JP5133409B2 - 被覆層を有する構造化研磨材、並びにその製造及び使用方法 - Google Patents

被覆層を有する構造化研磨材、並びにその製造及び使用方法 Download PDF

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Description

長年、「構造化研磨物品」として一般的に既知の研磨物品の部類は、表面仕上げに用いるために市販されてきている。構造化研磨物品は、裏材に貼合されたトポグラフィカル構造化研磨材層を有しており、例えば、所望により界面活性剤を含有する水等の液体と併用される場合が多い。トポグラフィカル構造化研磨層は、それぞれ研磨剤粒子を結合剤に分散させた、(典型的には微小寸法の)複数の形状化研磨剤複合体を有している。多くの場合、この形状化研磨剤複合体は、例えば、様々な幾何学的な形状(例えば、ピラミッド型)に準じて精密に形成される。かかる構造化研磨物品の例としては、ミネソタ州セント・ポール(St. Paul)の3Mカンパニー(3M Company)から取引表記「トライザクト(TRIZACT)」として販売されているものが挙げられ、これは、ウレタン系、アクリレート系、又はシリケート系の化学物質をベースとする自動車用クリアコート(例えば、取引表記「466LA−3Mトライザクト・フィネス−イット・フィルム(466LA-3M TRIZACT FINESSE-IT FILM)」として入手可能なものと同様のもの)における不具合を除去するために自動車産業で使用されている。
構造化研磨物品は、用具(例えば、ディスクサンダー又はランダム・オービット・サンダー)に取り付けられたバックアップパッド(backup pad)と組み合わせて使用される場合が多い。そのような用途では、構造化研磨物品は典型的には、使用中にそれらをバックアップパッドに貼合する取り付け界面層(例えば、フック状フィルム、ループ状布地、又は接着剤)を有している。
多くの構造化研磨物品は、初期使用時に効果的(aggressive)な切削性に欠け、連続して使用するにつれて切削性が向上することが知られている。このことは、研磨材粒子が、研磨剤複合体の本体内の結合剤中に埋め込まれていて研磨に利用できないために、生じる可能性がある。低い初期切削性という課題に取り組むために当該技術分野で用いられる一つの技法は、構造化研磨物品の研磨表面を、その初期使用前に、サンドペーパーなどの別の被覆研磨物品を用いて研削することであった。
現在の製品の切削性能は、加工物のコーティング材料の種類に非常に影響を受け易く、このコーティング材料は、ポリウレタン、アクリレート、粉末コーティング、更にはナノ粒子で強化されたシリケート系の硬質コーティングのような多種多様な技法に基づく場合がある。
一態様では、本発明は、構造化研磨物品であって、
第1主表面及びそれと対向する第2主表面を有する裏材;
前記裏材に固定されたトポグラフィカル構造化研磨層であって、前記トポグラフィカル構造化研磨層が、精密形状の研磨剤複合体を含み、前記精密形状の研磨剤複合体が、架橋ポリマー結合剤の中に研磨剤粒子を含み、前記研磨剤粒子が所定のD50を有する、トポグラフィカル構造化研磨層;及び
前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上に配置された固体被覆層であって、前記固体被覆層が、モース硬度が少なくとも4の削剥粒子と水溶性ポリマーとを含み、前記削剥粒子が前記研磨剤粒子のD50以下の所定のD50を有する固体被覆層;を備える、構造化研磨物品を提供する。
一部の実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレンオキシド)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、セルロース系ポリマー、グアーガム、又はアクリルポリマーのうち少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、裏材は、フィルム裏材を含む。一部の実施形態では、削剥粒子は、炭化ケイ素又は酸化アルミニウムのうち少なくとも一方を含む。一部の実施形態では、削剥粒子は、研磨剤粒子の少なくとも一部よりも小さなモース硬度を有している。一部の実施形態では、固体被覆層は連続的である。一部の実施形態では、精密形状の研磨剤複合体は、裏材に対して10〜525マイクロメートルまでの範囲の高さを有する。一部の実施形態では、構造化研磨物品は更に、裏材の第2主表面に貼合された取り付け界面層をも含む。一部の実施形態では、架橋ポリマー結合剤は、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート、イソシアヌレート、アミノプラスト、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの構成成分を含む。一部の実施形態では、研磨剤粒子は、酸化アルミニウム、溶融酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、セラミック系酸化アルミニウム、炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素、アルミナ−ジルコニア、セリア、酸化鉄、ガーネット、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態では、研磨剤粒子は、0.01〜200マイクロメートルまでの範囲のD50を有する。
本発明による構造化研磨物品は、例えば加工物を研磨するのに有用である。別の態様では、本発明は加工物の研磨方法であって、
本発明による前記構造化研磨物品の前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部を水の存在下で加工物と摩擦接触させる工程と、
前記加工物又は前記トポグラフィカル構造化研磨層のうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させて、前記加工物の表面の少なくとも一部を研磨する工程と、を含む、加工物の研磨方法を提供する。
更に別の態様では、本発明は構造化研磨物品の製造方法であって、前記方法が、
構造化研磨物品を提供する工程であって、
第1主表面及び前記第1主表面と対向する第2主表面を有する裏材と、
