JP5116663B2 - 転移癌の処置のための治療用ペプチド - Google Patents

転移癌の処置のための治療用ペプチド Download PDF

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Description

発明の技術分野
本発明は、癌治療学の領域に関する。特にそれは、転移癌の成長を阻害する、遅延させる、および減少させる方法に関する。
本出願は、2005年4月15日に出願された仮出願第60/671,956号の恩典を主張し、その開示は明白に本明細書に組み入れられている。
発明の背景
乳腺上皮が、秩序正しい、ホルモンの影響を受けた、および成長因子に依存する組織から転移性新生物の一つへ進行することには、多くの段階が含まれる。これらは、成長制御の損失、アポトーシスおよび老化の回避、間充織への浸潤、および続いて起こる血管内異物侵入ならびに二次的な部位での管外溢出を含む。侵入する能力はこの過程で鍵となる過程であり、そして、浸潤は接着結合の正常な機能に主に阻害される。正常に機能している接着結合は、隣接する細胞(E-カドヘリンホモタイプな(homotypic)相互作用を介して)および細胞内アクチン細胞骨格(β-カテニンを介して)を連結する一組のタンパク質相互作用に依存的である。腫瘍抗原MUC1は、E-カドヘリンからβ-カテニンを隔離することによる接着結合タンパク質の調節不全を促進するタンパク質である。この提案は、細胞浸潤におけるMUC1/β-カテニン相互作用の機能的な重要性を理解して、細胞浸潤および転移を阻害する手段としてこれらの相互作用を妨害するために機序を同定することに向けられる。
接着結合のタンパク質成分は、癌進行中多くの場合調節不全である。多くの乳癌患者において、E-カドヘリン発現は失われ、かつ、細胞はホモタイプな相互作用をもはや維持しない。加えて、β-カテニンは、細胞接着タンパク質としてだけでなく、癌原遺伝子としてのその役割のため、特別な重要性を有する。この機能は、E-カドヘリン媒介性細胞接着におけるβ-カテニンの関与だけでなく、Wnt媒介性シグナル伝達における極めて重要なプレーヤーとして、および核の補助因子として機能する離散的な細胞質プールおよび核プールにおけるその存在にも起因する(Orsulic et al., 1999)。分極した上皮中において、β-カテニンは、接着結合とアクチン細胞骨格との間の極めて重要な接続である。これらの正常な細胞の状況下で、いかなる過剰なβ-カテニンも、腫瘍抑制因子APC(腺腫様多発結腸ポリープ)を含む複雑なシグナル伝達カスケードを通じて分解される(Polakis, 2000)。あるいは、形質転換する条件下で、過剰なβ-カテニンは乳癌腫瘍の細胞質中および転移においてしばしば増加し(Schroeder et al., 2003)、そこで、β-カテニン結合部位についてE-カドヘリンと競合するタンパク質と相互作用する(Polakis, 2000; Sommers, 1996)。これらの最も良く研究されているものは核におけるβ-カテニンとtcf/lef転写因子との間の相互作用であり、これはc-mycおよびサイクリンD1を含む様々な遺伝子産物の転写をもたらす(He et al., 1998; Shtutman et al., 1999; Tetsu and McCormick, 1999)。乳癌を含む他の形質転換された組織中で、β-カテニンはまた、erbB受容体および腫瘍抗原MUC1を含む膜貫通タンパク質と相互作用することも発見されている(Li et al., 1998; Yamamoto et al., 1997)。
MUC1は、90%より多くのヒト乳癌および転移において過剰発現する(10倍を超えて)ことに加えて、泌乳している乳腺において豊富に発現される多量にO-グリコシル化されたタンパク質である(Hilkens et al., 1995; Zotter et al., 1988)。正常な乳腺において、MUC1は腺上皮の主に尖端表層に主に発現し、その一方で、乳癌においてMUC1は過剰発現し、グリコシル化不十分であり、尖端局在化は失われる(Hilkens et al., 1995)。細胞質ドメインは、様々な推定のキナーゼ認識部位と同様に、SH2含有タンパク質の潜在的ドッキング部位を含み、かつ、細胞質ドメインはインビトロおよびインビボの両方でチロシンがリン酸化される(Schroeder et al., 2001, Zrihan-Licht, 1994 #248)。MUC1は、細胞質側末端中に、APCタンパク質中に見出されるものと類似のモチーフを通じてGSK3βおよびβ-カテニンの両方を結合する。β-カテニンによるMUC1の結合は、ZR-75-1乳癌細胞における、E-カドヘリンに対するβ-カテニンの結合の減少をもたらす(Li et al., 1998; Yamamoto et al., 1997)。これは、上皮細胞におけるE-カドヘリン媒介性細胞接着を潜在的に破壊し、その結果細胞遊走を促進する可能性がある(Li et al., 1998)。事実、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることによる、ヒト乳癌細胞株(ZR-75-1SおよびYMB-S)におけるMUC1の減少は、細胞接着におけるE-カドヘリン依存性の増加をもたらす(Kondo et al., 1998)。加えて、浸潤性ヒト乳癌試料の分析は、MUC1およびβ-カテニン相互作用が、リンパ節転移におけるさらにより大きな範囲に対してではなく、原発性腫瘍中に発生することを示した(Schroeder et al., 2003)。研究から、MUC1/β-カテニン相互作用が、c-srcキナーゼ(Li et al., 2001b)およびプロテインキナーゼ Cデルタ(PKCδ)(Ren et al., 2002)の両方によるMUC1のリン酸化に依存的であることが示された。c-srcまたはPKCδによる、このシステムにおけるMUC1のリン酸化は、GSK3βに対する親和性の減少およびβ-カテニンに対する結合の増加をもたらす。
