JP5135158B2 - 累進屈折力レンズ、累進屈折力レンズシリーズ及び累進屈折力レンズの製造方法 - Google Patents

累進屈折力レンズ、累進屈折力レンズシリーズ及び累進屈折力レンズの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、眼の調節力の補助として使用する累進屈折力レンズにおいて、特にレンズの外面及び内面の両面を非球面形状とした累進屈折力レンズ及び累進屈折力レンズシリーズに関する。
老視による調節力の衰えを補う為の矯正用眼鏡レンズとして、装用状態において、レンズの上方に位置する比較的遠方視に適した領域である遠用部と、レンズの下方に位置し遠用部よりも比較的近方視に適した領域である近用部と、この遠用部と近用部の中間に位置し、遠用部と近用部の面屈折力を連続的変化して接続する領域である累進部とを備えた累進屈折力レンズが知られている。
累進屈折力レンズを用いる場合、遠方視時と近方視時において眼鏡の掛け替えや掛け外しを必要としない上、レンズ全体に明確な境目が無く外観的にも優れていることから、近年では多く用いられるようになっている。
これまで累進屈折力レンズでは、製造上の簡略化とコストダウンの必要性から、外面に予め累進屈折面が加工された半製品レンズが使用されていた。即ち、半製品レンズの内面にある処方面を、眼鏡装用者の球面度数や乱視度数に合わせて球面又はトーリック面に加工して眼鏡レンズを作成する際に、一定の処方度数範囲で同じ半製品レンズを共用するものである。半製品レンズを用いることにより、加工コストや在庫を低減することが可能となり、コストダウンに大きな役割を果たしている。
従来、ある特定の処方度数で光学性能を設定した累進面形状を異なる処方度数でも共用するため、設計の段階で半製品レンズの光学性能が設定された基準となる処方度数以外では、光学性能の劣化が避けられないという欠点があった。近年では、非球面加工技術が発達したことから、非球面、特に自由曲面のような複雑な非球面を短時間の内に自由に加工することが可能となった。その結果、従来は球面或いはトーリック面であった処方面を、レンズ毎に装用者の処方やレンズ形状等を考慮した非球面形状や累進面形状に加工することが可能となった。
このため最近では、処方面である内面に累進面が配置されている内面累進屈折力レンズや、更には外面及び内面の両面を非球面化した累進屈折力レンズが製品化されるようになった。中でも特に外面と内面を累進面化する両面累進屈折力レンズは、光学性能の改善や、従来の片面累進屈折力レンズでは困難であった新しい光学性能を持つ累進屈折力レンズを生成する可能性が有ることから、重要な技術として注目されている。
例えば、特許文献1では、従来の累進屈折力レンズよりも非点収差を改善し、遠用部と近用部の屈折力の違いによる倍率差を改善し、更には前記倍率差伴う像の揺れや歪みを低減するために、内面に累進面を配置した内面累進屈折力レンズや、外面に負または正の値となる面加入度を持った累進面を配置し、内面に正の加入度を持った累進面を配置した両面累進屈折力レンズの技術が開示されている。
また、特許文献2では、外面及び内面の両面に累進面を配置した両面累進屈折力レンズとして、どちらか一方の面を正の加入度を持つプログレッシブ面とし、もう一方を負の加入度を持つリグレッシブ面とすることにより、プログレッシブ面で発生した非点収差をリグレッシブ面で発生する非点収差で相殺し、レンズを透過する光線の収差を軽減する技術が開示されている。
特許第3800629号公報 特開2000−249992号公報
従来の累進屈折力レンズでは、主に累進面における面非点隔差の分布や、面平均屈折力の分布などの累進面の面屈折力の光学性能で評価されていた。
しかしながら累進屈折力レンズでは、累進面の面屈折力の光学性能(以下、「屈折面の光学性能」と表記する)と、装用者が累進屈折力レンズを使用した時の視線に相当する光線での光学性能(以下、「透過光線の光学性能」と表記する)とでは殆どの場合で一致することは無い。
すなわち屈折面の光学性能と透過光線の光学性能は、レンズ面に対して垂直に近い角度で入射する光線ではほぼ等しいと考えることが出来るが、レンズ面の法線に対して角度を持って入射する光線の場合では、例えレンズ面が球面であっても、光線がレンズ面を通過する際には非点収差や平均屈折力誤差などの収差が発生するため、屈折面の光学性能と透過光線の光学性能は一致しなくなる。このような傾向はレンズ面への光線のレンズ面への入射角が大きくなるに従って増加し、前記各種収差はレンズの外面及び内面においてそれぞれ発生する。
このような屈折面の光学性能と透過光線の光学性能の不一致は、眼鏡レンズにおいては球面度数や乱視度数、加入度、プリズム処方と言った処方値や、フレーム形状や物体距離といったレンズの使用条件、更にはベースカーブや累進面の加入度といったレンズ形状の条件など、様々な条件の組み合わせによって傾向や程度が異なって発生するため、実際に装用した時の累進屈折力レンズの光学性能は、外面や内面に設定された累進面の屈折面の光学性能では単純に評価することはできない問題がある。
このような問題を解決するためには、従来のような累進面の屈折面の光学性能ではなく、装用者の処方や使用状況等を考慮した透過光線の光学性能を、目標となる累進屈折力レンズの光学性能により近づけるように改善する、いわゆる透過光線の光学性能の最適化(以下、単に「最適化」とする)を行い、累進屈折力レンズの補正面の形状を決定することが必要である。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、装用者の処方や使用状況等を考慮して透過光線の光学性能の最適化を行うことによって、累進屈折力レンズで重要な仕様である遠用度数と加入度を、処方値で指定された値と等しくし、透過光線の光学性能を良好に保つことが可能な累進屈折力レンズ累進屈折力レンズシリーズ及び累進屈折力レンズの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る累進屈折力レンズは、装用状態で物体側の屈折面となる外面と、装用状態で眼球側の屈折面となる内面とを有する累進屈折力レンズであって、前記外面及び前記内面のうち少なくとも一方の面は、装用状態でレンズの上方に設けられ、比較的遠方視に適した遠用部と、装用状態でレンズの下方に設けられ、比較的近方視に適した近用部と、前記遠用部と前記近用部の間に設けられ、前記遠用部から前