前記裏材に固定されたトポグラフィカル構造化研磨層であって、精密形状の研磨剤複合体を含み、前記精密形状の研磨剤複合体が架橋ポリマー結合剤の中に研磨剤粒子を含み、かつ、前記研磨剤粒子が所定のD50を有する、トポグラフィカル構造化研磨層と、を含む、構造化研磨物品を提供する工程と、
前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上に固体被覆層を配置する工程であって、前記固体被覆層が、モース硬度が少なくとも4の削剥粒子と水溶性ポリマーとを含み、前記削剥粒子が、前記研磨剤粒子のD50以下の所定のD50を有する固体被覆層を配置する工程と、を含む、構造化研磨物品の製造方法を提供する。
一部の実施形態では、前記方法は、取り付け界面層を裏材の第2主表面に貼合する工程を更に含む。
一部の実施形態では、固体被覆層を配置する前記工程には、削剥粒子、水溶性ポリマー、及び液体ビヒクルを含む液体混合物を、前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上にコーティングする工程と、十分な量の液体ビヒクルを除去して前記固体被覆層を提供する工程と、が含まれる。
これら実施形態では、液体混合物のコーティング工程に、ロールコーティング又は噴霧の中の少なくとも一方が含まれる。
有利なことに、極めて薄いコーティングレベルであったとしても、被覆層を有する本発明による構造化研磨物品は、前記固体被覆層を持たない対応する構造化研磨物品と比べると、改善された初期切削を示し、使用前の別個のコンディショニング工程の必要性が効果的に省かれる。
更には、本発明による被覆層を有する構造化研磨物品は、固体被覆層を持たない対応する構造化研磨物品ではこれまで達成されなかった、粉体クリアコートの表面仕上げにも有用であることが分かる。
本明細書で使用するとき、
粒子に関する用語「D50」とは、容積基準の中央値粒径、すなわち、粒子の50容積%がそれ以下の粒径を有する粒径を指し、
用語「ポリマー」とは、少なくとも1000グラム/モルの分子量を有し、かつ、結合反復単位を有する、多数の天然及び合成の化合物のうちのいずれかを指し、前記単位はそれぞれ、比較的軽分子で単純な分子であり、
及び研磨剤複合体を説明するのに用いられる用語「精密形状の」とは、比較的平滑な表面を有する面によって画定される形状の研磨剤複合体であって、前記面が、様々な面の交差によって画定される明瞭な終端で識別できるエッジ長を有する明確に確定される鋭い縁部によって境界付けられ、かつ、接合しているものを指す。
本発明の一実施形態により詳細に記述される被覆層を有する代表的な構造化研磨材の概略側断面図。 比較例Aで使用されるポリプロピレン用具のデジタル顕微鏡写真。 いずれかの被覆層でコーティングする前の、実施例1で用いられる構造化研磨物品のデジタル顕微鏡写真。 実施例1に準じて調製される、固体被覆層を有する構造化研磨物品のデジタル顕微鏡写真。
ここで図1を参照すると、代表的な構造化研磨物品100は、第1主表面112、及びそれと対向する第2主表面114をそれぞれ有する裏材110と、この裏材110に固定されたトポグラフィカル構造化研磨層120と、を備えている。トポグラフィカル構造化研磨層120は、精密形状の研磨剤複合体130を含んでいる。精密形状の研磨剤複合体130は、架橋ポリマー結合剤150の中に研磨剤粒子140を含んでいる。固体被覆層160は、トポグラフィカル構造化研磨層120の少なくとも一部の上に配置される。固体被覆層160は、モース硬度が少なくとも4の削剥粒子170と、水溶性ポリマー180と、を含んでいる。削剥粒子170は、研磨剤粒子140のD50以下の所定のD50を有する。任意の取り付け界面層190は、裏材110の第2主表面114に貼合されている。
好適な裏材としては、例えば、高分子フィルム(下塗りされた高分子フィルムを包含する)、布地、紙、有孔及び無孔の高分子発泡体、バルカナイズド・ファイバー、繊維強化された熱可塑性裏材、メルトスパン又はメルトブローン不織布、これらの処理型(例えば、防水処理されたもの)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。高分子フィルムに使用するのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリイミド、ポリカーボネート、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、裏材の少なくとも一方の主表面は、(例えば、第1主表面としての機能を果たすように)平滑である。裏材は、種々の添加剤(複数)を含有することができる。好適な添加剤の例としては、着色剤、加工助剤、強化繊維、熱安定剤、UV安定剤、及び酸化防止剤が挙げられる。有用な充填剤の例としては、粘土、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、タルク、粘土、雲母、木粉、及びカーボンブラックが挙げられる。
裏材は、いかなる厚さでもあり得るが、一般には、凝集一体性(cohesive integrity)を与えるに十分な厚さであり、ある程度の可撓性を許容するに十分な薄さであるが、裏材は必要に応じて剛性であってもよい。裏材は、その上に1つ以上の処理(例えば、バックサイジング、サブサイジング、プレサイジング、結合層、プライマー層、及び/又は飽和剤)を有する、処理済みの裏材を含んでいてよい。裏材は、例えば2つ以上の別個の層を有する共押出フィルムのような、複合フィルムを含んでいてよい。裏材の第2主表面は、滑り抵抗コーティング又は摩擦コーティングを含んでよい。そのようなコーティングの例としては、接着剤中に分散された無機微粒子(例えば、炭酸カルシウム又は石英)が挙げられる。
トポグラフィカル構造化研磨層は、意図される使用期間中にそれが裏材から分離しないように、裏材に固定されている。典型的には、トポグラフィカル構造化研磨層は、裏材と直接接触しており、架橋ポリマー結合剤の硬化中に固定されるが、例えば接着剤層(例えば、ホットメルト接着剤層)による等の別の手段で裏材に固定してもよい。
精密形状の研磨剤複合体は、あらゆる精密形状を有してもよいが、典型的には、角錐状の研磨剤複合体、切頭角錐状の研磨剤複合体、プリズム状の研磨剤複合体、ユルト型の研磨剤複合体、又はこれらの混合であってもよい。「角錐状の研磨剤複合体」という用語は、角錐形状(つまり、多角形の底辺と共通点(頂点)で交わる三角形の面とを有する立体図形)を有する研磨剤複合体を指す。好適な精密形状の研磨剤複合体の例としては、三角錐、四角錐、五角錐、及び六角錐状の研磨剤複合体、切頭角錐状の研磨剤複合体、プリズム状の研磨剤複合体、並びにユルト型の研磨剤複合体が挙げられる。異なる形の精密形状の研磨剤複合体及び/又は異なる高さの精密形状の研磨剤複合体の組み合わせを使用してもよい。例えば、角錐状の精密形状の研磨剤複合体に、それよりも低い高さの切頭角錐状の精密形状の研磨剤複合体が散在させてあってもよい。精密形状の研磨剤複合体は、規則的であっても(あらゆる面が相等しい)又は不規則であってもよい。
