JP5114683B2 - 太陽電池用ガラス基板の裏面電極及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池用ガラス基板の裏面電極及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池用の裏面電極、特にカルコパイライト型構造の裏面電極、及びその製造方法に関する。
カルコパイライト型構造の化合物(以下、必要に応じてカルコパイライト型と称する)を用いた薄膜太陽電池は、地上電力用の低コスト太陽電池の有力候補として注目され、化合物半導体部の成分や製法を検討することで、太陽電池の変換効率を向上させる研究が多くなされてきている。カルコパイライト型化合物の代表的な化合物としてはCuInSe2があり、この製法としては、セレン化法や三元同時蒸着法といった製法が有名である。セレン化法とは、基板にCuとInとの積層膜を形成した後、Se蒸気(例えば3〜15%のH2Se)を含有するAr雰囲気で400〜550℃の熱処理を施すことでCuInSe2薄膜を形成する方法である。
ここで用いる基板としては、ソーダライムガラス上にMo電極を形成したものが好適である。MoはスパッタやCVD法により1μm程度の薄膜を形成する。その後、電極回路を形成するためにレーザーアブレーション等の手法を用いて一部のMoを除去して、Mo電極回路を形成した後、カルコパイライト型化合物膜を形成し、さらにバッファー層、透明電極膜を形成し、薄膜太陽電池となる。ガラス基板から、Mo電極の上に形成されるカルコパイライト型化合物へNaが適度に拡散することから、Mo電極は、当該カルコパイライト型化合物の配向性が良好になる電極として多く使用されている。
このカルコパイライト型化合物を用いた薄膜太陽電池を形成するにあたり、セレン化処理といった熱処理の際に、ガラス板とMo電極との熱膨張係数の差によりMo膜の剥がれが生じたり、また、成膜方法によってはMo膜中の内部応力の影響によりMo膜が剥がれやすくなっていたりした。また、太陽電池の変換効率を向上させるため、テクスチャ構造を適用する試みも成されているが、Mo膜の剥がれやすさが問題となってきた。
そのため、特許文献1では、ガラス板とMo電極との間に、ガラス板とMo電極との中間の熱膨張係数を持つ材料の膜を緩衝層として設けて、Mo電極を剥がれ難くしている。
しかしながら、緩衝層としてTa、Cr、Nb、Ti等の金属膜を挟むことで、ガラス板から化合物へのNaの拡散状況が変わり、化合物の特性が安定しなくなることがあった。
特開平6−252433号公報
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、ガラス基板上にMo電極膜を形成する際に、Mo電極膜を剥がれ難くし、かつガラス基板からのNaの拡散に悪影響を及ぼさないようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは以下の手段を創成した。
)ガラス基板の裏面上に形成された緩衝層と、前記緩衝層上に形成された電極膜とを有し、前記緩衝層は、Mo窒化物にMoが混合された膜であり、且つ、その厚みが10nm〜50nmであり、前記電極膜は、Mo膜と、Mo窒化物にMoが混合された混合膜とが、Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜であり、前記Mo膜の合計厚みが600nm〜4800nmであり、前記混合膜のそれぞれの厚みが10nm〜50nmであることを特徴とする、太陽電池用ガラス基板の裏面電極
)前記緩衝層と前記混合膜の厚みの合計に対して前記Mo膜の厚みの合計が10倍以上80倍以下であることを特徴とする、()に記載の太陽電池用ガラス基板の裏面電極
