以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例である撮像装置としてのデジタルカメラの構成を示す。
図1において、100はデジタルカメラ(以下、カメラという)である。カメラ100において、10は撮像光学系としての撮像レンズ、12は絞り機能を備えたシャッタである。14は光学像(被写体像)を光電変換して電気信号を出力するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子である。16は撮像素子14からのアナログ信号出力をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
18はタイミング発生部であり、撮像素子14、 A/D変換器16及びD/A変換器26にクロック信号を供給する。該タイミング発生部18は、メモリ制御部22及び後述するシステム制御部50により制御される。
20は画像処理部(画像生成手段)であり、A/D変換器16又はメモリ制御部22からのデジタル撮像信号に対して、画素補間処理、色変換処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の各種画像処理を行う。これにより、画像データが生成される。
また、画像処理部20は、生成した画像データを用いて所定の演算処理を行う。システム制御部50は、その演算結果に基づいて、露光制御部40、フォーカス制御部42及びフラッシュ48を制御する。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。また、画像処理部20は、生成した画像データを用いて所定の演算処理を行い、その演算結果に基づいて、TTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
メモリ制御部22は、A/D変換器16、タイミング発生部18、画像処理部20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30及び圧縮・伸長部32を制御する。
画像処理部20からの画像データ又はA/D変換器16からのデジタル撮像信号は、メモリ制御部22を介して画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれる。
28はLCD等により構成される画像表示部(表示手段)である。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用画像データ(以下、EVF画像という)は、D/A変換器26を介して画像表示部28に送られる。EVF画像が画像表示部28で表示されることにより、電子ファインダ(EVF)機能が実現される。
ここで、撮像領域画像としてのEVF画像は、撮像素子14の有効撮像面のほぼ全体からの出力に基づいて生成される画像であり、言い換えれば、カメラ100によって撮像される撮像領域(撮像画角)の全体に対応する画像である。
メモリ30は、生成された静止画像や動画像を格納する。また、メモリ30は、システム制御部50の作業領域としても使用される。
32は適応離散コサイン変換(ADCT)、ウェーブレット変換等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長部であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。
34は暗号/復号回路であり、メモリ30の所定領域に記憶した画像データに対して必要に応じて暗号化処理を行うとともに、暗号化処理を行ってメモリ30の所定領域に記憶した画像データを再生表示する際に復号化処理を行う。
40はシャッタ12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携したフラッシュ調光機能も有する。
42はフォーカス制御部であり、システム制御部50とともに撮像レンズ10のオートフォーカス制御(AF処理)を行う。AF処理の詳細については後述する。AF処理により、合焦目標となる被写体に対する撮像レンズ10の合焦状態が得られる。
44は撮像レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部である。
46はレンズバリア102の動作を制御するバリア制御部である。フラッシュ48は、被写体に対して照明光を照射し、AF補助光の投光機能や前述したフラッシュ調光機能も有している。
露光制御部40及びフォーカス制御部42はTTL方式を用いて制御されている。すなわち、システム制御部50は、画像処理部20において生成された画像データを用いた演算結果に基づいて、露光制御部40及びフォーカス制御部42を制御する。システム制御部50は、フォーカス制御部42とともに、フォーカス制御手段を構成する。また、システム制御部50は、露光制御部40及びフォーカス制御部42のほか、カメラ100全体の動作を制御する。
さらに、システム制御部50は、表示制御手段としても機能し、画像表示部28でのEVF画像(撮像領域画像)の表示や、後述する拡大画像の表示を制御する。
