JP5118178B2 - 木製資材構造 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に化粧シートをそれぞれ貼着した木製の第1基材及び第2基材を互いの上面を一致させて接合した木製資材構造に関する。
従来から、表面に化粧シートをそれぞれ貼着した木製の第1基材及び第2基材を互いの上面を一致させて接合した木製資材構造を形成する際に、意匠的な目的で接合部表面に面取りを設けることがよく行われていた。この場合、第1基材及び第2基材を構成する木質繊維板の面取り部及び接合のための切削加工部が露出するために、化粧シートと第1及び第2基材との色調の差異が違和感を与えて装飾性を低下させるとともに、木質繊維板が露出する部分に水が浸透してフクレが生じるという問題があった。この問題を解決するために、図12に示すように、基材としての表面に化粧シート11を貼着した木質繊維板12の端部に接合部13を形成するとともに、表面の周縁角部に面取り部14を形成した木製資材において、接合部13及び面取り部14に、化粧シートに近似する色で適度な粘度をもつ塗料を含浸させた含浸部15を設けることが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開平11−291209号公報
しかし、図12に示した従来技術にあっては、化粧シート11を貼着した木質繊維板12に接合部13及び面取り部14を形成するための切削加工を施した後に、塗料を含浸させる特別な工程が必要となり、基材の製造工程が複雑になるとともに、その製造コストが高くなる。また、この種の2つの基材を接合した後には、接合部におけるV溝の露出部分は塗料を含浸させた木質繊維板12となり、たとえ化粧シート11に近似する色の塗料を面取り部14に含浸させても、この塗料を含浸させたV溝の露出部分と化粧シート11とは若干異なり、外観上多少の違和感が残る。
この外観上の多少の違和感を解消するために、図12に2点鎖線で示すように、木質繊維板12に接合部13及び面取り部14を形成するための切削加工を施した後に、前述した化粧シート11と一体的に形成した化粧シート11aを化粧シート11と共に貼着することが考えられる。この化粧シート11,11aの貼着において真空成形法が用いられるのが一般的であるが、このような化粧シート11,11aの貼着においては、木質繊維板12の端部に接合部13を設けるための方形状の段部が形成されており、シート11aがこの段部全体にわたって密着されることなく、シート11aに皺、弛みなどが生じてしまう。そのために、この木質繊維板12からなる基材を他の基材と接合する際に、接合が良好に行われなかったり、外観が悪化したりする。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、その目的は、表面に化粧シートをそれぞれ貼着した木製の第1基材及び第2基材を互いの上面を一致させて接合した木製資材構造において、安価な製造コストで、意匠的に優れかつ組付け精度を向上させた木製資材構造を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、角部に面取りをそれぞれ形成するとともに表面に化粧シート(23,33)をそれぞれ貼着した木製の第1基材(21)及び第2基材(31)を、互いの上面を一致させて互いの面取り部によってV字状の溝を形成するように接合し、かつ第1基材の第2基材と接する端面側の下部を方形状に切欠いて段部(21b)を形成するとともに、第2基材の第1基材と接する端面側の上部を方形状に切欠いて段部(31b)を形成して、第1基材の段部と第2基材の段部とを係合させるようにした木製資材構造において、第1基材との結合前に、第2基材を、化粧シートを貼着する前に、第2基材の第1基材と接する側の角部を面取り加工して傾斜部(31x)を形成し(S23)、傾斜部を形成した第2基材の傾斜部を含む表面に化粧シートを貼着し(S24)、化粧シートを貼着した第2基材の傾斜部から、傾斜部の下端位置にて上面に対して平行な平面が形成されるように、上面近傍の化粧シートを貼着した傾斜部の一部を残して、上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去して段部を形成する(S26)ように加工しておくことにある。この場合、例えば、第1基材及び第2基材の一方は縦框であり、第1基材及び第2基材の他方は横框である。
