しかしながら、上記特許文献1に記載の装置には次のような問題があった。すなわち、採取部が所望深度に到達してから、外管を回転させ内採取口を開口状態としているため、所望深度以外の深度で外管を回転させてしまうと、内採取口が所望深度以外の深度で開口状態となってしまうことがあり、所望深度以外の土試料が採取されてしまうという問題があった。
また、所望深度以外の深度で内採取口が開口状態となったとしても、内採取口が開口状態となっているかどうかを知るすべがないという問題があった。
さらには、内採取口の長手方向一側には、外方へ採取刃が設けられているため、内管内の採取室を径大とすると、上記調査孔に採取刃を挿入することができず、内管内の採取室の径が制限されることとなり、地盤調査にあたって十分な土試料を採取することができないという問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、所望深度の土試料を確実に採取することが出来ると共に、地盤調査にあたって十分な採取量を確保することができる土試料採取装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1の発明にかかる土試料採取装置は、軸方向に連結される複数の中空状又は中実状のロッド2,9と、該ロッド2,9の先端部に設けられた土試料を採取する採取ロッド1とを有してなるスウェーデン式サウンディング試験機を用いた土試料採取装置であって、前記採取ロッド1は、前記土試料H1を収容する収容ケース10と、該収容ケース10の一側壁部に設けられた窓開口部11と、該窓開口部11の一側縁部に当該窓開口部11を閉塞する位置と開放する位置とに亘って移動可能に設けられた蓋体12とを有し、前記採取ロッド1内には、前記窓開口部11を閉塞する位置に前記蓋体12をロックするロック部材18が配設され、前記蓋体12のロック位置を解除する方向に前記ロック部材18を移動させるロック解除部材20が配設され、さらに、該ロック解除部材20によって前記蓋体12のロックを解除し前記窓開口部11を開放した後、前記蓋体12を前記窓開口部11の閉塞位置に移動させる操作部材19が配設され、前記ロック解除部材20及び前記操作部材19は、前記中空状のロッド2から外部へ出没可能なように配設されるか、又は、前記採取ロッド1内から外部へ出没させ、且つ、前記中実状のロッド9の外周に沿うように配設されてなることを特徴としている。
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の土試料採取装置において、前記ロック部材18は、前記採取ロッド1内を上下方向に移動可能なように配設され、前記蓋体12内周面には、前記ロック部材18を収納する収納部材15が設けられると共に、前記操作部材19の上方向への引張操作によって当該蓋体12の回動を促す回動部材(支承部材の他端部16b)が設けられ、前記蓋体12は、前記ロック部材18が前記収納部材15に収納されることによって前記窓開口部11の閉塞位置にロックされ、さらに、前記ロック部材18を前記ロック解除部材20によって上方向に移動させると、該ロック部材18が前記収納部材15の収納から解放されて、前記窓開口部11の開放位置に移動し、又、前記操作部材19が上方向へ引張操作されると、その引張操作に伴い前記回動部材(支承部材16の他端部16b)が当該蓋体12の回動を促し、これによって当該蓋体12が回動し前記窓開口部11の閉塞位置に移動してなることを特徴としている。
請求項3の発明は、上記請求項2に記載の土試料採取装置において、前記採取ロッド1内には、前記ロック部材18の上下方向の移動をガイドするガイド部材17が配設されてなることを特徴としている。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の土試料採取装置において、前記蓋体12外周面には、突起(支承部材16の一端部16a)が設けられてなることを特徴としている。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の土試料採取装置において、前記採取ロッド1は、さらに、前記収容ケース10の基端部に着脱自在に設けられ、且つ前記中空状又は中実状のロッド2,9の先端部に着脱自在に設けられる連結部材30を有してなることを特徴としている。