精密形状の研磨剤複合体は、トポグラフィカル構造化研磨層を画定し、典型的には、密集した配置(例えば、配列)で並べられており、隣り合う精密形状の研磨剤複合体はそれぞれの底辺で互いに接触しているが、少なくとも一部の隣り合う精密形状の研磨剤複合体間の分離は容認される。トポグラフィカル構造化研磨層に間隙(例えば、縞模様)が存在してもよい。
精密形状の研磨剤複合体の裏材に対する高さは、典型的には少なくとも10マイクロメートル〜600マイクロメートルまでの範囲であるが、この高さはおよその値であってよい。更に一般的には、精密形状の研磨剤複合体の裏材に対する高さは、10マイクロメートル〜525マイクロメートルまでの範囲、あるいは更に10マイクロメートル〜100マイクロメートルまでの範囲である。
精密仕上げ用途の場合、トポグラフィカル構造化研磨層中の精密形状の研磨剤複合体の面密度は、典型的に、1平方センチメートル当たり研磨剤複合体が少なくとも150個、1,500個、更には7,800個(例えば、1平方インチ当たり研磨剤複合体が少なくとも1,000個、10,000個、更には少なくとも20,000個も)〜1平方センチメートル当たり研磨剤複合体が7,800個、11,000個、更には15,000個もの数まで及びそれらの数を包含する範囲(1平方インチ当たり研磨剤複合体が50,000個、70,000個、更には100,000個もの数まで及びそれらの数を包含する範囲)であるが、これよりも高い又は低い密度の研磨剤複合体を使用してもよい。
研磨材分野で既知の任意の研磨剤粒子を研磨剤複合体に包含してもよい。有用な研磨剤粒子の例としては、酸化アルミニウム、溶融酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム(これには、褐色酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、及び白色酸化アルミニウムが包含される)、セラミック系酸化アルミニウム、炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素、アルミナ−ジルコニア、クロミア、セリア、酸化鉄、ガーネット、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせが挙げられる。修復及び仕上げ用途の場合、有用な研磨剤粒子の大きさは、典型的には、少なくとも0.01、0.1、1、3、更には5マイクロメートル〜35、50、100、更には200マイクロメートルまで及びそれらの数を包含する範囲であるが、この範囲外の粒径を使用してもよい。一部の実施形態では、研磨剤粒子のD50は、少なくとも0.01、0.1、1、3、更には5マイクロメートル〜35、50、100、更には200マイクロメートルまで及びそれらの数を包含する範囲であるが、この範囲外のD50の値を使用してもよい。
研磨剤粒子を互いに(結合剤以外によって)接着させて、例えば、米国特許第4,311,489号(クレスナー(Kressner))、並びに米国特許第4,652,275号及び同4,799,939号(双方ともブレッチャー(Bloecher)ら)に記載されているような粒塊を形成することもできる。
研磨剤粒子は、その上に表面処理剤を有してよい。場合によっては、表面処理剤は、結合剤との接着性を高めるか、研磨剤粒子の研磨特性を変化させる等の場合がある。表面処理剤の例としては、カップリング剤、ハロゲン化物塩、シリカを包含する金属酸化物、耐火性金属窒化物、及び耐火性金属炭化物が挙げられる。
研磨剤複合体(角錐状若しくは切頭角錐状に関わらず)はまた、典型的には研磨剤粒子と同程度の大きさの希釈剤粒子を含んでいてもよい。そのような希釈剤粒子の例としては、石膏、大理石、石灰岩、フリント、シリカ、ガラス球、ガラスビーズ、及びケイ酸アルミニウムが挙げられる。
研磨剤粒子を結合剤中に分散することで、研磨剤複合体が形成される。架橋ポリマー結合剤は、一般には、対応する硬化性結合剤前駆体から形成される。構造化研磨物品の製造中に、硬化性結合剤前駆体を、硬化プロセスを促進するエネルギー源に暴露する。エネルギー源の例としては、熱エネルギー、並びに電子ビーム、紫外線、及び可視光線を包含する放射線エネルギーが挙げられる。
硬化中、硬化性結合剤前駆体は、架橋高分子物質の形成によって、固化された結合剤へと転化される。完全に硬化しなくてもよいが、硬化性結合剤前駆体の固化が生じるに十分な硬化によって、研磨剤複合体が形成される。
熱硬化性樹脂には、縮合硬化性樹脂及び付加重合性樹脂という2つの主分類が存在する。付加重合性樹脂は、放射線エネルギーへの曝露によって容易に硬化するため、有利である。付加重合樹脂は、カチオン性機構又はフリーラジカル性機構を通じて重合することができる。利用されるエネルギー源及び結合剤前駆体の化学的性質に応じて、重合開始を補助するために硬化剤、開始剤、又は触媒が時に好まれる。
典型的な結合剤前駆体の例としては、フェノール樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アミノプラスト樹脂、ウレタン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、シアネート樹脂、イソシアヌレート樹脂、アクリレート樹脂(例えば、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシ、エチレン性不飽和化合物、ペンダントα,β−不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト誘導体、少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有するイソシアヌレート誘導体、及び少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体)、ビニルエーテル、エポキシ樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を包含する。
