JP5132238B2 - フッ素化アダマンタン化合物の製造方法 - Google Patents

フッ素化アダマンタン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5132238B2
JP5132238B2 JP2007262038A JP2007262038A JP5132238B2 JP 5132238 B2 JP5132238 B2 JP 5132238B2 JP 2007262038 A JP2007262038 A JP 2007262038A JP 2007262038 A JP2007262038 A JP 2007262038A JP 5132238 B2 JP5132238 B2 JP 5132238B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
adamantane
atom
compound
hydrogen atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007262038A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009091608A (ja
Inventor
正治 原
正紀 澤口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Hokkaido University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd, Hokkaido University NUC filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2007262038A priority Critical patent/JP5132238B2/ja
Publication of JP2009091608A publication Critical patent/JP2009091608A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5132238B2 publication Critical patent/JP5132238B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

本発明は、橋頭位の炭素原子に結合したフッ素原子を有するアダマンタン化合物を製造する方法に関する。
アダマンタン(C1016)は3環系の有橋炭化水素であり、1位、3位、5位および7位の4個の炭素原子が橋頭位の炭素原子であり、それぞれに水素原子が1個結合している。非橋頭位の6個の炭素原子にはそれぞれ2個の水素原子が結合しており、以下この炭素原子を非橋頭炭素原子という。アダマンタンの水素原子の1個以上が水素原子以外の原子、原子団、有機基などに置換された化合物を、以下、アダマンタン誘導体という。また、アダマンタンおよびアダマンタン誘導体を、以下、アダマンタン化合物と総称する。
アダマンタン環を構成する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アダマンタン化合物が知られている。フッ素化アダマンタン化合物は、医薬や農薬などの生理活性物質やその合成中間体として有用である。また、アダマンタン環を有するポリマーやモノマーはレジスト剤などの電子部材製造プロセスに使用される材料として使用されており、この材料のアダマンタン環にフッ素原子を導入すると透明性などの光学的特性を向上させる効果があることが知られている。さらに、アダマンタン環の橋頭位の炭素原子のみにフッ素原子を有するフッ素化アダマンタン化合物は、医薬やその合成中間体として有用であることが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
アダマンタン化合物の橋頭位の炭素原子にフッ素原子を導入する方法として以下の方法が知られている。
(1)SF、CFOF、元素状フッ素などのフッ素化剤を用いてアダマンタン化合物の橋頭位の炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子に置換する方法(非特許文献1、特許文献1参照)。
(2)(CNSF[DAST]などを用いて、アダマンタン化合物の橋頭位の炭素原子に結合した水酸基をフッ素原子に置換する方法(特許文献2、特許文献3参照)。
(3)フッ素ガスを用いてアダマンタン化合物の橋頭位の炭素原子に結合した臭素原子やヨウ素原子をフッ素原子に置換する方法(非特許文献2参照)。
しかしながら、上記のフッ素化法にはそれぞれ下記の課題がある。
(1)の方法は、用いるフッ素化剤の毒性が強くまた、取り扱いが難しい。また、原料化合物中に橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を複数含む場合、選択的に任意の個数のフッ素原子で置換することは困難である。
(2)および(3)の方法は、あらかじめ水酸基、臭素原子、ヨウ素原子などをアダマンタン環に導入しておく必要があり、複数のフッ素を導入するためには、多くの工程を必要とする。
一方、有機化合物の電解フッ素化による、炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子に置換する方法が知られている。しかし、電解フッ素化は通常選択性の低いフッ素化方法であり、フッ素原子に置換されるべき水素原子以外の水素原子までフッ素原子に置換されやすく、このため目的とするフッ素化物以外の種々の化合物が副生しやすい。このため、フッ素原子に置換されるべき水素原子が結合した炭素原子やそれに隣接した炭素原子にフッ素化を容易にする官能基を有する化合物などの特定の化合物が電解フッ素化の対象とされていた(特許文献4、特許文献5参照)。しかし、アダマンタン化合物の電解フッ素化は知られていない。
特表2003−512342号公報 特開平10−298135号公報 特開2000−26367号公報 特開平6−263724号公報 特開平7−292490号公報 Zhurnal Organicheskoi Khimii, 1977, 22(1), 116-118 J. Am. Chem. Soc., 1981, 46, 733-736
本発明は、アダマンタン化合物の橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を選択的にフッ素原子に置換する方法を提供する。また、アダマンタン化合物が橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を複数有する場合、該水素原子が置換されるフッ素原子の数を制御して、橋頭位の炭素原子に結合したフッ素原子の数が所望の数であるフッ素化アダマンタン化合物を製造する方法を提供する。
