JP5124518B2 - 揮発性有機化合物含有排水の処理方法 - Google Patents

揮発性有機化合物含有排水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルコール、パラフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、芳香族系炭化水素、ケトン類、エステル類などの揮発性有機化合物(以下、VOCと称する。)成分を含有するVOC含有排水を蒸気に放散して触媒と空気中の酸素により酸化分解して無害化処理するVOC含有排水の処理方法に関するものである。
排水中に含まれるVOC成分の処理方法としては、放散処理や燃焼装置による直燃法、オゾン酸化法、吸着法等が知られており、例えば放散処理については特許文献1に充填層を備えた充填塔(放散塔)にVOC含有排水を供給し、水蒸気をパージガスとしてVOC成分を放散させ、その放散ガスを凝集させて回収液タンクに回収したりすることが記載されている。また、特許文献2、3には、空気等によって放散したVOC成分を吸着塔によって吸着した後に脱着して、触媒処理することが記載されている。
ところが、特許文献1に記載のようにVOC成分を放散した放散ガスを凝集して回収したのでは、回収液が残るためその処理が必要となる。また、特許文献2、3に記載のように、放散後に触媒処理のため吸着塔を用いることは設備の大型化を招くことになり、経済的ではない。さらに、直燃法では放散ガス中のVOC成分濃度が低いと補助燃料を燃焼させなければならず燃料コストが増大することになり、オゾン酸化法では低温での処理が可能であるものの、やはり二次処理が必要となる。
そこで、このようにVOC含有排水を放散塔に供給して蒸気によりVOC成分を放散した放散ガスを空気と混合することにより希釈し、こうして放散ガスと空気とを混合した希釈ガスを直接触媒反応器に供給して、触媒により空気中の酸素を用いて酸化分解処理することが検討されている。
特許第3995864号公報 特開平5−329330号公報 特開平6−134241号公報
ところで、このようにVOC成分を蒸気によって放散した放散ガスに空気を混合して触媒により酸化分解処理する場合、希釈ガスは通常この酸化分解によって発生した熱によって触媒反応に適した温度に加熱されて触媒反応器に供給されるのであるが、この希釈ガスにおける放散ガス量に対する混合した空気量の比である希釈ガス比が高すぎると、触媒反応による酸化分解処理によって希釈ガスを十分に加熱し得るだけの熱が発生せず、補助燃料を燃焼させて希釈ガスを加熱しなければ自立した触媒反応を維持することが困難となるおそれがある。その一方で、逆にこの希釈ガス比が低くて希釈ガスにおけるVOC成分濃度が高すぎると、触媒反応器の温度が高くなりすぎて触媒に損傷が生じたり、安定した反応が阻害されたりするおそれがある。
このため、VOC含有排水中のVOC成分を蒸気により放散した放散ガスに空気を混合して希釈し、触媒により確実かつ安定的に酸化分解処理するには、この放散ガスに空気を混合して希釈した希釈ガスにおける希釈空気量と放散ガス量との希釈ガス比を、触媒反応が安定して必要十分な温度で行われる範囲に適正に設定しなければならないが、この適正な希釈ガス比は、放散ガスを生成する放散塔に供給されるVOC含有排水のVOC成分およびその供給量と蒸気の投入量とによって変化するため、常に安定したVOC含有排水の処理を図るのは困難とされていた。
本発明は、このような背景の下になされたもので、VOC含有排水中のVOC成分を蒸気により放散した放散ガスに空気を混合して希釈するのに際して、放散塔に供給されるVOC含有排水のVOC成分や供給量と蒸気の投入量とに応じて希釈ガス比を適正に設定でき、これにより触媒によるVOC成分の酸化分解処理を確実かつ安定して行うことが可能なVOC含有排水の処理方法を提供することを目的としている。
ここで、本発明の発明者は、種々のVOC含有排水に対してその高位発熱量HHV(kJ/kg)に着目して、希釈ガスにおける放散ガスのガス量V(Nm)に対する混合した空気の量Vair(Nm)の比であるその希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)について鋭意研究を重ねた結果、放散塔に供給されるVOC含有排水の供給量であるその空塔モル速度L(kmol/m2・h)の、該放散塔に投入される蒸気の投入量であるその空塔モル速度G(kmol/m2・h)に対する比L/Gを一定とすれば、自立した触媒反応が可能で、かつ触媒に損傷を生じることのない適正な希釈ガス比は、これら空塔モル速度L、Gの比L/Gに基づく定数と上記高位発熱量HHV(kJ/kg)を変数とする簡単な1次方程式(不等式)で表される範囲となるという知見を得るに至った。
