JP5117788B2 - 液体供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の燃料及び燃料前駆体の供給方法に係る液体供給装置である。
従来、パーソナルコンピュータや携帯電話等の電子機器の電源として固体高分子型燃料電池を用いたものが知られている。上記燃料電池で電気化学反応を起こし電気に変換する物質としては水素、メタノール等の燃料流体が挙げられる。
燃料電池は内部をイオン(プロトン)が移動する電極触媒層・固体電解質膜複合体(MEA)が、アノード側電極とカソード側電極とに挟み込まれた構造になっている。カソード側の電極触媒層では空気、又は酸素供給装置によって酸素が供給され、アノード側の電極触媒層には上記のような燃料流体が供給される。発電の際にはアノード側の電極触媒層から与えられたプロトンが電解質膜中を移動し、カソード側の電極触媒層において酸素と反応して電流を発生する。
燃料電池を連続的に動かす場合当然ながら燃料を絶やすことなく供給する必要がある。そのため燃料を搭載した燃料カートリッジによって燃料を与え、該燃料カートリッジ中の燃料の残量が低下してくると燃料カートリッジを新規のものに交換して取り付ける方法が広く知られている。
また、上記燃料に水素を用いる場合には当然ながら燃料側電極に水素を供給する必要がある。このような燃料電池における燃料カートリッジの例として水素吸蔵合金ボンベ、高圧水素タンク、水素発生装置が挙げられる。中でも水素発生装置は燃料カートリッジ中に水素前駆体を貯蔵すること、燃料カートリッジ内部が高圧にならないことが特徴である。そのため筐体の素材の幅広い選定ができ、重量に関して優位性を持っている。
水素発生装置では複数から成る水素発生物質を反応させることによって水素を発生させる。水素発生物質の代表的な例を挙げると、水素化アルミニウムと水、固体の水素化ホウ素ナトリムと触媒溶液、液体の水素化ホウ素ナトリウムと触媒溶液等がある。上記の手法において複数の物質を反応させる際には、液体をもう一方の反応物質に加える方法が取られることが多い。
上記の水素発生装置において液体の送液方法として、ポンプやレギュレータを用いたものがある。しかし水素発生装置や燃料電池本体にポンプやレギュレータを取り付けると燃料電池システムの体積や重量が増加してしまう。また特にポンプは電気エネルギーを用いるため、燃料電池と接続される電子機器に使用できる有効な電力量が少なくなってしまう。そのため上記液体の送液装置としてバネを用いて液体に荷重をかけて押圧し、その圧力で液体を移動させるという手法がある(例えば特許文献1参照)。またこの手法はDMFCにおいて燃料側電極にメタノール等の液体燃料を送液するためにも用いられている。その場合水素発生装置と同様、液体燃料にバネで荷重をかけて押圧し、その圧力で液体燃料を移動させる。
特開2004−87470
しかしバネの特性として、バネの変位量が変化するにつれバネの荷重も変化する。そのためバネを用いて液体に荷重をかけると、液体の残量によってバネの荷重が変化するため送液速度が変化する。通常バネのみで液体に荷重をかけると、残量が多い状態では荷重は大きく、少ない状態では荷重は小さい。水素発生装置において、送液速度が変化すると水素発生速度も変化する。そのためバネを用いて送液すると、残量が少ない状態では水素発生速度が低く燃料電池で使用する水素速度に満たなくなったり、残量が多い状態では水素発生速度が速く多くの水素が発生し燃料電池及び燃料カートリッジの内部圧力が高くなってしまうことがある。またDMFCにおいても流量が変化すると限界電流等の発電特性が変化する。そのため残量に応じて送液速度に変化が生じることは好ましくない。
そこで本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、液体の残量に応じて押圧力が変化するバネのような弾性体で液体を送液する場合に、大型の補器や電力を伴う補器を用いずにより一定の速度で送液する事ができる液体供給装置を提供する事を目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の様態は、液体を収容し、液体を排出する排出口を供えた液体収容部と、荷重板を介して液体収容部に押圧力を与える加圧部と、前記液体収容部の外側に配置され、前記液体収容部を支持する支持部と、前記荷重板に対して前記押圧力に対抗する対抗力を加える対抗部とを備え、前記加圧部は、前記液体収容部に収容された前記液体が減るにつれて、前記液体収容部への押圧力が減るものであり、前記対抗部は、前記押圧力が最大の状態での前記対抗力の大きさに比べて、前記押圧力が最小の状態での前記対抗力が小さくなり常に前記押圧力よりも小さいことを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第1の様態においては、内部に収容した液体が排出する排出口を備えた液体収容部を、荷重板を介して加圧部による押圧力と、対抗部によって押圧力と対抗する対抗力の合力によって押圧する。