本発明の駆動方式は従来のAlGaAs系半導体発光素子等をパルス駆動させる場合とは状況が大きく異なる。すなわち、従来のAlGaAs系半導体発光素子では、駆動電流を増加させるにつれて波長が長くなる現象(レッドシフト現象)が生ずる。これらレッドシフト現象は、平均投入パワーに比例して発熱により発光素子の温度が上昇し、活性層のバンドギャップが縮小し、発光波長が長波長化(レッドシフト)するものである。すなわち、レッドシフト現象を有する素子では発光強度と発光波長の両方が発光素子に流される電流の平均電力で決定されるメカニズムを有しており、AlGaAs系半導体発光素子は、駆動電流パルスの波高値と平均電力の2つのパラメータで発光波長と発光出力を個々に独立に制御することは不可能である。
本発明ではInGaN量子井戸層を活性層として有するLED素子のように駆動電流値の増加に対して発光波長がブルーシフト(短波長化)する発光素子に対して、パルス駆動方式を適用することにより、発光出力と発光波長を所望の値に制御できることを発明した。これは、発光素子におけるブルーシフト現象が活性層における瞬間的なキャリア量に依存して決定されることに着目したものであり、パルス駆動電流の波高値を波長制御に、パルス駆動電流の平均電力を発光強度制御に用いる技術を提供するものである。従って、パルス駆動電流のパルス幅は発光素子の活性層におけるキャリアの再結合寿命と同等かそれより長い方が望ましい。なぜなら、パルス幅がキャリアの活性層における再結合寿命より短い場合には活性層での実効的なキャリア密度は、再結合寿命で積分された量となり、個々のパルスの波高値が直接、活性層のキャリア量とは異なるためである。一般に、InGaNのような材料を活性層に有するブルーシフト現象を伴う発光素子のキャリアの再結合寿命は0.2ns以上であり、駆動電流の個々のパルス幅も0.2ns以上より望ましくは1ns以上であることが望ましい形態と言える。
また、上述のようなブルーシフトとして問題となるのは、多くの場合目視に対する色調の変化であり、発光強度の階調表示を単に電流量のみの変化で強度変調すた場合に、その最小電流値以上最大電流値以下の範囲内において最も発光波長が長い時の波長λ1と電流値I1と、最も発光波長が短い時の波長λ2と電流値I2とした場合に、λ1−λ2≧6nm、かつI1<I2なるLED素子を駆動する場合が本発明の対象範囲である。例えば、直流電流で駆動した場合の0.1mA駆動時と30mA駆動時の発光波長差が6nm以上ある場合には本発明の効果を発揮することができる。また、逆に、波長のシフトを一定に制御する指針としては、波長シフトが6nmより小さい範囲内に収まるように回路構成を選択することが肝要である。
(実施の形態1)
本実施の形態1を構成するLED装置を図1に示す。本実施の形態1のLED装置は、強度信号pと色信号cに基づいてLED駆動電流Rを出力するLED点灯回路1と、発光色が駆動電流値によって変化するLED素子104とから構成される。LED点灯回路1は、入力される色信号cを電流値信号iに変換して出力する色信号−電流値信号変換部102と、強度信号pと電流値信号iとから、デューティDを指示するデューティ信号dを演算して出力する演算処理部101と、上記電流値信号iとデューティ信号dの指示に応じて、それぞれ、電流値I、デューティDの方形波パルス電流RをLED駆動電流として出力する方形波パルス発生部103とから構成される。
図2は、本実施の形態のLED素子104の構造を示した断面断面図である。本LED素子104は、サファイア基板201上に、GaNバッファ層(図示せず)と、n型のGaN層202、In0.2Ga0.8N活性層203、p型Al0.1Ga0.9N蒸発防止層204、p型Al0.1Ga0.9N上部蒸発防止層205、p型GaNコンタクト層206を順次積層されている。次に反応性イオンビームエッチング(RIBE)によってn型のGaN層202が露出するまでドライエッチングする。次にp型コンタクト層206上の一部にニッケル(Ni)膜207をパターン形成する。更にNi膜207上に金(Au)電極パッド208を形成し、次にn型GaN層202の露出した表面の一部にチタン(Ti)膜、更にその上にアルミ(Al)膜で構成されたn電極209を形成する。
