以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による飲料抽出装置をコーヒー抽出装置に適用し、これを備えたカップ式自動販売機の内部構造を模式的に示している。同図に示すように、このカップ式自動販売機1は、コーヒー抽出装置2により、コーヒー豆および湯を用いてコーヒーを抽出し、購入者にカップ入りのレギュラーコーヒーを提供するものである。なお、以下の説明ではまず、カップ式自動販売機1の内部構造について説明し、その後、コーヒー抽出装置2について詳述する。
図1に示すように、カップ式自動販売機1は、コーヒー抽出装置2と、このコーヒー抽出装置2に、所定量のコーヒー粉および湯をそれぞれ供給する原料供給装置3および給湯装置4と、コーヒー抽出装置2によって抽出されたコーヒーをクリームや砂糖とともに混合するミキシングボウル5と、このミキシングボウル5にクリームや砂糖を供給するクリーム・砂糖供給装置6とを備えている。また、これらは、図2に示すように、マイクロコンピュータを有する制御装置7によって制御される。
原料供給装置3は、コーヒー豆を収納する複数(図1では2つのみ図示)のキャニスタ11と、コーヒー豆を挽くミル12とを備えている。販売時に、キャニスタ11からシュート11aを介してミル12に供給されたコーヒー豆は、ミル12によって粉末状に挽かれ、そのコーヒー粉(以下「原料」という)が、シュート12aを介してコーヒー抽出装置2に供給される。給湯装置4は、湯を貯留する温水タンク13を備えており、販売時に、温水タンク13から所定量の湯が給湯チューブ13aを介してコーヒー抽出装置2に供給される。ミキシングボウル5は、コーヒー抽出装置2によって抽出されたコーヒーを、クリーム・砂糖供給装置6からシュート6aを介して供給された所定量のクリームや砂糖とともに攪拌する。その後、ミキシングボウル5内のコーヒーは、ミキシングボウル5に接続された飲料チューブ5aを介してカップCに供給される。
次に、コーヒー抽出装置2について詳述する。図3および図4は、コーヒー抽出装置2を示している。両図に示すように、このコーヒー抽出装置2は、コーヒーを抽出するためのドリップユニット21(抽出ユニット)と、このドリップユニット21を駆動する駆動ユニット22で構成されている。駆動ユニット22は、自動販売機1内にねじ止めなどで固定されており、この駆動ユニット22に、ドリップユニット21が着脱自在に取り付けられている。
ドリップユニット21は、原料および湯が供給され、内部においてコーヒーの抽出を行うためのシリンダ23と、このシリンダ23を着脱自在に収容するシリンダホルダ24とで構成されている。図5は、シリンダ23がシリンダホルダ24から取り外された状態を示している。このシリンダ23は、プラスチックから成り、同図および図6に示すように、上下方向に延びるとともに、上面および下面が開放した円筒状に形成されている。また、シリンダ23の外周面には、シリンダ23をシリンダホルダ24に着脱する際に利用される取っ手25およびガイド部26が設けられている。ガイド部26は、互いに上下方向に所定間隔を隔てて設けられ、上下対称に形成された上下2つのガイド部26、26で構成されている。
各ガイド部26は、シリンダ23の中央寄りの内側ガイド部27と、シリンダ23の開放端寄りの外側ガイド部28とで、上下2段に構成されている。内側ガイド部27は、シリンダ23の中心よりも若干、取っ手25寄りの位置から、シリンダ23の取っ手25と反対側の外周面付近まで水平に延びるとともに、平面形状が凹字状に形成されている。一方、外側ガイド部28は、内側ガイド部27よりも一回り小さく形成されている。また、内側ガイド部27の基端部(取っ手25側の端部)27aは、外側ガイド部28を越えて、シリンダ23の開放端側に延びるように形成されている。以上のように、シリンダ23は、上下対称に形成されているので、その上下の向きに関わらず、シリンダホルダ24に取り付け可能である。
図7に示すように、シリンダホルダ24は、内側にシリンダ収容部24aを有するボックス状のフレーム31と、このフレーム31内の下部に昇降自在に設けられ、シリンダ23内のコーヒーをろ過しながら外部に搬送するためのフィルタブロック32と、フレーム31内の下部に前後方向にスライド自在に設けられ、フィルタブロック32上に残留した抽出滓を除去するためのスクレーパ33と、フレーム31内に設けられ、シリンダ収容部24aに収容されたシリンダ23を左右から挟んだ状態で保持するシリンダキャッチャ34と、フレーム31の前面を開閉する前面カバー35(カバー)などを備えている。
フレーム31は、互いに所定間隔を隔てて対向する左右の側壁41、41と、両側壁41、41の後端部間および下端部間にわたるようにそれぞれ設けられた背壁42および底壁43とを有し、前面および上面が開放したボックス状に形成されている。また、左右の側壁41、41の前側の上端部には、両側壁41、41間を連結する前上カバー36が設けられている。なお、図示しないが、底壁43は、棒状の複数の支持部材によって格子状に形成されている。
各側壁41は、側面形状がほぼ矩形状に形成されるとともに、外側の側面が開放したケース状の側壁本体44と、その開放した側面を覆うように、側壁本体44にねじ止めされた外カバー45とを備えている。そして、図8に示すように、各側壁41内には、フィルタブロック32および後述するシリンダヘッド111を駆動することによって、シリンダ23の下面および上面をそれぞれ開閉するシリンダ開閉機構51(抽出機構)が設けられている。なお、左右のシリンダ開閉機構51、51は、左右の側壁41、41内に、ほぼ左右対称に構成されているので、以下の説明では、右側壁41に内蔵されたものを中心に説明する。
図8および図9に示すように、シリンダ開閉機構51は、側壁本体44内の中央付近の所定位置に突設された支軸44aに回転自在に支持され、所定形状の第1および第2カム溝53、54を有するカム円板55と、側壁本体44内の下部に上下方向にスライド自在に設けられ、カム円板55の第1カム溝53に係合するとともにシリンダブロック32に連結されたスライダ56と、側壁本体44内の上部の所定位置に突設された支軸44bに回動自在に支持され、カム円板55の第2カム溝54に係合するとともに後述するシリンダヘッド111をシリンダ23の上面に押圧した状態でロックするためのシリンダヘッドロック部材57とを備えている。
カム円板55は、所定の直径および厚さを有する円板状に形成されており、周面全体にギヤ部55aが形成されている。また、カム円板55の外カバー45側の周縁部には、ほぼ1/2円弧分、径方向に若干突出した凸部55bが設けられている。さらに、カム円板55の側壁本体44側の側面に、前記第1および第2カム溝53、54が設けられている。
図10に示すように、第1カム溝53は、カム円板55の側面の周縁部に設けられ、カム円板55の支軸44aを中心とする円弧状にかつ反時計方向にほぼ一周するように延びる外側カム部61と、この外側カム部61に連なり、支軸44aに向かって円弧状に延びる駆動カム部62と、この駆動カム部62に連なり、支軸44aを中心とする円弧状にかつ支軸44aの付近でほぼ一周するように延びる内側カム部63とで構成されている。なお、この第1カム溝53の外側カム部61の先端部には、支軸44a側に凹むように形成された凹部61aが設けられている。一方、第2カム溝54は、第1カム溝53の外側カム部61よりも内側に設けられ、支軸44aを中心とする円弧状にかつ外側カム部61の先端部付近から反時計方向にほぼ3/4円弧状に延びる外側カム部64と、この外側カム部64に連なり、支軸44aに向かって延びる駆動カム部65と、この駆動カム部65に連なり、支軸44aを中心とする円弧状に延びる内側カム部66とで構成されている。
