
籾殻の粉砕:回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。
籾殻の配合:0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・20重量部
粉砕し200メッシュの篩を通過させ分級したもの・・・30重量部
ポリビニルアルコール水溶液濃度・・・濃度10重量%
ポリビニルアルコールと籾殻との配合比率・・・1:5
凍結温度×時間(成形体A、Bとも)・・・−20℃×10分
凍結時の加圧力(成形体A、Bとも)・・・2kg/cm
凍結・解凍のサイクル回数(成形体A、Bとも)・・・3回
乾燥条件(成形体A、Bとも)・・・2℃/minで昇温し80℃に達するまで乾燥
得られた成形体のかさ密度・・・成形体A・・・0.8g/cm、成形体B・・・0.7g/cm
吸音特性の測定(成形体A、Bとも):
測定装置・・・マイクロホンインピーダンス測定装置(MS−1020型 Breuel
& Kjaer 製)
・ 太管使用(測定領域50〜1600Hz);試料の外径99mm、厚さ10mm
図4より、成形体A、Bは800Hz近傍での吸音率が高いいことがわかる。また、成形体Bは1000Hz近傍での吸音率も高いことがわかる
形体A、Bはこのような優れた吸音性と優れた衝撃エネルギー吸収性により、自動車内装用パネル材として好適に用いることができる。例えば、ガーニッシュや天井の裏側に配して衝突時の頭部衝撃エネルギー保護パッドとして、ドアトリムの裏側に配して衝突時の胸、複頭部衝撃エネルギー保護パッドとして、インパネロアフィニッシュの裏側に配して衝突時の腰部保護用のニーボルスタとして、フロント席カーペットの裏側に配してかかと部保護用のティビアパッドとして好適に用いることができる。また吸音性を活かして、リア席カーペットの裏側に配して足もとのかさ上げ用ボードとして、パッケージトレイトリムとして、デッキボードとして好適に用いることができる。
の態様においては、粒状物として未粉砕の籾殻。もしくは粒径1.5mm以上の粉砕された籾殻が用いられる。成形体が籾殻を主体に構成され、この籾殻のうち少なくとも30重量%以上が、未粉砕の籾殻、もしくは未粉砕の籾殻と粒径1.5mm以上の粉砕された籾殻との混合籾殻であると衝撃吸収能を有してかつ強度が高く、音波吸収能にも優れる特性的にバランスのとれた成形体となる。
成形体が籾殻を主体に構成され、この籾殻のうち少なくとも60〜80重量%が、未粉砕の籾殻、もしくは未粉砕の籾殻と粒径1.5mm以上の粉砕された籾殻との混合籾殻であると衝撃吸収能を有してかつ強度が高く、音波吸収能にも優れる特性的に最もバランスのとれた成形体となる。
[実験例3(実施例1、2、参考例1〜4、比較例1〜6を含む)]
未粉砕の籾殻と粉砕した籾殻を準備し、未粉砕の籾殻の含有率の異なる3種類の「籾殻」を調整し、それぞれを2種類の成形方法で成形加工を行い試料番号1〜12の12種類の成形体を得た。それぞれの成形体につき、圧縮性能と吸音特性測定した。
籾殻の粉砕:籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級し、0.1〜0.5mmの粒径の籾殻を「粉砕した籾殻」とした。
バインダ・・・ケン化度98.5%のポリビニルアルコールを用いた。
成形方法1・・・濃度12重量%のポリビニルアルコール水溶液と「籾殻」とを混合し、圧縮用型容器に投入し、2kg/cmの加圧下で冷凍した。加圧時における籾殻を圧縮した圧縮体のサイズは100mmΦ×8mmであった。冷凍の温度×時間は−20℃×10分である。凍結・解凍のサイクルを3回くりかえし行って複合ゲルを得た。この複合ゲルを加熱昇温速度2℃/minで80℃に達するまで乾燥し、成形体を得た。
成形方法2・・・濃度12重量%のポリビニルアルコール水溶液と「籾殻」とを配合比率1:1で混合し、圧縮用型容器に投入し、2kg/cmの加圧下でしたのち、加熱昇温速度2℃/minで80℃に達するまで乾燥し、成形体を得た。加圧時の籾殻圧縮体のサイズは100mmΦ×8mmであった。
表1に籾殻配合比率(未粉砕の籾殻と粉砕した籾殻との配合比率)、PVA比率(成形体中の「籾殻」とポリビニルアルコールの比率)、成形方法と、試料番号を示す。
Figure 0005135498
図5に各試料番号の成形体の圧縮荷重−歪曲線を示す。圧縮の変形速度は5mm/minとした。図中の引出し数字は試料番号である。
なお、試料5、6は乾燥時に試料にソリが生じたが、試料1〜4では、乾燥時のソリの発生は認められなかった。
図5より、未粉砕の籾殻を含む成形体は、籾殻のみからなる成形体に比べて圧縮されやすく、圧縮弾性が小さく、衝撃吸収能のうえで優れる特性を有することがわかった。また、凍結−解凍工程を経ずに乾燥した試料で未粉砕の籾殻を含むものは、20〜40%程度の初期の圧縮に対する応力が小さくかつ圧縮の挙動が不安定で、脆弱であることがわかった。さらに、凍結−解凍工程を経て乾燥した試料で未粉砕の籾殻を含むものは、20〜40%程度の初期の圧縮に対する応力が、粉砕した籾殻のみからなる成形体より小さく、かつ、凍結−解凍工程を経ずに乾燥した試料に比べれば大きく、また圧縮の挙動が安定しており、衝撃吸収能のうえで優れる特性と適度の強度とを備えていることがわかった。PVA比率については、1:5のものが1:1のものに比べて20〜40%程度の初期の圧縮に対する応力が小さく衝撃吸収能のうえで優れる特性を有するとわかった。粉砕した籾殻と未粉砕の籾殻とを含む成形体でPVA比率が1:5のものは圧縮の挙動が安定しており、かつ衝撃吸収能のうえで優れる特性と適度の強度とのバランスが最もよいことがわかった。
