JP5114628B2 - リポソームワクチンの作製法 - Google Patents

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Description

本発明は、リポソームワクチンの作製法に関する。
現在、哺乳類、及び魚類においては、様々なウイルスが感染することが知られている。特に、新興ウイルス感染症は、人類のみならず、生物界全体の脅威になっている。魚類の養殖現場においても、そのようなウイルスによる魚病の被害額は毎年甚大に上っている。そのようなウイルス感染症に対しては、研究開発が進められているものの、未だに充分に有効な手段が開発されているとは言い難い。このような現状に対して、ワクチンによる水棲動物病対策が求められてきた。
本発明者は、上記現状に鑑み、特開2003−306427に開示されたリポソームワクチンを開発した。このリポソームワクチンは、死滅させた病原体とリン脂質とを混在させておき、超音波処理することにより製造されるものであり、脂質二重膜に病原体が含まれている。このリポソームワクチンを魚類に経口投与することにより、細菌とウイルスを含む病原体に対して、免疫活性を増強させるという画期的なものである。
特開2003−306427号公報
抗原として細菌を用いた場合には、前述の方法によって調製されたリポソームワクチンは、十分な効果を示す。しかしながら、抗原としてウイルスを用いた場合には、後述のように、リポソームワクチンにおいて、経時的にウイルスとリポソームとが分離してしまうことが判明した。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウイルスに対して有効に作用するリポソームワクチンの作製法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、リポソームワクチンを調製するに際して、予めウイルスを超音波処理しておくことで、ウイルスとリポソームとの分離現象を回避できることを見出し、基本的には本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決するための第1の発明に係るリポソームワクチンの作製法は、超音波処理したウイルスとリン脂質とを溶液中に共存させた状態で超音波処理を行ってリポソームを調製することを特徴とする。
上記発明において、前記ウイルスは、最初の超音波処理を行う前に、ホルマリン固定されていることが好ましい。
また、前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、イリドウイルスから選択されるものであることが好ましい。この場合に、ヘルペスウイルスは、コイヘルペスウイルスであることが好ましい。
また、第2の発明に係るリポソームワクチンは、上記第1の発明によって作製されたものである。
「ウイルス」とは、DNAまたはRNAをゲノムとして有し、宿主細胞内のみで複製する病原体の一種である。本発明の方法は、エンベロープウイルスと非エンベロープウイルスとのいずれに対しても用いることができる。ここで、エンベロープウイルスとは、核酸とそれを囲むタンパク質(キャプシド)から構成されるヌクレオキャプシドを取り囲む脂質膜(エンベロープ)を備えたウイルスを意味する。また、非エンベロープウイルスとは、そのようなエンベロープを持たないウイルスを意味する。
ウイルスとしては、例えば、(1)魚類のビルナウイルス、出血性敗血症ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ヒラメラブドウイルス、スプリングバイレミアウイルス、ノダウイルス、ヘルペスウイルス、イリドウイルス、リンホシスチスウイルス、口白症ウイルス、鰓鬱血ウイルスなど、(2)エビなどの甲殻類の中腸腺壊死症バキュロウイルス、イエローヘッド病ウイルス、タウラシンドロームウイルス、MBV病ウイルス、IHHNウイルス、BPウイルスなど、(3)ヒトなどの哺乳類のインフルエンザウイルス、エイズウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス、日本脳炎ウイルスなどが含まれる。本発明においては、これらのウイルスのうち、インフルエンザウイルス(特に、ヒトインフルエンザウイルス)、ヘルペスウイルス(特に、コイヘルペスウイルス)、イリドウイルスであることが好ましい。
また、ウイルスが特定されていない症状に対しては、その病気に罹患した動物(ヒトを含むことができる)から抽出したホモジネートをリポソームワクチン調製用に使用することもできる。ウイルスは、全体として用いることが好ましいが、その一部を用いることもできる。特に、ウイルスを抗原として用いる場合には、表面に表れる免疫原物質のみを適当に精製して用いることができる。
また、本発明は、治療的または予防的のいずれにも用いることができる。更に、病原体は、一種類のみを用いる場合の他に、二種類以上のものを混合して用いることもできる。
また、リポソームと一体化したウイルスは、PCR法、DNAチップ、ELISA法等の方法により検出することができる。