)ガラス基板の裏面上に、Mo窒化物にMoが混合された膜からなる、厚みが10nm〜50nmの緩衝層を形成した後、Mo膜と、Mo窒化物にMoが混合された混合膜とが、前記Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜であって、前記Mo膜の合計厚みが600nm〜4800nmであり、且つ、前記混合膜のそれぞれの厚みが10nm〜50nmである積層膜である電極膜を前記緩衝層の上に形成する太陽電池用ガラス基板の裏面電極の製造方法であって、窒素ガスを含む雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により前記ガラス基板上に前記緩衝層を形成する工程の後に、Arガス雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により、前記Mo膜を形成する工程と、窒素ガスを含む雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により前記混合膜を形成する工程と、を交互に繰り返すことにより、前記緩衝層に、前記混合膜と前記Mo膜とが前記Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜を有する電極膜を形成することを特徴とする、太陽電池用ガラス基板の裏面電極の製造方法。
本発明によれば、ガラス基板とMo電極膜との間にMo窒化物を含む膜を形成するようにしたので、ガラス基板上にMo電極膜を形成する際に、Mo電極膜を剥がれ難くし、かつ基板からのNaの拡散に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
電極膜付きガラス基板の断面の第1の例を模式的に示した図である。 電極膜付きガラス基板の断面の第2の例を模式的に示した図である。 実施例1〜2により形成された被膜の内部応力の絶対値を緩衝層の厚みに対してプロットした図である。 実施例3〜4により形成された被膜の内部応力の絶対値をMo膜の厚みに対してプロットした図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。図1は、電極膜付きガラス基板の断面を模式的に示した図である。
Mo電極膜3を剥がれ難くするために、本発明者らは緩衝層2としてMo窒化物を含む膜を検討した。これは、本発明者らが窒素雰囲気でMoターゲットを用いてアーク式イオンプレーティング法によりMoの窒化膜を形成しようと試みた際に、窒素雰囲気の濃度によっては、全てがMo窒化物にならずに、Mo窒化物とMoとの混合状態となる膜が得られることがあったという知見に基づく。即ち、Mo窒化物とMoとの混合膜は、熱膨張がMoよりも小さくなり、かつNaがMo部を選択的に通ることでガラス基板1からNaの拡散も行うことが可能となるものである。
物理的気相成長(PVD)成膜を行なう際の雰囲気ガスを窒素100%のガスとすると、MoNもしくはMo2Nといった窒化物が形成されるが、窒素とアルゴンとの混合ガスや、窒素とメタン等の反応性ガスとの混合ガスを用いた場合には、窒素分圧によっては窒化しきれないMoがそのまま膜に入り込み、Mo窒化物とMoとの混合膜となる。この場合には、窒化物はMo2Nであることが殆どである。形成された窒化モリブデンがMoNとなるのは、雰囲気ガスが窒素100%のガスであり、かつ窒化反応に関るよりも過剰の窒素が雰囲気ガスに存在している場合に限るため、アルゴンとの混合雰囲気で成膜を行なう場合には、ごく一部でMoNができたとしても、殆どは窒素不足雰囲気となることから、Mo2NもしくはMoとなるのである。
本実施形態の場合には、窒素分圧を調整し、意図的にMo窒化物とMoとの混合膜を形成させるものであり、このMo窒化物を含む膜を緩衝層2として、ガラス基板1とMo電極膜3との界面に挟むことで、Mo電極膜3の密着性とNaの拡散との2つの効果を両立させるものである。
Mo窒化物とMoとの混合比については、雰囲気ガス中の窒素分圧で制御することが可能である。Arと窒素との混合ガスを用いた場合、窒素分圧が0%の場合には、得られた膜のX線回折のプロファイルではMoの回折ピークのみが得られる。窒素分圧を高くしていくと、X線回折のプロファイルにおいて、Moのピーク比が小さくなり、窒素分圧が低いときには低くてブロードであったMo2Nのピークが大きくなっていく。窒素分圧が100%になると、X線回折のプロファイルにMoのピークが検出されなくなり、Mo2NとMoNのピークが混在する。即ち、X線回折の結果から以下のことが分かった。窒素分圧が上がるに従い、Moの窒化が起こりMo2Nが形成され、窒化反応に十分な窒素が得られる窒素分圧100%の場合に、MoNが形成されるものの、窒素が過剰量まで至らないためMoNのみが形成されることにならず、Mo2NとMoNとの混合状態となる。
