JP5118685B2 - 周波数変換回路 - Google Patents
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Description
周波数変換の目的は、周波数変換によって高周波の信号のうちの信号帯域のみを取り出し、いわゆるベースバンド復調を行う以外にも、高周波の信号の信号強度を低い周波数に周波数変換して行う目的もある。
このどちらの目的の場合も、受信システムの通信精度を良くするため、周波数変換回路の変換利得はばらつかずに一定であることが望まれる。ここで言うばらつきとは、製造において個体間での変換利得が異なる場合と、1個体において温度や電源電圧などで変換利得が変動する場合の両方が含まれる。
従って、製造コストと回路規模を抑えるためには個体調整が必要なく、温度や電源電圧で変換利得が変動しない受信回路が求められる。特に、受信回路における周波数変換回路は、高周波を扱う回路のため変換利得のばらつきを抑えることが難しいことから、変換利得のばらつきが小さい周波数変換回路を実現することが極めて重要となる。
GMアンプ100はトランジスタTr1〜Tr4を含んで構成され、NMOSトランジスタであるTr1およびTr2はそれらの各ソースがグラウンドに接続され、それらの各ゲートは容量Ca1およびCa2を介して差動入力ポート11、12に接続され、且つ、各対応する抵抗Ra1およびRa2を介して図示のX点から電圧バイアスが供給される。
トランジスタTr3およびTr4はそれらの各ソースが電源に接続され、それらの各ゲートには電圧バイアスが印加される。
GMアンプ100から出力された電流信号は、スイッチング回路部200に入力される。スイッチング回路部200は、容量Cb1および抵抗Rb1によるHPF(ハイパスフィルタ。以下同様)1、容量Cb2および抵抗Rb2によるHPF2により低周波成分が除去される。
この構成では、まずGMアンプ100の相互コンダクタンス値がばらつくことによって、周波数変換回路全体の変換利得が変動する。このGMアンプ100の相互コンダクタンスを、特許第3977075号公報の図7に記述があるようなバイアス回路をもちいて補正を行った場合でも、バイアス回路が持つ抵抗のばらつきにより、周波数変換回路全体の変換利得を十分に抑えることができない。
本発明はこの点に鑑みて考案されたものであり、変換利得のばらつきを極めて小さく抑える周波数変換回路を提供することを目的とするものである。
入力電圧信号を相互コンダクタンスにより該入力電圧信号の電圧値と相互コンダクタンスの積に相当する電流信号に変換するGMアンプと、
前記GMアンプによって当該入力電圧信号を変換して得られた電流信号をローカル信号でミキシングして周波数変換を行うミキサと、
前記ミキサでの周波数変換によって得られた電流信号を電圧信号に変換するIV変換アンプと、
前記GMアンプへバイアス電圧を供給するGM校正回路と、
を備える周波数変換回路において、
該GM校正回路は、
前記GMアンプに用いるトランジスタとそのサイズあたりの相互コンダクタンスを同一としたトランジスタを用いたレプリカアンプを内部に有し、
前記レプリカアンプに、抵抗と第1電流源からの電流との積に相当するDC電圧を入力し、前記レプリカアンプからの電流出力を所定の電流値になるように、該レプリカアンプの電圧バイアスを設定し、前記抵抗の分割点の電圧を前記GMアンプに供給し、
前記GM校正回路に用いる該抵抗をR1、第1電流源からの電流値をI1、前記レプリカアンプからの電流出力の電流値をI2とし、前記IV変換アンプのIV変換に用いる抵抗値がR0のとき、周波数変換の変換利得が(R0/R1)×(I2/I1)の定数倍となることを特徴とする周波数変換回路。
図1は、本発明の一つの実施の形態としての周波数変換回路を表す図である。
図1における周波数変換回路は、GMアンプ10、スイッチング回路部20、IV変換部30および、バイアス回路40を含んで構成される。
この周波数変換回路の入力端でありGMアンプ10の入力端である差動入力ポート11、12から入力されたRF周波数の受信信号は、GMアンプ10により、電圧電流変換され、受信電流信号として次段のスイッチング回路20に向けて出力される。
トランジスタTr1およびTr2の各ドレインはPMOSトランジスタTr3およびTr4の各対応するドレインに接続されて、該接続による両接続部がGMアンプ10の出力端となる。
