JP5120229B2 - 伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸 - Google Patents

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Description

本発明は伸縮軸、特に、回転トルクを伝達可能で軸方向に相対摺動可能な伸縮軸、例えば、中間シャフトやステアリングシャフト等の伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸に関する。
ステアリング装置には、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に相対摺動可能に連結されたスプライン軸等の伸縮軸が、中間シャフトやステアリングシャフト等に組み込まれている。すなわち、中間シャフトは、ステアリングギヤのラック軸に噛合うピニオンシャフトに、自在継手を締結する際に、一旦縮めてからピニオンシャフトに嵌合させて締結するためや、車体フレームとの間の相対変位を吸収するために、伸縮機能が必要である。
また、ステアリングシャフトは、ステアリングホイールの操舵力を車輪に伝達すると共に、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの位置を軸方向に調整する必要があるため、伸縮機能が要求される。
近年、燃費向上を目的として、電動モータを駆動して所要の操舵補助力をステアリングギヤに付与する電動パワーステアリング装置が望まれている。このような電動パワーステアリング装置では、中間シャフトよりもステアリングホイール側で操舵補助力を付与するタイプが増大している。
中間シャフトよりもステアリングホイール側で操舵補助力を付与するタイプの電動パワーステアリング装置では、従来の中間シャフトよりも車輪側で操舵補助力を付与する油圧パワーステアリング装置よりも、中間シャフトに負荷されるトルクが大きくなる。その結果、中間シャフト等の伸縮軸が軸方向に伸縮する時の摺動抵抗が大きくなり、伸縮軸が軸方向に動きにくくなるという問題が生じる。
伸縮軸の摺動抵抗を小さくするために、雄シャフトの外周または雌シャフトの内周に、摺動抵抗の小さな樹脂等を被覆した伸縮軸がある。特許文献1の伸縮軸は、被覆部として、フッ素樹脂の一種のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を使用している。PTFEは摺動特性が非常に良好であるが、材料費が高いため、被覆部を全てPTFEにすると、製造コストが上昇するという問題がある。
また、PTFEは、融点が327℃であって、樹脂の中では比較的融点が高い。従って、PTFEを加熱溶解して雄シャフトまたは雌シャフトに被覆すると、焼き入れした雄シャフトまたは雌シャフトの低温焼き戻し脆性、または、青色脆性が発生する危険領域の温度になり、好ましくない。
特許文献2は伸縮軸ではないが、すべり軸受ブッシュに摺動抵抗の小さな樹脂を使用したものである。すなわち、ラックピニオン式ステアリング装置では、ラックの背面側を支持してラックの曲がりを防止するサポートヨークが設けられているが、このサポートヨークは、すべり軸受ブッシュによって摺動可能に軸支されている。
このすべり軸受ブッシュは、主成分として、比較的安価なPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂に、強化材としてグラスファイバーを30重量%と、潤滑充填材としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を10重量%添加している。グラスファイバーは熱膨張率を小さくする効果があり、PTFEは摺動特性を良好にする効果がある。
特許文献2のすべり軸受ブッシュは、PBTの融点が200〜230℃であり、PTFEの融点が327℃であって、上記した理由から、PTFEが溶解する温度まで加熱して成形することができない。
従って、摺動する表面に分散しているPTFEの粒子を、溶解したPBTが覆ってしまい、摺動する表面にPTFEが露出しにくいため、高価なPTFEの添加割合に応じた摺動特性の改善効果を得るのが難しい。また、すべり軸受ブッシュの成形条件によって、PTFEの表面への露出割合が変化するため、摺動特性が安定したすべり軸受ブッシュを製造するのが困難である。
特開2003−54421号公報 特開平10−217985号公報
本発明は、摺動抵抗を減少させる被覆部を有する伸縮軸であって、摺動抵抗を所定の小さな値に収めるのが容易で、製造コストを抑制することが可能な伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸を提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、非円形の外周形状を有する雄シャフト、上記雄シャフトの外周に軸方向に相対摺動可能にかつ回転トルクを伝達可能に外嵌する非円形の内周形状を有する雌シャフト、上記雄シャフトの非円形の外周と雌シャフトの非円形の内周の少なくともいずれか一方に被覆され、雄シャフトと雌シャフトとの間の摺動抵抗を減少させる被覆部を有する伸縮軸の製造方法であって、主成分となる第1の高分子材料であって、PA6、PA11、PA12、PA66の中から選ばれたポリアミド樹脂の粉末に、第1の高分子材料に対して非接着性であり、且つこの