「リポソーム」とは、リン脂質(PL,phospholipid)を含有する脂質二重層を含み、内部に水相を備えた閉鎖小胞のことを意味する。リポソームの形態は、脂質二重層が二層以上の複数に渡ってタマネギ状に重なった多重層リポソーム(MLV,multilamellar vesicle)と、脂質二重層が一層の一枚膜リポソームとに分けられる。更に、一枚膜リポソームは、粒子径に応じて、より小さな一枚膜リポソーム(SUV,small unilamellar vesicle)と、より大きな一枚膜リポソーム(LUV,large unilamellar vesicle)とに分類される。本発明の方法では、超音波処理によりリポソームを調製するので、主として、脂質二重層が一層の一枚膜リポソーム(UV)を含む。
リン脂質とは、リン酸と脂質とを含む物質を意味し、その構成成分により、グリセロール骨格を有するグリセロリン脂質と、スフィンゴシン骨格を有するスフィンゴリン脂質とに分類される。グリセロリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン(レシチンともいう。本明細書中において、「PC」と略記することがある。)、ホスファチジルエタノールアミン(本明細書中において、「PE」と略記することがある。)、ホスファチジルセリン(本明細書中において、「PS」と略記することがある。)、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸(本明細書中において、「PA」と略記することがある。)等を例示できる。
また、スフィンゴリン脂質としては、例えばスフィンゴミエリンを例示できる。本発明のリポソームを製造するには、上記各種のリン脂質成分を任意の比で混合したものを用いることができるが、PCを主たる成分(例えば、リン脂質全体の約40%〜約100%の割合)とすることができる。また、PCに加えて、PSを添加することが好ましい。詳細な理由は不明であるが、PSを添加することにより、二回目の超音波処理を行った後に、リン脂質二重膜とウイルスとが共存する状態が安定的に維持されること、及び細胞の貪食能が高まり消化管からのリポソームの吸収率が向上する等の利点が認められるからである。この場合に、PSの混合割合としては、PCの1質量部に対して、約0.1質量部〜約1質量部、好ましくは約0.2質量部〜約0.8質量部、更に好ましくは約0.3質量部〜約0.6質量部とする。なお、本発明のリポソームを調製するに当たっては、リン脂質に加えて、他の成分、例えばタンパク質・核酸・化合物等を予め混合しておくこともできる。
「超音波処理したウイルス」とは、リポソームを調製するに際して、リン脂質と共存させる前に、予めウイルスのみを超音波処理することを意味している。詳細は不明であるが、ウイルスのみを超音波処理することにより、ウイルスを物理的に変性させ、リン脂質と共存させた後、その状態を長期間に渡って安定的に保持できることが判った。
本発明によれば、ウイルスとリン脂質二重膜との分離現象を長期間に渡って阻止し、特定のウイルスに対して免疫作用を起こさせる安定なリポソームワクチンを提供することができる。また、このリポソームワクチンは、経口投与によっても、免疫作用を惹起できるので、特に魚類に対しては有効なものとなる。
次に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、その要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<比較例1> 従来法により調製したリポソームワクチンの安定性評価試験
1.インフルエンザウイルス含有リポソームワクチン((F−IFV/Rh−PL)−V)の調製
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PS:PC:CHOL:N-(ローダミンBスルホニル)-ホスファチジルエタノールアミン(N-(rhodamine-B-sulfonyl)-phosphatidyl ethanolamine(Rh-PE))をスクリューキャップ式試験管に入れ、ロータリーエバポレータでクロロホルムを除去した。このとき、リン脂質、ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロールのモル比は、1:10:5:0.004とした。試験管の壁面に薄膜状となったリン脂質及びコレステロールに対して、フルオレセイン(fluorescein)で蛍光標識したヒトインフルエンザウイルス(F−IFV)と10mM HEPES/100mM NaCl(pH7.5)(以下、「緩衝液A」という)とを加え、アルゴンガスで試験管内を充填し、共栓をした。
この試験管をボルテックスミキサーで30秒間処理することによりMLVを調製した。このMLVをプローブ型ソニケータを用いて、溶液が透明になるまで1分間の超音波処理と1分間の氷冷処理とを繰り返すことにより、ウイルス含有UV(以下、単に「V」(ベシクル)と省略することがある。)を調製した。得られたUVを4℃にて750xgで5分間遠心分離して上清を採取した。こうして、リポソームワクチン((F−IFV/Rh−PL)−V)を調製した。