図6に試料1、3、5についての、吸音率と周波数との関係を示す。
吸音率は、実験例1と同様の方法(細管使用)で測定した。表2に、各試料の図6に基づく特定周波数域における吸音率を示す。
Figure 0005135498
表2より、未粉砕の籾殻を含む成形体が粉砕した籾殻のみからなる成形体より、表2に記載の特定の中周波数域における吸音特性に優れ、未粉砕の籾殻と粉砕した籾殻とを含む成形体がこの領域での吸音特性にとくに優れることがわかった。
[実施例
「籾殻」として、未粉砕の籾殻と、粉砕されて平均粒径2mmに分級された籾殻とが1:1に混合されたものを用いた他は実施例1と同様にして成形体を得た。得られた成形体は、実施例1に匹敵する、衝撃吸収能のうえで優れる特性と強度とのバランス優れ、吸音特性に優れるものであった。
参考例5
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。籾殻の配合を、
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・80重量%
0.1mm未満の径に粉砕されたもの・・・20重量%
とした。接着剤としてケン化度98.5%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は12重量%とし、ビニルアルコール水溶液と籾殻とを配合比率1:1で混合し、箱状の圧縮用型枠容器に投入し、2kg/cmの加圧下で冷凍した。冷凍の温度×時間は−20℃×10分である。凍結・解凍のサイクルを3回くりかえし行って複合ゲルを得た。この複合ゲルを加熱昇温速度2℃/minで80℃に達するまで乾燥し、成形体を得た。
得られた成形体は、かさ密度は0.7g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。1mm/secの変形速度で25%圧縮されたときの応力は0.5MPaであり、また、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。
参考例6
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。籾殻の配合を、
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・90重量%
0.5mm未満の径に粉砕されたもの・・・10重量%
とした。接着剤としてケン化度98.5%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は8重量%とし、ビニルアルコール水溶液と籾殻とコロイダルシリカ(日産化学社製:スノーテック 40)とを配合比率1:1:0.05で混合し、箱状の圧縮用型枠容器に投入し、2kg/cmの加圧下で冷凍した。冷凍の温度×時間は−20℃×10分である。凍結・解凍のサイクルを1回行って複合ゲルを得た。この複合ゲルを加熱昇温速度2.0℃/minで80℃に達するまで乾燥し、成形体を得た。
得られた成形体は、かさ密度が0.6g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。25%圧縮されたときの応力は0.4MPaであった。また、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。
参考例7
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。籾殻の配合を、
未粉砕のもの・・・10重量%
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・80重量%
0.5mm未満の径に粉砕されたもの・・・10重量%
とした。接着剤としてアクリル系接着剤エマルジョン(濃度は15重量%)を用い、このエマルジョンにカルボキシメチルセルロースを2重量%混合し泡立て機で撹拌してホイップし軟体物を得た。この軟体物と籾殻とを重量比1:2で混合し、型枠成形して120℃で加熱キュアして成形体を得た。得られた成形体は、かさ密度は0.5g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。また、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。
[実験例4]
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。籾殻の配合を、
未粉砕のもの・・・10重量%
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・80重量%
0.5mm未満の径に粉砕されたもの・・・10重量%
とした。接着剤としてポリエステル系ホットメルト樹脂パウダ(融点:120℃)を用い、籾殻とこの接着剤とを重量比10:1で混合し、型枠成形して122℃で加熱加圧して成形体を得た。得られた成形体は、かさ密度は0.8g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。また、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。
参考例8
