JP5131863B2 - Hlac特徴量抽出方法、異常検出方法及び装置 - Google Patents
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また、音声信号を短時間フーリエ変換することで時間−周波数領域に変換し、2次元濃淡(2D-Gray)HLAC特徴量やCubic-HLAC(CHLAC)特徴量を抽出する手法(非特許文献1〜2参照)、1次元信号からHLAC特徴量を抽出する先行技術(特許文献4〜5参照)などの提案も既に見られる。
しかし、各帯域信号から求める1D-GrayHLACや、その他のHLAC、CHLACも、入力信号の振幅をs倍した場合、特徴量の0次項はs倍、1次項はsの2乗倍、そして2次項はsの3乗倍と次数間で異なり、特徴量全体として非線形な影響を受けるため、振幅スケーリングに関して線形性が成立していない。このため、これらHLACに基づいた特徴量では、同じ音響信号でも振幅を増減すると、同じ音源の音響信号と判別できなくなるという問題が生じる。
加法性とは、複数音源が同時発生している音響信号から抽出したHLAC特徴量が、各音源単体の音響信号から抽出したHLAC特徴量の和として表現できるという意味である。1次元信号から直接HLAC特徴量を求める場合、1次や2次など高次項を含むので、明らかに加法性は成立しない。
この従来法では、全次元を含めたHLAC特徴量を用いて逸脱距離を算出しているが、一般的に次数が高くなるにつれてHLAC特徴量の値は大きくなるため、算出される逸脱距離はHLAC特徴量の高次項で支配されるという問題がある。特に、1次元の観測信号から直接HLAC特徴量を求める場合、この問題が顕著となる。
(1)1次元信号を時間−周波数平面に写像するステップ、その時間軸及び周波数軸を分割して区分けされたブロック毎に、その領域内で2次元局所マスクパターンを移動させてHLACを累積するステップ及び周波数軸に沿って並ぶブロックから求めたHLAC特徴量から各次数項を抜き出して結合するステップを含むHLAC特徴量の抽出方法。
(2)上記(1)に記載のHLAC特徴量の抽出方法にしたがって次数毎にまとめた通常時2次元濃淡HLAC特徴量の通常部分を予め求めておくステップ、検出時に次数毎に通常部分空間からの逸脱距離を算出するステップ、及び各次数の逸脱距離を統合するステップを含むHLAC特徴量の抽出方法。
(3)上記(1)に記載のHLAC特徴量の抽出方法にしたがって次数毎にまとめた通常時2次元濃淡HLAC特徴量の通常部分を予め求めておくステップ、検出時に次数毎に通常部分空間からの逸脱距離を算出するステップ、及び各次数の逸脱距離を統合するステップを含む異常検出方法。
(4)上記逸脱距離を統合するステップは、各次数の逸脱距離の2乗を加算しその和の平方根を求めるステップであることを特徴とする(3)に記載の異常検出方法。
(5)上記逸脱距離を統合するステップは、規格化した各次数の逸脱距離の2乗を加算しその和の平方根を求めるステップであることを特徴とする(3)に記載の異常検出方法。
(6)上記(1)又は(2)に記載の抽出方法を実施するためのHLAC特徴量抽出装置。
(7)上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の方法を実施するための異常検出装置。
更に、本発明は、通常時の1次元信号のHLAC特徴量から、次数毎にPCAで通常部分空間を求めておき、監視時に観測された1次元信号のHLAC特徴量の通常部分空間からの逸脱距離を次数毎に求めて最後に統合することで、振幅スケーリングに関して同一信号と判別可能な逸脱距離の評価法を実現している。
