参考例である導電体濃度計測装置を説明する。参考例の導電体濃度計測装置は、磁性体粉を含む潤滑油から磁性体粉の濃度を計測するように、磁性体濃度計測装置として構成されるものであり、図1は実施の形態の参考例を示す概略図である。
参考例の導電体濃度計測装置は、導電体を含む潤滑油等の流体が流れる配管の流路1に、ピストン(流体導出入手段)2及び検出手段3を備える検出部4を接続している。ここで、導電体は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体のみならず、アルミ、銅、ステンレス等の非磁性体であっても、導電性を備えるならばどのような素材でも良い。又、流体は、潤滑油やドレイン油に限定されるものでなく、導電体を含むものならばどのようなものでも良い。
配管の流路1は、摺動物を備えた機器(図示せず)へ潤滑油を流出入するものであり、流路1の下流には、潤滑油の溜め部5を形成する閉止手段の開閉弁6と、開閉弁6を回避するように配置される分岐流路7とを備えており、分岐流路7は、溜め部5の上流側に形成される分岐口8と、開閉弁6の下流側に形成される合流口9とを備え、溜め部5から溢れ出した潤滑油を下流側へ流すようになっている。なお、摺動物は、駆動用ピストンと駆動用シリンダに限定されるものでなく、摺動するならば、どのようなものでも良い。
一方、検出部4は、開閉弁6と分岐口8の間の流路1に配置されるように溜め部5に開口10を形成する筒状の検出部本体(流体導出入手段)11と、検出部本体11の内部を摺動するピストン(流体導出入手段)2と、ピストン2を駆動させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体11の外周部に配置される検出手段3の検出体12と、検出体12を制御する検出手段3の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。
ここで、検出手段3の検出体12は、差動トランス方式等の検出方法により磁性体粉の濃度を計測するものであるが、磁性体粉の濃度を計測できるものならば特に限定されるものではない。
以下、参考例の作用を説明する。
潤滑油(流体)に含まれる磁性体粉の濃度を計測する際には、予め検出部4のピストン2を押し出した状態で流路1の開閉弁6を閉じ、溜め部5に一定量の潤滑油を溜める。ここで、溜め部5に所定量の潤滑油を溜めたか否かの判断は、一定の時間経過を基準にしても良いし、図1に示す如く分岐流路7に潤滑油が溢れ出す状態を検出しても良いし、他の判断手段を用いても良い。
次に、流体導出入手段のピストン2を引き込むことにより溜め部5の潤滑油を検出部4内に導入し、検出手段3の検出体12等により潤滑油の磁性体粉の濃度を計測する。ここで、検出手段3は、信号処理回路13等を介して検出体12の出力信号を測定するものであり、検出体12の出力信号は検出部4内の磁性体粉の濃度に応じて変化することから、検出体12の出力信号を関数処理、もしくは磁性体粉の濃度の相関関係を用いて対比処理し、磁性体粉の濃度を計測する。
続いて、流体導出入手段のピストン2を押し出すことにより検出部4内の潤滑油を溜め部5へ排出(導出)し、検出部4内の堆積物を排出すると共に、検出部4内及び溜め部5の潤滑油を置換する。
更に、このようなピストン2の往復運動を継続して連続的に潤滑油の磁性体粉の濃度を計測し、磁性体粉の濃度が一定値を超えた場合には、摺動部を備えた機器の磨耗量が大きく、整備が必要な時期に達しているとして、計測値表示及び異常判定装置14より警告表示、警告音、警告灯を介し管理者に告知する。なお、ピストン2の往復運動の時間間隔は、計測する流体の粘度等により変化するが、数秒から数十秒間隔で行うことが好ましい。
このように参考例によれば、ピストン(流体導出入手段)2の往復運動により、検出部4内での潤滑油の流体の導出入や置換を容易にするので、検出部4での潤滑油の置換を促進し、且つ流路1とは別経路の検出部4内で流体の磁性体粉の濃度を安定的に検出するので、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測し、結果的に機器の異常の検出を速やかに行うことができる。又、機器等の摺動部の異常の検出を速やかに行うので、機器に深刻なダメージを与える前に整備を行うことができる。更に、流路1とは別経路の検出部4で流体の磁性体粉の濃度を検出するので、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱の影響を排除することができる。