本発明は、下記のフッ素化アダマンタン化合物の製造方法である。
<1>橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を1〜4個有するアダマンタン誘導体およびアダマンタンから選ばれるアダマンタン化合物を、第3級アミンのポリフッ化水素酸塩および第4級アンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩から選ばれる少なくとも1種のフッ素化剤を用いて電解フッ素化し、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子のみ、その一部ないし全部をフッ素原子に置換するフッ素化アダマンタン化合物の製造方法であって、
前記アダマンタン誘導体は、アダマンタンの水素原子の1個以上が、下記ハロゲン原子(α)、原子団(β)、および炭素数20以下の有機基(γ)から選ばれる少なくとも1種に置換された化合物であることを特徴とするフッ素化アダマンタン化合物の製造方法。
ハロゲン原子(α);フッ素原子、および塩素原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子。
原子団(β);ニトロ基、シアノ基、およびカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の原子団。
炭素数20以下の有機基(γ);アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の有機基。
<2>橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜3個有する前記アダマンタン誘導体から、フッ素原子を1〜3個有するフッ素化アダマンタン化合物を製造する、上記<1>に記載の製造方法。
<3>アダマンタン化合物が、橋頭位の炭素原子に結合した不活性置換基を1〜2個有するアダマンタン誘導体であり、前記不活性置換基が、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の基である、上記<1>または<2>に記載の製造方法。
>橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜4個有するアダマンタン化合物を用い、電解フッ素化における電位を制御して該水素原子が置換されるフッ素原子の数を制御する、上記<1>〜<>のいずれか一項に記載の製造方法。
前記フッ素化剤が、トリアルキルアミンのポリフッ化水素酸塩およびテトラアルキルアンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩から選ばれる少なくとも1種である、上記<1>〜<>のいずれか一項に記載の製造方法。
>フッ素化剤が常温で液体であるフッ素化剤であり、該フッ素化剤を電解フッ素化における溶媒の少なくとも一部として使用する、上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、橋頭位の炭素原子に結合したフッ素原子を有するフッ素化アダマンタン化合物を選択的かつ効率的に製造することができる。また、このフッ素化アダマンタン化合物における橋頭位の炭素原子に結合したフッ素原子の数を目的に応じて選択的に製造することができる。
本発明において、アダマンタン化合物は、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を1〜4個有するアダマンタン誘導体およびアダマンタンから選ばれる化合物である。アダマンタン誘導体は、アダマンタンの水素原子の1個以上が水素原子以外の原子、原子団、有機基などに置換された化合物であり、置換される水素原子は橋頭位の炭素原子に結合した水素原子であっても、他の炭素原子に結合した水素原子であってもよい。また、置換される水素原子は1個であってもよく、2個以上であってもよい。2個以上の場合、置換される原子、原子団、有機基などは互いに異なっていてもよい。
水素原子以外の原子としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子)が好ましい。原子団としてはニトロ基、シアノ基、カルボキシ基などが好ましい。有機基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、アルコキシ基などがある。有機基の炭素数は20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
アダマンタン誘導体としては、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子の1〜2個が、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、アルコキシ基から選ばれる有機基に置換された化合物が好ましい。これら有機基の炭素数は10以下が好ましく、特に6以下が好ましい。ハロアルキル基としてはフッ素原子を1個以上有するフルオロアルキル基が好ましい。より好ましい置換基は、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の基である。
より好ましい置換基としてのアルコキシカルボニル基は、炭素数9以下、特に炭素数5以下、のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。より好ましい置換基としてのアシルオキシ基は、炭素数10以下、特に炭素数6以下、のアシル基を有するアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基などが挙げられる。より好ましい置換基としてのアシルオキシアルキル基としては、炭素数6以下のアシル基と炭素数4以下のアルキレン基を有するアシルオキシアルキル基があり、特に炭素数4以下のアシル基と炭素数1または2のアルキレン基とを有するアシルオキシアルキル基がさらに好ましい。例えば、アセトキシメチル基、2−アセトキシエチル基、プロピオニルオキシメチル基、2−プロピオニルオキシエチル基、n−ブチリルオキシメチル基などが挙げられる。より好ましい置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数10以下、特に炭素数6以下、のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