請求項6の発明は、上記請求項5に記載の土試料採取装置において、前記連結部材30の先端側外周面又は内周面が前記収容ケース10の基端側内周面又は外周面にボルト40によって締結固定されることによって、当該連結部材30は、当該収容ケース10の基端部に着脱自在に設けられてなることを特徴としている。
請求項7の発明は、上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の土試料採取装置において、蓋体12の角部12aをR形状にしてなることを特徴としている。
請求項8の発明は、上記請求項1〜7のいずれか1項に記載の土試料採取装置において、前記採取ロッド1の先端部をテーパ状に形成し、そのテーパ状に形成した先端部に掘進スクリュー部材91を設けてなることを特徴としている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明にかかる土試料採取装置によれば、採取ロッド1の収容ケース10の一側壁部に窓開口部11が設けられ、その窓開口部11の一側縁部に蓋体12が設けられている。そして、その蓋体12は、上記窓開口部11を閉塞する位置と開放する位置とに亘って移動可能に設けられている。さらに、採取ロッド1内には、上記窓開口部11を閉塞する位置に上記蓋体12をロックするロック部材18が配設されている。
しかして、本発明によれば、採取ロッド1の窓開口部11を閉塞する位置に蓋体12がロック部材18によってロックされているから、採取ロッド1を回転させながら調査孔Hに貫入させたとしても、所望深度以外の深度で採取ロッド1の窓開口部11が開放されることがない。
また、採取ロッド1内には、上記蓋体12のロック位置を解除する方向に上記ロック部材18を移動させるロック解除部材20が配設される共に、上記蓋体12を上記窓開口部11の閉塞位置に移動させる操作部材19が配設されている。そしてさらに、そのロック解除部材20及び操作部材19は、中空ロッド2内から出没させるか、あるいは、採取ロッド1内から外部へ出没させ、且つ、上記中実ロッド9の外周に沿うように配設されている。そのため、採取ロッド1が所望深度に到達した後、ロック解除部材20を地表から操作することが可能となり、その操作によって、上記ロック部材18を移動させて蓋体12のロック位置を解除させることができる。しかして、作業者は、所望深度で、採取ロッド1の窓開口部11を開放することができる。
一方、その所望深度で、採取ロッド1を矢印aに示す方向(窓開口部11をさらに開放する方向、即ち、時計回り)に回転させることで、所望深度の土試料H1が蓋体12の内周面部を介して窓開口部11より収容ケース10内に取り込まれる。そのため、地盤調査にあたって十分な採取量を確保することができる。
他方、収容ケース10内に所望深度の土試料H1を取り込んだ後、採取ロッド1を矢印bに示す方向(窓開口部11が蓋体12によって閉塞する方向、即ち、反時計回り)に回転させ、さらに、地表から上記操作部材19を操作する。これにより、上記回転によって、蓋体12が土抵抗を受けて窓開口部11の閉塞位置への移動が阻害されたとしても、地表から操作部材19を操作することによって、窓開口部11の閉塞位置に蓋体12を確実に移動させることができる。しかして、この状態で、採取ロッド1を地表に引き上げれば、所望深度の土試料H1を確実に採取することができる。
また、請求項2の発明によれば、ロック部材18が上記収納部材15に収納されることによって窓開口部11の閉塞位置に蓋体12がロックされ、さらに、そのロック部材18をロック解除部材20によって上方向に移動させると、そのロック部材18が上記収納部材15の収納から解放されて、上記蓋体12が上記窓開口部11の開放位置に移動する。そして、上記操作部材19が上方向へ引張操作されると、その引張操作に伴い回動部材(支承部材16の他端部16b)が当該蓋体12の回動を促し、これによって当該蓋体12が回動し上記窓開口部11の閉塞位置に移動することとなる。それゆえ、非常に簡易な操作で窓開口部11を閉塞したり開放したりすることができる。
さらに、請求項3の発明によれば、ロック部材18は、ガイド部材17に沿って上下方向に移動することとなるから、窓開口部11の閉塞又は開放を確実に行うことができる。