GMアンプ10から出力された電流信号は、スイッチング回路部20に入力される。スイッチング回路部20は、容量Cb1および抵抗Rb1によるHPF1、容量Cb2および抵抗Rb2によるHPF2により低周波成分が除去される。
即ち、スイッチング回路部20は、受信された信号をGMアンプ10により電圧電流変換して得た電流信号をローカル信号でミキシングして周波数変換を行うミキサを構成している。
上述の構成において、バイアス回路40からX点に与える電圧バイアスは、より高い電圧を与える程、GMアンプ10の相互コンダクタンスが増加する傾向を呈し、この結果、周波数変換回路全体の変換利得が増加するように作用する。
即ち、バイアス回路40は、GMアンプ10へ上述のようなバイアス電圧を供給するGM校正回路を構成している。
また、上述の差動間に挿入された容量Ccについても、これを設けることは必ずしも必須の要件ではなく、設計上の要求仕様に応じて適宜設けられ、或いは、用いない。
図2は、上述のバイアス回路40の構成例を示す回路図である。
図2において、トランジスタTr21〜Tr24は、図1におけるTr1〜Tr4と同じ種類で、トランジスタのサイズあたりの相互コンダクタンスを同一としている。より詳細には、一般にトランジスタのゲート長Lとゲート幅Wに対し、W/Lが同じトランジスタを使用する。これをレプリカアンプと呼ぶこととする。
抵抗R20(抵抗値R1)は、その抵抗値を半分に分割できるように、2つ以上の抵抗(図示の例では、抵抗値が等しくR20/2である抵抗R11およびR12)を直列に接続して実現する。Tr25はTr24(Tr4)と同じ種類でサイズあたりの相互コンダクタンスを同一とするトランジスタを使用する。
電流源21により生成された電流I1により、図2の点線枠で囲まれた抵抗R20の両端であるA点およびB点の間には、
VA-B=R1×I1
で表される電圧差が生じる。この電圧差がトランジスタTr21およびトランジスタTr22のゲート電圧として印加され、トランジスタTr21〜Tr24で構成されるレプリカアンプの相互コンダクタンス値に応じた電流がトランジスタTr22およびトランジスタTr24の接続点から出力され電流源22へと注入される。
C点の電圧はレプリカアンプに入力される電圧のコモン電圧となる。この点Cの電圧はレプリカアンプの出力電流と電流源22が生成する電流値I2が等しくなるようにフィードバックがかかるようにする。フィードバックにより定常となったレプリカアンプの出力電流が電流源22が生成する電流値I2と等しくなったときのレプリカアンプの相互コンダクタンス値は
gm=I2/VA-B=(1/R1)×(I2/I1)
で示される。
図3のIV変換部30は、IV変換アンプであり、オペアンプ31と抵抗R31およびR32(何れも、抵抗値R0)で構成される。この抵抗R31およびR32は図2に示す抵抗R21と同じ素材、同じサイズの抵抗を用いて構成し、R0とR1の抵抗比が精度良く設定可能であるようにする。
このときの周波数変換回路全体の変換利得Gは、スイッチング回路部20の利得が十分1倍すなわち0dBに近いとすると、
G=gm×R0=(R0/R1)×(I2/I1)
で表される。
この式に示されるように、周波数変換回路の変換利得は抵抗R0とR1の比と、電流源21および電流源22の電流比のみで決められる一定値となり、変換利得はばらつかない。
なお、本実施の形態の周波数変換回路における変換利得が一定である前提として、スイッチング回路部20の利得が十分1倍に近いと記述したが、通常十分なローカル信号強度がスイッチのゲートに供給された場合、十分1倍に近い同一の利得が各スイッチで得られることが知られている。
図1のGMアンプ10はバイアス回路40から供給される電圧バイアスの大きさに応じてその相互コンダクタンスが調整可能なアンプである。
図2にその回路構成が示されたバイアス回路40は、GMアンプ10とサイズあたりの相互コンダクタンスが同一となるトランジスタを用いて構成されたレプリカアンプを内部に持つ。
図2における抵抗R1を半分に分割したC点をGMアンプ10のバイアスとして用いることにより、GMアンプ10の相互コンダクタンスとバイアス回路40の内部抵抗R1との積が一定となるGMアンプ10を実現することができる。
周波数変換されたミキサ出力は、図3に示すIV変換部30でその抵抗R31およびR32の抵抗値R0により電流信号から電圧信号に変換され出力される。