液体収容部に収容された液体の残量が減少するに従って、加圧部による押圧力は減少していく。また対抗部による対抗力も押圧力が減少するに従って減少するため、液体の残量が多い状態においては押圧力が低減し、液体の残量が少ない状態においては対抗力による押圧力の低減が少ない。そのため残量の変化に応じて液体にかかる圧力の差が少なく、液体収容部に加圧部のみによって押圧する場合よりも一定の速度で液体を送液することができる。
本発明の第2の様態は、第1の様態に記載の液体供給装置において、固体の反応用物質を収容するとともに前記液体と前記反応用物質とを反応させて水素を生成する反応室と、前記反応室に備えられ前記水素を前記反応室外部へと供給する水素供給口と、前記排出口から前記反応室に前記液体を送る送液路と、前記排出口から前記反応室への前記液体の流れを制御する弁とを備えることを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第2の様態においては、反応室の内部で液体と反応用物質を反応させて水素を発生させる水素発生装置において、より一定の速度で液体を送液する事ができるため、より一定の速度で水素を発生することができる。
本発明の第3の様態は、第1及び第2の様態に記載の液体供給装置において、前記対抗部は前記荷重板と接続される弾性体であり、前記加圧部による押圧力が前記押圧力の最大値と最小値の中間値よりも小さくなると前記荷重板との接続を開放されることを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第3の様態においては、残量が少ない状態では対抗力が全くかからないため、押圧力が大きい状態と小さい状態での対抗部による対抗力の差を明確にし、より一定の速度で液体を送液することができる。
本発明の第4の様態は、第1及び第2の様態に記載の液体供給装置において、前記対抗部は複数の磁性体からなり、前記対抗力は前記磁性体によって与えられる磁力であることを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第4の様態においては、対抗部として磁性体を用いているため、より残量が多く加圧部による押圧力が大きい場合に、より大きな対抗力を得ることができる。そのためより一定の速度で液体を送液することができる。
本発明の第5の様態は、第1及び第2の様態に記載の液体供給装置において、前記対抗部は前記荷重板の縁部と接触して設けられた摩擦体であり、前記摩擦体は前記押圧力が小さくなるにつれて前記縁部との摩擦力を小さくすることを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第5の様態においては対抗部として荷重板の側面に摩擦体を用いているため、荷重板の上部に対抗部を設ける必要がなく空間をさらに確保することができ、その空間を有効に利用する事ができる。
本発明の第6の様態は、第5の様態に記載の液体供給装置において、前記摩擦体は弾性材であり、前記縁部に圧縮された状態で接触し、前記押圧力が小さくなるにつれて圧縮量が減少することを特徴する液体供給装置にある。
かかる第6の様態においては弾性を有する摩擦体の圧縮量を変化させることで対抗力を変化させることにより、前記押圧力が小さくなるに伴い前記対抗力を小さくすることができる。そのため圧縮量を適切に設定することにより、より一定の速度で液体を送液する事ができる。
本発明の第7の様態は、第5の様態に記載の液体供給装置において、前記摩擦体の表面、あるいは前記荷重板の縁部、あるいは前記摩擦体の表面且つ前記荷重板の縁部、に勾配を有する粗さを有し、前記押圧力が小さくなるにつれて前記荷重板の縁部と前記摩擦体の表面との相対的な粗さが小さくなることを特徴とする液体供給装置にある。