アダマンタン化合物の電解フッ素化により、橋頭位の炭素原子に結合したフッ素原子を有するフッ素化アダマンタン化合物が得られる。具体的には、例えば、下記式(A)で表されるアダマンタンの電解フッ素化により、下記式(A−1F)〜(A−4F)で表されるフッ素化アダマンタンが得られる。また、例えば、下記式(B)で表されるアダマンタン誘導体の電解フッ素化により、下記式(B−1F)〜(B−3F)で表されるフッ素化アダマンタン誘導体が得られ、記式(C)で表されるアダマンタン誘導体の電解フッ素化により、下記式(C−1F)および(C−2F)で表されるフッ素化アダマンタン誘導体が得られる。なお、下記化学式におけるR、Rは上記水素原子が置換された置換される原子、原子団または有機基を表す。
Figure 0005132238
Figure 0005132238
Figure 0005132238
本発明における出発アダマンタン化合物は、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜3個有するアダマンタン誘導体であることが好ましく、この出発原料からフッ素原子を1〜3個有するフッ素化アダマンタン化合物が得られる。また、同様に、出発アダマンタン化合物は、橋頭位の炭素原子に結合した不活性置換基を1〜2個有するアダマンタン誘導体であることが好ましく、この出発原料からフッ素原子を1〜2個有するフッ素化アダマンタン化合物が得られる。上記のように、式(B)で表されるアダマンタン誘導体から上記式(B−1F)〜(B−3F)で表されるフッ素化アダマンタン誘導体を製造すること、および、式(C)で表されるアダマンタン誘導体から上記式(C−1F)および(C−2F)で表されるフッ素化アダマンタン誘導体を製造すること、が好ましい。なお、上記化学式におけるRおよびRはいずれも前記有機基であることが好ましい。
本発明の電解フッ素化におけるフッ素化剤としては、脂肪族第3級アミン、ピリジン等の芳香族性複素環状アミンなどの第3級アミンのポリフッ化水素酸塩、および、第4級アンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩が使用される。好ましくは、トリアルキルアミンまたはピリジンのポリフッ化水素酸塩、および、テトラアルキルアンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩が使用される。トリアルキルアミンとしては、炭素数4以下のアルキル基を3個有するトリアルキルアミンが好ましい。テトラアルキルアンモニウムフルオリドとしては、炭素数4以下のアルキル基を4個有するテトラアルキルアンモニウムフルオリドが好ましい。これらアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などがあり、メチル基とエチル基が特に好ましい。本発明におけるフッ素化剤としては、特に、トリアルキルアミンのポリフッ化水素酸塩およびテトラアルキルアンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記フッ素化剤の窒素原子に結合した3個または4個のアルキル基は互いに異なっていてもよいが、窒素原子に結合した3個または4個のアルキル基は通常同一のアルキル基である。このアルキル基が同一の場合には、トリアルキルアミンのポリフッ化水素酸塩は下記式(1)で表される化合物であり、第4級アンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩は下記式(2)で表される化合物である。ただし、R、Rは炭素数4以下のアルキル基を表す。下記化学式におけるmおよびnはそれぞれ2以上の整数であり、それぞれ3〜7の整数が好ましい。好ましいmおよびnはそれぞれ3〜6の整数である。
(RN・mHF ・・・(1)
(RNF・nHF ・・・(2)
上記フッ素化剤の具体例としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。なお、下記Prはピリジンを表す。
(CHN・3HF、(CHN・4HF、(CHN・5HF、(CHN・6HF、(CN・3HF、(CN・4HF、(CN・5HF、(CN・6HF、(CN・7HF、(n−CN・5HF、(n−CN・6HF、(i−CN・6HF、(n−CN・5HF、(t−CN・6HF、Pr・5HF、Pr・6HF、(CHNF・4HF、(CHNF・5HF、(CHNF・6HF、(CNF・3HF、(CNF・4HF、(CNF・5HF、(CNF・6HF、(CNF・7HF、(n−CNF・5HF、(t−CNF・6HF。
上記のようなフッ化水素塩は支持電解質を兼ねるため、本発明の電解フッ素化においては特に支持電解質を使用する必要はない。また、反応温度下で液状のフッ素化剤は反応溶媒を兼ねることができる。特に、常温で液体のフッ素化剤を用いることにより、不活性溶媒なしに反応を行うことができる。本発明においては、常温で液体であるフッ素化剤を使用して、該フッ素化剤を電解フッ素化における溶媒の少なくとも一部として使用することが好ましい。また、本発明において、不活性溶媒を使用して反応を行うこともできる。不活性溶媒としては非プロトン性溶媒が好ましい。例えば、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、スルホランなどの溶媒を不活性溶媒として上げることができる。
原料アダマンタン化合物に対するフッ素化剤の使用量は、少なくとも目的とするフッ素化アダマンタン化合物におけるフッ素原子の数(以下、kで表す)に対応する量を必要とするが、通常は過剰量使用される。好ましくは、原料アダマンタン化合物1モルに対して1.5kモル以上、特に2kモル以上が好ましい。フッ素化剤が溶媒としても作用することより、その使用量の上限は特に限定されるものではないが、反応装置の容積効率等の面から通常は原料アダマンタン化合物1モルに対して100モル程度が好ましく、特に50モルが好ましい。
本発明の電解フッ素化において使用する電解槽としては、無隔膜式あるいは隔膜式いずれの電解槽も使用可能である。電解方式としては定電流電解、定電位電解いずれも有効である。通常は、定電位電解を行うのが純粋に製品を得るためには好ましい。電極として白金電極、炭素電極、二酸化鉛電極、銀電極、銅電極等の種々の材料の電極が使用できる。特に陽陰極に白金電極を用いて電解反応を行うことが収率よく製品を得るためには有効である。
