JP5129615B2 - 調節計、及びその動作方法 - Google Patents

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Description

本発明は、調節計、及びその動作方法に関し、特に詳しくは、不揮発性メモリを有する調節計、及びその動作方法に関するものである。
加熱処理炉などの温度を制御するために、調節計が利用されている。例えば、PID制御を行う調節計では、PIDパラメータなどの多数のパラメータを設定する必要がある。調節計は、これらのパラメータの設定を利用して温度を制御する。すなわち、調節計は、温度センサでの計測値に基づいて、PID制御を行う。
調節計は、PIDパラメータを用いて、目標温度と計測温度とに基づいた操作量を出力する。これにより、計測温度を目標温度に近づけることができる。ここで、調節計による制御では、PIDパラメータなどの制御パラメータの設定が必要となる。
制御の不具合把握や制御パラメータ(例えば、PID制御におけるPIDパラメータ)の調整のために利用する制御結果のデータとして、制御量の時系列データや制御応答の特徴量(設定値到達時間、オーバーシュート量、ハンチング周期等)のデータがある。また、監視対象の特徴量と基準値をユーザが予め定め、調節計で自動検出した特徴量の値を基準値と比較し、制御性能を監視する方法が紹介されている(特許文献1)。このようにすることで、管理するデータ量を少なくすることができる。
特開2003−50603号公報
調節計には、制御パラメータ等を記憶するため、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)が使用される。調節計には、データロガーなどと異なり、メモリの制約がある。このため、時系列データでなく特徴量のデータを収集の対象とするのが現実的である。すなわち、時系列に沿った計測温度からなる時系列データでは、データ量が膨大になってしまう。時系列データではなく、特徴量データを収集することで、記憶するデータ量を少なくすることができる。このような特徴量データは、昇温や降温などの制御動作による制御応答から特徴量データが収集される。すなわち、設定値を変更した後、一定期間の温度を計測することで、制御応答の特徴量が抽出される。
制御の不具合把握や制御パラメータの調整のために、調節計で複数の特徴量を自動検出し保持する場合を考える。制御動作(昇温や降温等)の度にEEPROMに新たなメモリ領域を確保して保存する方法は、調節計のメモリの制約から現実的でない。そのため、予め特徴量データを保持するメモリ領域をEEPROMに確保し、制御動作(昇温や降温等)の度に再利用する方法が考えられる。
EEPROMへの書き込み方法としては、1種類の特徴量が検出されるたびに逐次書き込む方法(A)と、1種類の特徴量が検出されるたびに逐次RAM領域に書き出し、制御動作完了時にまとめて書き込む方法(B)がある。方法(A)、及び方法(B)では、特徴量の検出が途中で中断した場合、以下に示す問題が生じる。
方法(A)においては、ユーザが制御動作を中断した場合、最新の特徴量データと前回の特徴量データがEEPROMのメモリ領域に混在することになる。すなわち、最新の(中断した)制御動作に対する検出データと1回前の制御動作で検出されたデータとがEEPROM上に区別なく混在することになる。このため、ユーザは最新の制御動作に対する検出データだけを正しく取得することはできない。よって、ユーザが特徴量を利用することができなくなってしまう。
一方、方法(B)は、制御応答の整定等によって制御応答完了を判断し、RAM領域のデータをまとめてEEPROMに書き込む方法である。ユーザが制御動作を中断した場合には、EEPROMに書き込まれず、供給電源が絶たれると検出データをすべて失ってしまうという問題が発生する。何らかのアクシデントや操作ミスによって、制御が中断した場合、全ての特徴量が失われてしまう。
このように、制御応答の途中で制御動作を中断した場合、その検出結果を利用することができなくなってしまう。すなわち、制御応答の特徴量を検出してメモリに記憶する調節計では、検出された最新の特徴量データを活用できない。このため、例えば、再度、昇温や降温等の制御動作を行わなくてはならなくなってしまう。
このように従来の調節計では、制御応答の途中で制御動作を中断した場合、検出された最新の特徴量データを活用できないため、利便性が低下してしまうという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、メモリ量などの制約に可能な限り対応しながら、有効な特徴量データを確実に不揮発性メモリに保持できる調節計およびその動作方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる調節計は、計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータに応じた操作量を制御対象に出力する調節計であって、前記計測値に基づいて制御応答の特徴量を算出する演算処理部と、前記特徴量を保持するメモリ領域を複数有する書換可能な不揮発性メモリと、を備え、前記複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を算出し、前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、前記特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定し、前記設定値を変更した際に、前記書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にし、前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された特徴量を書き込むものである。これにより、制御を途中で中断した場合でも、不揮発性メモリに一部の特徴量が記憶される。従って、利便性を向上することができる。
本発明の第2の態様にかかる調節計は、上記の調節計であって、前記メモリ領域には、前記制御パラメータが前記特徴量に対応付けて記憶されているものである。これにより、特徴量を書き込まれたときに使用した制御パラメータを確認することができる。
本発明の第3の態様にかかる調節計は、上記の調節計であって、前記優先度が、前記メモリ領域に前記特徴量が書き込まれた時間に基づいて、決定されているものである。これにより、簡便に書き込み対象となるメモリ領域を決定することができる。
本発明の第4の態様にかかる調節計は、上記の調節計であって、前記優先度が、前記メモリ領域に書き込まれている前記特徴量に基づいて、決定されているものである。これにより、調整目標に最も近い特徴量を持つ制御応答時に検出された特徴量を残すことができる。
本発明の第5の態様にかかる調節計は、上記の調節計であって、前記特徴量を用いて前記優先度を算出するための評価関数が設定され、前記評価関数によって、前記制御応答の調整目標から最も遠いと判断されたメモリ領域が書き込み対象と決定されるものである。これにより、調整目標に最も近い制御応答時に検出された特徴量を残すことができる。