上記LED素子104は次のような工程で作製される。まず、MOCVD装置を用いてH2雰囲気中でサファイア基板201を1050℃で加熱し、サファイア基板の表面処理を行う。その後、基板温度を500℃まで下げ、GaNバッファ層(図示せず)を形成する。このとき、バッファ層の層厚は250Åとする。次に基板温度を1020℃まで上げてn型GaN層202を4μm程度成長させる。次に基板温度を720℃に下げ、ノンドープ又はSiドープIn0.2Ga0.8N活性層203を約30Åの膜厚で成長させる。次に基板温度をノンドープ又はSiドープIn0.2Ga0.8N活性層の成長温度と同じ720℃でp型Al0.1Ga0.9N蒸発防止層204を100Å成長する。次に基板温度を900℃に上げ、p型Al0.1Ga0.9N上部蒸発防止層205を100Å成長する。p型Al0.1Ga0.9N蒸発防止層204の成長温度はノンドープ又はSiドープIn0.2Ga0.8N活性層の成長温度と同一温度が望ましいが、実質的に同一であればよく、プラスマイナス50度程度は許容される。その後基板温度を1000℃としてp型GaNコンタクト層206を3000Å成長する。その後、n電極209を形成するため、レジストを塗付してフォトリソグラフィによりパターニングを行い、成長した半導体層の一部をドライエッチングにより除去してn型のGaN層202を露出させ、露出したn型のGaN層202の表面の一部にn電極209を形成する。次に、レジストを除去してフォトリソグラフィによりパターニングを行い、p型電極コンタクト層206上の一部にニッケル(Ni)金属膜207を30〜100Åの膜厚で蒸着する。また導電膜を形成したときと同様の手順で、導電膜上の一部に金(Au)パッド電極208を4000Åの厚さで形成する。
図3は、本実施の形態のLED素子104を直流駆動した場合の駆動電流値とその時の発光波長の関係を示す図である。ここで、発光波長とは、次のように定義している。図4に図示すように、LED素子104の発光波長スペクトルは単一のピークをもち、また、発光波長半値幅が30nm程度である色純度の良好な発光特性を示している。本実施の形態のLED素子104においては、発光色を、発光波長スペクトルのピーク波長をもって代表させることができ、本明細書ではこれを、発光波長と表現した。以下では、簡単のために、発光波長を発光色のパラメータとして用いることにする。図3において、素子1では、駆動電流が0.1mAのとき発光波長508nm(緑色)、駆動電流が1mAのとき発光波長494nm(青緑色)、駆動電流が10mAのとき発光波長481nm(青色)と、駆動電流を増加させるにつれて波長が短波長にシフトするブルーシフト現象が観測されている。すなわち、0.1mA駆動時に比べて10mA駆動時では20nm以上の短波長化が生じている。このように、20nm程度以上の短波長化は目視で観測する場合に異なる色として観測される。一般に、目視での観測において色を同一に保つためには、可視光のいずれの波長域のLED素子であっても電流値変化に対する波長の変化を6nmより小さく抑制することが必要である。
図5は、本実施の形態のLED素子104をパルス駆動した場合の発光出力特性を示す図である。横軸は、方形波パルス電流RのデューティDと、電流値Iとの積D×I(単位mA)とし、縦軸を発光出力P(単位μW)とした。本明細書では、パルスとは周期的なパルスのことを表わしており、これを図6に示している。図6を参照して、電流値Iとはパルスの電流値(波高値)であり、デューティDは、パルスの周期T1とパルス幅T2とからD=T2/T1で定義される。よって、デューティDと、電流値Iとの積D×Iは、LED素子に注入される電流の時間平均値(平均電流)である。本実施の形態では、本発明の原理をわかりやすく説明するために、発光出力が電流値にほぼ比例するような電流領域における駆動を想定している。このとき、LED素子に注入される平均電流に比例してLED素子の発光出力(時間平均とする)が得られ、図5のグラフのように直線で表わされる特性となっている。つまり、発光出力PはほぼP∝D×Iと考えることができる。ここで、LED素子を人が観察したときにちらつきを感じないことが望ましいことから、周期T1は30ms以下であればよく、特に10ms以下とすることが望ましい。またパルス幅T2は発光素子の活性層におけるキャリアの再結合寿命と同等かそれより長いほうが望ましく、InGaN活性層を有する発光素子ではパルス幅は0.2ns以上、より好ましくは1ns以上に設定される。
以下に、図1ないし図6を参照して、本実施の形態のLED装置の動作の詳細を説明する。ここでは、図3および図5に素子1として記載されているLED素子を発光波長490nm(青緑色)、発光出力100μWで発光させる場合を例にとって説明する。このように、発光強度のパラメタとしては、発光出力を用いた。このとき、LED点灯回路1には、外部より、LEDの発光波長が490nmであることを指示する色信号c=c490と、LEDの発光出力が100μWであることを指示する強度信号p=p100が入力される。