上記のように構成した本発明の特徴においては、第2基材の第1基材と接する側の角部を面取り加工して傾斜部を形成し、傾斜部を含む第2基材の表面に化粧シートを貼着し、その後に、上面近傍の化粧シートを貼着した傾斜部の一部を残して、上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去して段部を形成するように加工した。そして、前記加工された第2基材と第1基材とを接合した。これによれば、第1基材と第2基材との上面の接合部に面取り部によって形成されるV字状の溝の表面も化粧シートで覆われるので、前記上面の接合部の外観にも違和感が残されず、意匠的に優れたものとなる。また、化粧シートを貼着する際には、第2基材の第1基材と接する側の端面には傾斜部が形成された状態であって、方形状の段部が形成されていない状態なので、入隅部がない傾斜部に化粧シートが貼着されることになり、化粧シートに皺、弛みなどが生じることはなく、第1基材と第2基材との接合における組付け精度が良好になるとともに、外観上の悪化も回避することができる。しかも、この第2基材の製造工程においては、前記従来技術のような塗料の含浸工程は含まれていないので、製造工程が簡単になり、製造コストを安価にすることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記本発明の特徴である化粧シートを貼着した第2基材の傾斜部に段部を形成する工程(S26)を、化粧シートを貼着した第2基材の傾斜部から、上面近傍の化粧シートを貼着した傾斜部の一部を残して、傾斜部の途中の上面に平行な平面位置まで、上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去するとともに、前記傾斜部の途中の上面に平行な平面位置よりも下方の部分であって、第1基材と接する側の部分を上面に対して垂直に除去して段部を形成するように変更したことにある。
これによれば、傾斜部の途中の上面に平行な平面位置よりも下方の部分であって、第1基材と接する側の部分を上面に対して垂直に除去することにより、傾斜部の下方に貼着された化粧シートを除去することができる。その結果、第2基材と接する側の端面の下部を方形状に切欠いて形成した第1基材の段部との接触部分を、化粧シートとではなく、木製部分とすることができ、第1基材と第2基材との接合がより良好に行われるようになる。
(A)は本発明の一実施形態に係る扉の正面図であり、(B)は前記扉の平面図であり、(C)は前記扉の側面図である。 図1(A)の2−2線に沿って見た断面図である。 図1(A)の3−3線に沿って見た断面図である。 (A)は図1のA部の拡大図であり、(B)は前記A部の側面図である。 図4(A)の5−5線に沿って見た断面図である。 前記扉の製造工程図である。 (A)〜(E)は、図1の縦框の横框との接続部の加工工程の一部を説明するための説明図である。 (A)〜(E)は、図1の横框の縦框との接続部の加工工程の一部を説明するための説明図である。 図1の縦框と横框との接合を説明するための説明図である。 (A)〜(E)は、前記実施形態の変形例に係る横框の縦框との接続部の加工工程の一部を説明するための説明図である。 前記変形例に係る縦框と横框との接合を説明するための説明図である。 従来技術を説明するための接合される基材の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る扉について図面を用いて説明する。図1において、(A)は扉の正面図であり、(B)は扉の平面図であり、(C)は扉の側面図である。扉は、枠体を構成する縦框20A,20B及び横框30A、30Bを備えている。縦框20A,20Bは、図示上下方向に互いに平行に延設され、それらの上下端部にて、それぞれ図示左右方向に互いに並行に延設された横框30A、30Bの左右両端にダボ41により連結されている。なお、この縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの連結部については詳しく後述する。
縦框20Aと縦框20Bとは、図1(A)にて左右方向に対称に形成されており、図1及び図2に示すように、長尺状かつ板状であって方形状に形成した基材21をそれぞれ有する。横框30Aと横框30Bとは、図1(A)にて上下方向に対称に形成されており、図1及び図3に示すように、長尺状かつ板状であって方形状に形成した基材31をそれぞれ有する。基材21、31の表面側の角部には面取りが施されている。なお、基材21,31の図示左右方向及び上下方向の長さは異なるが、基材21,31の厚さ(紙面垂直方向の寸法)は等しい。基材21,31の裏面(下面)には裏面シート22,32がそれぞれ貼着されているとともに、基材21,31の表面(上面及び側面)には化粧シート23,33がそれぞれ貼着されている。基材21,31としては、中質繊維板(MDF:medium density fiberboard)、パーチクルボードなどが用いられる。裏面シート22,32は、ポリ・プロピレン(PP)、ポリ・エチレン・テレフタレート(PET)などで形成されている。化粧シート23,33は、ポリ・プロピレン(PP)、ポリ・エチレン・テレフタレート(PET)、アクリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などで形成されている。