高分子材料よりも融点が高く摩擦係数の小さい第2の高分子材料であって、PTFE、PFA、FEPの中から選ばれた粒径が1ミクロンから50ミクロンのフッ素樹脂の粉末を添加剤として混合する工程、上記混合した粉末を、上記第1の高分子材料の融点以上で第2の高分子材料の融点未満の温度に加熱して溶解し、上記雄シャフトの非円形の外周と雌シャフトの非円形の内周の少なくともいずれか一方を被覆する被覆部を形成する工程、上記被覆部の表面を切削することにより、上記第1の高分子材料に対して非接着性である第2の高分子材料の粒子の一部を剥がれ落ちさせてこの跡を潤滑油の油溜まりとなる凹部を形成するとともに、摺動特性の良い上記第2の高分子材料を被覆部の表面に露出させる工程を備え、上記凹部の分布密度は、上記第2の高分子材料の添加割合、第2の高分子材料の粒子の直径、又は、第2の高分子材料の非接着性を変化させて調整することを特徴とする伸縮軸の製造方法ある。
番目の発明は、第番目の発明の伸縮軸の製造方法において、上記第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下であることを特徴とする伸縮軸の製造方法である。
番目の発明は、第1番目又は番目のいずれかの発明の伸縮軸の製造方法によって製造した伸縮軸である。
本発明の伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸では、主成分となる第1の高分子材料の粉末に、第1の高分子材料よりも融点が高く摩擦係数の小さい第2の高分子材料の粉末を添加剤として混合する工程と、混合した粉末を、第1の高分子材料の融点以上で第2の高分子材料の融点未満の温度に加熱して溶解し、雄シャフトの非円形の外周と雌シャフトの非円形の内周の少なくともいずれか一方を被覆する被覆部を形成する工程と、被覆部の表面を切削して、第2の高分子材料を被覆部の表面に露出させる工程を備えている。
従って、摩擦係数の小さい第2の高分子材料を表面に確実に露出させることができるため、摺動抵抗を所定の小さな値に確実に収めることが可能となる。また、主成分となる第1の高分子材料として安価な樹脂を使用し、比較的高価な第2の高分子材料を添加剤として少量使用するので、製造コストを抑制することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例4を説明する。
図1は本発明の伸縮軸を有するステアリング装置の全体を示し、一部を切断した側面図であって、操舵補助部を有する電動パワーステアリング装置に適用した実施例を示す。図2は、図1の中間シャフトの一部を切断した拡大側面図である。図3(1)は、図2の中間シャフトのA−A拡大断面図、図3(2)は図3(1)の雄中間シャフトだけを取り出して示す拡大断面図である。
図4は図3(1)のP部拡大断面図である。図5は図4のQ部拡大断面図であり、(1)は被覆部の表面を切削する前の状態を示す拡大断面図、(2)は被覆部の表面を切削した後の状態を示す拡大断面図である。
図1に示すように、本発明の実施例の伸縮軸を有するステアリング装置は、車体後方側(図1の右側)にステアリングホイール11を装着可能なステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12を挿通したステアリングコラム13と、ステアリングシャフト12に補助トルクを付与する為のアシスト装置(操舵補助部)20と、ステアリングシャフト12の車体前方側(図1の左側)に、図示しないラック/ピニオン機構を介して連結されたステアリングギヤ30とを備える。
ステアリングシャフト12は、アウターシャフト12Aとインナーシャフト12Bとを、回転トルクを伝達自在に、かつ軸方向に関して相対変位可能に組み合わせて成る。
すなわち、雄シャフト12Bの車体後方側外周には、複数の雄スプラインが形成され、雌シャフト12Aの車体前方側内周には、複数の雌スプラインが、雄スプラインと同一位相位置に形成されて、雄シャフト12Bの雄スプラインと所定の隙間を有して外嵌し、回転トルクを伝達自在に、かつ軸方向に関して相対変位可能に係合している。従って、上記雌シャフト12Aと雄シャフト12Bとは、衝突時に、この係合部が相対摺動して、全長を縮めることができる。
また、上記ステアリングシャフト12を挿通した筒状のステアリングコラム13は、アウターコラム13Aとインナーコラム13Bとをテレスコピック移動可能に組み合わせており、衝突時に軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。
そして、上記インナーコラム13Bの車体前方側端部を、ギヤハウジング21の車体後方側端部に圧入嵌合して固定している。また、上記雄シャフト12Bの車体前方側端部を、このギヤハウジング21の内側に通し、アシスト装置20の図示しない入力軸の車体後方側端部に結合している。
ステアリングコラム13は、その中間部を支持ブラケット14により、ダッシュボードの下面等、車体18の一部に支承している。また、この支持ブラケット14と車体18との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット14に車体前方側に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット14が上記係止部から外れ、車体前方側に移動するようにしている。
