JP5113451B2 - 車両用シートの骨組み構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、シートクッションの骨格となる座部フレームと、シートバックの骨格となる背部フレームとを備えた車両用シートの骨組み構造体に関する。
自動車などの車両に用いられる車両用シートについては、様々な安全技術が提案され、その中に、車両が後方から衝突を受けた際の後突衝撃に対して、シートバックがシートクッションに対して後退しながら後突衝撃を吸収するシートバック後退衝撃吸収技術がある。
図9は、そのようなシートバック後退衝撃吸収技術を例示するものであり、この図9(a)、(b)、(c)は、本発明の背景技術である車両用シートの骨組み構造体の一例の要部と、後突衝撃を吸収する過程を示す図である。この技術は、特許文献1に記載されたものである。
図9(a)は、その骨組み構造体50のシートクッションとシートバックの連結部分を示すもので、この骨組み構造体50は、シートクッション側に固定されたクッション側連結板41と、シートバック側に固定されたバック側連結板42と、クッション側連結板41に回動可能に支持された二つの連結リンク板43と44とを備えている。
二つの連結リンク板43と44とは、クッション側連結板41の上方に前後に回動可能に支持され、それぞれ他端でバック側連結板42の下方の前後に連結部45と44aとで回動可能に連結されている。つまり、クッション側連結板41と、バック側連結板42と、二つの連結リンク板43と44とで、四辺形リンク機構を構成している。
この四辺形リンク機構の通常位置は、図9(a)に示すように、二つの連結リンク板43と44がほぼ鉛直となっている状態で、この状態で、後方の連結リンク板44とクッション側連結板41とは、一定強度の連結ピン47で相互に回動しないように固定され、骨組み構造体50の通常姿勢を確保している。なお、符号46は、シートバックの傾きを示すシートバック中心線である。
前方の連結リンク板43は、後方の連結リンク板44より短く、後方に僅かに逆「く」の字状に屈曲し、その屈曲内側中央部分は、一定以上の力でより屈曲度を増すように屈曲するようになっている。また、この前方の連結リンク板43には、このリンク板43とバック側連結板42の前方下端とを連結する連結部45の動きを所定経路に規制する三角状のガイド孔48が設けられている。
この骨組み構造体50は、このような構成によって、後突衝撃を受けた際には、その初期後突衝撃に対して、連結ピン47がその衝撃を吸収して破断し、図9(b)のように四辺形リンク機構が後方に回動し、これによりシートバック中心線46を前傾状態とすることができる。また、この際、バック側連結板42は後退もしている。
図9(b)の状態から更に後期後突衝撃を受けると、この骨組み構造体50においては、連結部45がガイド孔48に規制されて、それより後方へは回動せず、一方、前方の連結リンク板43がその後期後突衝撃を吸収して屈曲し、かつ、連結部45がガイド孔48の続く辺にガイドされて、図9(c)に示すように斜め前方上方に移動する。
この連結部45の移動に伴い、バック側連結板42が後方の連結リンク板44との連結部44aを中心として、時計回り方向に回動し、これによりシートバック中心線46が後傾状態となる。
こうして、この骨組み構造体50によれば、シートバック後退衝撃吸収機能を、初期は前傾で後期は後傾というより理想的な形で達成することができる。しかしながら、このような理想的なシートバック後退衝撃吸収機能の達成は、この骨組み構造体50のような構成に限定されないと思われる。
図10も、シートバック後退衝撃吸収技術を例示するものであり、この図10(a)は、本発明の背景技術である車両用シートの一例を示す正面図、(b1)、(b2)は、本発明の背景技術である締結部の構造の一例を示す平面図と断面図、(c1)、(c2)は、(b1)、(b2)の締結部の変形例を示す平面図と断面図である。
図10(a)の車両用シート60は、特許文献2に記載されたもので、シートクッション51と、シートバック52と、シートクッション51を車体側へ連結すると共に、後突衝撃を受けた際には、直線状にシートクッション51を後退させながら、その後突衝撃を吸収する衝撃吸収長孔板55と衝撃吸収ピン56とを備えている。
衝撃吸収長孔板55は、衝撃吸収ピン56の軸部が挿嵌される両端孔55bを、この軸部の外径より狭い幅の長孔55cで連結した衝撃吸収長孔を備えており、通常の状態では衝撃吸収ピン56が両端孔55bの前方側に収容されている。このような衝撃吸収長孔板56と衝撃吸収ピン56の組み合わせ連結部分は、シートクッション51と車体との間の前後、左右の4か所に設けられている。
このような構成で、この車両用シート60によれば、後突衝撃を受けた際には、衝撃吸収長孔板55と衝撃吸収ピン56という簡素な組み合わせにより、衝撃吸収ピン56の軸部が長孔55cを拡幅して後突衝撃を吸収しながら、シートクッション51を直線状に後方へ後退させ、シートバック後退衝撃吸収機能を発揮することができる。
しかしながら、この車両用シート60では、初期後突衝撃に対してはシートバック52を前傾させ、後期後突衝撃に対してはシートバック52を後傾させるといった理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮することはできなかったと思われる。
