JP5115928B2 - 位相差分布測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は被測定物について少なくとも位相差の二次元分布を測定するための位相差分布測定装置に関する。
被測定物の位相差を測定する方法としては、偏光子と検光子それぞれの透過軸を平行に配置し、偏光子と検光子との間に被測定物を置き、偏光子と検光子とを平行ニコル状態に保って1回転し、そのときの透過光強度変化から被測定物の位相差と配向角とを求める方法(平行ニコル回転法)がある。
透明樹脂成形品の位相差分布を測定するために実際に平行ニコル回転法とCCDカメラとを組み合わせた装置も実用化されており、主に位相差が約260nm以下の比較的低位相差領域の被測定物を対象とした位相差分布測定に利用されている。
平行ニコル回転法では単一波長の測定光を用いている。図11は平行ニコル回転法のときの測定波長λと位相差Rとによって表されるC(=cos2πR/λ)を位相差Rに対して示したものである。その下に示した図形は、それぞれの位相差をもつ被測定物に対して偏光子と検光子とを平行ニコル状態に保って1回転したときの透過光の検出強度図形である。
特開2001−228034号公報 日本写真学会誌, Vol.27, No.6, pp.478-483 (1990)
平行ニコル回転法では、透過光強度図形からCの値を求めて位相差Rを算出するが、図11からもわかるように、追随可能な位相差Rの変化範囲は測定波長λの半分以内に制限される。そのため、例えば、図12の〇印のグラフのように場所によって位相差がおおよそ50〜860nmの範囲で変化しているような被測定物を平行ニコル回転法の測定波長590nmで測定したとすると、位相差Rが295nm(λ/2)と590nm(λ)が次数の変わり目になり、次数2の領域(R=295〜590nm)のグラフは次数1の領域(R=0〜295nm)に折り返された形になり、次数3の領域(R=590〜885nm)のグラフは次数1の領域に平行移動された形になる。その結果、図12の▲印のグラフのようになり、正確な位相差変化を捉えることはできない。
平行ニコル回転法以外の例としては、ディスク基板内の内部応力状態を評価するために位相差及び光学主軸の分布の測定法が示されている(特許文献1参照。)。この場合も、測定例は位相角15°以下すなわち測定波長を633nmとすると15°×633nm/360°=26nm以下の位相差である。この方法で測定可能な位相差範囲は、波長の1/4すなわち160nm程度までで、平行ニコル回転法と同様に位相差範囲が広範囲になる場合は測定することはできない。
一般的にプラスチックレンズや導光板などの光学用途の成形品においては、残留応力ひずみによる複屈折が大きいと場所によって屈折率が異なったり、変形の原因になったりすることから、残留応力ひずみによる複屈折が大きいことは好ましくない。また射出成形品では、ゲート周辺の位相差分布に関心が高いが、光学部品であってもゲート周辺では位相差が1000nm以上になることも珍しくなく、従来のように測定可能な位相差範囲が狭い方法で測定するのは実質的に困難である。
本発明は、透明な樹脂成形品など、広範囲にわたる位相差変化がある被測定物の位相差分布を測定するための装置を提供することを目的とするものである。
本発明の位相差分布測定装置は、白色光のような多波長成分を含む測定光が被測定物に偏光子を通して照射され、被測定物を透過した測定光が検光子を通して分光器に入射して透過光分光スペクトルが測定される位相差測定部と、位相差測定部で測定された透過光分光スペクトルから被測定物の位相差分布を少なくとも算出する演算処理部を備えている。
位相差測定部は被測定物を位相差測定部に対して相対的に移動させる移動機構を備えている。偏光子及び検光子は平行ニコルの状態を維持して基準方位に対する偏光方位(透過軸方位)が少なくとも0°と45°の間で回転可能に支持されている。基準方位は任意に設定することができる。例えば、測定装置の角度基準0°が決まっている場合は、その角度基準を基準方位とすればよい。
分光器はグレーティングなどの分散素子とCCDカメラなどの二次元検出器を備えて、被測定物の相対的移動方向に直交する一直線上の測定光を取り込み分光して透過光分光スペクトルを検出するイメージング分光器である。例えば、スリットから入射した一直線状の光をグレーティングによってその一直線とは直交する方向に分散させた分光スペクトルをCCDカメラで検出することにより、一直線上の位置ごとの分光スペクトルを一度に検出できるようにしたものである。