次に、本実施形態装置の動作について説明する。先ず、外部から色信号cが色信号−電流値信号変換部102に入力されると、ここでは、図3(素子1)に示される駆動電流値対発光波長特性にしたがって、色信号cから電流値信号iへの変換が行われる。本例の色信号c=c490が入力された場合、図3(素子1)の駆動電流値対発光波長特性によれば発光波長490nmに対応する電流値は2mAであり、方形波パルス発生部103の出力すべきパルスの電流値Iが2mAであることを指示する電流値信号i=i2を発生し、演算処理部101と方形波パルス発生部103に送る。
次に、演算処理部101では、強度信号pと上記電流値信号iが入力されるので、図5(素子1)に示されるような電流値IとデューティDの積対発光出力特性の関係から、デューティDが演算される。ここで強度信号としてp100、電流値信号としては上記i2が与えられており、図5(素子1)よりP=100μWに対応する電流値IとデューティDの積D×Iは1mAであり、また、電流値信号の指示する電流値は2mAであることから、D=0.5が算出される。これにより、方形波パルス発生部103の出力すべきパルスのデューティDが0.5であることを指示するデューティ信号d=d0.5を発生し、方形波パルス発生部103に送る。
方形波パルス発生部103では、色信号−電流値信号変換部102から送られてきた電流値信号i=i2と演算処理部101から送られてきたデューティ信号d=d0.5に従って、電流I=2mA、デューティD=0.5のパルス電流Rを発生し、出力する。このパルス電流RによりLED素子104が駆動され発光する。以上のような、手順を踏むことにより、駆動電流値に対して発光波長依存性のあるLED素子を用いても、指示された発光波長と発光出力で発光させることができた。
次に、図3および図5において、素子2として記載されているLED素子を上記と同一の発光出力100μW、発光波長490nmで発光させる場合について説明する。図3に示される駆動電流値対発光波長特性のように、素子2では素子1との特性のばらつきのため、各電流値における発光波長が約6nm程度長波長側にシフトしている。また、図5に示されるように、電流値IとデューティDの積対発光出力特性の関係も、素子1の場合と異なり、低出力側にシフトしている。
色信号c=c490が色信号−電流値信号変換部102に入力され、図3(素子2)の駆動電流値対発光波長特性図から発光波長490nmに対応した電流値5mAを指示する電流値信号i=i5を発生し、演算処理部101とパルス発生部103に転送される。
演算処理部101では、強度信号pとしてp100、電流値信号としては上記i5が与えられており、図5(素子2)の電流値IとデューティDの積対発光出力特性の関係からP=100μWに対応する電流値IとデューティDの積D×Iは3であり、また、電流値信号の指示する電流値は5mAであることから、D=0.6が算出される。これにより、パルス発生部103の出力すべきパルスのデューティDが0.6であることを指示するデューティ信号d=d0.6を発生し、パルス発生部103に送る。
パルス発生部103では、色信号−電流値信号変換部102から送られてきた電流値信号i=i5と演算処理部101から送られてきたデューティ信号d=d0.6に従って、電流値5mA、デューティ0.6のパルス電流Rを発生し、出力する。このパルス電流RによりLED素子104が駆動され、上記指定の発光出力と発光波長で発光した。
このように、本発明の駆動方法を取ることで、複数の特性のバラツキのある電流値により発光波長の変化するLED素子においても同一波長、同一出力で駆動することができた。駆動電流値により発光波長の変化するLED素子においては、所定の電流値でLED素子を駆動すると、発光波長がそれぞれ特性のバラツキにより異なる、すなわち、色調が異なるという問題が生じていたが、本発明により、この問題が解決された。つまり、演算処理部101には、図5に示す電流値Iと、デューティDの積対発光出力の関係をテーブル形式や関数として記録させておけば良く、また、色信号−電流値信号変換部102には、図3に示す各々駆動したい素子に対応した電流値対発光波長のデータをテーブル形式や関数として記録させておけばよい。