図10(b1)、(b2)の締結部70は、特許文献3に記載されたものであり、一方側連結板61と、他方側連結板62とを、衝撃吸収ピン66で締結し、一方側連結板61の締結孔65に衝撃吸収孔65aを設けたものである。
このような構成の締結部70によれば、図10(b2)に符号αで示す衝撃力を受けた場合、衝撃吸収ピン66は締結孔65の他の部分に比べ変形しやすい衝撃吸収孔65a方向へ移動しながら、この衝撃吸収孔65aを変形させることで、衝撃を吸収することができる。
図10(c1)、(c2)の締結部70Aも、特許文献3に記載されたものであるが、図10(b1)、(b2)の締結部70に比べ、衝撃吸収孔65aのような孔による容易変形部分で衝撃を吸収するのではなく、締結孔65Aは全円周のものとし、代わりに、締結孔65Aの近傍周囲を一部分だけを残して補強する補強リブ65bを設けたものである。
このような構成の締結部70Aによれば、図10(b1)、(b2)の締結部70と同様に、補強リブ65bの無い部分が衝撃を受けて変形する衝撃吸収部分として機能する。
しかしながら、上記いずれの締結部70、70Aも、本発明の目的とするシートバック後退衝撃吸収機能を発揮する程度に長い後退を実現するには相応しくなかったと思われる。
特表2000−516557号公報(図3、図4、図5の符号15、27、32、33等) 特開平4−137928号公報(図1の符号6、7) 特開平4−124308号公報(図1、図2の符号5、8、17)
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、衝撃吸収長孔と衝撃吸収ピンという簡素な構成を用いながら、後突衝撃に対して初期前傾、後期後傾という理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮する車両用シートの骨組み構造体を提供することを目的としている。
請求項1記載の車両用シートの骨組み構造体は、シートクッションの骨格となる座部フレームと、シートバックの骨格となる背部フレームとを備えた車両用シートの骨組み構造体であって、
衝撃吸収長孔と、該衝撃吸収長孔の孔幅より大きい外径の衝撃吸収ピンとを備え、前記衝撃吸収ピンが前記衝撃吸収長孔を拡幅させながら移動することで後突衝撃を吸収しながら前記背部フレームを前記座部フレームに対して後退させる衝撃吸収締結部によって、前記背部フレームを前記座部フレームに対して締結し、かつ、前記衝撃吸収締結部を前記衝撃吸収長穴の長手方向が前後方向となるように上下に2段に設け、更に、上下の衝撃吸収部の衝撃吸収ピンの軸間距離は固定されたものであり、
上下の衝撃吸収締結部の衝撃吸収長孔の相対的形状を、初期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを前傾させ、後期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを後傾させる形状としたことを特徴とする。
請求項1記載の車両用シートの骨組み構造体は、加えて、前記上下の衝撃吸収長孔の初期後突衝撃の相対的形状は、それぞれ直線状であって、いずれか一方の衝撃吸収長孔の前端が他方の前端より後退した位置にあり、かつ、少なくともいずれか一方の衝撃吸収長孔の後端がその前端と同じ高さか、より高くなっており、それぞれの衝撃吸収長孔を後突衝撃を吸収しながら後方へ移動する衝撃吸収ピンの軸間を結ぶ直線を車両用シートの後ろから前方向への反時計回りに傾かせるような形状とされ、かつ、いずれか一方の衝撃吸収ピンが衝撃吸収長孔の後端に到達した際には、他方の衝撃吸収ピンも衝撃吸収長孔の後端に到達するようになっており、
前記上下の衝撃吸収長孔の後期後突衝撃の相対的形状は、前記後退した側の衝撃吸収長孔の後端に到達した衝撃吸収ピンを中心として、他の衝撃吸収ピンを車両用シートの前から後ろ方向への時計回りに回動させるような形状とされていることを特徴とする。
請求項2記載の車両用シートの骨組み構造体は、請求項1に従属し、上下の衝撃吸収長孔の相対的な後退長さは、座部フレームと背部フレームとを連結するために前記上下の衝撃吸収長孔を設けた連結長孔板において、前記連結長孔板の周縁と上下の衝撃吸収長孔との間に必要な余肉を残す範囲で、できるだけ長くしてあることを特徴とする。
請求項3記載の車両用シートの骨組み構造体は、請求項1または2に従属し、前記衝撃吸収長孔の側部近くに衝撃吸収調整孔を設けたことを特徴とする。
請求項1記載の車両用シートの骨組み構造体によれば、シートクッションの骨格となる座部フレームと、シートバックの骨格となる背部フレームとを備えた車両用シートの骨組み構造体であって、
衝撃吸収長孔と、該衝撃吸収長孔の孔幅より大きい外径の衝撃吸収ピンとを備え、前記衝撃吸収ピンが前記衝撃吸収長孔を拡幅させながら移動することで後突衝撃を吸収しながら前記背部フレームを前記座部フレームに対して後退させる衝撃吸収締結部によって、前記背部フレームを前記座部フレームに対して締結し、かつ、前記衝撃吸収締結部を前記衝撃吸収長穴の長手方向が前後方向となるように上下に2段に設け、更に、上下の衝撃吸収部の衝撃吸収ピンの軸間距離は固定されたものであり、
上下の衝撃吸収締結部の衝撃吸収長孔の相対的形状を、初期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを前傾させ、後期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを後傾させる形状としたので、衝撃吸収長孔と衝撃吸収ピンという簡素な構成を用いながら、後突衝撃に対して初期前傾、後期後傾という理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮する。
