JP5119121B2 - 粗炭化水素からエーテル類を除去する方法および精製炭化水素の製造方法 - Google Patents

粗炭化水素からエーテル類を除去する方法および精製炭化水素の製造方法 Download PDF

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本発明は、粗炭化水素からエーテル類を除去する方法および該方法を用いた精製炭化水素の製造方法に関する。
天然ガス、精油所ガスまたは特定の石油留分などの原料をスチームクラッカーなどで熱分解または熱/接触分解させて、分解生成物を後処理すると、ブタジエン、ブタン類、n
−ブテン類およびイソブテンなどの炭化水素を含有する粗炭化水素が得られる。
これらの粗炭化水素には、前述した炭化水素に加えて、種々の含酸素化合物や含窒素化合物が不純物として含まれている。これらの不純物の種類および量は、使用される原料の種類や起源、あるいは分解反応の技術的条件に依存する。また不純物の量は、粗炭化水素の更なる後処理によっても影響を受ける。
粗炭化水素の用途の一つは、粗炭化水素中に含まれるn−ブテン類のメタセシス反応によるプロピレンの合成である。メタセシス反応を行う際、使用される粗炭化水素中に不純物として含まれる含酸素化合物や含窒素化合物等は、メタセシス触媒の失活の原因となるので、事前に除去しておくことが必要である。
ところで、粗炭化水素中に含まれる水、アルコール、窒素化合物、硫黄化合物およびハロゲン化合物をアルミナもしくはゼオライトのような固体吸着剤上に吸着させることにより除去する方法としては、特許文献1には、炭化水素混合物をニッケル含有触媒によりオリゴマー化するに当たり、炭化水素混合物をオリゴマー化前に、4〜15Åを上回る孔径を有するゼオライト(モレキュラーシーブ)上に導き、触媒毒となる水、アルコール、プロピレンおよびブタジエンなどの多重不飽和炭化水素を除去する方法が記載されている。
また、特許文献2には、少なくとも10質量%のイソブテンを含んだ物質流中の含酸素化合物や含窒素化合物の含量を減少させる方法として、該物質流を平均孔径0.3〜1.5nmの酸不含ゼオライトの固定床に導通させることが記載されている。
しかしながら、不純物のうちエーテル類は、極性が低いため吸着剤との親和性が低く、また、共存する他の不純物の影響もあって、これらの方法では粗炭化水素中からエーテル類を充分に除去することができず、未だ改良の余地があった。
特許第2726138号公報 特表2007−508254号公報
本発明は、粗炭化水素からエーテル類を除去する方法および該方法を用いた精製炭化水素の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、上流側にハイブリッド系吸着剤(活性アルミナおよびゼオライトの混合物)から形成される層を有し、下流側にゼオライト系吸着剤から形成される層を有する吸着カラムを用いて、粗炭化水素をハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤に接触させると、粗炭化水素からエーテル類を効率的に除去することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には以下の(1)〜(6)の事項が含まれる。
(1)エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去する方法であって、前記吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、前記上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、前記下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴とする粗炭化水素からエーテル類を除去する方法。
(2)前記ハイブリッド系吸着剤が、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%(活性アルミナおよびゼオライトの合計は100重量%)の混合物であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)前記ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合が容積比でハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1であることを特徴とする(1)または(2)に記載の方法。
(4)エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去して精製炭化水素を製造する方法であって、前記吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、前記上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、前記下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴とする精製炭化水素の製造方法。
