JP5126705B2 - 光伝導アンテナにおける光学パス変位検出補正方法及び装置 - Google Patents
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非特許文献1によると、従来方法に比べて小さな装置で簡単にテラヘルツ波を放射できるだけでなく、放射されたテラヘルツ波を時間領域で測定できるので、その振幅情報と位相情報とが同時に得られるという大きな利点がある。
D.H. Auston, K.P. Cheung, and P.R. Smith, Appl.Phys. Lett. 45, 284 (1984)
また、これまで光源・検出器が未発達であったために解明されていない物理現象・生命現象・物質構造の解明、更に、宇宙、大気や生体、プラズマなどの計測・診断など幅広い基礎的な応用分野の発展につながる。
微小ダイポールアンテナやスパイラル状のアンテナを一体化した PC 素子を用いて、850 nm 帯の2台の LD 出力の光混合により 0.2〜3 THz の周波数域の CW-テラヘルツ波発生が行われている。また、同様な PC 素子にフェムト秒光パルスを照射することによって、テラヘルツ波を含んだ幅広い周波数成分を有する超短電磁パルスの発生が可能である。
例えば、これを用いて電磁波形状を検出するには、基板上の二つの電極間に、照射タイミングを徐々に変えながらサンプリング光を照射し、電極間に発生する電流を計測する。これによって、向き合う二つの電極の組の方向と平行な偏波方向のテラヘルツ波が検出される。
経時変化や振動等で容易にずれてしまい、そのズレの補正は非常に精密であり困難であった。
CDプレイヤーでは、小さなピットをレーザーで読み取るために、微小な光の点にレーザーを収束させ、その一点にレーザー光のピントを合わせなければならない。しかし、CD等の光メディアには若干の歪みがあり、ディスク面は回転によってブレが避けがたい。また、スピンドリルモーターがクランプする穴も、厳密にはディスクの中心から偏心しているため、ディスクの横方向へのブレが避けがたい。また、CD等の光メディアには、若干のソリがあるので、上下方向へもブレが避けがたい。
これらのブレに追随して安定したフォーカシング及びトラッキングを行う必要があり、光ヘッドのコントロールが課題になっている。
また、光メディアによっては、フーコーレンズと呼ばれる台形のレンズを用いてフォーカスを決める方法も採用されている。フーコーレンズを用いた方法も、基本的には光検出部でずれを検出する点で、非点収差を用いる方法と同様である。
すなわち、光伝導アンテナを用いた電磁波発生及び検出器の光伝導アンテナにおける光学パスの変位を検出する方法であって、基板と、その表面に形成された金属膜から成る3個以上の電極と、その各電極に接続された配線と、電極間にかかる電流を測定する電流測定手段とを備えた装置に対して、サンプリング光照射手段によって電極間にサンプリング光を照射すると共に、被検出波照射手段によって検出対象の電磁波を電極間に照射し、電極制御手段によって、電流測定手段で計測する電極の組を選択切替し、光学パス変位演算手段によって、基板上における各電極組の配置と電極制御手段で選択された電極組と電流測定手段で計測された電極組毎の電流値とから、ビームのスポット位置を算出し、規定のビームスポット位置との差異から光学パスのズレを求めることを特徴とする。
すなわち、光伝導アンテナを用いた電磁波発生及び検出器の光伝導アンテナにおける光学パスの変位を検出する装置であって、基板と、その表面に形成された金属膜から成る3個以上の電極と、その各電極に接続された配線と、その配線に接続され電極間にかかる電流を測定する電流測定手段と、電極間にサンプリング光を照射するサンプリング光照射手段と、検出対象の電磁波を電極間に照射する被検出波照射手段と、電流測定手段で計測する電極の組を選択切替する電極制御手段と、基板上における各電極組の配置と電極制御手段で選択された電極組と電流測定手段で計測された電極組毎の電流値とから、ビームのスポット位置を算出し、規定のビームスポット位置との差異から光学パスのズレを求める光学パス変位演算手段と、を備えることを特徴とする。
図1は、光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置の要部を示す一部投影斜視説明図である。
光伝導アンテナは、基板(11)と、その表面にパターニング形成された金属膜から成るアンテナパターン(12)とを有する。アンテナパターン(12)には、配線(13)を介して、その端子電極(12a)(12b)(12c)間にかかる電流を測定する電流測定手段(14a)(14b)が接続されている。