請求項1記載の車両用シートの骨組み構造体によれば、更に、前記上下の衝撃吸収長孔の初期後突衝撃の相対的形状は、それぞれ直線状であって、いずれか一方の衝撃吸収長孔の前端が他方の前端より後退した位置にあり、かつ、少なくともいずれか一方の衝撃吸収長孔の後端がその前端と同じ高さか、より高くなっており、それぞれの衝撃吸収長孔を後突衝撃を吸収しながら後方へ移動する衝撃吸収ピンの軸間を結ぶ直線を車両用シートの後ろから前方向への反時計回りに傾かせるような形状とされ、かつ、いずれか一方の衝撃吸収ピンが衝撃吸収長孔の後端に到達した際には、他方の衝撃吸収ピンも衝撃吸収長孔の後端に到達するようになっており、
前記上下の衝撃吸収長孔の後期後突衝撃の相対的形状は、前記後退した側の衝撃吸収長孔の後端に到達した衝撃吸収ピンを中心として、他の衝撃吸収ピンを車両用シートの前から後ろ方向への時計回りに回動させるような形状とされており、上記の効果を発揮する上下の衝撃吸収長孔の形状がより具体的に規定されているので、上記の効果を発揮する衝撃吸収長孔をより容易かつ確実に具現化することができる。
請求項2記載の車両用シートの骨組み構造体によれば、請求項1の効果に加え、上下の衝撃吸収長孔の相対的な後退長さは、座部フレームと背部フレームとを連結するために前記上下の衝撃吸収長孔を設けた連結長孔板において、前記連結長孔板の周縁と上下の衝撃吸収長孔との間に必要な余肉を残す範囲で、できるだけ長くしてあるので、双方のフレームの連結固定に必要な締付重畳部を上下に短寸とし、かつ、前後にはその必要長さを有効利用できるという効果を発揮する。
請求項3記載の車両用シートの骨組み構造体は、請求項1または2の効果に加え、前記衝撃吸収長孔の側部近くに衝撃吸収調整孔を設けたので、衝撃吸収長孔を衝撃吸収ピンの軸部が通過する際の変形を為やすくしたり、変形度合いの調整をより容易にかつ広範囲にすることができる。
以下に、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の車両用シートの骨組み構造体の一例を示す正面図、(b)は(a)の骨組み構造体を骨格として製造された車両用シートに着座者が着座した状態を概念的に示す正面図である。
この車両用シートの骨組み構造体20は、シートクッション21の骨格となる座部フレーム1と、シートバック22の骨格となる背部フレーム2と、座部フレーム1を前後にスライドさせるスライドレール4とを備えたものである。
図1(b)に示すように、座部フレーム1にはシートクッション21がセットされ、背部フレーム2にはシートバック22がセットされて車両用シート30として、車体HBに設置されて、着座者Pを着座させるものである。
なお、シートバック22の上方には、着座者Pの後頭部PHを受けるヘッドレスト23が設置されている。また、ここでは、着座者Pを基準として、「前後、左右、上下」という方向を規定するものとする。
スライドレール4は、左右一対で座部フレーム1と車体HBとの間に設置され、相互にガタツキ無く前後にスライドするアッパレール4aとロアーレール4bとを備えている。アッパレール4aは上側で、その上に座部フレーム1が支持されている。
ロアーレール4bは、その前方と後方とで車体HBに固定されている。こうして、車両用シートの骨組み構造体20、つまり、車両用シート30は、車体HBに対して前後にスライド可能となっている。
この基本構成に加えて、この骨組み構造体20は、衝撃吸収長孔5U,5Vと、衝撃吸収長孔5U,5Vの孔幅より大きい外径の衝撃吸収ピン6とを備え、衝撃吸収ピン6が衝撃吸収長孔5U,5Vを拡幅させながら移動することで後突衝撃を吸収しながら背部フレーム2を座部フレーム1に対して後退させる衝撃吸収締結部10U、10Vによって、背部フレーム2を座部フレーム1に対して締結していることを特徴とする。
なお、ここでは、上下の区別が必要な場合には、それぞれ上に関するものには添字「U」を、下に関するものには、添字「V」を付して区別するものとする。上下を総称して把握する場合、あるいは、区別する必要のない場合は、これらの添字を付さないものとする。
加えて、この骨組み構造体20は、衝撃吸収締結部10U、10Vをその衝撃吸収長穴5U,5Vの長手方向が前後方向となるように上下に2段に設け、更に、上下の衝撃吸収部10U、10Vの衝撃吸収ピン6の軸間距離は固定されたものであることを特徴とする。
また、この骨組み構造体20は、上下の衝撃吸収締結部10U、10Vの衝撃吸収長孔5U,5Vの相対的形状を、初期後突衝撃に対しては座部フレーム1に対して背部フレーム2を前傾させ、後期後突衝撃に対しては座部フレーム1に対して背部フレーム2を後傾させる形状としたことを特徴とする。
また、この骨組み構造体20は、上下の衝撃吸収長孔5U,5Vの側部近くに衝撃吸収調整孔12を設けたことを特徴とするが、その詳細については、図7、8を用いて後述する。
なお、この例では、衝撃吸収長孔5U,5Vが座部フレーム1側に固定され、衝撃吸収ピン6が背部フレーム2側に固定されているが、逆に衝撃吸収長孔5U,5Vが背部フレーム2側に固定され、衝撃吸収ピン6が座部フレーム1側に固定されるようにしても良い。
以下、このような構成の車両用シートの骨組み構造体20の基本的な作用効果について、図2と図3とを用いて説明する。