なお、上述の実施の形態としてパルス波形は方形波としたが、パルス発生部で発生するパルス波形は方形波以外、三角波等その形状は問題とならず、どのような形態であっても良い。また、パルス波の発生形態としては以下に記述するような方法も適用可能であった。周期を一定として、パルスの幅を変化させてデューティを変化させた場合。パルスの幅を一定として、周期を変化させてデューティを変化させた場合。ある一定時間内のパルス数を変化させデューティを変化させた場合。更に、図18(a)に示すようにパルスが一定周期の前半側に集中したもの、(b)のようにパルスが一定周期の後半側に集中したもの、(c)のように一定周期の全体に広がって発生したような場合も考えられる。すなわち、駆動電流の平均電力が一定となるように、個々のパルスの形や幅、個数等は回路構成での容易な方法に従い、任意に選択することができる。以上のようにパルスの発生形態には様々なバリエーションがあるが、これ以外の発生形態であっても本発明において何ら問題とならず適応可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1(素子1)において、LED点灯回路に指示する発光強度の指示を、50μW、100μW、200μWと時間的に変化させ、かつ、発光波長の指示を実施の形態1と同じ490nmと一定にした場合について説明する。この場合、色信号cはc=c490で一定であり、強度信号pがそれぞれ指示された発光強度に応じて、p=p50、p100、p200と変化し入力されるものとする。
色信号cはc=c490で一定であるから、色信号−電流値信号変換部102の出力する電流値信号iは実施の形態1と同じであり、i=i2である。
演算処理部101の出力するデューティ信号dは、実施の形態1と同じ手順にしたがって演算され、強度信号pは、p=p50、p100、p200と変化するにしたがって、結果が、D=0.25、0.5、1となるから、それぞれの指示するデューティ信号d=d0.25、d0.5、d1を順次パルス発生部103におくる。
これにより、実施の形態1と同様の手順により、外部より入力された、上述の時間変化する発光強度および一定の発光波長である指示通りに、LED素子104が発光した。(但し、この場合200μW以上は出せない。)本実施の形態においては、駆動電流値によって発光波長(色調)の異なるLED素子を用いたにもかかわらず、発光波長(色調)を指定された一定に保持したまま、発光強度のみを変化させることができた。
このような駆動方法は、他の発光色のLED素子と同時に点灯して色調を表現するような表示装置に応用すれば、色ずれを抑制することができ、また、LED素子により蛍光体を励起発光させるような表示装置に応用すれば、励起波長ずれによる発光効率の低下や、色調ずれを防止することができ、効果が非常に高い。ここで説明に用いた素子とは、特性の異なるLED素子を(特性にバラツキのある素子)を用いても実施の形態1に示したのと同様の方法、理由により、所定の発光色で発光強度のみを変化させることができた。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1におけるLED点灯回路を簡略化した形を示す。この場合のLED点灯回路は図7に示すように、方形波パルス発生部103aのみから構成されており、LED点灯回路の外部から与えられる信号も強度信号pのみである。方形波パルス発生部103aでは、光出力に対応する強度信号pの値に基づいて、LED素子104に流す電流パルスのデューティーのみを変化させ、電流波高値はあらかじめ設定したほぼ一定の値とした。ここで波高値がほぼ一定と見なせる範囲としては、当該回路の接続されたLED素子の波長変化(ブルーシフト)が6nm以下の範囲に収まるように制御されていれば、多少の電流波高値の異なりは問題とはならず、ここで言う“一定”の範疇に包含されている。この場合の電流波高値の設定電流をLED素子の信頼性が確保できる範囲の最大値に設定することで、表示の発光強度のダイナミックレンジを最大とできるので最も望ましい。具体的には、この場合のパルス波高値として10mA以上300mA以下に設定することが望ましい。