2.超音波処理インフルエンザウイルス(F−IFV−V)の調製
5μg/mL〜50μg/mLに調製したF−IFVに対し、緩衝液Aを加えて全量を1mLとし、ボルテックスミキサーで30秒間処理した。このF−IFVをプローブ型ソニケータを用いて、溶液が透明になるまで1分間の超音波処理と1分間の氷冷処理とを繰り返すことにより、F−IFV−Vを調製した。得られたUVを4℃にて750xgで5分間遠心分離して上清を採取した。
3.ローダミン導入UV(Rh−PL−V)の調製
クロロホルムに溶かしたリン脂質、ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PS:PC:CHOL:Rh−PE)をスクリュ−キャップ式試験管に入れ、ロータリーエバポレータでクロロホルムを除去した。リン脂質及びコレステロールの質量比は、PS:PC:CHOL:Rh−PE=1:10:5:0.004とした。
試験管の壁面に薄膜状となったリン脂質及びコレステロールに1.0mLの緩衝液Aを加え、アルゴンガスで試験管内を充填した後、共栓をした。この試験管をボルテックスミキサーで30秒間処理して、MLVを調製した。このMLVをプローブ型ソニケータを用いて、溶液が透明になるまで1分間の超音波処理と1分間の氷冷処理とを繰り返すことにより、UVの調製を行った。得られたUVを4℃にて750xgで5分間遠心分離して上清を採取し、UVを形成しなかったリン脂質を除去した。
4.リン脂質の濃度測定
上記各サンプルについて、適宜リン脂質の濃度を測定した。測定手順は、次の通りとした。すなわち、サンプルとコントロール(KHPO溶液)のそれぞれについて、0.4mLの10N硫酸を添加した後、ブロックヒータを用いて170℃で30分間以上加熱した。これを室温に放冷した後、100μLの30%過酸化水素水を添加し、再び170℃で30分間以上加熱した。
次に、これを室温に放冷した後、サンプルとコントロールのそれぞれの溶液に対して、0.25N硫酸に溶解したモリブデン酸アンモニウム(0.22%(NHMo24・4HO)をモリブデン酸アンモニウムの最終濃度が0.044%になるように添加してボルテックスした後、発色試薬(フィスケ・サバロー試薬:30mg ANSA、1mg NaSO)を加えて、沸騰水中で10分間加熱した。空冷後、サンプル及びコントロールとして使用したKHPOの吸光度を830nmで測定することにより、サンプル中のリン含有量を決定した。
5.タンパク質の濃度測定
上記各サンプルについて、適宜タンパク質の濃度を測定した。測定手順は、次の通りとした。すなわち、濃度既知のBSA標準品とサンプルのそれぞれ1300μLに200μLのブラッドフォード試薬を加えて、ボルテックスした後、吸光度を595nmで測定することにより、サンプル中のタンパク質含有量を決定した。
6.作製されたリポソームのキャラクタリゼーション
上記各サンプルをセファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度をそれぞれ励起波長495nm、蛍光波長520nm、及び励起波長570nm、蛍光波長590nmで測定した。
図1には、F−IFV−VとRh−PL−Vとを別々にカラムにアプライし分取した後、前者のフラクションについてはフルオレセインの蛍光強度を、後者のフラクションについてはローダミンの蛍光強度を、それぞれ測定した結果を示した。この結果より、両者を別々に調製し、混合しただけでは、インフルエンザウイルスとリン脂質とは、ほとんど一体化しないことが判った。
図2には、(F−IFV/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が20番〜35番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、インフルエンザがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
図3には、図2のフラクション番号が20番〜35番の分取サンプルを48時間経過した後に、再度セファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。図2では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度パターンは一致していたものの、図3では、明らかに両者のパターンは位置ずれしていた。このことより、インフルエンザウイルスは、一旦はリン脂質二重膜と共存したものの、時間の経過により、両者は分離してしまったことが判った。
<実施例1> リポソームワクチンの安定性評価試験1
1.ウイルスワクチン((F−IFV−V/Rh−PL)−V)の調製
5μg/mL〜50μg/mLに調整したF−IFVに対し、緩衝液Aを加えて全量を1mLとし、ボルテックスミキサーで30秒間処理した。このF−IFVをプローブ型ソニケータを用いて、上記溶液が透明になるまで1分間の超音波処理と1分間の氷冷処理とを繰り返すことにより、インフルエンザウイルスを超音波処理した。
