JP5113416B2 - ディスプレイストリップ及び商品展示体 - Google Patents
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ストリップバッグ展示とは、ディスプレイストリップと呼ばれる所定巾のテープ材に、商品が封入された袋(商品袋)を複数取り付けて吊り下げるという商品展示体による形態である。図1には、ストリップバッグ展示を行っている商品展示体の概要を示した。図1に示したように、商品袋BがディスプレイストリップSに取り付けられたものが商品展示体である。ストリップバッグ展示に際しては、ディスプレイストリップSの上部にホールパンチを設け、該ホールパンチに図1に示したようなフックなどの固定具Hを引っ掛けて所定場所に固定されて展示されることが多い。
前記ディスプレイストリップは、低融点ポリマーを含む第1層、粘着剤層及び基材層を具備し、
前記第1層は、低融点ポリマー層と支持層とを含み、
前記低融点ポリマー層は、前記ディスプレイストリップの商品袋取り付け側の最外面に設けられ、前記支持層は、前記低融点ポリマー層の内側に設けられ、
前記支持層のヤング率は、前記低融点ポリマー層のヤング率よりも高いことを最も主要な特徴とする。
この点、本発明のディスプレイストリップでは、低融点ポリマー層のヤング率よりも高いヤング率を持つ支持層が具備されているので、商品袋取外しに際しては、低融点ポリマー層が、支持層とともに、必要十分な範囲に限ってディスプレイストリップから引き剥がされ、商品袋を取り外した後のディスプレイストリップの見栄えも良く、粘着剤層は十分に露出される。
この点、本発明のディスプレイストリップでは、低融点ポリマー層の内側に、支持層が具備されているので、支持層に達するまでスリットが入ることにより、前記低融点ポリマー層はスリットによって完全に分断され、かつ、前記支持層は、低融点ポリマー層よりも伸びにくい素材を用いているため、低融点ポリマー層を分断するよりもスリットによって支持層が完全に分断されやすく、また仮にスリットによって完全に支持層が分断されていない場合でも、低融点ポリマー層が、支持層とともに、スリット位置を境界として所定位置に限って引き剥がされる蓋然性は高い。
図2は本発明のディスプレイストリップ10の層構造を示す概略断面図である。本発明のディスプレイストリップ10は、融着によってその表面に商品袋を取付けることのできるものであり、低融点ポリマーを含む第1層11、粘着剤層14及び基材層15を具備する層構造を有する。さらに、前記第1層11は、低融点ポリマー層12と支持層13とを含んでおり、前記低融点ポリマー層12は、前記ディスプレイストリップ10の最外面に存在し、前記支持層13は、前記低融点ポリマー層12の内側、すなわち前記粘着剤層14側に存在する位置関係にある。
前記第1層11に含まれる低融点ポリマー層12に用いられる低融点ポリマーとしては、160℃以下、好ましくは120℃以下の低い温度で溶融する低融点のポリマーであって、常温で粘着性を示さず、かつ、充分な溶融接着性を発揮できるものであれば用いることができる。なかでも好適に使用できる低融点ポリマーの具体例としては、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、炭素数4〜12のαオレフィン)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖低密度ポリエチレンを含む)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸エステル共重合体等からなるものを挙げることができる。また、前記低融点ポリマー層12は、単層構造であってもよいし、複数の層からなる多層構造を有していてもよい。
前記第1層11に含まれる支持層13に用いられる素材としては、前記低融点ポリマー層12のヤング率よりも高いヤング率を持つ素材が用いられる。すなわち、支持層13に用いられる素材は、低融点ポリマー層12に用いられる素材よりも変形しにくい素材が選択される。また、低融点ポリマー層12に用いる樹脂の種類によっては、支持層13に用いる素材として選択できる素材が変化する場合がある。
ヤング率を測定するにあたっては、上記の式を変形した下記(式1)により求めることができる。
E=σ/ε=単位面積あたりの力/単位長さあたりの伸び
=F/A/ΔL/L0 (式1)
なお、式1中、F:引張り力、A:フィルムの断面積、ΔL:力Fによる伸び、L0:フィルムの当初の長さである。
ただし、低融点ポリマー層12と支持層13のヤング率の相対評価においては、同一条件においてヤング率の測定を行うのであれば、必ずしも上記条件においてヤング率を測定する必要はない。