Mo窒化物を含む膜においては、MoとMo窒化物との混合状態が好ましいが、窒素分圧が10%以上90%以下の範囲でMoとMo窒化物との混合状態とするのが好ましい。窒素分圧が10%未満であるとMo窒化物の生成量が少ないため、緩衝層2とMo電極膜3との熱膨張係数(熱膨張率)の差が小さ過ぎて、緩衝層2が膜の密着性の向上に寄与できない。また、窒素分圧が90%超の場合には、ガラス基板1及びMo電極膜3の双方と熱膨張係数(熱膨張率)の差がある緩衝層2となり、緩衝層2が膜の密着性の向上に寄与し、かつ従来技術にあるような他の金属層を挟む場合に比べるとNaも拡散しやすいという効果を享受できるものの、やはりNaの拡散が不十分となってしまう。従って、窒素分圧が10%以上90%以下、特に、窒素分圧が30%以上70%以下の場合には、密着性・Na拡散ともに十分な効果が得られるため、より好ましい範囲となる。
また、Mo膜もPVD成膜法で形成されることが多いが、本実施形態では、そのPVD成膜法を用いて、雰囲気ガスを変化させるだけで、Mo窒化物を含む膜である緩衝層2とMo電極膜3とを作り分けることが可能であり、複数のターゲットを要するPVD装置は必要でなく、また、別のチャンバーに送り込んで別の成膜を行なうといった必要がなく、生産性に優れるという利点も享受できるものである。即ち、Mo窒化物を含む膜を成膜する際には、窒素とアルゴン、もしくは窒素とメタンのような他の反応性ガスとの混合ガス、といった窒素を含む雰囲気ガスを用いれば良く、Moを成膜する際には、アルゴンガスのみの雰囲気を用いれば良く、ガスバルブの調整のみでこれらの作り分けができるのである。
なお、Mo窒化物を形成する際に、窒素ガスのみを雰囲気ガスとして用いて窒化モリブデンのみを形成した場合でも、ガラス基板1及びMo電極膜3の双方と熱膨張の差がある緩衝層2として膜の密着性向上に寄与し、かつ従来技術にあるような他の金属層を挟む場合に比べるとNaも拡散しやすいという効果を享受できる。しかし、MoとMo窒化物との混合膜の方がNaが拡散しやすくなるため、緩衝層2として用いるにはより好適である。
また、このMo窒化物を含む膜の厚みは、10nm〜50nm(10nm以上50nm以下、以下「〜」はこれと同じ意味で使用する)であることが好ましい。これは、Mo窒化物を含む膜の厚みが10nm未満であると、緩衝層2としての寄与が少なく、膜の密着性が十分に向上しない。また、Mo窒化物を含む膜の厚みが50nmを超えるとNaの拡散が不十分となり、カルコパイライト型構造の化合物を形成し得なくなってしまうからである。一方、Mo膜(Mo電極膜3)の厚みは、膜全体としての抵抗値や膜の密着性を考慮して、100nm〜4000nmであることが好ましい。
また、このような緩衝層は、Mo電極膜3(Mo膜)の内部に存在した際には、Mo電極膜3の内部応力を開放する働きを持つために、Mo電極膜3として厚い膜を成膜した際に剥がれ難くなるという利点を持つ。即ち、図2に示すように、ガラス基板1に緩衝層2とMo電極膜3とを、Mo電極膜3が最上層となるように交互に積層した積層膜を形成するようにしても良い。この積層膜は、PVD成膜中に所定時間毎に、アルゴンガスと窒素を含むガスとを切替えることで、容易に形成することが可能である。また、その積層膜の膜厚の比率は、Mo窒化物を含む膜(緩衝層2)の総厚みに対してMo膜(Mo電極膜3)の総厚みが10倍以上80倍以下であることが好ましい。これは、Mo膜(Mo電極膜3)の総厚みがMo窒化物を含む膜(緩衝層2)の総厚みの10倍未満であると、緩衝層2としての効果は十分にあるものの、膜全体としての抵抗値が大きくなり、電極材として使用し難くなってしまうからである。また、Mo膜(Mo電極膜3)の総厚みがMo窒化物を含む膜(緩衝層2)の総厚みの80倍を超えると、緩衝層2としての働きが不十分となるため、膜の密着性が悪くなるためである。なお、図2では、緩衝層2とMo電極膜3とを3層ずつ形成する場合を示しているが、形成する緩衝層2及びMo電極膜3は3層に限定されるものではない。また、ガラス基板1との界面のみに緩衝層2を持たせる場合には、Mo膜(Mo電極膜3)の膜厚が4000nmを超えても使用は可能であるが、密着性の点からは、Mo膜(Mo電極膜3)の膜厚は4000nm以下に抑え、それ以上厚い膜を形成する場合には、Mo膜が最上層となるようにMo膜とMo窒化物を含む膜とを交互に積層した積層膜をMo電極膜3とすることが好ましい。即ち、Mo電極膜3の厚みは4000nm以下にし、ガラス基板1とMo電極膜3との間に、Mo電極膜3の厚みの1/80以上1/10以下の厚みの緩衝層2を有する積層電極とするのが好ましい。