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PS:PC:CHOL:Rh−PE)をスクリューキャップ式試験管に入れ、ロータリーエバポレータでクロロホルムを除去した。このとき、リン脂質、ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロールのモル比は、1:10:5:0.004とした。試験管の壁面に薄膜状となったリン脂質及びコレステロールに対して、超音波処理したインフルエンザウイルスと緩衝液Aとを加え、アルゴンガスで試験管内を充填し、共栓をした。
この試験管をボルテックスミキサーで30秒間処理することによりMLVを調製した。このMLVをプローブ型ソニケータを用いて、溶液が透明になるまで1分間の超音波処理と1分間の氷冷処理とを繰り返すことにより、ウイルス含有UVを調製した。得られたUVを4℃にて750xgで5分間遠心分離して上清を採取し、リポソームワクチン((F−IFV−V/Rh−PL)−V)を調製した。
(F−IFV−V)の調製、(Rh−PL−V)の調製、リン脂質の濃度測定、タンパク質の濃度測定は、前述の<比較例1>の2〜5に従って行った。
2.リポソームのキャラクタリゼーション
<比較例1>の6に記載の方法に従って、リポソームのキャラクタリゼーションを行った。
図1に示すように、インフルエンザウイルスとリン脂質とは、混合しただけでは、ほとんど一体化しなかった。
図4には、(F−IFV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が18番〜40番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、インフルエンザがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
図5には、図4のフラクション番号が18番〜40番の分取サンプルを48時間経過した後に、再度セファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。図5においても、図4と同様に、フルオレセインとローダミンの蛍光強度パターンは一致していた。このことより、本実施例により調製されたリポソームワクチンでは、インフルエンザウイルスとリン脂質二重膜との共存状態は、長時間に渡って安定的に維持されることが判った。
3.蛍光顕微鏡による観察
図6〜図8には、(F−IFV−V/Rh−PL)−Vを蛍光顕微鏡観察したときの結果を示した。これらの図より、ローダミンの蛍光像(図7)と、フルオレセインの蛍光像(図8)は、共に(F−IFV−V/Rh−PL)−Vの位置(図6)にあった。また、フルオレセインの蛍光像は、リン脂質二重膜の内部水層ではなく、リン脂質二重膜の蛍光像に一致していることから、ウイルスは、リポソームを構成するリン脂質二重膜と安定的に共存していることが判った。
4.SDS−PAGEによる解析
ワクチンを製造する前のIFV、IFV−V、及び(IFV−V/PL)−VをSDS−PAGEによって解析した。SDS−PAGEは、Laemmliの方法に従った。まず、サンプルに等量のサンプル緩衝液(114mMトリス塩酸(pH6.8)、3.64%SDS、25.4%グルセロール、9% βメルカプトエタノール、0.02%ブロムフェノールブルー)を加え、5分間沸騰して変性させた。次に、12%分離用ゲル(12%アクリルアミド、0.41%ビスアクリルアミド、375mMトリス塩酸(pH8.8)、0.01%APS、0.001%TEMED)からなるスラブゲルとランニング緩衝液(0.1%SDS、25mMトリス、52mMグリシン(pH8.3))を泳動槽にセットし、サンプルを濃縮ゲルの注入孔に注入後、ゲル1枚について30mAの定電流で約90分間通電した。電気泳動が終了後、ゲルを染色液中に浸してゲル中のタンパク質を染色した後、脱色した。
図9には、SDS−PAGEを行った後に、ゲルを銀染色したときの写真を示した。IFVでは50kD以下の低分子量側に2本の大きなバンドが認められた。超音波処理したIFV−V及び(IFV−V/PL)−Vでは、そのようなバンドが認められなかった。(IFV−V/PL)−Vの泳動パターンは、IFV−Vの泳動パターンと一致することより、IFVはリン脂質二重膜と共存していることが判った。
<実施例2> リポソームワクチンの安定性評価試験2
本実施例では、ウイルスとして、コイヘルペスウイルス(KHV)を用いた。KHVは、KHVにより斃死したコイのホモジネートより調製した。IFVに代えて、KHVを用いた以外は、実施例1に従って、1.ウイルスワクチンの調製を行った。
2.リポソームのキャラクタリゼーション
<比較例1>の6に記載の方法に従って、リポソームのキャラクタリゼーションを行った。
図10には、F−KHV−VとRh−PL−Vとを別々にカラムにアプライし分取した後、前者のフラクションについてはフルオレセインの蛍光強度を、後者のフラクションについてはローダミンの蛍光強度を、それぞれ測定した結果を示した。この結果より、KHVとリン脂質とは、ほとんど一体化しないことが判った。
