JP5121702B2 - アドニスパレスチナ由来ケトカロテノイド - Google Patents

アドニスパレスチナ由来ケトカロテノイド Download PDF

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関連出願の相互参照
本特許出願は、60/677,664号(出願日2005年5月3日)に基づき、同出願はこの参照により開示に含まれる。
本発明は、大きな花サイズ、高アスタキサンチン含量、及び/又は低カルデノリド含量等の、改善された特性を有する新規アドニスパレスチナ及び植物群の製造及び特性に関する。本発明は更に、アドニスパレスチナの花からアスタキサンチン及び他のケトカロテノイドを抽出し、非ケトカロテノイド成分やカルデノリドの含量を減少させる方法に関する。
カロテノイド色素は、二つのC40化合物群、即ち炭化水素カロチン及び酸素化キサントフィルのいずれかに分類できる。キサントフィルはβ−カロチンの誘導体であり、通常は分子中のβ−イオネン環の一方又は両方にヒロドキシル基、ケト基、又はその両方を有し、多数の構造類似化合物を含む。ヒロドキシル基のみを有するキサントフィルは黄色の色素であることが多く、一方ケト基を少なくとも一つ含むキサントフィルはより赤い色素となる傾向がある。
下記構造式のアスタキサンチン(3,3’−ジヒドロキシ−β,β−カロチン−4,4’−ジオン)は、特に赤い魚(タイ、サケ等)や甲殻類(カニ、ロブスター、エビ等)を含む様々な海洋動物に見られるキサントフィルカロテノイドである。
Figure 0005121702
通常、上記動物はカロテノイド類を生合成できず、微生物又は植物を摂取することで該カロテノイド類を得る。そのため、タイ、サケ、エビ等の魚や甲殻類の水産養殖においては、赤色を増強するために飼料添加物としてアスタキサンチンが広く用いられている。アスタキサンチンは家禽(ブロイラーの皮、卵黄等)、鳥類の羽、及びコイ等の観賞魚の着色にも利用できる。
また、アスタキサンチンは様々な生物学的機能を有することが分かっている。アスタキサンチンはビタミンA前駆体であり、フリーラジカル及び活性酸素種のスカベンジャー及び/又はクエンチャーとして作用し、免疫反応を促進することが示されている(非特許文献1参照)。特性研究の結果、薬学的栄養補助食品産業及び食品産業において、アスタキサンチンはそのビタミンA前駆体としての特性等により非常に興味深いカロテノイドであると考えられている。アスタキサンチンの生物医学的特性は未だ完全には明らかにはなっていないが、初期研究結果から、アスタキサンチンは免疫系の陽性反応を誘発する機能や抗炎症薬としての機能を有し、更には癌や腫瘍の予防において重要な役割を果たすことができることが示唆されている(非特許文献2参照)。
特許文献1は、一日に約1〜100ミリグラム(mg)、好ましくは約2〜10mgのアスタキサンチンを投与することで日光皮膚炎を減少又は防止できることを示している。アスタキサンチンは、組成物の形態で経口投与、局所性投与、又は注射投与できる。
アスタキサンチン源としては、南極海オキアミ等の甲殻類、ファフィアロドジマ酵母(yeast Phaffia rhodozyma)の培養物、ヘマトコッカスプルビアリス緑藻(green alga Haematococcus pluvialis)の培養物、及び有機合成による生成物が挙げられる。しかしながら、オキアミ等の甲殻類を用いると、採取及び抽出の際に、アスタキサンチンを脂質等の混入物から分離するために多大な作業量及び費用が必要となる。更に、ファフィア酵母の培養物を用いると、この酵母は堅い細胞壁を有しアスタキサンチン産出量が少ないため、アスタキサンチンの収集及び抽出に多大な費用を要する。
ヘマトコッカスプルビアリスは、全生物中でも最もアスタキサンチン産出量が多いものの一つであり(乾燥重量0.5〜2%)、この藻により合成されるアスタキサンチンは主にモノ長鎖エステルとして存在し(カロテノイド分の70%)、少量はジ長鎖エステルである(カロテノイド分の10%)。また、遊離アスタキサンチンもβ−カロチン、カンタキサンチン、及びルテインの形態で存在する(カロテノイド分の5%)(バイオアスチン/ナチュローズ(商標)・テクニカル・ブリテン(BioAstin/NatuRoseTM Technical Bulletin)、#015、シアノテック・コーポレーション(Cyanotech Corporation)、2O01参照)。しかしながら、藻の細胞壁特性からヘマトコッカスプルビアリスからの抽出は困難である。更に、ヘマトコッカスプルビアリスによるアスタキサンチンの産出には高強度の光が必要とされるため、特別な条件下で培養しなければならない。
従って、生物アスタキサンチン源を使用する方法は、しばしばコスト面から有機合成による方法より劣ると見なされる。しかしながら、有機合成では副生成物が生じ、アスタキサンチンを魚類及び甲殻類の飼料や食品添加物として使用する場合はこれが問題となる。有機合成で得られる製品は、一部消費者の天然食品志向に反する。
即ち、消費者が所望する、経済的に有利な天然アスタキサンチン源が必要とされている。汚染副生成物を含まず、生物学的に製造した、安価なアスタキサンチンを供給することが望ましい。
アスタキサンチン及び他のケトカロテノイドは、ある種の植物、特にラナンキュラス(Ranunculaceae)科及びアドニス(Adonis)属の植物にも見られる。花の中でアスタキサンチンを産出するアドニス属の種として、アドニスヴェルナリス(Adonis vernalis)、アドニスエステバリス(Adonis aestivalis)及びアドニスパレスチナ(Adonis palaestina)が挙げられる。
アドニス属植物は、その花の中でカルデノリド混合物も産出する。カルデノリドは花の中で生産されるが、高濃度のカルデノリドは魚や動物に有害であるため、前処理せずにこの花を魚や動物に与えることはできない。従って、アドニス由来のアスタキサンチン調製物中のカルデノリドを低減又は除去する必要がある。
「アドニス」は、黄色の花をつけた多年生アドニスヴェルナリス由来の、アスタキサンチン及びカルデノリドを含む乾燥植物材料、抽出物、及びチンキ剤の総称である。カルデノリドは生薬(植物性医薬)、並びに心臓不整脈や腎臓病の処置のためのホメオパシーに使用される。キツネノテブクロ由来ジギタリスは代替医療と共に従来広く利用されてきたが、カルデノリドはこのジギタリスと同様に作用する。アドニス調製物は、ジギタリスより即効性が高く非累積性であるという利点を有する。
生薬としてのアドニスは主にドイツ及びフランスで消費される一方、主にブルガリア、ハンガリー、ロシア、ルーマニア、及びウクライナで供給される。アドニスヴェルナリスは栽培されるよりも自然の荒野から採取されることが圧倒的に多く、特にロシア、ルーマニア、及びウクライナで採取される。
1998年までにロシアで持続不可能に採取されたため、アドニスヴェルナリス資源は危険なレベルまで減少している。現在ではアドニスヴェルナリスは多くの国のレッドデータブック(絶滅危惧種リスト)に記載されており、多数の国で自然原野からの採取は法的に禁止されている。
アドニス属の種を環境に適応させること、並びにアドニスヴェルナリスを大規模に栽培することは、自己受粉種子又は交配受粉種子を得るのが困難であり、発芽力が低く(12ヶ月間の貯蔵により種子の発芽力がほぼ完全に失われる)、収穫可能な花サイズに達するまで長期間(播種から最高4年)を要し、且つ収穫量が少ないため、非常に困難である。多くのアドニス種は、更に花のみを確実に採取するためには手で収穫しないといけないという問題を有する。現在、この植物を大量に機械的に栽培することはできない。