基板(11)としては、低温成長GaAsなどが利用できる。
試料を透過または反射したテラヘルツ波(21)は、半球状等のレンズ(15)またはミラーを介して光伝導アンテナへ入射し、電極(12a)(12b)(12c)間に照射される。一方、サンプリング光としてのパルス光(22)もそこに照射する。
なお、パルス光(22)の光源としては、例えば、フェムト秒パルスレーザーが利用できる。集光レンズを介挿してパルス光(22)の光束を絞ってもよい。
電極が3個以上あると、電流を測定する電極の組を複数通りに選択することが可能になる。例えば、電極が3個の場合、電極(12a)と電極(12c)との組からは電流測定手段(14a)によって電流Aが計測され、電極(12b)と電極(12c)との組からは電流測定手段(14b)によって電流Bが計測される。
また、電極(12a)と電極(12c)との組から得られた電流Aと、電極(12b)と電極(12c)との組から得られた電流Bとを減算する(A-B)と、図示の横方向(D)において、電極(12a)(12b)(12c)の中央など規定位置からのビームスポットの変位が算出される。
このように、2通りの組み合わせによって得られる各電流測定値を加算或いは減算することによって、直交する2方向(S)(D)における光学パスのズレを1回の測定で同時に求めることができる。
図示の例のアンテナパターン(12)では、4個の電極(12a)(12b)(12c)(12d)を、互いに90°の角度をなして対称的に放射状に配置させている。
電極(12a)と電極(12c)との組から得られた電流と、電極(12b)と電極(12d)との組から得られた電流Bとから、直交する2方向(S)(D)における光学パスのズレを1回の測定で同時に求めることができる。
サンプリング光照射手段とアンテナパターン(12)との間か、被検出波照射手段とアンテナパターン(12)との間かの少なくとも一方に、それぞれサンプリング光としてのパルス光(22)のパスを変えるミラー(31)を設ける。
これにより、前記光学パス変位検出装置で得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるようにミラー(31)を回動させて、ビームのスポット位置を規定のビームスポット位置に調整する。
得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるようにアンテナ基板制御手段により前記アンテナ基板調整手段を回転或いは並進移動させる。基板(11)を回転或いは並進移動させるには、例えば、X線回折装置に使われるゴニオメーターなど従来公知の手段を適宜利用できる。
テラヘルツ波技術は、原子系の量子状態を制御する手段としての原子チップ、原子光学、BEC技術や、物質系の新しい観測手段としても有望であり、本発明はテラヘルツ波の多様な用途に寄与する。
テラヘルツ波の応用分野は、物性、分子分光、生体研究などの基礎研究から、半導体など各種材料の品質評価、高感度ガス検出、超高速通信などの応用分野まで多岐にわたる。
また、半導体、プラスチック、ビニール、紙、ゴム、木材、歯、骨、乾燥食品などを透過する電磁波の中で、テラヘルツ波が最も短波長すなわち高分解能であることから、人体に危険なX線に代わる安全な非破壊検査用光源としての実用化に期待がもたれる。
更に、DNAやタンパク質、酵素など生体高分子の骨格振動周波数が、テラヘルツ波領域に存在することが明らかになりつつあり、医療応用や生体イメージングなどの分野でも有望である。
また、皮膚癌や乳癌の早期診断、火傷深さの診断、虫歯の断層撮影、半導体シリコン基板の検査、粉ミルク等への異物混入防止、乾燥食品の水分含有量検査、材木や紙などの水分含有量検査など多分野にわたるので、産業上利用価値が高い。
12 アンテナパターン
12a〜12d 電極
13 配線
14a〜14d 電流測定手段
15 レンズ
21 検出対象の電磁波
22 サンプリング光としてのパルス光
31 ミラー
Claims (9)
- 光伝導アンテナを用いた電磁波発生及び検出器の光伝導アンテナにおける光学パスの変位を検出する装置であって、
基板と、その表面に形成された金属膜から成る3個以上の電極と、その各電極に接続された配線と、その配線に接続され電極間にかかる電流を測定する電流測定手段と、電極間にサンプリング光を照射するサンプリング光照射手段と、検出対象の電磁波を電極間に照射する被検出波照射手段と、
電流測定手段で計測する電極の組を選択切替する電極制御手段と、
基板上における各電極組の配置と電極制御手段で選択された電極組と電流測定手段で計測された電極組毎の電流値とから、ビームのスポット位置を算出し、規定のビームスポット位置との差異から光学パスのズレを求める光学パス変位演算手段と、を備える