52はシステム制御部50の動作用の定数、変数、コンピュータプログラム等のデータを記憶するメモリである。
54は情報表示部であり、文字、画像、音声等を用いてカメラ100の動作状態やメッセージ等を示す情報を出力する。情報表示部54は、液晶表示素子やスピーカ等により構成されている。情報表示部54は、一部の情報を光学ファインダ104を介してファインダ画面内に表示する。
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、EEPROM等が用いられる。
60は電源スイッチ(メインスイッチ)であり、カメラ100の電源のオン/オフを切り替えるために操作される。
62は撮像準備スイッチ(SW1)であり、不図示のシャッタボタンの第1ストローク操作(半押し操作:第1の操作)によりONとなり、測光結果に基づくAE処理や、AF処理等の撮像準備動作の開始を指示する。シャッタボタンと撮像準備スイッチ(SW1)62とにより、第1の操作手段(又は操作手段)が構成される。
64は撮像記録スイッチ(SW2)であり、シャッタボタンの第2ストローク操作(全押し操作:第2の操作)によりONとなり、撮像・記録処理を開始させる。ここにいう撮像記・録処理は、シャッタ12の開閉動作、撮像素子14からの撮像信号に基づいて画像処理部20にて画像データを生成する動作、画像データをメモリ制御部22を介してメモリ30に書き込む動作を含む。また、メモリ30から画像データを読み出して、圧縮・伸長部32で圧縮し、記録媒体120に記録する動作も含む。これら一連の撮像・記録処理は、記録用画像の取得処理ということもできる。
66は画像表示ON/OFFスイッチであり、画像表示部28の点灯(表示)と消灯を設定することができる。
70は各種ボタンやタッチパネル等を含む操作部であり、カメラ100の機能選択や各種設定を行うためのメニュー画面を表示させたり、メニュー項目を決定したりするために操作される。
72はモードダイアルであり、撮像モード(静止画撮像モードや動画撮像モード)、再生モード等の各機能を切り替え設定するために操作される。
75は縦位置検知センサであり、カメラ100の姿勢が縦位置か横位置かを検知する。
80は電源制御部であり、電池残量の検出を行う電池検出部、電池からの電源電圧を所定の動作電圧に変換するDC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ部等を含む。
86は電池であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池が使用される。82,84は電池86とカメラ100との電気的接続を行うためのコネクタである。
90は記録媒体200との通信を行うためのインタフェースである。92は記録媒体200に接続されるコネクタである。記録媒体200は、半導体メモリ、光ディスク、磁気ディスク等から構成される記録部202、該記録部202とカメラ100とのインタフェース204、及びカメラ100との接続を行うためのコネクタ206を備えている。記録媒体200には、カメラ100から出力される圧縮画像データや音声データが書き込まれる。
110,114は通信部であり、RS232C、USB、IEEE1394、無線通信等の通信機能を有する。112,116は通信部110,114を介してカメラ100に他の機器を接続するためのコネクタ又は無線通信用のアンテナである。
図2は、本実施例のカメラ100の全体的な動作を説明するフローチャートである。
電源スイッチ72が操作されて電源がオフからオンに切り替わると、ステップS201において、システム制御部50は、フラグや制御変数等を初期化する。続いて、ステップS202において、システム制御部50は、記録媒体200に記録されているファイルに関する管理処理を開始する。
次に、ステップS203、S205、S207において、システム制御部50は、モードダイアル72の設定位置を判断する。静止画記録モードに設定されていたならば、処理はステップS203からステップS204へ進み、システム制御部50は、静止画記録モード処理を実行する。ステップS204での静止画記録モード処理の詳細は図3を用いて後述する。
モードダイアル72が動画記録モードに設定されていたならば、処理はステップS203、S205を経てステップS206へ進み、システム制御部50は、動画記録モード処理を実行する。また、モードダイアル72が再生モードに設定されていた場合は、処理はステップS203、S205、S207を経てステップS208へ進み、システム制御部50は再生モード処理を実行する。
また、モードダイアル72が他のモードに設定されていた場合、処理はステップS209へ進み、システム制御部50は、設定されたモードに応じた処理を実行する。他のモードとしては、記録媒体200に格納されたファイルの送信を行う送信モード処理や、外部機器からファイルを受信して記録媒体200に格納する受信モード処理等が含まれる。