電解反応は通常、−50℃〜+50℃で行うことができるが、特に−10℃〜+40℃で行うのが好ましい。また電位は1〜3.0V、好ましくは1.5〜3.0V、電流密度は1〜100mA/cm、好ましくは5〜50mA/cmである。
本発明の製造方法は、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜4個有するアダマンタン化合物を用い、電解フッ素化における電位を制御して該水素原子が置換されるフッ素原子の数を制御することができる。電解フッ素化における電位は、用いるアダマンタン化合物のサイクリックボルタモグラムを測定することにより決定される。用いるアダマンタン化合物のサイクリックボルタモグラムは、上記のようなフッ化水素塩中において、橋頭位の炭素原子に有する水素原子の数に応じて、複数のピークを示す。それぞれのピーク近辺の電位において、定電位電解を行うことにより、橋頭位の炭素原子に有する水素原子の数に応じて、モノフルオロ、ジフルオロ、トリフルオロ、テトラフルオロ化体がそれぞれ高選択的に得られる。
具体的には、例えば、1−アダマンタンカルボン酸メチルは、(CN・5HF中でサイクリックボルタモグラムの測定を行うと、2.5、2.7および2.9(V vs.Ag/Ag)近辺にピークを示す。したがって、それぞれの電位で定電位電解反応を行うことにより、モノフルオロ、ジフルオロ、トリフルオロ化体を高選択的に得ることができる。
本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[例1]
白金電極(2×2cm)をアノード、カソードに持つフッ素樹脂製1室型電解槽に、EtN−5HF(12ml)、1−アセトキシメチルアダマンタン(199mg、0.95mmol)を入れた。室温、定電位(2.54V vs.Ag/Ag)で2.65F/molの電流を流し反応を行った。反応混合物を水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を混合し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、3−フルオロ−1−アセトキシメチルアダマンタンを収率86%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.47〜1.59(6H,m)、1.69〜1.87(6H,m)、3.02(3H,s)、2.32(2H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−132.6(1F,s)。
[例2]
1−アセトキシメチルアダマンタンを[例1]と同条件下、2.7V vs.Ag/Agで5.2F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、3,5−ジフルオロ−1−アセトキシメチルアダマンタンを収率85%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.40(2H,s)、1.68〜1.83(10H,m)、2.08(3H,s)、2.49(1H,s)、3.86(2H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−137.5(2F,s)。
[例3]
1−アダマンタンカルボン酸メチルを[例1]と同条件下、2.45V vs.Ag/Agで2.8F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、3−フルオロ−1−アダマンタンカルボン酸メチルを収率84%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.60(2H,s)、1.80〜1.89(8H,m)、2.03(d,2H,5.72Hz)、2.34(2H,s)、3.68(3H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−133.0(1F,s)。
[例4]
1−アダマンタンカルボン酸メチルを[例1]と同条件下、2.6V vs.Ag/Agで6.57F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、3,5−ジフルオロ−1−アダマンタンカルボン酸メチルを収率72%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.71(2H,bs)、1.83(4H,m)、2.01(4Hbs)、2.10(2H,m)、2.52(1H,bs)、3.71(3H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−137.6(2F,s)。
[例5]
1−アダマンタンカルボン酸メチルを[例1]と同条件下、2.8V vs.Ag/Agで10.3F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、3,5,7−トリフルオロ−1−アダマンタンカルボン酸メチルを収率92%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.99〜2.15(12H,m)、3.74(3H,s)。
19F−NMR(2376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−143.9(3F,s)。
[例6]
1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチルエステルを[例1]と同条件下、2.53V vs.Ag/Agで3.1F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、5−フルオロ−1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチルエステルを収率76%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.79(4H,s)、1.87〜2.06(8H,m)、2.44〜2.48(1H,m)、3.69(6H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−136.3(1F,s)。
[例7]