また、上記ギヤハウジング21の上端部も、上記車体18の一部に支承している。また、本実施例の場合には、チルト機構及びテレスコピック機構を設けることにより、上記ステアリングホイール11の車体前後方向位置、及び、高さ位置の調節を自在としている。このようなチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本発明の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
上記ギヤハウジング21の車体前方側端面から突出した出力軸23は、自在継手15を介して、中間シャフト16の雄中間シャフト(以下雄シャフトと呼ぶ)16Aの後端部に連結している。また、この中間シャフト16の雌中間シャフト(以下雌シャフトと呼ぶ)16Bの前端部に、別の自在継手17を介して、ステアリングギヤ30の入力軸31を連結している。
雄中間シャフト16Aは、雌中間シャフト16Bに対して、軸方向に相対摺動可能に、かつ、回転トルクを伝達可能に結合している。図示しないピニオンが、この入力軸31の前端部に形成されている。また、図示しないラックが、このピニオンに噛み合っており、ステアリングホイール11の回転が、タイロッド32を移動させて、図示しない車輪を操舵する。
アシスト装置20のギヤハウジング21には、電動モータ26のケース261が固定されている。ステアリングホイール11からステアリングシャフト12に加えられるトルクの方向と大きさを、トルクセンサで検出する。この検出信号に応じて、電動モータ26を駆動し、図示しない減速機構を介して、出力軸23に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
図2に示すように、本発明の実施例1の伸縮軸は、中間シャフト16の雄シャフト16Aと雌シャフト16Bに適用した例を示す。雄シャフト16Aの車体前方側(図2の左側下端)が、雌シャフト16Bの車体後方側(図2の右側上端)に内嵌して連結されている。
図2、図3(1)、(2)に示すように、炭素鋼またはアルミニウム合金で成形された雌シャフト16B(雌スプライン筒)は中空筒状に形成されている。雌シャフト16Bの内周には、雌シャフト16Bの軸心から放射状に、回転トルクを伝達するための非円形の内周形状として、18個の軸方向の溝41が、伸縮ストロークの全長にわたって、等間隔に形成されている。
雄シャフト(雄スプライン軸)16Aは、炭素鋼またはアルミニウム合金で成形され、溝41に係合して回転トルクを伝達するための非円形の外周形状として、18個の軸方向の歯51を有している。歯51の外周511の軸方向の全長には、被覆部61が被覆され、雌シャフト16Bの軸方向の溝41の内周411との間の摺動抵抗を減少させる。実施例1では、歯51の外周511に被覆部61が被覆されているが、溝41の内周411に
被覆部61を被覆してもよい。
** 被覆部形成方法(その1)
被覆部61を雄シャフト16Aの歯51の外周に形成する方法(その1)について、工程順に説明する。
*(第1工程)
主成分となる第1の高分子材料として、ポリアミド樹脂であるPA11(ポリアミド11)の粉末を使用する。添加剤となる第2の高分子材料として、フッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)のうちのいずれか一つの高分子材料の粉末を使用する。
摺動特性の改善効果と第2の高分子材料の材料費の上昇を考慮すると、第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下が好ましい。第1の高分子材料の粉末と第2の高分子材料の粉末を適度な大きさの容器に入れ、攪拌して均等になるように混合する。
*(第2工程)
必要であれば、雄シャフト16Aの歯51の外周511を、ショットブラスト加工によって予め荒らし、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。また、雄シャフト16Aの歯51の外周511に下地塗料(プライマー)を塗布し、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。
*(第3工程)
雄シャフト16Aの歯51を加熱する。加熱温度は、PA11の融点(187℃)以上で、第2の高分子材料の融点未満(PTFEの融点:327℃、PFAの融点:302〜310℃、FEPの融点:253〜282℃)にする。
*(第4工程)
混合した粉末の中に、加熱した雄シャフト16Aの歯51を挿入し、歯51の軸方向の全長が粉末の中に埋もれるようにする。雄シャフト16Aの歯51の外周511近傍のPA11が溶解し、PTFE、PFA、FEPのうちのいずれか一つの第2の高分子材料の粒子を巻き込んで、雄シャフト16Aの歯51の外周511に付着し、図4に示すように、歯51の外周511に被覆部61が被覆される。
*(第5工程)
図5(1)に示すように、被覆部61は、溶解した第1の高分子材料71の中に、溶解していない多数の第2の高分子材料の粒子72A〜72Hが、ほぼ均一に分散している。しかし、被覆部61の表面(軸方向の溝41の内周411と接触して摺動する面)611側の第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、溶解した第1の高分子材料71が覆ってしまう。