かかる第7の様態は、摩擦体若しくは荷重板縁部の表面粗さによって摩擦力を得るため摩擦体の材質の制限が少なく、支持部と同一の部材であっても良い。そのため摩擦体の材質の選定の幅が広がるばかりでなく、支持部と同一の部材にすれば構成部品の点数、材質の種類を減らすことができる。また、前記荷重板の縁部と前記摩擦体の表面との相対的な粗さを任意に設定することができるため、摩擦力の大きさを細かに調整することができる。
本発明の第8の様態は、第5の様態に記載の液体供給装置において、前記摩擦体は弾性材であり、前記縁部にひずんだ状態で接触し、前記押圧力が小さくなるにつれて、前記縁部と接触する面積が小さくなることをさらに特徴とする液体供給装置にある。
かかる第8の様態においては弾性を有する摩擦体が潰れる面積を変化させることで対抗力を変化させることにより、前記押圧力が小さくなるに伴い前記対抗力を小さくすることができる。そのため摩擦体が潰れる面積を適切に設定する事により、より一定の速度で液体を送液する事ができる。
本発明の第9の様態は、第1乃至第8の様態に記載の液体供給装置と、前記水素供給口から供給された前記水素と酸素とを用いて電圧を発生する発電部とを有する燃料電池にある。
かかる第9の様態においては第1乃至第8の様態に記載の液体供給装置を用いて送液した液体によって水素を発生させているため、液体の残量によらずより一定の速度で水素を発生する事ができる。そのため燃料電池において液体の残量による発電特性のばらつきを低減することができる。
液体の残量に応じて押圧力が変化するバネのような弾性体で液体を送液する場合に、大型の補器や電力を伴う補器を用いずにより一定の速度で送液する事ができる。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る液体供給装置の第1実施形態例の構成図である。以下図1に基づいて第1実施形態例を説明する。
内部容積を変化させることができる液体収容部1の内部には液体11が収容されている。液体収容部1の例としてはシリンジ、可撓性を有する袋、ベローズ容器等が挙げられる。また袋を構成する可撓性を有する素材としては、PE、PP、PVDC,PET,PVDF,PPE、シリコーンシート等の樹脂材が挙げられる。液体11の例としては水素前駆体である触媒溶液・水素化ホウ素ナトリウム溶液・水や、DMFCの燃料であるメタノールが挙げられるがこれには限らない。
また加圧部2が剛性を有する荷重板12を介して液体収容部1を押圧するよう配置されている。加圧部2は液体収容部1に収容された液体11が減るに従って押圧力が減少していく。加圧部2の例としてはバネ、圧縮気体、ゴム等が挙げられる。また加圧部2は複数あっても良い。
荷重板12には加圧部2による押圧力だけでなく対抗部3によって押圧力と逆向きであり押圧力が減少するに伴いその力を減少させる対抗力がかかる。対抗力は押圧力よりも大きくなることがなく、荷重板12は押圧力と対抗力の合力を受けて常に液体収容部1に対して押圧力をかける。また対抗部3は力のバランスを考慮し、押圧力と対抗力の合力が荷重板12の中心にあるように配置されることがより好ましい。
液体11にかかった押圧力を受けて液体収容部1の内部容積が減少するように、液体収容部1の外側には支持部4が備えられている。そのため押圧力がかかったときに、液体収容部1は圧力を維持できる。支持部4は液体収容部1の底面と側面を包囲し、液体収容部1の上面を荷重板12が押す構造が好ましい。また加圧部2による押圧力を効率的に液体収容部1に伝えるよう、支持部4の側面と荷重板12の間はできる限り隙間が生じないようにすることが良い。また支持部4は液体収容部1にかかった圧力を維持できるよう剛性を有することが好ましい。
荷重板12、支持部4に用いられる剛性を有する素材としてはアクリルや金属等が挙げられ、剛性を示す素材であるならばこれに限らない。
加圧部2と対抗部3によって加圧された液体11は、液体収容部1に備えられた排出口5から液体供給装置外部へと送液される。液体11の残量が減少していくと液体収容部1は加圧部2と対抗部3の合力によって押圧されているため容積を減少させていく。それに伴い荷重板12も変位するが、荷重板12を所望の方向に変位させるための手段が講じられていることが好ましい。荷重板12を所望の方向に変位させる手段の具体例としては、複数の加圧部2を荷重板12の端に対極に配置する、ガイドを設け荷重板12をガイドに沿って変位させる、等が挙げられる。