スライダ56は、図9(b)に示すように、上下方向に延びるとともに下部が下方に向かって拡幅していて、ほぼ凸字状に形成されている。このスライダ56の上端部には、カム円板55側に突出する係合凸部56aが設けられており、この係合凸部56aが、カム円板55の第1カム溝53に摺動自在に係合している。また、スライダ56の下端部には、スライダ56と前記フィルタブロック32とを連結する2本の連結シャフト71、71が固定されている。両連結シャフト71、71は、互いに前後方向(図9では左右方向)に間隔を隔てかつ左右方向(図9では図の表裏方向)に平行に延びている。各連結シャフト71は、側壁本体44の上下方向に延びる長孔44cを貫通し、一端部が上記スライダ56に固定される一方、他端部が左側のシリンダ開閉機構51のスライダ56に固定されている。したがって、フィルタブロック32は、両連結シャフト71、71を介して、左右のスライダ56、56に支持されている。また、スライダ56の中央部には、上下方向に延びる長孔56bが形成されており、この長孔56bに、側壁本体44内の下部の所定位置に突設された支軸44dが摺動自在に貫通している。
以上のように構成されたスライダ56は、カム円板55の回転に伴い、側壁本体44内の上下方向に延びる一対のガイドレール44e、44e間に案内されながら、上下方向にスライドする。これに伴い、フィルタブロック32が昇降し、シリンダ23の下面を開閉する。具体的には、図8(a)および図9に示すカム円板55が、両図の時計方向に回転し、スライダ56の係合凸部56aが、第1カム溝53の外側カム部61から内側カム部63に向かって、駆動カム部62を摺動することにより、スライダ56が上昇する。そして、スライダ56の係合凸部56aが、内側カム部63に到達することにより、フィルタブロック32がシリンダ23の下面に密着した状態で、これを閉鎖する(図26(b)参照)。一方、その状態から、カム円板55が、反時計方向に回転し、スライダ56が下降することにより、フィルタブロック32も下降し、それにより、シリンダ23の下面が開放される(図28(a)参照)。
図7、8および11に示すように、フィルタブロック32は、コーヒーをろ過するための多数の細孔72aを有するとともにシリンダ23の内径よりも一回り小さく形成された円形のフィルタ72と、このフィルタ72の周囲を囲むように設けられ、上面が平らに形成されるとともに、シリンダ23の下面よりも大きな外径を有する幅広リング状のパッキン73と、これらを上面において支持するとともに、上下に連通した通路を有するブロック状の支持部材74などで構成されている。このフィルタブロック32は、前述したように、スライダ56の上下方向のスライドに伴って昇降し、シリンダ23の下面の閉鎖時には、パッキン73の上面がシリンダ23の下面周縁部に当接した状態で、これをシールする。また、フィルタブロック32の支持部材74と、右側壁41の背面下端部に設けられたジョイントホース40(図8参照)との間には、フィルタブロックチューブ32aが接続されている。なお、ジョイントホース40は、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた状態において、駆動ユニット22側の後述するジョイントホース120に接続される。
また、図8(a)および図9に示すように、右側の側壁41の下端部には、上記ジョイントホース40に接続された廃液チューブ50が設けられるとともに、この廃液チューブ50を開閉する廃液チューブピンチ部材58が設けられている。廃液チューブ50は、ゴムなどの弾性材で構成されており、ジョイントホース40から前方に水平に延びる水平部50aを有し、この水平部50aから下方に延びている。また、廃液チューブピンチ部材58は、上下方向に延びる板状に形成されており、上端部には、スライダ56の長孔56bに摺動自在に係合する係合凸部58aが設けられる一方、下端部には、廃液チューブ50の水平部50aの下側に、これを横切るように突出しかつ台形状の断面を有する押圧部58bが設けられている。さらに、廃液チューブ50の水平部50aの上側には、廃液チューブピンチ部材58と協働して廃液チューブ50をピンチし、これを閉鎖するための押さえばね59が設けられている。この押さえばね59は、細長い板ばねで構成されており、廃液チューブ50の水平部50aに沿って延び、これに接するように配置されている。また、押さえばね59の両端部は、上方に折り曲げられ、側壁本体44内の廃液チューブピンチ部材58の前後(図9では左右)に設けられた2つの支持部44f、44fに支持されている。
上記のように構成された廃液チューブピンチ部材58は、カム円板55の回転に伴うスライダ55の昇降に連動して、昇降する。具体的には、図9に示す状態から、スライダ56が上昇すると、その長孔56bの下端部が廃液チューブピンチ部材58の係合凸部58aに当接する。そして、スライダ56がさらに上昇すると、廃液チューブピンチ部材58が、係合凸部58aを介して持ち上げられることにより、上昇する。それにより、廃液チューブピンチ部材58の押圧部58bが、廃液チューブ50の水平部50aを下方から押し潰し、それにより、廃液チューブ50が閉鎖される(図26(b)参照)。なお、この状態から、スライダ56が下降することにより、廃液チューブピンチ部材58も下降し、元の位置に戻る。
また、図9(b)に示すように、シリンダヘッドロック部材57は、上下方向に延びる所定形状に形成され、その中心部が、側壁本体44内の支軸44bに回動自在に支持されている。シリンダヘッドロック部材57の下端部には、カム円板55側に突出した係合凸部57aが設けられており、この係合凸部57aが、カム円板55の前記第2カム溝54に摺動自在に係合している。また、シリンダヘッドロック部材57の上端部には、後方に突出するように延びる鉤状のロック部57bが設けられている。
このように構成されたシリンダヘッドロック部材57は、カム円板55の回転に伴って回動し、上端部のロック部57bによって、後述するシリンダヘッド111をシリンダ23の上面に押圧しかつロックすることにより、シリンダ23の上面を閉鎖する。具体的には、図9(b)および図10に示すカム円板55が、両図の時計方向に回転し、シリンダヘッドロック部材57の係合凸部57aが、第2カム溝54の外側カム部64から内側カム部66に向かって、駆動カム部65を摺動することにより、シリンダヘッドロック部材57が、支軸44bを中心として、図9(b)の時計方向に回動する。そして、シリンダヘッドロック部材57のロック部57bが、シリンダヘッド111の上部のヘッドガイドシャフト114に係合するとともに、これを下方に押し下げるようにロックする。それにより、シリンダヘッド111がシリンダ23の上面に密着した状態で、これを閉鎖する(図27(b)参照)。
以上のように構成されたシリンダ開閉機構51は、前述したように、左右の側壁41、41にそれぞれ内蔵されており、両シリンダ開閉機構51、51のカム円板55のギヤ部55a、55aが、対応する側壁本体44内の所定位置に回転自在に設けられたギヤ76、76に噛み合っている。図8に示すように、両ギヤ76、76は、左右方向に水平に延びる動力伝達シャフト75の両端部に固定されており、各ギヤ76が対応する側壁本体44内の後端部の上下方向の中央部に配置されている。左側の側壁本体44に設けられたギヤ76(以下「従動ジョイントギヤ76A」という)は、後方に若干露出しており、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた状態において、駆動ユニット22側の後述する駆動ジョイントギヤ134に噛み合う。したがって、従動ジョイントギヤ76aが回転すると、これに噛み合う左側のカム円板55が回転し、動力伝達シャフト75および右側のギヤ76を介して、右側のカム円板55が左側のそれに同期して回転する。
次に、スクレーパ33について説明する。図7および図11に示すように、スクレーパ33は、平面形状がフィルタブロック32のそれよりも大きい矩形枠状に形成されたサポート77と、ゴムなどから成り、サポート77の底面前端部に、これに沿って左右方向に延びるとともに垂下するように取り付けられたスクレーパ本体78とで構成されている。図11に示すように、サポート77の後端部(同図では上端部)には、左右方向に延びるとともに上方に開放した溝部77aが設けられている。また、この溝部77aの左右方向のほぼ中央部には、後方に開放した開放部77bが設けられている。