記近用部までの面屈折力を累進的に変化させる累進部とを有する累進面形状に形成されており、前記外面及び内面のうちの一方の面を予め決定された面形状を有する基準面とし、前記一方の面とは異なる他方の面を補正面とし、処方値で指定された遠用度数をS、処方値で指定された乱視度数をC、処方値で指定された加入度をaddとした場合において、前記基準面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記基準面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記基準面の面加入度をADDb(S,C,add)とし、前記補正面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記補正面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記補正面の面加入度をADDc(S,C,add)とすると、
Figure 0005135158
の条件式を満足することを特徴とする。
累進屈折力レンズでは、加入度が大きい程、近方視に必要な調節力が少なくて済むという利点が有る反面、レンズ全体に発生する各種の収差は加入度の値にほぼ比例して発生するため、装用加入度大きくなればなるほど、より大きな収差や像の歪みが発生するという問題が生じる。
これは透過光線の光学性能の最適化を行う場合でも同様で、レンズの装用加入度が処方値により指定された加入度よりも大きければ、本来の望ましい装用加入度で最適化を行ったレンズよりも、非点収差や像の歪み等の透過光線の光学性能が劣ったものとなってしまう。したがって累進屈折力レンズの装用加入度は、装用者に必要な処方により指定された加入度と等しく設定することが必要である。
ところが、従来の累進屈折力レンズのように、基準面の面加入度ADDb(S,C,add)と補正面における面加入度ADDc(S,C,add)の和をレンズ全体の加入度として、処方により指定される加入度addと等しく設定してしまうと、実際にレンズを装用した際の透過光線のおける装用加入度ADDは、処方加入度addよりも大きくなってしまうことが判明した。
したがって本発明では、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)と補正面における面加入度ADDc(S,C,add)との和が処方値により指定される加入度addよりも小さくなるように、装用者の処方や使用状況等を考慮して透過光線の光学性能の最適化を行うことによって、累進屈折力レンズで重要な仕様である遠用度数と加入度を、処方値で指定された値と等しくし、透過光線の光学性能を目標とする累進屈折力レンズの光学性能により近づけるように改善することが可能となった。なお、本発明における透過光線の光学性能の最適化は、リスティングの法則による眼の回旋運動の影響を考慮して行うことが好ましい。また、上記[数1]で示される式において、屈折力の単位は、特に言及しない場合にはディオプター(D)によって表される。
本発明に係る累進屈折力レンズシリーズは、上記の累進屈折力レンズを複数備える累進屈折力レンズシリーズであって、複数の前記累進屈折力レンズは、それぞれの前記基準面の面加入度が一定の値となり、それぞれの前記補正面の面加入度が変数となるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、一方の面の面加入度を一定にして、他方の面の面加入度を変化させながら両面の面加入度の和を調節することにより、コストダウンをはかりつつ、当該両面の面加入度の和を調整しやすくなるため、レンズの装用加入度ADDと処方加入度addを等しくすることが容易になる。
本発明に係る累進屈折力レンズシリーズは、上記の累進屈折力レンズを複数備える累進屈折力レンズシリーズであって、複数の前記累進屈折力レンズは、それぞれの前記基準面の遠用基準点における面平均屈折力が一定の値となり、それぞれの前記補正面の遠用基準点における面平均屈折力が変数となるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、一方の面での遠用基準点の面平均屈折力を一定にして、他方の面での遠用基準点の面平均屈折力を変化させながら両面での遠用基準点の面平均屈折力の和を調節することにより、コストダウンをはかりつつ、当該両面の遠用基準点の面平均屈折力の和が調整しやすくなるため、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力を処方値で指定された遠用度数と等しくすることが容易になる。
本発明によれば、装用者の処方や使用状況等を考慮して透過光線の光学性能の最適化を行うことによって、累進屈折力レンズで重要な仕様である遠用度数と加入度を、処方値で指定された値と等しくし、透過光線の光学性能を目標とする累進屈折力レンズの光学性能により近づけるように改善することが可能となる。
本発明の実施の形態を説明する。以下の記載において、屈折力の単位は、特に言及しない場合にはディオプター(D)によって表されるものとする。また、以下の説明において、累進屈折力レンズの「上方」、「下方」、「上部」、「下部」等と表記する場合は、当該累進屈折力レンズが眼鏡用に加工される場合において眼鏡を装用したときのレンズの位置関係に基づくものとする。以下の各図面においても、レンズの位置関係(上下左右)は、紙面に対する位置関係(上下左右)と一致するものとする。また、レンズを構成する2つの屈折面のうち、物体側の面を「外面」とし、眼球側の面を「内面」として表すものとする。
図1は本実施形態に係る累進屈折力レンズにおける領域区分の概要を示す図である。
図1に示すように、累進焦点レンズLSは、眼鏡フレームの形状に合わせてレンズを加工する前の状態(玉摺り加工前の状態)になっており、平面視で円形に形成されている。累進屈折力レンズLSは、図中上側が装用時において上方に配置されることとなり、図中下側が装用時において下方に配置されることとなる。累進屈折力レンズLSは、遠用部Fと、近用部Nと、累進部Pとを有している。
遠用部Fは、累進屈折力レンズLSの上方に配置されており、当該累進屈折力レンズLSが眼鏡用に加工された後には比較的遠方視に適した部分となる。近用部Nは、累進屈折力レンズLSの下部に配置されており、当該累進屈折力レンズLSが眼鏡用に加工された後には比較的近方視に適した部分となる。累進部Pは、累進屈折力レンズLSのうち遠用部Fと近用部Nの中間に配置されており、遠用部Fと近用部Nとの間の面屈折力を累進的に変化させる部分である。