ステップS204、S206、S208、S209においてモードダイアル72によって設定されたモードに対応した処理が実行された後、処理はステップS210へ進む。ステップS210において、システム制御部50は、電源スイッチ72の設定位置を判断する。電源スイッチ72がオンに設定されていれば、ステップS203に処理を戻す。一方、電源スイッチ72がオフに設定されていたならば、処理はステップS210からステップS211へと進み、システム制御部50は終了処理を行う。
終了処理には、例えば以下の処理が含まれる。画像表示部28の表示を終了状態に変更してレンズバリア102を閉じることで撮像レンズ10を保護する処理である。また、フラグや制御変数等を含むパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録した後、電源供給が不要な部分への電源を遮断する処理である。
ステップS211での終了処理が完了すると、システム制御部50は本処理を終了し、電源をオフ状態に移行させる。
図3は、図2のステップS204における静止画記録モード処理を示すフローチャートである。なお、図3に示される静止画記録モード処理は、モードダイアル72により他のモードへの切り替えが行われた場合や電源スイッチ72がオフにセットされた場合に終了する。
システム制御部50は、静止画記録モードを開始すると、ステップS301において撮像モードを確定する。撮像モードには、撮像モードとしては、各種撮像パラメータが自動的に設定されるオートモード、該パラメータをユーザが手動で設定するマニュアルモード、各種シーンに適した撮像パラメータが設定されるシーン別モード等がある。
ステップS301において撮像モードが確定すると、ステップS302において、システム制御部50は、撮像素子14を用いて生成された画像データを画像表示部28に表示するスルー表示(ライブビュー表示ともいう)を行う。この時点では、全体画像としてのEVF画像(撮像領域画像)が画像表示部28の画面全体に表示される。
続いて、ステップS303において、システム制御部50は,電源制御部80を用いて電池等により構成される残容量や、記録媒体200の有無及び残容量がカメラ100の動作に問題があるか否かを判定する。問題があるならば、ステップS304において、システム制御部50は、画像表示部28を用いて画像や音声により所定の警告表示を行い、処理をステップS301に戻す。
電源部30や記録媒体200の状態に問題が無いならば、ステップ305において、システム制御部50は、必要に応じてフォーカスに関連する設定を更新する。このフォーカス関連設定は、操作部70に含まれるメニューボタンを操作することで画像表示部28に表示されるメニュー画面(不図示)や、操作部70に含まれるAF枠設定用の操作部材を操作することでユーザが任意に行うことができる。フォーカス関連設定としては、マクロ/遠景/MF(マニュアルフォーカス)の切り替え、MF拡大表示のON/OFF、及びAF枠設定等がある。
MF拡大表示は、マニュアルフォーカス時のユーザによる焦点調整を容易にするため、画像表示部28を用いてスルー表示に重畳して、その一部の領域の拡大表示を行う機能である。AF枠設定では、AF時の合焦目標領域を示す指標であるAF枠の位置を設定することが可能である。
AF枠設定には、画面の中央の1つの枠をAF枠とする「中央モード」、AF枠を操作部70に含まれる操作部材によってユーザが任意の位置に移動可能な「アクティブモード」、9つのAF枠を設定して合焦動作を行う「AiAFモード」がある。また、EVF画像から検出した顔位置に応じてAF枠を設定する「顔優先モード」もある。
さらに、操作手段としての操作部70及びメニュー画面を通じたピント拡大表示のON/OFF設定もこのステップで行う。ピント拡大表示は、AF処理の終了後に、EVF画像のうち該AF処理によって合焦状態が得られたAF枠内の領域(一部の領域)を拡大して得られる拡大画像を、画像表示部28に表示させる機能である。拡大画像を見ることで、ユーザは該AF枠内の合焦状態の確認を行うことができる。合焦状態の確認を行わない場合には、ピント拡大表示をオフにすることで(第3のモード)、EVF画像の見易さを優先することも可能である。
ステップS306では、システム制御部50は、AF枠設定が「顔優先モード」であるか否かを判断し、「顔優先モード」でなければS308に進む。AF枠設定が「顔優先モード」である場合はステップS307に進む。
ステップS307において、システム制御部50は、スルー表示される画像信号(EVF画像)中に人の顔(被写体)が存在するか否かを検知する顔検出を行う。システム制御部50は、被写体検出手段として機能する。この顔検出処理については図4を用いて後述する。
システム制御部50は、顔検出処理において顔が検出されると、EVF画像中での顔の位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等を顔情報としてシステムメモリ52に記憶する。なお、顔検出処理において顔が検出されなかった場合は、システムメモリ52内の位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等の領域に0を設定する。
ステップS308において、システム制御部50は、ステップS305におけるフォーカス関連設定に応じて画像表示部28の表示を更新する。この表示更新処理については図6を用いて後述する。