特許文献2は、一頭状花あたり平均18〜22の花弁及び平均200〜350μgのアスタキサンチン色素を含有する新規アドニスエステバリス株を開示している。またアスタキサンチンの抽出方法も開示している。この株の種子は、ブダペスト条約に従い1990年6月18日に寄託番号NCIMB40309でNational Collection of Industrial and Marine Bacteria Limited(アバディーン)に寄託されている。この寄託株から成長した植物はアドニスエステバリスL.「ローダーズレッド(Loders Red)」と称される。また、この植物は植物育種者権(Plant Breeders Rights)に従い、ファイル番号19981166(1998年8月28日)、認可番号6243(2000年6月5日)で登録されており、2025年12月31日に失効する。
このアドニスパレスチナ種は、主に鮮赤色の花弁中で、アスタキサンチン、他のヒドロキシカロテノイド、及びヒドロキシケトカロテノイドをジ長鎖脂肪酸エステルとして産出する。従来、アドニス属のこの種は、商用のアスタキサンチン源としては厳密に検討されなかった。本発明者はこのアドニス種を検討し、アスタキサンチンジエステル及び該ジエステルと他のカロテノイドの混合物を商業的に製造できるよう容易に改良できることを発見した。このように改良した植物を以下に説明する。
三沢ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、177:6575−6584(1995) 田中ら、カルシノジェネシス(Carcinogenesis)、15(1):15−19(1994);城之内ら、ニュートリション・アンド・キャンサー(Nutrition and Cancer)、19(3):269−280(1993);及び城之内ら、ニュートリション・アンド・キャンサー(Nutrition and Cancer)、16(2):93−105(1991) ローレンツ(Lorenz)の米国特許第6,433,025号明細書 モーソン(Mawson)の米国特許第5,453,565号明細書
本発明は、花から多量のアスタキサンチンを供給可能な改良アドニスパレスチナ植物、及び該アドニスパレスチナを用いてアスタキサンチン及び他のケトカロテノイドを製造する方法に関する。
標準的なアドニスパレスチナ花は約1.9cmの直径(雄しべ及び雌しべを取り囲む花弁の、アントシアニン色素を含有するいわゆる目(eye)の直径)を有し、頭状花あたり平均で8〜12の花弁を有する。花1グラムあたりのアスタキサンチン量は平均約0.21ミリグラムであり、乾燥花弁1kgあたりのアスタキサンチン含量は平均約7.9gである。乾燥花弁は約10〜15%の水を含有する。一方、本発明の企図とする植物の花は、平均花直径が約4〜8cm、平均目直径が約1.4cm、一頭状花あたりの平均花弁数が約8、乾燥花あたりの平均アスタキサンチン含量が約0.4mg以上、乾燥花弁1kgあたりの平均アスタキサンチン含量が約17.6gである。本発明の企図する花のカロテノイド抽出物は、約75〜90重量%のアスタキサンチンモノエステル、アスタキサンチンジエステル、及び遊離アスタキサンチンと共に、約5〜10重量%のルテイン、約2.5〜5重量%のアドニキサンチン、並びに約1%未満のアドニルビン、β−カロチン、3−ヒドロキシエチネノン及び4−ヒドロキシエチネノンを含有する。
即ち、花のアスタキサンチン濃度(g/kgの植物組織乾燥重量)を改善しアスタキサンチン収率(kg/ha)も向上させることができ、また含油樹脂の非ケトカロテノイド及びカルデノリドの含量を低減し、抽出コストを削減できることを発見した。また、抽出技術及び抽出工程を改善することにより、抽出コスト及びカルデノリド含量を低減することができる。
アスタキサンチンを抽出する植物は改良アドニスパレスチナ株である。本発明はまた、アドニスパレスチナの遺伝的背景、品種、及び集合体を選択し改善する方法も提供する。
他の一実施態様では、抽出方法において花弁のみの調製物を使用し、アスタキサンチン及び他のケトカロテノイドとして生じる含油樹脂カロテノイドの含量が95%の含油樹脂を製造する。更に他の一実施態様では、乾燥頭状花1kgあたりのアスタキサンチン含量が約35gであり、全カロテノイド成分中のアスタキサンチンの割合が高く、一方ではカルデノリド含量が低い。
色素の量は乾燥花弁又は葉の抽出物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することで決定し、アスタキサンチン(又は他の色素)のそれぞれの量は、未乾燥の花弁にしばしば存在するジエステルの形態で測定し、遊離アスタキサンチン(ジケトジオール)の計算値を得る。また、後述するように波長467nm、吸光係数2100の条件で測定したヘキサン溶液の吸収を用いることで、乾燥植物組織1キログラム(kg)あたりのアスタキサンチンのグラム(g)数としても色素の量を決定できる。
遊離アスタキサンチン、或いはアスタキサンチンとC−C20脂肪酸とのモノエステル又はジエステルの混合物を含有する含油樹脂も企図しており、ここで脂肪酸の鎖は様々な鎖長及び/又はエチレン性不飽和結合数を有する。本発明が企図する含油樹脂は高濃度の遊離キサントフィル及びキサントフィル脂肪酸エステルを含有する抽出物であり、その約99%、好ましくは約99.9%が抽出有機溶媒ではなく、即ち、有機溶媒の重量比は約1重量%未満、好ましくは約0.1%未満である。得られる溶媒を含有しない抽出物は、アドニス含油樹脂、より好ましくはアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂と称される。
本発明の他の実施態様では、食品又は補足飼料としての使用、或いは栄養補助食品、薬用化粧品、及び医薬での使用に適した組成物も提供する。この組成物は、アスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を希釈剤に溶解又は分散したものから調製した精製アスタキサンチン含有濃縮物を含有する。本発明で用いる希釈剤は、約40℃で固体状態にあり常温で液体又はゲル状態にある、ワックスや炭化水素等の固体であってよい。一実施態様による精製濃縮物は、固体から半固体の状態にあり、アドニス含油樹脂のアスタキサンチン混合エステルを約2〜10重量%、好ましくは約5重量%含む。好ましい一実施態様においては、濃縮物は遊離又はエステル状態の添加カロテノイドを少なくとも一種含有し、該添加カロテノイドの濃度はアドニス含油樹脂のカロテノイド濃度と異なる。即ち、ある実施態様においては添加カロテノイドは含油樹脂中に存在せず、また他の実施態様では添加カロテノイドは含油樹脂中に存在するが、その量は含油樹脂中のものよりも10%以上、好ましくは20%以上多い。添加カロテノイドの量は、含油樹脂のそれの量の数倍であってよい。
人又は他の動物(鶏や七面鳥等の家禽、マス、タイ、サケ等の魚類、エビ、ロブスター、カニ等の甲殻類等)の補助食品としての使用に適した組成物も本発明で企図される。企図する補助食品は、動物の肉や皮、及び動物(特に鶏)の卵を着色するために利用できる。
上記補助食品はアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を食用媒体に溶解又は分散したものを含み、上記の通り該含油樹脂は低いカルデノリド含量を有する。従って、補助食品は、上記含油樹脂を適切に精製すること、即ち抽出、溶解、ろ過、カルデノリド類の除去を行い、更に精製したカロテノイドを食用植物油等の適当な食用媒体に溶解又は分散することによって調製できる。