図2(a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体の背部フレームが初期後突衝撃を受けて後退前傾した状態を示す正面図、(b)は、(a)の状態を、図1(b)と同様に概念的に示す正面図である。以下、既に説明した部分と同じ部分については、同じ符号を付して重複説明を省略する。
また、この図2(b)では、図1(b)のシートバック22とヘッドレスト23との状態を二点鎖線の想像線で示している。
車両用シートの骨組み構造体20は、後突衝撃を受けると、まず、その初期の初期後突衝撃を背部フレーム2が受けて、この背部フレーム2側に固定された上下の衝撃吸収ピン6が上衝撃吸収長孔5U、下衝撃吸収長孔5Vを拡幅しながら初期後突衝撃を吸収しつつ、直線状に後退する。
ここで、図1(a)及び図2(a)から解るように、上衝撃吸収長孔5Uは前後に水平であるのに対し、下衝撃吸収長孔5Vは後へ行くほど上へ高くなっている。したがって、結果的に、双方とも後退しながら、上の衝撃吸収ピン6に対して下の衝撃吸収ピン6は上昇するので、背部フレーム2は図2に示すように前傾することになる。
更に、この骨組み構造体20では、初期後突衝撃を吸収しながら後退する上の衝撃吸収ピン6が上衝撃吸収長孔5Uの直線部分(これについては、後に詳しく説明するが、この部分を初期長孔という。)の後端に達したとき、下の衝撃吸収ピン6も下衝撃吸収長孔5Vの直線部分(同上)の後端に到達するようになっている。
図3(a)は、図2(a)の状態の車両用シートの骨組み構造体の背部フレームが更に後期後突衝撃を受けて後傾した状態を示す正面図、(b)は、(a)の状態を、図1(b)と同様に概念的に示す正面図である。また、この図3(b)では、図2(b)のシートバック22とヘッドレスト23との状態を二点鎖線の想像線で示している。
ここで、更に、後突衝撃の後期である後期後突衝撃が背部フレーム2に作用すると、図2(a)、図3(a)から解るように、下の衝撃吸収ピン6は、下衝撃吸収長孔5Vの後端に規制されてそれより後退することはできない。
一方、上衝撃吸収長孔5Uには、前記直線部分に加えて、下の衝撃吸収ピン6を中心として、上の衝撃吸収ピン6を後方へ時計回りに回動させる円弧部分(これについては、後に詳しく説明するが、この部分を円弧長孔という。)が設けられている。
したがって、上の衝撃吸収ピン6は、上衝撃吸収長孔5Uの円弧部分を拡幅して後期後突衝撃を吸収しながら、下の衝撃吸収ピン6を中心として後方へ時計回りに回動し、その結果、背部フレーム2は、図3に示すように後傾する。
こうして、この車両用シートの骨組み構造体20によれば、衝撃吸収長孔5U,5Vと衝撃吸収ピン6という簡素な構成を用いながら、後突衝撃に対して初期前傾、後期後傾という理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮することができる。
また、図1(b)、図2(b)、図3(b)においてそれぞれ、背部フレーム2の下方基準点を符号Hで示しているが、後突衝撃を受ける前に比べて、初期後突衝撃の前傾時、後期後突衝撃の後傾時のいずれの場合にも、この背部フレーム2の下方基準点Hの高さが上昇するという結果となっている。
こうして、この車両用シートの骨組み構造体20によれば、背部フレーム2が座部フレーム1に対して、初期前傾し後期後傾するだけでなく、更に、その全過程において、背部フレーム2の高さが低くなることがなく、むしろ、必要な範囲で上昇するというより理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮することができる。
図4(a)、(b)、(c)、及び、図5(a)、(b)、(c)は本発明の上下の衝撃吸収長孔の相対的形状を概念的に例示する図である。
図4(a)の上衝撃吸収長孔5U、下衝撃吸収長孔5Vは、図1、2、3で説明した車両用シートの骨組み構造体20で用いられているものである。
上衝撃吸収長孔5Uは、点A1から水平に後方へ点A2まで直線状に伸びた初期長孔5bと、点A2から点A3に達する、下衝撃吸収長孔5Vの後端である点B2を中心とした円弧部分である円弧長孔5dとを備えている。下衝撃吸収長孔5Vは、上衝撃吸収長孔5Uの後端点A2より、やや下方でやや後方の点B1から、より上方でより後方の点B2まで直線状に伸びた初期長孔5cを備えている。
ここで、図4(a)に図示するように、上衝撃吸収長孔5Uの前端点A1と下衝撃吸収長孔5Vの前端点B1とを結ぶ直線Zの長さLと、それぞれの初期長孔5b、5cの後端点A2とB2とを結ぶ直線の長さLとは同じになるようにしてある。この長さLは、背部フレーム2側に固定された衝撃吸収ピン6の軸間距離Lでもある。
このようにしておくと、上の衝撃吸収ピン6が初期後突衝撃を吸収しながら後退して上衝撃吸収長孔5Uの初期長孔5bの後端点A2に到達した際、下の衝撃吸収ピン6が初期後突衝撃を吸収しながら後退しかつ上昇して下衝撃吸収長孔5Vの初期長孔5cの後端点B2に到達する。つまり、この間、背部フレーム2は後退しつつ前傾することとなる。
また、下衝撃吸収長孔5Vは、初期長孔5cの後端点B2までしかないが、上衝撃吸収長孔5Uは、初期長孔5bの後端点A2から更に上述した円弧長孔5dを備え、その円弧中心は、下衝撃吸収長孔5Vの後端点B2であって、その円弧半径は衝撃吸収ピン6の軸間距離Lであって、上下の初期長孔5b、5cの後端点A2とB2とを結ぶ直線Zの長さLである。