縦框20A,20Bの裏面(下面)の内側部分には、横框30A,30Bとの連結部を除いて長手方向に、断面方形状に切欠いた段部21aが形成されている。横框30A,30Bの裏面(下面)の内側部分には、縦框20A,20Bとの連結部を除いて長手方向に、断面方形状に切欠いた段部31aが形成されている。これらの縦框20A,20Bの段部21a及び横框30A,30Bの段部31aにより、縦框20A,20B及び横框30A,30Bの内側端部の方形状部分には、全体にわたって段部が形成される。そして、この方形状に形成された段部には、その天井面に接するように方形状のガラス板42が組込まれている。そして、このガラス板42は、縦框20A,20Bの段部21a及び横框30A,30Bの段部31aに組付けられたガラス押さえ縁43,44により固定されている。なお、ガラス押さえ縁43,44は、縦框20A,20Bの段部21a及び横框30A,30Bの段部31aの各側壁面にそれぞれタッカーによって固定されている。
次に、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの連結部について、図4及び図5を用いて詳しくは説明する。図4(A)は図1(A)の2点鎖線で囲んだA部の拡大図であり、図4(B)は図4(A)の側面図である。図5は、図4(A)の5−5線に沿って見た断面図である。縦框20Aの上端部の内側(図示右側)の下面には、縦框20Aの長手方向に沿って断面方形状に切欠いた段部21bが形成されている。横框30Aの左端部の上面には、横框30Aの短手方向に沿って断面方形状に切欠いた段部31bが形成されている。この場合、縦框20Aの厚さ方向の切欠き量すなわち縦框20Aの下面から段部21bの天井面21b1(図7(D)参照)までの寸法と、横框30Aの厚さ方向の切欠き量すなわち横框30Aの上面から段部31bの底面31b1(図8(D)参照)までの寸法との和は、縦框20A及び横框30Aの厚さに等しい。また、縦框20Aの横方向の切欠き量すなわち縦框20Aの図示右端面から切欠いた段部21bの側壁面21b2(図7(D)参照)までの寸法は、横框30Aの横方向の切欠き量すなわち横框30Aの図示左端面から切欠いた段部31bの側壁面31b2(図8(D)参照)までの寸法に等しい。
さらに、縦框20Aの段部21bには、円柱状の1対のダボ穴21c,21cが形成されている。横框30Aの段部31bの前記ダボ穴21c,21cと対向する位置には、前記ダボ穴21c,21cと同一径の一対のダボ穴31c,31cが形成されている。そして、接着剤が塗布されたダボ穴21c,21c及びダボ穴31c,31cにダボ41,41が挿入され、かつ縦框20Aの段部21bと横框30Aの段部31bとが係合されて、縦框20Aの上端部と横框30Aの左端部とが接続(すなわち接合)される。なお、この縦框20Aの上端部と横框30Aの左端部との接合と同様に、縦框20Aの下端部と横框30Aの左端部、縦框20Bの上端部と横框30Aの右端部、及び縦框20Bの下端部と横框30Bの右端部も接続されている。
次に、上記のように構成した扉の製造工程について、図6の工程図及び図7〜9の断面図を用いて説明する。図7は図5の断面図に対応する位置の縦框20A,20Bの加工工程を示す断面図であり、図8は図5の断面図に対応する位置の横框30A,30Bの加工工程を示す断面図であり、図9は縦框20A,20Bと横框30A,30Bとを接合した断面図である。なお、図7〜9においては、裏面シート22,32及び化粧シート23,33を強調するために実際よりも厚く示している。
まず、ステップS11で、予め決められた寸法の縦、横及び厚さを有するMDF,パーチクルボードなどの木製材料からなる方形状の縦框20A,20B用の基材21を用意する。なお、縦框20A用の基材21と縦框20B用の基材21は、180度回転すれば全く同じ形状を有する板材料であって、同一のものである。次に、ステップS12で、PP、PETなどからなる裏面シート22を基材21の裏面に貼着する(図7(A)参照)。ステップS12の裏面シート22の貼着工程後、ステップS13で、基材21を面取り加工する。この面取り加工工程においては、基材21の表面(裏面シート22を貼着した反対側の面)すなわち上面と側面とで構成される角部に面取りを施す(図7(B)参照)。なお、この場合の面取り量は、いずれの部分においても同じ小さな量である。