平行ニコル配置の場合、一般的に検出光強度は下記の式で表現される。
I(θ)
=I0{α2cos4(θ−φ)+sin4(θ−φ)+(Cα/2)sin2 2(θ−φ )}
(1)
ただし、C =cos(2πR /λ ) (2)
ここで、θは偏光子・検光子の透過軸方位、I0は被測定物がないときの検出光強度、αは直交する2つの光学主軸方向に直線偏光が透過するときの振幅透過率比、φは被測定物の配向角(被測定物の2つの光学主軸のうちの屈折率が大きい方向)、Rは被測定物の位相差、λは測定波長である。θとφは適当に設定した基準方位に対する角度である。
(1)式において、I0及びRは測定波長λに依存する。また、αはほとんどの場合ほぼ1であるが、被測定物の位相差が大きいときは2つの光学主軸の屈折率差が大きいことに相当するため、2つの方向において表面反射率に差が生じ、その結果2つの光学主軸方向に対する直線偏光の透過率にも差が生じて、αは1より小さくなる。しかし、その場合でもαは0.95程度まで小さくなるだけであり、かつ可視域の波長全体について考える場合、αの波長依存性は無視できることが多い。
まず簡単のために、(1)式においてα=1の場合について考える。θ=0°と45°のときの検出光強度をI(0)とI(45)と表記し、θ=0°と45°のときのI0を区別してI0(0)とI0(45)とすると、I(0)とI(45)はそれぞれ次のように表される。
I(0)={I0(0)/2}{2+(C−1)sin22φ} (3)
I(45)={I0(45)/2}{2+(C−1)cos22φ} (4)
被測定物がないときの検出光強度I0(0)とI0(45)とは本来ほとんど同じであるが、それぞれの偏光子の特性や分光器の波長特性に僅かの違いがある場合も考えられるので、一応異なるものとして扱う。
そこで、I(0)/I0(0)とI(45)/I0(45)とを計算した後、それらを合算した値をITとすると、式(3),(4)からITは次のように表される。
T=(C+3)/2 (5)
(5)式からITはCすなわち位相差Rと測定波長λによって決まり、被測定物の配向角φには影響されないことがわかる。ただし、(5)式のITは偏光子や分光器の波長特性を除くために被測定物がないときの値I0(0),I0(45)で除したものである。
例えば2000nmの位相差Rをもつ被測定物を波長λが590nmの測定光による平行ニコル回転法で測定した場合、被測定物を配向角φが0°の状態に配置したときの検出光強度図形と被測定物を配向角φが20°の状態に配置したときの検出光強度図形を示すと図1のようになる。φが0°の場合とφが20°の場合とでは、I(0)とI(45)は異なるが、(5)式の結果によればI(0)+I(45)はφによらず一定ということを意味している。図1においても、I(0)+I(45)はφが0°の場合とφが20°の場合とで等しくなることが窺われる。
このことは1つの波長についてだけではなく、すべての波長に対して成立するので、分光スペクトルについても同様のことが成り立つ。また、Cが取り得る範囲は−1〜1であるから、α=1のときITは1〜2の範囲の値になる。
そこで、図10に示されるように、本発明の位相差分布測定装置は、演算処理部10として、分光スペクトル保持部102、合算スペクトル算出部104及び位相差算出部106を備えている。
分光スペクトル保持部102は、位相差を異ならせて算出された複数の合算スペクトルIT(=(C+3)/2)(ただし、C=cos(2πR(λ)/λである。)を保持する。
合算スペクトル算出部104は、位相差測定部において被測定物がない状態での偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの分光器が測定光を取り込む一直線上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI0(0),I0(45)と、被測定物を位相差測定部に対して相対的に移動させたときの偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの前記一直線上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI(0),I(45)とから前記一直線上の各位置での合算スペクトル実測値IT’(ただし、IT’=I(0)/I0(0)+I(45)/I0(45)である。)を算出する。