本発明の第6の態様にかかる調節計の動作方法は、書換可能な不揮発性メモリを有し、計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータをに応じた操作量を制御対象に出力する調節計の動作方法であって、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を決定するステップと、前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、制御応答の特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定するステップと、設定値を変更した際に、書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にするステップと、前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された特徴量を書き込むステップとを有するものである。これにより、制御を途中で中断した場合でも、不揮発性メモリに一部の特徴量が記憶される。従って、利便性を向上することができる。
本発明の第7の態様にかかる調節計の動作方法は、上記の動作方法であって、前記メモリ領域には、前記制御パラメータが前記特徴量に対応付けて記憶されているものである。これにより、特徴量を書き込まれたときに使用した制御パラメータを確認することができる。
本発明の第8の態様にかかる調節計の動作方法は、上記の動作方法であって、前記優先度が、前記メモリ領域に前記特徴量が書き込まれた時間に基づいて、決定されているものである。これにより、簡便に書き込み対象となるメモリ領域を決定することができる。
本発明の第9の態様にかかる調節計の動作方法は、上記の動作方法であって、前記優先度が、前記メモリ領域に書き込まれている前記特徴量に基づいて、決定されているものである。これにより、調整目標に最も近い特徴量を持つ制御応答時に検出された特徴量を残すことができる。
本発明の第10の態様にかかる調節計の動作方法は、上記の動作方法であって、前記特徴量を用いて前記優先度を算出するための評価関数が設定され、前記評価関数によって、前記制御応答の調整目標から最も遠いと判断されたメモリ領域が書き込み対象と決定されるものである。これにより、制御目標に近い制御応答時に検出された特徴量を残すことができる。
本発明によれば、メモリ量などの制約に可能な限り対応しながら、有効な特徴量データを確実に不揮発性メモリに保持できる調節計及びその動作方法を提供することができる。
本実施の形態では、EEPROMのメモリ領域の初期化を特徴量検出以前に実施することで、ユーザが制御動作を中断した場合でも、最新の制御動作で検出した特徴量データを識別し提供可能とする調節計を実現する。さらに、EEPROMに予め確保するメモリ領域を2セット以上用意し、書き込みの優先度を利用して新たな検出データを書き込むメモリ領域を決定することで、ユーザにとって有効な保存済みデータを失う可能性を低減する。なお、メモリ領域には制御動作を実行した際の1つ以上の制御パラメータを特徴量の検出データと合わせて保持するのが望ましい。以下、1回の制御動作に対してメモリに保持されるデータをデータセットと記述する場合もある。
本件特許出願の発明者は、ユーザが制御動作を中断した際、EEPROMに保持されているデータが、最新の昇温や降温等の制御動作に対する検出データ(以下、新検出データと記)のみではないことから、EEPROMの初期化のタイミングに着眼した。つまり、EEPROMに新検出データが書き出される以前にメモリ領域上の旧検出データが無効と識別できる状態にすればよい。
その方法として、EEPROMに新検出データが書き出される以前にメモリ領域を初期化し、旧検出データを予めメモリ領域から削除しておけば、制御動作中断時にEEPROMに保持されているデータは新検出データのみとなる。このため、新検出データを容易に取り出せる。そして、メモリ領域の初期化は、最初の新検出データがEEPROMに書き込まれる以前であり、昇温や降温等の制御動作開始時に特徴的な設定値変更のタイミングが適当であることを想到している。
また、昇温や降温等の制御動作開始時にメモリ領域上の旧検出データをメモリ領域上の各特徴値データの有効/無効を識別するフラグを別に用意して、上記制御動作開始時(すなわち設定値変更時)にフラグをすべて無効の状態に初期化し、特徴量検出毎にフラグを無効から有効に更新し、フラグのデータによりメモリ領域上の新検出データのみを取り出す方法もある。
しかしながら発明者は、この方法を実施すると、設定ミスや操作ミスによってユーザが意図しない制御動作が開始された場合、ユーザにとって有効な過去の制御動作のデータが何も残らなくなる点に着目している。そして、この問題の解決策として、EEPROMに予め確保するメモリ領域を2セット以上とし、各々のメモリ領域の書き込み優先度によって利用するメモリ領域を決定し、決定したメモリ領域から旧検出データを排除し、新たに検出されたデータをこのメモリ領域に書き込むことを想到している。
書き込み優先度の決定方法としては、「データセットの生成や更新日時の新旧」による方法が考えられる。複数のメモリ領域にあるデータセットの保存日時を比較し、最も古いデータセットが保持されているメモリ領域を書き込み優先度が高いと判断する方法である。これにより、ユーザは確保したメモリ領域数に相当する数の最新のデータセットを保持することができる。
しかし、例えば、制御パラメータの調整作業の場合には、「データセットの生成や更新日時の新旧による方法」ではなく、ユーザが調整目標としている特徴量の値を利用して書き込み優先度を決定する方法が有効である。調節計の調整作業においては、制御パラメータの値を決定し、決定した制御パラメータを調節計に適用して昇温や降温等の制御動作を実行し、制御結果を確認する、という一連の作業を繰り返し、最終的には、ユーザが所望する制御結果、もしくは調整作業で実施した制御結果の中からユーザが所望する制御結果に最も近い制御結果が得られる制御パラメータの値を調整結果として決定する。
しかしながら、制御パラメータが制御結果に及ぼす影響は必ずしも事前に予測できるわけではない。つまり、調整作業で実施した複数の制御動作の結果は、必ずしも、時間経過に伴ってユーザが所望する制御結果に近づくわけではない。ユーザが必要とするのは、ユーザが所望する制御結果により近い制御結果を得られる制御パラメータであるため、失って構わないメモリ領域上の旧データセットは、ユーザが所望する制御結果からより離れた制御結果に対するデータセットである。
以上の観点から、少なくとも2セット分のメモリ領域を確保し、その中で最も所望の制御結果に近いデータセットがEEPROMに残るようにした。これにより、調整作業における複数回の試行錯誤を通してベストのデータセットが残るので、この結果をもって調整作業を終えて本稼動に移行するかどうかの判断をオペレータが行なえるようになる。また同時に、得られている範囲でのベストの制御を本稼動において採用できることになる。
よって、書き込み優先度は、設定値到達時間、オーバーシュート量、などの制御結果の特徴量を利用して、ユーザが調整目標としている制御結果に、より近いものかどうかを判断できるような書き込み優先度の評価関数を利用するのが有効である。例えば、特定の特徴量そのものの値を利用したり、複数の特徴量に対して正規化や加算等の演算処理を組み合わせた評価関数を利用する。この方法を用いれば、書き込み済みの複数のデータセットの中から、ユーザにとって有効な制御動作に対するデータセットが、書き込み優先度が低い(データの重要度が高い)という判断が行なわれ、メモリ領域に残る可能性が高まる。
発明の実施の形態1.