β-カテニン誘導性の乳癌の進行におけるMuc1の役割は、インビボ腫瘍モデルであるMMTV-Wnt-1で、遺伝子的に検証された。Wntは膜貫通frizzled受容体に結合する分泌型糖タンパク質であり、β-カテニン分解に関する機構を不活性化するシグナル伝達カスケードをもたらす(He et al., 1998; Polakis, 2000; Shtutman et al., 1999; Tetsu and McCormick, 1999)。このことは、細胞質における有意により高いレベルのβ-カテニン、およびMMTV-Wnt-1トランスジェニックマウスにおける、一源性乳腺腫瘍の確率的な形成をもたらす(Tsukamoto et al., 1988)。MMTV-Wnt-1マウスに由来する腫瘍において、形質転換された上皮の細胞質および細胞膜に局在化するMUC1およびβ-カテニンが、腫瘍特異的な様式で生化学的に相互作用することが分かった。MUC1がこのモデルにおける腫瘍進行において機能的に重要だったかどうかを決定するために、MTV-Wnt-1トランスジェニックマウスと、Muc1-ヌルバックグラウンドマウスを交配させた(Schroeder et al., 2003)。これらのマウスに由来するMuc1の除去により、腫瘍発症時間がほぼ50%遅れた。同じ研究において、浸潤性の乳癌細胞株にMUC-1細胞質ドメインタンパク質断片をパルスすることが、浸潤性の乳癌細胞株の浸潤能力を増加させることが分かった。これらの断片は複数のタンパク質相互作用部位を表し、かつMUC1細細胞質側末端全体をトランスフェクションすることと同様に機能した。局在化実験から、これらのペプチドが侵入しているラメロポディア(lamellopodia)(浸潤突起)を追跡し、かつβ-カテニンと共存することを確認した。MUC1とβ-カテニンとの間の会合が、膜突出の部位に対する接着結合から離れて、β-カテニンの代わりの局在化を促進することが示唆された。そこでは、細胞骨格調節タンパク質と相互作用するβ-カテニンの能力は、細胞骨格調節タンパク質の再分布を促進し、細胞浸潤を促進する。従って、MUC1がβ-カテニンと複合体を形成する場合、おそらく膜侵入の部位で複数のキナーゼとアクチン細胞骨格とを引き合わせる足場タンパク質として作用することによって、β-カテニンと、細胞縁辺への侵入との間の新しい相互作用を促進する。この複合体形成は、非転移性疾患において過形成から腫瘍形成への移行を促進し得るだけでなく、転移性浸潤のために必要な力学的な変化も誘発し得る。
最近の研究から、MUC1が癌遺伝子であることが証明された。インビトロおよびインビボの両方での証拠は、MUC1(特にMUC1の細胞質側末端)の過剰発現が胸部上皮の形質転換をもたらすことを証明する((Li et al., 2003) およびJBC に投稿されているSchroeder et al.)。トランスジェニックマウス(MMTV-MUC1)において過剰発現させる場合、およそ60%の経産メスが、長くおよび非常に可変的な潜伏を伴う乳房腫瘍を生じる(Schroeder et al., 2004)。また、原発性乳腺腫瘍を形成している動物の90パーセントが、肺転移を生じる。MUC1とβ-カテニンとの間の免疫沈降研究から、これらの2つのタンパク質が、正常な乳腺ではなく、腫瘍において相互作用することを決定した。このデータは、MUC1とβ-カテニンの相互作用が、発表されたMMTV-Wnt-1モデルに制限されるのではなく(Schroeder et al., 2003)、乳腺腫瘍形成のMUC1主導(driven)モデルにおいても起こることを示す。重要なことに、MMTV-MUC1 遺伝子組換えは転移性であり、さらにこの相互作用は転移性乳癌に潜在的に関係している。最終的に、インビトロの証拠は、MUC1を用いたラット3Y1線維芽細胞のトランスフェクションが、形質転換だけでなく、MUC1とβ-カテニンとの間の特定の複合体形成ももたらすことを証明する(Li et al., 2003)。
MUC1細胞質ドメイン中のβ-カテニンの結合部位は、チロシンキナーゼc-src、およびEGFRおよびセリン/トレオニンキナーゼPKCδへの結合部位に囲まれており、MUC1とこれらのキナーゼとの間の相互作用は、乳癌細胞株中および腫瘍組織中で増加する。さらに、PKCδ誘導性およびsrc誘導性のMUC1リン酸化が、MUC1/β-カテニン結合を促進する(Li et al, 2001)。細胞にこのドメイン全体を模倣するペプチドを供給する場合、MUC1およびβ-カテニンは浸潤性細胞株の浸潤突起中に共存し、かつ細胞浸潤は5〜10倍増加する(Schroeder et al., 2003)。より小さいタンパク質断片が供給される場合、EGFRまたはGSK3β結合部位のみ現れ、細胞浸潤またはβ-カテニン局在化における変化は全く観察されない(Schroeder et al., 2003)。これらのデータは、全長MUC1細胞質ドメインが、浸潤突起でβ-カテニンと細胞性キナーゼを引き合わせることにより、浸潤を促進する足場タンパク質として働くことを示唆する。
当技術分野において、特定の遅いステージおよび転移性癌における癌の処置に効果のある処置を開発する必要性が、引き続き存在する。
発明の概要
本発明の第1の態様に従って、融合ペプチドを提供する。融合タンパク質は、以下の構造を有する:
A-B-C または C-B-A。
Aは、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、PYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)の全てまたは一部を含み、かつCの一部は、GGSSLS(SEQ ID NO:2)を含む。
本発明の別の態様に従って、以下の構造を有する融合ペプチドを提供する:
A-B-C または C-B-A。
Aは、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、PYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)の全てまたは一部を含み、かつCの一部は、GGSSLS(SEQ ID NO:2)を含む。さらに、前記6〜15アミノ酸残基の少なくとも一つは、荷電していない極性アミノ酸は荷電していない極性アミノ酸を交換するように、または無極性アミノ酸は無極性アミノ酸残基を交換するように、または酸性アミノ酸は酸性アミノ酸を交換するように、保存的に置換される。
本発明のさらに別の態様に従って、以下の構造を有する融合ペプチドを提供する:
A-B-C または C-B-A。
Aは、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、PYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)の全てまたは一部を含み、かつCの一部は、GGSSLS(SEQ ID NO:2)を含む。さらに、前記6〜15アミノ酸残基の一つは、A残基で置換される。
本発明の他の局面は、癌細胞を処置する方法を提供する。癌細胞を、前述のように融合ペプチドと接触させる。癌細胞の侵襲性は、それによって減少するかまたは遅延される。
本発明のさらに別の局面は、癌患者を処置する方法を提供する。融合ペプチドは、前述のように癌患者に投与される。癌の侵襲性は、それによって減少するかまたは遅延される。