一方、請求項4の発明によれば、蓋体12の外周面には、突起(支承部材16の一端部16a)が設けられているから、蓋体12によって窓開口部11を開放又は閉塞する際、地盤G内の土が当該突起(支承部材16の一端部16a)を押圧することとなる。それゆえ、その作用によって、蓋体12による窓開口部11の開放又は閉塞がより確実となる。
そして、請求項5の発明によれば、連結部材30は、収容ケース10の基端部に着脱自在に設けられ、且つ、中空ロッド2又は中実ロッド9の先端部に着脱自在に設けられている。それゆえ、作業者は、作業現場で収容ケース10を簡単容易に交換することができる。
さらに、請求項6の発明によれば、連結部材30の先端側外周面又は内周面が収容ケース10の基端側内周面又は外周面にボルト40によって締結固定されているから、採取ロッド1を矢印a方向(図5(b),(c)参照)又は矢印b方向(図5(d)参照)へ回転させる際、その回転によって連結部材30と収容ケース10との連結が解除されてしまうということを防止することができる。
一方、請求項7の発明によれば、蓋体12の角部12aはR状に形成されているから、蓋体12に及ぼされる土抵抗が軽減され、蓋体12による窓開口部11の開放又は閉塞がさらに確実となる。
また、請求項8の発明によれば、採取ロッド1の先端部に掘進スクリュー部材91を設けているから、採取ロッド1を既述の調査孔Hに貫入させる前に、当該調査孔Hが、例えば軟弱孔壁で崩れてしまったとしても、採取ロッド1を所望深度まで再貫入させることができる。そしてさらに、採取ロッド1の先端部をテーパ状に形成しているから、掘進スクリュー部材91の最大外径(例えば34mm)と採取ロッド1の先端部に位置する掘進スクリュー部材91の外径(例えば33mm)とが略同一となるように、採取ロッド1の先端部内周面に掘進スクリュー部材91の外径が当接し、これによって、採取ロッド1の先端部に掘進スクリュー部材91をしっかりと締結固定することができる。そのため、上記調査孔H内に採取ロッド1を貫入させた際生じる土抵抗が軽減され、採取ロッド1を所望深度まで貫入させ易くなる。
以下、本発明に係る土試料採取装置の一実施形態について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。なお、既述のスウェーデン式サウンディング試験機に用いる部材と同一の部材を使用する場合には、同一の符号を付すこととする。
本実施形態に係る土試料採取装置は、図1に示すように、採取ロッド1と、軸方向に連結される鉄製またはステンレス鋼製からなる複数の中空状のロッド2(以下、中空ロッド2という)とを有し、その中空ロッド2の先端部には採取ロッド1が着脱自在に設けられている。そして、中空ロッド2の上部には中実ロッド9と同様に、クランプ92及びハンドル93が取り付けられ、錘94が載せられている(図6参照)。なお、中空ロッド2の表面には、中実ロッド9と同様、25cm刻みの目盛り2aが設けられている。また、複数の中空ロッド2の軸方向への連結は、図示はしないが、ねじ止め機構等によって連結されている。
一方、採取ロッド1は、図1〜4に示すように、収容ケース10と連結部材30とスクリューポイントホルダ50とを有するものである。収容ケース10は、ステンレス鋼製等で形成されると共に、縦長の円筒状に形成され(図1,図2,図4(b)参照)、この収容ケース10の内部に後述する土試料H1が収容できるようになっている(図5(d)参照)。また、このように形成される収容ケース10の周壁面には縦長矩形状の窓開口部11が設けられ(図4(b)参照)、この窓開口部11の一側縁部には、図1〜図3に示すように蓋体12が設けられている。
この蓋体12は、ステンレス鋼製等で形成されると共に、図2(c)に示すように、半円弧状に形成され、図2(a),(b)に示すように、収容ケース10の基端側に設けられた長尺のピン13によって、蓋体12の基端側が軸支され、収容ケース10の先端側に設けられた短尺のピン14によって、蓋体12の先端側が軸支されている。そしてさらに、蓋体12は、その軸支されるピン13,14の軸心回りを回動するように軸支されている。これにより、蓋体12は、窓開口部11を閉塞する位置と開放する位置とに亘って移動できるようになっている。また、図2(a)に示す蓋体12の角部12aはR状に形成されている。