したがって、上述したように、初期後突衝撃後の後期後突衝撃に対しては、下の衝撃吸収ピン6は後端点B2から動かず、上の衝撃吸収ピン6は、この下の衝撃吸収ピン6を中心として、円弧長孔5dの範囲だけ、この長孔5dを拡幅して後突衝撃を吸収しながら、後方への時計回りに回動し、背部フレーム2を後傾させる。
図4(a)において、水平な上の初期長孔5bと、上下の前端点A1、B1を結ぶ直線と(これが、それぞれにおける衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zとなる)のなす角度を角度θ1、水平な上の初期長孔5cと上下の後端点A2、B2を結ぶ直線(同上)とのなす角度を角度θ2としている。
ここで、図4(a)から解るように、角度θ1は角度θ2より大きい。つまり、上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zは、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動しているのであり、これにより、上述した初期後突衝撃における背部フレーム2の前傾を達成している。
この角度θ1と角度θ2との間の角度差Δθが、初期後突衝撃吸収時に背部フレーム2が前傾する角度となる。また、図4(a)においては、上衝撃吸収長孔5Uの円弧長孔5dにより上の衝撃吸収ピン6が回動する角度を角度θ3としており、この角度θ3が、後期後突衝撃吸収時に背部フレーム2が後傾する角度となる。
ここで、背部フレーム2の後傾角度θ3が一定値とすると、衝撃吸収ピン6の軸間距離Lを長くすればするほど、後期後突衝撃を吸収するための円弧長孔5cの長さを長くすることができる。つまり、より長い距離に渡って背部フレーム2を後傾させながら後期後突衝撃を吸収することができ、より緩やかに後期後突衝撃を吸収することができる。
また、初期長孔5b、5cがいずれも直線状であるので、初期後突衝撃による後退がスムーズに行われる。
また、初期後突衝撃の最後には、それぞれの初期長孔5b、5cの後端点に衝撃吸収ピン6が位置するので、衝撃吸収ピン6は、次の後期後突衝撃の後傾動作へスムーズに移行することができる。
また、上記後期後突衝撃による衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zの車両用シートの後方から前方への反時計回りの回動は、後方の下衝撃吸収長孔5Vの後端点B2を中心としてなされるので、上述したように背部シート2を後傾させるが、その下方基準点Hを下げずに、むしろ高くするという作用効果も発揮する。
これより、同じように、初期前傾し後期後傾する理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮する上下の衝撃吸収長孔の種々の例について説明する。
図4(b)の実施態様は、図4(a)のものに比べ、上衝撃吸収長孔5AUの初期長孔5eの前端点C1に対して後端点C2がより後方でより下方に位置しており、一方、下衝撃吸収長孔5AVの初期長孔5fの前端点D1に対して、後端点D2が水平で後方の位置となっている点が異なっている。
上衝撃吸収長孔5AUの初期長孔5eの後端点C2から点C3に伸びる円弧長孔5dは、図4(a)のものと同じである。つまり、背部フレーム2側に固定された衝撃吸収ピン6の軸間距離Lは、同じものとして、以下種々の実施形態を紹介する。
図4(b)において、水平な下の初期長孔5fと、上下の前端点C1、D1を結ぶ直線(これが、それぞれにおける衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zとなる)とのなす角度を角度θ4、水平な下の初期長孔5fと上下の後端点C2、D2を結ぶ直線Z(同上)とのなす角度を角度θ5としている。
ここで、図4(b)から解るように、この場合も、角度θ4は角度θ5より大きい。つまり、上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zは、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動しているのであり、これにより、上述した初期後突衝撃における背部フレーム2の前傾を達成している。
この角度θ4と角度θ5との間の角度差Δθが、初期後突衝撃吸収時に背部フレーム2が前傾する角度となる。また、図4(b)においては、上衝撃吸収長孔5AUの円弧長孔5dは、図4(a)と同じであり、これにより上の衝撃吸収ピン6が回動する角度を角度θ3としており、この角度θ3が、後期後突衝撃吸収時に背部フレーム2が後傾する角度となる。
つまり、この図4(b)のような構成でも、図4(a)と同様な作用効果、及び、図1から3で説明した車両用シートの骨組み構造体20と同様の作用効果を発揮することができる。
図4(c)の実施形態は、図4(a)のものに比べ、上衝撃吸収長孔5BUの初期長孔5g、下衝撃吸収長孔5BVの初期長孔5hの双方が後方に行くほど上方になるように傾斜している点で異なっており、上の初期長孔5gの前端点E1に対する後端点E2の上昇度に比べ、下の初期長孔5hの前端点F1に対する後端点F2の上昇度が高くなっている。
つまり、上衝撃吸収長孔5BUの初期長孔5gの勾配より、下衝撃吸収長孔5BVの初期長孔5hの勾配の方が大きくなっており、このようにしても、図4(c)から解るように、上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zは、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動しているのであり、これにより、上述した初期後突衝撃における背部フレーム2の前傾を達成している。