前記ステップS13の面取り加工工程後、ステップS14で、面取りされた基材21の上面及び側面すなわち裏面を除く5面に、真空成形法を用いて、PP、PET、ABSなどからなる化粧シート23を貼着する(図7(C)参照)。その後、ステップS15で、化粧シート23が貼着された基材21をクリア塗装処理する。具体的には、前記化粧シート23の貼着された5面にウレタン塗料を塗布し、塗布したウレタン塗料に紫外線を照射して硬化させるUV硬化処理を行う。
このステップS15のクリア塗装工程後、ステップS16で、基材21に段加工処理を施す。この段加工処理においては、基材21の長手方向の両端部の裏面内側部分を、長手方向に沿って切削加工を行って方形状の段部21bを形成する(図7(D)参照)。この基材21の長手方向の両端部とは、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの各接合部に相当する。なお、ここで、後述の説明のために、基材21の厚さに化粧シート23及び裏面シート22の厚さを加えた縦框20A,20Bの全体の厚さをL1として示しておくとともに、縦框20A,20Bの裏面シート22を含む下面から段部21bの天井面21b1までの寸法をL2として示しておく。また、縦框20A,20Bの化粧シート23を含む内側端面から段部21bの側壁面21b2までの寸法をL3として示しておくとともに、基材21の面取り部の水平方向寸法(基材31の面取り部の水平方向寸法にも等しい)をLxとして示しておく。また、このステップS16の段加工処理においては、基材21の長手方向の両端部以外の裏面内側部分を、長手方向に沿って切削加工を行って方形状の段部21aも形成する(図1参照)。前記ステップS16の段加工工程後、ステップS17で、基材21の長手方向の両端部に、ダボ穴21c,21cを形成する(図7(E)参照)。
このような縦框20A,20Bの加工工程と並行又は前後して、ステップS21以降の横框30A,30Bに関する加工工程が行われる。ステップS21においては、予め決められた寸法の縦、横及び厚さを有する横框30A,30B用の基材31を用意する。横框30A,30Bの基材31の材料及び厚さは前記縦框20A,20Bと同じであり、また横框30A用の基材31と横框30B用の基材31とは全く同じものである。次に、ステップS22で、前記ステップS12の場合と同様に、裏面シート32を基材31の裏面に貼着する(図8(A)参照)。ステップS22の裏面シート32の貼着工程後、ステップS23で、基材31の上面と側面とで構成される角部に面取り加工を施す。ただし、この面取り加工においては、縦框20A,20Bの場合とは異なり、基材31の上面と長尺方向の側面とで構成される角部の面取り量は縦框20A,20Bの面取り量と同じ小さな量であるが、基材31の上面と長尺方向の端部側の側面(以下、側端面という)とで構成される角部の面取り量は縦框20A,20Bの面取り量よりも大きい。そして、この基材31の上面と側端面とで構成される角部の面取りにより、前記角部には傾斜部31xがそれぞれ形成される(図8(B)参照)。
この傾斜部31xにおいては、基材31の側端面から基材31の上面における面取り位置までの寸法をL4とすると、寸法L4は、前記縦框20A,20Bの場合の寸法L3、化粧シート23の厚さΔL1及び面取り部の水平方向寸法Lxを用いて、下記式1のように表される。
L4=L3−ΔL1+Lx …式1
また、基材31の側端面における上面からの面取り位置までの寸法をL5とすると、寸法L5は、前記縦框20A,20Bの場合の寸法L1,L2及び化粧シート23の厚さΔL1を用いて、下記式2のように表される。
L5=L1−L2−ΔL1 …式2
なお、この傾斜部31xの傾斜角度は、前述した縦框20A,20Bの面取り部の角度に等しい。
前記ステップS23の面取り加工工程後、ステップS24で、面取りされた基材31の傾斜部31xを含む上面及び側面すなわち裏面を除く5面に、真空成形法を用いて、PP、PET、ABSなどからなる化粧シート33を貼着する(図8(C)参照)。その後、ステップS25で、前記ステップS15と同様にして、化粧シート33が貼着された基材31をクリア塗装処理する。