具体的に示すと、被測定物を位相差測定部に対して相対的に移動させて合算スペクトル実測値IT’を得るためには、偏光子と検光子の偏光方位を0°にして被測定物を位相差測定部に対して一方向に移動させて前記一直線上の位置ごとでのそれぞれの透過光分光スペクトルI(0)を測定する動作と、偏光子と検光子の偏光方位を45°にして被測定物を位相差測定部に対して一方向に移動させて前記一直線上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI(45)を測定する動作を行う。I(0)とI(45)は前記一直線上の各位置(x)と被測定物の位相差測定部に対する相対的移動距離(y)の関数となる。そこで、I(0),I(45)を位置の関数としてIxy(0),Ixy(45)と表すことができる。一方、I0(0)とI0(45)は被測定物がない状態での分光スペクトルであるので、位相差測定部の場所的な不均一を反映して前記一直線上の各位置xの関数であるが、被測定物の位相差測定部に対する相対的移動方向には依存しない。そこで、I0(0),I0(45)を位置の関数としてI0x(0),I0x(45)と表すことができる。合算スペクトル実測値IT’は被測定物上の各位置についてのIxy(0),Ixy(45)を用いて、
T’=Ixy(0)/I0x(0)+Ixy(45)/I0x(45)
として算出される。
位相差算出部106は、被測定物上の位置ごとに、分光スペクトル保持部102に保持された計算値ITと合算スペクトル算出部104で算出された実測値IT’の差が最小になるITを求めてそのITに該当する位相差R(λ)をその被測定物の各位置での位相差Rm(λ)とすることにより、前記一直線と被測定物の相対的移動距離とから定まる面積内での被測定物の位相差分布を求める。
さらに、演算処理部10は、位相差をR(λ)として波長分散を次式で表し、あらかじめ式中の係数a、b、cを材料ごとに区別して登録しておくことができる(非特許文献1参照)。
R(λ)=a+b/(λ2−c2) (6)
a、b、cの各係数の値は、例えば王子計測機器(株)製の位相差測定装置KOBRA−WRを用いれば容易に求めることができる。
ここで、基準波長をλ0とすると、(6)式より基準波長λ0に対する任意の波長λでの分散比率R(λ)/R(λ0)は容易に求まる。基準波長は任意に定めることができる。フィルムの延伸倍率の違いや厚さの違いによって位相差R(λ)が異なる場合も、この分散比率R(λ)/R(λ0)は材料ごとにほぼ等しくなることがよく知られている。図2(A)は5種のPETフィルムの位相差R(λ)の波長依存性を示したものであり、(B)はその分散比率R(λ)/R(λ0)の波長依存性を示したグラフであるが、実際に分散比率R(λ)/R(λ0)はほぼ1本の曲線に重なっている。したがって、(6)式の各係数を設定して波長分散式を登録しておくことにより、基準波長に対する分散比率も求まり、計算上R(λ0)を所定の範囲だけ所定の刻みで変化させれば、その都度任意の波長に対してR(λ)も容易に計算できる。すなわち、被測定物の位相差の波長分散式が既知であれば基準波長に対する位相差を任意に変化させながら、そのときの(5)式のITに相当する分光スペクトルを自由に計算できることを意味している。
そこで、本発明の好ましい形態では、図10に示されるように、演算処理部10は被測定物についての位相差R(λ)の波長分散式から基準波長λ0に対する位相差の分散比率R(λ)/R(λ0)を計算する分散比率算出部108をさらに備え、分光スペクトル保持部102に保持されているIT分光スペクトルは、R(λ0)を複数に変化させたときの対応するR(λ)から算出されたものであり、位相差算出部106は計算値ITと実測値IT’の差が最小になるITに該当する位相差として基準波長λ0での位相差Rm(λ0)を求め、分散比率を用いて任意の波長λでの位相差Rm(λ)を求めるものとすることができる。