このような簡易の点灯回路の構成であっても、接続されたLED素子から発光される光の波長を観測した所、パルスデューティーが0.2%から100%まで変化させ、その時の光出力と波長を観測した結果、0.1mW〜50mWまでの光出力変化がみられたが、この範囲内での発光波長の変化は472nmから468nmへの4nm程度の変化であり、色変化として目に感じられる6nmを下回っていた。よって、色信号cを用いる実施の形態1のような演算処理部101や色信号−電流値信号変換部102による色制御を実施しない場合においても、LED素子104に印加される駆動パルスの電流波形が接続されたLED素子104の波長変化(ブルーシフト)が6nmの範囲内となるようにパルス波高値をほぼ一定に制御し、パルスデューティーを主として変化させて光出力を制御する方法を採用することで、LED素子104のブルーシフトに基づくLED素子の色変化を顕著に抑制することができ、実用上、色変化が感知できない範囲にまで改善できた。
この場合のあらかじめ駆動回路で設定される電流値としては、LED素子の信頼性に支障の無い範囲で最大の電流パルス波高値と設定することにより、光出力のダイナミックレンジを最も大きくすることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1(素子1)において、LED点灯回路に指示する発光波長の指示を、475nm(青色)、485nm(青〜青緑色)、494nm(青緑〜緑色)と時間的に変化させ、かつ、発光強度の指示を60μW一定にした場合について説明する。この場合、強度信号pは、p=p60で一定であり、色信号cがそれぞれ指示された発光強度に応じてc=c475、c485、c494と変化し入力されるものとする。
色信号−電流値信号変換部102の出力する電流信号は、実施の形態1と同様に素子1の場合は図3に従って変換されて、色信号c=c475、c485、c494に対して、それぞれ電流値30mA、4mA、1mAを指示する電流値信号i=i30、i4、i1を出力する。
演算処理部の出力するデューティ信号は、実施の形態1と同じ手順にしたがって演算され、i=i30、i4、i1と変化するにしたがって、結果が、D=0.02、0.15、0.6となるから、それぞれの指示するデューティ信号d=d0.02、d0.15、d0.6をパルス発生部103におくる。
これにより、実施の形態1と同様の手順により、外部より入力された、上述の時間変化する発光波長および一定の発光強度である指示通りに、LED素子104が発光した。
本発明の駆動方法を用いると一つのLED素子で光強度を変えず、発光色を変化させることができた。このように、本実施の形態の方法にしたがって発光色を変化させる場合には、電流値を10倍以上変化させることが色調の変化のためには望ましく、特に、20倍以上変化させることが望ましかった。
このような駆動方法は、表示装置に応用すれば、単一のLED素子で光強度を変えずに発光波長を変化させるので、視覚効果の高い表示装置を簡単な構成で実現できる。LED点灯回路に入力する色信号を連続的に変化させて、発光色を連続的に変化させるようなことも、容易にできる。
また実施の形態2、3を組み合わせることにより、素子1において、490nmで200μW、475nmで60μWと任意の異なる発光波長で、異なる発光強度で発光させることも可能となる。
以上、実施の形態1から4においては、原理の説明をわかりやすくするために、電流値と発光出力との関係が比例関係をもったLED素子として、動作を説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。実際のLED素子では比例関係を持っていない場合も多いのである。図8はこのようなLED素子の電流値対発光出力(瞬間値)特性を示す図であり、比例関係にないことから、グラフが曲線になっている。このような、LED素子について、図5のようなD×I対発光出力特性のグラフを描こうとすると、グラフを一本の線で描くことができずに、電流値Iの値ごとに異なるラインを描かなければならない。
図8に示される素子の場合で、実施の形態1と同条件の発光波長490nm、発光出力100μWで光らせようとした場合を実施の形態1と同様に考える。ただし、この素子の電流値対発光波長特性は図3(素子1)と同じとする。色信号c=c490が色信号−電流値信号変換部102に転送され、実施の形態1と同じく電流値信号i=i2(電流値2mAを指示)を出力する。図8によれば、電流値2mAのとき、300μW(瞬間値)の光を出力するから、演算処理部101では、100μW/300μW=1/3のデューティDを演算し、これに応じたデューティ信号dを出力すべきである。ここで基本的には、デューティDと発光出力Pとの間に比例関係があると考えたが、LED素子の放熱が十分でない場合には、デューティDと、電流値Iとの積D×Iの値が大きくなると発熱により発光効率が低下するので必ずしも成り立つものではない。要は、発光出力Pが、デューティDと電流値Iを変数とする関数(あるいは、DはPとIを変数とする関数)であり、これは、あらかじめLED素子の特性を測定することにより得ることができ、演算処理部は、LED素子に応じてこの関数を計算し所要のデューティ信号dを出力するものとすればよい。あるいは発光出力Pと、デューティDと電流値Iの関係をテーブルとして記録しておいてもよい。この様に、本発明の駆動方法は、電流値対光強度特性が線形でない素子に対しても駆動することができるものである。