このように構成されたスクレーパ33は、左右の側壁41、41間にガイドされながら、前後方向にスライド可能になっている。そして、このスクレーパ33が、後述するスクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123によって後方へ駆動されることにより、前端部のスクレーパ本体78がフィルタブロック32上を後方に向かって摺動する。それにより、コーヒー抽出後にフィルタブロック32上に残留した抽出滓は、スクレーパ本体78で掻き取られ、駆動ユニット22の後述する滓シュート161を介して外部に排出される。
また、左右の側壁41、41には、ドリップユニット21を駆動ユニット22に着脱するためのドリップユニット着脱機構81、81が設けられている。これらのドリップユニット着脱機構81、81も、上述したシリンダ開閉機構51と同様、左右対称に設けられているので、以下の説明では、右側壁41に内蔵されたものを中心に説明する。
図8および図9に示すように、ドリップユニット着脱機構81は、側壁本体44内の後端部に上下方向にスライド自在に設けられたユニットロック部材82(取付け部材)と、このユニットロック部材82を下方に付勢するばね83と、ドリップユニット21を駆動ユニット22から取り外す際に操作される取外しレバー84(操作部材)とを備えている。
ユニットロック部材82は、上下方向に延びており、上下端部にそれぞれ、後方(図9では右方)に突出する鉤状のロック部82a、82aが設けられている。また、ユニットロック部材82の上下端部にはそれぞれ、上下方向に延びるガイド孔82b、82bが設けられており、各ガイド孔82bに、側壁本体44内の所定位置に突設されたガイド凸部44gが摺動自在に係合している。さらに、ユニットロック部材82の上下方向のほぼ中央部には、カム円板55側に突出する係合凸部82cが設けられており、この係合凸部82cが、カム円板55の第1カム溝53に摺動自在に係合している。また、ユニットロック部材82の下部には、取外しレバー84の後端部84bの直ぐ上、およびその後端部84bよりも若干下方にそれぞれ、外カバー45側に突出する上凸部82dおよび下凸部82eが設けられている。
取外しレバー84は、前後方向に延び、その中央部において、前記支軸44dに回動自在に支持されている。取外しレバー84の前端部84aは、側壁41の外部に臨むとともに、側壁41の前部に設けられかつ前方に開放した凹部41aの内側に位置している。また、取外しレバー84の後端部84bは、側面形状がL字状に形成され、ユニットロック部材82の前記上凸部82dに下方から当接している。
以上のように構成されたドリップユニット着脱機構81により、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた状態では、ユニットロック部材82の上下のロック部82a、82aが、それらにそれぞれ対応する駆動ユニット22側の後述する係合孔108d(図4および図16(a)参照)に係止される。それにより、ドリップユニット21は、駆動ユニット22にロックされた状態で、しっかりと取り付けられる。また、ドリップユニット21を駆動ユニット22から取り外す場合には、図12(a)に示す状態(待機位置)から、左右の取外しレバー84、84の前端部84a、84aを同時に押し下げる。それにより、同図(b)に示すように、ユニットロック部材82は、上凸部82dを介して、取外しレバー84によりばね83の付勢力に抗して押し上げられ、それにより、駆動ユニット22側の係合孔108dに対するロック部82aの係止が解除される。そして、その状態のまま、ドリップユニット21を前方に引き出すことにより、ドリップユニット21が駆動ユニット22から取り外される。
また、図9(b)に示すように、カム円板55が待機位置に位置する場合、ユニットロック部材82の係合凸部82cは、第1カム溝53の外側カム部61の先端部に位置している。そのため、上記のように、取外しレバー84が操作された際には、係合凸部82cが外側カム部61の先端部の凹部61aにより、上方への移動が許容され、それにより、取外しレバー84の操作が可能となる。これに対し、カム円板55が待機位置に位置していない場合、例えばカム円板55が回転中である場合などには、ユニットロック部材82の係合凸部82cは、第1カム溝53によって、上方への移動が規制される(例えば図26(b)参照)。それにより、ユニットロック部材82の上方への移動が不能になるとともに、取外しレバー84の操作も不能となる。したがって、駆動ユニット22からのドリップユニット21の取り外しは、カム円板55が待機位置に位置する場合にのみ可能であり、カム円板55が回転中である場合などに、ドリップユニット21が誤って取り外されるのを防止することができる。
また、図示は省略するが、ドリップユニット21の背面側には、ドリップユニット21を駆動ユニット22から取り外したときに、カム円板55を回転不能にするためのカムロック機構が設けられている。具体的には、左側のカム円板55に噛み合う従動ジョイントギヤ76Aに対して進退自在のロック部材と、このロック部材を従動ジョイントギヤ76A側に付勢するばねなどで構成されている。ドリップユニット21が駆動ユニット22から取り外されたときには、ロック部材が従動ジョイントギヤ76A側に移動し、これに係合することで、そのギヤ76Aを回転不能にする。これにより、従動ジョイントギヤ76Aに噛み合うカム円板55も回転不能となる。一方、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられたときには、駆動ユニット22側に設けられたロック解除部材が、ドリップユニット21側のロック部材に係合し、これを従動ジョイントギヤ76Aと反対方向に移動させることで、ロック部材による従動ジョイントギヤ76Aのロックを解除する。これにより、従動ジョイントギヤ76Aが回転可能となり、それにより、カム円板55も回転可能となる。
上記のように、ドリップユニット21が駆動ユニット22から取り外された状態において、カム円板55を回転不能にロックするのは、次の理由による。すなわち、カム円板55の回転角度の制御は、後述するように、駆動ユニット22側に設けられ、カム円板55と同期して回転するスイッチギヤ136aを有するモードスイッチ136を利用して行われる。そのため、スイッチギヤ136aとカム円板55の回転角度の整合性を保つ必要があるからである。
なお、左右の側壁本体44、44の背面にはそれぞれ、後方に突出する上下2つのガイド凸部44h、44hが設けられている。ドリップユニット21を駆動ユニット22に取り付ける際には、これらのガイド凸部44hを、駆動ユニット22側の後述するガイド孔108eに挿入するとともに、上記ユニットロック部材82のロック部82aを係合孔108dに挿入することにより、ドリップユニット21の駆動ユニット22への取付けを容易に行うことができる。
また、このコーヒー抽出装置2は、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた際に、その取付け作業を行った者が、ドリップユニット21が適正な状態で取り付けられているか否かを、前面カバー35の状態によって、容易にわかるように構成されている。なお、ドリップユニット21が駆動ユニット22に適正に取り付けられた状態とは、ドリップユニット21の左右のユニットロック部材82、82の上下のロック部82a、82aがいずれも、駆動ユニット22側の対応する係合孔108d、108dに完全に挿入し、係止されることにより、トリップユニット21が駆動ユニット22に完全に装着された状態である(図14(a)参照)。