その結果、被覆部61の表面611に、摺動特性の良い第2の高分子材料の粒子72A〜72Cが露出しないため、高価な第2の高分子材料の添加割合に応じた摺動特性の改善効果を得られない。本発明の被覆部形成方法(その1)では、図5(1)の二点鎖線81の位置まで、被覆部61の表面611を切削する。それによって、図5(2)に示すように、第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、被覆部61の切削した表面612に確実に露出させる。従って、第2の高分子材料の添加割合に応じた所定の摺動特性を得ることが容易になる。
第1の高分子材料のPA11、第2の高分子材料のPTFE、PFA、FEPは、非接着性である。従って、被覆部61の切削した表面612に露出するはずの第2の高分子材料の粒子72A〜72Cの一部が、第1の高分子材料71から剥がれ落ちる。
図5(2)に示す例では、第2の高分子材料の粒子72Cが剥がれ落ち、切削した表面612に微少な凹部73が形成される。この微少な凹部73が、被覆部61の表面に塗布したグリース等の潤滑油の油溜まりとなり、被覆部61の潤滑性能を長期にわたって良好に維持する効果を発揮する。
油溜まりとなる凹部73の大きさ、凹部73の分布密度は、潤滑油の保持性能の大きさに応じて決定するのが望ましい。凹部73の分布密度は、第2の高分子材料の添加割合、第2の高分子材料の粒子の直径、第2の高分子材料の非接着性を変化させて調整する。第2の高分子材料の非接着性には、第2の高分子材料の粒子の直径と比表面積等が影響する。
凹部73の大きさは、第2の高分子材料の粒子の直径を変化させて調整する。第2の高分子材料の粒子の直径は1ミクロンから50ミクロンが望ましい。第2の高分子材料の粒子の直径が大きくなり過ぎると、被覆し難くなるため、第2の高分子材料の粒子の直径は1ミリ以下が望ましい。
*(第6工程)
雄シャフト16Aを雌シャフト16Bに嵌合し、被覆部61が形成された雄シャフト16Aの歯51を、雌シャフト16Bの軸方向の溝41に係合させれば、伸縮軸としての中間シャフト16が完成する。
** 被覆部形成方法(その2)
被覆部61を雄シャフト16Aの歯51の外周に形成する方法(その2)について、工程順に説明する。上記した被覆部形成方法(その1)との主な相違点は、第1の高分子材料の材質が代わり、雄シャフト16Aへの被覆部61の被覆に射出成形機を使用することである。
*(第1工程)
主成分となる第1の高分子材料として、ポリアミド樹脂であるPA12(ポリアミド12)の粉末を使用する。添加剤となる第2の高分子材料として、フッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)のうちのいずれか一つの高分子材料の粉末を使用する。
摺動特性の改善効果と第2の高分子材料の材料費の上昇を考慮すると、第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下が好ましい。第1の高分子材料の粉末と第2の高分子材料の粉末を適度な大きさの容器に入れ、攪拌して均等になるように混合する。
*(第2工程)
必要であれば、雄シャフト16Aの歯51の外周511を、ショットブラスト加工によって予め荒らし、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。また、雄シャフト16Aの歯51の外周511に下地塗料(プライマー)を塗布し、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。
*(第3工程)
混合した粉末を射出成形機のホッパーに投入し、混合した粉末を射出成形機のヒーターで加熱して溶解する。加熱温度は、PA12の融点(176℃)以上で、第2の高分子材料の融点未満(PTFEの融点:327℃、PFAの融点:302〜310℃、FEPの融点:253〜282℃)にする。
*(第4工程)
金型に雄シャフト16Aの歯51の軸方向の全長を挿入し、溶解した高分子材料の混合物を、射出成形機のノズルから金型に射出し、図4に示すように、雄シャフト16Aの歯51の外周511に被覆部61を被覆する。
*(第5工程)
図5(1)に示すように、被覆部61は、溶解した第1の高分子材料71の中に、溶解していない多数の第2の高分子材料の粒子72A〜72Hが、ほぼ均一に分散している。しかし、被覆部61の表面(軸方向の溝41の内周411と接触して摺動する面)611側の第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、溶解した第1の高分子材料71が覆ってしまう。
その結果、被覆部61の表面611に第2の高分子材料の粒子72A〜72Cが露出しないため、高価な第2の高分子材料の添加割合に応じた摺動特性の改善効果を得られない。本発明の被覆部形成方法(その2)においても、図5(1)の二点鎖線81の位置まで、被覆部61の表面611を切削する。それによって、図5(2)に示すように、第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、被覆部61の切削した表面612に確実に露出させる。従って、第2の高分子材料の添加割合に応じた所定の摺動特性を得ることが容易になる。
また、被覆部形成方法(その2)においても、第1の高分子材料のPA12、第2の高分子材料のPTFE、PFA、FEPは、非接着性である。従って、被覆部61の切削した表面612に露出するはずの第2の高分子材料の粒子72A〜72Cの一部が、第1の高分子材料のPA11から剥がれ落ちる。