なお、ここで言うPVD成膜法とは、アーク式イオンプレーティングを含むイオンプレーティング、各種スパッタ、蒸着法等があるが、雰囲気ガスとしての窒素ガスとの反応を考慮すると、反応性スパッタやイオンプレーティング法を用いることが好ましい。
以上のように本実施形態では、ガラス基板1上に、窒素ガスを含む雰囲気でPVD法によりMo窒化物を含む膜を緩衝層2として形成した後、Arガス雰囲気でPVD法によりMo膜(またはMo膜とMo窒化物との積層膜)をMo電極膜3として形成することで、被膜の内部応力を低減することができ、剥がれ難くできる。また、緩衝層2にMoが含まれることで、ガラス基板1からのNaの拡散も可能となる。したがって、カルコパイライト型構造の化合物を用いた薄膜太陽電池等の基板として、剥がれ難いMo電極をガラス基板1上に形成した基板を提供することが可能となる。また、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野における電極や電極バリアとして用いられるMo膜にも本実施形態の電極膜を適用することが可能である。
なお、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以下、アーク式イオンプレーティング法を使用して成膜する場合の実施例を記載するが、本発明が反応性スパッタ等の他のPVD法を使用して成膜することを除外するものではない。
(実施例1)
アーク式イオンプレーティング装置(日新電機製MAV-3204SPe)にて、カソードとして全てにMoを設置し、雰囲気ガスとしてArと窒素とを接続し、ガラス基板1の表面にMo窒化物を含む膜を形成した上に、Mo膜を形成した。先ず、Arと窒素とを50:50の比率としたガス雰囲気とし、Moカソードにアーク電流を流してMoをイオン化させてMo窒化物とMoとを含む混合膜を1分間成膜し、その後、ガス雰囲気をArのみのガス雰囲気に切り替え、Mo膜を30分間成膜した。
得られた電極膜の断面を電顕(電子顕微鏡)で観察し、Mo窒化物を含む膜が20nm、Mo膜が1.2μmの厚みであることを確認した。
この電極膜の内部応力を、X線回折の並傾法を用いた測定の結果から算出したところ、−1.5GPaであった。マイナスは内部応力が圧縮応力であることを示す。内部応力の大きさが2GPa以下であることから、この電極膜は実用上剥がれ難い被膜になっていることが分かった。
また、この電極膜の上に、CIS(CuInSn2)被膜を形成し、特性評価をしたところ、従来のMo金属膜上にCIS被膜を形成した場合と比較し、CIS化合物の特性は同等であり、Naの拡散が十分であったことを示唆された。
(実施例2)
実施例1に対し、Mo窒化物を含む膜を形成するための成膜時間のみを変えて成膜を行なった。電顕で観察したMo窒化物を含む膜(緩衝層2)の厚みと、電極膜の内部応力の値を表1にまとめた(実施例1、比較例を含む)。表1には、併せて、Mo電極膜3の上に積層したCIS化合物の安定性も付記してある。
緩衝層2が10nm未満では、電極膜の内部応力の大きさは2GPaを超え膜の密着性が不安となった。また、緩衝層2の厚みが30nm程度で最も被膜の内部応力の大きさが小さくなり、特に、緩衝層2の厚みが20nmを超える範囲で1.5GPa以下となり、さらに好ましい範囲となった。この様子を図3に示す。
これらの電極膜の上にCIS被膜を形成したところ、Mo金属膜上にCIS被膜を形成した場合と比較し、層厚が60nmの緩衝層2を用いた場合を除きCIS化合物の特性は同等であり、かつNaの拡散は十分であったことが示唆された。緩衝層2の厚みが60nmの場合には、Naが不足している可能性が高かった。
Figure 0005114683
(実施例3)
実施例1と同様にして被膜を形成した後、再度Arと窒素とを50:50の比率としたガス雰囲気に切り替え、1分間成膜し、その後、Arのみのガス雰囲気に切り替え、Mo膜を30分間成膜した。