又、ピストン2の往復運動により固形分等の堆積物を排除するので、定期的なエアブローや機械的な除去を不要にすると共に、更なる堆積物の発生や測定条件の変化を防止し、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。更に、流体が高粘度の場合であってもピストン2の往復運動により一定間隔で流体を確実に導出入し得るので、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。更に又、ピストン2の往復運動により流路1や検出部4内に最初に溜まっているエアを容易に排出し、流体の移動をスムーズにして流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
ここで、ディーゼルエンジン等の機器は、運動回転数や燃料投入度をパラメータとして潤滑油を供給しているが、更に潤滑油に含まれる磁性体粉の濃度の計測値を、駆動用シリンダ(シリンダライナ)の状態パラメータとし、潤滑油の供給を調整することもできる。又、ドレイン油の量を計測する手段を備えて磁性体の濃度と共にドレイン油の量を計測すると、機器の磨耗量を推定することが可能となるので、機器の整備の時期を適確に把握し、整備時間や費用を削減することもできる。
参考例において、検出部4を、エアの混入が防止されるよう、流路1の流体を溜める溜め部5に接続すると、流体導出入手段のピストン2により検出部4内にエアを混入することなく、流体を導出入するので、検出部4での流体の置換を容易に行い、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。又、検出部4を溜め部5に接続するので、エンジン等の機器の動揺等によってもエアの混入を防止することができる。更に、流体が高粘度の場合であっても流体の溜め部5からピストン2の往復運動により一定間隔で流体を好適に導出入し得るので、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
参考例において、溜め部5は、流路1に閉止手段の開閉弁6を介して形成されると、流路1に溜め部5を容易に形成するので、検出部4での流体の置換を容易に行い、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。又、流体が高粘度の場合であっても流体の溜め部5から流体導出入手段のピストン2の往復運動により一定間隔で流体を好適に導出入し得るので、流体の磁性体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
以下、本発明の実施の形態の第一例である導電体濃度計測装置を説明する。第一例の導電体濃度計測装置は、参考例と略同様に、磁性体粉を含む潤滑油から磁性体粉の濃度を計測するように、磁性体濃度計測装置として構成されるものであり、図2は本発明の実施の形態の第一例を示す概略図、図3は本発明の実施の形態の第一例における他の構成を示す概略図である。なお、図中図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第一例の導電体濃度計測装置は、導電体を含む潤滑油等の流体が流れる配管の流路1を変形したものであり、第一例の流路21には参考例と略同じ検出部4を接続している。ここで、導電体は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体のみならず、アルミ、銅、ステンレス等の非磁性体であっても、導電性を備えるならばどのような素材でも良い。又、流体は、潤滑油やドレイン油に限定されるものでなく、導電体を含むものならばどのようなものでも良い。
第一例の配管の流路21は、摺動物を備えた機器(図示せず)から潤滑油を排出するものであり、流路21の下流には、水平方向から鉛直方向に湾曲して延在するメイン流路22と、メイン流路22の鉛直方向の部分に配置される閉止手段の開閉弁23と、開閉弁23を回避するよう参考例と略同様に分岐口24と合流口25を形成して配置される分岐流路26と、開閉弁23と分岐口24の間から所定長さで水平方向に延在する延在流路27と、延在流路27の端側とメイン流路22の水平方向の部分とを接続する小径の連絡流路28とを備えている。なお、摺動物は、駆動用ピストンと駆動用シリンダに限定されるものでなく、摺動するならば、どのようなものでも良い。