粒状物の調整:
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し、篩で分級して平均粒径150μmの籾殻微粉砕物を得た。
接着剤:
ケン化度98.5%のポリビニルアルコールを用いた。
操作:
ポリビニルアルコールの10重量%水溶液を調整し、この水溶液と籾殻微粉砕物とを混合して混合物となした。この混合物におけるポリビニルアルコールと籾殻微粉砕物との比率は重量比で1:9であった。
方形の型枠(縱×横;20×10cm)にこの混合物を収め、ゲージ圧0.2MPaの加圧下で−20℃で10分冷凍後解凍した。これにより、水溶液がゲル化し、複合ゲルを得た。この複合ゲルは乾燥していなくとも形が崩れず、形を保ったまま型枠から容易に取出すことができた。また、ナイフにより所望の形状に切りだすことができた。
この複合ゲルを80℃まで昇温速度2℃/minで昇温させて乾燥し、成形体を得た。
得られた成形体の初期弾性率は750MPa、25%圧縮されたときの応力は4.11MPaであった。この成形体は微細な連通孔がもたらす表面の微細凹凸による独特の天然物の質感を有し、自動車内装用のデッキボードとして好適に用いることができた。
参考例9
籾殻を回転刃方式の粉砕機で粉砕し分級した。籾殻の配合を、
0.5〜1.5mm径に粉砕されたもの・・・80重量%
0.1mm未満の径に粉砕されたもの・・・20重量%
とした。接着剤としてケン化度99%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は12重量%とし、ビニルアルコール水溶液と籾殻とを配合比率1:1で混合し、箱状の容器に投入し、5℃で20分冷却し複合ゲルを得た。この複合ゲルを加熱昇温速度2℃/minで80℃に達するまで乾燥し、成形体を得た。
得られた成形体は、かさ密度は0.7g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。25%圧縮されたときの応力は0.4MPaであり、また、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。
参考例10
接着剤としてケン化度98.5%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアルコール水溶液の濃度は8重量%とし、ビニルアルコール水溶液とおがくずとコロイダルシリカ(日産化学社製:スノーテック 40)とを配合比率1:1:0.05で混合し、箱状の容器に投入し、5℃×10分で冷却し複合ゲルを得た。この複合ゲルを加熱昇温速度2.5℃/minで80℃に達するまで乾燥し、連通孔を有する多孔質の成形体を得た。この成形体は、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性と実用上充分な強度を有し室内内装部材として好適に用いることができた。
参考例11
籾殻として不完全(約50%)に炭化された籾殻燻炭を用いたほかは、参考例5と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は、かさ密度は0.8g/cmで連通孔を有する多孔質状であり、良好な吸音性と衝撃エネルギー吸収性を有していた。25%圧縮されたときの応力は0.3MPaであり、自動車内装部材として実用上充分な強度を有していた。また、この成形体は籾殻特有の臭気を感じることがなかった。さらに、自動車内装部材として用いたときに、閉め切った室内の臭気が緩和されたように感じられた。
[実施例
「籾殻」として、未粉砕の籾殻と、粉砕されて平均粒径2mmに分級された籾殻とが1:1に混合された混合籾殻を用い、この「籾殻」とおがくずとを9:1(重量比)に混合した粒状物を実施例1と同様にしてポリビニルアルコール、水と混合のうえ成形し、成形体を得た。得られた成形体は、実施例1に匹敵する、衝撃吸収能のうえで優れる特性と強度とのバランス優れ、吸音特性に優れるものであった。
本発明の成形体は自動車内装材のほかに、建造物の室内壁装材のような内装材としても、音波吸収性や衝撃吸収性や、天然材料的な風合いや吸湿、吸臭性を活かして、好適に用いることができる。
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
シリカ粒子が混合されたポリビニルアルコール水溶液をゲル化したゲルの、乾燥時の昇温速度と乾燥後の残留体積との関係を示すグラフである。 形体の吸音特性の比較的低音域での測定結果を示すグラフである。 形体の吸音特性の中音域での測定結果を示すグラフである。 の態様の成形体の吸音特性の比較的低音域での測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例、比較例における成形体の圧縮−歪み曲線である。 本発明の成形体の吸音特性の測定結果を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 未粉砕の籾殻と粉砕された籾殻との混合籾殻を主体とする粒状物と、ポリビニルアルコールと、水との混合物を凍結したのち解凍し、解凍されてポリビニルアルコール水溶液のゲル化により自然流動が阻害された状態の該混合物を加熱・乾燥してなり、前記成形体中のポリビニルアルコールの含有量が2〜50重量%である成形体。
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