以下に、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる調節計の計装事例を示す図である。
調節計1は、加熱処理炉6内に設けられている被加熱物8の温度を調整する。加熱処理炉6内には、被加熱物8と、温度を測定するための温度センサ5と、加熱を行うためのヒータ4とが設けられている。調節計1には、目標温度となる設定値SPが設定されている。この設定値SPは、例えば、ユーザによって指定される。あるいは、PC(パーソナルコンピュータ)などから設定値SPを調節計1に転送しても良い。また、温度センサ5で計測された計測温度が制御量PVとして調節計1に入力されている。調節計1は、設定値SPと制御量PVとに基づいて、フィードバック制御を行う。すなわち、調節計1は、予め設定されている設定値SP(目標温度)に制御量PV(温度計測値)を近づけるように制御を行う。
本実施の形態では、調節計1がPID制御を行う。この場合、PIDパラメータが前記制御パラメータに相当する。調節計1はPIDパラメータに応じた操作量MVを電力機器7に出力する。従って、調節計1は、予め設定されているPIDパラメータの値に応じて電力機器7を制御する。すると、電力機器7がヒータ4に供給する電力を調整する。すなわち、操作量(MV)に応じた電力が電力機器7からヒータ4に供給される。これにより、加熱処理炉6内の被加熱物8が加熱され、温度センサ5で計測される制御量PVが設定値SPに近づくように制御される。すなわち、計測温度が目標温度に近づいていく。
次に、本実施の形態にかかる調節計1について、説明する。調節計1は、演算処理部11と、EEPROM12と、RAM13とを備えている。演算処理部11は、演算処理ユニットであり、EEPROM12やその他のROM(不図示)に格納されているプログラムを実行する。また、演算処理部11は、設定されているPIDパラメータを用いて演算処理を行う。RAM13は、演算処理部11の演算に必要な値や、演算処理部11の演算で求められた値を一時的に格納する。例えば、RAM13には、温度センサ5で計測された計測温度が制御量PVとして記憶される。EEPROM12は、電気的に書換可能な不揮発性メモリであり、PIDパラメータや制御プログラム等を格納する。例えば、EEPROM12に既に書き込まれているデータを消去し、新たなデータを書き込むことで、データ書換が実行される。EEPROM12には、通常、書き込み回数に制限がある。演算処理部11は、EEPROM12やRAM13に対するデータの書き込みや読み出しを行う。
演算処理部11は、操作量MVを算出するためのプログラムを実行する。具体的には、演算処理部11がPIDパラメータを用いてPID演算を実行し、操作量MVを算出する。すなわち、設定値SPと制御量PVとから、適切と判断される操作量MVを求める。調節計1が操作量MVを電力機器7に出力すると、電力機器7がその操作量MVに応じた電力をヒータ4に供給する。これにより、加熱処理炉6内の被加熱物8が加熱される。よって、制御量PVが設定値SPに近づくように制御される。このように、制御量PVと設定値SPに基づいてPID演算を実行し、操作量MVを求めることで、フィードバック制御が行われている。
演算処理部11は、さらに、制御応答の特徴量を自動検出するためのプログラムを実行する。ユーザは、この特徴量を確認することによって、PIDパラメータを調整することができる。すなわち、制御応答から、PIDパラメータを設定するために必要な特徴量が抽出される。そして、この特徴量をEEPROM12に書き込む。さらに、ユーザが特徴量を確認して、PIDパラメータを変更する。
次に、自動検出される特徴量の一例について、図2を用いて説明する、図2は、調節計1による制御応答の波形を示す図である。すなわち、図2は、PID制御を実行した時の昇温特性を示す図である。図2において、横軸は時間、縦軸は制御量PV(温度計測値)を示している。
設定値SPが変更されると、昇温制御が開始される。例えば、室温であった設定値SPが100℃に設定変更されたとする。このとき、制御量PVが設定値SPよりも低くなっているため、高い値の操作量MVを出力する。すると、ヒータ加熱によって加熱処理炉6内が昇温して、制御量PVが設定値SPに到達する。制御開始点から設定値到達時間(sec)を経過した時点で、制御量PVと設定値SPが一致する。この設定値到達時間が特徴量の一つとなる。通常はこの時点で操作量MVが低い値になっている。
その後、オーバーシュートして、制御量PVが設定値SPを越える。すると、操作量MVが低い値になっているので、加熱処理炉6内が降温して、設定値SPよりも下がっていく。ここで、制御量PVの最大値と設定値SPとの差であるオーバーシュート量(℃)が特徴量の一つとなる。
さらに、操作量MVが設定値SPに近づくよう、制御を続けると、ハンチングしていく。すなわち、時間とともに制御量PVが上昇、下降を繰り返していく。設定値SP以上まで上昇するのと、設定値SP以下まで下降するのとを繰り返すような操作量MVが継続的に出力される。制御量PVが設定値SP以上になっている間における極大点の時間を求める。そして、隣接する極大点の時間間隔の平均値がハンチング周期となる。このハンチング周期(sec)が特徴量の一つとなる。
このようなオーバーシュート量、ハンチング周期、及び設定値到達時間が特徴量として抽出される。理想的な昇温特性では、オーバーシュート量が少なく、ハンチング周期が長いか実質的に検出されなく(つまりハンチングが発生しない)、設定値到達時間が短くなる。従って、これらの特徴量を参照することで、ユーザがPIDパラメータを調整することができる。すなわち、オーバーシュート量が少なく、ハンチング周期が長く、設定値到達時間が短くなるような、PIDパラメータをユーザが設定する。具体的には、これらの特徴量に基づいて、ユーザがPIDパラメータを変更して、再度、制御応答を見る。ユーザによるPIDパラメータの設定、調整計1による制御応答の測定、特徴量の検出を繰り返していくことで、PIDパラメータを最適なものに近づけることができる。よって、所望の制御応答波形を得ることができる。特徴量を用いることで、制御周期毎に計測される制御量PVの時系列データを大量に保持しなくてもよくなる。従って、必要なメモリサイズを小さくすることができる。
