JP5130513B2 - 3次元変位ひずみ計測方法及び装置 - Google Patents
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Description
非特許文献1には、2光波の照射で計測物体の3方向の変位(3次元変位)を求めることができる位相シフトデジタルホログラフィ法が記載されている。
特許文献2には、計測物体に対して2方向からレーザを照射し、方向ごとにシャッタを使って照射方向を順番に切り替え、それぞれの画像を順に撮影することにより、計測物体の面内方向および面外方向の変位を高精度に計測することができる方法が記載されている。
非特許文献1に記載の方法では、2光波の照射で3方向の変位を求めているため、面内方向の精度が不十分である。
特許文献2に記載の方法では、計測物体に対して2方向からレーザを照射するが、方向ごとにシャッタを使って照射方向を順番に切り替え、それぞれの画像を順に撮影しているため、計測に多くの時間を要する。
a) 計測物体に、異なるレーザ光源から出射される同一波長の3つの物体光を異なる方向から照射し、
b) 各物体光から分岐される3つの参照光と計測物体からの反射光との干渉像を、各参照光の位相を互いに異なる速度で物体光に対して変化させつつ複数枚、2次元撮像素子で撮影し、
c) フーリエ変換を用いて位相変化速度の異なる干渉成分を抽出することにより3つの物体光による干渉像を分離し、
d) 各干渉像より、各物体光の照射方向に応じた方向の計測物体の変位分布を計測する
ことにより計測物体の3次元変位を計測するものである。
a) 計測物体に、異なるレーザ光源から出射される同一波長の3つの物体光を異なる方向から照射する物体光照射手段と、
b) 各物体光から分岐され、互いに異なる速度で物体光に対する位相が変化する3つの参照光を生成する参照光生成手段と、
c) 計測物体からの反射光と前記3つの参照光の干渉像を撮影する2次元撮像素子と、
d) 2次元撮像素子により複数枚撮影された干渉像に基づき、フーリエ変換を用いて位相変化速度の異なる干渉成分を抽出することにより3つの物体光による干渉像を分離する分離手段と、
e) 各干渉像より、各物体光の照射方向に応じた方向の計測物体の変位分布を計測する変位計測手段と
を備える。
(1) フーリエ変換位相シフト法を用いた多光束同時解析法の原理
フーリエ変換位相シフト法は位相解析に非常に有効な手法であり、従来の位相シフト法と異なり複数枚の画像から位相を解析することができる。3光束を用いた変位計測を例に挙げると、物体に照射する3光束には3つの波長が等しいレーザを用いる。波長を等しくする理由は、位相シフトデジタルホログラフィにおける再生範囲が波長に左右されるためである。
計測物体にある角度から光を照射したときの光源と物体と観測面の位置関係を図2に示す。物体上の或る点Pに入射角θで光を照射したとき、観測場所によって物体からの反射光の強度に違いが生じる。点Pからの反射光の方向毎の強度を表す感度ベクトルeは、物体の変位ベクトルdとその変位によって生じるCCDカメラへの入射光の位相変化Δφを用いると、式(1)のように表すことができる。
上記方法によりx、y、z方向の変位成分を求めることができるが、これらは未だ具体的な数値(絶対値)として求めることはできない。絶対値を求めるためには、上記方法を実際に変位する物体に適用し、その変位量と位相差との関係を求めておいて、校正を行わなければならない。
校正に用いる光学系の一例を図3に示す。この光学系では、上記の通り、3つの物体光と、3つの参照光を生成し、参照光に互いに異なる位相シフトを設けて干渉像を撮影する。
1) 図4に示すように、光源1から基準面に光を照射し、基準面をx方向にΔx1だけ移動させ、その移動によって生じる位相差分布Δφ1xを求める。
2) Δx1とΔφ1xから、光源1の感度ベクトルeのx方向の成分e1xを求める。
3) 同様にy方向、z方向にΔy1、Δz1だけ移動させ、その移動によって生じる位相差分布Δφ1y、Δφ1zを求め、光源1の感度ベクトルeのy方向成分、z方向成分e1y、e1zをそれぞれ求める。
4) 光源2と光源3から照射する光に対しても、x、y、z方向にそれぞれΔx2、Δy2、Δz2、Δx3、Δy3、Δz3移動させ、その移動によって生じる位相差分布Δφ2x、Δφ2y、Δφ2z、Δφ3x、Δφ3y、Δφ3zをそれぞれ求める。
5) 2)と同様に、光源2、3の感度ベクトルeのx、y、z方向成分e2x、e2y、e2z、e3x、e3y、e3zをそれぞれ求める。
6) 1)〜5)を複数回行い、結果を平均することで、感度ベクトル成分の信頼度を高める。なお、精度よりも時間が優先される場合は、この行程を省略することも可能である。
7) 得られた感度ベクトル成分e1x、e1y、e1z、e2x、e2y、e2z、e3x、e3y、e3zより式(4)の行列Sを作成し、その逆行列S-1を演算して各成分f1x、f1y、f1z、f2x、f2y、f2z、f3x、f3y、f3zの値を求める。
8) 校正実験の基準面の位置に計測物体を置き、各光源から照射する光で基準となる画像(変位前)と物体に力が加わった画像(変位後)を順に撮影する。