一方、紙などの不透明かつ印刷容易な素材を支持層13に用いる場合、印刷を施した紙を支持層13として用いて、ディスプレイストリップ10の模様とすることも可能である。ただし、支持層13は、商品袋取外しに際してその一部がディスプレイストリップ10から切り剥がされて、商品袋側に移転する層である点を留意しつつ、デザインする必要がある。
前記第1層11における、支持層13よりも更に内側の層、すなわち粘着剤層14側の界面には、粘着剤層14からの剥離が容易となるように剥離剤層(図示せず)を設けることが好ましい。剥離剤層を形成する剥離剤としては、粘着剤に対する公知の剥離剤を使用できるが、なかでもシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。本発明のディスプレイストリップ10は、前記第1層11と溶融接着で取り付けられた商品袋を取り外すと、前記商品袋が取り付けられた部分の第1層11が袋とともに引き剥がされるようになっている。このような本発明のディスプレイストリップ10においては、前記第1層11と粘着剤層14との間の接着力を調整することは極めて重要である。前記第1層11における粘着剤層14との界面に前記剥離剤層が設けられることで、前記第1層11と粘着剤層14との間の接着力を自由に調整することが可能となる。
シリコーン樹脂としては水酸基含有ポリジメチルシロキサンを主成分とし、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合して有機錫触媒存在下に反応させる縮合硬化型シリコーン樹脂、ビニル基含有ポリジメチルシロキサンを主成分とし、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合して白金触媒の存在下で反応させる付加硬化型シリコーン樹脂、(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンに光重合開始剤を添加してラジカル重合により反応させるタイプのラジカル重合型シリコーン樹脂、光カチオン触媒を利用した紫外線硬化型シリコーン樹脂、シリコーン系マクロモノマーを共重合したアクリル系樹脂等を用いることができる。
また、前記剥離層は、前記低融点ポリマー層12の前記粘着剤層14側の面の全面に施されていていてもよいが、海島構造になるように設けられていることが好ましい。前記剥離層が、前記粘着剤層14の海面側に海島構造で施されている場合、前記剥離層は、1cm2あたり好ましい下限は10ドット、好ましい上限は100ドット程度であり、好ましいドットの直径は10μm〜1000μmである。
上記のとおり、本発明のディスプレイストリップ10の第1層11は、商品袋取り付け側の最外面から低融点ポリマー層12/支持層13を具備するものであって、低融点ポリマー層12/支持層13/剥離剤層の層構成であることが好ましい。
前記低融点ポリマー層12は、常温では粘着性を示さず、ディスプレイストリップ10の最外面に存在することから、該低融点ポリマー層12を含む前記第1層11は、その内側に形成された粘着剤層14を被覆するマスク層としての役割をも有する。このようなマスク層を有することにより、本発明のディスプレイストリップ10は、加熱前には粘着性を示さず、商品袋をヒートシールする工程を容易に自動化することができる。
前記第1層11(低融点ポリマー層12と支持層13)には、溶融接着により結合された前記商品が封入された袋を取り外すときに、前記第1層11が確実に破壊して前記粘着剤層14が露出するように、前記商品が封入された袋が結合される部位の近傍にスリット17を設けることが好ましい。スリット17の間隔としては特に制限されるものではないが、ディスプレイストリップの大きさ、用途などに応じて、1〜10mmの間隔範囲で適宜選択されることが好ましい。
スリット17は、前記第1層11の領域を区画して、該スリット17の位置を境界として、ディスプレイストリップ10と商品袋の融着部である取り付け部を含む、所定領域の第1層11のみが確実に切り離される補助となりうるために設けるものであり、そのためには、スリット17は商品袋の長さ方向に対して、縦および/または横方向に直線的に入れられていることが好ましい。例えばジグザグ状の線で入れることも可能であるが、ジグザグ線の場合、該ジグザグの頂点から、スリット17以外の部位に裂け目が発生する可能性がある。
前記スリット17の形状としては、特に制限されるものではないが、連続線または破線とすることが簡便であり、取り付けられた商品袋に封入される商品重さとの関係で、適宜選択することができる。