(5)前記ハイブリッド系吸着剤が、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%(活性アルミナおよびゼオライトの合計は100重量%)の混合物であることを特徴とする(4)に記載の精製炭化水素の製造方法。
(6)前記ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合が容積比でハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1であることを特徴とする(4)または(5)に記載の精製炭化水素の製造方法。
本発明によれば、粗炭化水素から、メタセシス反応を用いてプロピレンを合成する際に触媒毒となるエーテル類が効率的に除去された精製炭化水素を製造することができる。また、ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤とを同一カラム内に充填した吸着カラムを用いているので、一種類の吸着剤を充填した吸着カラムを用いる場合と比較して、装置を小型化することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の粗炭化水素からエーテル類を除去する方法は、エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去する方法に関するものであって、該吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴としている。
本発明で用いられる粗炭化水素としては、ブタジエン、ブタン類、n−ブテン類およびイソブテンなどを主成分とするC4留分、C4ラフィネート−1、C4ラフィネート−2などが挙げられる。C4留分とは、重質炭化水素を流動床接触分解(FCC)などして得られる軽質な生成物のことであり、ガソリンおよびガスオイルなどの主な留分以外の留分である、主にイソブタン、イソブテン、n−ブテンおよびブタンからなり、かつ、微量の1,3−ブタジエンおよびアセチレン系炭化水素を含む炭化水素留分をいう。また、C4ラフィネート−1とはクラッカーで生産されたC4留分からブタジエンを抽出し残ったも
のをいい、C4ラフィネート−2とはC4ラフィネート−1からイソブテンを抽出し残ったものをいう。なお、C4留分やC4ラフィネート等以外に用いられる粗炭化水素としては、C5留分、C6留分、C7留分を主成分とする粗炭化水素などが挙げられる。
本発明で用いられる粗炭化水素にはエーテル類などが不純物として含まれる。このエーテル類は、通常C4留分、C4ラフィネート−1およびC4ラフィネート−2に不純物として含まれるものであり、例えば、ジメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、イソプロピル−t−ブチルエーテルおよびイソブチル−t−ブチルエーテルなどが挙げられる。
本発明で用いられる粗炭化水素に含まれるエーテル類以外の不純物としては、例えば、水およびアルコールなどのようなエーテル類より極性の高い成分が挙げられる。
本発明で用いられる粗炭化水素中のエーテル類の含量は通常50〜200ppmであり、上限としては150ppm以下であることが好ましい。エーテル類の含量が上記の範囲より多いとカラムが大型化する、あるいは吸着では除去できなくなるので不都合である。
なお、本発明において、粗炭化水素からエーテル類を吸着除去して得られたものが精製炭化水素である。
本発明で用いられるハイブリッド系吸着剤(活性アルミナおよびゼオライトの混合物)とゼオライト系吸着剤とについて以下に説明する。
本発明で用いられるハイブリッド系吸着剤は、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなり、通常活性アルミナおよびゼオライトの合計100重量%中、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%、好ましくは活性アルミナ30〜70重量%およびゼオライト70〜30重量%の混合物からなるものであり、活性アルミナおよびゼオライトを単純(物理的)に混合し、ペレット状や球状に固めたものである。ハイブリッド系吸着剤は、市販品を用いてもよい。吸着カラム内でハイブリッド系吸着剤層を上流側に配置することによって、粗炭化水素中に含まれる不純物のうち、水およびアルコールなどの極性の高い成分がハイブリッド系吸着剤層に吸着される。従来のゼオライト吸着層のみからなる吸着カラムでは、水およびアルコールなどの不純物が多く含まれていると、これらの不純物がゼオライト吸着剤と親和するために、エーテル類などの極性の低い不純物を充分に除去することができなかったが、ハイブリッド系吸着剤層を上流側に配置することで水およびアルコールなどがハイブリッド系吸着剤層で吸着除去されるので、下流側のゼオライト吸着剤層でエーテル類を効率的に吸着させることができる。
ここで、ハイブリッド吸着剤を構成する活性アルミナとは、水酸化アルミナを結晶性の低い多孔質の酸化アルミニウムに転移させて吸着能力を持たせたものをいい、比表面積および細孔容積が高く、優れた吸着能力を有する。活性アルミナは、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造してもよい。