また、実施の形態1ないし4においては、実施の形態1の中で説明したように、発光スペクトルのピーク値をパラメタとして発光色を表現してきた。これは、単に説明の簡単化のために用いたものであり、実施の形態1から4で説明した本発明の本質に係わるものではない。例えば、CIE標準色度図の座標等を用いて表現しても、発明の本質が変化するものではない。
またさらに、実施の形態1ないし4においては、簡単のために、LED素子の発光強度を発光出力(単位W)を用いて表わしてきたが、他のパラメタを用いてもよい。特に、輝度(単位cd/m2)、光度(単位cd)、光度パワー(単位lm)のように、視感度を考慮したパラメタを用いれば、実施の形態4の場合のように、光強度を一定にして波長のみを変化させるような駆動を行う場合、波長が変化することによる見ための明るさの変化がなくなり、好都合である。ただし、この場合、図5において、発光波長すなわち電流値Iにより、光強度が変化するので、デューティDと、電流値Iとの積D×I対発光出力(パワー)の関係を一本の直線で表現することは不可能になる。しかしながら、上述のごとく本発明の駆動方法は、電流値対発光出力特性が線形でない素子に対しても駆動することができるものであり、このような変更は、演算処理部に保持する発光出力PとデューティDと電流値Iとの関係を、実施の形態1ないし4の場合とは発光出力Pの単位を変えて保持すれば実現でき、実施の形態1から4で説明した本発明の本質に係わるものではない。
また、実施の形態1ないし4においては、特定のLED素子(素子1、素子2)を用いて説明したが、これは、電流増加につれて波長が短くなる(駆動回路で設定される最小駆動電流と最大駆動電流での波長差が6nm以上のブルーシフトを生ずる)全てのLED素子を対象とすることができる。例えば、図2に示したLED素子とほとんど同じ構成で、InGaN活性層の組成を変更することで、電流値を0.1mAから100mAまで変えたときに、発光波長が590nmから530nmまで変化するものを作製することができた。さらに、導電性(望ましくはn型)GaN基板上に作製されたInGaN活性層やInGaAlN活性層を有するLED素子もこの対象であることは言うまでもない。このようなLED素子を用いたときには、実施の形態1ないし4と同様の構成にて、橙〜黄〜黄緑〜緑色の内の所定の発光色と発光強度で発光するLED素子を実現できた。
(実施の形態5)
図9は本実施の形態のLEDランプを示す図である。本実施の形態のLEDランプは、駆動電流値により発光色が変化するLED素子801と、その前面に設けられた蛍光体802とから構成される。LED素子801の発光出力と蛍光体802の発光出力が混合されて出力される。ここで、LED素子801は実施の形態1に示されたものと同じである。
以下に、本実施の形態のLEDランプの動作について説明する。図10は、蛍光体802が460nmで励起されたときの励起スペクトルおよび発光スペクトルを示した図である。本実施の形態に使用される蛍光体の励起スペクトルのピークは、460nm程度にあり、この波長の光を照射されたときに、最も効率よく発光スペクトルに示される蛍光を生じることが示されている。本例では発光のピークは630nmであり、赤色の発光を示している。このような特性の蛍光体として、例えばYAG系蛍光体がある。
このような蛍光体802に図3(素子1)に示される電流値対発光波長特性をもつLED素子で励起することを考える。素子1は、駆動電流値が0.1〜2〜30mAと変化するに従って、発光波長が、508(緑色)〜490(青緑色)〜474nm(青色)と変化する。図11はCIE標準色度図であり、図中の素子1と示したラインが0.1〜2〜30mAのように電流値を変化させたときの素子1の発光色の軌跡を示している。また、図11の蛍光体と記した点は、図10に示される蛍光体の発光スペクトルにより求められた蛍光体の発光色を示す点である。ここで、図10に示される蛍光体の励起スペクトルによれば、素子1の発光波長が508nmのときは素子1の駆動電流が小さいので発光出力が小さく、かつ励起スペクトルの端にあるため、蛍光体はほとんど励起されない。しかし、素子1の発光波長が474nmのときは駆動電流が大きく発光出力が大きくなり、かつ励起スペクトルのピーク付近にあるため、強く励起され発光することになる。このように、素子1の発光波長が短波長になるにしたがって、蛍光体は強く励起される。