図11には、(F−KHV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が20番〜28番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、KHVがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
3.共焦点レーザー顕微鏡による観察
図12〜図14には、(F−KHV−V/Rh−PL)−Vを共焦点レーザー顕微鏡観察したときの結果を示した。図12には、フルオレセインの蛍光の様子を、図13には、ローダミンの蛍光の様子を示した。また、図14には、両写真を合成した様子を示した。フルオレセインの蛍光像とローダミンの蛍光像とは重なっていたことから、KHVはリポソームを構成するリン脂質二重膜と安定的に共存していることが判った。
4.SDS−PAGEによる解析
ワクチンを製造する前のKHV、KHV−V、及び(KHV−V/PL)−VをSDS−PAGEによって解析した。SDS−PAGEは、<実施例1>の4に記載の方法に従って行った。図15には、SDS−PAGEを行った後に、ゲルを銀染色したときの写真をそれぞれ示した。この結果からも、KHVがリン脂質二重膜と共存していることが認められた。
<実施例3> リポソームワクチンの安定性評価試験3
イリドウイルスを用いた場合の結果
本実施例では、ウイルスとして、イリドウイルス(IV)を用いた。IVは、イリド不活化ワクチン「ビケン」を用いた。IFVに代えて、IVを用いた以外は、実施例1に従って、1.ウイルスワクチンの調製を行った。
2.リポソームのキャラクタリゼーション
<比較例1>の6に記載の方法に従って、リポソームのキャラクタリゼーションを行った。
図16には、F−IV−VとRh−PL−Vとを別々にカラムにアプライし分取した後、前者のフラクションについてはフルオレセインの蛍光強度を、後者のフラクションについてはローダミンの蛍光強度を、それぞれ測定した結果を示した。この結果より、IVとリン脂質とは、ほとんど一体化しないことが判った。
図17には、(F−IV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が18番〜32番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、IVがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
図18には、図17のフラクション番号が18番〜32番の分取サンプルを48時間経過した後に、再度セファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。図18においても、図17と同様に、フルオレセインとローダミンの蛍光強度パターンは一致していた。このことより、本実施例により調製されたリポソームワクチンでは、イリドウイルスとリン脂質二重膜との共存状態は、長時間に渡って安定的に維持されることが判った。
3.共焦点レーザー顕微鏡による観察
図19〜図21には、(F−IV−V/Rh−PL)−Vを共焦点レーザー顕微鏡観察したときの結果を示した。図19には、フルオレセインの蛍光の様子を、図20には、ローダミンの蛍光の様子を示した。また、図21には、両写真を合成した様子を示した。両蛍光像は重なっていたことから、IVは、リポソームを構成するリン脂質二重膜と安定的に共存していることが判った。
4.SDS−PAGEによる解析
ワクチンを製造する前のIV、IV−V、及びIV/PL−VをSDS−PAGEによって解析した。
図22には、SDS−PAGEを行った後に、ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色したときの写真を示した。図23には、SDS−PAGEを行った後に、ゲルを銀染色したときの写真を示した。この結果からも、IVがリン脂質二重膜と共存していることが認められた。
<実施例4> PSの効果確認試験1
次に、ワクチンを作製する際のリン脂質の種類を評価するため、ホスファチジン酸(PA)とPSとの差違を確認する試験を行った。
1.PAを用いたワクチン
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PA:PC:CHOL:Rh−PE=1:10:5:0.004)を用い、IFVと共にワクチンを調製した。調製方法は、<実施例1>の1に記載の方法に従った。
2.PSを用いたワクチン
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PS:PC:CHOL:Rh−PE=1:10:5:0.004)を用い、IFVと共にワクチンを調製した。調製方法は、<実施例1>の1に記載の方法に従った。
3.リポソームのキャラクタリゼーション
上記1及び2のリポソームワクチンのそれぞれについて、<比較例1>の6に記載の方法に従って、キャラクタリゼーションを行った。