図13に示すように、前面カバー35は、正面形状がほぼ矩形状に形成されている。また、前面カバー35の背面上端部には、左右端部にそれぞれ、側面形状がC字状の係合凹部35a、35aが設けられており、これらの係合凹部35a、35aが、左右の側壁41、41の内側面から内方にそれぞれ突出する支持凸部41b、41b(図7参照)に回動自在に係合している。さらに、前面カバー35の左右側部の所定位置にはそれぞれ、直角に屈曲して後方に突出するレバーカバー部35b、35bが設けられている。これらのレバーカバー部35b、35bは、前面カバー35が閉鎖したときに、左右の側壁41、41の凹部41a、41aをそれぞれ覆うとともに、取外しレバー84、84の前端部も覆う。また、前面カバー35の背面には、両レバーカバー部35b、35bの付近に、後方に突出する凸部35c、35cが設けられている。
これらの凸部35c、35cは、両取外しレバー84、84にそれぞれ対応しており、図14(a)に示すように、ドリップユニット21が駆動ユニット22に適正な状態で取り付けられたときには、凸部35cが取外しレバー84の前端部84aの直ぐ下側に位置する。この場合、ドリップユニット21の前面は、垂下する前面カバー35によって、閉鎖される(閉鎖位置)。なお、この場合には、前面カバー35の背面下端部に突設された係止部35dが、フレーム31の底壁43に係合することで、前面カバー35が比較的しっかりと閉鎖した状態に保持される。
これに対し、駆動ユニット22に対するドリップユニット21の取り付けが不適正な状態では、図14(b)に示すように、前面カバー35が傾斜し、若干開放した状態となる。このような前面カバー35の状態は、以下のようにして生じる。すなわち、ドリップユニット21の左右のユニットロック部材82の少なくとも一方において、図14(b)に示すように、上下のロック部82a、82aが、駆動ユニット22側の係合孔108d、108dに途中まで挿入され、完全には係止されていない状態では、ユニットロック部材82が、ばね83の付勢力に抗して、上方に若干移動する。これに伴い、ユニットロック部材82の下凸部82eが、取外しレバー84の後端部84bを押し上げる。これにより、取外しレバー84は、支軸44dを中心として回動し、前端部84aが前面カバー35の前記凸部35cの上面よりも下方に若干移動する。そのため、前面カバー35の凸部35cが取外しレバー84の前端に当接し、前面カバー35の完全な閉鎖が阻止される。それにより、上述したように、前面カバー35は、若干開放した状態となる。
以上のように、駆動ユニット22に対するドリップユニット21の取付けが不適正である場合には、前面カバー35が若干開放した状態となるので、その取付け作業を行った者は、ドリップユニット21が適正に取り付けられているか否かを、容易に知ることができる。したがって、ドリップユニット21の不適正な取付けに起因する不具合、例えば、ドリップユニット21側の従動ジョイントギヤ76Aと、駆動ユニット22側の駆動ジョイントギヤ134との不十分な噛合いによるドリップユニット21の動作不良や、ドリップユニット21側のジョイントホース40と駆動ユニット22側のジョイントホース120との接続不良による水漏れなどを防止することができる。
次に、シリンダホルダ24内に収容されたシリンダ23を把持するシリンダキャッチャ34について説明する。図7および同図(b)のB−B線で切断した図15(a)に示すように、シリンダキャッチャ34は、平面形状が前方に開放するコ字状の支持部材91と、この支持部材91の左右の前端部にそれぞれ固定された2つの把持部材92、92で構成されている。支持部材91は、板ばねから成り、左右方向に所定長さ延びる基部91aと、この基部91aの左右端部においてそれぞれ直角に屈曲し、前方に所定長さ延びる左右2つのアーム部91b、91bとで構成されている。基部91aは、背壁42の内側面にねじ止めされている。そして、両アーム部91b、91bの前端部に、前記把持部材92、92が固定されている。両把持部材92、92は、互いに対向し、それらの対向面が凸状に形成されている。
このように構成されたシリンダキャッチャ34により、シリンダホルダ24のシリンダ収容部24aに収容されたシリンダ23は、支持部材91のばね力により、左右の把持部材92、92によって左右からしっかりと挟持される。
次に、図16〜25を参照しながら、駆動ユニット22について説明する。駆動ユニット22は、その外殻を構成するケース101と、このケース101の前面上部に前方に突出するように設けられたシリンダヘッドカバー100とを備えている。ケース101は、所定形状の複数の金属板を互いに組み付け、ねじ止めすることなどにより、ボックス状に形成されている。
図16(a)に示すように、ケース101の前面を構成する前壁108には、その下半部に、大きく開放した開口部108aが形成されており、前述したスクレーパ33が、後方に駆動された際に、この開口部108aを介して、駆動ユニット22内に収容される。また、前壁108の左右端部の所定位置には、上下2つずつの係合孔108d(係合部)およびガイド孔108eが左右対称に設けられている。前述したように、係合孔108dにはドリップユニット21側のロック部82aが係止され、ガイド孔108eにはドリップユニット21側のガイド突部44hが挿入される。
シリンダヘッドカバー100は、互いに左右方向に間隔を隔てて、ケース101の前側上部の左右端部に、前方に突出するように設けられた左右一対のシリンダヘッドサポート103、103と、これらの間に着脱自在に取り付けられたカバー本体102などで構成されている。図21に示すように、各シリンダヘッドサポート103は、正面形状が逆U字状に形成され、上面および外側面の所定位置には、カバー本体102の後述する係合爪102bに係合する係合孔103a、103bがそれぞれ形成されている。また、各シリンダヘッドサポート103の内側面には、前後方向に延び、後述するシリンダヘッド111のヘッドガイドシャフト114の前後方向の移動を許容するガイド孔103cが形成されている。さらに、各シリンダヘッドサポート103の上面には、上記ガイド孔103cの前端部から連なる開口部103dが形成されている。この開口部103dは、前後方向の幅がガイドシャフト114の径よりも大きくなっている。
カバー本体102は、平面形状がほぼ矩形状に形成されており、上面の所定位置には、いずれも上下方向に貫通しかつ上方に突出した原料シュート104および湯気抜きダクト106がカバー本体102と一体に設けられている。また、カバー本体102には、上下方向に貫通した取付孔102aに、給湯ノズル105が着脱自在に取り付けられている。なお、原料シュート104には、ミル12のシュート12a(図1参照)が接続され、湯気抜きダクト106には、湯気抜き用のホース(図示せず)が接続され、さらに、給湯ノズル105には、給湯チューブ13a(図1参照)が接続されている。
また、カバー本体102の左右端部には、下方に若干突出し、鉤状に形成された左右2つの係止爪102b、102bが設けられている。このように構成されたカバー本体102は、各係止爪102bが、対応するシリンダヘッドサポート103の上面の係合孔103aに挿入するとともに、外側面の係合孔103bに内方からスナップ嵌めで係合することにより、両シリンダヘッドサポート103、103間にしっかりと取り付けられる。
一方、カバー本体102をシリンダヘッドサポート103、103から取り外す場合には、左側の係止爪102bから上方に若干延びる操作部102cを左方に押すことによって、左側および右側の係止爪102b、102bを、シリンダヘッドサポート103の係止孔103bから順に外し、それにより、カバー本体102を容易に取り外すことができる。このように、カバー本体102が、工具などを用いることなく容易に取り外せることにより、カバー本体102自体を丸洗いすることが可能であり、また、シリンダヘッドカバー100の内部に、上方から容易にアクセスできることで、そのメンテナンス性や清掃性を向上させることができる。
上記のように構成されたシリンダヘッドカバー100の内側には、シリンダ23の上面を開閉するシリンダヘッド111が前後方向にスライド自在に設けられている。