加圧部2は前述のように液体収容部1に収容された液体11が減少するに従って押圧力が減少していく。そのため荷重板12が加圧部2のみから荷重を受けると、液体11は残量が多い状態では高圧力であるため送液速度が速く、残量が少ない状態では低圧力であるため送液速度が遅い。そのため残量が多い状態と少ない状態での送液速度のばらつきが大きい。
しかし荷重板12に対抗部3によって加圧部2による押圧力と対抗する荷重を与えることにより、液体11の残量が多い状態での液体に与える荷重を低減する。また液体11の残量が少なくなり押圧力が減少すると対抗力の荷重も少なくなる。そのため、液体11の残量が多い状態と少ない状態での押圧力と対抗力の合力の差を低減させることができる。
上記のような構成の液体供給装置においては、液体11の残量が多い状態と少ない状態において、より一定の速度で液体11の送液ができる。
(第2実施形態)
図2は本発明に係る液体供給装置の第2実施形態例の構成図である。以下図2に基づいて第2実施形態例を説明する。なお、第1実施形態と同一または同一作用を示す部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
第2実施形態例は第1実施形態例の液体供給装置が水素発生装置6の構成要素として用いられたものである。
排出口5には内部を液体が移動することができる送液路61によって、反応室62と接続される。反応室62の内部には反応用物質621が収容されており、送液路61中を移動してきた液体11と接触することによって水素発生反応を起こす。反応室62はアクリルやSUS、ニッケルのように剛性を有し水素を透過しない素材が好ましい。反応用物質621の具体例としては固体の水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウムが挙げられるがこれには限らない。水素発生反応は液体11の送液量によって変化し、送液量が多いと水素発生量は多く、送液量が少ないと水素発生量は少ない。水素発生反応によって発生した水素は反応室62に備えられた水素排出口63によって反応室外部へと排出される。
送液路61には液体11の送液のタイミングを制御する弁64が備えられる。弁64の具体例としては電気式バルブ、圧力制御による逆止弁等がある。電気式バルブでは反応室62の内部圧力や水素発生速度や時間を要素としてバルブを開閉し、液体11の送液を制御する。逆止弁を用いた場合には反応室62の内部圧力が液体11にかかっている圧力よりも低い場合に開弁して液体11を送液し、反応室62の内部圧力が液体11に掛かっている圧力よりも高い場合では閉弁し液体11を送液しない。これにより液体11の送液の制御ができる。また開弁時間が同じとき、液体11の送液速度の速さに応じて送液量は変化するため、水素発生量も変化する。また水素発生装置6には全ての構成要素をカートリッジとして一つにまとめる水素発生装置筐体65が備えられていても良い。
上記のような構成の液体供給装置においては、液体11は残量によらずより一定の速度で送液できるため、内部で水素を発生する水素発生装置6において液体11の残量によらずより一定の速度で水素を発生する事ができる。
(第3実施形態)
図3は本発明に係る液体供給装置の第3実施形態例の構成図である。以下図3に基づいて第3実施形態例を説明する。なお、第1又は2実施形態と同一または同一作用を示す部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
第3実施形態例は第1実施形態例の液体供給装置において、対抗部として弾性体31を用いたものである。弾性体31の例としては圧縮バネ、引っ張りバネ、ゴム等が挙げられる。
以下図3(a)を用いて液体11の残量が多い状態を説明する。荷重板12に弾性体31が接続され、荷重板12に対して加圧部2による押圧力と反対方向の荷重をかけている。液体11の残量が減り荷重板12が変位するにつれ、押圧力は減少していき、対抗力は上昇していく。
また荷重板12の変位量が多くなり加圧部2による押圧力が押圧力の最大値と最小値の中間値よりも小さくなると、弾性体31は荷重板12と非接続状態になる。図3(b)は弾性体31と荷重板12が非接続状態にあるときの構成図である。非接続状態においては荷重板12には加圧部2による押圧力のみが作用する。