上記活性アルミナの細孔径は通常1.5〜数10nmである。活性アルミナの細孔径が
上記の範囲であると、分子サイズの大きなものも含めて水およびアルコールなどの極性の高い不純物を効率的に吸着させることができるので好ましい。
好ましい活性アルミナとしては特に制限されるものではないが、γ−アルミナなどが挙げられる。
ハイブリッド吸着剤を構成するゼオライトは、公知の方法により合成的に製造することができる。公知の方法としては、例えば、「Ullmanns Enzyklopaedied. Techn. Chemie」、1983年、第4版、第17巻、p. 9-17に記載された方法などが挙げられる。ゼオライトの製造方法としては、アルミン酸ナトリウム(NaAlO3)水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液と水酸
化ナトリウム水溶液とを原料として、加熱、数時間保持して結晶化させてゼオライト粉末を得る。次に、得られたゼオライト粉末と、粘度鉱物、シリカゾルもしくはアルミナゾルもしくはこれらに有機物を添加したもの等である結合剤(バインダー)とを混合し、造粒、焼結することにより得る。
上記ゼオライトの平均細孔径は、通常0.2〜1nm、好ましくは0.5〜1nmである。ゼオライトの平均細孔径が上記の範囲であると、エーテル類を含む種々の不純物を効率的に吸着させることができるので好ましい。平均細孔径は結晶構造により確定され、結晶構造はレントゲン構造データなどから計算することができる。
好ましいゼオライトとしては特に制限されるものではないが、例えばゼオライトX、YおよびAなどが挙げられ、特に好ましくはゼオライトXなどが挙げられる。
本発明で用いられるゼオライト系吸着剤は、ハイブリッド系吸着剤を構成するゼオライトとしてすでに述べたものと同じものを用いることができる。吸着カラム内に、ハイブリッド系吸着剤層およびゼオライト系吸着剤層を配置することによって、上述したように、粗炭化水素中に含まれるエーテル類を効率的に除去することができる。
上記ゼオライト系吸着剤の粒径には特に制限はなく、また平均細孔径はすでに述べたとおり、通常0.2〜1nm、好ましくは0.5〜1nm、特に好ましくは1nmである。ゼオライト系吸着剤の平均細孔径が上記の範囲であると、上述した粗炭化水素中の極性の高い不純物を効率的に除去することができる。
吸着カラム内で2層に充填されたハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合は容積比で通常、ハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1、好ましくは1:1〜4:1である。ゼオライト系吸着剤がハイブリッド系吸着剤の使用割合(容積比)より多くなる場合、あるいはハイブリッド系吸着剤に対するゼオライト系吸着剤の使用割合(容積比)が上記の範囲よりも小さくなる場合、粗炭化水素中の不純物の除去能力が低下する場合がある。前者の理由としては、ゼオライト系吸着剤は不飽和炭化水素も吸着するため、吸着剤上で不飽和炭化水素が重合して細孔を潰すことがあり、これを特定量以上の活性アルミナを使用することにより防止する必要があるが、この活性アルミナを含むハイブリッド系吸着剤が上記の割合で必要であることが挙げられる。後者の理由としては、ゼオライト系吸着剤の量が少なすぎるため、粗炭化水素中の不純物の吸着能力が低下することが挙げられる。
本発明で用いられる吸着カラムは、上流側に活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層を有し、下流側にゼオライト系吸着剤から形成される層を有している。
ハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤は、固定床式の吸着カラム中に充填される。吸着カラムは、垂直に配置してもよいし、傾斜させてまたは水平に配置してもよいが、好ましくは垂直に配置することが望ましい。粗炭化水素流は重力の方向へまたは重力に対向して導通させる。流動方向における固定床の長さは、固定床の(最長)直径の2倍以上であることが好ましい。また、吸着カラムは複数接続させて用いてもよい。
ハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤の充填方法としては、粗炭化水素流を重力の方向へ導通させる場合は、下流側の吸着層となるゼオライト系吸着剤を充填した後、上流側の吸着層となるハイブリッド系吸着剤を充填し、粗炭化水素流を重力に対向して導通させる場合には、上流側の吸着層となるハイブリッド系吸着剤を充填した後、下流側の吸着層となるゼオライト系吸着剤を充填する。ハイブリッド系吸着剤層とゼオライト系吸着剤層との間には空間やイナートボールなどが介されていてもよい。
粗炭化水素を、上流側にハイブリッド系吸着剤を充填し、下流側にゼオライト系吸着剤を充填した固定床上に導通させると、すでに述べたように、ハイブリッド系吸着剤層と接触すると水、アルコール類およびエーテル類の一部が吸着され、次いでゼオライト系吸着剤層と接触するとエーテル類が吸着される。
粗炭化水素流の線速度は、通常0.001〜0.005m/秒、好ましくは0.002〜0.003m/秒である。ここで、線速度とは、体積流量(m3/秒)を吸着層の断面積(単位;m2)で除した値である。