フェノール樹脂は、本発明に好適であり、良好な熱的特性を有し、入手しやすく、比較的低コストであり、取り扱いが容易である。フェノール樹脂には、レゾール及びノボラックという2種類が存在する。レゾールフェノール樹脂は、ホルムアルデヒドとフェノールとのモル比が1:1以上、典型的には約1.5:1.0〜3.0:1.0である。ノボラック樹脂のホルムアルデヒドとフェノールとのモル比は1:1未満である。市販のフェノール樹脂の例としては、テキサス州ダラス(Dallas)のオクシデンタル・ケミカルズ社(Occidental Chemicals Corp.)製の取引表記「デュレス(DUREZ)」及び「バーカム(VARCUM)」、ミズーリ州セントルイス(Saint Louis)のモンサント社(Monsanto Co.)製の取引表記「レジノックス(RESINOX)」,並びにオハイオ州ダブリン(Dublin)のアッシュランド・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ashland Specialty Chemical Co.)製の取引表記「エアロフェン(AEROFENE)」及び「アロタップ(AROTAP)」として既知のものが挙げられる。
アクリル化ウレタンは、典型的には、ヒドロキシ末端のNCO−伸長ポリエステル又はポリエーテルのジアクリレートエステルである(が、それらは多少のアクリレート官能基を有する場合がある)。市販のアクリル化ウレタンの例としては、モートン・チオコール・ケミカル(Morton Thiokol Chemical)製の取引表記「ユビタン(UVITHANE)782」、並びにジョージア州スミルナ(Smyrna)のUCBラドキュア(Radcure)製の取引表記「CMD 6600」、「CMD 8400」及び「CMD 8805」として入手可能なものが挙げられる。
アクリル化エポキシは、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルのような、エポキシ樹脂のジアクリレートエステルである。市販のアクリル化エポキシの例としては、UCBラドキュア(UCB Radcure)製の取引表記「CMD 3500」、「CMD 3600」、及び「CMD 3700」として入手可能なものが挙げられる。
エチレン性不飽和樹脂には、炭素原子、水素原子、及び酸素原子、並びに所望により窒素原子及びハロゲン原子を含有する、モノマー性化合物とポリマー性化合物の双方が包含される。酸素若しくは窒素原子又はその双方は、一般に、エーテル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、及び尿素基に含まれる。エチレン性不飽和化合物は、好ましくは約4,000g/モル未満の分子量を有しており、好ましくは脂肪族モノヒドロキシ基又は脂肪族ポリヒドロキシ基を含有する化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸との反応から生成されるエステルである。アクリレート樹脂の代表的な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。他のエチレン性不飽和樹脂としては、モノアリルエステル、ポリアリルエステル、及びポリメタリルエステル、並びにカルボン酸のアミド、例えば、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びN,N−ジアリルアジパミドが挙げられる。更に他の窒素含有化合物としては、トリス(2−アクリロイル−オキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリ(2−メチルアクリルオキシエチル)−s−トリアジン(1,3,5-tri(2-methyacryloxyethyl)-s-triazine)、アクリルアミド、メチルアクリルアミド(methylacrylamide)、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルピペリドンが挙げられる。
アミノプラスト樹脂は、分子又はオリゴマー当たり少なくとも1個のペンダントα,β−不飽和カルボニル基を有する。これらの不飽和カルボニル基は、アクリレート、メタクリレート、又はアクリルアミド型の基であってよい。かかる材料の例としては、N−(ヒドロキシメチル)アクリレート、N,N’−オキシジメチレンビスアクリルアミド、オルト−及びパラ−アクリルアミドメチル化フェノール、アクリルアミドメチル化フェノールノボラック、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これら材料は更に、米国特許第4,903,440号及び同5,236,472号(いずれもカーク(Kirk)ら)にも記載されている。
少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアヌレート誘導体、及び少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体は、更に米国特許第4,652,274号(ベッチャー(Boettcher)ら)にも記載されている。あるイソシアヌレート材料の例は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートである。
エポキシ樹脂は、1つ以上のオキシラン環(複数)を有しており、開環によって重合される。かかるエポキシド樹脂には、モノマー性エポキシ樹脂及びオリゴマー性エポキシ樹脂が挙げられる。有用なエポキシ樹脂の例としては、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニルプロパン](ビスフェノールのジグリシジルエーテル)及びテキサス州ヒューストン(Houston)のレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)から取引表記「イーポン(EPON)828」、「イーポン1004」、及び「イーポン1001F」として、並びにミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)から取引表記「DER−331」、「DER−332」、及び「DER−334」として入手可能な材料が挙げられる。他の好適なエポキシ樹脂としては、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)から取引表記「DEN−431」及び「DEN−428」として市販されているフェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテルが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂は、適切なカチオン性硬化剤を添加することにより、カチオン性機構によって重合することができる。カチオン性硬化剤は、酸源(acid source)を生成してエポキシ樹脂の重合を開始させる。これらのカチオン性硬化剤としては、オニウムカチオンと金属又はメタロイドの錯体アニオンを包含するハロゲンとを有する塩を挙げることができる。