例えば、本実施の形態のLEDランプにおいて、LED素子801を0.1mAで駆動したとき、LED素子801が発光して508nmの出力が得られるが、蛍光体はほとんど励起されないので、LEDランプはほぼLED素子801の発光のみが出力されて緑色になる。LED素子801を30mAで駆動したとき、LED素子の発光(青色474nm)と、このLED素子の発光によって励起される蛍光体802の発光(赤色630nm)とが混合するので、赤紫色になる。また、LED素子801を2mAで駆動したときには、490nm(青緑色)の発光波長が得られるが、発光出力はそれほど強くなく、かつ励起スペクトルの端近くにあるため蛍光体802の発光はそれほど強くなく、LED素子801の発光(青緑色490nm)と混合されて、白色になる。電流値を0.1〜2〜30mAと変化させたときの、このような、LEDランプ発光色のCIE標準色度座標における軌跡は、図11で「実施の形態4のLEDランプ」と記入されたラインのようになる。このように、本実施の形態のLEDランプは、電流値を0.1〜2〜30mAと変化させたとき、緑〜白〜赤紫色と順に変化する。
このように、本実施の形態によれば、電流値により発光色が変化するLED素子と蛍光体とを組み合わせることにより、電流値による発光色の変化を単にLED素子のみを用いただけでは実現できないLEDランプを得ることができた。ここでは、蛍光体として、図10に示す特定のものを用いて説明したが、蛍光体の種類は多岐にわたるので、適宜LED素子と蛍光体との組み合わせを設定することで電流値による発光色の変化をバリエーションを極めて豊かにすることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態のLEDランプは、図9と同様に、駆動電流値により発光色が変化するLED素子801と、その前面に設けられた蛍光体802とから構成される。LED素子801の発光出力と蛍光体802の発光出力が混合されて出力される。以下に、本実施の形態のLEDランプの動作について説明する。
また、図14は、本実施の形態の蛍光体の励起および発光スペクトルを示した図である。本図の範囲で、励起スペクトルのピークは、430nm程度にあり、この波長の光を照射されたときに、最も効率よく発光スペクトルに示される蛍光を生じることが示されている。本例では発光のピークは650nmであり、赤色の発光を示している。このような、励起および発光スペクトルは、6MgO・As2O5:Mn4+系の蛍光体材料により実現できる。図13において、蛍光体と記してある点(u、v)=(0.55、0.31)が、本蛍光体の発光色を示している。
ここで、図14に示される蛍光体の励起スペクトルによれば、素子3の発光波長が450nm(0.1mA)のときはLED素子の発光出力が小さく、蛍光体はほとんど励起されない。しかし素子3の発光波長が415nm(30mA)と短波長になるにしたがって、LED素子の発光出力が強くなるとともに蛍光体の励起スペクトルのピーク付近にあるため、強く励起され発光することになる。したがって、LEDランプから発する光は、LED素子を0.1mAで駆動したとき、ほぼLED素子の発光が優勢で青色になり、LED素子を30mAで駆動したとき、蛍光体の発光(赤色660nm)とLED素子の発光(青紫色415nm)とが混合するが、LED素子の発光色について視感度が低いため、蛍光体の発光(赤色660nm)が優勢に感じられ、赤色になる。また、素子3を2mAで駆動したときには、素子3の発光波長は青色430nmであり、LED素子の発光出力がそれほど強いとともに、蛍光体の発光もそれほど強くなく、LED素子の発光(青色430nm)と混合されて紫色になる。
このように、電流値を0.1〜2〜30mAと変化させたときの、LEDランプの発光色のUCS色度図における軌跡は、図13で「LEDランプ」と記入されたラインのようになる。このとき、LEDランプの色調は(u、v)=(0.25、0.1)〜(0.53、0.28)程度まで変化しており、座標間の距離(色差)は、0.33程度である。このように、電流値を変調したとき、本実施の形態に用いられたLED素子よりも、本実施のLEDランプは大きく色調を変化させる。これは、蛍光体として、LED素子の発光波長の変化にしたがって、大きく(2倍以上、好ましくは5倍以上)励起効率を変えるような蛍光体を選定したことにもとづく。