ここで、分岐口24から閉止手段の開閉弁23までのメイン流路22は、古い潤滑油の流体を溜める第一の溜め部29となり、延在流路27と連絡流路28は、新たな潤滑油の流体を受け入れて溜める第二の溜め部30となっている。又、分岐流路26は、参考例と同様に第一の溜め部29から溢れ出した潤滑油を下流側へ流すようになっている。更に、連絡流路28は、メイン流路22の鉛直方向の部分よりも、潤滑油が最初に流入されるように配置されている。
一方、検出部4は、延在流路27と連絡流路28の合流部分に配置されるように第二の溜め部30に開口10を形成する筒状の検出部本体(流体導出入手段)11と、検出部本体11の内部を摺動するピストン(流体導出入手段)2と、ピストン2を駆動させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体11の外周部に配置される検出手段3の検出体12と、検出体12を制御する検出手段3の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。又、検出部4の検出部本体11は、流体の導出入の確実性を高めるために、延在流路27の端部から延在するように配置されることが好ましい。
ここで、検出手段3の検出体12は、参考例と略同様に、差動トランス方式等の検出方法により磁性体粉の濃度を計測するものであるが、磁性体粉の濃度を計測できるものならば特に限定されるものではない。
又、第一例の導電体濃度計測装置は他の構成を備えており、他の構成は、図3に示す如く、開閉弁23と分岐口24の間から所定長さで水平方向に延在する延在流路27aと、延在流路27aの中途位置とメイン流路22の水平方向の部分とを接続する小径の連絡流路28とを備え、延在流路27aと連絡流路28に、新たな潤滑油の流体を受け入れて溜める第二の溜め部30aを構成している。
一方、他の構成の検出部4は、延在流路27aの端側で上方に配置されるように第二の溜め部30に開口10を形成する筒状の検出部本体(流体導出入手段)11と、検出部本体11の内部を上下方向に摺動するピストン(流体導出入手段)2と、ピストン2を駆動させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体11の外周部に配置される検出手段3の検出体12と、検出体12を制御する検出手段3の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。
更に、他の構成の残りの部分は、図3に示す如く、第一例の先の例と略同じ構成を備えている。
以下、本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
潤滑油に含まれる磁性体粉の濃度を計測する際には、予め検出部4のピストン2を押し出した状態で配管のメイン流路22の開閉弁23を閉じ、第一の溜め部29及び第二の溜め部30に一定量の潤滑油を溜める。ここで、第二の溜め部30に所定量の潤滑油を溜めたか否かの判断は、一定の時間経過を基準にしても良いし、図2に示す如く分岐流路26に潤滑油が溢れ出す状態を検出しても良いし、他の判断手段を用いても良い。
次に、流体導出入手段のピストン2を引き込むことにより第二の溜め部30の潤滑油を検出部4内に導入し、検出手段3の検出体12等により潤滑油の磁性体粉の濃度を計測する。ここで、検出手段3は、信号処理回路13等を介して検出体12の出力信号を測定するものであり、検出体12の出力信号は検出部4内の磁性体粉の濃度に応じて変化することから、検出体12の出力信号を関数処理、もしくは磁性体粉の濃度の相関関係を用いて対比処理し、磁性体粉の濃度を計測する。
続いて、流体導出入手段のピストン2を押し出すことにより検出部4内の潤滑油を第二の溜め部30へ排出(導出)し、検出部4内の堆積物を排出すると共に、検出部4内及び第二の溜め部30の潤滑油を置換する。ここで、検出部4内から第二の溜め部30へ排出された潤滑油は、第一の溜め部29を介して分岐流路26へ排出される。
更に、流体導出入手段のピストン2を引き込む際には、新たな潤滑油が連絡流路28を介して第二の溜め部30に溜まることから、新たな潤滑油を導入し、検出手段3の検出体12を介して潤滑油の磁性体粉の濃度を計測する。
その後、このようなピストン2の往復運動を継続して連続的に潤滑油の磁性体粉の濃度を計測し、磁性体粉の濃度が一定値を超えた場合には、摺動部を備えた機器の磨耗量が大きく、整備が必要な時期に達しているとして、計測値表示及び異常判定装置14より警告表示、警告音、警告灯を介し管理者に告知する。なお、ピストン2の往復運動の時間間隔は、計測する流体の粘度等により変化するが、数秒から数十秒間隔で行うことが好ましい。