そこで、本発明は、このような知見に基づいて上記課題を解決して、上述した目的を達成するために、VOC成分を含有するVOC含有排水を放散塔に供給して該放散塔に投入される蒸気に上記VOC成分を放散し、次いでこのVOC成分を放散した放散ガスに空気を混合して希釈し、さらにこの空気を混合した希釈ガスを加熱して触媒と反応させることにより上記VOC成分を酸化分解処理するとともに、この酸化分解処理によって発生した処理ガスによって上記希釈ガスを加熱するVOC含有排水の処理方法であって、上記放散塔に供給する上記VOC含有排水の空塔モル速度をL(kmol/m2・h)、該放散塔に投入される上記蒸気の空塔モル速度をG(kmol/m2・h)としたときに、上記VOC含有排水の高位発熱量HHV(kJ/kg)と、上記希釈ガスにおける上記放散ガスのガス量V(Nm)に対する混合した上記空気の量Vair(Nm)の比である希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)とを、高位発熱量HHV≦90(kJ/kg)、かつ希釈ガス比Vair/V≧1(Nm/Nm)とするとともに、(0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)≦Vair/V≦(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)の範囲に設定することを特徴とする。
すなわち、上記知見に基づけば、希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)がVOC含有排水の高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)よりも高ければ放散ガスが空気によって希釈されすぎて、触媒による酸化分解処理で混合ガスを必要な温度に加熱するまでの熱量が得られず、自立した触媒反応を促すことができずに補助燃料の燃焼を要することになる。また、逆に希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)がVOC含有排水の高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して(0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)を下回るほど低く、つまり放散ガスが空気によって十分に希釈されないまま触媒反応器に供給されると、反応器の温度が上がりすぎてしまい触媒に損傷を招く結果となる。
なお、希釈ガス比Vair/Vの下限値を1(Nm/Nm)に設定しているのは、放散ガスと混合する空気の量を少なくとも放散ガス量と等量として、触媒反応によるVOC成分の酸化分解処理に最低限必要な希釈ガス中の酸素濃度10vol%を確保するためである。また、VOC含有排水の高位発熱量HHVの上限値を90(kJ/kg)に設定しているのは、これよりも高位発熱量HHVの高いVOC含有排水であると、放散ガスと希釈空気を混合する際に自然発火するおそれがあるとともに、そのような高い発熱量を有するVOC含有排水であれば、触媒反応によらずに例えば直燃法によって処理するのがむしろ効率的であるからでもある。
ところで、VOC含有排水の空塔モル速度L(kmol/m2・h)の蒸気の空塔モル速度G(kmol/m2・h)に対する比L/Gは、実際に放散塔を設計する際に用いられる、液相中のmol分率を横軸(x軸)とし、気相中のmol分率を縦軸(y軸)としたx−y線図における回収部操作線の傾きで表すことができ、放散条件は比L/Gが小さく、すなわち放散塔に供給されるVOC含有排水に対して投入される蒸気量が多いほど良好になる。また、同x−y線図における上記回収部操作線と気液平衡線の勾配の比λは、λ=m・G/Lで表され、ここで、mはヘンリー定数(molfr/molfr)であって、λは小さいほど投入する蒸気量が少なく、λ=1が理想系であり、大きいほど投入される蒸気量は多くなって放散条件は良好となるが、あまり多すぎても経済的ではないので、上記比λが1≦λ≦5の範囲となるように、VOC含有排水の空塔モル速度L(kmol/m2・h)の蒸気の空塔モル速度G(kmol/m2・h)に対する比L/Gは、m/5≦L/G≦mの範囲に設定されるのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、VOC含有排水を蒸気によって放散して空気と混合した希釈ガスを触媒反応により酸化分解処理するのに、放散塔に供給されるVOC含有排水の供給量と蒸気の投入量との比とVOC含有排水の高位発熱量とによって、比較的簡略な計算式により上記希釈ガスにおける放散ガスの希釈ガス比を適正な範囲に設定することができ、これにより、補助燃料の使用量を抑制するとともに、温度上昇による触媒の損傷等を防ぐことが可能な、確実かつ安定的な触媒によるVOC成分の酸化分解処理を促すことが可能となる。
