JP5118324B2 - レーザピーニング装置 - Google Patents
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Description
一般に、レーザピーニング法による加工は、レーザビームを被加工面に集光照射し、発生するプラズマを被加工面上に形成された水、油その他の液体の慣性媒体中に閉じ込め、これにより発生する衝撃波圧力を被加工面に与えることにより行う。プラズマによる衝撃波圧力を被加工面に効果的に与えるため、プラズマを閉じ込める水、油その他の液体を被加工面上に形成する必要がある。
また、同文献には、ウォータージェット・レーザ併用ピーニング法が記載されている(同文献特許請求の範囲,図1等参照)
特許文献3に記載されるような水中にレーザ照射ヘッド及び被加工物を設置して行うレーザピーニング法にあっては、レーザ照射ヘッド等の装置浸水部及び被加工物の大きさに対応し得る大きな水槽が必要となるという問題がある。
また、水膜式、水中式、ウォータージェット併用式に拘わらず、水を用いれば水による腐食等が問題となり、他の液体を用いれば液体の種類によっては汚染が問題となる。
さらに、水槽への貯水や、水膜を形成するための流水のために、プラズマを閉じ込める液体を大量に消費するという問題がある。
また、特許文献3に記載のウォータージェット・レーザ併用ピーニング法にあっては、ウォータージェットの流動作用により気泡圧壊効果が半径方向に分散し、有効面積は大きくなるものの残留応力の浸透深さが浅くなるという特質を有しており(同文献段落0021参照)、レーザピーニング単独による本来の深い加工が施せない。
マを閉じ込める液体を形成保持する液体保持ヘッドと、
前記液体保持ヘッドに保持された液体を介して前記表面にレーザを照射するレーザ照射ヘッドとを備え、
前記液体保持ヘッドは、前記液体を静止状態に保持可能であることを特徴とするレーザピーニング装置である。
前記液体保持ヘッドは、
プラズマを閉じ込める液体が充填されることにより前記液体を形成保持する液体保持室と、
前記液体保持室の一つの窓であって、前記レーザ照射ヘッドからのレーザを前記液体保持室に入射させる透明部材により密閉された入射窓と、
前記液体保持室の他の一つの窓であって、前記液体保持室に入射したレーザのその後の進路に配置され、前記被加工物の表面を前記液体保持室に保持された前記液体に接液させる対物窓と、
前記対物窓の周囲に形成され、前記被加工物の表面との間で前記対物窓からの前記液体の漏液を封止する対物端面と、
前記対物端面と前記被加工物の表面との間が封止された状態において前記液体保持室に前記液体を導入することが可能な導入口とを有することを特徴とするレーザピーニング装置である。
そのため、本発明によれば、同液体による腐食、汚染が防がれクリーンである。
また、本発明によれば、水槽等の大型の装置を用いることがなく、同液体の消費量を抑えることができ、従って装置構成材や消費材を縮小でき、その結果として製造・使用時における省力化をももたらすことができるから、少資源化、省エネルギー化を促進できる。 加えて、水槽等の大型の装置を用いることがないため、例えば運用中の航空機等輸送機器の既存部品への施行が可能となり、飛躍的に適用範囲を拡大することができる。
さらに、本発明によれば、同液体を大量に扱う必要はなく、被加工物の大きさに制限もなく、レーザ照射ヘッド等の装置の浸水、作業場での散水等による使い勝手の悪さは軽減されるから、使用者にとっての利便性が向上する。例えば、レーザ照射ヘッドの交換、使用後のメンテナンスは容易に行うことができる。また、レーザ照射ヘッド等の装置に防水加工を施す必要はない。
以上のように、本発明によれば、クリーンかつ省エネルギーで利便性に優れたレーザピーニング装置を構成することができる。
液体保持ヘッド1は、側壁体11と、窓ガラス12と、ガラス押さえ13と、О−リング18,19とを備えて構成される。
液体排出口17は、以上のように構成され、対物端面20と被加工物Wの表面との間が封止された状態において液体保持室10から液体Rを排出することが可能である。
レーザ照射ヘッド2から対物窓15までのレーザ経路において、適当な光学部品を設置して反射、屈折などによりレーザの光軸を曲げた構成としてもよい。例えば、液体保持室10内に鏡を設置し、入射窓14へのレーザの入射方向と、対物窓15へのレーザの進行方向とを直角に構成するなどの構成変更は任意である。但し、液体保持室10内に設置される部品は、液体Rによる侵食の対象となる。本実施形態にあっては、図1に示すように、入射窓14から対物窓15までのレーザ経路は一直線状としている。
まず、被加工物Wを移動ベース41に固定する。