本発明の一実施形態においては、栄養的有効量のアスタキサンチンを含む希釈精製カロテノイド組成物を、経口投与に適した単位調剤の形で用い、このような調剤はパケット、錠剤、カプセル、粉末(バイアル又はアンプルに封入)等であってよい。本実施形態において、栄養的有効量のアスタキサンチンを食品又は飲料の添加物として使用してもよい。このような食品は、人の食用品、又はペットやその他の動物用の飼料であってよい。栄養的有効量とは、生理活性を十分に示す量であってよい。
本発明の他の実施形態としては、希釈剤に溶解又は分散したアスタキサンチンジエステルを含有する希釈精製アドニスパレスチナカロテノイド組成物を提供し、ここで希釈剤は例えば美容に良いもの等である。このような組成物は上記濃縮物を用いて調製できる。ある実施態様においては、この組成物は遊離又はエステル状態の添加カロテノイドを少なくとも一種含有する。本実施形態においては、光保護有効量のアスタキサンチンを、人皮への局所性投与に適したクリーム、ローション、又は軟膏に用いる。このような組成物のアスタキサンチン量は通常一日分で約1〜100mgである。
本発明は様々な利益及び利点を有する。
本発明は、補助食品用の精製濃縮物中に多量のアスタキサンチンを経済的に製造できるという利益を有する。
また、本発明は、アスタキサンチンが豊富な花弁をアスタキサンチン源として有するここで開示される改良アドニスパレスチナを用いることで、アスタキサンチンを持続的且つ効果的に商業生産できるという利点を有する。
更に、花弁が高いキサントフィル組成濃度及びアスタキサンチン濃度を有するため、アドニスパレスチナが経済的に有利なホストを提供するという利点も有する。
上記の典型的な実施形態及び実施態様に加えて、以下に説明する研究より更なる実施形態及び実施態様を明らかにする。
定義
以下の開示において多数の用語を用いる。本明細書及び特許請求の範囲を以下に述べる範囲も含めて明瞭確実に理解するために、用語を定義する。
アスタキサンチン
「アスタキサンチン」は赤色カロテノイド色素、具体的には3,3’−ジヒドロキシ−β,β−カロチン−4,4’−ジオンを意味する。アスタキサンチンは他のケトカロテノイドと共にアドニス含油樹脂中に存在してよく、他のケトカロテノイドとしてはエチネノン、3−ヒドロキシエチネノン、アドニルビン、3’−ヒドロキシエチネノン、アドニキサンチン等が挙げられるがこれらに限定されない。通常、アスタキサンチンはC−C20のモノ脂肪酸エステル又はジ脂肪酸エステルの混合物として、少量の遊離アスタキサンチン、例えば約1〜10重量%の遊離カロテノイド及びカロテノイドエステルと共に存在する。具体例となる植物脂肪酸は一分子あたり約8〜20の直鎖炭素原子及び0〜3のエチレン性不飽和結合を有する。より典型的には、アスタキサンチンエステル中の脂肪酸は、0〜3のエチレン性不飽和結合を含むC12−C18脂肪酸を各鎖に有する。このような脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ペンタデカン酸、カプリン酸等が挙げられる。
アスタキサンチン含量
「アスタキサンチン含量」は、波長467nm、吸光係数2100の条件下で測定したヘキサン溶液の吸収から得た、乾燥植物組織重量1キログラム(kg)あたりのアスタキサンチンのグラム(g)数を意味する。アスタキサンチン含量は、遊離アスタキサンチンの含量や、遊離アスタキサンチンとして報告されている様々なアスタキサンチンのエステルの含量であってよい。
カロテノイド
「カロテノイド」はある種の黄〜赤色の脂溶性色素を意味する。
カルデノリド
「カルデノリド」は有毒なグリコシル化ステロイドを意味する。
カルデノリド含量
「カルデノリド含量」は、シマリン当量として測定した乾燥植物組織重量1キログラム(kg)あたりのカルデノリドのミリグラム(mg)数を意味する。
デスグルコチェイロトキシン(Desglucocheirotoxin)
「デスグルコチェイロトキシン」はカルデノリドの一種である。
抽出
「抽出」は植物組織から一以上の化学物質を得る操作を意味する。
光保護有効量
「光保護有効量」は少なくとも他の感光性組成物と混合したときに紫外光に対する光防護性を与える量を意味する。
含油樹脂
「含油樹脂」はアドニスパレスチナ植物から抽出されたカロテノイド及び他の材料を意味する。
ペオニジン
「ペオニジン」は、通常各アドニス花弁の底部の斑点(花底部の「目(eye)」)に存在し、食品産業で着色酸性食品に用いられる、青みがかった赤色の水溶性アントシアニジンを意味する。
花弁
「花弁」は、通常有色又は白色の、花冠の分節又は部位を意味する。
ここで開示する実施態様は単なる例示であり、本発明を限定するものではないと解すべきである。
本発明は新規アドニスパレスチナ植物及びその再生可能部を提供する。この植物の花弁及び頭状花は抽出可能なアスタキサンチンを含有する。この植物の花弁及び頭状花は、標準的な(野生の)アドニスパレスチナ植物に比較して、より高いアスタキサンチン含量及び低いカルデノリド含量を有する。該花弁はヘマトコッカスプルビアリスと類似のアスタキサンチン異性体を有する。アドニスアスタキサンチンで着色した養殖のサケは、野生のサケと類似のアスタキサンチン特性を有する。農学的方法及び育種方法の組み合わせを最適化することで、単位乾燥重量あたりのアスタキサンチン含量が3.8%の、花弁のみの調製物が得られた。
上記アドニスアスタキサンチンは、合成アスタキサンチンよりも生体利用効率は低い(16〜21%以下)ものの、消費者の許容範囲と言える程度にフィレットを着色することができた。このアドニス産出材料は安定で、また冷凍すると合成アスタキサンチンよりも安定であることが分かった。該材料は給餌及び後処理の試験で概して良好な機能を示した。天然アスタキサンチンと比較して、上記アドニスアスタキサンチンは低い生体利用効率(合成遊離アスタキサンチンと比較したアドニスアスタキサンチンのエステル化特性に関連)を有するが、これは例えば飼料ペレット製造において優れたアドニス製品の安定性により相殺されうる。
具体的には、野生アドニスパレスチナよりも大きな花(直径1.5cm超)を有する、例えば下記3種の新規アドニスパレスチナ群を開発した。具体例植物PF31は平均で約5cm超の花直径及び2cm超の目直径を有する。具体例植物PF52は平均で約5cm超の花直径及び1.5cm超の目直径を有する。具体例植物PF67は平均で約5cm超の花直径及び直立の茎を有する。典型的には、この株の植物は約4〜8cmの平均花直径、一頭状花あたり約8〜12の花弁、及び一頭状花あたり約0.4〜0.6mgの平均アスタキサンチン濃度を有する。即ち、好ましい頭状花は約5〜8cm、より典型的には約5〜6cmの直径を有する。目直径は通常約1.4cmであり、しばしば約1.5cmを超える。
上記特許アドニスエステバリス「ローダースレッド」の花あたりのアスタキサンチン含量は約0.15〜0.25mgであるが、これと比較して本発明の植物の乾燥花あたりのアスタキサンチン含量は約0.4mg以上であり、以下に述べるように通常は約0.4〜0.8mgである。花一輪あたりのアスタキサンチン含量は好ましくは約0.5〜O.8mg、より好ましくは約0.6〜0.8mgである。乾燥「ローダースレッド」花1kgあたりのアスタキサンチン含量は約6〜9gであるが、本発明の乾燥花1kgあたりのアスタキサンチン濃度は約14〜20gである。20O2〜2005年の夏、アイルランドにて、本発明の植物はアドニスエステバリス「ローダースレッド」よりも早く開花し、より早く収穫できる特性を示した。