一方、蓋体12の内周面基端側には、図1に示すように、収納部材15が溶接等によって固定されている。そして、この収納部材15は、ステンレス鋼製等で形成されると共に、図2(c)に示すようにC字状に形成されている。また、蓋体12には、図2(a),(c)に示すように、所要間隔置きに複数の支承部材16(図示では2つ)が設けられている。この支承部材16は、ステンレス鋼製等で形成され、図2(c)に示すように、円柱状に形成されると共に、支承部材16の一端部16aが蓋体12の外周面側に突設し、他端部16bが蓋体12の内周面側に突設するように蓋体12の内外周面を貫通し溶接等によって固定されている。また、支承部材16の他端部16bには、当該支承部材16の中心軸に対して垂直方向に支承孔16cが穿設されている。なお、本実施形態において、蓋体12の内外周面に支承部材16を設ける例として、蓋体12の内外周面を貫通させ溶接等によって固定させる例を示したが、貫通させずとも、支承部材16の一端部16及び他端部16bを切断し、蓋体12の内周面に支承部材16の一端部16bを溶接等によって固定し、外周面に支承部材16の他端部16aを溶接等によって固定するようにしても良い。また、本実施形態において、支承部材16を複数(図示では2つ)設ける例を示したが、1つ設けるだけでも良い。
他方、収容ケース10内には、図3に示すように、窓開口部11の上部側に、ガイド部材17が溶接等によって固定されている。このガイド部材17は、ステンレス鋼等で形成されると共に、図3に示すように円筒状に形成されている。そして、このガイド部材17内には、ロック部材18が上下方向に移動可能なように設けられている。このロック部材18は、図3に示すように、断面略T字状に形成され、当該ロック部材18の中心軸線上に沿うように基端部から先端部に向かって円形状の第1の貫通孔18cが貫設されている。そして、ロック部材18の基端部18aには、その基端部18aの側面側に、上記ロック部材18の中心軸線上に沿うように、上記第1の貫通孔18cよりも小径の第2の貫通孔18dが貫設されている。なお、ロック部材18の基端部18aの外径は、ガイド部材17の内径よりも径大に形成され、それ以外の外径は、上記収納部材15の内径よりも若干小径に形成されている。
一方、このロック部材18の第1の貫通孔18cには、図4に示すように、ワイヤで形成される操作部材19が挿通され、さらに、この操作部材19が蓋体12の内周面に突設されている複数(図示では2つ)の支承部材16の他端部16bに貫設されている支承孔16cに挿通される(図1参照)。これにより、操作部材19は、蓋体12の内周面に沿うように支承孔16cに支承される。また、操作部材19の基端側には、図4に示すように、ロック部材18の第1の貫通孔18cより若干径大の第1の当接片19aが溶接等によって固着され、操作部材19の先端側には、図4に示すように、支承部材16の他端部16bに貫設されている支承孔16cより若干径大の第2の当接片19bが溶接等によって固着されている。
また一方、このロック部材18の第2の貫通孔18dには、図4に示すように、上記操作部材19よりも細径のワイヤで形成されるロック解除部材20が挿通され、そのロック解除部材20の先端部は、ロック部材18の基端部18aの先端側の面に溶接等によって固着されている。
このように構成されるロック部材18を上下方向に移動させるには、図4に示すような方法を用いることによりロック部材18を上下方向に移動させることができる。すなわち、ロック部材18を下方向に移動させるには、図4(a)に示すように、操作部材19を矢印P1方向に押し込み操作することで操作部材19の基端側に固着されている第1の当接片19aをロック部材18の基端面に当接させる。これにより、ロック部材18の基端面が第1の当接片19aに押圧されて、ロック部材18がガイド部材17に沿って下方向に移動することとなる。その際、人の手等によって蓋体12の位置を、窓開口部11を閉塞する位置に移動させておけば、収納部材15内にロック部材18の先端部が嵌挿される。これにより、蓋体12の位置が窓開口部11を閉塞する位置にロックされることとなる。なお、ロック部材18の下方向への移動は、ロック部材18の基端部18aがガイド部材17の基端部に当接することにより規制されることとなる。