図4は荷重板12の位置が変化したときの、押圧力・対抗力・押圧力と対抗力の合力の遷移図である。グラフの縦軸に力、横軸に荷重板12の変位量を示し、変位量が少ない状態は液体11の残量が多い状態、変位量が多い状態は液体11の残量が少ない状態である。仮に荷重板12が加圧部2による力のみを受けていたとすると、図中の破線のように変位量が多くなるにつれて荷重板12が液体収容部11に与える力は一様に小さくなる。そのため液体11の送液速度は残量が多い状態と少ない状態で差が生じる。それに対し、弾性体31を荷重板12と接続した場合には、残量が多い状態では加圧部2による押圧力が対抗力によって低減される。一方、残量が少ない状態では加圧部2による押圧力は小さくなるが、弾性体31と荷重板12が非接続状態となるため押圧力が低減されることはない。そのため、図中の実線で示すように、残量が多い状態と少ない状態での液圧力の差を低減することができる。
また接続状態における合力の変化の勾配を低減するために、弾性体31はヤング率の低いものを用いることが好ましい。
上記のような構成の液体供給装置においては、残量が最も多い状態と残量が最も少ない状態で、液体11にかかる圧力差を低減することができるため、より一定の速度で送液することができる。
(第4実施形態)
図5は本発明に係る液体供給装置の第4実施形態例の構成図である。以下図5に基づいて第4実施形態例を説明する。なお、第1乃至3実施形態と同一または同一作用を示す部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
第4実施例では対抗部として第1磁性体321と第2磁性体322を用いている。第1磁性体321は荷重板12と接続されており、第2磁性体322は第1磁性体321と引き合う磁力が加圧部2による押圧力と反対方向へかかるよう固定されて配置される。第1磁性体321と第2磁性体322同士が引き合う磁力は、ビオ・サバールの定理により磁性体同士の距離の2乗に反比例する。そのため液体11の残量が少なくなり荷重板12が変位し、つまり、磁性体間の距離が大きくなり加圧部2の押圧力が減少するにつれて、押圧力に対抗する磁力も減少する。また荷重板12の材質に磁性を有する部材を用いて、第1磁性体321と荷重板12同一の部材としても良い。
上記のような構成の液体供給装置においては、液体11の残量に関わらず、荷重板12によって液体収容部1により一定の圧力を与えることができるため、より一定の速度で送液することができる。
(第5実施形態)
図6は本発明に係る液体供給装置の第5実施形態例の構成図である。以下図6に基づいて第5実施形態例を説明する。なお、第1乃至4実施形態と同一または同一作用を示す部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
第5実施形態は対抗部3として摩擦体33を用いている。摩擦体33は荷重板12の縁部と接し、荷重板12に対して加圧部2と対抗する摩擦力を与えるため荷重板12の上部に対抗部を設ける必要がなく、荷重板の上部の空間をさらに確保することができる。本発明の液体供給装置により供給された液体と固体の反応物質が反応し水素が発生する場合、水素の発生には寄与しない生成物が生じる。前記生成物が前記反応物質の周囲に溜まると液体と反応物質の反応の妨げとなるため、前記生成物を反応物質の周囲に留めない必要がある。そこで、前記生成物を収容するために荷重板の上部に設けられた前記空間を利用すれば前記生成物を前記反応物質の周囲から遠ざける事が可能となる。
図7は摩擦力を変化させる手段として、弾性を有し荷重板12によって潰されてひずむことで摩擦力を生じ、また押圧力が変化するのに伴いひずみ量も変化する傾斜摩擦体331を用いている。弾性を有する素材には二トリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム材が例として挙げられる。摩擦力は傾斜摩擦体331の摩擦係数μと摩擦面に対する垂直抗力Nの積である。液体11の残量が多く加圧部2による押圧力が大きい状態においては傾斜摩擦体331のひずみ量が大きい。そのため垂直抗力Nが大きく加圧部2の押圧力に対抗する摩擦力も大きくかかる。また液体11の残量が少なくなり加圧部2による押圧力が小さくなっていくと傾斜摩擦体331のひずみ量が減少する。そのため垂直抗力Nが小さく加圧部2の押圧力に対抗する摩擦力が減少していく。