9) 計測物体の変形によって生じた位相差分布Δφ1、Δφ2、Δφ3と、校正実験で求めた位相−変位変換テーブルの各成分より、計測物体のx、y、z方向の変位ベクトル成分を求めることができる。
次に、変位分布からひずみ分布を算出する方法を示す。
1) 縦の画素iと横の画素jとx方向の変位dxによる図5のような3次元座標を考える。この3次元座標において、検出する画素とその画素を中心とする周囲の画素について平面近似を行う。この平面は、式 (7)のようにパラメータax、bx、cxを用いて表すことができる。
式(5)、(6)より、x、y方向の変位は、
式(20)〜(22)を用いることで、変位分布を算出するのに必要な位相接続などの処理を必要とせず、位相差分布から直接ひずみ分布を検出することができる。
(1) 3次元変位計測装置
レーザ3台を光源とし、それぞれを物体光と参照光に分ける。物体光は球面波とし物体に3方向から光を照射する。参照光は平行光とし位相シフト装置を通してカメラで撮影する。解析手順の概要を図7に示す。
(i)図3に示す光学系を用いて3つの物体光と参照光を同時にカメラで記録する。計測物体には回転ステージに取り付けた平板を用いた。回転前の状態を変位前として、物体光と参照光の干渉縞を記録する。次に回転ステージによって変位を与え、変位後の状態を記録する。
(i)図3に示す光学系を用いて、3つの物体光と参照光を同時にカメラで記録する。計測物体には基準面を取り付けた3軸PZTステージを用いた。まず、変位前の計測物体における物体光と参照光の干渉縞を記録する。次に、3軸PZTステージによって各方向に100 nmずつ変位を与え、変位後の状態を記録する。
(i)(2)で求めた位相接続後の位相分布と(3)で求めた位相−変位変換テーブルからx、y、z方向の相対変位分布を求める。各方向の相対変位分布を図10に示す。
(i)面内変位計測光学系から得た位相差分布を図11に示す。これは片持ち梁に変形を加えたときのx方向(図の横方向)の位相差分布である。本分布からx方向のひずみ分布を算出したものを図12に示す。
Claims (9)
- a) 計測物体に、異なるレーザ光源から出射される同一波長の3つの物体光を異なる方向から照射し、
b) 各物体光から分岐される3つの参照光と計測物体からの反射光との干渉像を、各参照光の位相を互いに異なる速度で物体光に対して変化させつつ複数枚、2次元撮像素子で撮影し、
c) フーリエ変換を用いて位相変化速度の異なる干渉成分を抽出することにより3つの物体光による干渉像を分離し、
d) 各干渉像より、各物体光の照射方向に応じた方向の計測物体の変位分布を計測する
ことにより計測物体の3次元変位を計測する方法。 - 基準面に既知の3次元変位を与えつつ前記方法で該変位を計測しておき、その結果に基づいて計測物体の未知の3次元変位量を計測する請求項1に記載の3次元変位計測方法。
- 前記既知変位の計測を複数回行い、その平均を取ることにより未知変位の計測精度を高める請求項2に記載の3次元変位計測方法。
- 2次元撮像素子の各画素における演算結果に基づいて平滑化処理を行うことによりノイズ除去を行い、未知変位の計測精度を高める請求項1〜3のいずれかに記載の3次元変位計測方法。
- 2次元撮像素子の各画素毎に、該画素及び周辺画素の位置とそれら画素について請求項1〜4のいずれかに記載された方法により計測された変位とに基づき、ひずみを算出する3次元ひずみ計測方法。
- a) 計測物体に、異なるレーザ光源から出射される同一波長の3つの物体光を異なる方向から照射する物体光照射手段と、
b) 各物体光から分岐され、互いに異なる速度で物体光に対する位相が変化する3つの参照光を生成する参照光生成手段と、
c) 計測物体からの反射光と前記3つの参照光の干渉像を撮影する2次元撮像素子と、
d) 2次元撮像素子により複数枚撮影された干渉像に基づき、フーリエ変換を用いて位相変化速度の異なる干渉成分を抽出することにより3つの物体光による干渉像を分離する分離手段と、
e) 各干渉像より、各物体光の照射方向に応じた方向の計測物体の変位分布を計測する変位計測手段と
を備える3次元変位ひずみ計測装置。 - 更に、2次元撮像素子の各画素毎に、該画素及び周辺画素の位置とそれら画素について計測された変位とに基づきひずみを算出するひずみ算出手段を備える請求項6に記載の3次元変位ひずみ計測装置。
- a) 計測物体に、異なるレーザ光源から出射される同一波長の複数の物体光を異なる方向から照射し、
b) 各物体光から分岐される複数の参照光と計測物体からの反射光との干渉像を、各参照光の位相を互いに異なる速度で物体光に対して変化させつつ複数枚、2次元撮像素子で撮影し、
c) フーリエ変換を用いて位相変化速度の異なる干渉成分を抽出することにより前記複数の物体光による干渉像を分離し、
d) 各干渉像より、各物体光の照射方向に応じた方向の計測物体の変位分布を計測する
ことにより計測物体の変位を計測する方法。 - 2次元撮像素子の各画素毎に、該画素及び周辺画素の位置とそれら画素について請求項8に記載された方法により計測された変位とに基づき、ひずみを算出するひずみ計測方法。
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