本発明のVOC含有排水の処理方法の一実施形態に係わる処理装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態において、放散塔2に供給されるVOC含有排水Aの空塔モル速度L(kmol/m2・h)と水蒸気Bの空塔モル速度G(kmol/m2・h)との比L/G=8のときのVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)と希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)の関係を示す図である。 本発明の一実施形態において、放散塔2に供給されるVOC含有排水Aの空塔モル速度L(kmol/m2・h)と水蒸気Bの空塔モル速度G(kmol/m2・h)との比L/G=11のときのVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)と希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)の関係を示す図である。
図1は、本発明のVOC含有排水の処理方法の一実施形態に係わるVOC含有排水の処理装置を示すものであり、以下この処理装置について説明しながら、実施形態のVOC含有排水の処理方法についても説明する。本実施形態において処理されるVOC含有排水Aは、例えば電子機器製造工程や自動車部品製造工程、樹脂製造工程、化成品製造工程等の各種工程における特に洗浄過程で発生するものであって、こうして発生したVOC含有排水Aは排水予熱器1を介して予熱されて、放散塔2内にその上部から供給されて噴霧される。
この放散塔2は、上記特許文献1に記載された充填塔と同様に内部に適宜の段数の充填層を備えたものであって、その下部には水蒸気調整弁3を介して水蒸気Bが供給可能とされており、上部から供給されて上記充填層を滴下するVOC含有排水A中のVOC成分がこの水蒸気Bによって放散させられて、水蒸気Bとともに放散ガスCとして放散塔2の頂部から排出される。また、こうしてVOC成分が放散させられて除去されるとともに水蒸気Bと接して高温となった排水A’は放散塔2の底部に保持され、放散塔ポンプ4によって適宜抜き出されて上記排水予熱器1においてVOC含有排水Aを予熱した後、処理済み排水Dとして排出される。
ここで、本実施形態ではまず第1に、この放散塔2に供給されるVOC含有排水Aの供給量と投入される水蒸気Bの投入量とは、それぞれVOC含有排水Aの空塔モル速度L(kmol/m2・h)と水蒸気Bの空塔モル速度G(kmol/m2・h)との比L/Gが一定となるように、VOC含有排水Aの供給経路に設けた流量計5による測定結果に基づいて上記水蒸気調整弁3が操作されることにより、制御される。なお、この比L/Gは、mをヘンリー定数(molfr/molfr)としたときに、m/5≦L/G≦mの範囲に設定され、具体的に本実施形態では8≦L/G≦11の範囲に設定されている。
そして、この放散塔2から排出された放散ガスCは、次いで空気Eと混合されて希釈された希釈ガスFとして触媒反応器6に供給され、この空気Eの酸素を用いて触媒7により酸化分解処理されるのであるが、こうして放散ガスCを空気Eと混合して希釈する際に、本実施形態では第2に、この希釈ガスFにおける放散ガスCのガス量V(Nm)に対する混合した空気Eの量Vair(Nm)の比である希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)を、上記放散塔2に供給されるVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)と上記比L/Gとに対して、0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)≦Vair/V≦(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)の範囲となるように設定する。
ただし、このVOC含有排水Aは、予めその高位発熱量HHVが90(kJ/kg)以下となるように調整されるとともに、希釈ガス比Vair/Vは1(Nm/Nm)以上、すなわち放散ガスCのガス量V(Nm)に対して混合する空気Eの量Vair(Nm)が下回らないように設定される。従って、空気Eに含まれていた酸素の希釈ガスF中の含有量は約10vol%以上とされ、同じく放散ガスCに含まれていた水蒸気Bの希釈ガスF中の含有量は50vol%以下とされる。
ここで、上記空気Eは、ダクト8から空気調整弁9を介して誘引されて空気予熱器10により例えば120〜150℃程度の温度に加熱された後、放散塔2から排出された放散ガスCと混合されて該放散ガスCを希釈するが、本実施形態ではこの放散ガスCの排出経路に設けた流量計11による測定結果に基づいて上記空気調整弁9が操作されることにより、希釈ガス比Vair/Vが1(Nm/Nm)以上で、比L/GおよびVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して上記範囲となるように制御される。また、この空気調整弁9は、後述する触媒反応器6の出口側の温度計12による測定結果によっても操作可能とされている。