1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチルエステルを[例1]と同条件下、2.8V vs.Ag/Agで6.4F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、5,7−ジフルオロ−1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチルエステルを収率86%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.93(2H,s)、1.98〜2.05(8H,m)、2.12(2H,t,5.36Hz)、3.72(6H,s)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−140.2(2F,s)。
[例8]
アダマンタンを[例1]で用いたのと同じ電解槽を用いて、EtN−5HF(6ml)、塩化メチレン(6ml)中、35℃で、2.3V vs.Ag/Agで2.2F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、1−フルオロアダマンタンを収率74%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.56〜1.66(6H,m)、1.88〜1.90(6H,m)、2.23(3H,bs)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−129.1〜−129.0(1F,m)。
[例9]
アダマンタンを[例1]で用いたのと同じ電解槽を用いて、EtN−5HF(6ml)、塩化メチレン(6ml)中、35℃で、2.5V vs.Ag/Agで4.4F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、1,3−ジフルオロアダマンタンを収率79%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.50(2H,bs)、1.84〜1.90(8H,m)、2.09(2H,t,5.56Hz)、2.44(2H,bs)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−134.5(2F,m)
[例10]
アダマンタンを[例1]で用いたのと同じ電解槽を用いて、EtN−5HF(12ml)中、45℃で、2.7V vs.Ag/Agで14F/molの電流を流し反応を行った。通電後、[例1]と同様に後処理を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、1,3,5−トリフルオロアダマンタンを収率61%で得た。
H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.79〜1.83(6H,m)、2.04〜2.15(6H,m)、2.49〜2.56(1H,m)。
19F−NMR(376MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−141.4(3F,s)。
本発明により得られるフッ素化アダマンタン化合物は、医薬や農薬などの生理活性物質やその合成中間体として有用である(前記特許文献1、特許文献2参照)。また、本発明により得られるフッ素化アダマンタン化合物は光学材料の原料として有用である。例えば、フッ素化アダマンタン環を有するポリマーやモノマーはレジスト剤などの電子部材製造プロセスに使用される材料として透明性などの光学的特性を向上させる効果が期待できる。

Claims (6)

  1. 橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を1〜4個有するアダマンタン誘導体およびアダマンタンから選ばれるアダマンタン化合物を、第3級アミンのポリフッ化水素酸塩および第4級アンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩から選ばれる少なくとも1種のフッ素化剤を用いて電解フッ素化し、橋頭位の炭素原子に結合した水素原子のみ、その一部ないし全部をフッ素原子に置換するフッ素化アダマンタン化合物の製造方法であって、
    前記アダマンタン誘導体は、アダマンタンの水素原子の1個以上が、下記ハロゲン原子(α)、原子団(β)、および炭素数20以下の有機基(γ)から選ばれる少なくとも1種に置換された化合物であることを特徴とするフッ素化アダマンタン化合物の製造方法。
    ハロゲン原子(α);フッ素原子、および塩素原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子。
    原子団(β);ニトロ基、シアノ基、およびカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の原子団。
    炭素数20以下の有機基(γ);アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の有機基。
  2. 橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜3個有する前記アダマンタン誘導体から、フッ素原子を1〜3個有するフッ素化アダマンタン化合物を製造する、請求項1に記載の製造方法。
  3. アダマンタン化合物が、橋頭位の炭素原子に結合した不活性置換基を1〜2個有するアダマンタン誘導体であり、前記不活性置換基が、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の基である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 橋頭位の炭素原子に結合した水素原子を2〜4個有するアダマンタン化合物を用い、電解フッ素化における電位を制御して該水素原子が置換されるフッ素原子の数を制御する、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記フッ素化剤が、トリアルキルアミンのポリフッ化水素酸塩およびテトラアルキルアンモニウムフルオリドのポリフッ化水素酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. フッ素化剤が常温で液体であるフッ素化剤であり、該フッ素化剤を電解フッ素化における溶媒の少なくとも一部として使用する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