累進屈折力レンズLSは、複数の基準点を有している。このような基準点として、例えば、図1に示すように、アイポイント(フィッティングポイントとも呼ばれる)EP、光学中心点OG、遠用基準点OF、近用基準点ONなどが挙げられる。アイポイントEPは、装用者がレンズ装用する時の基準点となる。光学中心点OGは、レンズの光学的特性の中心点となる。
遠用基準点OFは、遠用部Fにおいてレンズの遠用度数を測定する測定基準点となる。近用基準点ONは、近用部Nにおいてレンズの近用度数を測定する測定基準点となる。遠用基準点OFでの面平均屈折力又は近用基準点ONでの面平均屈折力は、それぞれ処方値で指定された遠用度数又は近用度数に基づいて設定されることになる。
また、本実施形態では、累進屈折力レンズLSで測定される近用基準点ON面平均屈折力から遠用基準点OFの面平均屈折力を引いた値を「面加入度」と表記する。これに対して、処方値で指定される加入度を「処方加入度」、レンズの近用基準点ONを通る透過光線LNの平均屈折力DNから遠用基準点OFを通る透過光線LFの平均屈折力DFを引いた値を「装用加入度」と表記する。
累進屈折力レンズLSは、遠用基準点OF及び近用基準点ONを通り、累進面の屈折面上を鼻側領域と耳側領域とに分割する主注視線MM’を有する。主注視線MM’は主子午線とも呼ばれ、累進面の設計を行う上では重要な基準線として用いられる。主注視線は、非対称設計の累進屈折力レンズでは近方視時の輻輳を考慮して遠用部Fから近用部Nにかけて鼻側に湾曲した曲線として定義され、対称設計の累進屈折力レンズでは遠用基準点OF及び近用基準点ONを通る直線として定義される。
図2は装用状態における累進屈折力レンズLSの光線の通り方を示した模式図である。
図2において、装用者の視線に相当する任意の光線Lは、外面であるレンズ面M1上の点O1と内面であるレンズ面M2上の点O2、眼球の回旋点RCを通って眼球の網膜R上の点ORに結像する。光線は点O1及び点O2を通る際に、それぞれの点に対する入射角に応じて屈折する。同様に、装用者の視線に相当する遠用基準点を通る光線LFは、外面であるレンズ面M1上の遠用基準点OF1と内面であるレンズ面M2上の遠用基準点OF2を通り、更に眼球の回旋点RCを通って眼球の網膜R上の点ORfに結像する。光線は点OF1及び点OF2を通る際に、それぞれの点に対する入射角に応じて屈折する。
また、装用者の視線に相当する近用基準点を通る光線LNは、外面であるレンズ面M1上の近用基準点ON1と内面であるレンズ面M2上の遠用基準点ON2を通り、更に眼球の回旋点RCを通って眼球の網膜R上の点ORnに結像する。光線は点ON1及び点ON2を通る際に、それぞれの点に対する入射角に応じて屈折する。本実施形態では、外面であるレンズ面M1を基準面とし、内面であるレンズ面M2を透過光線の光学性能を補正するために非球面形状に形成される補正面として説明する。
装用者の視線に相当する光線Lは、レンズの光軸OAの近傍を通る光線を除けば、レンズ面に対して垂直に入射することは殆ど無く、光線がレンズ面に入射する位置がレンズの光軸から離れるに従ってレンズ面への入射角が大きくなる傾向がある。つまり各種収差は、レンズ面の周辺を通る光線でより大きな収差が発生することになる。
また、レンズ面M1上の遠用基準点OF1及び近用基準点ON1、レンズ面M2上の遠用基準点OF2及び近用基準点ON2も、通常はそれぞれがレンズの光軸OAが通るレンズ面M1上の光学中心OG1及びレンズ面M2上の光学中心OG2から離れた位置に設定される。つまり前記光線LF及び光線LNも、レンズ面に対して垂直に入射することは無く、例え遠用基準点と近用基準点を通る光線においても収差が発生することになる。
本実施形態では、上記のように外面であるレンズ面M1を基準面とし、内面であるレンズ面M2を補正面とすると共に、処方値で指定された遠用度数をS、処方値で指定された乱視度数をC、処方加入度をaddとした場合において、基準面M1の近用基準点ON1での面平均屈折力と当該基準面M1の遠用基準点OF1での面平均屈折力との差である基準面M1の面加入度をADDb(S,C,add)とし、補正面M2の近用基準点ON2での面平均屈折力と当該補正面M2の遠用基準点OF2での面平均屈折力との差である補正面M2の面加入度をADDc(S,C,add)とすると、下記[数2]の条件式を満足するように累進屈折力レンズLSが形成されている。
Figure 0005135158
この[数2]に示される範囲においては、累進屈折力レンズLSが下記[数3]の条件式を満足するように形成されていることが好ましく、下記[数4]の条件式を満足するように形成されていることがより好ましい。更に、下記[数5]の条件式を満足するように形成されていると一層好ましい。
Figure 0005135158
Figure 0005135158
Figure 0005135158
本実施形態では、このような累進屈折力レンズLSを複数組み合わせて累進屈折力レンズシリーズとすることが可能である。このような場合、上記[数2]〜[数5]に示される条件式を満足させるように累進屈折力レンズLSを形成する際には、例えば基準面M1の面加入度ADDb(S,C,add)を一定の値とし、補正面M2の面加入度ADDc(S,C,add)を変数として設計することができる。一方の面の面加入度を一定にして、他方の面の面加入度を変化させながら両面の面加入度の和を調節することにより、コストダウンをはかりつつ、当該両面の面加入度の和を調整しやすくなるため、レンズの装用加入度ADDと処方加入度addを等しくすることが容易になる。
また、上記の場合において、基準面M1の遠用基準点OF1での面平均屈折力をPFb(S,C,add)とし、補正面M2の遠用基準点OF2での面平均屈折力をPFc(S,C,add)とすると、S≧0の時には下記[数6]の条件式を満足し、S<0の時には下記[数7]の条件式を満足するように累進屈折力レンズLSが形成されていることが好ましい。
Figure 0005135158
Figure 0005135158