続いてステップS309において、システム制御部50は、第1シャッタスイッチ信号SW1がONしているか否かを判定する。第1シャッタスイッチ信号SW1がOFFの場合は、処理はステップS305に戻り、上記ステップS305〜S308を繰り返す。一方、第1シャッタスイッチ信号SW1がONの場合は、ステップS310に進む。
ステップS310において、システム制御部50は、画像表示部28にて拡大表示を行っている場合は、該拡大表示を解除(OFF)する。画像表示部28に拡大表示を行っていない場合はここでは特に処理を行わない。
拡大表示を解除するのは、ステップS312でのAF処理において、撮像素子14の駆動モードが拡大表示に適さないモードに切り替わる可能性があるためである。AF処理中は撮像素子14の駆動モードをAFに適したものに切り替えるが、AFに適したモードと拡大表示に適したモードとが異なる場合があるため、予め拡大表示を解除しておく。この後、拡大されていたAF枠において合焦が得られれば、その合焦領域の拡大画像が再表示されることになる。本ステップでの処理を終えると、ステップS311に進む。
ステップS311において、システム制御部50は、測光処理を行って絞り値及びシャッタ時間(シャッタスピード)を決定する。測光処理において、必要であればフラッシュ48の設定も行われる。このとき、ステップS307において顔が検出されていれば、検出した顔を含む領域で測光を行うようにすることも可能である。測光処理を終えると、ステップS312に進む。
ステップS312において、システム制御部50は、AF処理を行って撮像レンズ103の焦点を被写体に合わせる。313に進む。前述したように測距処理を開始する前に、必要に応じて撮像素子14の駆動モードをAF処理に適したものに切り替えてからAF処理を行い、AF終了後に撮像素子14の駆動モードを拡大表示に適したモードに切り替える。そして、ステップS313に進む。
次に、ステップS313では、システム制御部50は、ステップS312でのAF処理の結果に応じて、画像表示部28に対する合焦表示処理を行う。この合焦表示処理については図7を用いて後述する。
次に、ステップS314、S315では、システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1と第2シャッタースイッチ信号SW2のON/OFF状態を判定する。第1シャッタースイッチ信号SW1がONで第2シャッタースイッチ信号SW2がOFFの間は、ステップS314、S315の処理が繰り返される。第1シャッタースイッチ信号SW1がONで第2シャッタースイッチ信号SW2もONである場合は、処理はステップS314からステップS316へ進む。第1シャッタースイッチ信号SW1がOFFになると、処理はステップS314からステップS305へ戻る。
ステップS316において、システム制御部50は、画像表示部28の表示状態をスルー表示から固定色表示状態に設定する。そして、ステップS317において、システム制御部50は、露光処理や現像処理を含む撮像処理を実行する。この撮像処理の詳細については図5を用いて後述する。
次に、ステップS318において、システム制御部50は、画像表示部28に対して撮像処理で得られた画像データのクイックレビュー表示(レックビュー表示ともいう)を行う。クイックレビュー表示とは、記録される画像をユーザが確認するために、撮像処理後の記録用画像を、記録媒体200への記録前に、予め決められた時間(レビュー時間)だけ画像表示部28に表示する処理である。
クイックレビュー表示後、ステップS319において、システム制御部50は、撮像処理で得られた画像データを画像ファイルとして記録媒体200に対して書き込む記録処理を実行する。また、記録媒体200に記録する他に、撮像処理で得られた画像データを通信部110,114を通じてサーバ等の外部装置に転送してもよい。
ステップS319の記録処理が終了すると、ステップS320において、システム制御部50は、第2シャッタスイッチ信号SW2のON/OFF状態を判定する。第2シャッタスイッチ信号SW2がONの場合は、ステップS320の判定を繰り返し、第2シャッタスイッチ信号SW2がOFFになるのを待つ。この間、上記クイックレビュー表示を継続させる。すなわち、ステップS319の記録処理が終了した際に、第2シャッタスイッチ信号SW2がOFFされるまで画像表示部28におけるクイックレビュー表示を継続させる。このようにすることにより、ユーザは、シャッタボタンの全押し状態を継続することで、クイックレビュー表示を用いた記録用画像の確認を入念に行うことが可能となる。
ユーザがシャッタボタンを全押し状態にして撮像を行った後、シャッタボタンから手を放す等して全押し状態が解除されると、処理はステップS320からステップS321へ進む。