本発明の別の態様に従って、癌患者を処置する方法を提供する。ポリペプチドPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)に結合する抗体が、患者に投与される。癌の侵襲性は、それによって減少するかまたは遅延される。
本発明のさらに別の局面に従って、癌患者を処置するためのポリペプチドを産生する方法を提供する。前述のようにポリペプチドをコードするベクターを含む細胞は、細胞がポリペプチドを発現することを可能にする条件下で培養される。ポリペプチドは、その後細胞または細胞培養培地から回収される。
本発明のさらなる局面に従って、癌患者を処置する方法を提供する。前述のようにポリペプチドをコードするベクターを、癌患者に投与する。それによりポリペプチドが発現し、癌の侵襲性はそれにより減少するかまたは遅延される。
本明細書を読んだ際に当業者に明らかであると思われるこれらのおよび他の態様は、当技術分野に癌、特に転移性癌を処置するための新しい手段を提供する。
発明の詳細な説明
本発明の基礎をなしている発見は、発癌性MUC1およびβ-カテニンが癌浸潤を促進するだけでなく、発癌性MUC1およびβ-カテニンの相互作用を(MUC1模倣ペプチド[MEB]を用いて)妨げることにより、本発明者らが癌の浸潤および転移を阻害できることである。
任意のタンパク質形質導入ドメインを、本発明の融合タンパク質中に使用することができる。これらは、以前に同定され、かつタンパク質形質導入に使用された任意のドメインを含む。例えば、Dietz and Bahr, Molecular and Cellular Neuroscience, 27 (2004) 85-131の詳細にわたる表1を参照されたい。このようなドメインのいくつかはSEQ ID NO:3、4、5、および6中に示されるが、本発明はこれらの使用に制限されない。これらのドメインは、細胞による、付着したペプチドの取り込みを容易にする。
本発明に記載のスペーサーは、製造または合成を容易にするために典型的に融合タンパク質中に使用される付加的なアミノ酸残基である。これらは、極めて無害であり得、典型的には0〜5残基の長さである。リンカーは、同じ残基であるか混合残基であり得る。残基は、ランダムであり得るか、または他のタンパク質から得られる配列であり得るか、または特定の理由のために設計され得る。
MUC1のある部分が浸潤および転移を促進すると分かっていたにもかかわらず、驚くべきことに、特定の長さおよび組成である部分が実際に浸潤および転移を阻害することはようやく明らかとなった。既に示されるように、SEQ ID NO:14などのMUC1細胞質ドメインペプチドは乳癌細胞の浸潤を増加させる。Schroeder, 2003。驚くべきことに、このようなペプチドのより短い部分は、実際は逆の効果を有する。これらのペプチドは、SEQ ID NO:1から選択される6〜15の連続するアミノ酸残基を含み、かつSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含む。正確な配列に由来するわずかな偏りは、保存的な変化を作製するための1つ、2つまたは3つの残基の置換によるか、またはアラニンを用いた置換などにより、活性を最適化するために用いられ得る。保存的な変化は、例えば、荷電していない極性残基に対しては荷電していない極性残基、または非極性残基に対しては非極性残基、または酸性残基に対しては酸性残基などの、互いに類似の残基を置換する。このように、GおよびS残基は、G、S、T、C、Y、N、およびQで置換され得る。L残基は、A、V、I、P、F、W、およびM残基で置換され得る。A、V、およびP残基は、A、V、L、I、P、F、W、およびM残基で置換され得る。YまたはN残基は、G、S、T、C、Y、N、およびQ残基で置換され得る。E残基は、D残基で置換され得る。K残基は、RまたはH残基で置換され得る。このような置換が浸潤および転移を阻害する活性を無効にすることが見出されない限り、任意の残基はアラニン残基で置換されうる。このような置換されたペプチドは、実施例中に述べられる浸潤アッセイを用いて、容易に試験されうる。
インビトロまたはインビボで、本発明の融合ペプチドと癌細胞とを接触させる、または本発明の融合ペプチドを癌細胞に供給することができる。それらはペプチドとして直接的に供給され得るか、または細胞中で融合ペプチドを発現および産生する核酸ベクターを細胞に供給することにより内因的に産生され得る。インビボ投与について、直接的な腫瘍内注射、筋内注射、血管内注射、皮下注射、腹腔内注射などを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知である任意の送達技術を用いることができる。インビトロ送達は、例えば、単に培養培地に融合ペプチドを供給することにより達成され得る。
本発明に従って処置することができる癌および癌細胞には、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、肺癌、脳癌、頭頚部癌、膵臓癌、腎臓癌ならびに肝臓癌が含まれる。投与時に観察される効果は、浸潤および転移の、範囲の減少または遅延率である。これらの過程を測定するために適したアッセイは、実施例中に記載されている。当技術分野において公知である他のアッセイも同様に使用できる。
融合ペプチドが製剤化され得るまたは修飾され得ることは、当技術分野で公知である。これは、例えばキャッピング、またはペグ化、またはミセルもしくはリポソームとの組合せなどの、共有結合的修飾を含み得る。このような修飾および製剤化は、体内での安定性を増加させることができ、従って、投入用量をより高い割合で標的癌に到達させることができる。本発明の融合タンパク質は、また、他の処置と併用して用いることができる。処置は、同時にまたは連続的に投与してもよい。癌を処置するための他の適した処置は、化学療法薬の投与または注入、抗腫瘍抗体、抗受容体抗体、放射線治療、放射性標識薬および手術を含む。様々な方法において作用する2つの様相の使用により、患者により多くの利点を提供し得る。
MUC1のβ-カテニンへの結合に対する類似の阻害効果は、細胞または癌患者に抗体を送達することにより得ることができる。抗体は、任意のタイプ、モノクローナルまたはポリクローナル、単鎖または多数鎖(multi-chain)であり得る。抗体は、宿主哺乳動物中に、細胞培養物中に、または組換え細胞中に作製されてもよい。抗体は、SEQ ID NO:1中に含まれるエピトープに結合する。抗体は、例えば免疫原としてSEQ ID NO:1記載のペプチドを用いて、または、免疫原としての本発明に記載の融合タンパク質を用いて、または、免疫原としての他の融合タンパク質を用いて生じさせることができる。