他のカチオン性硬化剤には、有機金属錯体カチオンと金属又はメタロイドの錯体アニオンを包含するハロゲンとを有する塩が挙げられ、それらは米国特許第4,751,138号(ツミー(Tumey)ら)に更に記載されている。別の例は有機金属塩であり、オニウム塩は米国特許第4,985,340号(パラゾット(Palazzotto)ら)、米国特許第5,086,086号(ブラウン−ウェンズリー(Brown-Wensley)ら)、及び米国特許第5,376,428号(パラゾットら)に記載されている。更に、他のカチオン性硬化剤としては、米国特許第5,385,954号(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されている、周期表のIVB族、VB族、VIB族、VIIB族、及びVIIIB族の元素から選択される金属の有機金属錯体のイオン性塩が挙げられる。
フリーラジカル硬化性樹脂については、場合によって、研磨材スラリーがフリーラジカル硬化剤を更に含むことが好ましい。しかしながら、エネルギー源が電子ビームの場合、電子ビーム自体がフリーラジカルを生成するので硬化剤は必ずしも必要でない。
フリーラジカル熱開始剤の例としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾ化合物、ベンゾフェノン、及びキノンが挙げられる。紫外光又は可視光のいずれかがエネルギー源である場合、この硬化剤は、時に光開始剤と呼ばれることがある。紫外線に曝露されるとフリーラジカル源を生成する開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アクリルハライド、ヒドロゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン(chloroalkytriazines)、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、及びアセトフェノン誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。可視光線に暴露するとフリーラジカル源を生成する開始剤の例としては、米国特許第4,735,632号(オキシマン(Oxman )ら)に見出すことができる。可視光と併用するのに好適な一つの開始剤は、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から取引表記「イルガキュア(IRGACURE)369」として入手可能である。
トポグラフィカル構造化研磨層を調製するために、研磨剤粒子と硬化性結合剤前駆体と精密形状の研磨剤複合体中に包含されるいずれかの追加成分とを含むスラリーを調製し、スラリーを所望のトポグラフィカル構造化研磨層に対して逆の形状(complementary shape)及び配列の精密形状の空洞表面を有する製造用具に押し込む(urge)。続いてこのスラリーは一般的には、製造用具の空洞内に存在している間に、それを固化するため及びそれを裏材に固定するために十分に硬化される。次いで、トポグラフィカル構造化研磨層の接着した裏材を、前記用具から分離させることで、構造化研磨物品が形成される。結合剤の更なる硬化(例えば、後硬化)を、この時点か又はその後で行ってもよい。
製造用具は、ベルト、シート、連続シート若しくはウェブ、輪転グラビアロールのようなコーティングロール、コーティングロールに取り付けられたスリーブ、又はダイであってもよい。製造用具は、金属(例えば、ニッケル)、金属合金、又はプラスチックから構成することができる。金属の製造用具は、例えば、彫刻法、ホッビング法(bobbing)、電鋳法、又はダイヤモンド旋削法のようないずれかの従来の技術によって制作することができる。
熱可塑性樹脂製の用具は、金属製マスター用具から複製することができる。マスター用具は、製造用具に要求されるのとは逆のパターンを有している。マスター用具は、製造用具と同様の方法で製造することも可能である。マスター用具は好ましくは、金属、例えばニッケルで製造し、ダイヤモンド旋削される。熱可塑性シート材料は、所望により、マスター用具に添わせて加熱することができ、その結果その熱可塑性材料は、その2つを一緒に加圧することによって、マスター用具パターンでエンボス加工される。熱可塑性材料はまた、マスター用具上に押出すか又は流延し、次いで加圧することも可能である。熱可塑性材料を冷却し固化させて製造用具が製造される。好ましい熱可塑性製造用具材料の例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性製造用具を利用する場合、熱可塑性製造用具を変形させ得る過度の熱を発生させないように注意を払うべきである。
製造用具はまた、製造用具から研磨物品をより容易に剥離できるように離型コーティングを含んでいてもよい。金属用のそのような離型コーティングの例としては、硬質の炭化物コーティング、窒化物コーティング、又はホウ化物コーティングが挙げられる。熱可塑性樹脂用の離型コーティングの例としては、シリコーン及びフルオロケミカルが挙げられる。
裏材に固定された精密形状の研磨剤複合体を有するトポグラフィカル構造化研磨物品に関する更なる詳細及びその製造方法は、米国特許第5,152,917号(ピーパ(Pieper)ら)、米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)、米国特許第5,672,097号(フープマン(Hoopman))、米国特許第5,681,217号(フープマンら)、米国特許第5,454,844号(ヒバード(Hibbard)ら)、米国特許第5,851,247号(ストゥーゼル(Stoetzel)ら)、米国特許第6,139,594号(キンケイド(Kincaid)ら)、及び同時係属中の同一出願人による米国特許出願第11/380,444号(ウー(Woo)ら)に見出すことができる。