図22は、シリンダヘッド111およびその周囲を示している。同図(a)に示すように、シリンダヘッド111は、平面形状がシリンダ23の上面よりも大きい円形状に形成されている。シリンダヘッド111の下面全体には、下面が平らな円形のパッキン112が設けられ、このパッキン112に、エア供給口112a(図23(b)参照)が設けられている。また、シリンダヘッド111の上部は、円錐台状に形成されており、その上端部には、外部からシリンダヘッド111内を通り、上記パッキン112のエア供給口112aを介して、下方にエアを供給するためのゴム製のエア供給管113が接続されている。また、シリンダヘッド111の上端部には、シリンダヘッド111の外径よりも長く、左右方向(図22(a)では上下方向)に延びるヘッドガイドシャフト114が設けられている。
また、シリンダヘッド111には、連結部材115を介して、前後方向にスライド自在のスライダ116が連結されている。連結部材115は、平面形状が前方に開放したほぼコ字状に形成され、左右の前端部がそれぞれ連結軸115aを介して、ヘッドガイドシャフト114の真下において、シリンダヘッド111に回動自在に連結されている。スライダ116は、前後方向に延び、前端部が連結部材115の後端部に連結軸116aを介して、回動自在に連結されている。また、スライダ116の後端部には、左右方向に延びる長孔116bが形成され、この長孔116bに、後述するスクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123が係合している。そして、シリンダヘッド111およびスライダ116は、所定形状のヘッドガイド部材117によって案内されながら、前後方向にスライドする。
ヘッドガイド部材117は、前述した左右のシリンダヘッドサポート103、103間に固定されている。図22に示すように、このヘッドガイド部材117は、上記スライダ116をスライド自在に支持するスライダ支持部117aと、このスライダ支持部117aからシリンダヘッド111の左右の側方を通って前方に延び、前記ヘッドガイドシャフト114を載置した状態で支持する左右2つのシャフト支持部117b、117bとを有している。
また、シリンダヘッド111の前部には、補助原料シュート118が着脱自在に取り付けられている。この補助原料シュート118は、シリンダヘッド111が待機位置に位置するときに、前記カバー本体102の原料シュート104とシリンダ23の間に位置し、原料シュート104で案内された原料を、さらにシリンダ23に案内するものである。補助原料シュート118は、上下方向に貫通し、上面が前記カバー本体102の原料シュート104の底面よりも若干大きい筒状に形成されている。補助原料シュート118の背面には、後方に延びる取付けアーム119が一体に設けられている。この取付けアーム119は、上下方向に延び、下端部が鉤状に形成された左右一対の係止爪119a、119aを有しており、両係止爪119a、119aが互いに上下方向の中央で連結されている。このように構成された補助原料シュート118は、両係止爪119a、119aの下端部が、シリンダヘッド111の上面前部のシュート取付部111aをスナップ嵌めで左右から挟持することにより、シリンダヘッド111にしっかりと取り付けられる。
一方、補助原料シュート118をシリンダヘッド111から取り外す場合には、両係止爪119a、119aの上端部同士を摘み、下端部間を広げることによって、容易に取り外すことができる。このように、補助原料シュート118が、工具などを用いることなく容易に取り外せることにより、補助原料シュート118自体を丸洗いすることが可能である。
また、シリンダヘッド111は、図22(c)に示すように、連結軸116aを中心として、前方に回動し(例えば45度)、シリンダヘッド111の下面、すなわちパッキン112を前方に向けることが可能である。この場合、ヘッドガイドシャフト114は、左右のシリンダヘッドサポート103、103のガイド孔103cから、その前側上部の開口部103dを介して、上方に引き出され、それにより、シリンダヘッド111の下面が前方に向けられる。このように、シリンダヘッド111が、その下面を前方に向けられるように構成されているため、シリンダヘッド111のメンテナンス性や清掃性を向上させることができる。
次に、駆動ユニット22のケース101内の構造について説明する。図16〜20に示すように、ケース101には、前述したドリップユニット21のカム円板55を駆動するカム駆動機構121(駆動機構)と、後述する複数のピンチ8を駆動するピンチ駆動機構122と、スクレーパ33およびシリンダヘッド111を駆動するスクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123(駆動機構)と、シリンダ23にエアを供給するエアポンプ124などが内蔵されている。
カム駆動機構121は、DCモータから成る第1モータ131と、この第1モータ131に接続されるとともに、左右方向に延びかつ両端部が外部に突出する出力軸132aを有するギヤボックス132と、出力軸132aの左端部に固定された出力ギヤ133と、この出力ギヤ133に噛み合うとともに、ドリップユニット21側の従動ジョイントギヤ76に噛み合う駆動ジョイントギヤ134とを備えている。なお、上記のギヤボックス132や駆動ジョイントギヤ134などは、所定形状の支持プレート(図示せず)に適宜、取り付けられている。
また、出力ギヤ133の付近には、カム円板55の回転角度を制御するためのモードスイッチ136が設けられている。このモードスイッチ136は、中間ギヤ137を介して出力ギヤ133に噛み合うとともに、カム円板55と同期して、等角度で回転するスイッチギヤ136aを有している。モードスイッチ136は、スイッチギヤ136aが複数の所定の回転角度においてON状態になる複数のモードを有しており、制御装置7が、それらのモードに応じて、カム円板55の回転角度を識別する。
ピンチ駆動機構122は、コーヒー抽出時に、コーヒーやエアを搬送するための搬送チューブ9の複数の所定個所を開閉するためのピンチ8を駆動するものである。ここでまず、図1を参照して、搬送チューブ9およびピンチ8の配置関係および構成について簡単に説明する。同図に示すように、搬送チューブ9は、エアポンプ124とシリンダヘッド111の間に接続された第1エア搬送チューブ9Aと、エアポンプ124と駆動ユニット22側のジョイントホース120の間に接続された第2エア搬送チューブ9Bと、ジョイントホース120に接続された飲料搬送チューブ9Cとで構成されている。これらの搬送チューブ9A〜9Cはいずれも、ゴムなどの弾性材で構成されている。上記ジョイントホース120は、駆動ユニット22の前側の右下端部に設けられており、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた状態において、ドリップユニット21側のジョイントホース40に接続される。
また、ピンチ8は、上記搬送チューブ9A〜9Cの途中にそれぞれ取り付けられた3つのピンチ8、具体的には、第1エアピンチ8A、第2エアピンチ8Bおよび飲料ピンチ8Cで構成されている。これらのピンチ8A〜8Cは、同じものである。図16(b)および図17(b)に示すように、各ピンチ8は、自身が取り付けられた搬送チューブ9の部分を保持するチューブホルダ141と、チューブホルダ141に回動自在に取り付けられ、これと協働して搬送チューブ9を押し潰し、閉鎖するためのピンチ本体142と、このピンチ本体142の搬送チューブ9と反対側に回転自在に設けられ、ピンチ本体142を搬送チューブ9側に押圧するための所定形状のカム143とで構成されている。
このように構成されたピンチ8A〜8Cは、第1および第2エアピンチ8A、8Bが、図16(b)に示すように、左右に隣接して配置され、飲料ピンチ8Cが、図17(b)に示すように、第2エアピンチ8Bの後方にこれに対向するように配置されている。なお、これらのピンチ8A〜8Cでは、カム143が共通化されている。