これにより、周波数変換回路全体の変換利得はIV変換部30の抵抗R31およびR32の抵抗値R0とバイアス回路40内の抵抗R20の抵抗値R1との比で決まる一定値となるため、変換利得のばらつきが極めて小さく抑制された周波数変換回路を実現することができる。
図1の実施の形態ではGMアンプ10に差動回路を適用したが、図4の実施の形態では、図1のGMアンプ10に替えて、図示のように、入力および出力をシングルエンドで行うように構成したGMアンプ10aを適用している。
GMアンプ10aはトランジスタTr1〜Tr4を含んで構成され、NMOSトランジスタであるTr1およびTr2はそれらの各ソースがグラウンドに接続され、トランジスタのTr1のゲートが容量Ca41を介してシングル入力ポート41に接続されると共に、抵抗Ra1を介して図示のX点に接続されたバイアス回路40から電圧バイアスが供給される。
上述の構成において、バイアス回路40からX点に与える電圧バイアスは、より高い電圧を与える程、GMアンプ10の相互コンダクタンスが増加する傾向を呈し、この結果、周波数変換回路全体の変換利得が増加するように作用する。
即ち、バイアス回路40は、GMアンプ10へ上述のようなバイアス電圧を供給するGM校正回路を構成している。
そして、このGMアンプ10aの後段に、スイッチング回路部20aを接続している。
シングル入力ポート41への入力信号はこのスイッチング回路部20aでローカル周波数によってスイッチングされることによって周波数変換が施され、ダウンコンバートされる。
図示のように、スイッチング回路部20aは、各ゲートに正極性及び負極性のローカル信号がこの順に各対応して入力される各MOSトランジスタTr45およびTr46によるスイッチング回路41が接続され、更にその後段に、既述のようなIV変換部30が接続されている。
そして、上述のようにしてダウンコンバートされた受信電流信号は、IV変換部30で電流-電圧変換され、最終的に周波数変換が行われた電圧信号として出力される。
図5は、本発明の更に他の実施の形態としての周波数変換回路の構成を表す回路図である。この実施の形態では、GMアンプ10aとして図4におけるものと同様の回路を適用し、更に、図示のように、スイッチ回路部20bおよびIV変換部30bも、何れもシングルエンドで行う回路を適用している。
即ち、スイッチング回路部20bはMOSトランジスタTr55によって構成され、シングル入力ポート41への入力信号はこのスイッチング回路部20bでローカル周波数によってスイッチングされることによって周波数変換が施され、ダウンコンバートされる。
そして、上述のようにしてダウンコンバートされた受信電流信号は、シングルエンドで行うIV変換アンプであるIV変換部30bで電流-電圧変換され、最終的に周波数変換が行われた電圧信号として出力される。
以上、図5を参照して説明したような回路でも同様に変換利得が一定に保たれる周波数変換回路を実現することができる。
20,20a,20b,200…スイッチング回路部
30,30b………………………IV変換部
40…………………………………バイアス回路
Claims (1)
- 入力電圧信号を相互コンダクタンスにより該入力電圧信号の電圧値と相互コンダクタンスの積に相当する電流信号に変換するGMアンプと、
前記GMアンプによって当該入力電圧信号を変換して得られた電流信号をローカル信号でミキシングして周波数変換を行うミキサと、
前記ミキサでの周波数変換によって得られた電流信号を電圧信号に変換するIV変換アンプと、
前記GMアンプへバイアス電圧を供給するGM校正回路と、
を備える周波数変換回路において、
該GM校正回路は、
前記GMアンプに用いるトランジスタとそのサイズあたりの相互コンダクタンスを同一としたトランジスタを用いたレプリカアンプを内部に有し、
前記レプリカアンプに、抵抗と第1電流源からの電流との積に相当するDC電圧を入力し、前記レプリカアンプからの電流出力を所定の電流値になるように、該レプリカアンプの電圧バイアスを設定し、前記抵抗の分割点の電圧を前記GMアンプに供給し、
前記GM校正回路に用いる該抵抗をR1、第1電流源からの電流値をI1、前記レプリカアンプからの電流出力の電流値をI2とし、前記IV変換アンプのIV変換に用いる抵抗値がR0のとき、周波数変換の変換利得が(R0/R1)×(I2/I1)の定数倍となることを特徴とする周波数変換回路。
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