JP4766989B2 - 位相シフトデジタルホログラフィ法を用いた歪計測方法および歪計測装置 - Google Patents
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Description
ところで、構造物の健全性を評価する重要な事項としては疲労破壊がある。
このような疲労破壊を防ぐためには、まず、構造物における歪を計測して変位量を求めることで、応力が集中している箇所を把握することが重要となる。
このレーザスペックル干渉法の基本原理は、被計測部分にレーザビームを照射し、その散乱光を撮像手段にてスペックルパターンとして記録しておき、そして被計測部分の変形前後におけるスペックルパターンの移動量に基づき、被計測物における変位および歪を計測するようにしたものである。
これら変形前と変形後との両位相分布の差である位相分布差から物体光の照射方向での被計測物体表面における変位を求める変位演算工程を具備するとともに、
この変位演算工程を、被計測物体の載置面に垂直な第1垂直面の面内および載置面に垂直で且つ上記第1垂直面に垂直な第2垂直面の面内で、それぞれ被計測物体の両側から且つ入射角が等しくされた2つの第1計測光および2つの第2計測光(以下、2つの計測光を2光束という)についてそれぞれ行うことにより、載置面に垂直なz軸方向および載置面と第1垂直面との交差軸であるx軸方向、並びに載置面に垂直なz軸方向および載置面と第2垂直面との交差軸であるy軸方向での変位量をそれぞれ演算し、
上記求められた三次元方向での変位量から被計測物体に生じた歪を算出する歪計測方法であって、
上記第1計測光および第2計測光を、上記第1ビームスプリッタにより分割された計測光を第2ビームスプリッタにて分割することにより得るとともに、この得られた各計測光をそれぞれ2光束でもって被計測物体に照射する際に、それぞれの照射経路に配置された一対のシャッター部材を開閉させることにより、2光束における一方の計測光を直接に被計測物体に照射させるようになし、且つ2光束における他方の計測光を、その照射方向に対向して配置された反射ミラーを介して被計測物体に上記一方の計測光とは反対側から照射させるようにした方法である。
1つのレーザ照射器と、
このレーザ照射器から出射されたレーザ光を2つに分割して計測光と参照光とを得るための第1ビームスプリッタと、
この第1ビームスプリッタを参照光の照射方向に沿って移動させて、当該参照光の位相をπ/2ずつ1周期分シフトさせる移動手段と、
上記第1ビームスプリッタからの計測光をさらに2つに分割して第1計測光と第2計測光とを得るための第2ビームスプリッタと、
この得られた第1計測光および第2計測光の各照射経路の途中にそれぞれ配置されてこれら各計測光を半分ずつ開閉し得る一対の第1シャッター部材および一対の第2シャッター部材と、
被計測物体が載置された載置面に垂直に配置されて、上記一対の第1シャッター部材の一方が開放された際には、その一方側の第1計測光については反射させずに被計測物体に直接照射させるようにするとともに、他方が開放された際に、その他方側の第1計測光を反射させて被計測物体に、上記一方側の第1計測光とは反対側から且つ同じ入射角でもって照射させる第1反射ミラーと、
上記載置面および第1反射ミラーに垂直に配置されて、上記一対の第2シャッター部材の一方が開放された際には、その一方側の第2計測光については反射させずに被計測物に直接照射させるようにするとともに、他方が開放された際に、その他方側の第2計測光を反射させて被計測物体に、当該計測光とは反対側で且つ同じ入射角でもって照射させる第2反射ミラーと、
上記被計測物体の表面にて反射した物体光および上記参照光を同軸でもって入射させて被計測物体表面のホログラム画像を得るためのCCDカメラと、
上記移動手段により参照光の位相がシフトされて得られた複数のホログラム画像から被計測物体表面の位相分布を求める位相分布演算部と、
この位相分布演算部にて求められた被計測物体の変形前と変形後における位相分布の差を求める位相差演算部と、
この位相差演算部にて求められた位相分布差により、載置面内並びにこの載置面に垂直な第1垂直面内、並びにこれら載置面および第1垂直面に垂直な第2垂直面内での変位量を求める変位演算部と、
この変位演算部にて求められた各変位量から被計測物体表面における三次元方向での歪を求める歪算出部とを具備したものである。
以下、本発明の実施の形態に係る位相シフトデジタルホログラフィ法を用いた歪計測方法および歪計測装置を図面に基づき説明する。
この位相シフトデジタルホログラフィ法においては、CCDに物体光(物体からの反射光である)と参照光を同軸(on−axis)で入射させる光学系が用いられ、この状態で再生すると、0次、1次、−1次の回折像が重なって再生されることになるが、位相シフトされている干渉縞の位相解析により、CCD面上の複素振幅を求めて再生を行なうと、1次回折像だけを得ることができる。
すなわち、参照光に平行光を用いるために、記録面における振幅は一定で位相の変化はないため、下記(4)式により記録面での物体光だけの振幅a(x,y)が得られ、また位相φ(x,y)は下記(5)式に示される関係から求めることができる。