本発明の花から抽出したカロテノイド分は、約75〜90重量%のアスタキサンチンモノエステル、アスタキサンチンジエステル、及び遊離アスタキサンチンを、約5〜10重量%のルテイン、約2.5〜5重量%のアドニキサンチン、並びに約1%未満のアドニルビン、β−カロチン、3−ヒドロキシエチネノン、及び4−ヒドロキシエチネノンと共に含有する。より典型的には、約80〜85重量%のアスタキサンチンジエステル、各々約5〜7重量%の遊離アスタキサンチン及びルテイン、約2.5〜5重量%のアドニキサンチン、並びに各々約1%未満のアドニルビン、β−カロチン、3−ヒドロキシエチネノン、及び4−ヒドロキシエチネノンを含有する。
本発明のアドニスパレスチナの花弁は、実質的にカンタキサンチン(β,β−カロチン−4,4’−ジオン)を含まず、そのためこの花弁から得られた抽出物もまたカンタキサンチンを含まない。カンタキサンチンはファフィアロドジマ及びヘマトコッカスプルビアリスに存在し、またこれら生物からの抽出物にも存在する。
本発明は、アスタキサンチンを得る目的での上記植物の栽培、アスタキサンチンの抽出、並びにこのように得られたアスタキサンチン及び高アスタキサンチン含量を包含する。
イスラエルのゴラン高原産のアドニスパレスチナ親株を交配して得た種子を、単純に自己交配して特性を最適化することで好ましい品種が得られる。これは「PF POP」と称されNCIMB(National Collections of Industrial, Food and Marine Bacteria, 23 St Machar Drive, Aberdeen, Scotland, AB24 3RY, United Kingdom)に寄託された。該種子は2005年5月25日に受託され、ブダペスト条約に従い2005年8月31日に特許手続きのために認可された。米国特許法施行規則第1.14条(37CFR§1.14)及び米国特許法第122条(35USC§122)に基づき、本出願が係属している間、特許商標局長に指定された有資格者は本寄託物にアクセスできる。これら品種の一般的利用可能性は本出願の特許請求の範囲により限定されるものではない。本発明のアドニスパレスチナ植物は、本寄託種子を育成した植物を用いて製造できる。
本発明は上記植物の花粉及び胚珠を提供することも目的とする。また、本発明は上記植物の再生可能部自体を提供することも目的とし、該再生可能部は胚、分裂組織、花粉、葉、葯、根、根端、花、並びにそのプロトプラスト及びカルスの細胞から選ばれる一以上からなるものであってよい。細胞から植物を再生する方法は当業者によく知られており、特にマリーゴールド等の双子葉植物の再生は容易である。
上記寄託種子から得られる植物等、本発明の植物は、典型的には平均花直径(平均花サイズ)が約5〜7cm、花一本あたりの花弁数が約8〜12、且つ一頭状花あたりの平均アスタキサンチン含量が約0.4〜0.8mgのものである。該植物は95%エタノールで抽出可能なカルデノリド類を乾燥花重量(約10〜15%の水を含有)に対して約0.193重量%含有し、より好ましくは花弁の重量比が約0.1重量%以下の花をつける。標準的なアドニスパレスチナは、95%エタノールで抽出可能なカルデノリド類を乾燥花重量に対してシマリン当量で約0.36重量%含有する。
本発明は、本発明のアドニスパレスチナから得られ、遊離アスタキサンチン又はアスタキサンチン脂肪酸エステルを含有する含油樹脂を提供することも目的とする。当業者に広く知られているように、含油樹脂は植物組織の固体抽出物であり、遊離アスタキサンチンやアスタキサンチンエステル等の植物色素を含み、他のキサントフィルエステル、遊離キサントフィル、他のカロテノイド色素等の植物片や色素を少量含むこともあり、更にヘキサンやアセトン等の抽出溶媒も少量含むことがある。
具体例としては、大気中沸点が約110℃以下の有機溶媒(ヘキサン、アセトン、酢酸エチル等)を用いて、乾燥アドニスパレスチナ花から、アスタキサンチンエステル、並びに他の遊離状態又はエステル状態のキサントフィル類やカロチン類を抽出することで含油樹脂が得られる。抽出溶媒は水と混和しないことが好ましく、該溶媒の好ましい例としては、ヘキサン、2,3−又は2,4−ジメチルペンタン、2−又は3−メチルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、1−、2−、又は3−ヘキセン、1−、2−、又は3−ヘプテン、これらのシス異性体及びトランス異性体等の炭化水素が挙げられる。炭化水素抽出溶媒を使用することでカルデノリド類の抽出量を低減可能である。公知の有機溶媒による植物材料の抽出手順に従って抽出を行う。大気中周辺室温で気体状態にある抽出媒で抽出してもよい。このような抽出方法の一例が米国特許第5,512,285号に示されており、液体状のテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(沸点−26℃)を抽出溶媒として開示している。超臨界二酸化炭素(CO)は抽出剤として広く知られており、後述するように本発明でも有用である。
溶媒を除去して得られる抽出物は、高濃度のアスタキサンチンエステル類を遊離キサントフィル及びキサントフィルエステルと共に含有し、その約99%、好ましくは約99.9%が抽出有機溶媒ではなく、即ち有機溶媒の重量比は約1重量%未満、好ましくは約0.1%未満である。得られる溶媒フリー抽出物を、アドニス含油樹脂、より好ましくはアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂と称する。この含油樹脂中のカロテノイド類の種類及び量は、本発明の花弁中のそれらと実質的に同じである。アスタキサンチン含有アドニス含油樹脂中のカルデノリド類の量は、花弁中のカルデノリド量よりも実質的に少なく、含油樹脂全体の約0.01重量%未満である。
本発明は、アスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を希釈剤に溶解又は分散してなる、精製アスタキサンチンを含み、カンタキサンチンを含まないカロテノイド組成物を提供することも目的とする。本発明で用いる希釈剤は、約40℃で固体状で且つ常温で液体状又はゲル状のもの(ワックス、炭化水素等)であってもよい。具体的には、該液体及びゲルは、天然油、シリコーン油等の合成油や、化粧品分野で広く用いられる化粧品基剤、水中油型又は油中水型乳剤等であってよい。
本発明の一実施態様による精製濃縮物は、アドニス含油樹脂のアスタキサンチン混合エステルを約2〜10重量%、好ましくは約5重量%含有する固体又は半固体である。ある好ましい実施態様においては、濃縮物は、遊離状態又はエステル状態の添加カロテノイドを少なくとも一種、アドニス含油樹脂とは異なる濃度で含有する。即ち、濃縮物は含油樹脂が含有しないカロテノイドを含んでよく、或いは他の実施態様においては含油樹脂が含有するカロテノイドを、含油樹脂よりも10%以上、好ましくは20%以上多く含んでもよい。濃縮物中の添加カロテノイドの量は、含油樹脂中のそれの数倍であってよい。
本発明の補助食品はアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を食用希釈媒体に溶解又は分散してなり、小量のカルデノリドを含む。即ち、この補助食品は、上記含油樹脂を溶解、ろ過、カルデノリド除去して適切に精製し、精製カロテノイドを食用植物油等の適当な食用希釈媒体に溶解又は分散して調製できる。本発明の補助食品は低カルデノリド含量(約0.01重量%未満)のアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂(濃縮物)から調製する。