そして、この特徴量がEEPROM12に格納される。すなわち、演算処理部11は、算出した特徴量をEEPROM12に書き込む。ここで、EEPROM12には、特徴量を格納するメモリ領域が2セット用意されている。特徴量が書き込まれる2つの領域を図1に示すように、第1メモリ領域12a、及び第2メモリ領域12bとする。第1メモリ領域12a、及び第2メモリ領域12bのそれぞれは、オーバーシュート量、ハンチング周期、及び設定値到達時間を書き込むためのメモリサイズを有している。予め特徴量データを保持する第1メモリ領域12a、及び第2メモリ領域12bをEEPROMに確保し、制御動作(昇温や降温等)の度に再利用する。すなわち、第1メモリ領域12a、及び第2メモリ領域12bのそれぞれは、オーバーシュート量、ハンチング周期、及び設定値到達時間を書き込むために必要なサイズを確保している。
演算処理部11は、制御応答に対する特徴量を、どちらかのメモリ領域に書き込む。計測される制御量PVから特徴量を検出して、第1メモリ領域12aにその特徴量を逐次書き込んでいく。以下に、特徴量をEEPROM12に書き込むための処理について、図3を用いて説明する。図3は、特徴量をEEPROM12に書き出す処理を示すフローチャートである。
まず、制御動作中か否かを判定する(ステップS1)。例えば、PID演算の結果として操作量MVが出力されているかを判定する。PID演算の結果として操作量MVが出力されている場合、制御動作中と判定される。制御動作中において、設定値が変更されたか否かを判定する(ステップS2)。設定値SPが変更されると、特徴量を抽出し、書き込むためのプログラムが実行される。すなわち、制御動作中において、設定値SPが変更されるまでであっても、通常のPID演算を行い、温度を制御する。
設定値SPが変更された場合、まず、書き込みの優先度を決定する(ステップS3)。そして、その優先度に基づいて、利用するメモリ領域を選択して、初期化する(ステップS4)。本実施の形態では、使用するメモリ領域を決定するための優先度が第1メモリ領域12aと第2メモリ領域12bとに設定されている。そして、書き込みの優先度の高いメモリ領域から使用される。そのため、書き込みの優先度の高いメモリ領域を初期化する。これにより、一方のメモリ領域が初期される。すなわち、書き込みの優先度に基づいて、複数のメモリ領域の中から1つのメモリ領域を選択する。そして、選択されたメモリ領域を初期化する。このとき、書き込みの優先度が低いメモリ領域(選択されないメモリ領域)は初期化されない。このため、他方のメモリ領域には、過去の制御応答に関する特徴量が格納されていれば、そのまま保持される。
そして、特徴量の検出動作を行う(ステップS5)。すなわち、制御量PVの計測値を取得して、演算処理部11が特徴量を検出していく。ここでは、設定値到達時間、オーバーシュート量、及びハンチング周期が順次算出されていく。そして、これらの特徴量をEEPROM12のメモリ領域に書き出す(ステップS6)。これにより、ステップS4において初期化された方のメモリ領域に特徴量が書き込まれる。このように、第1メモリ領域12a、又は第2メモリ領域12bのどちらかの特徴量が更新される。
なお、メモリ領域への書き出しは、特徴量毎に逐次実行する。例えば、設定値到達時間が検出された時点で、設定値到達時間が書き込まれる。次にオーバーシュート量が検出された時点で、オーバーシュート量が書き込まれる。さらに、その後に、ハンチング周期が検出された時点で、ハンチング周期が書き込まれる。
次に、EEPROM12に特徴量のデータを書き込む処理について、図4、図5を用いて説明する。図4は、本実施の形態1にかかる調節計1において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。図5は、比較例にかかる調節計において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。図4、図5では、上から順に処理が進んでいる。また、図4、及び図5には、制御動作中において、各段階で制御が中断されたときのデータが示されている。ここでは、第1メモリ領域12aの特徴量データを更新する例について説明する。すなわち、第1メモリ領域12aが書き込み対象になっている。
また、図4、及び図5において、A、B、及びCはそれぞれ、特徴量データを示している。A、B、Cはそれぞれ異なる特徴量のデータである。例えば、Aが設定値到達時間、Bがオーバーシュート量、Cがハンチング周期となっている。また、A、B、Cの後にnが付されている場合、それらのデータが最新の制御動作中に検出された特徴量データ(新データ)となり、A、B、Cの後に(n−1)が付されている場合、それらのデータが過去の制御動作中に検出された特徴量データ(旧データ)となる。第1メモリ領域12aにおいて、Aの特徴量データを格納する領域をA領域21とし、Bの特徴量データを格納する領域をB領域22とし、Cの特徴量データを格納する領域をC領域23とする。なお、以下の説明では、制御中に、An、Bn、Cnの順で特徴量データが検出されるものとしている。また、図4、及び図5では3つの特徴量を抽出する場合を示し、4つ目以降については、図示、及び説明を省略する。
書き込み優先度によって、第1メモリ領域12aに対して、最新の特徴量データの書き込みを行うと決定されている場合で説明する。図4に示すように、調節計1は、設定値SPを変更したタイミングで、第1メモリ領域12aを初期化する(中央最上列参照)。これにより、A領域21、B領域22、及びC領域23のそれぞれに格納されている旧データがリセット値Viniに変更され、各領域のデータが無効と識別可能な状態になる。リセット値Viniは、初期化時に設定する値であり、例えば、特徴量データが取りえない値や0になっている。リセット値Viniを、記号としてもよい。初期化を行うと、第1メモリ領域12aでは、特徴量を記憶する全領域にリセット値Viniが書き込まれる。
この時点で制御が中断した場合、A領域21、B領域22、及びC領域23には、それぞれリセット値Viniが格納されている(左側上列参照)。すなわち、Anが検出される前に、制御が中断された場合、いずれの領域にも、特徴量データの書き込みが実施されない。
一方、制御が中断されずに、Anが検出された場合、A領域21のみに新データが書きこまれる。すなわち、A領域21では、リセット値ViniがAnに更新される(中央2列目参照)。この時点で制御が中断されると、A領域21にはAnが格納され、B領域22、及びC領域23には、それぞれリセット値Viniが格納されている(右側中央列参照)。制御が中断した場合でも、Anが最新の制御動作に対して検出された特徴量データであることがわかる。一方、Bnが検出される前に、制御が中断されているので、B領域22、及びC領域23には、データの書き込みが実施されない。よって、B領域22、及びC領域23では、リセット値Viniが格納されており、最新の制御動作では、Bn、Cnが未検出であることがわかる。