得られた膜の各層の膜厚を電顕で観察したところ、電極膜は、膜厚が30nmであるMo窒化物を含む膜と、膜厚が1.2μmであるMo膜と、膜厚が30nmであるMo窒化物を含む膜と、膜厚が1.2μmであるMo膜の4層の積層となっていた。即ち、Mo窒化物を含む膜である緩衝層2の厚みは30nmであり、Mo電極膜3は、膜厚が1.2μmのMo膜、膜厚が30nmのMo窒化物を含む膜(緩衝層と同様の機能を有する膜)、及び膜厚が1.2μmのMo膜の3層の積層であった。この電極膜の内部応力は、−1.2GPaであり、十分な膜の密着性が得られた。
また、この電極膜の上にCIS被膜を形成したところ、Mo金属膜上にCIS皮膜を形成した場合と比較して、CIS化合物の特性は同等であり、かつNaの拡散は十分であったことが示唆された。
(実施例4)
実施例3と同様にして被膜を形成する際、Arのみのガス雰囲気でMo膜を成膜する時間を変化させて成膜を行なった。電顕で観察した、Mo膜の厚みの合計と、Mo膜の厚みの合計とMo窒化物を含む膜の厚みの合計との比と、電極膜の内部応力の値を表2にまとめる(実施例3及び比較例を含む)。表2には、併せて、Mo電極膜3の上に積層したCIS化合物の安定性も付記してある。
電極膜の内部応力の大きさは、Mo膜の厚みの合計が600nm未満と4800nm超の範囲では2GPaを超え、膜の密着性が不安となった。また、Mo膜の厚みの合計が2400nm程度で最も電極膜の内部応力の大きさが小さくなり、特に、Mo膜の厚みの合計が1200nmと3600nmの間では電極膜の内部応力は1.5GPa以下となり、さらに好ましい範囲となった。この様子を図4に示す。
これらの電極膜の上にCIS被膜を形成したところ、Mo金属膜上にCIS被膜を形成した場合と比較し、Mo膜の厚みの合計を480nmとしたた場合を除きCIS化合物の特性は同等であり、かつNaの拡散は十分であったことが示唆された。Mo膜の厚みの合計が480nmの場合には、Naが不足している可能性が高かった。
従って、Mo膜2層分の厚みを緩衝層2層分(=60nm)の厚みで割った値は、10〜80の範囲が好ましく、特に20〜60の範囲では、被膜の内部応力がさらに低下し、より好適な範囲となった。
Figure 0005114683
1 ガラス基板
2 緩衝層
3 Mo電極膜

Claims (3)

  1. ガラス基板の裏面上に形成された緩衝層と、前記緩衝層上に形成された電極膜とを有し、
    前記緩衝層は、Mo窒化物にMoが混合された膜であり、且つ、その厚みが10nm〜50nmであり、
    前記電極膜は、Mo膜と、Mo窒化物にMoが混合された混合膜とが、Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜であり、
    前記Mo膜の合計厚みが600nm〜4800nmであり、
    前記混合膜のそれぞれの厚みが10nm〜50nmであることを特徴とする、太陽電池用ガラス基板の裏面電極
  2. 前記緩衝層と前記混合膜の厚みの合計に対して前記Mo膜の厚みの合計が10倍以上80倍以下であることを特徴とする、請求項に記載の太陽電池用ガラス基板の裏面電極
  3. ガラス基板の裏面上に、Mo窒化物にMoが混合された膜からなる、厚みが10nm〜50nmの緩衝層を形成した後、Mo膜と、Mo窒化物にMoが混合された混合膜とが、前記Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜であって、前記Mo膜の合計厚みが600nm〜4800nmであり、且つ、前記混合膜のそれぞれの厚みが10nm〜50nmである積層膜である電極膜を前記緩衝層の上に形成する太陽電池用ガラス基板の裏面電極の製造方法であって、
    窒素ガスを含む雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により前記ガラス基板上に前記緩衝層を形成する工程の後に、
    Arガス雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により、前記Mo膜を形成する工程と、窒素ガスを含む雰囲気でMoターゲットを用いたPVD法により前記混合膜を形成する工程と、を交互に繰り返すことにより、前記緩衝層に、前記混合膜と前記Mo膜とが前記Mo膜が最上層及び最下層となるように交互に積層された積層膜を有する電極膜を形成することを特徴とする、太陽電池用ガラス基板の裏面電極の製造方法。
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