このステップS25のクリア塗装工程後、ステップS26で、基材31に段加工処理を施す。この段加工処理においては、基材31の長手方向の両端部において、傾斜部31xを、図8(C)の2点差線で示す3角形状部分を紙面垂直方向に沿ってルータで切削除去(以下、除去又は除去加工とする)して段部31bを形成する(図8(D)参照)。この場合、基材31の厚さに化粧シート33及び裏面シート32の厚さを加えた横框30A,30Bの全体の厚さをL1(縦框20A,20Bの全体の厚さと同じ)とし、横框30A,30Bの化粧シート33を含む上面から段部31bの底面31b1までの寸法をL6とすると、寸法L6は、前記縦框20A,20Bの場合の寸法L1,L2を用いて、下記式3のように表される。
L6=L1−L2 …式3
また、化粧シート33を含む横框30A,30Bの内側端面から段部31bの側壁面31b2までの寸法をL7とすると、寸法L7は、前記縦框20A,20Bの場合の寸法L3を用いて、下記式4のように表される。
L7=L3 …式4
また、このステップS26の段加工処理においては、基材31の裏面内側部分を、長手方向に沿って除去加工を行って方形状の段部31aも形成する(図1参照)。前記ステップS26の段加工工程後、ステップS27で、基材31の長手方向の両端部に、前記ダボ穴21c、21cと同径のダボ穴31c、31cを形成する(図8(E)参照)。
ふたたび、縦框20A、20Bの加工工程の説明に戻ると、前記ステップS17のダボ穴加工工程後、ステップS18で、縦框20A、20Bの各ダボ穴21c内に接着剤を塗布し、ステップS19で、別途用意した円柱状の木製のダボ41を各ダボ穴21c内に挿入するダボ挿入工程を行う。なお、ダボ41の直径は、ダボ穴21c,31cよりも僅かに大きい。また、このステップS18,S19の加工工程とほぼ同時に、ステップS28で、横框30A,30Bの各ダボ穴21c内に接着剤を塗布する。
前記ステップS19,S28の処理後、ステップS31で、框組み工程を行う。具体的には、縦框20A,20Bのダボ穴21cに一端を挿入したダボ41の他端を横框30A,30Bのダボ穴31cに挿入するように、横框30A,30Bを縦框20A,20Bに組付ける。すなわち、縦框20Aの上下両端部に横框30A,30Bの一端部を接合し、横框30A,30Bの他端部に縦框20Bの上下両端部を接合する(図9参照)。このとき、縦框20A,20Bの各段部21bは、横框30A,30Bの各段部31bに接するように係合する。また、このステップS31の框組み工程においては、接着剤が乾燥するまで、縦框20A,20Bの外側から互いに内側に圧力を加える圧締も行う。
前記ステップS31の框組み工程後、ステップS32で、縦框20A,20B及び横框30A,30Bによる方形状の枠体の上下面を適当な長さずつカットして、縦框20A,20B及び横框30A,30Bによる方形状の枠体の上下面を面一に整えるとともに、上下方向の長さを適切にする。次に、ステップS33で、前記カットした縦框20A,20B及び横框30A,30Bの上下面に、PET、ABSなどにより構成したエッジシートを貼着する。これにより、縦框20A,20B及び横框30A,30Bによる扉の方形状の枠体が形成される。
この扉の枠体の形成後、ステップS34で、縦框20A,20Bの段部21a,21a及び横框30A,30Bの段部31a,31aにより、縦框20A,20B及び横框30A,30B内に形成された方形状の空間にガラス板42を組付ける。そして、ステップS35で、ガラス板42を組み付けた縦框20A,20B及び横框30A,30Bの裏面内側部分に木製のガラス押さえ縁43をタッカーで固定する。その後、ステップS36で、縦框20A,20B、横框30A,30B及びガラス板42からなる扉に丁番を組付けるための丁番用穴を形成し、ステップS37で、丁番用穴に丁番を組みつけて扉の加工工程を終了する。
上記のような構成した実施形態においては、縦框20A,20Bの長手方向の内側端部に段部21bを形成するとともに、横框30A,30Bの長手方向の端部に段部31bを形成して、両段部21b,31bを係合させて縦框20A,20Bと横框30A,30Bとを接合したので、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとが堅固に安定して結合される。そして、この結合部分においては、ステップS23の工程で横框30A,30Bを面取り加工して傾斜部31xを形成し、ステップS24の工程で傾斜部31xを含む横框30A,30Bの表面に化粧シート33を貼着し、ステップS26の工程で、化粧シート33を貼着した基材31の傾斜部31xから、傾斜部31bの下端位置にて基材31の上面に対して平行な上面が形成されるように、上面近傍の化粧シート33を貼着した傾斜部31xの一部を残して、上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去して方形状の段部31bを形成するように加工した。