図5(2)に示す例では、第2の高分子材料の粒子72Cが剥がれ落ち、切削した表面612に微少な凹部73が形成される。この微少な凹部73が、被覆部61の表面に塗布したグリース等の潤滑油の油溜まりとなり、被覆部61の潤滑性能を長期にわたって良好に維持する効果を発揮する。
*(第6工程)
雄シャフト16Aを雌シャフト16Bに嵌合し、被覆部61が形成された雄シャフト16Aの歯51を、雌シャフト16Bの軸方向の溝41に係合させれば、伸縮軸としての中間シャフト16が完成する。
** 被覆部形成方法(その3)
被覆部61を雄シャフト16Aの歯51の外周に形成する方法(その3)について、工程順に説明する。上記した被覆部形成方法(その1)との主な相違点は、第1の高分子材料と第2の高分子材料を混合した粉末を、静電塗装によって雄シャフト16Aへ被覆することである。
*(第1工程)
主成分となる第1の高分子材料として、ポリアミド樹脂であるPA11(ポリアミド11)の粉末を使用する。添加剤となる第2の高分子材料として、フッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)のうちのいずれか一つの高分子材料の粉末を使用する。
摺動特性の改善効果と第2の高分子材料の材料費の上昇を考慮すると、第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下が好ましい。第1の高分子材料の粉末と第2の高分子材料の粉末を適度な大きさの容器に入れ、攪拌して均等になるように混合する。
*(第2工程)
必要であれば、雄シャフト16Aの歯51の外周511を、ショットブラスト加工によって予め荒らし、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。また、雄シャフト16Aの歯51の外周511に下地塗料(プライマー)を塗布し、外周511に被覆した被覆部61が、雄シャフト16Aの歯51の外周511から剥がれ難いようにしてもよい。
*(第3工程)
雄シャフト16Aを陽極、塗装ガンを陰極とし、陽極と陰極との間に電圧を加えて、両極間に静電界を作る。第1の高分子材料と第2の高分子材料の混合粉末を塗装ガンで霧化し、雄シャフト16Aの歯51の外周511に、第1の高分子材料の粉末と第2の高分子材料の粉末を混合した粉末を吸着させる。
*(第4工程)
雄シャフト16Aの歯51の軸方向の全長を加熱する。加熱温度は、PA11の融点(187℃)以上で、第2の高分子材料の融点未満(PTFEの融点:327℃、PFAの融点:302〜310℃、FEPの融点:253〜282℃)にする。
雄シャフト16Aの歯51の外周511に吸着したPA11が溶解し、PTFE、PFA、FEPのうちのいずれか一つの第2の高分子材料の粒子を巻き込んで、雄シャフト16Aの歯51の外周511に溶着し、図4に示すように、歯51の外周511に被覆部61が形成される。
*(第5工程)
図5(1)に示すように、被覆部61は、溶解した第1の高分子材料71の中に、溶解していない多数の第2の高分子材料の粒子72A〜72Hが、ほぼ均一に分散している。しかし、被覆部61の表面(軸方向の溝41の内周411と接触して摺動する面)611側の第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、溶解した第1の高分子材料71が覆ってしまう。
その結果、被覆部61の表面611に第2の高分子材料の粒子72A〜72Cが露出しないため、高価な第2の高分子材料の添加割合に応じた摺動特性の改善効果を得られない。本発明の被覆部形成方法(その3)においても、図5(1)の二点鎖線81の位置まで、被覆部61の表面611を切削する。それによって、図5(2)に示すように、第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、被覆部61の切削した表面612に確実に露出させる。従って、第2の高分子材料の添加割合に応じた所定の摺動特性を得ることが容易になる。
また、被覆部形成方法(その3)においても、第1の高分子材料のPA11、第2の高分子材料のPTFE、PFA、FEPは、非接着性である。従って、被覆部61の切削した表面612に露出するはずの第2の高分子材料の粒子72A〜72Cの一部が、第1の高分子材料のPA11から剥がれ落ちる。
図5(2)に示す例では、第2の高分子材料の粒子72Cが剥がれ落ち、切削した表面612に微少な凹部73が形成される。この微少な凹部73が、被覆部61の表面に塗布したグリース等の潤滑油の油溜まりとなり、被覆部61の潤滑性能を長期にわたって良好に維持する効果を発揮する。
*(第6工程)
雄シャフト16Aを雌シャフト16Bに嵌合し、被覆部61が形成された雄シャフト16Aの歯51を、雌シャフト16Bの軸方向の溝41に係合させれば、伸縮軸としての中間シャフト16が完成する。
次に本発明の実施例2について説明する。図6は本発明の実施例2の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雄中間シャフトを実線で示し、雌中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、上記実施例と同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例2は、実施例1の変形例である。実施例1では雄シャフトの軸方向の歯が18個形成されているが、実施例2は、雄シャフトの軸方向の歯の数を4個にし、雄シャフトの歯の外周に被覆部を形成した例である。