[数6]について、処方値で指定された遠用度数Sが正の値を取る場合、従来の累進屈折力レンズのように、基準面M1上の遠用基準点OF1での面平均屈折力PFb(S,C,add)と基準面M2上の遠用基準点OF2での面平均屈折力PFc(S,C,add)との和を、前記遠用度数Sと等しくしてしまうと、前記遠用基準点OF1及びOF2を通る透過光線LFの平均屈折力DFは、前記遠用度数Sよりも大きい値を取ってしまう(DF−S>0)。従って前記平均屈折力DFを前記遠用度数Sと等しくするためには、前記面平均屈折力PFbと前記面平均屈折力PFcとの和の値を、前記遠用度数Sより小さくすることが必要となる。
また、[数7]について、前記遠用度数Sが負の値を取る場合は、従来の累進屈折力レンズのように、前記面平均屈折力PFb(S,C,add)と前記面平均屈折力PFc(S,C,add)との和を、前記遠用度数Sと等しくしてしまうと、前記平均屈折力DFは、処方値で指定された遠用度数Sよりも小さい値を取ってしまう(DF−S<0)。従って前記平均屈折力DFを前記遠用度数Sと等しくするためには、前記面平均屈折力PFbと前記面平均屈折力PFcとの和の値を、前記遠用度数Sより大きくすることが必要となる。
更にこの場合、S>0の時には下記[数8]の条件式を満足し、S<0の時には下記[数9]の条件式を満足するように累進屈折力レンズLSが形成されていることが好ましい。
Figure 0005135158
Figure 0005135158
前記遠用基準点OF1及びOF2が、それぞれ前記光学中心OG1及びOG2に比較的近い位置に設定され、前記遠用度数S=0の場合には、レンズの公差を考慮した場合、条件式の値がゼロ又はゼロとみなすことが可能となる値となる場合がある。この点を考慮し、[数8]に示す式の条件として、[数6]ではS≧0と設定している部分をS>0とゼロを含まない範囲に設定することが好ましい。
また、累進屈折力レンズLSを複数組み合わせて累進屈折力レンズシリーズとする場合であって、上記の[数6]〜[数9]に示される範囲を調節する際には、例えば基準面M1での遠用基準点OFの面平均屈折力PFb(S,C,add)を一定の値とし、補正面M2での遠用基準点OFの面平均屈折力PFc(S,C,add)を変数として調節することができる。このように一方の面での遠用基準点OFの面平均屈折力を一定にして、他方の面での遠用基準点OFの面平均屈折力を変化させながら両面での遠用基準点OFの面平均屈折力の和を調節することにより、コストダウンをはかりつつ、当該両面の遠用基準点OFの面平均屈折力の和が調整しやすくなるため、遠用基準点OFを通る透過光線Lの平均屈折力DFを処方値で指定された遠用度数Sと等しくすることが容易になる。
以上のように、本実施形態によれば、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)と補正面における面加入度ADDc(S,C,add)との和を処方値により指定される加入度addよりも小さくなるように、装用者の処方や使用状況等を考慮して透過光線の光学性能の最適化を行うことによって、累進屈折力レンズで重要な仕様である遠用度数と加入度を、処方値で指定された値と等しくし、透過光線の光学性能を目標とする累進屈折力レンズの光学性能により近づけるように改善することが可能となった。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、本実施形態では、外面M1及び内面M2のうちの外面M1を基準面とし、内面M2を補正面としたが、これに限られることは無く、例えば内面M2を基準面とし、外面M1を補正面とする構成であっても上記[数2]〜[数9]の範囲の適用が可能となる。
表1を参照して、本発明の実施例を説明する。
Figure 0005135158
表1は、累進屈折力レンズの屈折率n、処方値で指定された遠用度数S、処方値で示された乱視度数C、処方加入度add、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−add、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−S、レンズの装用加入度ADD、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFをそれぞれ示している。
本実施例では、[表1]に示すとおり、実施例1〜実施例10に示す累進屈折力レンズを作製した。実施例1〜実施例10に示す累進屈折力レンズは、光屈折率nが1.67であり、乱視度数Cが0.00である点は共通している。
(実施例1)
実施例1では、遠用度数Sを5.00、処方加入度addを3.50、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.02、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を6.27、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−1.62とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.52となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは−0.35となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例2)
実施例2では、遠用度数Sを3.00、処方加入度addを1.00、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を1.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.59、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を6.27、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−3.44とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.09となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは−0.17となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例3)