図8は図6における液体供給装置において摩擦体33の表面もしくは荷重板12の縁部が、勾配を持つ表面粗さを有する粗表面332を有している実施例の、荷重板12の縁部と摩擦体33の接触部分の拡大図である。図8(a)では摩擦体33の表面に粗表面332が形成されており、図8(b)では荷重板12の縁部に粗表面332が形成されている。また摩擦体33の材質は特に限定されないため支持部4と同一の部材でも良い。粗表面332は前述の通り表面粗さに勾配を有しており、加圧部2による押圧力11が減少するにつれて粗表面332は表面粗さがなめらかな部分で摩擦力を生じるように配置される。具体的には図8(a)においては粗表面332の表面粗さは図中上側から下側にむけてなめらかになっていき、図8(b)においては図中下側から上側にむけてなめらかになっていく。この構造では加圧部2による押圧力が減少するにつれて摩擦力も減少していく。押圧力が減少するにつれて摩擦力も減少すれば、摩擦体33の表面と荷重板12の縁部が共に勾配粗さを有していても構わない。押圧力が小さくなるにつれて荷重板12の縁部と摩擦体33の表面との相対的な粗さが小さくなる液体供給装置では、摩擦体若しくは荷重板縁部の表面粗さによって摩擦力を得るため摩擦体の材質の制限が少なく、摩擦体の材質の選定の幅が広がり、構成部品の点数、材質の種類を減らす事ができる。荷重板12の縁部と摩擦体33の表面との相対的粗さを任意に設定できるため、摩擦力の大きさを明確に規定することも可能になる。
図9は図6における液体供給装置において加圧部2による押圧力が減少するにつれて摩擦体333と荷重板12の接する面積が減少し、摩擦体333は弾性材であり荷重板12に潰されて常に一定量ひずんだ状態である場合の構成図である。図10は図9における摩擦体333がひずみ摩擦体334である場合において、ひずみ摩擦体334と荷重板12の接触箇所の拡大図を示す。図10(a)は液体11の残量が多く加圧部2による押圧力が大きい状態、図10(b)は液体11の残量が少なく押圧力が小さい状態である。ひずみ摩擦体334は厚さt、摩擦係数μ、縦弾性係数Eの弾性体であり、荷重板12によってつねにΔtの厚さだけ圧縮されている。図中のσは応力でありひずみ量(Δt/t)と縦弾性係数Eの積である。図中のNは摩擦面の垂直抗力であり、応力σとひずみ摩擦体334が荷重板12によって潰されている部分の断面積sの積である。以上から摩擦力F=μNは以下の式で表される。
ここで液体11の残量が多く加圧部2による押圧力が大きい状態の摩擦力、面積をそれぞれF1、s1とし、液体11の残量が少なく加圧部2による押圧力が小さい状態の摩擦力、面積をそれぞれF2、s2とする。ここでF1、F2を比較すると、s1>s2であるのでF1>F2であることがわかる。
またひずみ摩擦体334は図7の傾斜摩擦体331のように押圧力が減少するにつれてひずみ量が減少していく構造でも良い。
上記の構成によれば各押圧力における摩擦係数、摩擦体の潰れ量、摩擦力が生じる面積を任意に設定することができ、摩擦力、つまり対抗力を任意に設定することができるため、荷重板12が液体収容部1に与える圧力をより一定に保つことができる。そのため、より一定の速度で送液をすることが可能となる。
(第6実施形態)
図11は本発明に係る液体供給装置の第6実施形態例の構成図である。以下図11に基づいて第6実施形態例を説明する。なお、第1乃至5実施形態と同一または同一作用を示す部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
第6実施形態は第2実施形態の構成に加え、水素と酸素を電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池の発電部7が備えられている。発電部7は水素発生装置6において発生した水素を使用する為、水素排出口63と接続される。発電部7はアノード側電極71と、カソード側電極72の間に配置されたMEA73と、発電部筐体74によって構成される。MEA73は固体電解質膜(PEM)の両面に電極触媒層を塗布したものである。またMEA73のアノード側に水素以外の気体が存在すると発電特性が低下することから、発電部筐体74は水素排出口63からMEA73までの空間を外部の気体から隔離する構造であることが望ましい。水素発生装置6から供給された水素は水素排出口63を通りMEA73へと供給され、アノード側の電極触媒層で水素の陽イオンであるプロトンへと変換され、変換されたプロトンは固体電解質膜中を通ってカソード側の電極触媒層へと移動する。カソード側の触媒層で電解質膜を通り抜けたプロトンと空気中の酸素が反応する。アノード側の電極触媒層において水素がプロトンになることによって発生する電子はアノード側電極71からカソード側電極72に移動し電流を得る。アノード側電極71とカソード側電極72を電力を消費する機器に接続することによって、該機器を動作させることが可能である。