上述の通り、食用希釈媒体に溶解又は分散した栄養的有効量のアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を含むカロテノイド組成物を、経口投与に適した単位調剤の形で用いてよく、このような調剤はパケット、錠剤、カプセル、粉末(バイアル又はアンプルに封入)等であってよい。栄養的有効量とは生理活性発現に十分な量で、通常約4〜500mgである。
本発明の他の実施形態としては、希釈剤に溶解又は分散したアスタキサンチン含有アドニス含油樹脂を含有する希釈精製アドニスパレスチナカロテノイド組成物を提供し、ここで希釈剤は例えば美容によいもの等である。このような組成物は上記濃縮物を用いて調製できる。ある実施態様においては、この組成物は遊離又はエステル状態の添加カロテノイドを少なくとも一種含有する。該組成物は光保護有効量のアスタキサンチンを含有してよく、人皮への局所性投与に適したクリーム、ローション、又は軟膏に用いてよい。このような組成物のアスタキサンチン量は通常一日分で約1〜100mg、好ましくは約2〜10mgである。
ある実施態様においては、上記食用希釈媒体は食用トリグリセリド油である。この補助食品混合物の4−ケト−β−イオネン環含有カロテノイド(例えば遊離アスタキサンチン、アスタキサンチンエステル、又はその両方)の含量は通常約0.2〜40重量%、より好ましくは約2〜20重量%である。食用油の例としては、カンデリラ油、ヤシ油、肝油、綿実油、ニシン油、オリーブ油、パーム油、トウモロコシ油、大豆油、ピーナッツ油、ケシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油等が挙げられる。このような油は比較的高い不飽和脂肪酸濃度を有するのが好ましく、即ちそのヨウ素価は約100〜150であるのが好ましい。通常、公知の高せん断混合装置を用いて混合する。米国特許第5,382,714号に記載のように、エタノールやα−トコフェロール等の共溶媒や添加物を加えてもよい。
アスタキサンチン含有組成物は従来ビーズと称される小さな球状ペレットの形態で用いてもよく、該ビーズはアドニス含油樹脂と同様に遊離アスタキサンチン、アスタキサンチンエステル、及び一種以上のカロテノイドを約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜4%含有する。このビーズは、米国特許第5,270,063号に開示されているように簡易食シリアル等の人用食品に適量混入してもよく、或いは米国特許第5,849,345号、同5,695,794号、同5,605,699号、及び同5,043,170号に開示されている飼料添加物用のビーズや他の粒子のように鶏や他の動物の飼料に混入してもよい。
例えば、ビーズは水不溶性であってよく、米国特許第4,670,247号に開示されているようにアスタキサンチン含有組成物を架橋ゼラチンやアルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム等)でカプセル化することで調製できる。本発明では、カロテノイド、水、ゼラチン、及び糖を含有する乳剤を調整することで、所望のカロテノイドを含む水不溶性ビーズが得られる。即ち、乳剤を液滴化し、この液滴をそれぞれ過剰量のデンプン粉末中に回収し、液滴粒子形状が不変となるまで粒子が互いに接触しないよう保つ。このアスタキサンチン含有粒子を過剰量の回収用デンプン粉末から分離し、約90〜180℃で熱処理する。熱処理によって糖のカルボニル基とゼラチン分子の遊離アミノ基が反応し、ビーズのゼラチンマトリクスが不溶性になる。得られるビーズは水不溶性であり、飼料ペレット作製の際の応力に対して高い安定性を示す。この架橋工程ではビーズの構成成分を用い、架橋剤や添加物を組成物に加える必要はない。
米国特許第5,695,794号は、動物飼料の添加物に適した他の形態のビーズを開示している。即ち、所望量のアスタキサンチン及び水素化植物油(水素化した綿実油、麦芽油、ベニバナ油、大豆油等)を含み、任意に酸化防止剤を含む溶融液を噴霧することによって直径約30〜55ミクロンのビーズを調製する。酸化防止剤としてはクエン酸や2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、並びにモノ−又はジ−グリセリド(水素化大豆、綿実等のモノ−又はジ−グリセリドから調製したもの等)が挙げられる。更に、公知のエトキシキン、ビタミンE等も酸化防止剤として使用できる。ニロ社(Niro, Inc.、メリーランド州コロンビア)等から市販の噴霧冷却器からのサイクロン状空気流中に、約160°F(約70℃)の温度で溶融混合物を噴霧し、冷却固化ビーズを得る。冷却されたビーズに公知の固結防止剤(ヒュームドシリカ、リン酸カルシウム、デンプン粉末、セルロース等)をかけ、飼料に添加する補助食品として好適なビーズを形成する。ビーズ1グラムあたりのアスタキサンチン量は通常約10〜100mg、好ましくは約10〜50mgである。
アスタキサンチン含有カロテノイド組成物を添加した動物飼料は当業界で広く知られている。上記米国特許第5,849,345号、同5,695,794号、同5,605,699号、及び同5,043,170号は、特に家禽に適した食品の例を示している。米国特許第5,935,624号及び同2,918,370号は家禽飼料の他の例を示している。
米国特許第5,258,189号は人用簡易食シリアルにベータカロチンを添加する技術を示しており、該特許では植物油に分散した調理シリアル又は乾燥状態の調理シリアルにベータカロチンを混合する。これに類似の食品中に、ベータカロチンに替えてアスタキサンチンカロテノイド組成物を所望の濃度で使用することができる。
食用媒体に溶解又は分散したアスタキサンチン組成物は補助食品としての利用にも適している。このような用途の組成物は、アドニス含油樹脂のエステルよりも遊離アルコール(又はケト)化合物のアスタキサンチン含有キサントフィルを含む。
含油樹脂をけん化し遊離キサントフィルを得る方法は広く知られている(例えばTcyczkowskiら、ポウルトリ・サイエンス(Poultry Sci.)、70(3):651−654、1991;米国特許第5,382,714号(有機溶媒添加によるけん化マリーゴールド含油樹脂由来ルテインの結晶化)参照)。
更に、Ausichらの米国特許第5,648,564号は、プロピレングリコール及びアルカリ水溶液(好ましくは水酸化カリウム水溶液)を含有する組成物に含油樹脂を混合し、含油樹脂及びプロピレングリコールの含量が計75重量%以上である反応混合物を調製して、ルテイン結晶を製造する方法を示している。このように得られる反応混合物を約65〜80℃の温度で一定時間(通常3時間以上)保持することによって、キサントフィルエステルを十分にけん化し、結晶状態の遊離キサントフィルを含有するけん化反応混合物を得る。このけん化抽出物を希釈量の水と混合し、水溶性不純物を溶解し、且つ反応混合物の粘度を低下させる。希釈した混合物を均一になるまで穏やかに混合し、ろ過してキサントフィル結晶を回収する。回収したキサントフィル結晶を温水で洗浄し、乾燥する。キサントフィルエステル含有含油樹脂からキサントフィルを分離及び精製する際に、プロピレングリコール以外の有機溶媒は使用しない。通常、このように得た乾燥キサントフィル結晶を他で述べるトリグリセリド等の食用媒体に混合する。この混合物のキサントフィル含量は通常約0.1〜35重量%、好ましくは約1〜10重量%である。