一方、ロック部材18を上方向に移動させるには、図4(a)に示すように、ロック解除部材20の先端部がロック部材18の基端部18aの先端側の面に溶接等によって固着されているから、ロック解除部材20を矢印P2方向へ引張操作することで、図4(b)に示すように、その引張操作に伴いロック部材18が上方向へ移動することとなる。その際、収納部材15内に嵌挿されているロック部材18の先端部が、収納部材15より抜出され、蓋体12の位置が窓開口部11を閉塞する位置から解除されることとなる。これにより、蓋体12が図4(b)に示すように、矢印P3方向に回動し窓開口部11を開放する位置に移動することとなる。そして、蓋体12が窓開口部11を開放する位置に移動した後、図4(b)に示すように、矢印P4方向に操作部材19を引張操作すると、図4(c)に示すように、操作部材19の先端側に固着されている第2の当接片19bが蓋体12の内周面先端側に設けられている支承部材16の他端部16b先端面に当接する。そしてさらに、操作部材19を矢印P4方向(図4(b)参照)に引張り続ければ、当該支承部材16の他端部16b先端面が押圧されて、当該支承部材16の他端部16bが蓋体12の回動を促し、これによって蓋体12が矢印P3方向(図4(b)参照)とは逆方向に回動し窓開口部11を閉塞する位置に移動することとなる(図4(c)参照)。
しかして、上述したように、ロック部材18を上下方向に移動させるには、操作部材19又はロック解除部材20を上下動させるだけで移動させることができる。また、操作部材19又はロック解除部材20を用いてロック部材18を上下動させるだけで、窓開口部11を閉塞したり開放したりすることができ、さらには、操作部材19を操作するだけで窓開口部11を閉塞することができる。それゆえ、非常に簡易な操作で窓開口部11を閉塞したり開放したりすることができる。
一方、ロック部材18は、ガイド部材17に沿って移動することとなるから、ロック部材18を収納部材15内に確実に嵌挿し、収納部材15内より確実に抜出することができる。それゆえ、窓開口部11の閉塞又は開放を確実に行うことができる。なお、本実施形態で示したロック部材18及び収納部材19の形状はこの形状に限定されるものではなく、ロック部材18を収納部材19に収納し、且つその収納から解除できるような形状であればどのような形状であっても良い。また、蓋体12の回動を促す方法として、当該支承部材16の他端部16b先端面を操作部材19の先端側に固着されている第2の当接片19bで押圧することによって、蓋体12の回動を促す例を示したが、これに限らず、どのような方法であっても良い。
ところで、上記のように操作される操作部材19及びロック解除部材20は、図4に示すように収容ケース10の基端部に着脱自在に設けられるステンレス鋼製等で形成される連結部材30内を介し、さらに、図1に示すように、その連結部材30の基端部に着脱自在に設けられる中空ロッド2内を介して外部に露出されている。これにより、作業者は、地表から、上述したような操作部材19及びロック解除部材20の操作を行うことができる。
連結部材30は、図3に示すように、連結ジョイント31と連結パイプ32とジョイントパイプ33とで構成されている。連結ジョイント31は、図3に示すように連結ジョイント本体31aが略台形状に形成され、その連結ジョイント本体31aの先端部には、略円筒状の第1の締結部31bが一体形成され、さらに、その連結ジョイント本体31aの基端部には、外周面に雄ネジ部31c1が設けられている略円筒状の第2の締結部31cが一体形成されている。第1の締結部31bは、その外径が収容ケース10の内径と同一に形成されており、図2(b)及び図3に示すように、周方向所要位置に単数又は複数の円錐形状の取付孔31b1(図示では2つ)が横穿されている。そして、第1の締結部31bは、図3に示すように、収容ケース10の基端部周方向所要位置に単数又は複数刻設されている雌ネジ10a(図示では2つ)の中心軸線と、上記取付孔31の中心軸線とが同一軸線上となるように収容ケース10内基端部側より嵌装される。そしてその状態で、上記雌ネジ部10a内にボルト40が螺合され、そのボルト40が上記取付孔31内に嵌挿されることで、収容ケース10の基端部に連結ジョイント31が締結固定されることとなる。