すなわち、図6に示すように、炭素鋼またはアルミニウム合金で成形された雌シャフト16B(雌スプライン筒)は中空筒状に形成されている。雌シャフト16Bの内周には、雌シャフト16Bの軸心から放射状に、回転トルクを伝達するための非円形の内周形状として、4個の軸方向の溝42が、伸縮ストロークの全長にわたって、等間隔に形成されている。
雄シャフト(雄スプライン軸)16Aは、炭素鋼またはアルミニウム合金で成形され、溝42に係合して回転トルクを伝達するための非円形の外周形状として、4個の軸方向の歯52を有している。歯52の外周521の軸方向の全長には、被覆部62が被覆され、雌シャフト16Bの軸方向の溝42の内周421との間の摺動抵抗を減少させる。実施例2で、被覆部62を雄シャフト16Aの歯52の外周に形成する方法は、上記した実施例1の被覆部形成方法(その1)〜被覆部形成方法(その3)をそのまま適用することができる。
次に本発明の実施例3について説明する。図7は本発明の実施例3の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雌中間シャフトを実線で示し、雄中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、上記実施例と同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例3は、実施例2の変形例である。実施例2では雄シャフトの外周に被覆部を形成しているが、実施例3は、雌シャフトの内周に被覆部を形成した例である。すなわち、図7に示すように、二点鎖線で示す雄シャフト(雄スプライン軸)16Aは、炭素鋼またはアルミニウム合金で成形され、回転トルクを伝達するための非円形の外周形状として、雄シャフト16Aの軸心から放射状に、4個の軸方向の歯52を有している。
炭素鋼またはアルミニウム合金で成形された雌シャフト16B(雌スプライン筒)は中空筒状に形成されている。雌シャフト16Bの内周には、歯52に係合して回転トルクを伝達するための非円形の内周形状として、4個の軸方向の溝42が、伸縮ストロークの全長にわたって、等間隔に形成されている。溝42の内周421の軸方向の全長には、被覆部63が被覆され、雄シャフト16Aの軸方向の歯52の外周521との間の摺動抵抗を減少させる。
実施例3で、被覆部63を雌シャフト16Bの溝42の内周に形成する方法について説明する。すなわち、実施例3では、上記した実施例1の被覆部形成方法(その1)〜被覆部形成方法(その3)の工程の一部を変更する。変更する工程についてのみ説明すると、上記した被覆部形成方法(その1)で製造する場合には、(第3工程)で、雄シャフトの代わりに、雌シャフト16Bの溝42の内周421を加熱する。
次に、(第4工程)で、加熱した雌シャフト16Bの溝42の内周421に、混合した粉末を入れる。その結果、雌シャフト16Bの溝42の内周421近傍のPA11が溶解し、PTFE、PFA、FEPのうちのいずれか一つの第2の高分子材料の粒子を巻き込んで、雌シャフト16Bの溝42の内周421に溶着し、溝42の内周421に被覆部63が形成される。
上記した被覆部形成方法(その2)で製造する場合には、(第4工程)で、金型に雄シャフトの代わりに、雌シャフト16Bを挿入し、溶解した高分子材料の混合物を、射出成形機のノズルから金型に射出すれば、雌シャフト16Bの溝42の内周421に被覆部63が形成される。
上記した被覆部形成方法(その3)で製造する場合には、(第3工程)で、雄シャフトの代わりに、雌シャフト16Bを陽極、塗装ガンを陰極とし、陽極と陰極との間に電圧を加えて、両極間に静電界を作る。第1の高分子材料と第2の高分子材料の混合粉末を塗装ガンで霧化し、雌シャフト16Bの溝42の内周421に混合した粉末を吸着させる。
次に、(第4工程)で、雌シャフト16Bの溝42の軸方向の全長を加熱すれば、雌シャフト16Bの溝42の内周421に吸着したPA11が溶解し、PTFE、PFA、FEPのうちのいずれか一つの第2の高分子材料の粒子を巻き込んで、雌シャフト16Bの溝42の内周421に溶着し、溝42の内周421に被覆部63が形成される。
次に本発明の実施例4について説明する。図8(1)は本発明の実施例4の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雄中間シャフトを実線で示し、雌中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。図8(2)は図8(1)の雄中間シャフトだけを示す斜視図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、上記実施例と同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例4は、実施例2の変形例である。実施例2は、加熱して溶解した高分子材料を、雄シャフトの歯の外周に付着させて被覆部62を形成した例であるが、実施例4は、予めスリーブ状の被覆部を成形しておき、この予め成形したスリーブ状の被覆部を雄シャフトの歯の外周に外嵌した例である。