上記の構成によれば、一定の速度で水素を発生させることができる本発明の液体供給装置により構成される燃料電池であるため、安定した発電を行うことができる。
本発明に係る液体供給装置の第1実施形態の構成図である。 本発明に係る液体供給装置の第2実施形態の構成図である。 本発明に係る液体供給装置の第3実施形態の構成図である。 第3実施形態において荷重板の変位量と加圧部2による押圧力、弾性体31による対抗力、押圧力と対抗力の合力の遷移図である。 本発明に係る液体供給装置の第4実施形態の構成図である。 本発明に係る液体供給装置の第5実施形態の構成図である。 第5実施形態の一手段の構成図である。 第5実施形態の一手段の構成図である。 第5実施形態の一手段の構成図である。 図9において対抗力に作用する各力の説明図である。 本発明に係る液体供給装置の第6実施形態の構成図である。
符号の説明
1…液体収容部、11…液体、12…荷重板、2…加圧部、3…対抗部、31…弾性体、321…第1磁性体、322…第2磁性体、33…摩擦体、331…傾斜摩擦体、332…粗表面、333…摩擦体、334…ひずみ摩擦体、4…支持部、5…排出口、6…水素発生装置、61…送液路、62…反応室、621…反応用物質、63…水素排出口、64…弁、65…水素発生装置筐体、7…発電部、71…アノード側電極、72…カソード側電極、73…MEA、74…発電部筐体

Claims (9)

  1. 液体を収容し、液体を排出する排出口を供えた液体収容部と、
    荷重板を介して液体収容部に押圧力を与える加圧部と、
    前記液体収容部の外側に配置され、前記液体収容部を支持する支持部と、
    前記荷重板に対して前記押圧力に対抗する対抗力を加える対抗部とを備え、
    前記加圧部は、前記液体収容部に収容された前記液体が減るにつれて、前記液体収容部への押圧力が減るものであり、
    前記対抗部は、前記押圧力が最大の状態での前記対抗力の大きさに比べて、前記押圧力が最小の状態での前記対抗力が小さくなり、常に前記押圧力よりも小さい
    ことを特徴とする液体供給装置。
  2. 固体の反応用物質を収容するとともに前記液体と前記反応用物質とを反応させて水素を生成する反応室と、
    前記反応室に備えられ前記水素を前記反応室外部へと供給する水素供給口と、
    前記排出口から前記反応室に前記液体を送る送液路と、
    前記排出口から前記反応室への前記液体の流れを制御する弁と
    を備えることを特徴とする請求項1記載の液体供給装置。
  3. 前記対抗部は前記荷重板と接続される弾性体であり、前記加圧部による押圧力が前記押圧力の最大値と最小値の中間値よりも小さくなると前記荷重板との接続を開放されることを特徴とする請求項1又は2記載の液体供給装置。
  4. 前記対抗部は複数の磁性体からなり、前記対抗力は前記磁性体によって与えられる磁力であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体供給装置。
  5. 前記対抗部は前記荷重板の縁部と接触して設けられた摩擦体であり、
    前記摩擦体は前記押圧力が小さくなるにつれて前記縁部との摩擦力を小さくすることを
    特徴とする請求項1又は2記載の液体供給装置。
  6. 前記摩擦体は弾性材であり、前記縁部に圧縮された状態で接触し、前記押圧力が小さくなるにつれて圧縮量が減少することを特徴する請求項5記載の液体供給装置。
  7. 前記摩擦体の表面、あるいは前記荷重板の縁部、あるいは前記摩擦体の表面且つ前記荷重板の縁部、に勾配を有する粗さを有し、前記押圧力が小さくなるにつれて前記荷重板の縁部と前記摩擦体の表面との相対的な粗さが小さくなることを特徴とする請求項5記載の液体供給装置。
  8. 前記摩擦体は弾性材であり、前記縁部にひずんだ状態で接触し、前記押圧力が小さくなるにつれて、前記縁部と接触する面積が小さくなることをさらに特徴とする請求項5記載の液体供給装置。
  9. 請求項1乃至請求項8何れかに記載の液体供給装置と、
    前記水素供給口から供給された前記水素と酸素とを用いて電圧を発生する発電部とを有する燃料電池。
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