一方、連結パイプ32は、図3に示すように略円筒状に形成され、先端部内周面に雌ネジ部32aが刻設され、さらに基端部内周面に雌ネジ部32bが刻設されている。そして、先端部内周面に刻設されている雌ネジ部32aに上記第2の締結部31cの外周面に設けられている雄ネジ部31c1が螺合され、連結ジョイント31の基端部に連結パイプが締結固定されることとなる。
また、ジョイントパイプ33は、図3に示すように略十字状の筒型に形成されると共に、先端部外周面に雄ネジ部33aが設けられ、さらに基端部外周面には雄ネジ部33bが設けられている(図1参照)。そして、その先端部外周面に設けられている雄ネジ部33aが上記連結パイプ32の基端部内周面の雌ネジ部32bに螺合され、連結パイプ32の基端部にジョイントパイプ33が締結固定されることとなる。一方、ジョイントパイプ33の基端部外周面に設けられている雄ネジ部33bは、図1に示すように、中空ロッド2の先端部内周面に刻設されている雌ネジ部2bに螺合し、これにより、ジョイントパイプ33の基端部に中空ロッド2が締結固定される。
しかして、上記のように連結部材30は構成され、そして、そのように構成される連結部材30は、図3に示すように、中心軸線上に基端部から先端部に向かって、挿通孔34が貫設されている。そして、その貫設された挿通孔34内に操作部材19及びロック解除部材20が挿通され(図4参照)、さらに、その操作部材19及びロック解除部材20が中空ロッド2内に挿通されている(図1参照)。このように、連結部材30は、収容ケース10の基端部に着脱自在に設けられ、且つ、中空ロッド2の先端部に着脱自在に設けられている。それゆえ、作業者は、作業現場で収容ケース10を簡単容易に交換することができる。
他方、収容ケース10の先端部には、図1及び図2(a)に示すように、ステンレス鋼製等で形成されるスクリューポイントホルダ50が着脱自在に設けられ、そのスクリューポイントホルダ50の先端部には掘進スクリュー部材91が着脱自在に設けられている。
スクリューポイントホルダ50は、図2(d)に示すように、スクリューポイントホルダ本体50aが略円筒状に形成され、その外径が上記収容ケース10の外径と同一になるように形成されている。そして、そのスクリューポイントホルダ本体50aの基端部には略円筒状で、且つ、上記スクリューポイントホルダ本体50aの外径よりも小径からなる締結部50bが一体形成されている。この締結部50bは、上記連結ジョイント31の第1の締結部31bと同一形状に形成されており、図示はしないが、その第1の締結部31bと同様、周方向所要位置に単数又は複数の円錐形状の取付孔が横穿されている。そして、このように形成される締結部50bが収容ケース10内先端側より嵌装され、収容ケース10の先端部周方向所要位置に単数又は複数刻設されている雌ネジ10b(図示では2つ)(図2(a)参照)内にボルト40が螺合されることで、そのボルト40が図示しない上記取付孔内に嵌挿され、収容ケース10の先端部にスクリューポイントホルダ50が締結固定されることとなる。
一方、スクリューポイントホルダ本体50aの中間部内周面には、図2(d)に示すように、雌ネジ部50a1が刻設され、その雌ネジ部50a1に上記掘進スクリュー部材91の基端部に設けられている雄ネジ部91aが螺合される。これにより、スクリューポイントホルダ50の先端部に掘進スクリュー部材91が締結固定されることとなる。このように、採取ロッド1(スクリューポイントホルダ50)の先端部に掘進スクリュー部材91を設けることにより、採取ロッド1を既述の調査孔Hに貫入させる前に、当該調査孔Hが、例えば軟弱孔壁で崩れてしまったとしても、採取ロッド1を所望深度まで再貫入させることができる。また、スクリューポイントホルダ本体50aの先端部は図2(a)に示すようにテーパ状に形成されている。しかして、このように、スクリューポイントホルダ本体50aの先端部をテーパ状に形成することで、掘進スクリュー部材91の最大外径(例えば34mm)とスクリューポイントホルダ50の先端部に位置する掘進スクリュー部材91の外径(例えば33mm)とが略同一となるように、スクリューポイントホルダ50の先端部内周面に掘進スクリュー部材91の外径が当接し、これによって、スクリューポイントホルダ50の先端部に掘進スクリュー部材91をしっかりと締結固定することができる。そのため、既述の調査孔Hに採取ロッド1を貫入させる際、採取ロッド1に対する土抵抗が軽減され、採取ロッド1を所望深度まで貫入させ易くなる。なお、本実施形態では、採取ロッド1(スクリューポイントホルダ50)の先端部に掘進スクリュー部材91を設けたが、調査孔Hを掘削可能な突設部を設けても良く、または、採取ロッド1の先端部に、掘進スクリュー部材と上記突設部を両方設けても良い。