位相差の測定値を分布図として表示するときは、表示したい波長を予め設定しておく。その表示波長として基準波長λ0を割り当てておけば、位相差算出部106で求められた基準波長λ0での位相差Rm(λ0)を用いて分布図を表示すればよい。分散比率を用いて求められる任意の波長λでの位相差Rm(λ)は、次の段階で配向角φmを求めるときに使用される。
次に、2つの光学主軸方向の振幅透過率比αが1ではない場合を検討する。α≠1のときの(5)式に相当する値をIT’とすると、IT’は位相差Rと測定波長λだけでなく、被測定物の配向角φや振幅透過率比αによって変わる。例えばPETフィルムを仮定し、基準波長λ0=590nmでの位相差Rを2000nm、配向角φ=20°及び振幅透過率比α=0.95としたとき、I(0)/I0(0)、I(45)/I0(45)及びIT’は図3のようになり、IT’の最大値は2にはならない。図3においてITはα=1のときの分光スペクトルである。
さらに、同じPETフィルムの条件で配向角φ及び振幅透過率比αの値を変えたときのIT’の最大値を調べ、その結果をグラフにすると図4のようになり、IT’の最大値はφとαのいずれの影響も受けることがわかる。また、位相差Rが変わればこれらの関係も変わる。α≠1のときにφやRがどのような値であっても、測定されたIT’の情報から精度よくRとφを求めるために、α=1のときにITの最大値が2になることを考慮に入れて、β1=2/(IT’の最大値)とし、β1×IT’の分光スペクトルを考える。図3のα=0.95のときのIT’についてこの処理を行うと、図5のようになり、α=1としたときのITの分光スペクトルと近い曲線が得られる。したがって、I(0)/I0(0)、I(45)/I0(45)を合計したIT’の分光スペクトルを実測し、IT’の最大値から上記のβ1を求めた後、β1×IT’の分光スペクトルを測定値とし、一方で登録した波長分散式と(5)式を利用した前述の計算方法によってITの分光スペクトルを算出し、β1×IT’とITの2つの分光スペクトルの差が最小になるときの基準波長に対する位相差Rm(λ0)を決定する。
そこで、本発明の他の好ましい形態では、図10に示されるように、演算処理部10は補正係数β1として2/(IT’の最大値)を計算する補正係数算出部110をさらに備え、位相差算出部106は計算値ITと比較する実測値IT'としてβ1で補正された補正実測値分光スペクトルβ1×IT'を用いるようにすることができる。
この場合も、位相差算出部106が位相差として基準波長λ0での位相差Rm(λ0)を求めるようにした場合には、分散比率を用いて任意の波長λでの位相差Rm(λ)を求めることができる。
また、さらに他の好ましい形態として、位相差算出部106は計算値ITと実測値IT’の差として波長ごとの残差2乗和を計算するようにすることができる。
次に、被測定物の配向角φを決定する方法を説明する。配向角φを決定するために、本発明のさらに他の好ましい形態では、図10に示されるように、演算処理部10は配向角算出部112をさらに備えている。配向角算出部112は、偏光子と検光子の偏光方位が0°又は45°のいずれかの状態における透過光分光スペクトル実測値I(0)又はI(45)と、求められた位相差Rm(λ)を用い実測時と同じ偏光方位について被測定物の光学主軸φを変化させて計算した複数の透過光分光スペクトル計算値I(0)又はI(45)とを比較し、その差が最小になるときの光学主軸φを被測定物の各位置での配向角φmとする。
配向角算出部112は、透過光分光スペクトル実測値I(0)又はI(45)に代えてIS’としてI(0)/I0(0)又はI(45)/I0(45)を使用し、透過光分光スペクトル計算値I(0)又はI(45)に代えてISとして{2+(C−1)sin22φ}/2又は{2+(C−1)cos22φ}/2を使用するようにしてもよい。
I(0)/I0(0)、I(45)/I0(45)の分光スペクトルの最大値はα=1のときはいずれも1になるが、α≠1のときの最大値は1にはならない。そこで、配向角算出部112はIS’の最大値が1になるように補正をした上で透過光分光スペクトル計算値ISと比較するものとしてもよい。
また、偏光子・検光子方位が0°と45°の2つの角度のみに着目しているため、配向角φ=22.5°及び−67.5°のときには、必ずI(0)=I(45)となる。配向角φを決定するにはI(0)/I0(0)、I(45)/I0(45)のいずれか一方の分光スペクトルを利用すればよいが、できるだけ波長に対して変化の大きい方のスペクトルを採用した方が計算値との一致が判断しやすい。そこで、α≠1のときのI(0)/I0(0)、I(45)/I0(45)それぞれの最大値をI0max、I45maxとし、φの値を−90°〜90°の範囲で変えて両者の大小を調べると、次のような結果が得られた。