センサ出力信号を、短時間フーリエ変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、瞬時周波数変換、フィルタバンクなどにより、時間−周波数(スケール)平面へ写像する。離散コサイン変換や実関数ウェーブレット変換(WT)、瞬時周波数変換、フィルタバンクなど変換値が実数になる場合は、その変換値から直接HLACを求める。離散フーリエ変換(DFT)や複素関数ウェーブレット変換を用いる場合は、変換値の絶対値又はその自乗を求め、実数にする。
複素HLACを求める場合は、特に位相に関して、時間軸上で隣接する変換値間で差分を求めるなど相対量として扱う必要がある。
図1に、マイクからの出力信号(音声)に、窓シフトさせながらフレームを切り出し、各フレームのFFTを計算して周波数ビンの絶対値を求めて、時間−周波数平面上に濃淡表示した図を示す。
加法性を疑似的にでも高精度に成立させるためには、時間−周波数平面に写像する際に、出来るだけ音響信号のスパース性を引き出せるような表現方法を選択することが重要となる。フレーム切り出しに用いる窓間数とその時間幅の選択や、より高い周波数分解能が得られる瞬時周波数を用いた表現などを用いるとより高い効果が得られる。
周波数軸に沿った分割は、図のような等帯域分割だけでなく、音声認識で一般的に用いられているメル周波数軸に相当するような、非線形な帯域分割も有効である。図1の例では、8kHzの帯域を8つの等帯域に分割しているので、1ブロックの帯域幅は1kHzとなっている。
このように時間軸だけでなく周波数軸も分割したブロック毎に2次元局所パターンを用いてHLAC特徴量を抽出することで、時間情報と隣接帯域間の相互相関に基づいた局所的周波数特徴に加えて、大局的周波数情報を保持したHLAC特徴量の抽出が可能になる。
各ブロックから抽出した35次元のHLAC特徴量には、0次項が1次元、1次項が5次元、そして2次項が29次元含まれているので、統合したHLAC特徴量から0次項だけをまとめたHLAC特徴量は8次元(=1次元×8ブロック)、2次項だけをまとめたHLAC特徴量は40次元(=5次元×8ブロック)、そして3次項だけをまとめたHLAC特徴量は232次元(=29次元×8ブロック)となる。
しかし、従来法では、同じ信号でも振幅をスケーリングすると、HLAC特徴量が非線形に変化するため通常部分空間から逸脱し、異常と判断される可能性がある。振幅レベルが変化した場合を異常として検出したいアプリケーションでは、これは問題にならないが、特に音響信号など、音源自身の音量や、音源とマイクの相対的な位置関係などにより振幅が容易に変化してしまうような信号を監視対象とするようなアプリケーションでは、問題となる。
本発明では、この点に着目し、図2に示すように、次数毎にまとめた通常時HLAC特徴量の通常部分空間を予め求めておき、検出時には次数毎に通常部分空間からの逸脱距離を求めて、最後に各次数の逸脱距離を統合することにより、振幅スケーリングに関する線形性を成立させている。
時間−周波数平面上のブロック(時間インデックスt、周波数インデックスbとする)から求めたHLAC特徴量を、その最高次数をKとして、次式で表す。式中、各次数項を1つのベクトルとして表している。
次に、周波数軸に沿ったB個のブロックから抽出したHLAC特徴量の各次数の要素を結合して、新たなHLAC特徴量を生成する。
通常時の観測信号から[数2]のHLAC特徴量を求め、PCAで次数毎に主成分ベクトルを求める。式中、主成分ベクトルは固有値の大きい順に並んでいるとする。また、各次数の主成分ベクトルの個数(N0,N1,・・・,Nk)は、累積寄与率により求める。
(統合法・1)
回転機器動作音監視システムは、大きく分けて、
1.通常動作音のHLAC特徴量からの通常部分空間を学習、
2.観測動作音のHLAC特徴量から算出した逸脱距離に基づき通常・異常を判断
の2つの手続きからなる。
何れの手続きもHLAC特徴量は図3に示す手順で計算する。以下に説明を加える。