実施例3では、遠用度数Sを2.00、処方加入度addを0.75、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を1.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.88、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を4.39、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−2.50とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.13となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは−0.11となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例4)
実施例4では、遠用度数Sを0.00、処方加入度addを2.00、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を2.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.66、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を4.39、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−4.42とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.16となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは−0.03となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例5)
実施例5では、遠用度数Sを−1.00、処方加入度addを3.50、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.83、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を2.51、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−3.47とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.33となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.04となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例6)
実施例6では、遠用度数Sを−3.00、処方加入度addを2.00、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を2.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.70、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を2.51、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−5.42とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.20となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.09となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例7)
実施例7では、遠用度数Sを−5.00、処方加入度addを1.00、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を1.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.68、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を2.51、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−7.40とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.18となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.11となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例8)
実施例8では、遠用度数Sを−6.00、処方加入度addを0.75、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を1.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−0.91、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.25、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−7.08とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.16となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.17となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例9)
実施例9では、遠用度数Sを−8.00、処方加入度addを1.75、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を2.50、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.17、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.25、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−9.09とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.42となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.16となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例10)
実施例10では、遠用度数Sを−10.00、処方加入度addを3.25、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.51、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.25、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−11.13とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.76となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.12となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。

(実施例11)
実施例11では、屈折率nを1.60、遠用度数Sを−10.00、処方加入度addを3.25、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.59、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.13、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−11.04とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.84となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.09となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例12)
実施例12では、屈折率nを1.74、遠用度数Sを−10.00、処方加入度addを3.25、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.44、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.38、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−11.23とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.69となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.15となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
(実施例13)
実施例13では、屈折率nを1.74、遠用度数Sを−12.00、処方加入度addを3.25、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を4.00、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を−1.69、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を1.38、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を−13.28とした。
この場合、基準面における面加入度と補正面における面加入度との和から加入度の値を引いた値ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addは、−0.94となった。また、基準面の遠用基準点における面平均屈折力と補正面の遠用基準点における面平均屈折力との和から遠用度数Sを引いた値PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sは0.10となった。
この時の装用加入度ADDの値は処方加入度addと等しく、遠用基準点を通る透過光線の平均屈折力DFは処方値で指定された遠用度数Sと等しい値となり、本発明の目的を達成することが出来た。
本実施例1〜実施例13のいずれについても、上記実施形態における[数2]〜[数9]を満足する結果となった。したがって、上記実施形態に示すように累進屈折力レンズの屈折率n、処方値で指定された遠用度数S、処方値で指定された乱視度数C、処方加入度add、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)、基準面の遠用基準点OFにおける面平均屈折力PFb(S,C,add)、補正面の遠用基準点OFにおける面平均屈折力PFc(S,C,add)を設定することにより、累進屈折力レンズの最も重要な仕様である遠用度数と加入度を処方で指定された値と等しくでき、透過光線の光学性能を良好に保つことが可能となる。
また、実施例1と実施例5と実施例10との間、実施例2と実施例3と実施例7と実施例8との間、実施例4と実施例6と実施例9との間では、それぞれ基準面における面加入度ADDb(S,C,add)が等しくなっており、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)のみが異なっている。
このように、基準面における面加入度ADDb(S,C,add)を一定の値とし、補正面における面加入度ADDc(S,C,add)を変数として、ADDb(S,C,add)+ADDc(S,C,add)−addの値を調節することも可能である。一方の面の面加入度を一定にして、他方の面の面加入度を変化させながら両面の面加入度の和を調節することにより、当該両面の面加入度の和が調整しやすくなり、より好ましい値に調整することができる。
また、実施例1と実施例2との間、実施例3と実施例4との間、実施例5と実施例6と実施例7との間、実施例8と実施例9と実施例10との間では、それぞれ基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)が等しくなっており、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)のみが異なっている。