粗炭化水素からエーテル類などの不純物を吸着処理するときの吸着カラムの温度は、粗炭化水素が凝固または気化しない温度であれば特に制限はされないが、10〜70℃であることが好ましい。
また、吸着処理の圧力は、粗炭化水素が気化しない程度の圧力であれば特に制限はされない。
粗炭化水素は、導通させる前に乾燥させ、含水量を減少させておくことが好ましい。具体的には、粗炭化水素中の含水量を1ppm未満に減少させておくことが好ましい。
吸着処理の運転期間終了後のハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤には、表面がエーテル類等の不純物で吸着されており、粗炭化水素をさらに導通させても不純物をもはや充分に吸着除去することができない。このような状態のハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤は、150〜250℃の温度で、周囲圧力または真空下に、窒素などの不活性ガスを流通させることにより再生することができる。典型的な再生サイクルは24〜48時間である。
なお、少なくとも2つの吸着カラムを設けておき、一方の吸着カラムがエーテル類等を吸着している間に、他方のカラムを再生することができると効率の面で好都合である。すなわち、第一のカラムの吸着剤がエーテル類等で飽和された場合には、粗炭化水素流を第二の吸着カラムの方に迂回させ、第二の吸着カラムの吸着剤がエーテル類等を吸着している間に、第一のカラムの吸着剤を再生すると効率的である。
本発明による吸着処理後に、精製炭化水素中に含まれるエーテル類の濃度は1ppm未満である。
本発明の精製炭化水素の製造方法は、エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去することにより精製炭化水素を得る方法であって、前記吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、前記上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、前記下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴としている。
上記の精製炭化水素の製造方法において、ハイブリッド系吸着剤は、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%(活性アルミナおよびゼオライトの合計は100重量%)の混合物であることが好ましく、ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合は容積比でハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1であることが好ましい。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
エーテル類としてメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびジメチルエーテル(DME)を、アルコール類としてt−ブチルアルコール(TBA)およびメタノールを表1に示す濃度で含む粗ヘキサンを、ハイブリッド系吸着剤(UOP社/ユニオン昭和社製
AZ−300)およびゼオライト系吸着剤(東ソー社製F-9;平均細孔径1nm)を充
填した吸着カラム(高さ2000mm、内径25mm)に導通させた。室温、圧力約0.
14MPaGおよび線速度0.003m/秒(流速95ml/分)の条件で、精製ヘキサン
がカラム出口に流出し始めた後、10〜30分ごとに流出した精製ヘキサンをサンプリングし、精製ヘキサン中に含まれるMTBE、DME、TBAおよびメタノールの濃度を測定した。MTBEおよびDMEはガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で測定し
、TBAおよびメタノールはガスクロマトグラフ分析計(GC)で測定した。
Figure 0005119121
吸着カラムは高さ2,000mm、内径25mmのものを用いた。このうち、ハイブリ
ッド系吸着剤の充填高さを1,600mmとし、ゼオライト系吸着剤の充填高さを400
mmとした。
吸着層における線速度は0.003m/秒(流速95ml/分)、圧力は約0.14MPaG、温度は室温とした。
表2および図1に示すように、精製ヘキサンがカラム出口に流出し始めた時点から540分間流通させても、カラム出口から流出する精製ヘキサン中にMTBE、DME、TBAおよびメタノールのいずれも検出されなかった。
Figure 0005119121
吸着カラムの高さが2,000mmのときに粗ヘキサンを540分間導通させてもMT
BE濃度は検出されないという実験結果から、MTBEをカラム出口から流出させないために必要な吸着層の高さを概算した。再生サイクルを24時間とし、吸着カラムの太さおよび線速度を実施例1で用いた吸着カラムの太さおよび線速度に固定した場合、吸着層の高さは5400mm(=2,000mm×1,440分÷540分)もあれば充分であるという計算結果となった。
[比較例1]