次に、各フレームのFFTを計算し、FFT周波数ビンの絶対値を求めて、時間−周波数平面への写像を行った。時間軸は、1ブロックあたり3フレームで、隣接するブロックと2フレーム重なるように、ブロック化する。周波数軸は、8kHzの帯域を、隣接ブロックと重なりがないように、16帯域に等分割し、ブロック化する。ブロック毎に、3×3の2次元濃淡局所マスクパターンを用いて、0次項から2次項まで合わせて35次元のHLAC特徴量を計算する。
本実施例の場合、時間軸上の1ブロックは幅3フレームで、隣り合うブロックとは2フレーム重なるため、1フレーム毎に1つのHLAC特徴量が生成されることになる。
通常動作音から前述の手続きにより抽出した次数毎のHLAC特徴量を主成分分析することで、主成分ベクトルと固有値を求める。固有値の大きい方から累積寄与率を求め、その累積寄与率が99.9999%以上となる最小の次元数を求める。選択された固有値に対応する主成分ベクトルが、通常部分空間を張る基底ベクトルとなる。以上の手続きを、0次項HLACから2次項HLACまでのそれぞれを対象に実行し、各次数で求めた次元数と選択された主成分ベクトルを記録する。
観測動作音から前述の手続きにより抽出した次数毎のHLAC特徴量と、前述の通常部分空間学習手続きにより求めた次数毎の次元数と主成分ベクトルを用いて、次数毎に通常部分空間からの逸脱距離を求める[数4]。そして、次数毎に求めた逸脱距離を統合法・1[数5]により統合する。
この統合逸脱距離が閾値未満であれば通常状態と判断し、閾値以上であれば異常状態と判断する。
図6は、3台の内の1つの回転機器に異物を挿入し、回転の度に異物と接触して異常音が発生するようにしたときの動作音から統合逸脱距離を求めた結果を示している。
図7は3台の内の1つの回転機器の回転数に揺らぎを持たせたときの動作音から統合逸脱距離を求めた結果を示している。
図8は3台の内の1つの回転機器に軽いおもりを貼り付け、回転バランスを崩したときの動作音から統合逸脱距離を求めた結果を示している。
以上のように、図6から図8は、何らかの異常が発生している状態の動作音を分析した結果で、何れも求められた統合逸脱距離は、図5に示した通常音から求めた逸脱距離と比べて、大きな値を示している。従って、これらの統合逸脱距離から、異常状態の発生を検出することは容易である。
Claims (6)
- 1次元信号のHLAC特徴量の抽出方法であって、
1次元信号を時間−周波数平面に写像するステップ、その時間軸及び周波数軸を分割し
て区分けされたブロック毎に、その領域内で2次元局所マスクパターンの濃淡マスクを移動させてHLACを累積するステップ及び周波数軸に沿って並ぶブロックから求めたHLAC特徴量から前記濃淡マスクの各次数項を抜き出して次数毎に結合し、次数毎にまとめた新たなHLAC特徴量を生成するステップを含むことを特徴とする1次元信号のHLAC特徴量の抽出方法。 - 請求項1に記載のHLAC特徴量の抽出方法にしたがって次数毎にまとめた通常時2次元濃淡HLAC特徴量の通常部分空間を予め求めておくステップ、異常検出時に前記HLAC特徴量の抽出方法にしたがって次数毎にまとめた異常検出時2次元濃淡HLAC特徴量と前記通常部分空間からの逸脱距離を次数毎に算出するステップ、及び各次数の逸脱距離を統合するステップを含む1次元信号の異常検出方法。
- 上記逸脱距離を統合するステップは、各次数の逸脱距離の2乗を加算しその和の平方根
を求めるステップであることを特徴とする請求項2に記載の1次元信号の異常検出方法。 - 上記逸脱距離を統合するステップは、各次数の逸脱距離の2乗を正規化して加算しその
和の平方根を求めるステップであることを特徴とする請求項2に記載の1次元信号の異常検出方法。 - 請求項1記載の抽出方法を実施するためのHLAC特徴量抽出装置。
- 請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法を実施するための1次元信号の異常検出装置。
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