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置。 - 電極が、放射状に配置された3本以上の薄膜で構成された
請求項1に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置。 - サンプリング光照射手段と電極間との間に配設されサンプリング光のパスを変えるミラーを備えると共に、
請求項1または2に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置で得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるように前記ミラーを回動させるミラー制御手段を備える
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位補正装置。 - 光伝導アンテナの基板を3次元的に回転或いは並進移動させるアンテナ基板調整手段を備えると共に、
請求項1または2に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置で得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるように前記アンテナ基板調整手段を回転或いは並進移動させるアンテナ基板制御手段を備える
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位補正装置。 - 光伝導アンテナを用いた電磁波発生及び検出器の光伝導アンテナにおける光学パスの変位を検出する方法であって、
基板と、その表面に形成された金属膜から成る3個以上の電極と、その各電極に接続された配線と、電極間にかかる電流を測定する電流測定手段とを備えた装置に対して、
サンプリング光照射手段によって電極間にサンプリング光を照射すると共に、 被検出波照射手段によって検出対象の電磁波を電極間に照射し、
電極制御手段によって、電流測定手段で計測する電極の組を選択切替し、
光学パス変位演算手段によって、基板上における各電極組の配置と電極制御手段で選択された電極組と電流測定手段で計測された電極組毎の電流値とから、ビームのスポット位置を算出し、規定のビームスポット位置との差異から光学パスのズレを求める
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位検出方法。 - 電極を、互いに120°の角度をなして対称的に放射状に配置された3本の薄膜で構成し、
その3電極のうちから2電極の組を、異なる2通りの組み合わせで選択し、その2通りの各組み合わせによって得られる各電流測定値を加算或いは減算することによって、直交する2方向における光学パスのズレを求める
請求項5に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出方法。 - 電極を、互いに90°の角度をなして対称的に放射状に配置された4本の薄膜で構成し、
その4電極のうちから対向する2電極の組を、異なる2通りの組み合わせで選択し、その2通りの各組み合わせによって得られる各電流測定値から、直交する2方向における光学パスのズレを求める
請求項5に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出方法。 - サンプリング光照射手段と電極間との間に、サンプリング光のパスを変えるミラーを設けると共に、
請求項5ないし7に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置で得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるようにミラー制御手段により前記ミラーを回動させる
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位補正方法。 - 光伝導アンテナの基板を3次元的に回転或いは並進移動させるアンテナ基板調整手段を設けると共に、
請求項5ないし7に記載の光伝導アンテナにおける光学パス変位検出装置で得られた光学パス変位に応じて、その光学パスのズレがなくなるようにアンテナ基板制御手段により前記アンテナ基板調整手段を回転或いは並進移動させる
ことを特徴とする光伝導アンテナにおける光学パス変位補正方法。
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