上衝撃吸収長孔5BUの初期長孔5gの後端点E2から伸び、点E3に達している円弧長孔5dは、図4(a)のものと同じである。こうして、この図4(c)のような構成でも、図4(a)と同様な作用効果、及び、図1から3で説明した車両用シートの骨組み構造体20と同様の作用効果を発揮することができる。
図5に示す上下の衝撃吸収長孔の実施態様は、図4のものと比べ、上衝撃吸収長孔が後方となり、下衝撃吸収長孔が前方になっている点が異なり、その他の構成要件は、図4と同様のものである。
図5(a)の実施態様では、上衝撃吸収長孔5CUは、下衝撃吸収長孔5CVより後方に位置し前端点G1と後端点G2を結ぶ後方に上がるように傾斜した直線状の初期長孔5iを備えている。下衝撃吸収長孔5CVは、前端点H1と後端点H2とを水平に結ぶ直線状の初期長孔5jと、この初期長孔5jの後端点H2と点H3とを結ぶ円弧長孔5kとを備えている。
この図5(a)の実施態様は、図4(a)のものにおいて、上下を入れ換えたようなものとなっており、図5(a)の上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zは、初期後突衝撃において、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を前傾させ、後期後突衝撃において、同直線Zは車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を後傾させる。
こうして、この図5(a)のような構成でも、図4(a)と同様な作用効果、及び、図1から3で説明した車両用シートの骨組み構造体20と同様の作用効果を発揮することができる。
図5(b)の実施態様では、上衝撃吸収長孔5DUは、下衝撃吸収長孔5DVより後方に位置し前端点I1と後端点I2を結ぶ水平な直線状の初期長孔5mを備えている。下衝撃吸収長孔5DVは、前端点J1と後端点J2とを後方へ下に傾斜するように直線状に結ぶ初期長孔5nと、この初期長孔5nの後端点J2と点J3とを結ぶ円弧長孔5kとを備えている。
この図5(b)の実施態様は、図4(b)のものにおいて、上下を入れ換えたようなものとなっており、図5(b)の上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zも、初期後突衝撃において、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を前傾させ、後期後突衝撃において、同直線Zは車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を後傾させる。
こうして、この図5(b)のような構成でも、図4(a)と同様な作用効果、及び、図1から3で説明した車両用シートの骨組み構造体20と同様の作用効果を発揮することができる。
図5(c)の実施態様では、上衝撃吸収長孔5EUは、下衝撃吸収長孔5EVより後方に位置し前端点K1と後端点K2を結ぶ後上方に傾斜した直線状の初期長孔5oを備えている。下衝撃吸収長孔5EVは、前端点L1と後端点L2と結ぶ後上方に傾斜した直線状の初期長孔5pと、この初期長孔5pの後端点L2と点L3とを結ぶ円弧長孔5kとを備えている。上の初期長孔5oの勾配は、下の初期長孔5pの勾配より大きなものとなっている。
この図5(c)の実施態様は、図4(c)のものにおいて、上下を入れ換えたようなものとなっており、図5(c)の上下の衝撃吸収ピン6の軸間を結ぶ直線Zも、初期後突衝撃において、全体として後退しながら車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を前傾させ、後期後突衝撃において、同直線Zは車両用シートの後方から前方への反時計回りに回動して、背部フレーム2を後傾させる。
こうして、この図5(c)のような構成でも、図4(a)と同様な作用効果、及び、図1から3で説明した車両用シートの骨組み構造体20と同様の作用効果を発揮することができる。
図4と図5とで例示した本発明の上下の衝撃吸収長孔は、上記の説明から解るように、その基本発明思想としては、以下のような構成を必須のものとし、それによって以下のような効果を発揮する。
上下の衝撃吸収長孔の初期後突衝撃の相対的形状(初期長孔の相対的形状)については、1)それぞれ直線状であって、2)いずれか一方の衝撃吸収長孔の前端が他方の前端より後退した位置にあり、3)少なくともいずれか一方の衝撃吸収長孔の後端がその前端と同じ高さか、より高くなっており、4)それぞれの衝撃吸収長孔を後突衝撃を吸収しながら後方へ移動する衝撃吸収ピンの軸間を結ぶ直線を車両用シートの後ろから前方向への反時計回りに傾かせるような形状とされ、かつ、5)いずれか一方の衝撃吸収ピンが衝撃吸収長孔の後端に到達した際には、他方の衝撃吸収ピンも衝撃吸収長孔の後端に到達するようになっている。
これにより、各番号に応じて、以下のような効果を発揮する。つまり、1)後突衝撃による後退が円滑に行われ、2)衝撃吸収ピンの軸間距離をより長く稼ぐことができ、3)初期後突衝撃による後退時に背部フレームの高さを下げることがなく、4)初期後突衝撃に際して背部フレームを前傾させ、5)次の後期後突衝撃のための後傾動作にスムーズに移行できる、という効果を発揮する。
上下の衝撃吸収長孔の後期後突衝撃の相対的形状(円弧長孔と後側の初期長孔の後端との相対的関係)は、後退した側の衝撃吸収長孔の後端に到達した衝撃吸収ピンを中心として、他の衝撃吸収ピンを車両用シートの前から後ろ方向への時計回りに回動させるような形状とされている。