なお第1層1に剥離層を設けた様態においては、スリットが前記剥離層まで侵入していても良いし、侵入していなくても良い。剥離層はその性質から非常に薄い層であって、かつスリットの有無で剥離性に影響はないからである。
前記粘着剤層14は、前記第1層11の内側の層に存在するものであり、常温で粘着性を示す粘着剤を含有する。前記粘着剤としては常温で粘着性を示すものであれば特に限定されないが、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤であることが好ましい。
前記基材層15としては特に限定されないが、多数の商品を取り付けて吊り下げる用途から充分な強度を有し、かつ、溶融接着時に溶融したり劣化したりしない耐熱性を有することが好ましく、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、金属箔、紙、不織布、織布又はこれらの積層物等が好適である。なかでも、前記二軸延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム若しくは紙に、織布が積層された積層物であることが好ましく、織布が2枚の二軸延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム間若しくは2枚の紙の間に挟持された構造を有する積層体であることがより好ましい。本発明のディスプレイストリップ10の機械的強度が極めて高くなるため、例えば、本発明のディスプレイストリップ10に吊り下げ用のホールパンチを形成し、該ホールパンチにフックを引っ掛けた場合であっても、ホールパンチ強度を高くすることができるため、前記ホールパンチ部分で破損が生じ難くなる。
前記織布の織り密度としては特に限定されないが、6〜20本/インチ程度が好適である。縦糸間又は横糸間に適当な間隔あれば、前記樹脂フィルムと積層したときに、樹脂フィルムを構成する樹脂の一部が織布の経糸・緯糸の空隙に侵入して一体化することにより、織布と樹脂フィルムとの接着性が向上する。
前記ポリオレフィン糸は、単独の樹脂からなるものであってもよいが、必要に応じて、高融点ポリマーと低融点ポリマーとを複合化した複合糸であってもよい。このような複合糸を用いれば、優れた機械的強度と樹脂フィルムとの接着性とを両立することができる。
ここでフラットヤーンとは、押出成形法等により成形されたフィルムを所定幅にスリット17した後、延伸処理及び熱処理を施すことにより形成された糸である。また、スプリットヤーンとは、フラットヤーンに更に割織処理を施した糸である。フラットヤーン及びスプリットヤーンは、極めて高い引張強度及び引裂強度を有することが知られている。
前記ポリオレフィン糸の繊度としては特に限定されず、通常使用される100〜5000d程度のものを用いることができる。
なお、ポリエステルフィルムと前記織布との接着性が低い場合には、ポリオレフィンフィルムを介してポリエステルフィルムと織布とを積層してもよい。
本発明のディスプレイストリップ10において、前記基材層15と粘着剤層14とは、ポリエチレンからなる中間層を介して積層されていることが好ましい。ポリエチレンは柔軟で引張伸度が高いことから、前記ポリエチレンからなる中間層を有することによりディスプレイストリップ10全体の強度やホールパンチ強度を向上させたりすることができる。
前記ポリエチレンからなる中間層は、基材層15と粘着剤層14との間にポリエチレンを押出成形しながら積層することにより行うことができる。なお、ポリエチレンの他、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーを用いてもよい。
本発明のディスプレイストリップ10の形態としては特に限定されず、例えば、テープ状、シート状等が挙げられる。
また、本発明のディスプレイストリップ10も、一般的なストリップバッグ展示として図1に示したディスプレイストリップSと同じく、フックのような固定具Hに吊るして展示することが多いので、本発明のディスプレイストリップ10の片端に、ディスプレイストリップ自体を吊り下げるための吊り下げ孔(ホールパンチ)が設けられていることが好ましい。
また、前記吊り下げ孔は本発明のディスプレイストリップ10の上端にのみ形成されていることが好ましい。ディスプレイストリップ10の下端にも吊り下げ孔が形成されていると、商店等において商品展示体を逆さまに吊り下げられることがある。
本発明のディスプレイストリップ10を作製する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。製造方法の具体的な一例は次のとおりである。