すなわち、図8(1)、(2)に示すように、実施例4は、実施例2と全く同一形状の雌シャフト16Bと雄シャフト16Aを有している。すなわち、中空筒状の雌シャフト16Bの内周には、4個の軸方向の溝42が伸縮ストロークの全長にわたって、等間隔に形成され、雄シャフト16Aには、溝42に係合して回転トルクを伝達するための非円形の外周形状として、4個の軸方向の歯52が形成されている。
予め独立した部品として成形されたスリーブ状の被覆部64は、歯52の外周521と溝42の内周421との間の隙間にほぼ合致する形状を有し、雄シャフト16Aの軸方向の歯52の全長とほぼ同じ軸方向の長さを有している。
このスリーブ状の被覆部64を、雄シャフト16Aの軸方向の歯52の外周521に締まりばめ嵌合で外嵌し、雄シャフト16Aに対して軸方向に動かないように取り付ける。雄シャフト16Aを雌シャフト16Bに嵌合すれば、スリーブ状の被覆部64が、雌シャフト16Bの軸方向の溝42の内周421との間の摺動抵抗を減少させる。実施例4では、スリーブ状の被覆部64を、雄シャフト16Aの外周521に軸方向に動かないように外嵌しているが、雌シャフト16Bの内周421に軸方向に動かないように内嵌してもよい。
** 被覆部形成方法(その4)
実施例4のスリーブ状の被覆部64を雄シャフト16Aの歯52の外周に形成する方法(その4)について、工程順に説明する。
*(第1工程)
主成分となる第1の高分子材料として、ポリアミド樹脂であるPA12(ポリアミド12)の粉末を使用する。添加剤となる第2の高分子材料として、フッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)のうちのいずれか一つの高分子材料の粉末を使用する。
摺動特性の改善効果と第2の高分子材料の材料費の上昇を考慮すると、第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下が好ましい。第1の高分子材料の粉末と第2の高分子材料の粉末を適度な大きさの容器に入れ、攪拌して均等になるように混合する。
*(第2工程)
混合した粉末を射出成形機のホッパーに投入し、混合した粉末を射出成形機のヒーターで加熱して溶解する。加熱温度は、PA12の融点(176℃)以上で、第2の高分子材料の融点未満(PTFEの融点:327℃、PFAの融点:302〜310℃、FEPの融点:253〜282℃)にする。
*(第3工程)
溶解した高分子材料の混合物を、射出成形機のノズルから金型に射出し、図8(1)、(2)に示すようなスリーブ状の被覆部64単体を、予め独立した部品として成形する。
*(第4工程)
このスリーブ状の被覆部64を、雄シャフト16Aの軸方向の歯52の外周521に締まりばめ嵌合で外嵌し、雄シャフト16Aに対して軸方向に動かないように取り付ける。
*(第5工程)
図5(1)に示すように、実施例4においても実施例2と同様に、スリーブ状の被覆部64の表面641に第2の高分子材料の粒子72A〜72Cが露出しないため、高価な第2の高分子材料の添加割合に応じた摺動特性の改善効果を得られない。
従って、図5(1)の二点鎖線81の位置まで、被覆部64の表面641を切削する。それによって、図5(2)に示すように、第2の高分子材料の粒子72A〜72Cを、スリーブ状の被覆部64の切削した表面642に確実に露出させる。従って、第2の高分子材料の添加割合に応じた所定の摺動特性を得ることが容易になる。
また、実施例4においても、第1の高分子材料のPA12、第2の高分子材料のPTFE、PFA、FEPは、非接着性である。従って、スリーブ状の被覆部64の切削した表面642に露出するはずの第2の高分子材料の粒子72A〜72Cの一部が、第1の高分子材料71から剥がれ落ちる。
この微少な凹部73が、被覆部64の表面に塗布したグリース等の潤滑油の油溜まりとなり、スリーブ状の被覆部64の潤滑性能を長期にわたって良好に維持する効果を発揮する。
*(第6工程)
雄シャフト16Aを雌シャフト16Bに嵌合し、スリーブ状の被覆部64が圧入された雄シャフト16Aの歯52を、雌シャフト16Bの軸方向の溝42に係合させれば、伸縮軸としての中間シャフト16が完成する。
上記した被覆部形成方法(その4)において、(第4工程)と(第5工程)の順番を入れ換えて製造しても、同様の効果が得られる。
上記実施例では、主成分となる第1の高分子材料として、PA11(ポリアミド11)、PA12(ポリアミド12)を使用しているが、PA6(ポリアミド6)、PA66(ポリアミド66)、POM(ポリオキシメチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を使用してもよい。
また、上記実施例では、添加剤として混合する第2の高分子材料として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を使用しているが、二硫化モリブデン、有機モリブデン、グラファイト、合成硫化ニオブ、フッ化セリウム、メラミンシアヌレート、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、二硫化タングステンを使用してもよい。
上記実施例では、被覆部は、雄シャフトの歯の外周と雌シャフトの溝の内周との間に締め代を与えて介挿される。従って、被覆部の厚さが薄いと、被覆部の半径方向の圧縮弾性率が大きくなる。すると、伸縮軸を伸縮させる時の摺動力を所要の値に設定することが困難になるため、被覆部の厚さは0.1ミリ以上が好ましい。