アスタキサンチンエステルをけん化し遊離キサントフィルを得る方法は広く知られている。例えば、鎌田(Kamata)ら、コンペンディウム・オブ・バイオケミカル・フィジオロジー(Comp. Biochem. Physiol.)、86B(3):587−591、1987、及びユアン(Yuan)ら、ジャーナル・オブ・アグリカルチャー・アンド・フード・ケミストリー(J. Agric. Food Chem.)、47:31−35、1999には窒素雰囲気下でのアスタキサンチンエステルのけん化が記載されている。
脂肪酸を分析する目的で、鎌田(Kamata)らは、アドニスエステバリス由来精製アスタキサンチンジエステルを窒素雰囲気下、100℃で40分間加熱し、0.1NのKOHメタノール溶液を用いてけん化した。けん化した後、0.5NのHClを添加して試料を酸性にし、アスタセン(アスタキサンチンの構造転換体)を石油エーテルで抽出した。
ユアン(Yuan)らは、ヘマトコッカスプルビアリスの色素抽出物中のアスタキサンチンエステルを、アスタキサンチンの有意な劣化又は構造変化が起こらないよう加水分解するけん化方法を確立した。窒素雰囲気下、暗中で0.018MのNaOHメタノール溶液を用いて、異なる濃度(10〜100mg/l)の色素抽出物のアスタキサンチンエステルを6時間で完全に加水分解できた。より高濃度のNaOHメタノール溶液を用いると、加水分解の反応速度が増加したが、一方でアスタキサンチンの劣化が著しかった。
他の実施態様においては、本発明の植物の花を95%エタノール等の親水性溶媒で抽出してカルデノリドを除去し、乾燥して、そのまま又は粉砕して動物に与えられる花弁を得る。このように調製した抽出物は医療用カルデノリド源として使用できる。
更に詳述しなくとも、当業者は上記記載に基づいて本発明を十分に利用できると考えられる。従って、下記の好ましい実施態様は単なる例示にすぎず、いかなる場合においても本発明を限定するものではない。
本発明を更に詳細に説明するために下記実施例を記載するが、それらは添付の特許請求の範囲に記載の要件を更に限定するものではない。
実施例1:低カルデノリド含量及び高アスタキサンチン含量の含油樹脂の製造方法
アスタキサンチン含油樹脂の品質改善、即ちアスタキサンチン含量の増加、非アスタキサンチンカロテノイド含量の低減、及びカルデノリド含量の低減が可能なアスタキサンチンの製造方法を開発するために研究を行った。
ヨーロッパ及びニュージーランド周辺での農地試験において、アドニスエステバリス「ローダースレッド」の花を人手により収穫して、1ヘクタールあたり5kgを超えるアスタキサンチンを得た。乾燥花1kgあたりのアスタキサンチン量は10〜20gであった。花の機械的収穫(改良草刈機を使用)及び花弁のみの調製物の調製(空気分離及びデビーダ(de-bearder)を使用)も行った。この花弁調製物(人手で採取した花からも機械的に採取した花からも調製可能)において、アドニスエステバリス「ローダースレッド」の乾燥組織1kgあたりのアスタキサンチン含量が9.3gから23.0gに増加しており、また1kgのアドニスパレスチナ株PF52あたりのアスタキサンチン含量が16.3gから38.7gに増加していた。このようなアスタキサンチン含量は、他のどの天然アスタキサンチン源(ヘマトコッカスは約1.5g/kg、ファフィアは約0.5g/kg)よりも高い。
更に、緑色組織が無いため、抽出に要する溶媒の容積が低減され、抽出物の非アスタキサンチンカロテノイド類(ベータカロチン等の)の総含量も低減された。アドニスエステバリス「ローダースレッド」又はアドニスパレスチナPF52の花全体から抽出した含油樹脂は、約8.9〜13.6%の非アスタキサンチンカロテノイド類を含有していた。手収穫した花の調製物全体のHPLC分析を行った結果、非アスタキサンチンカロテノイド類(主にルテイン)の含量は最大で1.3%であり、クロロフィル含量が84%低下していた。
花又は花弁を粉砕し、ヘキサンを加え、ヘキサンに可溶なカロテノイド類を抽出するのに十分な時間(例えば約1時間)撹拌し、吸引ろ過及びヘキサン除去を行うことで、アスタキサンチンリッチな含油樹脂を製造できる。米国特許第5,453,565号ではヘキサン及びエタノールを用いているが、この場合と比較して、ヘキサンのみを使用すると乾燥色素混合物中の総カルデノリド含量が82%低下する。更に、抽出時間及び抽出条件を最適化して、アスタキサンチン(ヘキサンに可溶)を最大限に分離し、且つカルデノリド(グリコシル化していないシマリンを除き概ねヘキサンに不溶)の分離を最小限に抑えると、97%低下する。得られた乾燥色素混合物は有機溶媒又は油(魚油又は植物油等)に溶解する。この低カルデノリド含量のアスタキサンチン調製物は魚類養殖サイクルに利用でき、死亡率を増加させることがない。
実施例2:アドニスパレスチナの遺伝的改良
大きく開花したアドニスパレスチナの種子をイスラエルのゴラン高原で採取した。この種子を植えたところ、より大きな花が交配して得られ、新たな種子が回収できた。この新たな種子を植え、鮮やかな赤色を保持しサイズが大きな花を選択した。選択した各植物群がつけた花の直径は、最大で標準的アドニスパレスチナ花(下記表1)の3倍であった。また、それらの花は、花弁の長さ、幅、数、及びアスタキサンチン含量、並びにペオニジン(通常花の暗色中心部(目)に存在するアントシアニン)の含量が有利に多様であった。
Figure 0005121702
本発明の大花アドニスパレスチナの幾つかの特性について、最小値、最大値、及び平均値を下記表2に示す。
Figure 0005121702
花弁数を増やし、且つ大花植物となる芽を出す割合を改善するために、選択したアドニスパレスチナ植物を標準的アドニスエステバリスと交配した。選択した植物は繁殖力に乏しく、更に種子を得ることはできなかった。
実施例3:アドニスパレスチナ由来新規生成物
多年生アドニス種(高活性)及び一年生アドニス種(低活性)は生理活性が異なり、カルデノリド含量の定量的及び定性的な相違に由来する。乾燥アドニスヴェルナリス組織の総カルデノリド含量は平均で約0.5%(重量/重量)であり、対照的に一年生種のアドニスパレスチナは0.08%、アドニスエステバリスは0.1%、アドニスアレピカ(Adonis aleppica)は0.2%である。アドニスヴェルナリスは約30種のカルデノリド類を含有し、アドニスエステバリスは8種、アドニスパレスチナは9種、アドニスアレピカは10種である。アドニスヴェルナリスが含有するカルデノリド類のうち一年生種には見られない主要カルデノリドは、アドニトキシン(主要アドニスヴェルナリスカルデノリド、総カルデノリド含量の15〜20%)、デスグルコチェイロトキシン等である。
手作業で又は機械的にアドニスパレスチナ花を採取した後、控えめに見ても2トン/ヘクタールの植物乾物が茎や葉の形態で農地に残る。この量のバイオマスは約0.08%のカルデノリド類を含むと見られ、通常はアドニスヴェルナリスを開花時期に採取することでカルデノリド収量を最大化する。収穫は標準的なモウアー型(mower type)の草刈機を用いて機械的に行うことも、鎌(シクル(sickle)やサイス(scythe))を用いて手作業により行うこともできる。未乾燥の組織は、品質劣化を防ぐために平床式ドライヤー等で早急に乾燥すべきである。乾燥した材料はこの形態で販売することもできるし、小サイズに切断したり機械的粉砕やフライス加工により粉末化してもよく、また抽出加工により植物流体抽出物、含油樹脂、又はチンキ剤としてもよい。