ステップS321において、システム制御部50は、予め定められたレビュー時間が経過したか否かを判断し、レビュー時間が経過していればステップS322に進む。ステップS322において、システム制御部50は、画像表示部28の表示状態をクイックレビュー表示からスルー表示状態に戻す。この処理により、クイックレビュー表示によって記録用画像を確認した後、画像表示部28の表示状態は、次の撮像のために撮像素子22からの画像データを逐次表示するスルー表示状態に自動的に切り替わる。
そして、ステップS323において、システム制御部50は、第1シャッタスイッチ信号SW1のON/OFFを判定し、第1シャッタスイッチ信号SW1がONの場合はステップS314へ、OFFの場合はステップS305へ処理を戻す。すなわち、シャッタボタンの半押し状態が継続している(第1シャッタスイッチ信号SW1がONである)場合は、システム制御部50は次の撮像に備える(ステップS314)。一方、シャッタボタンが放された状態(第1シャッタスイッチ信号SW1がOFF)である場合は、システム制御部50は、一連の撮像動作を終えて撮像待機状態(ステップS305)に戻る。
次に、図3のステップS307で行われる顔検出処理の一例を、図4を用いて説明する。ステップS401において、システム制御部50は顔検出対象の画像データ(EVF画像)を画像処理部20に送る。ステップS402において、システム制御部50の制御下で画像処理部20は、該画像データに水平方向バンドパスフィルタを作用させる。また、ステップS403において、システム制御部50の制御下で画像処理部20は、ステップS402で処理された画像データに垂直方向バンドパスフィルタを作用させる。これら水平及び垂直方向のバンドパスフィルタにより、画像データよりエッジ成分が検出される。
その後、ステップS404において、システム制御部50は、検出されたエッジ成分に関してパターンマッチングを行い、目及び鼻、口、耳の候補群を抽出する。そして、ステップS405において、システム制御部50は、ステップS404で抽出された目の候補群の中から、予め設定された条件(例えば2つの目の距離、傾き等)を満たすものを、目の対と判断し、目の対があるもののみ目の候補群として絞り込む。そして、ステップS406において、システム制御部50は、ステップS405で絞り込まれた目の候補群とそれに対応する顔を形成する他のパーツ(鼻、口、耳)を対応付け、また、予め設定した非顔条件フィルタを通すことで、顔を検出する。
ステップS407において、システム制御部50は、ステップS406による顔の検出結果に応じて上記顔情報を出力し、処理を終了する。このとき、顔の数等の特徴量を画像メモリ52に記憶する。また、複数の顔が検出された場合は順位付けを行うことで、最も主被写体と推定される顔(主顔)を特定する。
以上のようにスルー表示で表示される画像データを用いて、画像データの特徴量を抽出することで被写体情報を検出することが可能である。本実施例では、被写体情報として顔情報を例に挙げたが、被写体情報には他にも赤目判定等の様々な情報がある。
図5は、図3のステップS317で行われる撮像処理を示すフローチャートである。
ステップS501において、システム制御部50は、撮像開始時にその日時をシステムタイマより取得し、システムメモリ52に記憶する。続いて、ステップS502において、システムメモリ52に記憶されている測光データに従い、絞り機能を有するシャッタ101を絞り値に応じて開放する。こうして、露光が開始される(ステップS503)。
ステップS504において、システム制御部50は、測光データに従って撮像素子14の露光終了を待つ。露光終了時刻に到達すると、ステップS505において、システム制御部50はシャッタ101を閉じる。
そして、ステップS506において、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16、画像処理部20、メモリ制御部22を介して、或いはA/D変換器23から直接メモリ制御部22を介して、メモリ30に画像データを書き込む。以上のステップS501〜S506が露光処理に相当する。
続いて、ステップS507において、システム制御部50は、メモリ制御部22そして必要に応じて画像処理部20を用いて、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出して画像処理を順次施す。この画像処理は、例えば、ホワイトバランス処理や、圧縮/伸張部32を用いた圧縮処理等が含まれる。処理を終えた画像データはメモリ30に書き込まれる。
そして、ステップS508において、システム制御部50は、メモリ30から画像データを読み出し、これを圧縮/伸張部32を用いて伸張し、画像表示部28の表示用にリサイズする。そして、リサイズされた画像データを画像表示部28に表示するべくD/A変換器13に転送する。一連の処理を終えたならば、撮像処理を終了する。
図6は、図3のステップS308におけるフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を示すフローチャートである。
システム制御部50はフォーカス関連設定を参照し、マニュアルフォーカスモードであるか否かを判断する(ステップS601)。マニュアルフォーカスモードであった場合はステップS602に、マニュアルフォーカスモードでなかった場合はステップS611に進む。