本発明の融合タンパク質をコードする核酸を送達するためのベクターは、当技術分野で公知である任意のベクターであり得る。アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ベクターが、周知であり広く使用されている。ナノ粒子、リポソームおよびミセルなどの、非ウイルスベクターもまた使用することができる。いくつかの態様において、レトロウイルスベクターを使用することができる。当業者は、目的のために適しているベクターを選択することができる。同様に、当業者は、培養物中に本発明の融合タンパク質を組換え製造するための、ベクターおよび宿主細胞系を選択することができる。
上記の開示は、本発明を概説するものである。本明細書で開示された全ての参考文献は、参照として明白に本明細書に組み入れられる。より完全な理解を以下の特定の実施例を参照することにより得ることができるが、これらは、本明細書において、例示のみを目的として提供されるものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。
実施例1--方法:
ペプチド設計:
本発明者らは、公開されたβ-カテニン結合部位を包含するMUC1細胞質ドメインに対するペプチドを設計した(Li et al., 1998; Li et al., 2001a; Li et al, 2001b)。EGFRおよびc-srcによりMUC1のチロシンがリン酸化されるため、本発明者らは、新生の、およびチロシンがリン酸化されている、両方の25merペプチドを設計し、β-カテニンとの相互作用に関するチロシンリン酸化の要件を決定する。さらに、本発明者らは、細胞浸潤をさらに阻害するかどうかを決定するために、チロシン残基がグルタミン酸残基に変異したペプチドを設計した。これらのペプチドの全ては、American Peptide Company (Sunnyvale, CA)により合成される。ペプチドは85%の純度レベルで産生され(HPLCによって精製され、質量分析によって検定される)、かつ、同定を目的としてC末端でビオチン化される。
ペプチド処置および浸潤アッセイ:
8um ポアサイズの Transwell inserts (Corning)を反転して、90ulのI型コラーゲン(ラット尾部、BD Scientific)ゲル混合物(2.2%重炭酸ナトリウム、1O×M199培地)で覆い、30分間凝固させておく。その後、ウェルを20%ウシ胎仔血清を含むDMEM中に反転させ、再水和させる。細胞取り込みを促進するために、ペプチドを5分間BioPORTER試薬(Sigma, St. Louis MO)と共にインキュベートし、ボルテックスし、無血清培地中の細胞に添加して(10ng/ml、100ng/ml、およびug/ml濃度が試験される)、Transwellの上部チャンバ中に設置する。その後細胞を、2、4、または24時間インキュベートする。培地を除去し、ゲルを4%パラホルムアルデヒドを用いて30分間固定し、かつPBS、pH 7.4に移す。コラーゲンゲルを、その後ビズベンズアミド(bizbenzamide)で40分間染色し、ゲルに侵入した全ての細胞を数えるか、または免疫蛍光アッセイに使用される。ペプチド処理した細胞の浸潤を、PBS/バイオポーター処理した対照細胞または無関係なペプチドで処理された細胞と比較する。
免疫沈降およびウェスタンブロッティング:
ペプチドをパルスされた細胞は、4-ウェルマイクロ培養皿中に注がれたコラーゲンゲルに侵入することができる。浸潤の後、細胞を溶解させ、コラーゲンを分解し(コラゲナーゼ処理を介して)、BCAアッセイ(Pierce)を実施した。タンパク質溶解物は、内因性MUC1およびβ-カテニン、ペプチドおよびβ-カテニン、ならびにE-カドヘリンおよびβ-カテニンの間の共沈殿のレベルを決定するために以前に記載されているように(Schroeder et al., 2003)免疫沈降される。簡単に言えば、溶解物は、SDS-PAGEで分離され直接PVDF膜(イモビロン)に転写されるか、または最初に免疫沈降して、その後SDS-PAGEで分離される。イムノブロッティングおよび免疫沈降に使用する抗体は、以下のソースから得ることができる:抗Muc1(Santa Cruz Biochemical)および抗β-カテニン(H-102、免疫沈降、およびC-18、イムノブロッティング、両方ともSanta Cruz Biochemicalより入手)。
免疫蛍光:
コラーゲンゲルを通じて浸潤を受けている細胞は、インサイチュー(コラーゲンゲル中にある間)で免疫蛍光で標識される。コラーゲンゲル上の免疫蛍光のため、ゲルは、室温で5分間、10mM Pipes(pH 6.8)、50mM NaCl、300mM ショ糖、および3mM MgCl2中の0.5% Triton X-100により透過処理される。ゲルは、PBSおよびEnhancing Wash Buffer(Innovex)の1:1溶液中の、3% BSA(Sigma)、0.05% Tween 20でブロックされる。一次抗体は、4℃で終夜インキュベートされ、そして、ゲルはPBS:Enhancing Wash Buffer 1:1中で6時間洗浄される。二次抗体は、4℃で終夜インキュベートされ、室温で6時間再び洗浄される。ゲルは、その後スライドガラスに載せられ(mounted)、カバーガラスがかけられ(coverslipped)、ツァイス共焦点レーザー走査型顕微鏡(Zeiss laser scanning confocal microscope)を用いて分析される。以下の抗体が用いられる:抗ビオチン(ストレプトアビジン-Alexa594、1:500、Molecular Probes)、抗Muc1(1:100、Santa Cruz)、抗ビンクリン(V9131、1:400、Sigma Chemical Company)、抗β-カテニン(H-102、1:100、Santa Cruz Biochemical)、抗ファシン(fascin)(FCN01、1:50、Neomarkers)、およびファロイジン-Alexa546(1:100、Molecular Probes)。二次抗体は、Molecular ProbesのAlexa 488または546のいずれかであり得る。
ペプチド組織ターゲティング:
原形質膜を横切るためのペプチドの能力を検証するために、ペプチドは、合成の間、FITC-タグで連結される。ペプチドは、HIVタンパク質TAT(転写活性化因子タンパク質をトランス活性化する)のタンパク質形質導入ドメインと結合し、これはエンドサイトーシス非依存的方法、およびエネルギー非依存的方法でペプチドが細胞膜を横断することを可能にする(Torchilin et al., 2001b)。ペプチド配列は、NH2-FITC-GGG-YARAAARQARA-MUC1ペプチド-COOHである。ペプチドは、本発明者らのインビトロシステム上で試験され、その後、静脈内か、または腹膜内に注射される。全身送達の間ペプチド分解を減少させるために、ペプチドは、修飾されたPEGを用いて小さいミセルまたはリポソームに接合されうるか(Torchilin et al., 2001a; Valero et al., 1999)、またはC末端アミド化もしくはN末端アセチル化などの末端修飾に供する。なお、β-ガラクトシダーゼに対するペプチドタグとしてのTATのPTDドメインを用いた以前の研究において、全身送達はマウス体内で、全てではないが、大部分の組織に形質導入されたペプチドにより得られたことを留意されたい(Schwarze et al., 1999)。
動物:
本発明者らの研究について、動物の統計学的に適切な数を得るために、本発明者らは、野生型、およびトランスジェニック動物の3つの最適化された用量群を含む処置群(arm)ごとに、20匹の動物を利用する。本発明者らは、このトランスジェニックモデルについて腫瘍発生の初期、中間、および遅いステージで動物を処置するために生後6週間、8週間、および10週間目で処置を開始する、本研究の追加の群を設ける。これにより、180匹のトランスジェニック動物、および80匹の野生型動物を使用することになる。本発明者らは、どちらが最良の送達をもたらすかを決定するために、腹膜内注射および静脈内注射の両方を試験する。
組織学:
腫瘍成長をモニタリングするために、動物を週3回触診する。腫瘍の負荷量が体重の5%に達した場合、または動物が16週齢(約50%が肺転移を発生するタイムポイント)に達した場合、動物は屠殺される。乳腺、腫瘍、および肺の組織が回収され、メタカーン(methacarn)中で固定されるか、またはタンパク質溶解物が分析のために作製される。固定された肺は、転移性病変を同定するために、解剖用顕微鏡下で分析される。本発明者らは、肺の連続切片法ならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色による転移の同定と比較して、MMTV-pyMTモデルにおいて本方法を以前に分析している(データ示さず)。本発明者らは、このトランスジェニックモデルにおける肺転移の同定において、2つの方法が100%一致すること見出した。
免疫蛍光:
組織切片は、以前に説明されているように分析される(Schroeder et al., 2001)。組織免疫蛍光のために使用する抗体は、以下の通りである:抗Muc1(Santa Cruz Biochemical)、抗β-カテニン(H-102、1:500、Santa Cruz Biochemical、およびA11010-Alexa546、1:500、Molecular Probes)。組織切片を、パラフィンに包埋し、切り出し、蛍光タグ化ペプチドの存在を決定した。
免疫沈降:
タンパク質分解物は、以前に説明されているように産生される(Schroeder et al., 2003)。本発明者らは、ペプチド処置が生化学的複合体を形成するβ-カテニンおよびMUC1の能力を減少させているかどうか決定するために、種々の処置群を分析する。
統計分析:
本発明者らは、統計学的に有意な結果を作製するために必要とする動物の数を決定するために、アリゾナ癌センターのBiometry Coreを利用した。
実施例2--乳癌浸潤に関するMUC1発現の効果
乳癌浸潤に関するMUC1発現の機能的な重要性を調査するために、本発明者らは、β-カテニンと相互作用するドメインに対して設計されたMUC1模倣ペプチドと共に浸潤性乳癌細胞株をインキュベートした。本発明者らは、その後、フィルタを通したコラーゲンゲル中への浸潤におけるペプチド処置の効果をモニタリングした。
本発明者らは、MDA-MB-468細胞中でこれらのβ-カテニン結合部位(M2)ペプチドを用いて、最初の実験を実施した。MUC1/β-カテニン(M2)ペプチドを用いた処置は、コラーゲンマトリックスの中へのこれらの細胞の浸潤を約8倍阻害した(図1)。本発明者らは、4時間の間にコラーゲンマトリックスに侵入した15個未満のM2ペプチド処理細胞を観察し、PBS対照中の約125個の細胞と比較した。非特異的ペプチド処理(M3)は、PBS処理された対照と同様の結果を与えた。
MUC1の結合ドメインの分析は、本発明者らがこれらの予備実験からタンパク質相互作用のモデルを創造することを可能にする。MUC1が生産的にβ-カテニンに結合して、形質転換および浸潤を促進するためには、c-src、PLCδ、およびEGFRキナーゼ(図2中に示される結合ドメイン)と最初に相互作用しなければならない(Li et al., 2001b)。M2ペプチドは、MUC1のβ-カテニン結合部位を表すが、記載されている任意のキナーゼと相互作用する部位を含まない。M2ペプチドが内因性β-カテニンと相互作用できる場合、M2ペプチドは内因性MUC1がβ-カテニンと相互作用することを潜在的に妨害し得る。従って、M2ペプチドは、ドミナントネガティブなタンパク質として、すなわち、β-カテニンに結合するが、無処置のMUC1とβ-カテニンが浸潤を促進する様式で相互作用することを妨害するように、機能している可能性がある。本発明者らは、この浸潤の阻害を最適化するために、リン酸化されたおよび新生の両方の付加的なペプチドを生成した(図2)。本発明者らは、設計戦略として、タンパク質結合におけるチロシンリン酸化の機能的な重要性を決定する試みにおいてチロシンキナーゼ残基を調整する一方で、Muc1とβ-カテニンとの間の最小の相互作用ドメインに重点を置いた。
実施例2--MUC1およびβ-カテニンは、マウスモデルにおいて相互作用する