−90°≦φ<−67.5°のときI0max>I45max
−67.5°≦φ<22.5°のときI0max≦I45max
22.5°≦φ≦90°のときI0max≧I45max
さらに、I0max、I45maxのうち大きい値に対応した方の分光スペクトルが波長に対する変化が大きいことも分かった。したがって、まずI0max、I45maxのいずれが大きいかを調べた後、大きい方の分光スペクトルに着目すればよい。
例としてI(0)/I0(0)に着目する場合について考える。β2=1/I0maxを求めてIS’=β2×I(0)/I0(0)を測定値の分光スペクトルとする。一方、計算でφを−90°≦φ<−67.5°及び22.5°≦φ≦90°の範囲を所定の刻みで変化させながら、先に決定したRm(λ)と(3)式とを利用して、α=1のときのIS=I(0)/I0(0)の分光スペクトルを算出し、測定値IS’と計算値ISの2つの分光スペクトルの残差2乗和が最小になるときの配向角φmを決定する。
I(45)/I0(45)に着目する場合は、β2=1/I45maxとし、(3)式の代わりに(4)式を利用し、−67.5°≦φ<22.5°の範囲でφを変化させて配向角φmを決定する。
図6は上記に示した位相差Rm(λ)の決定手順で最も好ましい方法をまとめて示したフローチャートであり、図7は上記に示した配向角φmの決定手順で最も好ましい方法をまとめて示したフローチャートである。
本発明によれば、被測定物がない状態での前記偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの透過光分光スペクトルI0(0),I0(45)と、被測定物を位相差測定部に対して相対的に移動させたときの偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの被測定物上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI(0),I(45)とから被測定物上の各位置での合算スペクトル実測値IT’を算出し、位相差を異ならせて算出された複数の合算スペクトルITとの比較を被測定物上の位置ごとに行ってその差が最小になるITを求めてそのITに該当する位相差R(λ)をその被測定物の各位置での位相差Rm(λ)とするようにしたので、広範囲にわたる位相差変化がある被測定物であってもその位相差分布を測定することができるようになる。
さらに、透過光分光スペクトル実測値I(0)又はI(45)と、求められた位相差Rm(λ)を用い実測と同じ偏光方位について被測定物の光学主軸φを変化させて計算した複数の透過光分光スペクトル計算値I(0)又はI(45)とを比較し、その差が最小になるときの光学主軸φを被測定物の配向角φmとするようにすれば、配向角φmも精度よく、しかも短時間に測定することができるので、配向角φmの分布も測定できるようになる。
図8は、本発明の位相差分布測定装置の第1の実施例の概略構成図であり、位相差測定部と、位相差測定部で測定された透過光分光スペクトルから被測定物の位相差と配向角を算出する演算処理部10を備えている。演算処理部10と被測定物5を除く部分が位相差測定部を構成している。
位相差測定部において、被測定物5を支持し一方向(Y方向)に移動させるために自動一軸テーブル4が設けられている。
光源1は例えばハロゲンランプであり、多波長成分を含む測定光として白色光を供給するものである。光源1としては白色LED(発光ダイオード)を用いた光源であってもよい。光源1からの光を広い面積の照射光とするために、被測定物5に対向するように面照射素子2が配置されており、光源1からの光がライトガイドによって面照射素子2に導かれている。
被測定物5に直線偏光の測定光を照射するために被測定物5の一方の面と面照射素子2の間に偏光子3が配置されている。被測定物5の他方の面側には被測定物5を挟んで偏光子3に対向するように検光子6が配置されている。