まず、低融点ポリマー層12と支持層13を積層し、第1層11を作成する。低融点ポリマー層12と支持層13との積層の方法としては、接着剤16を介して積層を行なうドライラミネートや、積層フィルム間にポリエチレンを10〜30μm程度の薄さで押出しながら積層を行なうサンドイッチラミネートを挙げることができる。積層に用いる接着剤16としては、ポリエーテル/ポリウレタンを主成分とする2液溶液型、芳香族ポリエーテル系、芳香族ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリウレタン系、脂肪族ポリエーテル系のポリマーを溶剤に溶かした接着剤、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタアクリレート共重合体、エチレーアクリレート共重合体等の熱溶融型の接着剤を用いることができる。
次いで、上記により形成した粘着剤層14の粘着力を利用して、前記第1層11と基材層15とを貼りあわせる。前記第1層11にスリット17を設ける場合には、この段階でトムソン刃またはレーザ加工にて設ける。このようにして本発明のディスプレイストリップ10を得ることができる。
本発明のディスプレイストリップ10に、商品が封入された商品袋Bを溶融接着にて取り付けられたものが本発明の商品展示体である。
本発明の商品展示体に取り付けられた商品袋Bの材料としては、一般的に包装用フィルムとして用いられるものが、いずれも使用できる。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)層/ポリエチレン(PE)層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの、透明蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/印刷層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの等の袋の表面が二軸延伸ポリマーであるものや、最外層にヒートシール可能なシーラント層を有するもの等が使用される。最外層にヒートシール可能なシーラント層を有するものとしては、例えば、米国においては、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層からなるものが用いられており、このような袋は本発明のディスプレイストリップ10に好適に取り付けることができる。
所定の数の商品袋をディスプレイストリップ10に溶融接着にて取り付けたところで、商品袋Bにおける取り付け部を軸に、ディスプレイストリップ10を上下反転させて、商品袋の表面がディスプレイストリップ10とは反対側になるようにする(図3b)。この状態でディスプレイストリップ10の片端をフック等に吊り下げて展示すれば、商品袋とディスプレイストリップ10との取り付け部は図3cのようになっていることから、取り付け部を下方向に引っ張れば、前記区画領域内における、前記第1層11のみが商品袋に付着した状態で、該取り付け部を含む領域を取り外すことができる商品展示体とすることができる。
11 第1層
12 低融点ポリマー層
13 支持層
14 粘着剤層
15 基材層
16 接着剤
17 スリット
Claims (7)
- 熱融着によって、その表面に商品袋を取り付けることのできるディスプレイストリップであって、
前記ディスプレイストリップは、低融点ポリマーを含む第1層、粘着剤層及び基材層を具備し、
前記第1層は、低融点ポリマー層と支持層とを含み、
前記低融点ポリマー層は、前記ディスプレイストリップの商品袋取り付け側の最外面に設けられ、
前記支持層は、前記低融点ポリマー層の内側に設けられ、
前記支持層のヤング率は、前記低融点ポリマー層のヤング率よりも高いことを特徴するディスプレイストリップ。 - 前記支持層が、延伸ポリマーフィルムまたは紙である、請求項1に記載のディスプレイストリップ。
- 前記延伸ポリマーフィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルムである請求項2に記載のディスプレイストリップ。
- 前記第1層が、低融点ポリマー層、支持層および前記支持層上に形成された剥離剤層を有している、請求項1に記載のディスプレイストリップ。
- 前記剥離剤層の剥離剤は、シリコーン系樹脂から構成されている、請求項4に記載のディスプレイストリップ。
- 前記低融点ポリマー層と前記支持層にスリットが形成されている、請求項1に記載のディスプレイストリップ。
- 請求項1に記載のディスプレイストリップに包装袋が取り付けられた商品展示体。
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