MUC1およびβ-カテニンは、転移性乳癌の自然発生的なモデルにおいて相互作用する。複数のモデル(MMTV-Wnt-1、MMTV-MUC1、および乳癌細胞株)がMuc1とβ-カテニンとの間の腫瘍特異的相互作用を示した一方、それらは様々な理由(ヒト疾患、腫瘍発症、および潜伏期への関連を含む)で臨床前モデルには最適ではない。それゆえ、本発明者らは、本発明者らのペプチドに基づく治療法を試験する適切なモデルとして役立ち得る、さらなるマウスモデルを探し出した。乳癌のMMTV-pyMT(マウス乳腺腫瘍ウイルス-プロモータ主導(driven)ポリオーマ中型(Middle)T抗原)モデルは、分析された動物のうち70%を上回る動物で肺に転移性である乳癌を発生するトランスジェニックマウスである(Guy et al., 1992a)。これは、(a) 転移性であり、(b) MUC1を含む多数の細胞シグナル伝達経路と相互作用するpyMT癌遺伝子により促進され(Spicer et al., 1995)、(c)12〜15週齢で腫瘍を発生するため治験のための良いモデルとなり、ならびに(d)組織学的に、非常に多様でかつ進行性の疾患を表す(Maglione et al., 2001)ことから、乳癌進行の優れたモデルである。本発明者らは、このモデルでMUC1とβ-カテニンとの間の相互作用を調べ、かつ、それらが腫瘍特異的な様式で相互作用することを見出した(図3)。Muc1およびβ-カテニンの両方が正常な乳腺および乳腺腫瘍中に発現する一方で(図3、下部2枚のパネル)、本発明者らは、正常な腺における2つのタンパク質の間の有意な生化学的相互作用を免疫沈降によって検出することができなかった。これに対して、実質的な相互作用は、腫瘍中のMuc1およびβ-カテニンとの間に観察された(図3、異なるマウスに由来する2つの腫瘍から示されたデータ。本発明者らは7つのさらなる腫瘍においてこれを繰り返した)。これらのデータは、これらの2つのタンパク質の間の相互作用が腫瘍特異的であり、これを、本発明者らのペプチドに基づく治療における使用に対する理想的なモデルとしていることを示す。本発明者らは、抑制性MUC1模倣ペプチドについての本発明者らの臨床前試験においてこのトランスジェニックマウスを使用することを計画する。
実施例4--TAT結合型MUC1模倣ペプチド
本発明者らは、MDA-MB-231およびMDA-MB-468浸潤性乳癌細胞株の浸潤を阻害する能力を得るために、TAT結合型MUC1模倣ペプチドを設計した。ペプチドを、細胞への侵入のためのTAT形質導入ドメインを運ぶように設計した。以下のペプチドを、設計し、作製し、試験した。
MTATl
Figure 0005116663
このペプチドは、β-カテニンを含む複数のタンパク質と相互作用することが公知のMUC1細胞質ドメインを表す。このペプチドは、陽性対照として用いられる。
TAT
これは、TAT形質導入ドメインであり、結合ペプチドの細胞への取り込みを促進する。このペプチドは、陰性対照として用いられる。
MBTAT (TAT-SAGNGGSSLS; SEQ ID NO:9)
このペプチドは、最小の相互作用部位を囲んでいる4つの付加された残基を有するβ-カテニン/MUC1相互作用部位を表す。
MB'TAT (TAT-GGSSLS; SEQ ID NO:2)
このペプチドは、最小の報告されたβ-カテニン/MUC1相互作用部位を表す。
MEBTAT (TAT-PYEKVSAGNGGSSLS; SEQ ID NO:1)
このペプチドは、付加されたEGFR相互作用部位を有するMBTATペプチドである。
MTAT1は、本発明者らのアッセイにおいて浸潤を18倍増加させ、その一方で、MBTATは浸潤を8倍抑制した。このデータは、全長のMUC1模倣ペプチドが、細胞浸潤を促進することができ、本質的に内因性MUC1の影響を擬態することを証明する。これに対して、より小さいMBTATペプチドは、おそらくお互いと相互作用する内因性MUC1およびβ-カテニンの能力を阻害することにより、浸潤を妨げる。MEBTATはMDA-MB-231乳癌細胞の浸潤を6倍妨げ、本発明者らは、このことがMUC1とβ-カテニン、MUC1とEGFR、またはMUC1とβ-カテニンおよびEGFRの両方との間の相互作用を防ぐことに起因するかどうか調査する。以前の公開されたデータがMUC1およびβ-カテニンの間のこの相互作用が乳癌の広がりにおいて重要であることを示すので、本発明者らは動物においてMBTATペプチドおよびMEBTATペプチドの両方を治療上使用する方向で進んでいる。
本発明者らは、本発明者らのトランスジェニックマウスを処置するために、MBTATおよびMEBTAT(蛍光標識された)を使用する。MMTV-pyMTトランスジェニックマウスが用いられる。
実施例5
ペプチドによるMDA-MB-231細胞の処置は、β-カテニンの異なる局在化を示した。TAT対照ペプチド処置は、分散した局在化をもたらした。MEBTATペプチド処置は、接着斑および葉状仮足の部位でβ-カテニン局在化をもたらした。
実施例6--scid異種移植モデルにおける治験
治験1
MDA-MB-231細胞株を、24匹のマウスの乳房脂肪パッドに注射した(マトリゲル中)。これらのマウスを、その後3つの群に分け、1日1回、MWF、2週間注射した。
群IAは、MEBTATペプチド10 ug/体重1gで処置した(腹腔内)。
群IBは、MEBTATペプチド20 ug/体重1gで処置した(腹腔内)。
群ICは、TATペプチド20 ug/体重1gで処置した(腹腔内)。
2週間目の終わりに、本発明者らは、群IAの1/7の動物で27%の腫瘍が後退し、群IBの1/7の動物で7%の腫瘍が後退し、かつ群ICでは腫瘍が後退しなかった(0/7)という結果を得た。全ての処置群での腫瘍体積の分析から、MEBTATで処置されたマウスにおいて、TAT処置と比較して腫瘍体積が20%減少したことが示された。
全ての腫瘍は最後に薬物を投与した3日後に外科的に切除され、かつマウスをさらに10日間モニタリングした。3つの群全てで腫瘍は再び成長し、成長率における統計学的有意差は見られなかった。生存している動物の割合(%)を経時的にモニタリングすることで示されたように、3つの群の生存率に違いがあった。生存の分析から、群IAで100%のマウスが38日目まで生存し、群IBで100%のマウスが43日目まで生存したが、群ICでは100%のマウスが32日目までしか生存しなかったことが分かった。このことは、TATと比較してMEBTAT 20ug/体重1gを摂取する動物に関して全体的な生存期間が25%増加したことと相関する。重要なことに、いずれの動物においても、ペプチド処置の毒性は検出されなかった。
治験II
MDA-MB-231細胞株を、16匹のマウスの乳房脂肪パッドに注射した(マトリゲル中)。これらのマウスを、その後2つの群に分け、1日1回、MTWThF、2週間注射した。
群IIAは、MEBTATペプチド20 ug/体重1gで処置した(静脈内)。
群IIBは、TATペプチド20 ug/体重1gで処置した(静脈内)。
2週間目の終わりに、腫瘍後退が群IIAのマウスの3/8において観察され(7%、9%、および21%の腫瘍体積減少)、かつ群IIBのマウスでは腫瘍後退は全く観察されなかった(0/8)。全ての動物は屠殺され、転移について分析された。目に見える転移は、群IIAの動物において、0/8の肺に、4/8の横隔膜に、および1/8の肝臓に認められた。目に見える転移は、群IIBにおいて、0/8の肺に、4/8の横隔膜に、および3/8の肝臓に観察された。(肺転移は、この実験における屠殺の時期が早かったために予想されていなかったことに注意されたい。)いずれの動物においても毒性は検出されなかった。これらのデータは、MEBTATペプチド処置が、腫瘍成長の減少および遠隔転移の減少をもたらし得ることを示した。