MTBE、DME、TBAおよびメタノールをそれぞれ50ppm含む粗ヘキサンを、ハイブリッド系吸着剤のみを充填した吸着カラムに導通させた。精製ヘキサンが吸着カラム出口に流出し始めた時点から10〜30分ごとに流出した精製ヘキサンをサンプリングし、精製ヘキサン中のMTBE、DME、TBAおよびメタノール濃度を測定した。MTBE濃度およびDME濃度はガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて、T
BA濃度およびメタノール濃度はガスクロマトグラフ(GC)を用いて測定した。
吸着層としては、ハイブリッド系吸着剤(UOP社/ユニオン昭和社製AZ−300)
を高さ2,000mm、内径25mmとなるように充填したものを用いた。
吸着層における線速度は0.003m/秒(流速95ml/分)、圧力は約0.14MPaG、温度は室温とした。
表3および図1に示すように、精製ヘキサンがカラム出口に流出し始めてから240分間以上導通させると、カラム出口から流出する精製ヘキサンからMTBEが検出された。さらに、粗ヘキサンを390分間を越えて導通させると、1ppm以上のMTBEが検出
された。一方、DME、TBAおよびメタノールは、540分間導通させてもカラム出口から流出する精製ヘキサン中に検出されなかった。

Figure 0005119121
この結果から、ハイブリッド系吸着剤のみを充填した吸着カラムは、極性の高いアルコール類(TBAおよびメタノール)やエーテル類のなかでも比較的極性の高いDMEであれば充分に除去することができるが、極性の低いMTBEは充分に除去することができないことがわかる。すなわち、ハイブリッド吸着剤は、極性の高いアルコール類を優先的に吸着するため、アルコール類およびエーテル類の共存下では極性の低いエーテル類を充分に吸着することができない。
24時間の再生サイクルで、MTBEをカラム出口から流出させないために必要な吸着層の高さを概算すると、吸着層高さは少なくとも12,000mm(=2,000mm×1,440分÷240分)は必要であった。また、カラム出口から流出するMTBEの濃度
を24時間の再生サイクルの間、1ppm未満に保つためには、吸着層高さは7,400
mm(=2,000mm×1,440分÷390分)以上必要であった。
すなわち、ハイブリッド系吸着剤のみを用いる場合、ハイブリッド系吸着剤およびゼオライト系吸着剤の2層で用いる場合と同じ性能を得るためには、吸着層の高さを1.4〜
2.2倍にする必要があり、装置が大型化し、実用的でなくなるため不都合である。
本発明の精製炭化水素はメタセシス反応によるプロピレン製造の原料に好適に用いられる。
図1は粗ヘキサンをハイブリッド吸着剤およびゼオライト吸着剤を2層に充填した吸着カラムに流通させたときの精製ヘキサン中のMTBE濃度と、粗ヘキサンをハイブリッド吸着剤のみを充填した吸着カラムに流通させたときの精製ヘキサン中のMTBE濃度を示す図である。

Claims (6)

  1. エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去する方法であって、
    前記吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、
    前記上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、
    前記下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴とする粗炭化水素からエーテル類を除去する方法。
  2. 前記ハイブリッド系吸着剤が、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%(活性アルミナおよびゼオライトの合計は100重量%)の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合が容積比でハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. エーテル類を不純物として含む粗炭化水素を、吸着カラムに接触させることにより、粗炭化水素からエーテル類を除去して精製炭化水素を製造する方法であって、
    前記吸着カラムが、上流側の層および下流側の層を有し、
    前記上流側の層が、活性アルミナおよびゼオライトの混合物からなるハイブリッド系吸着剤から形成される層であり、
    前記下流側の層が、ゼオライト系吸着剤から形成される層であることを特徴とする精製炭化水素の製造方法。
  5. 前記ハイブリッド系吸着剤が、活性アルミナ20〜80重量%およびゼオライト80〜20重量%(活性アルミナおよびゼオライトの合計は100重量%)の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の精製炭化水素の製造方法。
  6. 前記ハイブリッド系吸着剤とゼオライト系吸着剤との使用割合が容積比でハイブリッド系吸着剤:ゼオライト系吸着剤=1:1〜8:1であることを特徴とする請求項4または5に記載の精製炭化水素の製造方法。
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