こうして放散ガスCが空気Eと混合されて希釈された希釈ガスFは、次いでガス加熱器13によって加熱されて、補助加熱器14を経て上記触媒反応器6に供給されるが、この希釈ガスFのうちの一部は、バイパス弁15を備えたバイパス経路16に分岐してガス加熱器13をバイパスした後、ガス加熱器13によって加熱された残りの希釈ガスFと再び混合可能とされて、触媒反応器6に供給される希釈ガスFの温度が例えば300℃程度になるように調整される。
なお、このバイパス経路16に備えられたバイパス弁15は、触媒反応器6の希釈ガスF入口側に接続された温度センサ17の測定結果に基づいてその開度が制御されて、触媒反応器6に供給される希釈ガスFが上述のような温度で一定となるように、ガス加熱器13により加熱される希釈ガスFとバイパス経路16を経て加熱されずに混合される一部の希釈ガスFとの混合比率を調整する。また、補助加熱器14は例えば電熱式のものであって、当該処理装置の運転当初等に希釈ガスFを加熱するのに用いられ、この補助加熱器14も上記温度センサ17の測定結果に基づいて制御される。
さらに、上記触媒反応器6には、例えば特公平8−24819号公報に記載されたような金、銀、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種および/または鉄、マンガン、クロム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸化物から選ばれる少なくとも1種の触媒成分をアルミナに担持してなる触媒7、あるいは特開平8−97039号公報に記載されたようなアンモニア分解触媒、すなわち触媒A成分としてTiを含む酸化物と、触媒B成分としてバナジウム、タングステン及びモリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属あるいは酸化物と、触媒C成分として白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、クロム、マンガン、鉄、銅よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属あるいは酸化物とを含有する触媒7が配設されていて、このような触媒7により、希釈ガスFの放散ガスC中のVOC成分が混合された空気E中の酸素とともに150℃〜600℃、望ましくは300℃〜550℃程度の反応温度でCOとHOに酸化分解されて無害化処理される。
こうして希釈ガスFのVOC成分を酸化分解処理した触媒反応器6からは、その反応温度に応じて例えば550℃程度の高温の処理ガスHが発生し、この処理ガスHは上記ガス加熱器13および空気加熱器10を順次経て希釈ガスFおよび空気Eを加熱した後、排ガスブロア18を介して無害化された処理済み排ガスIとして排出される。なお、これらガス加熱器13および空気加熱器10は、この処理ガスHと希釈ガスFおよび空気Eとの間でそれぞれ熱交換を行う熱交換器とされ、プレート式やシェル・アンド・チューブ式などの各種のものが使用可能であるが、洗浄が容易であることから特にプレート式のものが望ましい。
ここで、例えば触媒反応器6の入口側における希釈ガスFの設定温度を300℃に制御する場合において、この希釈ガスFの温度が設定温度よりも高いときには、これを温度センサ17が検知してバイパス弁15を開き、ガス加熱器13を通らずにバイパス経路16を流れる未加熱の希釈ガスFの流量を増やして触媒反応器6入口側の希釈ガスFの温度を低減する。逆に、この触媒反応器6入口側の希釈ガスFの温度が上記設定温度よりも低いときには、バイパス弁15を閉じてガス加熱器13を流れる希釈ガスFの流量を増大させることにより温度を上昇させる。また、バイパス弁15を全閉にして希釈ガスFの全量をガス加熱器13に通しても触媒反応器6入口側の希釈ガスFが設定温度に達しない場合には、補助加熱器14を作動させて希釈ガスCを加熱すればよい。
一方、触媒反応器6の出口側での処理ガスHを例えば500℃の設定温度に制御する場合において、この処理ガスHの温度が設定温度よりも高いときには、これを温度計12によって検知して空気調整弁9を開くことにより放散ガスCと混合する空気Eの量を増大させ、上述したVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)に対する範囲内で希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)を高めて、すなわち希釈ガスF中のVOC成分濃度を低減し、触媒反応器6における反応温度を下げて処理ガスHの温度を低下させる。また、触媒反応器6出口側の処理ガスHの温度が上記設定温度よりも低い場合には、逆に空気調整弁9を閉じ気味にして放散ガスCと混合する空気Eの量を減少させることにより、やはり上記範囲内で希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)を低めて希釈ガスF中のVOC成分濃度を増大させ、触媒反応器6での反応温度を上げて処理ガスHの温度を上昇させればよい。