次に、上記詳述した土試料採取装置を用いて所望深度の土試料を採取する方法を、図4及び図5を用いて具体的に説明する。先ず、図5(a)に示すように、図6に示すスウェーデン式サウンディング試験機を矢印aに示す方向(時計回り)に回転させながら地盤G中に貫入させ、調査孔Hを形成する。そして、その調査孔Hを形成後、図6に示すスウェーデン式サウンディング試験機を地盤G中から抜出し、中実ロッド9を中空ロッド2に取り換え、その取り換えた中空ロッド2の先端部に採取ロッド1を連結し、さらに、その採取ロッド1の先端部に掘進スクリュー部材91を連結する(図1参照)。なお、当該採取ロッド1の蓋体12は、ロック部材18によって窓開口部11を閉塞する位置にロックされている(図4(a)参照)。
この状態で、中空ロッド2の上部にクランプ92及びハンドル93を取り付けると共に錘94を載せる。そして、その錘94による荷重負荷とハンドル93による回転操作を行い、図5(b)に示すように、上記調査孔H内に、採取ロッド1を矢印aに示す方向(時計回り)に回転させながら貫入する。
その貫入によって採取ロッド1が所望深度に到達すると、作業者は地表から図4(a)に示す矢印P2方向にロック解除部材20を引っ張る操作を行う。これにより、図4(b)に示すように、窓開口部11が開放される。そして、図5(c)に示すように、採取ロッド1を矢印aに示す方向(窓開口部11をさらに開放する方向、即ち、時計回り)に回転させると、所望深度の土試料H1が蓋体12の内周面部を介して窓開口部11より収容ケース10内に取り込まれる。こうして土試料H1を収容ケース10内に取り込んだ後、図5(d)に示すように、採取ロッド1を矢印bに示す方向(窓開口部11を蓋体12によって閉塞する方向、即ち、反時計回り)に回転させると共に、図4(b)に示す矢印P4方向に操作部材19を引っ張る操作を行う。これにより、図4(c)に示すように、窓開口部11が閉塞する。そして、その状態で、採取ロッド1を地表に引き上げてゆけば、所望深度の土試料H1を採取することができる。なお、本実施形態によれば、連結部材30の先端側外周面が収容ケース10の基端側内周面にボルト40によって締結固定されているから、採取ロッド1を矢印a方向(図5(b),(c)参照)又は矢印b方向(図5(d)参照)へ回転させる際、その回転によって連結部材30と収容ケース10との連結が解除されてしまうということを防止することができる。また、蓋体12の外周面には、支承部材16の一端部16aが突設されているから、蓋体12によって窓開口部11を開放又は閉塞する際、地盤G内の土が当該一端部16aを押圧することとなる。それゆえ、その作用によって、蓋体12による窓開口部11の開放又は閉塞がより確実となる。さらに、蓋体12の角部12aはR状に形成されているから、蓋体12に及ぼされる土抵抗が軽減され、蓋体12による窓開口部11の開放又は閉塞がさらに確実となる。また、上記のように構成される採取ロッド1の先端部に着脱自在に設けられている掘進スクリュー部材91の先端部から窓開口部11の先端部までの長さを25cmとし、窓開口部11の先端部から基端部までの長さを25cmに設定すれば、スウェーデン式サウンディング試験にて調査した25cm毎の土試料をピンポイントで採取することが可能となり、調査精度が向上することとなる。
しかして、以上説明した本実施形態によれば、採取ロッド1の収容ケース10の周壁面に窓開口部11が設けられ、その窓開口部11の一側縁部に蓋体12が設けられている。そして、その蓋体12は、上記窓開口部11を閉塞する位置と開放する位置とに亘って移動可能に設けられている。さらには、採取ロッド1内に上記窓開口部11を閉塞する位置に上記蓋体12をロックするロック部材18が配設されている。