ステップS602では、システム制御部50は、AF枠設定が「中央モード」(第1のモード)であるか否かを判断し、「中央モード」であればステップS603に進む。AF枠設定が「中央モード」である場合は、AF処理時のAF枠が中央の1枠に設定される。
次にステップS603において、システム制御部50は、画像表示部28に、スルー表示に重畳させてその中央に1枠のAF枠を表示させる。このときの表示例を図9Aに示す。画像表示部28において、EVF画像の中央にAF枠28cが重畳表示されている。表示を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
また、ステップS602においてAF枠設定が「中央モード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS604にてAF枠設定が「アクティブモード」(第1のモード)であるか否かを判断する。「アクティブモード」(アクティブAF)であればステップS605に進む。
ステップS605では、システム制御部50は、AF処理時のAF枠をユーザが指定した位置の1枠(以下、アクティブAF枠という)に設定する。AF枠の位置は、操作部70に含まれるアクティブAF枠移動用の操作部材(図示せず)を操作することでユーザが任意に設定可能である。
また、ステップS605において、システム制御部50は、画像表示部28に、スルー表示(EVF画像)に重畳させてアクティブAF枠を表示させる。このときの表示例を図9Bに示す。画像表示部28において、EVF画像にアクティブAF枠28dが重畳表示されている。表示を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
ステップS604においてAF枠設定が「アクティブモード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS606にてAF枠設定が「顔優先モード」(第1のモード)であるか否かを判断する。「顔優先モード」であればステップS607に進む。
AF枠設定が「顔優先モード」である場合は、AF処理時のAF枠が顔検出処理S306において検出された顔領域に設定される。なお、顔検出処理S307において複数の顔が検出された場合は、主顔の領域に合わせてAF枠を設定する。
ステップS607において、システム制御部50は、画像表示部28に、スルー表示(EVF画像)に重畳させて、顔領域に対応する顔枠を表示する。なお、顔検出処理S307において複数の顔が検出された場合は複数の顔枠を表示するが、主顔枠の色や形状を他の被写体の顔枠と異ならせる等して、主顔枠を識別可能な状態で表示する。このときの表示例を図9Cに示す。主顔枠28eと主顔枠以外(主被写体以外)の顔枠28fとが互いに異なる形状(太さ)や色を有するように表示されている。表示を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
ステップS606においてAF枠設定が「顔優先モード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS608にてAF枠設定が「AiAFモード」(第2のモード)であるか否かを判断する。「AiAFモード」であればステップS609に進む。
AF枠設定が「AiAFモード」である場合は、システム制御部50は、AF処理時のAF枠を9つ設定する。ただし、「AiAFモード」では、多くのAF枠を表示させるとEVF画像の観察に邪魔となるため、該AF枠を表示しない。9つのAF枠の中でどれが合焦枠となるかは、AF処理によってシステム制御部50が自動的に判断することになるため、AF処理前にユーザが合焦枠の位置を認識することはできない。
ステップS609において、システム制御部50は、画像表示部28においてスルー表示(EVF画像)に重畳させて表示していたAF枠及び顔枠の表示を中止(解除)する。ここで表示を中止するAF枠は、ステップS603で表示する中央の1枠と、ステップS605で表示するアクティブAF枠と、ステップS607で表示する顔枠等である。処理を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
ステップS608において、AF枠設定が「AiAFモード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS610において、設定されているAF枠に応じた枠表示を行い、フォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
ステップS601においてマニュアルフォーカスモードであると判断された場合は、システム制御部50は、ステップS611にてMF拡大表示が有効になっているか否かを判断する。MF拡大表示が無効になっている場合は、システム制御部50は、ステップS612にてMF枠の1枠をスルー表示(EVF画像)上に表示する。ここで、MF枠は、MF拡大表示時に拡大される領域であり、アクティブAF時のアクティブAF枠、及びアクティブAF時以外の中央1枠と一致する。表示を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