従って、このような処理装置を用いた本実施形態のVOC含有排水の処理方法においては、放散塔2に供給するVOC含有排水Aの空塔モル速度L(kmol/m2・h)、該放散塔2に投入される水蒸気Bの空塔モル速度G(kmol/m2・h)としたとき、VOC含有排水Aの高位発熱量HHV≦90(kJ/kg)、かつ希釈ガス比Vair/V≧1(Nm/Nm)であるとともに、高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して、希釈ガスFにおける放散ガスCのガス量V(Nm)に対する混合した空気Eの量Vair(Nm)の比である希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)が、(0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)≦Vair/V≦(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)の範囲に設定されるので、確実な自立運転を促すことができるとともに、触媒反応器6における反応温度が高くなりすぎて触媒7に損傷が生じたりするのを防ぐことができる。
ここで、図2は上記比L/GをL/G=8とした場合、また図3はL/G=11とした場合に、横軸(x軸)をVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)、縦軸(y軸)を希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)としたx−y座標上に上記範囲を示したものであり、高位発熱量HHV(kJ/kg)と希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)との関係を示す上記不等式は、このx−y座標上では、L/G=8のときには概ね0.2557x−0.9858≦y≦0.7799x−0.6616の一次方程式で、L/G=11のときには概ね0.3421x−0.8348≦y≦1.043x−0.1889の一次方程式でそれぞれ表される。
さらに、これら図2、図3に示した5つの点は、次表1に示すように高位発熱量HHV(kJ/kg)と希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)とがこの範囲内にある条件でVOC含有排水Aの処理を行った場合(点1、2)と、範囲外にある条件でVOC含有排水Aの処理を行った場合(点3〜5)との、同x−y座標上における位置を示すもの(L/G=8、11の場合で同じ条件)である。
Figure 0005124518
このうち上記範囲外の条件で処理を行ったときには、高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)が高い場合(点3)は、触媒反応器6における反応温度が上がらずに排出される処理ガスHの温度も低く、このため空気加熱器10およびガス加熱器13において空気Eや希釈ガスFを十分に加熱することができず、補助加熱器14を常に使用しなければならなくなって、表1の備考に記載したように自立した運転は不可能であった。また、これとは逆に、高位発熱量HHV(kJ/kg)に対して希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)が上記範囲よりも低い場合(点5)は、希釈ガスF中のVOC成分濃度が高すぎるために触媒反応器6における反応温度が高くなり過ぎ、高温により触媒7に損傷が生じるおそれが発生したため、処理を中断せざるを得なかった。
さらに、高位発熱量HHVが90(kJ/kg)より高い場合(点4)には、希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)が(0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)≦Vair/V≦(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)の範囲でも自然発火する危険性があるため、やはり処理を行うことができなかった。なお、この高位発熱量HHV=90(kJ/kg)は、各種のVOC成分の爆発下限界よりも十分低い値である。また、希釈ガス比Vair/Vが1(Nm/Nm)よりも低い場合は、希釈ガスF中における酸素濃度が触媒反応器6における酸化分解処理に十分な濃度とならず、安定した触媒反応を図ることができない。