ヘキサン中で乾燥花の抽出を行いアスタキサンチンを分離し、乾燥してヘキサン残渣を除去した後、花の粉末をエタノール抽出して、元のカルデノリド含量の約98%を含むチンキ剤を得る(残りはヘキサン中に抽出)。この手順により、乾燥及びエタノール抽出を除き更なる採取コスト、乾燥コスト、及び加工コストを要さずに、乾燥緑材料(茎及び葉)の抽出により得られる(上記概算)カルデノリド類による色みの、約25%が得られる。
低カルデノリド種からヘキサン抽出した後、アドニス花をエタノール抽出することによって、ペオニジンを除去及び単離することができる。
サケの有機養殖に用いるために、低カルデノリドアドニスパレスチナから有機アスタキサンチンを粉末化花弁又はエタノール抽出含油樹脂の形態で製造することができる。
実施例4:アドニス含油樹脂のカロテノイド成分及び脂肪酸成分
好ましいアドニスパレスチナから調製した含油樹脂を、存在するカロテノイド類及びカロテノイド脂肪酸エステルの特性について分析した。分析結果を下記表3及び表4に示す。
Figure 0005121702
Figure 0005121702
実施例5:アドニス含油樹脂を与えた魚類中でのアスタキサンチンの安定性
飼育試験においてニジマスに合成アスタキサンチン又はアドニス由来アスタキサンチンを与え、試験開始から63日後に捕獲し、そのアスタキサンチン含量を、冷凍(2ヶ月)及び薫煙する前後に分光光度法(ミノルタの彩度計を利用)及び化学的手法(身の抽出物から脂質除去した後、HPLC分析)で調べた。なお、処理前の魚の着色度が同程度となるように飼料の初期アスタキサンチン含量を調製した。魚の体長方向で着色度が変化するため、各魚の3つの箇所(頭部、中央部、及び尾部)を測定に用いた。結果を表5に示す。
Figure 0005121702
異なる形態で身の着色を行った上記結果から明らかなように、アドニス含油樹脂を用いた方がより安定した着色が可能であり、特に冷凍処理する場合は、アドニス含油樹脂を与えた魚のフィレットではカルデノリド含量が9%低下したのに対し、合成含油樹脂を与えた魚のフィレットでは26%も低下した(表5参照)。この原因は検討中である。二種のアスタキサンチン源のうちどちらを与えても魚のアスタキサンチン異性化特性は同様であるが、沈着の位置が異なり、凍結融解に対する耐性が異なる可能性がある。
実施例6:アドニス含油樹脂を与えた魚のカルデノリド含量
乾燥花組織は0.28%(w/w)のカルデノリド類を含有していた。花組織中に検出された6種の主要カルデノリド類を分析したところ、それらは全てストロファンチジン誘導体であることが明らかとなった。該ストロファンチジン誘導体は、ストロファンチジン(アグリコン)、並びにグリコシド類のシマリン、K−ストロファンチン、K−ストロファントシド、コンバロトキシン(convallotoxin)、及び未だ同定されていないグリコシドである。アスタキサンチンのヘキサン抽出(通常の産業的カロテノイド分離方法)ではカルデノリド類を共抽出することはできず、その結果、対応する含油樹脂の含量は乾燥花の0.0016%であった。
分析したところ、より親水性が高いグリコシドが抽出されず、ストロファンチジンの比率が含油樹脂の総カルデノリド含量の3.8%(乾燥花のエタノール抽出物)から93.6%に増加した結果、上記値が得られることが分かった。ここで用いた濃度(80ppmアスタキサンチン)では、含油樹脂はニジマスの死亡率又は成長率に悪影響を与えず、一方、最大でその20倍の濃度でも塩水エビの死亡率に有意な影響は見られなかった。
上記飼育試験でアドニス由来アスタキサンチンを与えた魚のカルデノリド含量について分析した。本発明の発見を更に他の商業的魚種に適用するために、日本で飼育試験に用いたタイのフィレットもカルデノリド分析に供した。
ストロファンチジンは高脂溶性であるため、皮及び腸だけでなく、身(頭部、フィレット中央部、及び尾部)のカルデノリド含量も測定した。魚のカルデノリド類を測定するために、試料から脂質を除去し、分析感度を最大化する方法を開発した。分析の結果、アドニス含油樹脂を与えたマスの身からは最小レベルの濃度のカルデノリド類が検出され、皮からはやや高濃度に検出された(表6参照)。
Figure 0005121702
これらの結果はアドニスカルデノリド類が心臓不整脈の治療に利用できるという知見を反映している。即ち、アドニスカルデノリド類は殆ど又は全く蓄積しておらず、ニジマスの200g切片は生薬としての推奨安全量の8%未満しかカルデノリドを含有しないため、魚に与えたアスタキサンチン中の微量のカルデノリドが消費者に健康被害をもたらすことはないことが示唆された。
実施例7:含油樹脂のカルデノリド含量の遺伝的低下
選別によるアドニスパレスチナのカルデノリド含量の遺伝的低下を調査した。改良Kedde試薬(3,5−ジニトロ安息香酸水溶液/水酸化カリウムメタノール溶液)を用いる方法で定量的に、且つ高分解能高性能HPTLC法で定性的に、計235のアドニスパレスチナ植物のカルデノリド含量を記録した。アドニスパレスチナ個体群を分析した結果、花のカルデノリド含量は0.034〜0.464%(w/w)という広い範囲で異なり、平均で0.265%であることが分かった。これら植物の自己受粉を行い、得られた産物個体群のカルデノリド分析を行ったところ、カルデノリド含量についての狭義の遺伝率は0.76であり、即ち、変異の76%が遺伝的で、それは選別により改良できた。上記産物のうち最も好ましい5%においては、乾燥花弁のカルデノリド含量は平均で0.042%にすぎず、これは交配親(15%)より少ない。これら選択した個体群を更に選別し、値を更に低下させる。
花弁を高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)分析の結果、花組織に見られた6種のカルデノリド類のうち一種以上が欠如しているものが計13あった。カルデノリド類の欠如パターンが異なるもの同士を交配した。例えばAを含まないものとDを含まないものを交配すると、A及びDのどちらも含まない組み換え体が得られる。78の非可逆交配のうち73の種子を得て、その産物のHPTLC特性及び総カルデノリド含量を調べた。
カルデノリド含量を低下させる多面発現効果について更なる研究を行った。様々なカルデノリド含量を有する下位個体群を分析したところ、カルデノリド含量と花サイズ(rP>0.05)、高さ(r=−0.17、P>0.05)、花の数(r=−0.05:P>0.05)又はアスタキサンチン含量(r=0.21:P.0.05)との有意な関連は認められなかった。これらのデータは、カルデノリド含量の遺伝的低下により高アスタキサンチン量のアドニスの育種が妨げられるものではないことを示している。一方、カルデノリド類はおそらく草食動物に対する防御物質で、場合によっては病原体に対する防御物質であり、それを除去すると防御力が低下すると考えられる。
この仮説について調べるために、単食性/スペシャリスト病原体(Phoma adonidis)及び多食性/ジェネラリスト病原体(Sclerotinia sclerotiorum)、並びに多食性草食動物(Deroceras reticulatum)の挙動に対するカルデノリド含量の影響を、(a)精製カルデノリド類及び(b)カルデノリド含量が異なるアドニス植物を用いて試験した。2種の異なるカルデノリド(シマリン及びストロファンチジン)の、病原体応答への量的効果を評価したところ、どちらもSclerotiniaの成長を阻害し、P. adonidisの成長は阻害しなかった。後者は野外栽培アドニスの最も重要な病原体であるため、このデータはカルデノリド含量の低減による病気への影響は僅かであることを示唆している。Derocerasについての研究では、カルデノリド含量と動物の機能又は死亡率との関連は認められなかった。実際、動物は土台部分を除いて花弁組織のほとんどを食したことが観察されたが、土台部分には他の色素のアントシアニジンやペオニジン(paeonidin)が蓄積しており、カルデノリド類よりもこの色素が多食性動物に対する主要な防御力であることが示された。低カルデノリドアドニスの育種において作物保護に対する影響はごく僅かであることが再び示唆された。
