JP5114777B2 - 水素貯蔵材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウムアミドと水素化リチウムを有する水素貯蔵材料の製造方法に関する。
NOXやSOX等の有害物質やCO2等の温室効果ガスを出さないクリーンなエネルギー源として燃料電池の開発が盛んに行われており、既に幾つかの分野で実用化されている。この燃料電池技術を支える重要な技術として、燃料電池の燃料となる水素を貯蔵する技術がある。水素の貯蔵形態としては、高圧ボンベによる圧縮貯蔵や液体水素化させる冷却貯蔵、水素貯蔵物質による貯蔵等が知られている。これら水素貯蔵形態の中の1つである水素貯蔵物質による貯蔵方法は、分散貯蔵や輸送の点で有利である。
このような水素貯蔵物質として、マグネシウムアミドと水素化リチウムを有する水素貯蔵材料が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1記載の水素貯蔵材料には、水素化リチウムとマグネシウムアミドとの混合物および反応物を有するものが挙げられている。この水素貯蔵材料は、リチウムとマグネシウムの金属を成分として含む、金属水素化物と金属アミド化合物とを、不活性ガス雰囲気等の中で混合する工程を経て製造されている。
特開2006−305486号公報
水素貯蔵材料の開発においては、低い温度で水素の放出ができることが課題のひとつである。その目標値として150℃における5.5質量%の水素放出量が、実用化に向けクリアすべきひとつの基準となっている。しかしながら、未だ150℃で5.5質量%の水素を放出する水素貯蔵材料は開発されていない。その一因は製造工程において水素貯蔵材料の能力を十分に引き出していないことであり、中間生成物の段階で水素の吸蔵能力を増加させることが課題である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、中間生成物の水素の吸蔵能力を増加させることで低い温度での水素放出量を増加させる水素貯蔵材料の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、マグネシウムアミドと水素化リチウムを有する水素貯蔵材料の製造方法であって、マグネシウムアミドと水素化リチウムの試料をミリング処理し、試料粒子の微細化を進める第1のミリング工程と、前記第1のミリング工程により得られた試料を真空雰囲気下で加熱することで、実質的に単相のリチウム・マグネシウム・イミドが得られるまで熱処理する熱処理工程と、を含み、前記熱処理工程により得られた試料を微細化された状態に維持しつつ、その試料に水素を吸蔵させることで前記水素貯蔵材料を製造することを特徴としている。
このように、本発明の水素貯蔵材料の製造方法では、ミリング処理により試料粒子の微細化を進め、単相のリチウム・マグネシウム・イミドが得られるまで熱処理する。これにより、熱処理工程で得られた試料の水素の吸蔵能力を向上できる。その結果、熱処理工程で得られた試料を適宜処理することで、製造された水素貯蔵材料の比較的低温における水素放出量を増加させることができる。
(2)また、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、前記熱処理工程により得られた試料を加圧水素雰囲気下で加熱し、その試料に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、前記水素吸蔵工程により得られた試料を、水素ガス雰囲気下または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下でミリング処理する第2のミリング工程と、を更に含むことを特徴としている。
これにより、熱処理工程により得られた試料を微細化された状態に維持しつつ、その試料に水素を吸蔵させることができる。その結果、製造された水素貯蔵材料の比較的低温における水素放出量を増加させることができ、たとえば150℃で5.5質量%の水素を放出することができる水素貯蔵材料を製造できる。
(3)また、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、前記熱処理工程により得られた試料を加圧水素雰囲気下で加熱し、その試料に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、前記水素吸蔵工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下で加熱しつつミリング処理する第2のミリング工程と、を更に含むことを特徴としている。
このように、本発明の水素貯蔵材料の製造方法では、水素吸蔵工程により得られた試料を加圧水素雰囲気下で加熱しつつミリングする。これにより、熱処理工程により得られた試料を微細化された状態に維持しつつ、その試料に水素を吸蔵させることができる。その結果、製造された水素貯蔵材料の比較的低温における水素放出量を増加させることができ、たとえば150℃で5.5質量%の水素を放出することができる水素貯蔵材料を製造できる。