これらに対して、上記範囲内の条件で処理を行う本実施形態のVOC含有排水Aの処理方法では、触媒反応器6における反応温度が高くなりすぎることなく、上述のような温度で安定していたため、触媒7に損傷等が生じるのを防ぎつつ、処理ガスHによって空気Eや希釈ガスFを触媒反応に適した温度に加熱することができ、処理装置の運転当初以外は補助加熱器14を使用することなく、安定的な自立した運転が可能であった。従って、当該処理方法によれば、処理すべきVOC含有排水AのVOC成分が有する熱量を有効に利用して、経済的かつ確実に該VOC含有排水Aの安定した処理を図ることができる。
しかも、このような処理方法では、予め知ることのできるVOC含有排水Aの高位発熱量HHV(kJ/kg)から、このVOC含有排水Aが触媒7による酸化分解処理に適したものであるか、また触媒7によって処理する場合にどの程度の量Vair(Nm)の空気Eが必要であるかを、上述のような簡単な一次方程式に基づいて速やかに判断、決定することができるので、効率的なVOC含有排水Aの処理を促すこともできる。さらに、こうして高位発熱量HHV(kJ/kg)に基づいて放散ガスCと混合される空気Eの量Vair(Nm)が決定されることから、触媒反応器6に供給される希釈ガスFの量V+Vair(Nm)も速やかに計算でき、これに基づいて触媒反応器6に備えるのに必要十分な触媒7の量も決定することができるので、一層経済的である。
一方、本実施形態では、放散塔2に供給されるVOC含有排水Aの空塔モル速度L(kmol/m2・h)と水蒸気Bの空塔モル速度G(kmol/m2・h)との比L/Gも、8≦L/G≦11の範囲に設定されており、供給されたVOC含有排水AのVOC成分の放散を良好に維持しつつも、水蒸気Bの投入量が必要以上に多くなるのは防ぐことができる。すなわち、この比L/Gが11を上回ると、供給されるVOC含有排水Aに対して水蒸気Bが少なくなってVOC成分の均一かつ十分な放散を促すことができなくなるおそれがある一方、逆に比L/Gが8を下回るほど小さいとVOC含有排水Aに対して水蒸気Bが過剰となって不経済となるおそれがある。
なお、上述した実際に放散塔を設計する際に用いられる、液相中のmol分率を横軸(x軸)とし、気相中のmol分率を縦軸(y軸)としたx−y線図における上記回収部操作線と気液平衡線の勾配の比λは、λ=m・G/Lで表される。ここで、mはヘンリー定数(molfr/molfr)であって、λは小さいほど投入する蒸気量が少なく、λ=1が理想系であり、大きいほど投入される蒸気量は多くなって放散条件は良好となるが、あまり多すぎても経済的ではないので、上記比λは1≦λ≦8の範囲となるように、好ましくは1≦λ≦5の範囲となるように、放散塔2への水蒸気Bの投入量である空塔モル速度G(kmol/m2・h)が決定される。従って、この比L/Gは本実施形態のようにm/5≦L/G≦mの範囲に設定されるのが好ましい。
1 排水予熱器
2 放散塔
3 水蒸気調整弁
4 処理水抜出しポンプ
6 触媒反応器
7 触媒
9 空気調整弁
10 空気加熱器
13 ガス加熱器
14 補助加熱器
15 バイパス弁
16 バイパス経路
17 触媒反応器
18 排ガスブロワー
A VOC含有排水
B 水蒸気
C 放散ガス
E 空気
F 希釈ガス
H 処理ガス

Claims (2)

  1. 揮発性有機化合物成分を含有する揮発性有機化合物含有排水を放散塔に供給して該放散塔に投入される蒸気により上記揮発性有機化合物成分を放散し、次いでこの揮発性有機化合物成分を放散した放散ガスに空気を混合して希釈し、さらにこの空気を混合した希釈ガスを加熱して触媒と反応させることにより上記揮発性有機化合物成分を酸化分解処理するとともに、この酸化分解処理によって発生した処理ガスによって上記希釈ガスを加熱する揮発性有機化合物含有排水の処理方法であって、
    上記放散塔に供給する上記揮発性有機化合物含有排水の空塔モル速度をL(kmol/m2・h)、該放散塔に投入される上記蒸気の空塔モル速度をG(kmol/m2・h)としたときに、
    上記揮発性有機化合物含有排水の高位発熱量HHV(kJ/kg)と、上記希釈ガスにおける上記放散ガスのガス量V(Nm)に対する混合した上記空気の量Vair(Nm)の比である希釈ガス比Vair/V(Nm/Nm)とを、高位発熱量HHV≦90(kJ/kg)、かつ希釈ガス比Vair/V≧1(Nm/Nm)とするとともに、(0.0288L/G+0.025)HHV+(0.05L/G−1.3796)≦Vair/V≦(0.0878L/G+0.0783)HHV+(0.153L/G−1.8842)の範囲に設定することを特徴とする揮発性有機化合物含有排水の処理方法。
  2. mをヘンリー定数(molfr/molfr)としたときに、上記揮発性有機化合物含有排水の空塔モル速度L(kmol/m2・h)の上記蒸気の空塔モル速度G(kmol/m2・h)に対する比L/Gを、m/5≦L/G≦mの範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物含有排水の処理方法。
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