図16および図19に示すように、ピンチ駆動機構122は、前述したカム駆動機構121と共通の第1モータ131およびギヤボックス132と、その出力軸132aの右端部に固定された出力ギヤ145と、ピンチ8のカム143の回転シャフト146に固定された駆動ギヤ147と、上記出力ギヤ145および駆動ギヤ147にそれぞれ噛み合う2つのギヤ部を有する中間ギヤ148とを備えている。
上述したように、カム駆動機構121およびピンチ駆動機構122は、第1モータ131を共通の駆動源とし、前者121によるカム円板55、フィルタブロック32、シリンダヘッドロック部材57および廃液チューブピンチ部材58と、後者122による3つのピンチ8A〜8Cとを、相互に連係するように駆動する。これにより、コーヒーの抽出時において、シリンダ23の上面および下面の開閉、廃液チューブピンチ部材58による廃液チューブ50の開閉、ならびにピンチ8A〜8Cによる搬送チューブ9A〜9Cの開閉を、効率良くかつ適切に行うことができる。
図23は、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123およびその周囲を示している。同図に示すように、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123は、DCモータから成る第2モータ151と、この第2モータ151に接続されるとともに、上下方向に延びかつ両端部が外部に突出した出力軸152aを有するギヤボックス152と、出力軸152aの上下端部にそれぞれ設けられたシリンダヘッド駆動部153およびスクレーパ駆動部154などで構成されている。
図23および図24に示すように、シリンダヘッド駆動部153は、平面形状が円形に形成され、出力軸152aの回転に伴って、所定の一方向にのみ回転可能なワンウェイクラッチで構成されている。シリンダヘッド駆動部153の上面周縁部には、上方に突出した係合凸部153aが設けられており、この係合凸部153aが、シリンダヘッド111に連結されたスライダ116の長孔116bに摺動自在に係合している。したがって、シリンダヘッド駆動部153が、図24(a)に示す待機位置から180度回転することにより、同図(b)に示すように、スライダ116が前方(同図の下方)にスライドし、それにより、シリンダヘッド111が前方のシリンダ閉鎖位置に移動する。
また、上記シリンダヘッド駆動部153の左右には、シリンダヘッド駆動部153の回転位置を検出することによってシリンダヘッド111の位置を検出するための2つのマイクロスイッチ155、155が配置されている。各マイクロスイッチ155は、常時、スイッチレバー155aの先端部がシリンダヘッド駆動部153の側面に当接しており、その側面の所定位置に設けられた凹部153bにスイッチレバー155aの先端部が係合することによって、マイクロスイッチ155のON/OFF状態が切り換わる。
一方、スクレーパ駆動部154は、上記シリンダヘッド駆動部153と反対方向にのみ回転可能なワンウェイクラッチで構成されている。このスクレーパ駆動部154の下部には、水平に所定長さ延びるアーム部154aが設けられており、その先端部には、下方に延びる係合凸部154bが設けられている。この係合凸部154bは、スクレーパ33のサポート77の溝部77aに摺動自在に係合している。なお、ドリップユニット21を駆動ユニット22に取り付ける際には、上記係合凸部154bが、スクレーパ33の開放部77bを介して、溝部77aに挿入され、逆に、ドリップユニット21を駆動ユニット22から取り外す際には、溝部77aに係合する係合凸部154bが、開放部77bを介して、溝部77aから離脱する。
また、スクレーパ駆動部154の右方には、スクレーパ駆動部154の回転位置を検出することによってスクレーパ33の位置を検出するためのマイクロスイッチ156が配置されている。図25に示すように、マイクロスイッチ156は、常時、スイッチレバー156aの先端部がスクレーパ駆動部154の側面に当接しており、その側面の所定位置に設けられた凹部154cにスイッチレバー156aの先端部が係合することによって、マイクロスイッチ156のON/OFF状態が切り換わる。
上記のスクレーパ駆動部154が、図25(a)に示す待機位置から180度回転することにより、同図(b)に示すように、スクレーパ33が後方(同図の上方)の抽出滓排出位置にスライドする。それにより、フィルタブロック32上の抽出滓は、スクレーパ本体78によって後方に掻き取られ、駆動ユニット22の下部に設けられた滓シュート161を介して、下方の滓バケツB(図1参照)に排出される。
滓シュート161は、図4および図16(a)に示すように、ケース101内から前壁108の開口部108aを介して前方に若干突出し、平面形状が後方に開放したコ字状の枠部162と、ケース101内にかつ枠部162の内側に設けられ、駆動ユニット22の下部に配置されたエアポンプ124などの機器の前方および上方を覆うカバー163とで構成されている。枠部162のケース101内の左右上端部にはそれぞれ、スクレーパ33を前後方向にスライドさせる際に、これを案内するガイドレール162aが設けられている。また、カバー163は、前カバー部163aと、この前カバー部163aの上端部に連なり、後ろ上がりに傾斜して後方に延びる上カバー部163bとで構成されている。このように構成された枠部162およびカバー163により、コーヒー抽出装置2のほぼ中央部に、滓シュート161が構成される。
また、エアポンプ124は、図16〜図19に示すように、モータ124aと、これによって駆動されるポンプ本体124bと、外気から塵やゴミなどを除去するための吸気フィルタ124cなどで構成されている。ポンプ本体124bは、吸気チューブ125Aを介して、吸気フィルタ124cに接続されるとともに、排気チューブ125Bを介して、前記第1および第2エア搬送チューブ9Aおよび9Bに接続されている。したがって、モータ124aでポンプ本体124bが駆動されると、外部のエアが、吸気フィルタ124cから吸気チューブ125Aを介してポンプ本体124bに吸い込まれ、その吸い込まれたエアが、排気チューブ125Bを介して、第1および第2エア搬送チューブ9Aおよび9Bに圧送される。
次に、以上のように構成されたコーヒー抽出装置2の動作について、その一連の動作を順に示す図26〜図28を参照しながら説明する。なお、これらの図においては、上段にカム円板55の回転動作を中心に示すものとし、下段にフィルタブロック32、シリンダヘッド111およびスクレーパ33の動作を中心に示すものとする。
図26(a)は、待機状態を示している。この待機状態では、カム円板55、フィルタブロック32、スクレーパ33およびシリンダヘッド111が、それぞれの待機位置に位置するとともに、シリンダ23の上面および下面がいずれも開放されている。また、この待機位置では、補助原料シュート118が、カバー本体102の原料シュート104の真下に位置している。さらに、待機状態では、図29の(1)に示すように、第1エアピンチ8A、第2エアピンチ8Bおよび飲料ピンチ8Cはいずれも開放状態であり、したがって、ピンチ8A〜8Cにそれぞれ対応する搬送チューブ9A〜9Cがいずれも開放されている。
この待機状態から、カム駆動機構121の第1モータ131が所定方向に回転することにより、カム円板55が、図26において時計方向に回転する。それにより、カム円板55の第1カム溝53に係合するスライダ56が上昇し、スライダ56に支持されたフィルタブロック32が、スクレーパ33の内側を通って上昇する。またこの場合、スライダ56の上昇途中において、スライダ56の長孔56bの下縁部が、廃液チューブピンチ部材58の係合凸部58aに当接し、その後、スライダ56の上昇に伴って、廃液チューブピンチ部材58も上昇する。そして、同図(b)に示すように、カム円板55が待機位置から約120度回転することにより、フィルタブロック32がシリンダ23の下面に当接した状態でこれをシールする。またこの場合、廃液チューブピンチ部材58が、その押圧部58bと押さえばね59との間で、廃液チューブ50を押し潰すことにより、これを閉鎖する。