固体被覆層は、一様な厚さであっても、不均一な厚さであってもよく、またそれは連続的であっても断続的であってもよく、トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上に配置される。例えば、固体被覆層は、連続的又は断続的なパターンによって、トポグラフィカル構造化研磨層上に配置され得る。より一般的には、固体被覆層は、トポグラフィカル構造化研磨層の実質的に外表面全体(すなわち、研磨表面)の上に配置される。
固体被覆層は、削剥粒子と水溶性ポリマーとを含む。
削剥粒子は、モース硬度が少なくとも4(例えば、モース硬度が少なくとも約4.8)であれば、例えば、本明細書に研磨剤粒子に関して記載されているようなもの等のいかなる既知の研磨物質を含んでいてよく、それによって、削剥粒子が架橋ポリマー結合剤を研磨して、研磨剤複合体の研磨剤粒子を露出させることができる。例えば、削剥粒子は、炭化ケイ素又は酸化アルミニウムのうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
削剥粒子は、研磨剤粒子のD50以下の所定のD50を有する。というのも、それよりも大きな粒子は、加工物に望ましくない表面擦過傷をもたらす可能性があるためである。同様に、削剥粒子は、研磨剤粒子の少なくとも一部、更には全てよりも小さなモース硬度を有していてもよく、それによって一般に、研磨剤粒子に比べて加工物に対するそれらの磨耗作用が軽減される。
水溶性ポリマーは、水に溶解し及び一般的な周囲条件及び/又は梱包条件下、望ましくは周囲温度又はそれよりも僅かに高い温度(例えば、25℃及び/又は40℃)で固化する、いかなるポリマー又はポリマー混合物であってもよい。好適な水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール(例えば、比較的低い分子量及び/又は約95%未満の加水分解度を有するポリビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリエチレンオキシドワックス及びポリポリプロピレンオキシドワックス)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、セルロース系ポリマー、グアーガム、アクリルポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
削剥粒子と水溶性ポリマーは、削剥粒子を乾燥状態のまま保持するのに十分な量の水溶性ポリマーが存在するのであれば、いかなる容積比(例えば、削剥粒子と、削剥粒子及び水溶性ポリマーを合わせた合計との容積比5〜75%)で存在してもよい。
被覆層は、いかなる塗布重量を有してもよいが、典型的には1平方メートル当たり3.2〜16グラム(24平方インチ当たり0.05〜0.25グラム)までの範囲の塗布重量が、性能と費用との良好なバランスをもたらす。
被覆層は典型的には、水溶性ポリマーをその中に溶解させた液体ビヒクル中で削剥粒子を分散させた液としてトポグラフィカル構造化研磨層の最も外側の表面に配置させた後に(例えば、オーブン内での)乾燥工程によって、被覆層が固化するに十分な量の液体ビヒクルを除去させるが、これ以外の方法を使用してもよい。液体ビヒクルは典型的には、水性液体ビヒクル、例えば、水、又は水及び水と混和性の揮発性有機溶剤(a mixture of water and a miscible volatile organic solvent or solvents)(単体若しくは複数)(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び/又はアセトン)との混合物である。被覆層は、連続層又は不連続層としてトポグラフィカル構造化研磨層に適用してもよく、均一又は不均一な、パターンあり又はそうでなくてもよい。水溶性ポリマーをその中に溶解させた液体ビヒクル中に削剥粒子を分散させたものを塗布する方法としては、例えば、ロールコーティング及び噴霧が挙げられる。
裏材の裏面(すなわち、トポグラフィカル構造化研磨層とは反対側の裏材の面)には、従来の方式に従って適切な情報を印刷することで、例えば製造識別番号、等級数、及び/又は製造者のような情報を示してもよい。あるいは又はそれに加えて、研磨剤複合体を通して印刷が判別可能なほど十分に研磨剤複合体が透明な場合は、裏材の前面に、前記と同種の情報を印刷してもよい。
本発明による構造化研磨物品は、所望により、裏材の第2主表面に貼合された取り付け界面層を有し、例えばランダム・オービタル・サンダーのような用具に固定された支持パッド又はバックアップパッドに構造化研磨物品を固定することを容易にできる。任意の取り付け界面層は、接着剤(例えば、感圧性接着剤)層であっても、両面接着テープであってもよい。
任意の取り付け界面層は、適切に機能するために、支持パッド又はバックアップパッドに貼合された1つ以上の相補的な要素と連携するように構成されてもよい。例えば、任意の取り付け界面層は、フック・ループ式取付具用のループ状布地(例えば、そこにフック状構造物が貼合されたバックアップパッド若しくは支持パッドと併用するためのもの)、フック・ループ式取付具用のフック状構造物(例えば、そこにループ状布地が貼合されたバックアップパッド若しくは支持パッドと併用するためのもの)、又は噛合取り付け界面層(例えば、バックアップパッド若しくは支持パッド上のキノコに似た形の噛合締結具と噛み合うように設計されたキノコ形の噛合締結具)を含んでよい。かかる取り付け界面層に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第4,609,581号(オット(Ott))、米国特許第5,152,917号(ピーパ(Pieper)ら)、米国特許第5,254,194号(オット)、米国特許第5,454,844号(ヒバード(Hibbard)ら)、米国特許第5,672,097号(フープマン(Hoopman))、米国特許第5,681,217号(フープマンら)、並びに米国特許出願公開第2003/0143938号(ブラウンシュヴァイグ(Braunschweig)ら)及び米国特許出願公開第2003/0022604号(アネン(Annen)ら)に見出すことができる。
同様に、裏材の第2主表面は、例えば米国特許第5,672,186号(チェスリー(Chesley)ら)に記載されているように、そこから突出している複数の一体成形フックを有していてもよい。これらのフックは、構造化研磨物品と、そこにループ状布地が貼合されたバックアップパッドとの間の嵌合をもたらす。