(4)また、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、前記熱処理工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下でミリング処理する第2のミリング工程と、を含むことを特徴としている。このように、加圧水素雰囲気下でミリング処理することで効率よく水素を吸蔵させながらミリング処理を行うことができる。これにより、熱処理工程により得られた試料を微細化された状態に維持しつつ、その試料に水素を吸蔵させることができる。また、上記の方法により室温でも水素の吸蔵を行うことができる。
(5)また、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、前記熱処理工程では、前記第1のミリング工程により得られた試料を140℃以上の温度で24時間以上保持することを特徴としている。これにより、第1のミリング工程により得られた試料が十分に脱水素化し、その組成が単相化する。その結果、比較的低温においても水素放出量の大きい水素貯蔵材料を得ることができる。
本発明によれば、中間生成物の水素の吸蔵能力を増加させることで低い温度での水素放出量を増加させる水素貯蔵材料を製造できる。
[水素貯蔵材料]
本発明に係る水素貯蔵材料は、マグネシウムアミド(Mg(NH2)2)と水素化リチウム(LiH)が混合されており、ナノ複合体を形成している。マグネシウムアミドと水素化リチウムのナノ複合体では、マグネシウムアミドと水素化リチウムとがナノメートルサイズで微細に相互分散しつつ、安定な組織が形成されている。マグネシウムアミドと水素化リチウムによるナノ複合体が水素を放出した状態のものは、現在までに取得した分析データにより、Li2.667MgN2H1.333の組成のリチウム・マグネシウム・イミドになっていると推測される。本発明に係る水素貯蔵材料は、混合物中の3Mg(NH2)2+8LiH⇔3Li2.667MgN2H1.333+8H2という反応により水素を吸蔵および放出すると考えられる。上記の式で、右向きが水素の放出反応、左向きが水素の吸蔵反応である。
この水素貯蔵材料には、水素を吸蔵した状態のものおよび水素を放出した状態のものの両方が含まれる。すなわち、マグネシウムアミド(Mg(NH2)2)と水素化リチウム(LiH)の複合体が水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料、および上記のリチウム・マグネシウム・イミドが水素を放出した状態の水素貯蔵材料、の両方が含まれる。吸蔵状態または放出状態の構成を特定すれば、一つの水素貯蔵材料を特定することができる。
水素貯蔵材料は、マグネシウムアミドと水素化リチウムの試料粒子を微細化し、単相のリチウム・マグネシウム・イミドが得られるまで熱処理し、微細化された状態の試料に水素を吸蔵させることで製造される。以下に水素貯蔵材料の製造方法を説明する。
[水素貯蔵材料の製造方法]
図1は、水素貯蔵材料の製造方法を示すフローチャートである。実施例1の製造方法では、まず、マグネシウムアミドと水素化リチウムの試料をミリング処理する(第1のミリング工程)。これにより、試料粒子の微細化が進む。
第1のミリング工程は、水素ガス雰囲気下、もしくは不活性ガス(例えば、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He))雰囲気下、または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下において行う。これは、空気中の酸素ガス(O2)や水蒸気(H2O)による被処理物の特性劣化を防止するためである。処理雰囲気は、外部雰囲気ガス(通常は空気)が処理雰囲気に流入することを防止するために、外部雰囲気ガスに対して陽圧とすることが好ましい。なお、ミリング処理は、遊星型ボールミル装置等の高エネルギーミルで20時間以上行うことが好ましい。
ミリング処理された試料を真空雰囲気下で加熱し、140℃以上250℃以下に保持する(熱処理工程)。処理温度が低すぎると試料間の化学反応を促進させることができず、一方、処理温度が高すぎると、設備負荷が大きくなるという問題が生じる。熱処理時間は、処理温度を考慮して適宜設定される。熱処理工程では、試料温度を200℃以上で24時間以上保持することが好ましい。長時間の高温で熱処理することで、単相のリチウム・マグネシウム・イミドが得られる。これにより、熱処理工程で得られた試料の水素の吸蔵能力を向上できる。その結果、熱処理工程で得られた試料を適宜処理することで、製造された水素貯蔵材料の比較的低温における水素放出量を増加させることができる。
熱処理工程により得られた単相のリチウム・マグネシウム・イミドを加圧水素雰囲気下で加熱し、その試料に水素を吸蔵させる(水素吸蔵工程)。その際、処理温度を140℃〜250℃とし、水素ガス(H2)圧力(水素ガス以外の気体を含む場合には水素ガス分圧を指す)を0.1MPa以上として行う。処理温度が低すぎると水素吸蔵反応を促進させることができず、一方、処理温度が高すぎると、設備負荷が大きくなるという問題が生じる。また、水素ガス圧力が低すぎても水素貯蔵反応が十分に進まない。熱処理時間は、処理温度を考慮して適宜設定される。水素吸蔵工程では、200℃以上の処理温度、10MPa以上の水素ガス圧力で、12時間以上処理することが好ましい。