一方、ステップS611でMF拡大表示が有効であれば、システム制御部50は、ステップS613にて画像表示部28にMF枠の拡大表示をスルー表示(EVF画像)に重畳させて表示させる。表示を終えたらフォーカス関連設定に応じた表示更新処理を終了する。
図7は、図3のステップS313にて行われる合焦表示処理を示すフローチャートである。
ステップS701において、システム制御部50は、ピント拡大表示が有効になっているか否かを判断し、有効であればステップS702に進む。ピント拡大表示のON/OFF設定はステップS305にて行われる。
ステップS702では、システム制御部50は、ステップS312でのAF処理の結果を参照し、結果が合焦であればステップS703へ、非合焦であればステップS704に進む。
ステップS703において、システム制御部50は、画像表示部28に、合焦枠を表示させる。合焦枠は、緑色等の枠として表示される。AF枠が複数設定されている場合(AiAFモード等)は、焦点深度内のAF枠をすべて合焦枠として表示する。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS701においてAF結果が非合焦であった場合は、システム制御部50は、ステップS704にて画像表示部28に非合焦表示を行わせる。非合焦表示は、AF枠を黄色等で表示することで行う。AF枠が複数設定されている場合(AiAFモード等)では枠表示を行わないことで非合焦表示とする。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS701においてピント拡大表示が有効になっている場合は、システム制御部50は、ステップS705にてマニュアルフォーカスモードであるか否かを判断する。マニュアルフォーカスモードでない場合は、ステップS706にてAF処理の結果を参照して、結果が非合焦であればステップS707に、合焦であればステップS708に進む。
ステップS707において、システム制御部50は、画像表示部28に、非合焦表示を行わせる。ここでも、非合焦表示は、AF枠を黄色等で表示することで行う。AF枠が複数設定されている場合(AiAFモード等)は枠表示を行わないことで非合焦表示とする。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS706においてAF処理の結果が合焦であった場合は、システム制御部50は、ステップS708にてAF枠設定を参照し、AF枠設定が「中央モード」(第1のモード)であればステップS709に進む。
ステップS709において、システム制御部50は、画像表示部28を用いて中央1枠のAF枠内の合焦領域を拡大し、拡大画像を表示する。該拡大画像は、スルー表示(EVF画像)に重畳されて表示される。このときの表示例を図10Aに示す。画像表示部28(EVF画像)の中央に、図9Aに示したAF枠28c枠内の合焦領域の拡大画像28bが重畳表示されている。AF枠設定が「中央モード」である場合は、ステップS603においてAF枠(1枠)を表示しているため、ユーザがピント拡大表示処理によって拡大される領域を認識できる。したがって、ステップS709で拡大表示を行ってもユーザは戸惑うことなく合焦状態の確認を行うことができる。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS708においてAF枠設定が「中央モード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS710にてAF枠設定が「アクティブモード」(第1のモード)であるか否かを判断する。AF枠設定が「アクティブモード」であれば、システム制御部50は、画像表示部28(EVF画像)にアクティブAF枠内の合焦領域の拡大画像を重畳させて表示させる。このときの表示例を図10Bに示す。画像表示部28に表示されたEVF画像上に、図9Bに示したアクティブAF枠28d内の合焦領域の拡大画像28bが重畳表示されている。
図の例では、アクティブAF枠が画面左側に位置しているため、拡大画像も画面中央よりも左側に表示されている。
AF枠設定が「アクティブモード」である場合は、AF処理におけるAF枠がアクティブAF枠に設定される。ステップS605においてはアクティブAF枠(1枠)を表示しているため、ユーザがピント拡大表示処理によって拡大される領域を認識できる。したがって、ステップS711で拡大表示を行ってもユーザは戸惑うことなく合焦状態の確認を行うことができる。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS710にてAF枠設定が「アクティブモード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS712にてAF枠設定が「顔優先モード」(第1のモード)であるか否かを判断する。AF枠設定が「顔優先モード」であれば、システム制御部50は、ステップS713にて、画像表示部28に、顔検出処理によって検出された主顔に対応する主顔枠内の合焦領域を拡大表示させる。このときの拡大表示も、スルー表示に重畳して表示される。表示例を図10Cに示す。画像表示部28(EVF画像)に、主顔枠(図9Cの28e)内の合焦領域の拡大画像28bを重畳表示する。