JP2007262038A 2007-10-05 2007-10-05 フッ素化アダマンタン化合物の製造方法 Active JP5132238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007262038A JP5132238B2 (ja) 2007-10-05 2007-10-05 フッ素化アダマンタン化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007262038A JP5132238B2 (ja) 2007-10-05 2007-10-05 フッ素化アダマンタン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009091608A JP2009091608A (ja) 2009-04-30
JP5132238B2 true JP5132238B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=40663884

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007262038A Active JP5132238B2 (ja) 2007-10-05 2007-10-05 フッ素化アダマンタン化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5132238B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5779187A (en) * 1980-10-31 1982-05-18 Agency Of Ind Science & Technol Manufacture of perfluoro(alkyl-substituted adamantane)
ES2175614T3 (es) * 1997-04-10 2002-11-16 Pfizer Derivados fluorosustituidos de adamantano.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009091608A (ja) 2009-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008521861A5 (ja)
EP2042482A1 (de) Verfahren zur Herstellung von 2-Dihalogenacyl-3-amino-acrylsäure-Derivaten
JP5313579B2 (ja) 新規なフッ素化された1,2−オキサチオラン2,2−ジオキシドの製造方法
JP2008195691A (ja) 4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造法
Ishii et al. Electrolytic partial fluorination of organic compound. Part: 53 Highly regioselective anodic mono-and difluorination of 4-arylthio-1, 3-dioxolan-2-ones. A marked solvent effect on fluorinated product selectivity
JP5132238B2 (ja) フッ素化アダマンタン化合物の製造方法
JP2006188531A (ja) 新規のシアン化ハロメチルベンゾイル
Moens et al. A convenient approach towards the 1-aminomethyl-1-fluorocycloalkane scaffold
Xiao et al. Synthesis of trifluoromethyltetrazoles via building block strategy
JP5353103B2 (ja) フルオロアルケン化合物の製造方法
JP5540508B2 (ja) 1,2−ジアルキル−1,2−ジフルオロエチレンカーボネートの製造法
Riyadh et al. Electrolytic partial fluorination of organic compounds. Part 60: Highly regioselective anodic fluorination of aryl propargyl sulfides
JP5351456B2 (ja) 電解フッ素化による4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法
Nagura et al. Electrochemical iodofluorination of electron-deficient olefins
JP3301210B2 (ja) 脂肪族酸フルオライドの製造方法
JP5853772B2 (ja) α,α−ジフルオロ芳香族化合物の製造方法
Noel et al. Current approaches to the electrochemical synthesis of organo-fluorine compounds
JP2010260817A (ja) 4,5−ジアルキル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造法
JP2006001843A (ja) フッ素化カーボナート類とその製造方法
Riyadh et al. Electrolytic partial fluorination of organic compounds. Part 43: Highly regioselective anodic mono-and difluorination of propargyl sulfides and preparation of α-fluoroallenyl sulfides
US10717693B2 (en) Method for producing diol
JP2003313181A (ja) フッ素化フタリド類の製造方法
JP2009149591A (ja) フルオロアルキルアルコールの製造方法
JP2015063530A (ja) マンデル酸のピペリジルエステルの第4級塩を製造する方法
JP5308763B2 (ja) N−フルオロピリジニウム塩の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100816

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121009

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5132238

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250