ここで、第一例の他の構成の場合は、第二の溜め部30aの潤滑油を検出部4内に導入する際に、流体導出入手段のピストン2を引き込むことにより第二の溜め部30aの潤滑油を検出部4内へ上方に吸い込んで導入し、検出部4内の潤滑油を第二の溜め部30aへ排出(導出)する際に、流体導出入手段のピストン2を押し出すことにより検出部4内の潤滑油を第二の溜め部30aへ下方に排出しており、他の処理は、第一例の先の構成と全く同じになっている。
このように実施の形態の第一例によれば、参考例と略同様な作用効果を得ることができる。
又、実施の形態の第一例において、溜め部は、古い流体を溜める第一の溜め部29と、新たな流体を受け入れて溜める第二の溜め部30を備え、検出部4を第二の溜め部30に接続すると、ピストン2により検出部4内に新たな潤滑油の流体を導入するので、古い流体と新たな流体が混ざることを防止し、流体の磁性体の濃度を連続的に精度良く計測することができる。更に、検出部4の配置と共に第一の溜め部29及び第二の溜め部30により流体へのエアの混入を好適に防止するので、流体の磁性体粉の濃度を連続的に且つ極めて精度良く計測することができる。又、検出部4を第二の溜め部30に接続するので、エンジン等の機器の動揺等によってもエアの混入を防止することができる。
更に、実施の形態の第一例における他の構成では、ピストン2が下を向くように検出部4を第二の溜め部30aの上方に配置するので、検出部4内への固形分(スラッジ)等の堆積を一層好適に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態の第二例である導電体濃度計測装置を説明する。第二例の導電体濃度計測装置は、参考例と略同様に、磁性体粉を含む潤滑油から磁性体粉の濃度を計測するように、磁性体濃度計測装置として構成されるものであり、図4は本発明の実施の形態の第二例を示す概略図である。なお、図中図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第二例の導電体濃度計測装置は、導電体を含む潤滑油等の流体が流れる配管の流路1を更に変形したものであり、第二例の流路31には参考例と略同じ検出部4を接続している。ここで、導電体は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体のみならず、アルミ、銅、ステンレス等の非磁性体であっても、導電性を備えるならばどのような素材でも良い。又、流体は、潤滑油やドレイン油に限定されるものでなく、導電体を含むものならばどのようなものでも良い。
第二例の配管の流路31は、摺動物を備えた機器(図示せず)から潤滑油を排出するものであり、流路31の下流には、水平方向から鉛直方向に湾曲して延在する第一流路32と、第一流路32から屈曲して水平方向に延在する中間流路33と、中間流路33から更に屈曲して鉛直方向に延在する第二流路34と、第二流路34に形成される閉止手段の開閉弁35と、開閉弁35を回避するように第二流路34に配置される分岐流路36とを備えており、分岐流路36は、中間流路33の他端に形成される分岐口37と、開閉弁35の下流側に形成される合流口38とを備えている。なお、摺動物は、駆動用ピストンと駆動用シリンダに限定されるものでなく、摺動するならば、どのようなものでも良い。
ここで、中間流路33の中途位置から閉止手段の開閉弁35までの第二流路34は、古い潤滑油の流体を溜める第一の溜め部39となり、第一流路32から中間流路33の中途位置までは、新たな潤滑油の流体を受け入れて溜める第二の溜め部40となっている。又、分岐流路36は、第一の溜め部39から溢れ出した潤滑油を下流側へ流すようになっている。
一方、検出部4は、中間流路33と第一流路32の合流部分に配置されるように第二の溜め部40に開口10を形成する筒状の検出部本体(流体導出入手段)11と、検出部本体11の内部を摺動するピストン(流体導出入手段)2と、ピストン2を駆動させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体11の外周部に配置される検出手段3の検出体12と、検出体12を制御する検出手段3の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。又、検出部4の検出部本体11は、流体の導出入の確実性を高めるために、中間流路33の端側から延在するように配置されることが好ましい。