次いで、この状態において、原料供給装置3および給湯装置4からそれぞれ、所定量の原料および湯が、シリンダ23内に供給される。具体的には、原料は、カバー本体102の原料シュート104およびシリンダヘッド111の補助原料シュート118を介して、シリンダ23に供給される。一方、湯は、カバー本体102の給湯ノズル105を介して、シリンダ23に供給される。この原料および湯の供給時には、図29の(2)に示すように、上記待機状態と同様、ピンチ8A〜8Cはいずれも、開放状態である。
原料および湯の供給後、カム円板55は、図26(c)に示すように、待機位置から約180度回転したときに、第1モータ131の停止に伴って停止する。この状態では、図29の(3)に示すように、第2エアピンチ8Bのみが開放状態となり、他のピンチ8Aおよび8Cがいずれも閉鎖状態となる。その後、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123の第2モータ151が所定方向に回転し、シリンダヘッド駆動部153が、待機位置(図24(a)参照)から、180度回転したときに(図24(b)参照)、第2モータ151が停止する。これにより、シリンダヘッド111は、待機位置から前方に移動し、シリンダ23の真上に到達する。この場合、シリンダヘッド111は、その上部のヘッドガイドシャフト114が、ヘッドガイド部材117のシャフト支持部117bの前端よりも前側に移動することにより、図27(a)に示すように、若干下降し、シリンダ23上に載る。そして、この状態において、エアポンプ124が所定時間(例えば数秒)、作動することにより、エアが、第2エア搬送チューブ9Bおよびフィルタブロックチューブ32aを介してフィルタブロック32に送られる。このエアは、フィルタブロック32のフィルタ72を通過し、シリンダ23内の原料および湯を攪拌する。なお、シリンダ23内で発生した湯気は、湯気抜きダクト106を介して、外部に適宜、排出される。
上記攪拌の終了後、カム駆動機構121の第1モータ131が再度回転し、それにより、カム円板55がさらに回転する。そして、図27(b)に示すように、カム円板55が待機位置から約240度回転することにより、カム円板55の第2カム溝54に係合するシリンダヘッドロック部材57が、同図において時計方向に若干回動し、そのロック部57bによって、ヘッドガイドシャフト114を下方に押し下げる。これにより、シリンダヘッド111は、シリンダ23の上面に当接した状態でこれをシールする。また、この状態では、図29(4)に示すように、第1エアピンチ8Aおよび飲料ピンチ8Cが開放状態となる一方、第2エアピンチ8Bが閉鎖状態となる。
次いで、エアポンプ124が所定時間(例えば数秒)、作動し、エアが、第1エア搬送チューブ7Aを介してシリンダヘッド111に圧送され、さらに、シリンダ23に供給される。それにより、シリンダ23内が加圧され、抽出されたコーヒーが、フィルタブロックチューブ32a、飲料搬送チューブ7C、ミキシングボウル5および飲料チューブ5aを通って、カップCに供給される。
以上のようにして、コーヒーがカップCに供給された後、カム駆動機構121の第1モータ131が上記と逆方向に回転することにより、カム円板55も逆方向に回転し、元の待機位置に戻る。この場合、図27(c)に示すように、その途中において、シリンダヘッドロック部材57によるヘッドガイドシャフト114のロックが解除されるとともに、ヘッドガイドシャフト114が、カム円板55の凸部55bで押し上げられる。そして、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123の第2モータ151が、上記と同じ方向に回転し、シリンダヘッド駆動部153がさらに180度回転する。以上により、図28(a)に示すように、シリンダヘッド111およびブロックフィルタ32が待機位置に戻る。
またこの場合、廃液チューブピンチ部材58も元の待機位置に戻り、廃液チューブ50が開放される。それにより、フィルタブロックチューブ32aや飲料搬送チューブ9Cに微量のコーヒーが残留した場合でも、そのコーヒーは、廃液チューブ50を介して滓バケツBに排出される。特に、駆動ユニット22側のジョイントホース120に接続された飲料搬送チューブ9Cは、ジョイントホース120から上方に延びるように配管されているため、その部分に残留したコーヒーは、ジョイントホース120側に流れやすく、さらに廃液チューブ50側に流れ、排出される。その結果、シリンダ23からのコーヒーの搬送後、その搬送経路にコーヒーが残留することが無くなり、したがって、次回のコーヒー抽出時に、前回抽出時のコーヒーが混入することがなく、高品質のコーヒーを提供することができる。
次いで、スクレーパ・シリンダヘッド駆動機構123の第2モータ151が、上記と逆方向に回転することにより、スクレーパ駆動部154が、2回転する。具体的には、スクレーパ駆動部154が、1回の回転において、待機位置(図25(a)参照)から、180度回転したときに(図25(b)参照)、スクレーパ33が、待機位置から後方に移動する。これにより、図28(b)に示すように、フィルタブロック32のフィルタ72上に残留した抽出滓Gは、スクレーパ本体78によって、フィルタブロック32の後方に掻き取られ、滓シュート161を介して、外部に排出される。その後、スクレーパ駆動部154が、さらに180度回転することにより、図28(c)に示すように、スクレーパ33が前方に移動し、元の待機位置に戻る。このようなスクレーパ33による抽出滓Gの排出処理は、スクレーパ駆動部154が2回転することで、2回実行される。
以上により、コーヒー抽出装置2によるコーヒー抽出の一連の動作が終了する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、コーヒーの抽出が繰り返し行われることによって内面が汚れやすいシリンダ23を、シリンダホルダ24に対して容易に着脱できるので、その着脱作業を含むシリンダ23の洗浄などのメンテナンスを容易に行うことができる。また、モータなどの電装部品を有する駆動ユニット22に対し、電装部品が無くかつ比較的汚れやすいフィルタブロック32およびスクレーパ33を有するドリップユニット21を容易に着脱できるので、その着脱作業を含むドリップユニット21の洗浄などのメンテナンスも容易に行うことができる。
また、シリンダ23の上面および下面を開閉するために駆動するカム円板55、搬送チューブ9A〜9Cを開閉するピンチ8A〜8C、および廃液チューブ50を開閉する廃液チューブピンチ部材58を、共通の第1モータ131によって駆動するので、それらを別個のモータでそれぞれ駆動する場合に比べて、コーヒー抽出装置2の製造コストの上昇を抑制することができる。加えて、シリンダヘッド111およびスクレーパ33を、共通の第2モータ151によって駆動するので、上記と同様に、コーヒー抽出装置2の製造コストの上昇を抑制することができる。
次に、図30〜図34を参照して、互いに噛み合う駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aの構成について説明する。図30は、駆動ユニット22に対するドリップユニット21の取付け前後の状態を示している。同図に示すように、駆動ユニット22側の駆動ジョイントギヤ134は、駆動ユニット22のケース101から前方(図30の右方)に若干露出する一方、ドリップユニット21側の従動ジョイントギヤ76Aは、左側の側壁41から後方(図30の左方)に若干露出している。
前述したように、ドリップユニット21側のカム円板55は、これと同期して回転するスイッチギヤ136aを有する、駆動ユニット22側のモードスイッチ136(ギヤ回転角度保持手段)によって、回転角度が制御されるようになっている。そのため、ドリップユニット21が駆動ユニット22から取り外されたときには、スイッチギヤ136aとカム円板55の回転角度の整合性を保つために、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aが、常にほぼ同じ回転角度位置に位置するようになっている。その結果、駆動ユニット22に対してドリップユニット21が着脱される際には、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aの互いに噛み合わされる噛み合い部分の歯が、常にほぼ同じになる。