本発明による構造化研磨物品は、いずれかの形状、例えば、円形(例えば、ディスク)、楕円形、又は矩形(例えば、シート)とすることができ、それらと併用され得るいずれかの支持パッドの具体的な形状に応じてスカラップ端部(scalloped edge)を有してもよく、又はそれらはエンドレスベルトの形状を有していてもよい。構造化研磨物品は、その中に溝又は切れ目を有してよく、穿孔を備えていてもよい(例えば、有孔ディスク)。
本発明による構造化研磨物品は一般に、加工物、特に、例えば自動車用塗料又はその上のクリアコート等の硬化ポリマー層を有する加工物を研磨するのに有用である。
前記加工物は、どんな材料から構成されていてよく、また、任意の形状を有していてもよい。材料の例としては、金属、金属合金、エキゾチック金属合金、セラミックス、塗面、プラスチック、ポリマーコーティング、石、多結晶シリコン、木材、大理石、及びこれらの組み合わせが挙げられる。加工物の例としては、成形物品及び/又は賦型物品(例えば、光学レンズ、自動車の車体パネル、艇体、カウンター、及び流し台)、ウェハ、シート、及びブロックが挙げられる。
本発明による構造化研磨物品は、典型的には、自動車用塗料及びクリアコート(例えば、自動車のクリアコート)等のポリマーコーティングを補修及び/又は研磨するのに有用であり、前記コーティングの例としては、ポリアクリル−ポリオール−ポリイソシアネート組成物(例えば、米国特許第5,286,782号(ラム(Lamb)ら)に記載されているようなもの)、ヒドロキシ官能性アクリル−ポリオール−ポリイソシアネート組成物(例えば、米国特許第5,354,797号(アンダーソン(Anderson)ら)に記載されているようなもの)、ポリイソシアネート−カーボネート−メラミン組成物(例えば、米国特許第6,544,593号(ナガタ(Nagata)ら)に記載されているようなもの)、及び高固形分含有量のポリシロキサン組成物(例えば、米国特許第6,428,898号(バゾッティ(Barsotti)ら)に記載されているようなもの)があげられる。
用途に応じて、研磨境界面にかかる力は、約0.1キログラム(kg)〜1000kg超までの範囲とすることができる。一般に、研磨境界面にかかる力のこの範囲は、1kg〜500kgである。また、用途に応じて、研磨中に液体が存在していてもよい。この液体は、水及び/又は有機化合物であることができる。典型的な有機化合物の例としては、潤滑剤、油、乳化有機化合物、切削液、界面活性剤(例えば、石鹸、有機スルフェート、スルホネート、有機ホスホネート、有機ホスフェート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの液体はまた、消泡剤、脱脂剤、腐食防止剤、及びこれらの組み合わせのような他の添加剤を含有してもよい。本発明による構造化研磨物品を使用する際、研磨工程の間、研磨境界面を濡らしておくために少なくとも幾分の水を含む液体を用いるのが望ましい。
本発明による構造化研磨物品は、例えば、構造化研磨層に対して一般に垂直な中心軸の周囲を回転する回転工具と共に、又はランダム軌道を有する用具(例えば、ランダム・オービタル・サンダー)と共に用いてよく、使用中に研磨境界面を振動させてもよい。場合によっては、この振動によって、研磨される加工物に更に微細な表面をもたらすこともできる。
本発明の目的及び利点を以下の非限定的な実施例により更に例示するが、これらの実施例の中で挙げた特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細によって、本発明が不当に限定されると解釈されるべきではない。
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の実施例以外の部分における部、割合、及び比率はいずれも重量基準である。
実施例では、次の略称を用いる。
Figure 0005133409
比較例A
研磨材スラリー(重量部で定義されるもの)は、13.2部のACR1と、20.0部のACR2と、0.5部のDSP1と、2.0部のCPA1と、1.1部のUV1(UVI1)と、63.2部のMIN7とをラボラトリー・エアミキサーを用いて、20℃で約15分間均質に分散させることによって調製した。このスラリーを、米国特許出願第11/380,444号(ウー(Woo)ら)の図2に示す通り、均等に分布され、密集させた、交互に34度ヘリカルカットされた、底幅83.8×83.8マイクロメートル(3.3ミル×3.3ミル)×深さ63.5マイクロメートル(2.5ミル)の角錐の11×11列の配列を、深さ21マイクロメートル(0.83ミル)に切頭された同一角錐の3列×3列の配列で分離したものを有する、幅30.5cm(12インチ)の微細複製ポリプロピレン用具にナイフコーティングによって塗布した。前記用具は、米国特許第5,975,987号(フープマン(Hoopman)ら)の手順に概ね従って、対応するマスターロールから調製した。次いで、スラリーを充填した前記ポリプロピレン用具を、3M社(3M Company)から取引表記「MA370M」として入手した、エチレンアクリル酸で下塗りされた厚さ94.2マイクロメートル(3.71ミル)の高分子フィルムの30.5センチメートル(12インチ)幅のウェブの上に置いて、ニップロールに通過させ(25.4cm(10インチ)幅のウェブの場合、ニップ圧力620.5キロパスカル(kPa)(1平方インチ当たり90ポンド(psi))、そしてこのウェブを9.14メートル/分(30フィート/分(fpm))で移動させながら、メリーランド州ガイサースバーグ(Gaithersburg)のフュージョン・システムズ社(Fusion Systems Inc.)製の「D」型紫外線(UV)ランプを用いて236ワット/cm(600ワット/インチ))で照射を行った。ポロプロピレン用具を、エチレンアクリル酸で下塗りされたポリエステルフィルムから分離すると、図3に示すように、エチレンアクリル酸で下塗りされたポリエステルフィルムに接着した、完全硬化した精密形状の研磨層が得られた。このフィルムの裏面(トポグラフィカル構造化研磨層を有する面とは反対の面)に感圧接着剤(3M社(3M Company)から取引表記「3Mスコッチ商標442KW(3M SCOTCH BRAND 442KW)」として入手可能)を積層した。その後、その研磨材から、直径が1.91cm(0.75インチ)〜3.18cm(1.25インチ)までの範囲の種々の大きさのディスクを打ち抜いた。