Anが検出された後、制御が中断されずに、Bnが検出された場合、B領域22に新データが書き込まれる。すなわち、B領域22において、リセット値Viniであったデータが、Bnに更新される(中央3列目参照)。この時点で制御が中断すると、A領域21にはAnが格納され、B領域22にはBnが格納され、C領域23にはリセット値Viniが格納されている(左側下列参照)。制御が中断した場合でも、An、Bnが最新の制御動作において検出された特徴量データであることがわかる。一方、Cnが検出される前に、制御が中断されているので、C領域23には、データの書き込みが実施されない。よって、C領域23では、リセット値Viniが格納されており、最新の制御動作では、Cnが未検出であることがわかる。
Bnが検出された後、制御が中断されずに、Cnが検出された場合、C領域23にデータが書き込まれる。すなわち、C領域23において、リセット値Viniであったデータが、Cnに更新される(中央4列目参照)。A領域21、B領域22、及びC領域23には、An、Bn、Cnが格納されており、いずれも最新の制御動作において検出された特徴量データであることがわかる。以降、さらに別の特徴量を検出する場合は、同様に処理を続行し、全ての特徴量データの検出が完了すれば、特徴量検出動作が完了する。
このように、本実施の形態に係る調節計1では、制御開始時に、全ての特徴量データを初期化している。すなわち、設定値SPが変更された時点で、書き込み優先度を利用して決定された書き込み対象のメモリ領域に、リセット値Viniが書き込まれる。そして、特徴量の検出動作中において、特徴量のデータが検出される毎に、対応するメモリ書き込み領域(初期化によってリセット値Viniが格納されている)に特徴量のデータを上書きする。これにより、制御が中断した場合でも、最新の制御動作で検出された特徴量のデータの利用が可能となる。正しく取り出すことが可能になる。
すなわち、最新の制御動作において検出された特徴量については、対応するメモリ領域の値が、リセット値Vini以外の値となっている。このように、特徴量に対応するメモリ領域に格納されているデータによって、最新の制御動作で検出された特徴量のデータであるかどうかの識別が可能となる。よって、新データを確実に判別することができる。例えば、制御動作が途中で中断された場合でも、調節計1の表示画面上で、ユーザは、最新の制御動作で検出された特徴量のデータを確認することができる。
また、EEPROM12には、特徴量のデータを格納するためのメモリ領域が2セット確保されている。よって、一方のメモリ領域が初期化された時点で制御が中断したとしても、他方のメモリ領域には、過去の制御動作における特徴量のデータが格納されている。よって、設定ミスや操作ミスによってユーザが意図しない制御動作が開始した場合でも、ユーザにとって有効な過去の制御動作のデータを全て失ってしまう確率を低減することができる。さらに、制御中断後に供給電源が絶たれた場合でも、検出済みの有効な特徴量のデータが失われるのを防ぐことができる。
もちろん、EEPROM12に、特徴量を記憶するメモリ領域を3つ以上確保してもよい。
一方、比較例にかかる調節計では、図5に示すように、データを無効と識別可能にする処理を行わずに、逐次、特徴量を書き込む。この場合、AnやBnが書き込まれた時点で、制御が中断すると、第1メモリ領域12aに、新データと旧データが混在してしまう。例えば、Anが書き込まれた時点で制御が中断すると、A領域21には、Anが格納され、B領域22には、Bn−1が格納され、C領域23には、Cn−1が格納されている(右側中列参照)。このように、新旧のデータがEEPROM12上に混在してしまうと、新旧のデータを区別できなくなってしまう。すなわち、データの値を確認しても、最新の制御動作で検出された特徴量のデータのみを取り出せず、最新の制御動作で検出済みの有効な特徴量データが存在するにも関わらず、ユーザが不具合把握や制御パラメータ調整のために特徴量のデータを有効に利用することができない。
本実施の形態に係る動作方法によって、制御が中断した場合でも、最新の制御動作において検出された特徴量のデータをユーザに提供することが可能になる。また、メモリ領域を2セット確保することにより、設定ミスや操作ミスによってユーザが意図しない制御動作を開始した場合でも、いずれかのメモリ領域には、過去の特徴量のデータが残っており、ユーザにとって有効な特徴量のデータをすべて失ってしまう確率を低減できる。
次にメモリ領域の書き込み優先度の決定方法について説明する。書き込み優先度は、例えば、書き込み時刻や、特徴量の値を用いて決定される。ステップS3において、書き込み優先度を算出するための算出例1〜算出例3について説明する。
ここで、第1メモリ領域12aには、設定値到達時間xt=100sec、オーバーシュート量OVS=2℃が格納されているものとする。なお、算出例1〜3では、ハンチング周期は、書き込み優先度の決定に用いられないため、説明を省略する。第1メモリ領域12aには、これらの特徴量データの書き込み開始時刻である2007年12月10日10:00が書き込まれている。また、上記の特徴量を検出した制御動作時のPID値をP、I、Dとする。第1メモリ領域12aには、特徴量、書き込み時刻、PID値がデータセットとして格納されている。すなわち、第1メモリ領域12aにおいて、書き込み時刻、及びPID値が特徴量のデータに対応付けられている。
第2メモリ領域12bには、設定値到達時間xt=90sec、オーバーシュート量OVS=4℃が格納されているものとする。なお、算出例1〜3では、ハンチング周期は、書き込み優先度の決定に用いられないため、説明を省略する。第2メモリ領域12bには、これらの特徴量データの書き込み開始時刻である2007年12月10日10:35が書き込まれている。また、上記の特徴量を検出した制御動作時のPID値をP、I、Dとする。第2メモリ領域12bには、特徴量、書き込み時間、PID値がデータセットとして格納されている。すなわち、第2メモリ領域12bにおいて、書き込み時刻、及びPID値が特徴量のデータに対応付けられている。
算出例1