実施例8:超臨界CO抽出による含油樹脂中カルデノリド量の減少
溶媒(通常ヘキサン)を用いて天然源からカロテノイド類を抽出する方法は産業的に一般的であり高効率であるが、溶媒を用いると、溶媒残渣の除去に高温(損害やアーチファクトを生じる)を要したり、含油樹脂中に微量の溶媒が残るなどの問題が生じる。また、有機海産物市場では天然アスタキサンチン源が求められ、溶媒で抽出した含油樹脂は受け入れられない。超臨界CO抽出は低い温度で可能であり、また抽出条件を調整することによりアスタキサンチン調製物を最大限に精製できる。この方法は実験室レベルのパイロット規模の試験で、カルデノリド分を除去し、含油樹脂の脂質含量を低下させアスタキサンチン含量を増加させるために使用される。
温度(35〜65℃)、CO流量(2〜10kg/時間)、作業圧力(200〜400kg/cm)、及び抽出時間(1〜3時間)を変えて因子研究を行った。4kg/時間の流量で、45℃で2時間抽出を行った際に、含油樹脂のアスタキサンチン濃度は最大となった。ヘキサン抽出の場合はアスタキサンチン含量は10.6%であったのに対し、このときのアスタキサンチン含量は16.7%であった。ヘキサン抽出でのアスタキサンチン回収率は84%で、これに比べて本実施例でのアスタキサンチン回収率は65〜76%と低かったものの、脂質の抽出量が低下したためアスタキサンチン含量が向上した。
作業圧力を変えて更なる最適化を行ったところ、300kg/cmの条件下で含油樹脂のカルデノリド含量が0.061ppm(溶媒)から0.0011ppmに低下した。大スケール抽出系は研究室レベルの系よりも効率的であることが多く、この方法をスケールアップすることで更なる改善が見られると考えられる。
実施例9:ジベレリン酸及び発芽
アドニスパレスチナ個体群の種子の生存力及び発芽について評価したところ、生存力は十分であったが(約30〜70%)、発芽力は非常に低かった。播種前に5000ppmのジベレリン酸に種子を24時間以上予浸することによって、発芽力は64.7%まで増加した(表7参照)。
Figure 0005121702
エタノール中にGAを用いたインキュベーションを室温で24時間行うと、発芽力が更に改善された。処理した種子の表面を乾燥した後、4週間貯蔵しても発芽力の有意な低下は認められなかった。
実施例10:アドニスパレスチナへの除草効果
発芽前除草剤を用いた試験を行ったところ、メトリブジン(4−アミノ−6−tert−ブチル−4,5−ジヒドロ−3−メチルチオ−1,2,4−トリアジン−5−オン)がアドニスに安全に使用できる唯一の広範囲除草剤であることが分かった。メトリブジンとアージラン(登録商標Asulox、メチル(4−アミノフェニル)スルホニルアミノホルメート)を比較すると、アージランはアドニスに効かず、雑草防除の効果も大きくないことが分かった(表8参照)。
Figure 0005121702
メトリブジンによるアドニス死亡率に対する砂量及び土壌pHの効果について、容器試験を行った。砂量が増加すると死亡率が増加し、pHについてはそうではないことが明らかであった。メトリブジン濃度を500g/haから250g/haに低減すると雑草防除能は十分であるが植物の死亡率が低下し、メトリブジン濃度が125g/haの場合は雑草防除が不十分となる。更に、高pHでは、有機リン酸エステルイサゾホス(O−(5−クロロ−1−(1−メチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−O,O−ジエチルホスホロチオエート)とメトリブジンとの間で負の相互作用が起こり、その結果、死亡率は比較的低かった(表9参照)。
Figure 0005121702
事例証拠により、苗が豪雨や日照り等のストレスに晒されたとき、特に高pH下で、メトリブジンが小麦や大豆の植物死亡率を増加させることが示唆されている。Carrigtwohill, Co Cork(アイルランド)にて実地試験を行い、この地のpH値は6.8ではあったが、上記仮説について調査した。メトリブジン処理した土壌で得られる苗に、子葉の段階で、特異的除草剤(イネ科除草剤(RS)−7−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルチオ)−3−メチル−2−ベンゾフラン−1(3H)−オン)を噴霧した。通常の時間(3本葉の段階)で噴霧すると、この作業により芽を「チェック」できる(即ちある程度の致命的ではないストレスを生じる)と考えられる。500g/haのメトリブジンを用いると、30%の幼植物が枯れた。発芽の8日後に250g/haのメトリブジンを使用することによって、或いは500g/haのメトリブジンを使用した後に尿素を葉面散布することによって(窒素が植物の耐性を高める)、効果を改善できた(表10参照)。少量のメトリブジンを用いると雑草が増えるが、これはメトリブジン(250g/ha)を播種前と播種後の二度用いることによって、幼植物の死滅の増加を招かずに低減可能である。
Figure 0005121702
本発明で引用した特許、出願明細書、及び文献は参照により開示に含まれる。「a」及び「an」は「一以上」を意味する。
上記の詳細な説明及び実施例は単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく更なる変更をなしてよく、当業者はそれらに容易に想達するであろう。

Claims (7)

  1. 4〜8cmの頭状花直径を有し、一頭状花(flower head)あたりのアスタキサンチン含量0.4〜0.8mgを有するアドニスパレスチナ(Adonis palaestina)を栽培し、その花弁からアスタキサンチンを抽出することを特徴とするアスタキサンチン色素の製造方法。
  2. 前記アスタキサンチン含量が一頭状花あたり0.5〜0.8mgであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 前記アスタキサンチン含量が一頭状花あたり0.6〜0.8mgであることを特徴とする特許請求の範囲第2項に記載の方法。
  4. 前記アドニスパレスチナを栽培し、その頭状花又は花弁を採取し、前記頭状花又は花弁から前記アスタキサンチンを抽出することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  5. ヘキサンを用いて前記アスタキサンチンを抽出することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  6. 超臨界二酸化炭素を用いて前記アスタキサンチンを抽出することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  7. 前記頭状花直径が5〜6cmであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
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