図31は、ドリップユニット21を駆動ユニット22に取り付けた際に、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aが互いに噛み合った状態を拡大して示している。同図に示すように、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aは、いずれも平歯車であり、両ギヤ134および76Aの互いに噛み合わされる噛み合い部分の歯、具体的には、駆動ジョイントギヤ134の2つの歯171、171と、従動ジョイントギヤ76Aの1つの歯173とが、互いに噛み合っている。なお、以下の説明では、これらの歯171、171および173を適宜、「初期噛合い歯」というものとする。
図32は、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aが互いに若干離れた状態で、両ギヤ134および76Aの初期噛合い歯171、171および173の周囲を拡大して示している。同図に示すように、駆動ジョイントギヤ134の初期噛合い歯171、171、および従動ジョイントギヤ76Aの初期噛合い歯173はいずれも、先端部が尖った尖り歯で構成されている。より具体的には、駆動ジョイントギヤ134の初期噛合い歯171は、当該ギヤ134のピッチ円P1の外側において、外方に向かって尖るように形成されている。同様に、従動ジョイントギヤ76Aの初期噛合い歯173も、当該ギヤ76Aのピッチ円P2の外側において、外方に向かって尖るように形成されている。また、両ギヤ134および76Aでは、初期噛合い歯171、171および173のそれぞれの両側の歯172、172および174、174も、尖り歯で構成されている。すなわち、駆動ジョイントギヤ134では、上記4つの歯171、171、172、172が、尖り歯で構成され、従動ジョイントギヤ76Aでは、上記3つの歯173、174、174が、尖り歯で構成されている。
また、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aにおいて、上述した尖り歯で構成された歯171〜174以外の歯は、一般的な平歯車と同様、インボリュート曲線の歯形を有している。なお、尖り歯で構成された歯171〜174は、ピッチ円P1、P2の内側において、他の歯と同様、インボリュート曲線を有している。
また、図31に示すように、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aの歯数はそれぞれ、25および14である。つまり、両ギヤ134および76Aのギヤ比は、1.786(=25/14)であり、コーヒー抽出装置2におけるコーヒーの抽出動作中、両ギヤ134および76Aの尖り歯171、172および173、174が、互いに噛み合わないように設定されている。
以上のように構成された駆動ジョイントギヤ134を有する駆動ユニット22に、従動ジョイントギヤ76Aを有するドリップユニット21を取り付ける際に、例えば図33に示すように、駆動ジョイントギヤ134の初期噛合い歯171と、従動ジョイントギヤ76Aの初期噛合い歯173とが当接する場合がある。この場合、両ギヤ134および76Aの初期噛合い歯171および173がいずれも尖り歯であるので、当接した相手方の歯から逃げやすい。すなわち、両ギヤ134および76Aの回転方向の遊びなどによって、両ギヤ134および76Aが、微小角度、回転することなどにより、両ギヤ134および76Aの初期噛合い歯171および173同士の当接が、解除されやすい。
以上のような駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aに対し、図34は、両ギヤ134および76Aに代えて、いずれも尖り歯を有しない一般的な平歯車で構成されたギヤ134’および76A’を示している。同図に示すように、両ギヤ134’および76A’の歯175および176同士が当接した場合、上述した場合と異なり、両ギヤ134’および76A’が、微小角度、回転しただけでは、それらの歯175および176の当接が解除されにくく、その結果、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられた状態において、両ギヤ134’および76A’の噛合いが不十分となることで、抽出動作を確保できなくなるおそれがある。
以上のように、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aの上述した構成によれば、両ギヤ134および76Aの初期噛合い歯171、171および173が尖り歯で構成されているので、ドリップユニット21が駆動ユニット22に取り付けられる際に、それらの歯171および173が互いに当接しても、その当接が解除されやすく、その結果、駆動ジョイントギヤ134と従動ジョイントギヤ76Aを、容易にかつ適正に噛み合わせることができる。また、初期噛合い歯171、171および173の両側の歯172、172および174、174も尖り歯で構成されているので、両ギヤ134および76Aの製造上および/または組立上の誤差などによって、初期噛合い歯171および173が適正な位置に対して若干ずれている場合でも、ドリップユニット21を駆動ユニット22に取り付ける際に、両ギヤ134および76Aの少なくとも一方の尖り歯171〜174のいずれかが、両ギヤ134および76Aの他方に噛合い可能な角度位置に位置することにより、両ギヤ134および76Aを、確実に噛み合わせることができる。
また、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aのギヤ比は、コーヒーの抽出動作中、両ギヤ134および76Aの尖り歯171、172および173、174が、互いに噛み合わないように設定されているので、コーヒーの抽出動作中に両ギヤ134および76Aに負荷が作用した場合でも、その負荷をほとんど逃がすことなく、駆動ジョイントギヤ134から従動ジョイントギヤ76Aへの動力の伝達を十分に行うことができ、その結果、安定した抽出動作を確保することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明をコーヒー抽出装置に適用した場合について説明したが、原料として茶葉を用い、茶系飲料を抽出する飲料抽出装置に適用することもできる。また、実施形態では、抽出時に、エアポンプ124によるエアをシリンダ23に供給し、シリンダ23内を加圧することによって、飲料を外部に搬送するようにしたが、これに代えて、ギヤポンプやチューブポンプを採用し、シリンダ23内の飲料を吸引することによって外部に搬送してもよい。
また、尖り歯を有する駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aでは、両ギヤ134および76Aの初期噛合い歯171、171および173を含め、それらの両側の歯172、172および174、174も、尖り歯としたが、駆動ユニット22に対してドリップユニット21が着脱される際の両ギヤ134および76Aの停止位置の精度をより高めるように構成することなどにより、両ギヤ134および76Aの噛み合わせを確保できるのであれば、尖り歯の数をより少なくすることが可能である。この場合、例えば、駆動ジョイントギヤ134および従動ジョイントギヤ76Aの初期噛合い歯171および173のみを尖り歯としたり、両ギヤ134、76Aの一方の初期噛合い歯171または173のみを尖り歯としたりしてもよい。
また、実施形態で示したコーヒー抽出装置2の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。