ここで、検出手段3の検出体12は、参考例と略同様に、差動トランス方式等の検出方法により磁性体粉の濃度を計測するものであるが、磁性体粉の濃度を計測できるものならば特に限定されるものではない。又、第一例の他の構成の如く、第二の溜め部40を延在し、第二の溜め部40の上方に検出部4を配置しても良い。
以下、本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
潤滑油に含まれる磁性体粉の濃度を計測する際には、予め検出部4のピストン2を押し出した状態で配管の流路31の開閉弁35を閉じ、第一の溜め部39及び第二の溜め部40に一定量の潤滑油を溜める。ここで、第二の溜め部40に所定量の潤滑油を溜めたか否かの判断は、一定の時間経過を基準にしても良いし、図4に示す如く分岐流路36に潤滑油が溢れ出す状態を検出しても良いし、他の判断手段を用いても良い。
次に、流体導出入手段のピストン2を引き込むことにより第二の溜め部40の潤滑油を検出部4内に導入し、検出手段3の検出体12等により潤滑油の磁性体粉の濃度を計測する。ここで、検出手段3は、信号処理回路13等を介して検出体12の出力信号を測定するものであり、検出体12の出力信号は検出部4内の磁性体粉の濃度に応じて変化することから、検出体12の出力信号を関数処理、もしくは磁性体粉の濃度の相関関係を用いて対比処理し、磁性体粉の濃度を計測する。
続いて、流体導出入手段のピストン2を押し出すことにより検出部4内の潤滑油を第二の溜め部40へ排出(導出)し、検出部4内の堆積物を排出すると共に、検出部4内及び第二の溜め部40の潤滑油を置換する。ここで、検出部4内から第二の溜め部40へ排出された潤滑油は、第一の溜め部39を介して分岐流路36へ排出される。
更に、流体導出入手段のピストン2を引き込む際には、新たな潤滑油が第一流路32を介して第二の溜め部40に溜まることから、新たな潤滑油を導入し、検出手段3の検出体12を介して潤滑油の磁性体粉の濃度を計測する。
その後、このようなピストン2の往復運動を継続して連続的に潤滑油の磁性体粉の濃度を計測し、磁性体粉の濃度が一定値を超えた場合には、摺動部を備えた機器の磨耗量が大きく、整備が必要な時期に達しているとして、計測値表示及び異常判定装置14より警告表示、警告音、警告灯を介し管理者に告知する。なお、ピストン2の往復運動の時間間隔は、計測する流体の粘度等により変化するが、数秒から数十秒間隔で行うことが好ましい。
このように実施の形態の第二例によれば、参考例及び第一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一例の他の構成と同様に構成して同様な作用効果を得ることもできる。
更に、実施の形態の第二例において、第一例の如き連絡流路を不要にするので、流体の流れの変化を考慮する必要がなく、単純な構成で、流体の磁性体の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
以下、本発明の実施の形態の第三例である導電体濃度計測装置を説明する。図5、図6は本発明の実施の形態の第三例を示す概略図である。なお、図中図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第三例の導電体濃度計測装置は、導電体を含む潤滑油等の流体を導出入する流体導出入手段2,11を変形すると共に、流路1を変形したものであり、潤滑油等の流体が流れる配管の流路41に、回転体(流体導出入手段)42及び検出手段43を備える検出部44を接続している。ここで、導電体は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体のみならず、アルミ、銅、ステンレス等の非磁性体であっても、導電性を備えるならばどのような素材でも良い。又、流体は、潤滑油やドレイン油に限定されるものでなく、導電体を含むものならばどのようなものでも良い。
第三例の配管の流路41は、摺動物を備えた機器(図示せず)から潤滑油を排出するものであり、流路41の下流には、水平方向から鉛直方向に湾曲して延在する第一流路45と、第一流路45からそのまま鉛直方向に延在して検出部44を備える計測用流路46と、計測用流路46の手前で分岐して水平方向に延在する中間流路47と、中間流路47から更に屈曲して鉛直方向に延在する第二流路48と、第二流路48に形成される閉止手段の開閉弁49と、開閉弁49を回避するように第二流路48に配置される分岐流路50とを備え、計測用流路46は、開閉弁49の下流側に形成される接続口51を備え、分岐流路50は、中間流路47の他端に形成される分岐口52と、開閉弁49の下流側に形成される合流口53とを備えている。なお、摺動物は、駆動用ピストンと駆動用シリンダに限定されるものでなく、摺動するならば、どのようなものでも良い。