一つ目の算出例では、書き込み時刻に応じて書き込み優先度を算出している。ここでは、書き込み時刻が最も古い方のメモリ領域を書き込み対象とする。従って、書き込み時刻が古いと、書き込み優先度Prが高くなる。第1メモリ領域12aの書き込み優先度Pr=2007年12月10日10:00となり、第2メモリ領域12bの書き込み優先度Pr=2007年12月10日10:35となる。PrとPrとを比較すると、Prの方がPrよりも古い。従って、書き込み対象のメモリ領域を第1メモリ領域12aとする。これにより、ステップS4において第1メモリ領域12aが初期化され、ステップS6において新たに取得された特徴量のデータが第1メモリ領域12aに書き込まれる。書き込み時刻を用いることで、確保したメモリ領域の数に応じた(この算出例では2つ)最新のデータセットが常にメモリ領域に保持され、ユーザに提供可能となる。
算出例2
二つ目の算出例では、特徴量のデータに応じて書き込み優先度を算出している。本算出例では特徴量そのものの値を書き込み優先度としている。ここでは、設定値到達時間xtの大きいメモリ領域が書き込み対象のメモリ領域と決定される。すなわち、設定値到達時間xtから優先度Prを算出する。第1メモリ領域12aの書き込み優先度Pr=xt=100となり、第2メモリ領域12bの書き込み優先度Pr=xt=90となる。よって、書き込み対象のメモリ領域が第1メモリ領域12aと決定される。これにより、ステップS4において第1メモリ領域12aが初期化され、ステップS6において新たに検出された特徴量のデータが書き込まれる。この算出例2は、ユーザが設定値到達時間xtの短い制御応答を調整目標としている場合に好適である。
算出例3
三つ目の算出例では、特徴量のデータに応じて書き込み優先度を算出している。ここでは、設定値到達時間xtとオーバーシュート量ovsが大きいメモリ領域を書き込み対象とする。すなわち、設定値到達時間xtとオーバーシュート量ovsとの値から書き込み優先度Prを算出する。具体的には、設定値到達時間xtとオーバーシュート量ovsとを、それぞれの最大値で規格化する。このため、第1メモリ領域12aの書き込み優先度Pr、及び第2メモリ領域12bの書き込み優先度Prは、以下の式で算出される。
Pr=xt/max(xt,xt)+ovs/max(ovs,ovs
Pr=xt/max(xt,xt)+ovs/max(ovs,ovs
このように、最大値で規格化された設定値到達時間xtと、最大値で規格化されたオーバーシュート量ovsとの和を優先度Prとする。なお、上記の式において、max(a,b)はa、bの最大値を示す関数である。上記の式により、Pr=1.5となり、Pr=1.9となる。これにより、Pr>Prとなる。このため、初期化対象のメモリ領域を第2メモリ領域12bとする。これにより、ステップS4において第2メモリ領域12bが初期化され、ステップS6において新たに取得された特徴量が第1メモリ領域12aに書き込まれる。
さらには、書き込み優先度の算出の際に特徴量データに対してウェイトをかけてもよい。例えば、設定値到達時間xtにウェイトwt、オーバーシュート量ovsにウェイトwtを設定する。この場合、第1メモリ領域12aの書き込み優先度Pr、及び第2メモリ領域12bの書き込み優先度Prは、以下の式で算出される。
Pr=wt×xt/max(xt,xt)+wt×ovs/max(ovs,ovs
Pr=wt×xt/max(xt,xt)+wt×ovs/max(ovs,ovs
なお、ウェイトの値は特徴量の重要度や単位などを考慮して、設定される。また、ウェイトの値を可変としてもよい。書き込みの優先度は、設定値到達時間、オーバーシュート量、などの制御結果の特徴量のデータを用いた評価関数を利用して、算出する。そして、ユーザが調整目標としている制御結果に、より近いものかどうかを判断できるような評価関数を利用することが有効である。
複数の特徴量に対して正規化や加算等の演算処理を組み合わせ、ユーザの調整目標に近いかどうかを判定できるような評価関数を設定し、利用する。こうすることで、ユーザにとって、より望ましくない制御応答に対する特徴量データに対応するメモリ領域を書き込み対象と判断することが可能となる。評価関数は上記の式に示した関数に限られるものではない。すなわち、評価関数は、制御目標に近づいたか否かを判定できるようなものとする。さらに、重要度の高い特徴量については、ウェイトを重くする。評価関数の変数として用いる特徴量のディメンジョンを揃えてもよい。さらに、評価関数を適宜変更してもよい。
このように、EEPROM12上には、特徴量を格納するためのメモリ領域を複数、確保している。そして、メモリ領域に対して書き込みの優先度を求める。もちろん、上記の方法以外で、優先度を決定してもよい。また、上記の算出例を組み合わせてもよい。例えば、1つの算出例で求めた優先度が等しくなる場合、別の算出例を用いることができる。具体的には、算出例3で求めた優先度が等しくなる場合、算出例1で求めた算出例で、優先度を求めることも可能である。
書き込みの優先度に基づき、複数のメモリ領域の中から一つを選択する。そして、選択されたメモリ領域を初期化した後で、自動検出された特徴量を書き込む。このようにすることで、確実にデータセットを保持することができる。また、時系列データから特徴量を抽出しているため、時系列データとして大量にデータを記憶する必要がないので、EEPROM12のメモリ容量を小さくすることができる。よって、コスト削減につながる。
発明の実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1とは、設定値変更時に特徴量を無効化する処理が異なっている。実施の形態1では、設定値変更時において、記憶されている特徴量のデータ自体を初期化したが、本実施の形態では、特徴量が新データであることを示すフラグを設けて、新データか旧データかを判別している。以下に、本実施の形態にかかる調節計1の処理について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態2にかかる調節計において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。図6では、図4と同様の手法によって、処理が示されている。なお、特徴量を書き込むときの処理以外の処理、及び調節計1の基本的構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。従って、本実施の形態かかる調節計1において、EEPROM12に2つのメモリ領域が確保されている。また、図6では3つの特徴量を抽出する場合を示し、4つ目以降については、図示、及び説明を適宜省略する。