図24には、PAを用いて調製したワクチンについて、(F−IFV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が25番〜33番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、IFVがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
図25には、図24のフラクション番号が25番〜33番の分取サンプルを48時間経過した後に、再度セファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。図より、一部のフルオレセインとローダミンの蛍光強度の変化は一致しているものの、ローダミンのピークの後ろに別のフルオレセインのピークが発生したことが分かった。このことより、一旦はリポソームと共存したIFVが、時間の経過に連れて一部リポソームから分離したことが判った。
一方、PSを用いて調製したワクチンについて、(F−IFV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果は、既に図4及び図5に示した通りである。これらの図より、フルオレセインとローダミンの蛍光強度の変化は一致して増減しており、フルオレセインについて、別のピークは認められなかったことから、リポソームと共存したIFVは、安定してリン脂質二重膜と共存していることが判った。
こうして、一定量のPSを用いることが、ウイルスとリン脂質二重膜との共存状態を安定して維持できることが判った。
<実施例5> PSの効果確認試験2
次に、PSの有効性を確認するために、イリドウイルスを用い、<実施例4>と同様の試験を行った。
1.PAを用いたワクチン
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PA:PC:CHOL:Rh−PE=1:10:5:0.004)を用い、IVと共にワクチンを調製した。調製方法は、<実施例1>の1に記載の方法に従った。
2.PSを用いたワクチン
ローダミンで蛍光標識したリン脂質及びコレステロール(PS:PC:CHOL:Rh−PE=1:10:5:0.004)を用い、IVと共にワクチンを調製した。調製方法は、<実施例1>の1に記載の方法に従った。
3.リポソームのキャラクタリゼーション
上記1及び2のリポソームワクチンのそれぞれについて、<比較例1>の6に記載の方法に従って、キャラクタリゼーションを行った。
図26には、PAを用いて調製したワクチンについて、(F−IV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。フラクション番号が21番〜35番の間では、フルオレセインとローダミンの蛍光強度が一致して増減していることから、IVがリン脂質二重膜と共存していることが示された。
図27には、図26のフラクション番号が21番〜35番の分取サンプルを48時間経過した後に、再度セファクリルS−1000カラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果を示した。図より、一部のフルオレセインとローダミンの蛍光強度の変化は一致しているものの、ローダミンのピークの後ろにフルオレセインのなだらかなピークが発生したことが分かった。このことより、一旦はリポソームと共存したIVが、時間の経過に連れて一部リポソームから分離したことが判った。
一方、PSを用いて調製したワクチンについて、(F−IV−V/Rh−PL)−Vを調製した後にカラムにアプライし分取した後、各フラクションについて、フルオレセインとローダミンの蛍光強度を測定した結果は、既に図17及び図18に示した通りである。これらの図より、フルオレセインとローダミンの蛍光強度の変化は一致して増減しており、フルオレセインについて、別のピークは認められなかったことから、リポソームと共存したIVは、安定してリン脂質二重膜と共存していることが判った。
こうして、IVを用いた場合にも、一定量のPSを用いることが、ウイルスとリン脂質二重膜との共存状態を安定して維持できることが示された。
<実施例6> 免疫化による抗体産生能評価試験1
免疫化の評価には、BALB/cマウスを用いた。タンパク質濃度が、2μg/mL及び20μg/mLとなるように、2種類の(IFV−V/PL)−Vを調製し、500μL(ワクチン投与量として、1μg及び10μg)を腹腔内に投与した。同時に、リポソーム、IFV、IFV−Vをそれぞれ腹腔内に投与したマウス、及び未処理のマウスをコントロールとした。1群当り20匹のマウスを免疫化した。抗原投与から3週間後及び5週間後、マウスの眼窩静脈から採血し、得られた血清の抗体産生能をELISA法で評価した。結果を表1に示した。
表に示すとおり、リポソームワクチン((IFV−V/PL)−V)は、IgGの場合は、その他の抗原と同程度の抗体産生能を有していた。また、IgMの場合は、その他の抗原より高い抗体産生能を有することが判った。
<実施例7> 免疫化による抗体産生能評価試験2