偏光子3と検光子6は平行ニコルの状態に配置され、平行ニコルの状態を維持して回転可能に支持されている。偏光子3と検光子6の回転範囲は、基準方位に対する偏光方位(θ)が0°となる方位と45°となる方位を含む角度範囲である。基準方位はMD方向(被測定物5の移動方向であるY方向)に設定してもよく、それに直交するX方向としてもよい。
検光子6を透過した測定光は顕微鏡又はCCDカメラ用レンズ7を経てイメージング分光器8に取り込まれる。顕微鏡又はレンズ7の倍率と、イメージング分光器8に含まれるCCD素子の大きさ及びそのX方向画素数とによって、取り込めるX方向の視野寸法と空間分解能が定まる。また、被測定物5の移動方向であるY方向の視野寸法は被測定物5の移動量によって決まり、Y方向の空間分解能は被測定物の移動ステップ量によって定まる。
被測定物5の寸法が大きい場合で、かつ全面の分布を取る必要がある場合は自動一軸テーブル4の代わりに、自動XYテーブルを使用してまず被測定物5をY方向に移動して一連のデータ処理が終わった後、所定の寸法だけX方向に被測定物5を移動し、1回目と同じ方法で繰り返して測定を行えば、必要な面積全体の分布を得ることができる。
イメージング分光器8は、図9のような構成になっており、スリット8aを介してX方向の線状の光を受光し、グレーティング8bで分光してモノクロCCDカメラ8cで受光する。グレーティング8bはX方向の線上の各位置の光をY'方向(被測定物5の移動方向であるY方向と区別するためにY'方向とする。)に分光する。イメージング分光器8としては、具体的には、ImSpector V8(JFEテクノリサーチ株式会社の製品)が利用できる。
イメージング分光器8によって分光され検出された透過光強度は演算処理部10に取り込まれて、上に述べたように、被測定物5の位相差Rm(λ)と配向角φmが算出される。演算処理部10は専用のコンピュータ又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現される。
被測定物5を図8のY方向に移動させることにより、被測定物5の2次元領域内の各位置に対する検出光Ixy(θ)の分光スペクトルを得ることができる。この個々のIxy(θ)について、θが0°と45°のときの区別をしながら図6及び図7のフローチャートに示した手順で実測値の処理及び計算を実行して、被測定物5の各位置に対応した位相差Rm(λ)と配向角φmを求める。図6及び図7では求まった位相差と配向角をそれぞれRm(λ)、φmと表しているが、各位置に対応した値はRmxy(λ)、φmxyとなり、それらの値を二次元的な分布グラフにして図示する。
平行ニコル回転法においてある位相差をもつ被測定物をある測定波長で測定したときの検出光強度を示す図である。 (A)はPETフィルムを測定したときの位相差の波長依存性を示す図、(B)は同じく分散比率の波長依存性を示す図である。 本発明で扱う検出光の分光スペクトルの例を示す図である。 被測定物の振幅透過率比αと検出光の分光スペクトルIT'の最大値との関係を示す図である。 検出光の分光スペクトルIT'を補正したものとα=1のときの分光スペクトルITとを比較した図である。 本発明における位相差Rm(λ)の決定手順で最も好ましい方法を示すフローチャートである。 本発明における配向角φmの決定手順で最も好ましい方法を示すフローチャートである。 一実施例を示す概略構成図である。 イメージング分光器を示す概略斜視図である。 同実施例における演算処理部を示すブロック図である。 平行ニコル回転法におけるCと位相差Rの関係、及び検出光強度図形の関係を示す図である。 位相差が大きく変化している被測定物(○印)を平行ニコル回転法で測定した場合の結果(▲印)を示すグラフである。
符号の説明
1 光源
2 面照射素子
3 偏光子
4 自動一軸テーブル
6 検光子
7 顕微鏡又はレンズ
8 イメージング分光器
8a スリット
8b グレーティング
8c CCDカメラ
9 CCD素子
10 演算処理部
102 分光スペクトル保持部
104 合算スペクトル算出部
106 位相差算出部
108 分散比率算出部
110 補正係数算出部
112 配向角算出部

Claims (7)