本実施の形態では、各特徴量に対応するフラグを設けている。すなわち、特徴量のデータには、新データか旧データであるか否かを示すフラグMhisが付加されている。よって、特徴量毎にフラグが付され、フラグによって新データか旧データ化が識別される。例えば、設定値SPが変更されたタイミングでフラグが0になり、新データが書き込まれるとフラグが1になる。このようにフラグMhisはデータの有効/無効を示すために用いられている。なお、検出対象の各特徴量に対応したフラグMhisに保持されているデータをMhis(0,0,0)等と記述する。そして、カッコ内の数字が各特徴量の無効/有効を示している。Mhis(0,0,0)の場合、A領域21、B領域22、C領域23にそれぞれ旧データであるAn−1、Bn−1、Cn−1が格納されていることになる。一方、Mhis(1,1,1)の場合、A領域21、B領域22、C領域23にそれぞれ新データであるA、B、Cが格納されていることになる。
図6に示すように、設定値SPを変更するタイミングで、フラグMhisを初期化する。これにより、Mhis(0,0,0)となる(中央最上列参照)。このとき、A領域21、B領域22、C領域23にそれぞれ旧データであるAn−1、Bn−1、Cn−1が格納されている。
Anが検出される前に制御が中断した場合、A領域21、B領域22、及びC領域23には、それぞれ旧データであるAn−1、Bn−1、Cn−1が格納されており、この時のMhisは(0,0,0)である(左側上列参照)。すなわち、制御が中断された場合、Mhisの値である(0,0,0)を確認する事で、いずれの領域にも、最新の制御動作に対応した特徴量データの書き込みが実施されていないことがわかる。
一方、制御が中断されずに、Anが検出された場合、A領域21のみに新データが書きこまれる。すなわち、A領域21では、An−1が、Anに更新される(中央2列目参照)。そして、Mhisは(1,0,0)となる。すなわち、A領域21に対応付けられているフラグが0から1に書き換える。この時点で制御が中断されると、A領域21には、Anが格納され、B領域22、及びC領域23には、それぞれBn−1、及びCn−1が格納されている(右側中列参照)。Bnが検出される前に、制御が中断されているので、B領域22、及びC領域23には、データの書き込みが実施されない。この時、Mhis(1,0,0)となっているため、A領域21のみに新データが書き込まれ、B領域22、及びC領域23では、旧データが格納されていることがわかる。
Anが検出された後、制御が中断されずに、Bnが検出された場合、B領域22に新データが書き込まれる。すなわち、B領域22において、Bn−1であったデータが、Bnに更新される(中央3列目参照)。そして、Mhisは(1,1,0)となる。すなわち、B領域22に対応付けられているフラグが0から1に書き換わる。この時点で制御が中断すると、A領域21にはAnが格納され、B領域22にはBnが格納され、C領域23にはCn−1が格納されている(左側下列参照)。ここで制御が中断した場合、Mhisの値(1,1,0)を利用する事で、最新の制御動作に対応する特徴量データが、A領域21及びB領域22に格納されているAn、Bnであり、C領域23には、旧データが格納されていることがわかる。よって最新の制御動作に対応する特徴量データのみをユーザに提供できる。
Bnが検出された後、制御が中断されずに、Cnが検出された場合、C領域23にデータが書き込まれる。すなわち、C領域23において、Cn−1であったデータが、Cnに更新される(中央4列目参照)。そして、Mhis(1,1,1)となる。すなわち、C領域23に対応付けられているフラグが0から1に書き換わる。これにより、全ての特徴量のデータが取得され、制御が終了する。この場合も、Mhisの値(1,1,1)を利用する事で最新の制御動作に対応する特徴量データAn、Bn、Cnをユーザに提供できる。さらに別の特徴量を検出する場合は、同様に処理を続行する。
本実施の形態では、データの有効/無効を識別するための、フラグが用意されている。従って、制御が中断した場合でも、新データであることを容易に認識することができる。すなわち、新データと旧データとを容易に判別することができる。さらに、旧データが保持されているため、旧データを利用することも可能になる。また、メモリ領域を2セット確保することで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態1、2の処理以外で、書き込み対象となったメモリ領域の特徴量データを無効化してもよい。すなわち、書き込み対象に決定されたメモリ領域上の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にすればよい。なお、制御応答の特徴量は、ハンチング周期、オーバーシュート量、及び設定値到達時間に限られるものではない。例えば、これら以外の、アンダーシュート量、昇温時の制御量PVの傾きなどであってもよい。また、EEPROM以外の不揮発性メモリを用いてもよい。さらに、制御対象の計測値は温度に限らず、圧力、流量等であってもよい。
本実施の形態にかかる調節計の構成、及びその計装事例を示す図である。 典型的な制御応答波形を示す図である。 本実施の形態にかかる調節計の動作方法を示すフローチャートである。 本実施の形態1にかかる調節計において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。 比較例にかかる調節計において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。 本実施の形態2にかかる調節計において、特徴量を書き込むときの処理を説明するための図である。
符号の説明
1 調節計
4 ヒータ
5 温度センサ
6 加熱処理炉
7 電力機器
8 被加熱物
11 演算処理部
12 EEPROM
12a 第1メモリ領域
12b 第2メモリ領域
13 RAM
21 A領域
22 B領域
23 C領域
PV 制御量
SP 設定値
MV 操作量
Vini リセット値

Claims (10)

  1. 計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータに応じた操作量を制御対象に出力する調節計であって、