その結果、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの上面の接合部に面取り部によって形成されるV字状の溝の表面も化粧シート33で覆われるので、上面の接合部の外観にも違和感が残されず、意匠的に優れたものとなる。また、化粧シート33を貼着する際には、横框30A,30Bの縦框20A,20Bと接する側の端面には傾斜部31xが形成された状態であって、方形状の段部31bが形成されていない状態なので、入隅部がない傾斜部31xに化粧シート33が貼着されることになり、化粧シート33に皺、弛みなどが生じることはなく、横框30A,30Bの縦框20A,20Bとの接合における組付け精度が良好になるとともに、外観上の悪化も回避することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
上記実施形態における横框30A,30Bの加工工程を次のように変更することもできる。この変形例について、図6の工程図、図10の横框30A,30Bの加工断面図及び図11の縦框20A,20Bと横框30A,30Bとを接合した断面図を用いて説明する。まず、ステップS21において、上記実施形態における基材31よりも左右方向に若干だけ長い基材31を用意する。正確には、長手方向の両端において予め決められた微小値ΔLだけそれぞれ長い基材31を用意する(図10(A)参照)。そして、ステップS22の裏面シート貼り工程後のステップS23で、上記実施形態の場合と同様に、基材31の端部上面側を面取り加工して傾斜部31xを形成する(図10(B)参照)。ただし、この場合、基材31の端面から基材31の上面における面取り位置までの寸法は、上記実施形態の寸法L4よりも若干だけ長い寸法L4+ΔLとする。また、基材31の端面における上面からの除去位置までの寸法も、上記実施形態の寸法L5よりも若干だけ長い寸法L5+ΔLとする。なお、この場合の面取りの角度は45度であり、45度以外の場合は、前記寸法L5+ΔLは若干異なる値となる。
次に、上記実施形態と同様なステップS24の化粧シート貼り工程及びステップS25のクリア塗装工程後、ステップS26で、段加工工程を行う。この段加工工程においては、上記実施形態の基材31の端部上面側の除去加工による段部31bの形成及び裏面内側部分の除去加工による段部31aの形成に加えて、図10(C)の2点差線で示すように、傾斜部31xの下側に位置する基材31の端面側部分を垂直に除去する(図10(D)参照)。この場合の除去加工は、化粧シート33を含む横框30A,30Bの端面から寸法ΔLまでである。これにより、傾斜部31xの下側に位置する基材31の端面に貼着されていた化粧シート33も除去され、基材31の端面側には、上面近傍の面取り部分以外において化粧シート33が存在しなくなる。その後、ステップS27で、上記実施形態と同様にダボ穴加工を行う(図10(E)参照)。他の工程に関しては、上記実施形態の場合と全く同じである。そして、ステップS31の框組み工程により、図11に示すように、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとが結合される。
この変形例においては、段部31の形成において、化粧シート33を貼着した基材31の傾斜部31xから、上面近傍の化粧シート33を貼着した傾斜部31xの一部を残して、傾斜部31xの途中の上面に平行な平面位置まで、上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去するとともに、前記傾斜部31xの途中の上面に平行な平面位置よりも下方の部分であって、基材21と接する側の部分を上面に対して垂直に除去するようにした。これにより、傾斜部31xの下側に位置する基材31の端面に貼着されていた化粧シート33も除去され、基材31の端面側には、上面近傍の面取り部分以外において化粧シート33が存在しなくなる。その結果、縦框20A,20Bと横框30A,30Bを接合する際、縦框20A,20Bの段部21bと接触する横框30A,30Bの端面を、化粧シート23とではなく、木製部分とすることができ、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの接合がより良好に行われるようになる。