そして、水素吸蔵工程により得られた試料を、水素ガス雰囲気下または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下でミリング処理する(第2のミリング工程)。ミリング処理は、遊星型ボールミル装置等の高エネルギーミルで20時間以上行うことが好ましい。このようにして実施例1の水素貯蔵材料を製造することができる。
なお、上記のミリング処理においては、遊星型ボールミル装置、振動ミル、ローラーミル、内外筒回転型ミル、アトライター、インナーピース型ミル、気流粉砕型ミル等が用いられる。好ましくは、遊星型ボールミル装置等を用いた高エネルギーミリングを行う。ただし、ミリングの手段はこのような例に限定されるものではない。
実施例2の製造方法では、水素吸蔵工程までは、実施例1の製造方法と同様に行う。ただし、第2のミリング工程においては、水素吸蔵工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下で加熱しつつミリング処理する。この第2のミリング工程では、100℃以上の温度で、10MPa以上の水素の圧力でミリング処理を行うことが好ましい。ミリング処理時間は使用するミリング装置により適宜設定されるが、振動型ミリング装置を用いる場合は、5時間以上ミリング処理することが好ましい。このようにして実施例2の水素貯蔵材料を製造することができる。
実施例3の製造方法では、熱処理工程で単相のリチウム・マグネシウム・イミドを得るまでは、実施例1の製造方法と同様に行う。次に、熱処理工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下で加熱してミリング処理する(第2のミリング工程)。好ましくは、150℃以上の温度、15MPa以上の水素の圧力でミリング処理する。ミリング処理時間は使用するミリング装置により適宜設定されるが、振動型ミリング装置を用いる場合は、5時間以上ミリング処理することが好ましい。
また、実施例5の製造方法では、熱処理工程で単相のリチウム・マグネシウム・イミドを得るまでは、実施例1の製造方法と同様に行う。次に、熱処理工程により得られた試料を、常温の加圧水素雰囲気下でミリング処理する(第2のミリング工程)。実施例4の製造方法では、各工程の順序は実施例5と同じであるが、実施例5と比べ、第1のミリング工程における処理時間が短く、熱処理工程における熱処理時間が短い。この場合の第2のミリング工程については、好ましくは、6MPa以上の水素の圧力でミリング処理する。ミリング処理時間は使用するミリング装置により適宜設定されるが、振動型ミリング装置を用いる場合は、5時間以上ミリング処理することが好ましい。
[実施例1]
まず、マグネシウムアミド(Mg(NH2)2)を調整した。水素化マグネシウム(MgH2;アヅマックス社取扱い、純度95%)1gを高純度アルゴングローブボックス内で高クロム鋼製のミル容器(内容積:250ml)に投入した後、このミル容器内を真空排気し、続いて下式(1)のモル比以上となるように、ミル容器内に所定量のアンモニアガスを導入した。そして、ミル容器を封止し、次いでこれを室温、大気雰囲気下、250rpmの回転数で所定時間ミリング処理した。
MgH2+2NH3(g)→Mg(NH2)2+2H2(g)…(1)
次に、得られたマグネシウムアミド(Mg(NH2)2)粉末とLiH粉末(シグマ・アルドリッチ社製、純度99.5%)を、モル比が、Mg(NH2)2:LiH=3:8となるように秤量し、高クロム鋼製のバルブ付ミル容器(内容積:30ml)に、高クロム鋼製のボールとともに投入した。ミル容器内を真空排気した後、ミル容器内圧が1MPaとなるように高純度水素ガスを導入した。
ミル容器を室温、大気雰囲気に設置された遊星型ボールミル装置(Fritsch社製、型番:P−7)を用いて、400rpmの回転数で20時間、ミリングした。このミリング終了後に、ミル容器の内部を真空排気し、ミル容器に高純度アルゴンガスを充填してミル容器の内圧を高純度アルゴングローブボックスの内圧と同等にした後、ミル容器を高純度アルゴングローブボックス中に移し、ミル容器を開いて、混合ミリングされた試料を取り出した。
得られた試料を反応容器に移して封入した。反応容器を真空排気しながら200℃に加熱して24時間保持し、その後、室温まで放冷した。そして、反応容器に高純度水素ガスを内圧が10MPaとなるように充填して反応容器を密閉し、これを200℃に加熱して12時間保持した。この加熱処理によって得られたMg(NH2)2とLiHの混合体を、さらに上記の遊星型ボールミル装置を用いて、ミル容器内の雰囲気を水素ガス雰囲気とし、400rpmの回転数で20時間ミリング処理することにより、実施例1の試料を得た。
[実施例2]