    制御応答の進行中に計測されていく前記計測値に基づいて、前記制御応答の複数の特徴量を、前記制御応答の進行に伴って順次算出していく演算処理部と、
    それぞれの前記特徴量を保持するメモリ領域を複数有する書換可能な不揮発性メモリと、を備え、
    前記複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を算出し、
    前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、前記特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定し、
    設定値を変更した際に、前記書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の複数の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にし、
    複数の前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記書き込み対象に決定された前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された複数の特徴量を逐次書き込む調節計。
  2. 前記メモリ領域には、前記制御パラメータが前記特徴量に対応付けて記憶されている請求項1に記載の調節計。
  3. 前記優先度が、前記メモリ領域に前記特徴量が書き込まれた時間に基づいて、決定されている請求項1、又は2に記載の調節計。
  4. 前記優先度が、前記メモリ領域に書き込まれている前記特徴量に基づいて、決定されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調節計。
  5. 計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータに応じた操作量を制御対象に出力する調節計であって、
    前記計測値に基づいて制御応答の特徴量を算出する演算処理部と、
    前記特徴量を保持するメモリ領域を複数有する書換可能な不揮発性メモリと、を備え、
    前記複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を算出し、
    前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、前記特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定し、
    設定値を変更した際に、前記書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にし、
    前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された特徴量を書き込み
    前記特徴量を用いて前記優先度を算出するための評価関数が設定され、
    前記評価関数によって、前記制御応答の調整目標から最も遠いと判断されたメモリ領域が書き込み対象と決定される調節計
  6. 書換可能な不揮発性メモリを有し、
    計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータに応じた操作量を制御対象に出力する調節計の動作方法であって、
    制御応答の進行中に計測されていく前記計測値に基づいて、前記制御応答の複数の特徴量を、前記制御応答の進行に伴って順次算出していくステップと、
    前記複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を算出するステップと、
    前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、前記特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定するステップ、
    前記設定値を変更した際に、書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の前記複数の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にするステップと、
    前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記制御応答の進行中に、前記書き込み対象に決定された前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された複数の特徴量を逐次書き込むステップとを有する調節計の動作方法。
  7. 前記メモリ領域には、前記制御パラメータが前記特徴量に対応付けて記憶されている請求項6に記載の調節計の動作方法。
  8. 前記優先度が、前記メモリ領域に前記特徴量が書き込まれた時間に基づいて、決定されている請求項6、又は7に記載の調節計の動作方法。
  9. 前記優先度が、前記メモリ領域に書き込まれている前記特徴量に基づいて、決定されている請求項6乃至8のいずれか1項に記載の調節計の動作方法。
  10. 書換可能な不揮発性メモリを有し、
    計測値を設定値に近づけるように、制御パラメータに応じた操作量を制御対象に出力する調節計の動作方法であって、
    前記複数のメモリ領域に対応した前記特徴量を利用して各メモリ領域の書き込み優先度を算出するステップと、
    前記優先度を用いて、前記不揮発性メモリに設けられた複数のメモリ領域の中から、前記特徴量を書き込む書き込み対象のメモリ領域を決定するステップ、
    前記設定値を変更した際に、書き込み対象に決定された前記メモリ領域上の特徴量のデータが無効と識別可能な状態にするステップと、
    前記特徴量のデータが無効と識別可能な状態になった後、前記メモリ領域上に最新の制御動作で検出された特徴量を書き込むステップとを有し、
    前記特徴量を用いて前記優先度を算出するための評価関数が設定され、
    前記評価関数によって、前記制御応答の調整目標から最も遠いと判断されたメモリ領域が書き込み対象と決定される調節計の動作方法。
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