これらのデータは、ペプチドMEBTATが乳癌に対し抗腫瘍効果および抗転移性効果を有し、かつ重要なことに、毒性を示さないないことを意味する。
実施例7--アラニンスキャニング(alanine-scanning)変異体の浸潤アッセイ
MEB配列[PYEKVSAGNGGSSLS; SEQ ID NO:1]のアミノ酸について、一度に一つのアミノ酸をアラニンで置換した。(親アミノ酸残基の一つが既にアラニンだったため、14変異体しか存在しないことに注意されたい。)また、この実験は1回に各データポイントで4回の繰り返しを伴い行われた点に注意されたい。
新たなアッセイを、96ウェルフォーマットで行った。浸潤の抑制が24-ウェルフォーマットで観察されたほど強くない一方で、本発明者らは、TATまたはPBSに対してMEBTAT処置での3倍の浸潤抑制をさらに観察する。アミノ酸#9(N)または#14(L)を変化させることは、浸潤を阻害するMEBTATの能力に、明白な影響を全く及ぼさない。残るアミノ酸のいずれかを変化させることにより完全に効果がなくなり、このことはYEKV(EGFR/src結合部位)およびSAGNGGSSLS(β-カテニン結合部位)の両方が極めて重要な役割を果たすことを示している。また、重要なことは、TATにMEBを連結するP(残基#1で)である。プロリンは、MUC1結合部位へのペプチドの重要な道筋を提供している可能性がある。
MDA-MB-231細胞を、MEBTAT(M)、TAT(T)、PBS(P)、またはMEBTATのアラニンスキャニング変異体で1時間処理した。細胞を、カルセイン-AMで処理し、8uM Transwellを通ってI型コラーゲンゲルに18時間侵入させた。浸潤は、分光光度法によって分析した。
参考文献
引用されている各参考文献の開示は、本明細書に明白に組み込まれる。
Figure 0005116663
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M2ペプチド(MUC1-β-カテニン結合ドメイン)は、MDA-MB-468乳癌細胞の浸潤を阻害する。コラーゲンゲルマトリックスを、8uMポアサイズのトランスウェル挿入物(修飾されたボイデンのチャンバー)の底に注入し、その後、20% FBS中へ反転させた。細胞を、100ng/mlのペプチドと共に(細胞の取り込みを可能にするBioporter試薬を用いて)インキュベートし、その後、Transwellの上部に添加した。細胞(無血清の)を、ゲルに侵入できるようにし、ゲルを除去して、侵入した細胞を数えた。 ペプチドを、MUC1細胞質ドメインに対して設計した。一番上の配列(SEQ ID NO:13)は、浸潤性乳癌細胞株にパルスされた場合に浸潤を促進する、MUC1を標的とするペプチドを示す(Schroeder et al., 2003)。PKCδによりリン酸化された残基(&)、GSK3βによりリン酸化された残基(#)、srcおよびEGFRによりリン酸化された残基(@)が強調されている(Ren et al., 2002)。β-カテニンと相互作用することが公知の配列には、下線が引かれている。リン酸化されている残基を有する(M2P、-P)、および示されたグルタミン酸へのチロシンの置換を有する(M2EおよびME)、MUC1/β-カテニン相互作用を阻害するように設計された模倣ペプチドが、列挙されている(M2、M2p、M2E、およびME; SEQ ID NO:7、7、8、および14)。 図3A〜3Cは、MMTV-pyMTトランスジェニックマウスにおいて腫瘍特異的な様式でMuc1とβ-カテニンが相互作用することを示す。MMTV-pyMTマウスに由来する正常な乳腺および乳腺腫瘍をホモジナイズし、タンパク質溶解物をβ-カテニンについて免疫沈降して、Muc1に対してイムノブロットを行った(図3A)。図3Bおよび図3Cは、これらの組織におけるβ-カテニンおよびMuc1の全体のレベルを示す。 浸潤アッセイにおいて、MEBTATを用いたMDA-MB-231細胞の処置により、対照TATペプチドと比較して細胞侵襲性が5倍減少する。

Claims (33)

  1. 以下の構造を有する融合ペプチド:
    A-B-CまたはC-B-A
    式中Aは、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)及びHSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)からなる群から選択される、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させる、タンパク質形質導入ドメインであり;
    式中Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;
    式中CはPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)からなるポリペプチドである
  2. Aが、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)のタンパク質形質導入ドメインを含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  3. Aが、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)のタンパク質形質導入ドメインを含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  4. Aが、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)を含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  5. Aが、HSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)のタンパク質形質導入ドメインを含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  6. Bが、ポリアルギニン、ポリリジン、またはアルギニンおよびリジンの共重合体を含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  7. Bが、グリシン-グリシン-グリシンを含む、請求項1記載の融合ペプチド。