上記の水素吸蔵工程まで行って得られた試料を高純度アルゴングローブボックス内で、鋼鉄製のミル容器に移した。これに高クロム鋼製ボール(直径:8mmφ)を装入した後、ミル容器内を加圧水素雰囲気(内圧:10MPa)とした。そして、振動型ミリング装置(セイワ技研社製、型番:RM−10)を用い、100℃を保持して5時間、試料のミリングを行った。これにより実施例2の試料を得た。
[実施例3]
上記の熱処理工程まで行って得られた試料を高純度アルゴングローブボックス内で、鋼鉄製のミル容器に移した。これに高クロム鋼製ボール(直径:8mmφ)を装入した後、ミル容器内を加圧水素雰囲気(内圧:15MPa)とした。そして、上記の振動型ミリング装置を用いて、150℃を保持して5時間、試料のミリングを行った。これにより実施例3の試料を得た。
[実施例4および5]
実施例1に示した合成法により得られた上記のマグネシウムアミド(Mg(NH2)2)粉末とLiH粉末(シグマ・アルドリッチ社製、純度99.5%)を、モル比が、Mg(NH2)2:LiH=3:8となるように秤量し、高クロム鋼製のバルブ付ミル容器(内容積:30ml)に、高クロム鋼製のボールとともに投入した。ミル容器内を真空排気した後、ミル容器内圧が1MPaとなるように高純度水素ガスを導入した。
ミル容器を室温、大気雰囲気に設置された遊星型ボールミル装置(Fritsch社製、型番:P−7)を用いて、400rpmの回転数で2時間(実施例4)または20時間(実施例5)、ミリングした。このミリング終了後に、ミル容器の内部を真空排気し、ミル容器に高純度アルゴンガスを充填して各ミル容器の内圧を高純度アルゴングローブボックスの内圧と同等にした後、ミル容器を高純度アルゴングローブボックス中に移し、各ミル容器を開いて、混合ミリングされた試料を取り出した。
得られた試料を各反応容器に移して封入した。各反応容器を真空排気しながら200℃に加熱して12時間(実施例4)または24時間(実施例5)保持し、その後、室温まで放冷した。
上記の熱処理工程まで行って得られた試料を高純度アルゴングローブボックス内で、鋼鉄製のミル容器に移した。これに高クロム鋼製ボール(直径:8mmφ)を装入した後、ミル容器内を加圧水素雰囲気(内圧:6MPa)とした。そして、上記の振動型ミリング装置を用いて、室温で5時間、試料のミリングを行った。これにより実施例4並びに実施例5の試料を得た。
[比較例1]
実施例1に示した合成法により得られた上記のマグネシウムアミド粉末とLiH粉末を、モル比が、Mg(NH2)2:LiH=3:8となるように秤量し、高クロム鋼製のバルブ付ミル容器(内容積:30ml)に、高クロム鋼製のボールとともに投入した。ミル容器内を真空排気した後、ミル容器内圧が1MPaとなるように高純度水素ガスを導入し、ミル容器を室温、大気雰囲気に設置された上記の遊星型ボールミル装置を用いて、400rpmの回転数で2時間ミリング処理し、比較例1の試料を得た。
[試料評価1]
実施例1〜3および比較例1の各試料を、示差熱天秤装置(SIIナノテクノロジー社製、型番TG/DTA6200)を用いて、高純度アルゴンガス雰囲気下で、昇温速度を5℃/分として室温から400℃まで昇温し、その間の重量変化を調べた。
図2(a)は、実施例1〜3および比較例1の各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフである。比較例1の試料の重量変化が、−4質量%であるのに対し、実施例1〜3の試料の重量変化は、いずれも−5.5質量%以上であることが分かる。このように、150℃で5.5質量%の水素を放出可能な水素貯蔵材料を製造できることが実証された。また、実施例1および実施例2の水素放出速度は、実施例3および比較例1の水素放出速度よりも速いことが分かる。図2(b)は、実施例1〜3および比較例1の各試料の時間に対する水素の脱離スペクトルを示すグラフである。脱離スペクトルのピーク時間を比較すると、実施例1、2の試料のピークが水素放出開始後約1時間であるのに対し、実施例3の試料のピークは約1.7時間である。水素吸蔵工程とミリング工程とを分けて製造した水素貯蔵材料の水素放出速度の方が、水素吸蔵工程とミリング工程とを同時に行って製造した水素貯蔵材料の水素放出速度より大きいことが分かった。
また、図3(a)は、実施例3および比較例1の各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフである。実施例3−1の試料と3−2の試料とは異なるロットで作製されている。図3(a)に示すように、比較例1の試料の重量変化が、−4質量%であるのに対し、実施例3−1、3−2の試料の重量変化は、いずれも−5.5質量%以上であることが分かる。図3(b)は、実施例3の各試料の時間に対する水素の脱離スペクトルを示すグラフである。実施例3−1、3−2の各試料の時間に対する水素の脱離スペクトルのピーク時間は、いずれも1.7時間付近である。したがって、試料作製のロットによるバラツキは小さいことが分かる。
[試料評価2]