これにより、上述した通り、背部フレームを後突衝撃を吸収しながら後傾させ、かつ、背部フレームの高さを下げることなく、むしろ、必要な程度に高くするという、理想的な後傾を実現することができる。
図6(a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体の要部拡大図、(b)は(a)のAA断面図である。この図6によって、衝撃吸収締結部10のより詳細な構成を説明する。
衝撃吸収部10は、既述の衝撃吸収長孔5と衝撃吸収ピン6に加え、この衝撃吸収ピン6の頭部と連結固定孔板13との間に順に外嵌されるスプリングワッシャ6cと大きい径の押さえ板6aと、ネジ部に螺合されるナット6bを備えている。
上下の衝撃吸収長孔5U,5Vは、座部フレーム1に固定された連結長孔板11に設けられている。背部フレーム2に固定された連結固定孔板13には、衝撃吸収ピン6の軸部を貫通させる固定連結孔13aが設けられている。
六角ボルト形状の衝撃吸収ピン6は、連結固定孔板13の固定連結孔13aと連結長孔板11の衝撃吸収長孔5とを貫通する外周に凹凸のない軸部の先にネジ部を備えたものである。
ここで、押さえ板6aは、衝撃吸収による衝撃吸収長孔5と、その側部に設けられた衝撃吸収調整孔12との凹凸のあり得る変形に対して、連結固定孔板13を補強するためのものである。
図7(a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体が備える連結長孔板の要部詳細図、(b)は(a)の連結長孔板の衝撃吸収長孔が後突衝撃を吸収した後の状態を示す図である。この図により、衝撃吸収長孔5U、5Vの形状についてより詳細に説明する。また、衝撃吸収調整孔12についても説明する。
上下の衝撃吸収長孔5U、5Vのそれぞれの初期長孔5b、5cの前端点は、それぞれ、そこに貫通する衝撃吸収ピン6の軸部が、ガタツキのない程度に嵌まり合うような基礎穴5aとなっており、この基礎穴5aの一部を開口するように、衝撃吸収ピン6の軸部より狭い孔幅の初期長孔5b、5cが設けられている。このような基礎穴は、既述したいずれの初期長孔にも設けられているものである。
また、既述したように、上衝撃吸収長孔5Uの前端に比べ、下の衝撃吸収長孔5Vは後退しているものであるが、図7(a)に示すように、上下の衝撃吸収長孔5U、5Vの相対的な後退長さは、連結長孔板11の周縁と上下の衝撃吸収長孔5U、5Vとの間に必要な余肉を残す範囲で、できるだけ長くしてある。
このようにすると、上述したように、衝撃吸収ピン6の軸間距離Lをできるだけ長く稼ぐことができることに加え、図7(a)に2点鎖線の斜線で示した座部側の連結長孔板11と背部側の連結固定孔板13との締付固定のための締付重畳部14を上下に短寸とし、かつ、前後にはその必要長さを有効利用できる、という利点がある。
つまり、衝撃吸収ピン6の軸間距離Lを長くするためには、衝撃吸収長孔5を上下に離間させて設けてもよいが、その場合、その締付固定のための締付重畳部が上下に長くなり、その分、上下の連結板が余分に必要となるし、無駄なスペースも増える。
一方、図7(a)に示した締付重畳部14は、本発明のような上下の衝撃吸収締結部10を設けない場合でも、元々必要な大きさであったものである。そして、そのような前後に長い締付重畳部14を有効利用して、衝撃吸収ピン6の軸間距離Lをできるだけ長く稼ぐべく、上述のような構成としたものである。
衝撃吸収調整孔12は、図7(a)に示すように、一定長さの長孔形状であって、上下の初期長孔5b,5c、また、円弧長孔5dの側部近辺に沿うように配置されている。衝撃吸収調整孔12の長孔の長さは適宜設定できるものである。
このような衝撃吸収調整孔12を設けておくと、後突衝撃吸収後の図7(b)で解るように、初期長孔5b,5c、また、円弧長孔5dを衝撃吸収ピン6の軸部が通過する際の変形を為やすくすると同時に、変形度合いの調整をより容易にかつ広範囲にすることができる。
つまり、図10(a)に示した車両用シート60のような衝撃吸収ピン56の軸部と、この軸部の外径より狭い幅の長孔55cとの組み合わせでは、衝撃吸収の程度は、両者の寸法精度に大きく影響されるので、精度の高い加工が必要となり、また、その調整範囲も限定されている。
しかしながら、この衝撃吸収調整孔12を設ける方法によると、この衝撃吸収調整孔12と初期長孔5b,5cとの間隔や、衝撃吸収調整孔12の長さや形状を自由に変えることができ、それにより、変形の程度を調整できる範囲が広く、また、その場合の加工精度が変形程度に与える程度は小さくなるものである。
図8(a)、(b)は、本発明の衝撃吸収調整孔の他例を示す図である。この図により、衝撃吸収調整孔が、上述の衝撃吸収調整孔12のような長孔に限定されないことを示す。
つまり、衝撃吸収調整孔は、衝撃吸収長孔との間の余肉部の幅や形状を望ましい衝撃吸収変形が得られるように調整するものであるので、その目的に合致する限り、その形状や個数は限定されないものである。
よって、図8(a)のように単に円孔を多数連続させた衝撃吸収調整孔12Aであってもよく、その場合は、板金加工でパンチングする場合の打ち抜き金型の種類を減らし、工程を少なくして、コストダウンすることができる。
また、図8(b)のように三角孔を交互に向きを変えて多数連続させた衝撃吸収孔12Bであってもよく、この場合も、上記円孔の場合と同様な利点がある。