  8. AがPTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)であり、BがGGGであり、かつCがPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)である、請求項1記載の融合ペプチド。
  9. 以下の構造を有する融合ペプチド:
    A-B-CまたはC-B-A
    式中Aは、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)及びHSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)からなる群から選択される、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインであり;
    式中Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;
    式中CはPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)からなるポリペプチドであり、ここで該9及び14位のアミノ酸残基の一つはA残基で置換される。
  10. 以下の構造:
    A-B-CまたはC-B-A
    を有する融合ペプチド癌細胞接触させる段階を含み、それによって癌細胞の侵襲性が減少するかまたは遅延され癌細胞をインビトロ(in vitro)で処置する方法:
    式中Aは、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)及びHSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)からなる群から選択される、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインであり;
    式中Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;
    式中CはPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)からなるポリペプチドであるか、または該ポリペプチドの9及び14位のアミノ酸残基の一つがA残基で置換されたポリペプチドである
  11. 癌細胞が乳癌細胞である、請求項10記載の方法。
  12. 癌細胞が卵巣癌細胞である、請求項10記載の方法。
  13. 以下の構造:
    A-B-CまたはC-B-A
    を有する融合ペプチド
    中Aは、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)及びHSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)からなる群から選択される、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインであり;
    式中Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;
    式中CはPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)からなるポリペプチドであるか、または該ポリペプチドの9及び14位のアミノ酸残基の一つがA残基で置換されたポリペプチドである
    を含む、癌の侵襲性を減少または遅延させる、癌患者の処置において使用するための医薬
  14. 癌が乳癌である、請求項13記載の医薬
  15. 癌が卵巣癌である、請求項13記載の医薬
  16. 融合ペプチドが血管内投与用に製剤化される、請求項13記載の医薬
  17. 融合ペプチドが皮下投与用に製剤化される、請求項13記載の医薬
  18. 融合ペプチドが腹膜内投与用に製剤化される、請求項13記載の医薬
  19. 融合タンパク質がミセルまたはリポソームに結合される、請求項13記載の医薬
  20. 融合タンパク質がエチルアミドキャッピングされる(ethylamide-capped)、請求項13記載の医薬
  21. 化学療法薬と組み合わせて用いられる、請求項13記載の医薬
  22. 化学療法薬がタキソールである、請求項21記載の医薬
  23. 化学療法薬がシスプラチンである、請求項21記載の医薬
  24. 抗腫瘍抗体と組み合わせて用いられる、請求項13記載の医薬
  25. 抗体がHER2受容体に結合する、請求項24記載の医薬
  26. 化学療法薬が放射性である、請求項21記載の医薬
  27. 式中Aが、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質(SGYGRKKRRQRRRC; SEQ ID NO:3)、アンテナペディア(SGRQIKIWFQNRRMKWKKC; SEQ ID NO: 4)、PTD-4(YARAAARQARA; SEQ ID NO:5)及びHSV I型タンパク質VP22(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE; SEQ ID NO: 6)からなる群から選択される、付着高分子の細胞膜を通過する移動を増強させるタンパク質形質導入ドメインであり;
    式中Bが、0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;
    式中CがPYEKVSAGNGGSSLS(SEQ ID NO:1)からなるポリペプチドであるか、または該ポリペプチドの9及び14位のアミノ酸残基の一つがA残基で置換されたポリペプチドである
    以下の構造:
    A-B-CまたはC-B-A
    を有する融合ポリペプチドをコードするベクターを含む細胞を、ポリペプチドを発現させる条件下で培養する段階;および
    ポリペプチドを細胞または細胞培養培地から回収する段階、
    を含む、癌患者を処置するためのポリペプチドを産生する方法。
  28. SEQ ID NO:1の位置9のN残基がA残基で置換される、請求項9記載の融合ペプチド
  29. SEQ ID NO:1の位置14のL残基がA残基で置換される、請求項9記載の融合ペプチド
  30. SEQ ID NO:1の位置9のN残基がA残基で置換される、請求項10記載の方法。
  31. SEQ ID NO:1の位置14のL残基がA残基で置換される、請求項10記載の方法。
  32. SEQ ID NO:1の位置9のN残基がA残基で置換される、請求項13記載の医薬
  33. SEQ ID NO:1の位置14のL残基がA残基で置換される、請求項13記載の医薬
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