しかして、本実施形態によれば、採取ロッド1の窓開口部11を閉塞する位置に蓋体12がロック部材18によってロックされているから、採取ロッド1を回転させながら調査孔Hに貫入させたとしても、所望深度以外の深度で採取ロッド1の窓開口部11が開放されることがない。
また、採取ロッド1内には、上記蓋体12のロック位置を解除する方向(本実施形態では上方向)に上記ロック部材18を移動させるロック解除部材20が配設される共に、上記蓋体12を上記窓開口部11の閉塞位置に移動させる操作部材19が配設されている。そしてさらに、そのロック解除部材20及び操作部材19は、中空ロッド2内から出没可能なように配設されている。そのため、採取ロッド1が所望深度に到達した後、地表からロック解除部材20を操作することで、上記ロック部材18を移動させて蓋体12のロック位置を解除させることができる。しかして、作業者は、所望深度で、採取ロッド1の窓開口部11を開放することができる。
一方、その所望深度で、採取ロッド1を矢印aに示す方向(窓開口部11をさらに開放する方向、即ち、時計回り)に回転させることで、所望深度の土試料H1が蓋体12の内周面部を介して窓開口部11より収容ケース10内に取り込まれる。そのため、地盤調査にあたって十分な採取量を確保することができる。
他方、収容ケース10内に所望深度の土試料H1を取り込んだ後、採取ロッド1を矢印bに示す方向(窓開口部11が蓋体12によって閉塞する方向、即ち、反時計回り)に回転させ、さらに、地表から上記操作部材19を操作する。これにより、上記回転によって、蓋体12が土抵抗を受けて窓開口部11の閉塞位置への移動が阻害されたとしても、地表から操作部材19を操作することによって、窓開口部11の閉塞位置に蓋体12を確実に移動させることができる。しかして、この状態で、採取ロッド1を地表に引き上げれば、所望深度の土試料H1を確実に採取することができる。
なお、本実施形態においては、採取ロッド1を矢印bに示す方向に回転させる際、操作部材19の操作のみを行う例を示したが、より確実に窓開口部11の閉塞位置に蓋体12を移動させるために、ロック解除部材20も上記操作部材19の操作と共に図4(b)に示す矢印P4方向に引っ張る操作をしても良い。
また、本実施形態においては、中空ロッド2の先端部に採取ロッド1を着脱自在に設ける例を示したが、上記中空ロッド2に代えて、中実ロッド9の先端部に採取ロッド1を着脱自在に設けるような構成にしても良い。その際、例えば、連結部材30のジョイントパイプ33の中間部に横孔を穿設し、その横孔より操作部材19及びロック解除部材20を外側へ露出させ、そして、その露出させた操作部材19及びロック解除部材20を中実ロッド9の外周面長手方向に沿うように配設させ地表に出没させるようにすれば良い。なお、その中実ロッド9の外周面長手方向への配設にあたっては、例えば、粘着テープ等を用いて、上下動できるように、操作部材19及びロック解除部材20を中実ロッド9の外周面長手方向に沿うように配設させれば良い。
一方、本実施形態においては、連結部材30の先端側外周面が収容ケース10の基端側内周面にボルト40によって締結固定されている例を示したが、連結部材30の先端側内周面が収容ケース10の基端側外周面にボルト40によって締結固定されるような構成にしても良い。
また、操作部材19及びロック解除部材20としては、ワイヤを例示したが、ワイヤに限らず、ベルトやバネ等、種々様々ものを採用可能である。また、本実実施形態においては、特段例示していないが、上記例示したワイヤに印をつけておけば、操作部材19及びロック解除部材20がどの程度移動したのか分かりやすくなる。
他方、スウェーデン式サウンディング試験機として、錘94による荷重負荷とハンドル93による回転操作とを行う手動方式を例示したが、荷重負荷を油圧シリンダー等による機械的加圧で行うか、あるいは、回転操作をモータ等で機械的に行う方式も採用可能である。
さらに、中空ロッド2又は中実ロッド9としては、JIS規格に制定されたスウェーデン式サウンディング試験の規定寸法に合致するものに限らず、種々の内外径を有するものを採用できる。また、掘進スクリュー部材91についても、異なる形状・構造のものも使用可能である。