ここで、中間流路47の中途位置から閉止手段の開閉弁49までの第二流路48は、古い潤滑油の流体を溜める第一の溜め部54となり、第一流路45から計測用流路46までは、新たな潤滑油の流体を受け入れて溜める第二の溜め部55となっている。又、分岐流路50は、第一の溜め部54から溢れ出した潤滑油を下流側へ流すようになっている。
一方、検出部44は、計測用流路46に形成される円形空間の検出部本体(流体導出入手段)56と、検出部本体56の内部で円形空間の軸線方向(図5の左右方向)に貫通する軸部(流体導出入手段)57と、検出部本体56の内部を偏心して回転するよう軸部57に固設される回転体(流体導出入手段)42と、軸部57を軸転させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体56の外周部に配置される検出手段43の上下の検出体58,59と、上下の検出体12を制御する検出手段43の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。
ここで、回転体42及び軸部57は非磁性体で構成されており、駆動手段(図示せず)は、空気圧、油圧、超音波を用いたモータ等、電磁力を利用しない駆動源を用いている。なお、電磁力を利用しない駆動源を用いるのは、電動モータのような電磁力を利用した駆動源を用いると、後述のコイルに影響を与え、導電体濃度の検出精度が低下するためである。
又、回転体42は、回転時に、図5、図6の実線で示すように、軸に対する偏心量の大きい側が一方(図では下側)に位置する場合は、回転体42は下側の検出体59に対向し、且つ、上側の検出体58に対向しない状態となり、又、回転体42が回転して、図5、図6の仮想線で示すように、軸に対する偏心量の大きい側が一方(図では上側)に位置する場合は、回転体42は上側の検出体58に対向し、且つ、下側の検出体59に対向しない状態となるよう形成されている。更に、回転体42の軸に対する偏心量の大きい側が流入側に位置(図では上側)する場合には、検出部本体56内への流体の導入を阻止するようになっている。
一方、検出手段43の検出体58,59は、参考例と略同様に、差動トランス方式等の検出方法により導電体粉の濃度を計測するものであるが、導電体粉の濃度を計測できるものならば特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施する形態の第三例の作用を説明する。
潤滑油(流体)に含まれる導電体の濃度を計測する際には、予め回転体42の軸に対する偏心量の大きい側を流入側に位置(図では上側)させる状態で、流路41の開閉弁49を閉じ、第二の溜め部55及び第一の溜め部54に一定量の潤滑油を溜める。ここで、第二の溜め部55に所定量の潤滑油を溜めたか否かの判断は、一定の時間経過を基準にしても良いし、図5に示す如く分岐流路50に潤滑油が溢れ出す状態を検出しても良いし、他の判断手段を用いても良い。
次に、回転体42の軸に対する偏心量の大きい側を排出側(図では下側)に回転させることにより、第二の溜め部55の潤滑油を検出部44内に導入し、検出手段43の検出体58,59等により潤滑油の導電体の濃度を計測する。ここで、検出手段43は、信号処理回路13等を介して検出体58,59の出力信号を測定するものであり、検出体58,59の出力信号は検出部44内の導電体粉の濃度に応じて変化することから、検出体58,59の出力信号を関数処理、もしくは導電体粉の濃度の相関関係を用いて対比処理し、導電体粉の濃度を計測する。
続いて、回転体42の軸に対する偏心量の大きい側を流入側(図では上側)に回転させることにより、検出部44内の潤滑油を接続口51から下流側へ排出(導出)し、検出部44内の堆積物を排出すると共に、検出部44内の潤滑油を置換する。
更に、このような回転体42の偏心回転運動を継続して連続的に潤滑油の導電体粉の濃度を計測し、導電体粉の濃度が一定値を超えた場合には、摺動部を備えた機器の磨耗量が大きく、整備が必要な時期に達しているとして、計測値表示及び異常判定装置14より警告表示、警告音、警告灯を介し管理者に告知する。なお、回転体42の回転運動の時間間隔は、計測する流体の粘度等により変化するが、数秒から数十秒間隔で行うことが好ましい。