  1. 多波長成分を含む測定光が被測定物に偏光子を通して照射され、被測定物を透過した測定光が検光子を通して分光器に入射して透過光分光スペクトルが測定される位相差測定部であって、被測定物を該位相差測定部に対して相対的に移動させる移動機構を備え、前記偏光子及び検光子は平行ニコルの状態を維持して基準方位に対する偏光方位が少なくとも0°と45°の間で回転可能に支持されており、前記分光器は分散素子と二次元検出器を備えて被測定物の相対的移動方向に直交する一直線上の測定光を取り込み分光して透過光分光スペクトルを検出するイメージング分光器である位相差測定部と、
    前記位相差測定部で測定された透過光分光スペクトルから被測定物の位相差分布を少なくとも算出する演算処理部と、を備え、
    前記演算処理部は、位相差を異ならせて算出された複数の合算スペクトルIT(=(C+3)/2)(ただし、C=cos(2πR(λ)/λである。)を保持する分光スペクトル保持部と、
    前記位相差測定部において被測定物がない状態での前記偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの前記一直線上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI0(0),I0(45)と、被測定物を該位相差測定部に対して相対的に移動させたときの前記偏光子と検光子による偏光方位が0°と45°のときの被測定物上の位置ごとのそれぞれの透過光分光スペクトルI(0),I(45)とから被測定物上の各位置での合算スペクトル実測値IT’(ただし、IT’=I(0)/I0(0)+I(45)/I0(45)である。)を算出する合算スペクトル算出部と、
    被測定物上の位置ごとに、前記分光スペクトル保持部に保持された計算値ITと前記合算スペクトル算出部で算出された実測値IT’の差が最小になるITを求めてそのITに該当する位相差R(λ)をその被測定物の各位置での位相差Rm(λ)とすることにより、前記一直線と被測定物の相対的移動距離とから定まる面積内での被測定物の位相差分布を求める位相差算出部を備えている位相差分布測定装置。
  2. 前記演算処理部は被測定物についての位相差R(λ)の波長分散式から基準波長λ0に対する位相差の分散比率R(λ)/R(λ0)を計算する分散比率算出部をさらに備え、
    前記分光スペクトル保持部に保持されているIT分光スペクトルは、R(λ0)を複数に変化させたときの対応するR(λ)から算出されたものであり、
    前記位相差算出部は計算値ITと実測値IT’の差が最小になるITに該当する位相差として基準波長λ0での位相差Rm(λ0)を求め、分散比率を用いて任意の波長での位相差Rm(λ)を求めるものである請求項1に記載の位相差分布測定装置。
  3. 前記演算処理部は補正係数β1として2/(IT’の最大値)を計算する補正係数算出部をさらに備え、
    前記位相差算出部は計算値ITと比較する実測値IT’としてβ1で補正された補正実測値分光スペクトルβ1×IT’を用いる請求項1又は2に記載の位相差分布測定装置。
  4. 前記位相差算出部は計算値ITと実測値IT’の差として波長ごとの残差2乗和を計算するものである請求項1から3のいずれか一項に記載の位相差分布測定装置。
  5. 前記演算処理部は、前記偏光子と検光子の偏光方位が0°又は45°のいずれかの状態における透過光分光スペクトル実測値I(0)又はI(45)と、求められた位相差Rm(λ)を用い実測時と同じ偏光方位について被測定物の光学主軸φを変化させて計算した複数の透過光分光スペクトル計算値I(0)又はI(45)とを比較し、その差が最小になるときの光学主軸φを被測定物の各位置での配向角φmとする配向角算出部をさらに備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の位相差分布測定装置。
  6. 前記配向角算出部は透過光分光スペクトル実測値I(0)又はI(45)に代えてIS’としてI(0)/I0(0)又はI(45)/I0(45)を使用し、
    透過光分光スペクトル計算値I(0)又はI(45)に代えてISとして{2+(C−1)sin22φ}/2又は{2+(C−1)cos22φ}/2を使用するものである請求項5に記載の位相差分布測定装置。
  7. 前記配向角算出部はIS’の最大値が1になるように補正をした上で透過光分光スペクトル計算値ISと比較するものである請求項6に記載の位相差分布測定装置。
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