AF枠設定が「顔優先モード」である場合は、AF処理におけるAF枠が主顔枠に相当するように設定され、ステップS607においては主顔枠を表示している。このため、ユーザがピント拡大表示処理によって拡大される領域を認識できる。複数の顔が検出されている場合でも、ステップS607にて説明したように主顔の枠を主顔以外の顔枠と区別して表示しているため、ユーザがピント拡大表示処理によって拡大される領域を認識できる。
逆に、ステップS607において主顔と主顔以外の顔枠を区別することなく表示する場合には、複数表示される顔枠のうちどれが拡大表示されるかをユーザは判断することができない。したがって、この場合は、ステップS713において合焦枠の拡大表示は行わず、AF枠を緑枠として表示する等、ステップS703と同様の合焦枠表示を行う。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS712においてAF枠設定が「顔優先モード」ではない場合は、システム制御部50は、ステップS714にてAF枠設定が「AiAFモード」(第2のモード)であるか否かを判断する。AF枠設定が「AiAFモード」であれば、システム制御部50は、画像表示部28に、AF処理において設定した複数のAF枠のうち焦点深度内のAF枠をすべて合焦表示する。このときの合焦表示は、AF枠を緑色で表示する等、ステップSS03と同様の合焦表示を行い、拡大表示は行わない。
AF枠設定が「AiAFモード」である場合は、AF処理において設定された複数のAF枠のうち、どれが焦点深度内と判断されるかをユーザは判断できない。しかも、ステップS609において枠表示も行われないため、ユーザがピント拡大表示処理によって拡大される領域を認識できない。したがって、この場合には、拡大表示を行わない。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS714においてAF枠設定が「AiAFモード」でない場合は、システム制御部50は、ステップS716にて、ステップS610での表示処理に応じて拡大表示或いは合焦枠表示を行う。
ステップS610の表示処理において拡大画像が表示される領域を示す枠がスルー表示に重畳表示されており、ユーザが該拡大領域を認識できる場合には、ステップS716にて該当領域を拡大表示する。逆に、ステップS325において拡大表示される領域を示す枠がスルー表示に重畳表示されていない場合や、複数の区別のできない枠が表示され、そのうちどの枠が拡大表示されるかユーザが識別できない場合には、例えば合焦枠を緑色の枠として表示する。このようにステップS703と同様の合焦枠表示を行う。そして、処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
ステップS705においてマニュアルフォーカスモードが設定されている場合は、システム制御部50は、ステップS717において、画像表示部28に、スルー表示(EVF画像)に重畳させてMF枠の拡大画像を表示させる。
マニュアルフォーカスモードの場合の表示は、ステップS612でMF枠が表示されるか、或いはステップS613でMF枠の拡大表示が行われるかのいずれかである。ステップS612でMF枠が表示されている場合は、拡大される領域の枠が重畳表示されているのでユーザは拡大される領域を認識できる。また、ステップS613でMF枠の拡大表示を行っている場合も、ユーザはその拡大表示を利用してフォーカスを調節しているので、拡大される領域を認識していると考えられる。したがって、マニュアルフォーカス時であれば、ユーザは拡大される領域を認識していると考えることができ、ステップS717で拡大表示を行う。処理を終えたら合焦表示処理を終了する。
以上説明したように、本実施例のカメラは、撮像領域画像上にフォーカス制御の合焦目標領域を示す指標(AF枠)を表示させ、該合焦目標領域においてフォーカス制御により合焦が得られたことに応じて該合焦領域の拡大画像を表示させる第1のモードを有する。また、本実施例のカメラは、撮像領域画像上に指標(AF枠)を表示させず、合焦目標領域において合焦が得られても該合焦領域の拡大画像を表示させない第2のモードを有する。これにより、指標が表示されないモードでは、ユーザが意図しない拡大表示が行われることを回避できる。一方、指標が表示されるモードでは、ユーザが撮像領域画像のうち拡大表示される領域を予め認識できるので、拡大された被写体に対するピント状態や該被写体の表情等の確認をユーザの期待通りに行うことができる。
本実施例ではAF枠内の合焦領域を拡大表示する場合の処理について述べたが、拡大表示する領域として合焦枠だけでなく、測光枠やホワイトバランス枠、その他の領域を用いてもよい。
以上説明した実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、実施例に対して種々の変形や変更が可能である。