また、被覆部の厚さが厚いと、伸縮軸の使用中に、被覆部がクリープを起こし、伸縮軸の回転方向のガタが大きくなる。また、被覆部の厚さが厚いと、被覆部の成形時間が長くなり、製造コストが上昇するため、被覆部の厚さは2ミリ以下が好ましい。第2の高分子材料のPTFE、PFA、FEPは、非接着性である。従って、第2の高分子材料の添加割合を増やし過ぎると、第1の高分子材料から第2の高分子材料が剥がれ落ち易くなるため、第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下が好ましい。
上記実施例では、雄シャフト16Aの歯の外周、または、雌シャフト16Bの溝の内周のいずれか一方に被覆部を形成しているが、雄シャフト16Aの歯の外周と雌シャフト16Bの溝の内周の両方に被覆部を形成してもよい。
また、上記実施例では、中間シャフト16に本発明を適用した例について説明したが、ステアリングシャフト12等、ステアリング装置を構成する任意の伸縮軸に適用することができる。
本発明の伸縮軸を有するステアリング装置の全体を示し、一部を切断した側面図であって、操舵補助部を有する電動パワーステアリング装置に適用した実施例を示す。 図1の中間シャフトの一部を切断した拡大側面図である。 (1)は、図2の中間シャフトのA−A拡大断面図、(2)は(1)の雄中間シャフトだけを取り出して示す拡大断面図である。 図3(1)のP部拡大断面図である。 図4のQ部拡大断面図であり、(1)は被覆部の表面を切削する前の状態を示す拡大断面図、(2)は被覆部の表面を切削した後の状態を示す拡大断面図である。 本発明の実施例2の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雄中間シャフトを実線で示し、雌中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。 本発明の実施例3の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雌中間シャフトを実線で示し、雄中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。 (1)は本発明の実施例4の伸縮軸を示す図2のA−A拡大断面図相当であり、雄中間シャフトを実線で示し、雌中間シャフトを二点鎖線で示す拡大断面図である。(2)は(1)の雄中間シャフトだけを示す斜視図である。
符号の説明
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
12A アウターシャフト
12B インナーシャフト
13 ステアリングコラム
13A アウターコラム
13B インナーコラム
14 支持ブラケット
15 自在継手
16 中間シャフト
16A 雄中間シャフト(雄シャフト)
16B 雌中間シャフト(雌シャフト)
17 自在継手
18 車体
20 アシスト装置
21 ギヤハウジング
23 出力軸
26 電動モータ
261 ケース
30 ステアリングギヤ
31 入力軸
32 タイロッド
41 溝
411 内周
42 溝
421 内周
51 歯
511 外周
52 歯
521 外周
61 被覆部
611 表面
612 切削した表面
62 被覆部
63 被覆部
64 スリーブ状の被覆部
641 表面
642 切削した表面
71 第1の高分子材料
72A〜72H 第2の高分子材料の粒子
73 凹部
81 二点鎖線

Claims (3)

  1. 非円形の外周形状を有する雄シャフト、
    上記雄シャフトの外周に軸方向に相対摺動可能にかつ回転トルクを伝達可能に外嵌する非円形の内周形状を有する雌シャフト、
    上記雄シャフトの非円形の外周と雌シャフトの非円形の内周の少なくともいずれか一方に被覆され、雄シャフトと雌シャフトとの間の摺動抵抗を減少させる被覆部を有する伸縮軸の製造方法であって、
    主成分となる第1の高分子材料であって、PA6、PA11、PA12、PA66の中から選ばれたポリアミド樹脂の粉末に、第1の高分子材料に対して非接着性であり、且つこの高分子材料よりも融点が高く摩擦係数の小さい第2の高分子材料であって、PTFE、PFA、FEPの中から選ばれた粒径が1ミクロンから50ミクロンのフッ素樹脂の粉末を添加剤として混合する工程、
    上記混合した粉末を、上記第1の高分子材料の融点以上で第2の高分子材料の融点未満の温度に加熱して溶解し、上記雄シャフトの非円形の外周と雌シャフトの非円形の内周の少なくともいずれか一方を被覆する被覆部を形成する工程、
    上記被覆部の表面を切削することにより、上記第1の高分子材料に対して非接着性である第2の高分子材料の粒子の一部を剥がれ落ちさせてこの跡を潤滑油の油溜まりとなる凹部を形成するとともに、摺動特性の良い上記第2の高分子材料を被覆部の表面に露出させる工程を備え
    上記凹部の分布密度は、上記第2の高分子材料の添加割合、第2の高分子材料の粒子の直径、又は、第2の高分子材料の非接着性を変化させて調整すること
    を特徴とする伸縮軸の製造方法。
  2. 請求項に記載された伸縮軸の製造方法において、
    上記第2の高分子材料の添加割合は15重量%以下であること
    を特徴とする伸縮軸の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項のいずれかに記載された伸縮軸の製造方法によって製造した伸縮軸。
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