また、上記実施形態及び変形例においては、図9及び図11に示すように、横框30A,30Bの段部31bの側壁面31b2(図8(D)及び図10(D)参照)と接する縦框20A,20Bの内側端面部分には、化粧シート23が貼着されている。しかし、縦框20A,20Bの内側端面部分の化粧シート23を切削によって除去して、縦框20A,20Bの基材21の内側端面が、化粧シート23を介さずに、横框30A,30Bの段部31bに直接接するようにしてもよい。この場合、横框30A,30Bの切削による段部31bの形成時に、切削量を化粧シート23の厚さ分だけ横框30A,30Bの端面寄りに少なくするようにする。これによっても、縦框20A,20Bと横框30A,30Bを接合する際、横框30A,30Bの段部31bと接触する縦框20A,20Bの内側端面を、化粧シート33とではなく、木製部分とすることができ、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの接合がより良好に行われるようになる。
また、上記実施形態及び変形例においては、縦框20A,20Bの上下両端部の内側面に横框30A,30Bの端面を接合するようにした。しかし、これに代えて、横框30A,30Bの左右両端部の内側面に縦框20A,20Bの端面を接合するようにしてもよい。すなわち、図1の扉を90度回転して、上記実施形態とは、縦框20A,20Bと横框30A,30Bとの関係を逆にしてもよい。
上記実施形態及び変形例においては、縦框20A,20B及び横框30A,30Bを結合した扉に関して本発明を適用するようにした。しかし、2つの基材を接合するものであれば、扉以外の家具にも適用されるとともに、家具以外の物品にも適用されるものである。
20A,20B…縦框、30A,30B…横框、21,31…基材、21a,21b,31a,31b…段部、21b1…天井面、21b2,31b2…側壁面、31b1…底面、21c,31c…ダボ穴、31x…傾斜部、22,32…裏面シート、23,33…化粧シート、41…ダボ、42…ガラス板、43,44…ガラス押さえ縁

Claims (3)

  1. 角部に面取りをそれぞれ形成するとともに表面に化粧シートをそれぞれ貼着した木製の第1基材及び第2基材を、互いの上面を一致させて互いの面取り部によってV字状の溝を形成するように接合し、かつ
    前記第1基材の前記第2基材と接する端面側の下部を方形状に切欠いて段部を形成するとともに、前記第2基材の前記第1基材と接する端面側の上部を方形状に切欠いて段部を形成して、前記第1基材の段部と前記第2基材の段部とを係合させるようにした木製資材構造において、
    前記第1基材との結合前に、前記第2基材を、
    前記化粧シートを貼着する前に、前記第2基材の前記第1基材と接する側の角部を面取り加工して傾斜部を形成し、
    前記傾斜部を形成した第2基材の前記傾斜部を含む表面に化粧シートを貼着し、
    前記化粧シートを貼着した第2基材の傾斜部から、前記傾斜部の下端位置にて前記上面に対して平行な平面が形成されるように、上面近傍の化粧シートを貼着した傾斜部の一部を残して、前記上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去して前記段部を形成するように加工しておくことを特徴とする木製資材構造。
  2. 角部に面取りをそれぞれ形成するとともに表面に化粧シートをそれぞれ貼着した木製の第1基材及び第2基材を、互いの上面を一致させて互いの面取り部によってV字状の溝を形成するように接合し、かつ
    前記第1基材の前記第2基材と接する端面側の下部を方形状に切欠いて段部を形成するとともに、前記第2基材の前記第1基材と接する端面側の上部を方形状に切欠いて段部を形成して、前記第1基材の段部と前記第2基材の段部とを係合させるようにした木製資材構造において、
    前記第1基材との結合前に、前記第2基材を、
    前記化粧シートを貼着する前に、前記第2基材の前記第1基材と接する側の角部を面取り加工して傾斜部を形成し、
    前記傾斜部を形成した第2基材の前記傾斜部を含む表面に化粧シートを貼着し、
    前記化粧シートを貼着した第2基材の傾斜部から、上面近傍の化粧シートを貼着した傾斜部の一部を残して、前記傾斜部の途中の前記上面に平行な平面位置まで、前記上面に対して一辺が垂直であり他の一辺が平行である断面3角形状部分を除去するとともに、前記傾斜部の途中の前記上面に平行な平面位置よりも下方の部分であって、前記第1基材と接する側の部分を前記上面に対して垂直に除去して前記段部を形成するように加工しておくことを特徴とする木製資材構造。
  3. 前記第1基材及び前記第2基材の一方は縦框であり、前記第1基材及び前記第2基材の他方は横框である請求項1又は2に記載した木製資材構造。
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