まず、コイをワクチン投与区(5尾)とワクチン非投与区(5尾)とに設定した。ワクチン非投与区には、通常のドライペレットのみを与えた。一方、ワクチン投与区には、PS/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(KHV−V/PL)−Vを吸収させたドライペレットを3日間に渡って連続的に経口投与した。3日間のワクチン摂取量は、1尾当り20μLであった。ワクチン投与終了から、21日間は通常のペレットを投与した。
22日目に、各区5尾から血液を採取し、KF−1細胞と培養したKHV懸濁液(101.25TCID50/50μL)を用い、血清の抗体価を二倍希釈法によって評価した。結果を表2に示した。
表に示すとおり、リポソームワクチン投与区では、抗体価が23〜128と大きくなっており、抗体産生能を有することが判った。
<実施例8> 生ウイルスによる攻撃試験1
1.ワクチンの投与
イリドウイルスに対して感受性がある体重8gのマダイ幼魚を用いた。1日に1尾のマダイ当り、ドライペレットに50μLのワクチンを浸潤させ、3日間に渡ってこのドライペレットを自由に摂取させることでワクチンを投与した。ワクチンとして、(I)PS/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(IV−V/PL)−V及びIV−V、並びに(II)PA/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(IV−V/PL)−V及びIV−Vを用いた。(IV−V/PL)−V投与区、IV−V投与対照区ともに、20尾のマダイを供試した。1回目のワクチンの投与の後、10日間の間隔をあけて2回目のワクチンの投与(50μL/尾/日、3日間)を行った。
2.ウイルス攻撃試験
体重15gに成長したマダイ20尾を、イリドウイルスを添加した海水に浸漬することにより、マダイにイリドウイルスを摂取させた。このマダイの生存率を20日間に渡って評価した。
表3には、20尾のマダイの生存率を示した。
PAを用いたワクチンでは、コントロールと同等の生存率(8/20)しか示さなかった。一方、PSを用いたワクチンでは、有意に高い生存率(9/20:15/20)を示したことから、本発明のワクチンの優位性が認められた。
<実施例9> 生ウイルスによる攻撃試験2
コイをワクチン投与3区(各5尾)とワクチン非投与2区(各5尾)とに設定した。ワクチン非投与区には、通常のドライペレットのみを与えた。一方、ワクチン投与区には、PS/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(KHV−V/PL)−Vを吸収させたドライペレットを3日間に渡って連続的に経口投与した。3日間のワクチン摂取量は、1尾当り20μLであった。ワクチン投与終了から、21日間は通常のペレットを投与した。
22日目に、培養したKHV懸濁液(101.3TCID50/100μL)を麻酔をかけたコイの鰓に滴下する方法で攻撃試験を行った。この攻撃試験は、ワクチン非投与区のコイに対しても、同日に行った。
結果を図28及び表4に示した。
ワクチン非投与区(コントロール、または対照区)では、KHVによる攻撃後7日〜16日で90%の斃死(4/5、5/5)が起こった。これに対し、ワクチン投与区では、攻撃後7日〜9日でわずか23%の斃死(0/5、1/4、2/4:第2区及び第3区では、飼育途中に水槽から各1尾が飛び出して死亡した)しか起こらず、21日後の実験終了時に77%のコイが生残した。
KHVの感染状況を確認する目的で、採取したコイの鰓と腎臓を用いて、ウイルスDNAのPCR検査を行った。その結果、ワクチン非投与区の死亡魚9尾の鰓からKHVのDNAが検出され、一部のコイの腎臓からもKHVのDNAが検出された。また、ワクチン投与区の死亡魚3尾の鰓からもKHVのDNAが検出された。このことから、コイの斃死の原因は、KHV感染であることが実証された。
これに対し、ワクチン投与区の生残魚10尾の鰓からは、KHVのDNAは検出されなかった(図29及び図30を参照)。この結果より、ワクチン投与区の生残魚は、KHV感染を克服して生残したものと判断された。以上より、本実施形態の(KHV−V/PL)−Vは、経口から投与された場合にも、KHV抗原の腸管からの吸収と免疫系の刺激に対抗できることが示された。
このように本実施形態によれば、ウイルスとリン脂質二重膜との分離を長期間に渡って阻止し、安定な状況を維持することにより、特定のウイルスに対して免疫作用を起こさせるリポソームワクチンを提供することができた。このリポソームワクチンは、経口投与によっても有効であることから、特に魚類に対しては有効なものであった。
F−IFV−VとRh−PL−Vとを混合した後にゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 (F−IFV/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 図2において、フルオレセインとローダミンとが一致したピークについて、所定時間の経過後にリクロマトしたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。