このように、基準面の遠用基準点における面平均屈折力PFb(S,C,add)を一定の値とし、補正面の遠用基準点における面平均屈折力PFc(S,C,add)を変数として、PFb(S,C,add)+PFc(S,C,add)−Sの値を調節することも可能である。一方の遠用基準点における面平均屈折力を一定にして、他方の面の遠用基準点における面平均屈折力を変化させながら両面の遠用基準点における面平均屈折力の和を調節することにより、当該両面の遠用基準点における面平均屈折力の和が調整しやすくなり、より好ましい値に調整することができる。
本発明の実施形態に係る累進屈折力レンズにおける領域区分の概要を示す図。 装用状態における眼鏡レンズの光線の通り方を示した模式図。
符号の説明
LS…累進屈折力レンズ F…遠用部 N…近用部 P…累進部 M1…レンズ面(外面、基準面) M2…レンズ面(内面、補正面)

Claims (7)

  1. 装用状態で物体側の屈折面となる外面と、装用状態で眼球側の屈折面となる内面とを有する累進屈折力レンズであって、
    前記外面及び前記内面のうち少なくとも一方の面は、
    装用状態でレンズの上方に設けられ、比較的遠方視に適した遠用部と、
    装用状態でレンズの下方に設けられ、比較的近方視に適した近用部と、
    前記遠用部と前記近用部の間に設けられ、前記遠用部から前記近用部までの面屈折力を累進的に変化させる累進部と
    を有する累進面形状に形成されており、
    前記外面及び内面のうちの一方の面を予め決定された面形状を有する基準面とし、前記一方の面とは異なる他方の面を補正面とし、処方値で指定された遠用度数をS、処方値で指定された乱視度数をC、処方値で指定された加入度をaddとした場合において、
    前記基準面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記基準面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記基準面の面加入度をADDb(S,C,add)とし、前記補正面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記補正面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記補正面の面加入度をADDc(S,C,add)とすると、
    Figure 0005135158
    の条件式を満足する
    ことを特徴とする累進屈折力レンズ。
  2. Figure 0005135158
    の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズ。
  3. 前記基準面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力をPFb(S,C,add)とし、
    前記補正面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力をPFc(S,C,add)とすると、
    S≧0の時、
    Figure 0005135158
    の条件式を満足し、
    S<0の時、
    Figure 0005135158
    の条件式を満足する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の累進屈折力レンズ。
  4. S>0の時、
    Figure 0005135158
    を満足すると共に、
    S<0の時、
    Figure 0005135158
    を満足する
    ことを特徴とする請求項3に記載の累進屈折力レンズ。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の累進屈折力レンズを複数備える累進屈折力レンズシリーズであって、
    複数の前記累進屈折力レンズは、それぞれの前記基準面の面加入度が一定の値となり、それぞれの前記補正面の面加入度が変数となるように形成されている
    ことを特徴とする累進屈折力レンズシリーズ。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の累進屈折力レンズを複数備える累進屈折力レンズシリーズであって、
    複数の前記累進屈折力レンズは、それぞれの前記基準面の遠用基準点における面平均屈折力が一定の値となり、それぞれの前記補正面の遠用基準点における面平均屈折力が変数となるように形成されている
    ことを特徴とする累進屈折力レンズシリーズ。
  7. 装用状態で物体側の屈折面となる外面と、装用状態で眼球側の屈折面となる内面とを有する累進屈折力レンズの製造方法であって、
    前記外面及び前記内面のうち少なくとも一方の面を、
    装用状態でレンズの上方に設けられ、比較的遠方視に適した遠用部と、
    装用状態でレンズの下方に設けられ、比較的近方視に適した近用部と、
    前記遠用部と前記近用部の間に設けられ、前記遠用部から前記近用部までの面屈折力を累進的に変化させる累進部と
    を有する累進面形状に形成し、
    前記外面及び内面のうちの一方の面を予め決定された面形状を有する基準面とし、前記一方の面とは異なる他方の面を補正面とし、処方値で指定された遠用度数をS、処方値で指定された乱視度数をC、処方値で指定された加入度をaddとした場合において、
    前記基準面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記基準面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記基準面の面加入度をADDb(S,C,add)とし、前記補正面の前記近用基準点での前記面平均屈折力と前記補正面の前記遠用基準点での前記面平均屈折力との差である前記補正面の面加入度をADDc(S,C,add)とすると、
    Figure 0005135158
    の条件式を満足させる
    ことを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
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