JP5133518B2 - 滑走面用ワックスおよびその製造方法 - Google Patents
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滑走面に塗布される滑走面用ワックスであって、
前記滑走面用ワックスに含まれる基材中に、0.1〜10wt%の粒径0.1〜500μmを有する窒化ホウ素と、0.1〜1wt%の粒径10μm〜1000μmを有するガリウムとが含有されていることを特徴とする滑走面用ワックスである。
高分子化合物のワックス基材を加熱融解し、0.1〜10wt%の粒径0.1〜500μmを有する窒化ホウ素と、0.1〜1wt%の粒径10μm〜1000μmを有するガリウムとを添加混合した後、冷却することを特徴とする滑走面用ワックスの製造方法である。
滑走面用の固形のワックスは、その基材としてパラフィンワックスを始めとする高分子化合物を含んでいる。特に、スキー用に開発された滑走面用の固形のワックスは、使用される際の雪温、気温、湿度に応じてそのワックス成分を変化させている。
本発明に係る滑走面用の固形のワックスにおいても、基材として含有するパラフィンワックスを始めとする高分子化合物は、使用される雪温に応じて選択される従来のワックス成分をそのまま用いることが出来る。これは、本発明に係る窒化ホウ素を添加した場合、窒化ホウ素が化学的に安定な物質であるため、基材との反応を考慮せず自由に混合できること、および、雪温、気温、湿度に適応したパラフィンワックスを始めとする高分子化合物を基材として用いることで、これらが雪温等に適合して発揮する滑走性を引き続き享受することができ相乗的な効果が得られるからである。
当該基材への窒化ホウ素の混合量は0.1〜10wt%で良く、0.8〜1.2wt%がさらに好ましい。
高分子化合物である固形ワックス基材を融点以上に加温し、得られた固形ワックス基材の融液へ窒化ホウ素粒子の添加を行う。添加が完了したら、これらを十分に混合、分散させるため強攪拌する。当該攪拌後に加温を終了し、融液を鋳型に流し込み冷却して固体状のワックスとして成形し、鋳型から離型後、固体状のワックスを得る。
ガリウムの添加量は、当該滑走面用の固形のワックスに対して、0.1〜1重量%含まれていれば、さらに広範囲な雪質、気温、湿度にも十分対応可能となる。重量比で1%であっても、ガリウムは比重が固形のワックスより高いため、容積比では、1%に満たない。ガリウムがこのようにわずかな配合比でも優れた効果を発揮するのは、固形のワックスと混合された状態において、その粒径が微小化されるため極めて高い比表面積を有するためであると考えられる。尚、ガリウムの粒径は、10μm〜1000μmが好ましい。
また、さらに弗化炭素粉などを混合しても良い。
滑走面用の液体状のワックスは、フッ素系溶剤中に、「1.固形のワックス」にて説明したものと同様の窒化ホウ素(さらに加えて、所望により「1.固形のワックス」にて説明したものと同様の金属ガリウム他の添加金属)が分散混合されたものである。当該窒化ホウ素(さらに加えて、所望により金属ガリウム他の添加金属)の分散混合量は、当該溶剤の0.1〜5重量%であることが好ましい。そして、当該当該窒化ホウ素(さらに加えて、所望により金属ガリウム他の添加金属)と、フッ素系溶剤とを含む液体状のワックスは、加圧容器内に封入され、スプレー操作により滑走面に塗布可能なものもある。
(参考例1)
ワックス基材として、ガリウムを含まない市販の滑走用パラフィン系ワックス(ドウワガリウムワックス販売社製)を100g準備した。
当該ワックス基材を80℃に保温して溶解し、ここへ、最大粒径100μm以下の窒化ホウ素粉を1g添加した。当該添加の後、窒化ホウ素粉を添加したワックス基材を保温しながら10分間程度攪拌する。当該攪拌が完了したら保熱を停止し、溶解したワックス基材を鋳型に流し込み放冷し、当該放冷後に離型して参考例1に係る固形ワックスを得た。
ガリウム粉体として、平均粒径100μmのガリウム粉体0.5gを 準備した。
そして参考例1と同様に、ワックス基材を溶解し、ここへ、窒化ホウ素粉1gと当該ガリウム粉体とを添加した。この後も参考例1と同様の操作を行い、実施例1に係る固形ワックスを得た。
ガリウム粉体として、平均粒径100μmのガリウム粉体0.5gを準備した。
そして参考例1と同様に、ワックス基材を溶解し、ここへ、当該ガリウム粉体のみを添加した。この後も参考例1と同様の操作を行い、比較例1に係る固形ワックスを得た。
国内のスキー場の斜面にて、同一の滑走用スキー板の滑走面を用い、参考例1、実施例1、比較例1に係る固形ワックスの滑走性評価を実施した。
当該評価時の気象条件は、雪温−1℃、気温0℃、雪面湿度78%であった。滑走距離は70mとした。
まず、スキー板の滑走面に、比較例1にかかる固形ワックスを塗布した。当該固形ワックスを塗布したスキーにて4回滑走を行い、滑走時間を計測し平均値を求めた。この時の滑走時間は8.01〜8.24秒であり、平均は8.11秒であった。
さらに、滑走面の固形ワックスを除去し、参考例1と同様に実施例1に係るワックスを塗布し、参考例1と同様に滑走時間の短縮率を算出したところ、当該短縮率は5.3%であった。
ワックス基材として、ガリウムを含まない市販の低温用の滑走用パラフィン系ワックス(ドウワガリウムワックス販売社製)を100g準備した。
当該ワックス基材の他は、参考例1と同様に操作して、参考例2に係る固形ワックスを得た。
ワックス基材として、参考例2で説明したワックス基材を用いた他は、実施例1と同様に操作して、実施例2に係る固形ワックスを得た。
ワックス基材として、参考例2で説明したワックス基材を用いた他は、比較例1と同様に操作して、比較例2に係る固形ワックスを得た。
国内のスキー場の斜面にて、同一の滑走用スキー板の滑走面を用い、上述した(滑走性評価その1)と同様にして、参考例2、実施例2、比較例2に係る固形ワックスの滑走性評価を実施した。
当該評価時の気象条件は、雪温−4℃、気温−1℃、雪面湿度70%であった。滑走距離は70mとした。この時の滑走時間は10.62〜10.90秒であり、平均は10.78秒であった。これは上述した(滑走性評価その1)のときより滑走し難い雪面であった。
さらに、滑走面の固形ワックスを除去し、参考例1と同様に実施例2に係るワックスを塗布し、参考例1と同様に滑走時間の短縮率を算出したところ、当該短縮率は6.3%であった。
Claims (2)
- 滑走面に塗布される滑走面用ワックスであって、
前記滑走面用ワックスに含まれる基材中に、0.1〜10wt%の粒径0.1〜500μmを有する窒化ホウ素と、0.1〜1wt%の粒径10μm〜1000μmを有するガリウムとが含有されていることを特徴とする滑走面用ワックス。 - 高分子化合物のワックス基材を加熱融解し、0.1〜10wt%の粒径0.1〜500μmを有する窒化ホウ素と、0.1〜1wt%の粒径10μm〜1000μmを有するガリウムとを添加混合した後、冷却することを特徴とする滑走面用ワックスの製造方法。
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