(F−IFV−V/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 図4において、フルオレセインとローダミンとが一致したピークについて、所定時間の経過後にリクロマトしたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。
(F−IFV−V/Rh−PL)−Vの位相差顕微鏡写真図である。 図6と同じ位置において、ローダミンの蛍光を観察した蛍光顕微鏡写真図である。 図6と同じ位置において、フルオレセインの蛍光を観察した蛍光顕微鏡写真図である。 IFV−V、(IFV−V/PL)−V、及びIFVをSDS−PAGEにかけた後に銀染色したときのゲルの写真図である。
F−KHV−VとRh−PL−Vとを混合した後にゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 (F−KHV−V/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 (F−KHV−V/Rh−PL)−Vのフルオレセインの蛍光を観察した共焦点レーザ顕微鏡写真図である。 図12と同じ位置において、ローダミンの蛍光を観察した共焦点レーザ顕微鏡写真図である。 図12と図13の蛍光を重ねたときの様子を示す図である。
KHV、KHV−V、及び(KHV−V/PL)−VをSDS−PAGEにかけた後に銀染色したときのゲルの写真図である。 F−IV−VとRh−PL−Vとを混合した後にゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 (F−IV−V/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 図17において、フルオレセインとローダミンとが一致したピークについて、所定時間の経過後にリクロマトしたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。
(F−IV−V/Rh−PL)−Vのフルオレセインの蛍光を観察した共焦点レーザー顕微鏡写真図である。 図19と同じ位置において、ローダミンの蛍光を観察した共焦点レーザ顕微鏡写真図である。 図19と図20の蛍光を重ねたときの様子を示す図である。 IV、IV−V、及びIV/PL−VをSDS−PAGEにかけた後にクマシーブリリアントブルー染色したときのゲルの写真図である。 IV、及びIV/PL−VをSDS−PAGEにかけた後に銀染色したときのゲルの写真図である。
PA/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(F−IFV−V/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 図24において、フルオレセインとローダミンとが一致したピークについて、所定時間の経過後にリクロマトしたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。
PA/PC/CHOL(1:10:5)の組成で調製した(F−IV−V/Rh−PL)−Vをゲルクロマトグラフィーにかけたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。 図26において、フルオレセインとローダミンとが一致したピークについて、所定時間の経過後にリクロマトしたときのフルオレセインとローダミンの溶出位置を示すグラフである。
コイをKHVで攻撃したときの経過日数と生残数との関係を示すグラフである。上側の線はワクチン投与区を、下側の線はワクチン非投与区の様子を示している。 ワクチン投与区における生残魚の鰓(G)と腎臓(K)におけるKHV遺伝子の有無をPCR法で解析したときの様子を示すゲルの写真図である。G及びKの後ろの数字は、生残したコイの番号(1〜4)を示している。 図29と同様のゲルの写真図である。但し、生残したコイの番号は、5〜8である。

Claims (4)

  1. 最初の超音波処理したウイルスと、リン脂質とを溶液中に共存させた後、第2回目の超音波処理を行うことにより、前記ウイルスとリン脂質との分離現象を阻止したリポソームを調製することを特徴とするリポソームワクチンの作製法。
  2. 前記ウイルスは、最初の超音波処理を行う前に、ホルマリン処理により不活化されていることを特徴とする請求項1に記載のリポソームワクチンの作製法。
  3. 前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、イリドウイルスから選択されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のリポソームワクチンの作製法。
  4. 前記ヘルペスウイルスは、コイヘルペスウイルスであることを特徴とする請求項3に記載のリポソームワクチンの作製法。
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