このように実施の形態の第三例によれば、回転体(流体導出入手段)42の偏心回転運動により、検出部44内での潤滑油の流体の導出入や置換を容易にするので、検出部44での潤滑油の置換を促進するので、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測し、結果的に機器の異常の検出を速やかに行うことができる。又、機器等の摺動部の異常の検出を速やかに行うので、機器に深刻なダメージを与える前に整備を行うことができる。更に、流路41とは別の位置の検出部44で流体の導電体粉の濃度を検出するので、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱の影響を排除することができる。
又、回転体42の回転運動により固形分等の堆積物を排除するので、定期的なエアブローや機械的な除去を不要にすると共に、更なる堆積物の発生や測定条件の変化を防止し、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。更に、流体が高粘度の場合であっても回転体42の偏心回転運動により一定間隔で流体を確実に導出入し得るので、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。更に又、回転体42の偏心回転運動により流路41や検出部44内に最初に溜まっているエアを容易に排出し、流体の移動をスムーズにして流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
ここで、ディーゼルエンジン等の機器は、運動回転数や燃料投入度をパラメータとして潤滑油を供給しているが、更に潤滑油に含まれる導電体粉の濃度の計測値を、駆動用シリンダ(シリンダライナ)の状態パラメータとし、潤滑油の供給を調整することもできる。又、ドレイン油の量を計測する手段を備えて導電体の濃度と共にドレイン油の量を計測すると、機器の磨耗量を推定することが可能となるので、機器の整備の時期を適確に把握し、整備時間や費用を削減することもできる。
実施の形態の第三例において、検出部44を、エアの混入が防止されるよう、流路41の流体を溜める第二の溜め部55に接続すると、流体導出入手段の回転体42により検出部44内にエアを混入することなく、流体を導出入するので、検出部44での流体の置換を容易に行い、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。又、検出部44を第二の溜め部55に接続するので、エンジン等の機器の動揺等によってもエアの混入を防止することができる。更に、流体が高粘度の場合であっても流体の第二の溜め部55から回転体42の偏心回転運動により一定間隔で流体を好適に導出入し得るので、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
実施の形態の第三例において、第二の溜め部55は、流路41に閉止手段の開閉弁49を介して形成されると、流路41に第二の溜め部55を容易に形成するので、検出部44での流体の置換を容易に行い、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。又、流体が高粘度の場合であっても流体の第二の溜め部55から流体導出入手段の回転体42の回転運動により一定間隔で流体を好適に導出入し得るので、流体の導電体粉の濃度を連続的に精度良く計測することができる。
以下、実施の形態の他の参考例である導電体濃度計測装置を説明する。図7は本発明の実施の形態の他の参考例を示す概略図である。なお、図中図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
他の参考例の導電体濃度計測装置は、導電体を含む潤滑油等の流体が流れる参考例の配管の流路1に、他の参考例の検出部44と略同様な検出部60を接続したものである。ここで、導電体は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体のみならず、アルミ、銅、ステンレス等の非磁性体であっても、導電性を備えるならばどのような素材でも良い。又、流体は、潤滑油やドレイン油に限定されるものでなく、導電体を含むものならばどのようなものでも良い。
検出部60は、開閉弁6と分岐口8の間の流路1に配置されるように溜め部5に開口61を形成する円形空間の検出部本体(流体導出入手段)62と、検出部本体62の内部で円形空間の軸線方向(図7の上下方向)に貫通する軸部(流体導出入手段)63と、検出部本体62の内部を偏心して回転するよう軸部63に固設される回転体(流体導出入手段)64と、軸部63を軸転させる駆動手段(図示せず)と、検出部本体62の外周部に配置される検出手段65の左右の検出体66,67と、左右の検出体66,67を制御する検出手段65の信号処理回路13と、信号処理回路13に接続された計測値表示及び異常判定装置14とを備えている。