実施例1
鉱物分散体(容量部(pbv))は、次の手順に従って、表1に記した材料及び量を用いて調製した。20重量%のBIN1水溶液を調製した。この溶液に、乾燥被覆層の全容積に対して20容積%の鉱物含有量を達成するのに十分な量のMIN1鉱物を添加した。この分散体の粘度は、pH約9のTHK1を加えることにより、2〜3パスカル・秒までの範囲のずり粘度に調節した。
前記鉱物分散体を、比較例Aで調製した幅30.5cm(12インチ)の構造化研磨物品(SA1)にロールコーティングによって塗布した。コーティングされた構造化研磨材を65.5℃(150°F)で10分間乾燥した。得られた固体被覆層を有する構造化研磨材を図4に示す。
実施例2〜3及び比較例B〜D
実施例2〜3及び比較例B〜Dは、表1に記すように異なるポリマーを用いて鉱物分散体を作製したこと以外は、実施例1に記載した方法に従って調製した。
実施例4〜6及び比較例E〜F
実施例4〜6及び比較例E〜Fは、表1に記すように異なる鉱物を鉱物分散体に用いたこと以外は、実施例1に記載した方法に従って調製した。
実施例7〜11
実施例7〜11は、鉱物分散体に(表1に記すように)異なる鉱物濃度を用いたこと以外は、実施例1に記載した方法に従って調製した。
比較例G
比較例Gは、表1に記すように鉱物分散体に結合剤を用いなかったこと以外は、実施例1に記載した方法に従って調製した。
比較例H
比較例Hは、表1に記すように、1重量%のSURF1を鉱物分散体に添加したこと以外は、比較例Gに記載した方法に従って調製した。
比較例I
比較例Iは、表1に記すように、鉱物分散体に結合剤も鉱物も使用せず、1重量%のSURF1を鉱物分散体に添加したこと以外は、実施例1に記載した方法に従って調製した。
手動によるデニビング(de-nibbing)の評価
実施例1及び比較例Aについて、周囲のゆず肌を付随的に平坦化することなしに自動車用クリアコート・テストパネルTP1の屑ニブ(dust nib)を除去する(デニビング)能力を評価した。硬化したクリアコート(TP1)中の屑ニブを目視確認して、水を軽く吹き付けた。評価しようとする構造化研磨物品の3.18cm(1.25インチ)試験片(表1に記す通り)を、バックアップパッド(ミネソタ州セント・ポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から取引表記「3Mフィネス−イット・スティキット・バックアップパッド(3M FINESSE-IT STIKIT BACKUP PAD)、部品番号02345」として市販されている、直径(3.18cm(1.25インチ))の、ショア00硬度40〜60のビニル面バックアップパッドに取り付けた後、それを、ニューヨーク州クラランス(Clarence)のダイナブレード社(Dynabrade, Inc.)から入手した圧縮空気駆動式ランダム・オービット・サンダー、型番「57502」に装着した。テストパネル上の所定の屑ニブ(外径<1mm)は、620kPa(1平方インチ当たり90ポンド)の管路空気圧を用い、研磨物品の中央部に用具の重さを利用してダウンフォースを発生させながら、3秒の研磨間隔で研磨した。研磨間隔が終わる度にテストパネル(TP1)をイソプロパノールできれいに拭取った。研磨したテストパネルの屑ニブ部分の目視評価を記録した。結果を(次の)表1に記す。
Figure 0005133409
本明細書中で引用された特許、出願特許、及び刊行物はこれにより、それらの全てが個別に組み込まれているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明の種々の修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく当業者によって行うことができるものであり、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に不当に限定されるものではないと解されるべきである。

Claims (3)

  1. 構造化研磨物品であって、
    第1主表面及び前記第1主表面と対向する第2主表面を有する裏材;
    前記裏材に固定されたトポグラフィカル構造化研磨層であって、前記トポグラフィカル構造化研磨層が、精密形状の研磨剤複合体を含み、前記精密形状の研磨剤複合体が、架橋ポリマー結合剤の中に研磨剤粒子を含み、前記研磨剤粒子が所定のD50を有する、トポグラフィカル構造化研磨層;及び、
    前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上に配置された固体被覆層であって、前記固体被覆層は、モース硬度が少なくとも4の削剥粒子と水溶性ポリマーとを含み、前記削剥粒子が、前記研磨剤粒子のD50以下の所定のD50を有する固体被覆層;
    を備える、構造化研磨物品。
  2. 加工物の研磨方法であって、
    請求項1に記載の構造化研磨物品の前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部を、水の存在下で加工物と摩擦接触させる工程と、
    前記加工物又は前記トポグラフィカル構造化研磨層のうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させて、前記加工物の表面の少なくとも一部を研磨する工程と、
    を含む、加工物の研磨方法。
  3. 構造化研磨物品の製造方法であって、前記方法が、
    構造化研磨物品を提供する工程であって、
    第1主表面及び前記第1主表面と対向する第2主表面を有する裏材と、
    前記裏材に固定されたトポグラフィカル構造化研磨層であって、精密形状の研磨剤複合体を含み、前記精密形状の研磨剤複合体類が架橋ポリマー結合剤の中に研磨剤粒子を含み、かつ、前記研磨剤粒子が所定のD50を有する、トポグラフィカル構造化研磨層と、
    を含む、構造化研磨物品を提供する工程と;
    前記トポグラフィカル構造化研磨層の少なくとも一部の上に固体被覆層を配置する工程であって、前記固体被覆層が、モース硬度が少なくとも4の削剥粒子と水溶性ポリマーとを含み、前記削剥粒子が、前記研磨剤粒子のD50以下の所定のD50を有する固体被覆層を配置する工程と;
    を含む、構造化研磨物品の製造方法。
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