元の物体の複素振幅分布をu(x,y)とすると、下記(7)式のように表わされる。
上記説明を踏まえて、被計測物体における変形前と変形後とにおける位相分布差を求める原理について説明する。
そして、本発明の要旨は、載置面(x−y平面)に載置された被計測物体表面における三次元方向での歪、すなわち変位を計測し得るものであり、このため、x−z平面とy−z平面において、それぞれ2光束を用いた変位計測を行い、各平面において、それぞれの座標軸方向(x−z平面では、x軸方向とz軸方向;y−z平面では、y軸方向とz軸方向)での変位を求めるものである。
2光束を用いて変位を計測するために、光源と被計測物体と観測点の位置関係を図1に示す。
また、光源L1,L2から被計測物体Mへの入射角をそれぞれθおよび−θとすると、被計測物体Mから光源L1、被計測物体Mから光源L2に至る各単位ベクトルi1,i2のそれぞれの方向成分は、下記(14)式〜(16)式にて表わすことができる。
なお、第1および第2反射ミラー14,15により、被計測物体M側にその照射方向が変更された各計測光Ra,Rbは、それぞれの照射経路の途中に配置されたビームエキスパンダ41,42により、所定大きさの光束に拡大される。
レーザ照射器11から照射されたレーザ光である計測光Rは、まず第1ビームスプリッタ12で2分割されるとともに、分割された2つの第1および第2計測光Ra,Rbは、それぞれ第1反射ミラー14、ビームエキスパンダ41および第2反射ミラー15、ビームエキスパンダ42を介して被計測物体Mに照射されるが、その照射経路の途中に配置された各シャッター部材33,34により別々に照射される。
また、他方の第1シャッター部材33bが作動されて、上半分の第1計測光Roが第4反射ミラー31を介して反対側から同じ入射角でもって被計測物体Mに照射され、上記と同じ手順により、反対側からの第1計測光Raによる被計測物体M表面の位相分布が得られる。
次に、図6に示すように、第2シャッター部材34a,34bを駆動して、第2参照光Rbについても、下半分を被計測物体Mに直接に照射するとともに、上半分を第5反射ミラー32を介して反対側から被計測物体Mに照射させて、上記と同じ手順により、2光束による位相分布φ3,φ4が得られる。
そして、上記変位計測部1にて求められた被計測物体M表面における三次元方向(x軸方向、y軸方向、z軸方向)での変位量が、歪算出部2に入力されて、被計測物体M表面での歪分布が求められる。
すなわち、このコンピュータ装置19には、図7に示すように、演算処理部として、少なくとも、移動手段であるPZTステージ20により参照光の位相がシフトされて得られた複数のホログラム画像から被計測物体M表面の位相分布を求める位相分布演算部51と、この位相分布演算部51にて求められた被計測物体Mの変形前と変形後における位相分布の差を求める位相差演算部52と、この位相差演算部52にて求められた位相分布差により、載置面D内およびこの載置面Dに垂直な第1垂直面と平行な照射面方向、並びに載置面Dと第1垂直面との両方に垂直な第2垂直面と平行な照射面方向での変位量をそれぞれ求める変位演算部53とが具備されている。
すなわち、この歪計測方法は、レーザ照射器から出射されたレーザ光を計測光として所定の載置面に載置された被計測物体に照射し、その反射した物体光と上記レーザ光から第1ビームスプリッタにより分割され且つ位相がπ/2ずつ1周期分シフトされた参照光とを同軸でもってCCDカメラに入射させて得られたホログラム画像から被計測物体表面の位相分布を位相シフトデジタルホログラフィ法を用いて求める手順を、被計測物体の変形前と変形後とで行い、
これら変形前と変形後との両位相分布の差である位相分布差から物体光の照射方向での被計測物体表面における変位を求める変位演算工程を具備するとともに、
この変位演算工程を、被計測物体の載置面に垂直な第1垂直面の面内および載置面に垂直で且つ上記第1垂直面に垂直な第2垂直面の面内で、それぞれ被計測物体の両側から且つ入射角が等しくされた2つの第1計測光および2つの第2計測光(以下、2つの計測光を2光束という)についてそれぞれ行うことにより、載置面に垂直なz軸方向および載置面と第1垂直面との交差軸であるx軸方向、並びに載置面に垂直なz軸方向および載置面と第2垂直面との交差軸であるy軸方向での変位量をそれぞれ演算し、
上記求められた三次元方向での変位量から被計測物体に生じた歪を算出する歪計測方法であって、
上記第1計測光および第2計測光を、上記第1ビームスプリッタにより分割された計測光を第2ビームスプリッタにて分割することにより得るとともに、この得られた各計測光をそれぞれ2光束でもって被計測物体に照射する際に、それぞれの照射経路に配置された一対のシャッター部材を開閉させることにより、2光束における一方の計測光を直接に被計測物体に照射させるようになし、且つ2光束における他方の計測光を、その照射方向に対向して配置された反射ミラーを介して被計測物体に上記一方の計測光とは反対側から照射させるようにした方法である。