ここで、回転体64及び軸部63は非磁性体で構成されており、駆動手段(図示せず)は、空気圧、油圧、超音波を用いたモータ等、電磁力を利用しない駆動源を用いている。なお、電磁力を利用しない駆動源を用いるのは、電動モータのような電磁力を利用した駆動源を用いると、後述のコイルに影響を与え、導電体濃度の検出精度が低下するためである。
又、回転体64は、回転時に、図7の実線で示すように、軸に対する偏心量の大きい側が一方(図では右側)に位置する場合は、回転体64は右側の検出体67に対向し、且つ、左側の検出体66に対向しない状態となり、又、回転体64が回転して、図7の仮想線で示すように、軸に対する偏心量の大きい側が一方(図では左側)に位置する場合は、回転体64は左側の検出体66に対向し、且つ、右側の検出体67に対向しない状態となるよう形成されている。更に、回転体64の軸に対する偏心量の大きい側が開口側に位置(図では左側)する場合には、検出部本体62内への流体の導入を阻止するようになっている。
一方、検出手段65の検出体66,67は、参考例と略同様に、差動トランス方式等の検出方法により導電体粉の濃度を計測するものであるが、導電体粉の濃度を計測できるものならば特に限定されるものではない。又、第一例の他の構成の如く、水平方向に延在する溜め部を配置し、溜め部の上方に検出部60を配置しても良い。
以下、他の参考例の作用を説明する。
潤滑油(流体)に含まれる導電体の濃度を計測する際には、予め回転体64の軸に対する偏心量の大きい側を開口側に位置(図7では左側)させる状態で、流路1の開閉弁6を閉じ、溜め部5に一定量の潤滑油を溜める。ここで、溜め部5に所定量の潤滑油を溜めたか否かの判断は、一定の時間経過を基準にしても良いし、図7に示す如く分岐流路7に潤滑油が溢れ出す状態を検出しても良いし、他の判断手段を用いても良い。
次に、回転体64の軸に対する偏心量の大きい側を反開口側(図7では右側)に回転させることにより、溜め部5の潤滑油を検出部60内に導入し、検出手段65の検出体66,67等により潤滑油の導電体の濃度を計測する。ここで、検出手段65は、信号処理回路13等を介して検出体66,67の出力信号を測定するものであり、検出体66,67の出力信号は検出部60内の磁性体粉の濃度に応じて変化することから、検出体66,67の出力信号を関数処理、もしくは磁性体粉の濃度の相関関係を用いて対比処理し、磁性体粉の濃度を計測する。
続いて、回転体64の軸に対する偏心量の大きい側を開口側(図7では左側)に回転させることにより、検出部60内の潤滑油を溜め部5へ排出(導出)し、検出部60内の堆積物を排出すると共に、検出部60内及び溜め部5の潤滑油を置換する。
更に、このような回転体64の偏心回転運動を継続して連続的に潤滑油の磁性体粉の濃度を計測し、導電体粉の濃度が一定値を超えた場合には、摺動部を備えた機器の磨耗量が大きく、整備が必要な時期に達しているとして、計測値表示及び異常判定装置14より警告表示、警告音、警告灯を介し管理者に告知する。なお、回転体64の偏心回転運動の時間間隔は、計測する流体の粘度等により変化するが、数秒から数十秒間隔で行うことが好ましい。
このように実施の形態の他の参考例によれば、参考例及び第三例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一例の他の構成と同様に構成して同様な作用効果を得ることもできる。
又、発明の実施の形態においては、回転体(流体導出入手段)64及び検出手段65を備える検出部60を、第一例の流路21、もしくは第二例の流路31と組み合わせても良く、この場合には、夫々、第一例もしくは第二例と略同様な作用効果を得ることができる。
なお、本発明の導電体濃度計測装置及び磁性体濃度計測装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、流路は実施例に限定されるものでなく、同じ作用効果を奏するならば水平方向や斜め方向に延在する他の形状や構成でも良いこと、流体は潤滑油に限定されるものでなく、他の油、水溶液、水、粉体等でも良いこと、閉止手段は、開閉弁に限定されるものでなく、ストッパや流路の切換構造でも良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。