図4は、実施例1および比較例1の各試料についてガスクロマトグラフを行った結果を示すグラフである。真空下で室温から150℃まで昇温し、150℃で保持するという条件で測定した。比較例1の試料の水素放出量が4質量%程度に留まるのに対して、実施例1の試料の水素放出量は、約10時間で5.5質量%に達しているのが分かる。
[試料評価3]
図5は、第1のミリング工程後、真空下で24時間200℃を保持し脱水素化した試料pおよび12時間200℃を保持し脱水素化した試料rのX線回折測定結果を示す。12時間脱水素化した試料rの回折プロファイルでは、LiHの存在を示すピーク(★印)が現れている。24時間脱水素化した試料pの回折プロファイルでは、LiHの存在を示すピークを観測できない。したがって、長時間の脱水素化により試料の組成からLiH相が消失し、試料がほぼLi2.667MgN2H1.333の単相により構成されていると推測される。
[試料評価4]
図6(a)は、実施例4、実施例5および比較例1の各試料の水素の昇温脱離スペクトルを示すグラフである。昇温脱離スペクトルのピーク温度を比較すると、比較例1のピーク温度が202℃であるのに対して、実施例4、5のピーク温度は175℃であり、本発明の適用によりピーク温度が低温化していることが分かる。また、図6(b)は、実施例4、実施例5および比較例1の各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフである。400℃までの熱重量変化を比較すると、実施例4および5の試料の重量変化は、比較例1の試料の重量変化に比べて小さいが、本発明の適用により熱重量曲線の減少開始温度が低温化していることが分かる。また、室温においても、本発明の適用により水素の吸蔵が可能であることが分かった。
本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法を示すフローチャートである。 (a)実施例1〜3および比較例1の各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフ、(b)時間に対する水素の脱離スペクトルを示すグラフである。 (a)実施例3および比較例1の各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフ、(b)時間に対する水素の脱離スペクトルを示すグラフである。 実施例1および比較例1の各試料についてガスクロマトグラフを行った結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1の各試料についてのXRDチャートである。 (a)実施例4、実施例5および比較例1の各試料の水素の昇温脱離スペクトルを示すグラフ、(b)上記各試料の熱重量曲線(TG曲線)を示すグラフである。

Claims (5)

  1. マグネシウムアミドと水素化リチウムを有する水素貯蔵材料の製造方法であって、
    マグネシウムアミドと水素化リチウムの試料をミリング処理し、試料粒子の微細化を進める第1のミリング工程と、
    前記第1のミリング工程により得られた試料を真空雰囲気下で加熱することで、実質的に単相のリチウム・マグネシウム・イミドが得られるまで熱処理する熱処理工程と、を含み、
    前記熱処理工程により得られた試料を微細化された状態に維持しつつ、その試料に水素を吸蔵させることで前記水素貯蔵材料を製造することを特徴とする水素貯蔵材料の製造方法。
  2. 前記熱処理工程により得られた試料を加圧水素雰囲気下で加熱し、その試料に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、
    前記水素吸蔵工程により得られた試料を、水素ガス雰囲気下または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下でミリング処理する第2のミリング工程と、を更に含むことを特徴とする請求項1記載の水素貯蔵材料の製造方法。
  3. 前記熱処理工程により得られた試料を加圧水素雰囲気下で加熱し、その試料に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、
    前記水素吸蔵工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下で加熱しつつミリング処理する第2のミリング工程と、を更に含むことを特徴とする請求項1記載の水素貯蔵材料の製造方法。
  4. 前記熱処理工程により得られた試料を、加圧水素雰囲気下でミリング処理する第2のミリング工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の水素貯蔵材料の製造方法。
  5. 前記熱処理工程では、前記第1のミリング工程により得られた試料を140℃以上の温度で24時間以上保持することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の水素貯蔵材料の製造方法。
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