そして、また上記変位計測部1のコンピュータ装置19には、上述した一方の計測光により求められた位相分布差並びに面内変位量および面外変位量に基づき、他方の計測光が1つしか照射できない場合に、残りの面内変位量を求める面内変位演算部61が具備されている。
M 被計測物体
R レーザ光
Rm 計測光
Ro 物体光
Rr 参照光
Ra 第1計測光
Rb 第2計測光
D 載置面
1 変位計測部
2 歪算出部
11 レーザ照射器
12 第1ビームスプリッタ
13 第2ビームスプリッタ
14 第1反射ミラー
15 第2反射ミラー
16 第3反射ミラー
17 CCDカメラ
18 ハーフミラー
19 コンピュータ装置
20 PZTステージ
31 第4反射ミラー
32 第5反射ミラー
33 第1シャッター部材
34 第2シャッター部材
51 位相分布演算部
52 位相差演算部
53 変位演算部
61 面内変位演算部
Claims (2)
- レーザ照射器から出射されたレーザ光を計測光として所定の載置面に載置された被計測物体に照射し、その反射した物体光と上記レーザ光から第1ビームスプリッタにより分割され且つ位相がπ/2ずつ1周期分シフトされた参照光とを同軸でもってCCDカメラに入射させて得られたホログラム画像から被計測物体表面の位相分布を位相シフトデジタルホログラフィ法を用いて求める手順を、被計測物体の変形前と変形後とで行い、
これら変形前と変形後との両位相分布の差である位相分布差から物体光の照射方向での被計測物体表面における変位を求める変位演算工程を具備するとともに、
この変位演算工程を、被計測物体の載置面に垂直な第1垂直面の面内および載置面に垂直で且つ上記第1垂直面に垂直な第2垂直面の面内で、それぞれ被計測物体の両側から且つ入射角が等しくされた2つの第1計測光および2つの第2計測光(以下、2つの計測光を2光束という)についてそれぞれ行うことにより、載置面に垂直なz軸方向および載置面と第1垂直面との交差軸であるx軸方向、並びに載置面に垂直なz軸方向および載置面と第2垂直面との交差軸であるy軸方向での変位量をそれぞれ演算し、
上記求められた三次元方向での変位量から被計測物体に生じた歪を算出する歪計測方法であって、
上記第1計測光および第2計測光を、上記第1ビームスプリッタにより分割された計測光を第2ビームスプリッタにて分割することにより得るとともに、この得られた各計測光をそれぞれ2光束でもって被計測物体に照射する際に、それぞれの照射経路に配置された一対のシャッター部材を開閉させることにより、2光束における一方の計測光を直接に被計測物体に照射させるようになし、且つ2光束における他方の計測光を、その照射方向に対向して配置された反射ミラーを介して被計測物体に上記一方の計測光とは反対側から照射させるようにした
ことを特徴とする位相シフトデジタルホログラフィ法を用いた歪計測方法。 - 請求項1に記載の歪計測方法を用いた歪計測装置であって、
1つのレーザ照射器と、
このレーザ照射器から出射されたレーザ光を2つに分割して計測光と参照光とを得るための第1ビームスプリッタと、
この第1ビームスプリッタを参照光の照射方向に沿って移動させて、当該参照光の位相をπ/2ずつ1周期分シフトさせる移動手段と、
上記第1ビームスプリッタからの計測光をさらに2つに分割して第1計測光と第2計測光とを得るための第2ビームスプリッタと、
この得られた第1計測光および第2計測光の各照射経路の途中にそれぞれ配置されてこれら各計測光を半分ずつ開閉し得る一対の第1シャッター部材および一対の第2シャッター部材と、
被計測物体が載置された載置面に垂直に配置されて、上記一対の第1シャッター部材の一方が開放された際には、その一方側の第1計測光については反射させずに被計測物体に直接照射させるようにするとともに、他方が開放された際に、その他方側の第1計測光を反射させて被計測物体に、上記一方側の第1計測光とは反対側から且つ同じ入射角でもって照射させる第1反射ミラーと、
上記載置面および第1反射ミラーに垂直に配置されて、上記一対の第2シャッター部材の一方が開放された際には、その一方側の第2計測光については反射させずに被計測物に直接照射させるようにするとともに、他方が開放された際に、その他方側の第2計測光を反射させて被計測物体に、当該計測光とは反対側で且つ同じ入射角でもって照射させる第2反射ミラーと、
上記被計測物体の表面にて反射した物体光および上記参照光を同軸でもって入射させて被計測物体表面のホログラム画像を得るためのCCDカメラと、
上記移動手段により参照光の位相がシフトされて得られた複数のホログラム画像から被計測物体表面の位相分布を求める位相分布演算部と、
この位相分布演算部にて求められた被計測物体の変形前と変形後における位相分布の差を求める位相差演算部と、
この位相差演算部にて求められた位相分布差により、載置面内並びにこの載置面に垂直な第1垂直面内、並びにこれら載置面および第1垂直面に垂直な第2垂直面内での変位量を求める変位演算部と、
この変位演算部にて求められた各変位量から被計測物体表面における三次元方向での歪を求める歪算出部と
を具備したことを特徴とする歪計測装置。
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