次に、被加工物移動装置4により被加工物Wを図1に示すX軸方向に移動させて被加工物Wの加工対象部位の表面を対物端面20(のО−リング18,19)に押圧する。これにより、対物端面20と被加工物Wの表面との間が封止された状態となる。
次に、液体導入口16から液体Rを液体保持室10に導入し充填する。これにより、液体保持室10に液体Rが充填され、被加工物Wの局所の表面上に液体Rを液体保持室10の形に形成し、液体保持室10の形に定形に保持することができる。
発生したプラズマは、液体保持室10内に充填された液体Rによって閉じ込められ、効果的にプラズマ爆発による衝撃波圧力を被加工物Wに付与する。
衝撃波圧力が付与された被加工物Wの表層に圧縮残留応力が残る。
以上により、被加工物Wにレーザピーニング加工が施される。
しかし、本実施形態によれば、液体Rとして防食性の液を用いることができ、これにより以上のすべての問題は解決される。
また、従来の水中式のレーザピーニングで水以外の液体を用いる場合、透明度の問題でレーザ透過能が著しく低下してしまう場合があり、十分なピーニング効果を被加工物材料中に付与することができないという問題があった。
本実施形態によれば、汚染性、消費量、透過性の問題を懸念することなく、水よりも密度の大きい液体や、水よりも高価な液体、水よりも透過率の低い液体を実用することが可能になり、それらの液体による有益な加工特性等の技術的恩恵を得ることができる。
また、本実施形態のレーザピーニング装置を適用することにより、プラズマを閉じ込める液体として水以外の機能性をもった液体を用いたレーザピーニングの汎用性を高めることができる。
なお、本願発明者らの実験によれば、液体Rとして水を用いた本実施形態のレーザピーニング装置により、従来の水中式のレーザピーニングと同等の圧縮残留応力を付与することができた。
2 レーザ照射ヘッド
3 集光レンズ
4 被加工物移動装置
5 液体導入管
6 液体排出管
10 液体保持室
11 側壁体
12 窓ガラス
14 入射窓
15 対物窓
16 液体導入口
16a 液体導入路
17 液体排出口
17a 液体排出路
18,19 О−リング
20 対物端面
41 移動ベース
P パルスレーザ
R 液体
W 被加工物
Claims (8)
- 被加工物の局所の表面上にプラズマを閉じ込める液体を形成保持する液体保持ヘッドと、
前記液体保持ヘッドに保持された液体を介して前記表面にレーザを照射するレーザ照射ヘッドとを備え、
前記液体保持ヘッドは、前記液体を静止状態に保持可能であることを特徴とするレーザピーニング装置。 - 前記液体保持ヘッドは、前記液体を定形に保持することを特徴とする請求項1に記載のレーザピーニング装置。
- 前記液体保持ヘッドが前記液体を定形に保持した状態において前記被加工物を移動させる移動装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザピーニング装置。
- 前記レーザ照射ヘッドと前記液体保持ヘッドとの間に配置される集光レンズを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザピーニング装置。
- レーザ照射ヘッドと、液体保持ヘッドとを備え、
前記液体保持ヘッドは、
プラズマを閉じ込める液体が充填されることにより前記液体を形成保持する液体保持室と、
前記液体保持室の一つの窓であって、前記レーザ照射ヘッドからのレーザを前記液体保持室に入射させる透明部材により密閉された入射窓と、
前記液体保持室の他の一つの窓であって、前記液体保持室に入射したレーザのその後の進路に配置され、前記被加工物の表面を前記液体保持室に保持された前記液体に接液させる対物窓と、
前記対物窓の周囲に形成され、前記被加工物の表面との間で前記対物窓からの前記液体の漏液を封止する対物端面と、
前記対物端面と前記被加工物の表面との間が封止された状態において前記液体保持室に前記液体を導入することが可能な導入口とを有することを特徴とするレーザピーニング装置。 - 前記液体保持ヘッドは、前記導入口とは別に、前記対物端面と前記被加工物の表面との間が封止された状態において前記液体保持室から前記液体を排出することが可能な排出口を有することを特徴とする請求項5に記載のレーザピーニング装置。
- 前記対物端面と前記被加工物の表面との間が封止された状態において前記被加工物を移動させる移動装置を備えることを特徴とする請求項5に記載のレーザピーニング装置。
- 前記レーザ照射ヘッドと前記入射窓との間に配置される集光レンズを備えることを特徴とする請求項5に記載のレーザピーニング装置。
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