なお、本発明の車両用シートの骨組み構造体は、上記の実施態様(実施例)に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施態様(実施例)の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
本発明の車両用シートの骨組み構造体は、衝撃吸収長孔と衝撃吸収ピンという簡素な構成を用いながら、後突衝撃に対して初期前傾、後期後傾という理想的なシートバック後退衝撃吸収機能を発揮することが要求される産業分野に、特に自動車用に用いることができる。
(a)は、本発明の車両用シートの骨組み構造体の一例を示す正面図、(b)は(a)の骨組み構造体を骨格として製造された車両用シートに着座者が着座した状態を概念的に示す正面図 (a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体の背部フレームが初期後突衝撃を受けて後退前傾した状態を示す正面図、(b)は、(a)の状態を、図1(b)と同様に概念的に示す正面図 (a)は、図2(a)の状態の車両用シートの骨組み構造体の背部フレームが更に後期後突衝撃を受けて後傾した状態を示す正面図、(b)は、(a)の状態を、図1(b)と同様に概念的に示す正面図 (a)、(b)、(c)は、本発明の上下の衝撃吸収長孔の相対的形状を概念的に例示する図 (a)、(b)、(c)は、本発明の上下の衝撃吸収長孔の相対的形状を概念的に例示する図 (a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体の要部拡大図、(b)は(a)のAA断面図 (a)は、図1(a)の車両用シートの骨組み構造体が備える連結長孔板の要部詳細図、(b)は(a)の連結長孔板の衝撃吸収長孔が後突衝撃を吸収した後の状態を示す図 (a)、(b)は、本発明の衝撃吸収調整孔の他例を示す図 (a)、(b)、(c)は、本発明の背景技術である車両用シートの骨組み構造体の一例の要部と、後突衝撃を吸収する過程を示す図 (a)は、本発明の背景技術である車両用シートの一例を示す正面図、(b1)、(b2)は、本発明の背景技術である締結部の構造の一例を示す平面図と断面図、(c1)、(c2)は、(b1)、(b2)の締結部の変形例を示す平面図と断面図
符号の説明
1 座部フレーム
2 背部フレーム
4 スライドレール
5〜5E 衝撃吸収長孔
5U 上衝撃吸収長孔
5V 下衝撃吸収長孔
5a 基礎孔
5b 初期長孔
5c 初期長孔
5d 円弧長孔
6 衝撃吸収ピン
10 衝撃吸収締結部
10U 上衝撃吸収締結部
10V 下衝撃吸収締結部
11 連結長孔板
12〜12B 衝撃吸収調整孔
13 連結固定孔板
20 車両用シートの骨組み構造体
21 シートクッション
22 シートバック
23 ヘッドレスト
30 車両用シート
L ピン軸間距離

Claims (3)

  1. シートクッションの骨格となる座部フレームと、シートバックの骨格となる背部フレームとを備えた車両用シートの骨組み構造体であって、
    衝撃吸収長孔と、該衝撃吸収長孔の孔幅より大きい外径の衝撃吸収ピンとを備え、前記衝撃吸収ピンが前記衝撃吸収長孔を拡幅させながら移動することで後突衝撃を吸収しながら前記背部フレームを前記座部フレームに対して後退させる衝撃吸収締結部によって、前記背部フレームを前記座部フレームに対して締結し、かつ、前記衝撃吸収締結部を前記衝撃吸収長孔の長手方向が前後方向となるように上下に2段に設け、更に、上下の衝撃吸収部の衝撃吸収ピンの軸間距離は固定されたものであり、
    上下の衝撃吸収締結部の衝撃吸収長孔の相対的形状を、初期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを前傾させ、後期後突衝撃に対しては前記座部フレームに対して前記背部フレームを後傾させる形状とし、
    前記上下の衝撃吸収長孔の初期後突衝撃の相対的形状は、それぞれ直線状であって、いずれか一方の衝撃吸収長孔の前端が他方の前端より後退した位置にあり、かつ、少なくともいずれか一方の衝撃吸収長孔の後端がその前端と同じ高さか、より高くなっており、それぞれの衝撃吸収長孔を後突衝撃を吸収しながら後方へ移動する衝撃吸収ピンの軸間を結ぶ直線を車両用シートの後ろから前方向への反時計回りに傾かせるような形状とされ、
    かつ、いずれか一方の衝撃吸収ピンが衝撃吸収長孔の後端に到達した際には、他方の衝撃吸収ピンも衝撃吸収長孔の後端に到達するようになっており、
    前記上下の衝撃吸収長孔の後期後突衝撃の相対的形状は、前記後退した側の衝撃吸収長孔の後端に到達した衝撃吸収ピンを中心として、他の衝撃吸収ピンを車両用シートの前から後ろ方向への時計回りに回動させるような形状とされていることを特徴とする車両用シートの骨組み構造体。
  2. 上下の衝撃吸収長孔の相対的な後退長さは、座部フレームと背部フレームとを連結するために前記上下の衝撃吸収長孔を設けた連結長孔板において、前記連結長孔板の周縁と上下の衝撃吸収長孔との間に必要な余肉を残す範囲で、できるだけ長くしてあることを特徴とする請求項1記載の車両用シートの骨組み構造体。
  3. 前記衝撃吸収長孔の側部近くに衝撃吸収調整孔を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用シートの骨組み構造体。
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