このように、本実施の形態によれば、電流値により発光色が変化するLED素子と、LED素子の発光波長の変化にしたがって、大きく励起効率を変えるような蛍光体を選定したことにもとづく蛍光体とを組み合わせることにより、電流値によるLED素子の発光色の変化よりも大きい変化が得られるLEDランプが得られた。
(実施の形態7)
上記実施の形態5で示したLEDランプを上記実施の形態1で説明したLED点灯回路により駆動した場合に関して説明する。LED点灯回路の基本構成は図1に示した回路と同じであるが、改めて図17に示している。異なる点はLED素子164が実施の形態5に示したように、蛍光体をLED素子の前面に持つLEDランプである点である。また、この図17の場合、LED点灯回路16には、外部よりLEDランプの発光強度を指示する輝度信号kとLED発光色を指示する色度信号uとが入力され、LED素子164を駆動する、電流値I、デューティDのパルス電流Rを出力する。上記LED点灯回路16は、入力される色度信号uを電流値信号iに変換して出力する、色度信号−電流値信号変換部162と、輝度信号kと、電流値Iを指示する電流値信号iとから、デューティDを指示するデューティ信号dを演算して出力する演算処理部161と、入力される電流値信号iとデューティ信号dの指示に応じて、それぞれ、電流値I、デューティDのパルス電流をLED駆動電流として出力するパルス発生部163とから構成される。
図16は、本実施の形態のLED素子164の駆動電流対色度(u値)特性を示す図である。ここで、u値とは、次のように定義している。実施の形態1において図4を用いて述べた発光波長スペクトルのピーク波長から求めた値からUSC色度図でu軸の値を算出し、その値をu値としている。従って、以下では、簡単のために、u値を発光色のパラメタとして用いることにする。
ここで、図10に示される蛍光体の励起スペクトルによれば、励起波長が508nm(0.1mA)のときはほとんど蛍光体は励起されず、474nm(30mA)と短波長になるにしたがって、強く励起され発光することになる。したがって、LED装置から発する光は、LED素子を0.1mAで駆動したとき、ほぼLED素子の発光が優勢で青色になり、LED素子を30mAで駆動したとき、蛍光体の発光(赤色660nm)とLED素子の発光(青紫色415nm)とが混合するが、LEDの発光色について視感度が低いため、蛍光体の発光(赤色660nm)が優勢に感じられ、赤色になる。また、2mAで駆動したときには、蛍光の発光はそれほど強くなくLED素子の発光(青色430nm)と混合されて、紫色になる。電流値を0.1〜2〜30mAと変化させたときの、このような、LEDランプ発光色のUCS色度図における軌跡は、図13で「LEDランプ」と記入されたラインのようになる。
よって電流値とu値の関係をグラフに示すと図16のようになる。ここで図16において、駆動電流が0.1mAのときu値=u0.25、駆動電流が1mAのときu値=u0.37、駆動電流が10mAのときu値=u0.475と、駆動電流により変化していることがわかる。
さらに、図15は、本実施の形態のLEDランプの輝度特性を示す図である。横軸は、方形波パルス電流Rの電流値Iとし、縦軸を輝度(単位mcd)とした。各デューティDの値に対して特性を示す曲線を描いた。すなわち、本図は本実施の形態のLEDランプの輝度L、電流値Iの関係を示す図である。なお、本発明に用いるパルス周期T2は特に規定しないが、発光を観察したときにちらつきを感じないことが望ましいことから、周期T2は、30ms以下であればよく、特に、10ms以下とすることが望ましい。
以下に、図14、15、16、17を参照して、本実施の形態のLED装置・LED点灯回路の動作の詳細を説明する。ここでは、図15および図14に記載されているLED素子をu値=u0.37、発光強度100mcdで発光させる場合を例にとって説明する。このように、発光強度のパラメタとしては、輝度を用いた。このとき、LED点灯回路16には、外部より、色度信号u=u0.37と、LEDの輝度が100mcdであることを指示する輝度信号k=k100が入力される。
先ず、外部から色度信号uが色度信号−電流値信号変換部162に入力される。ここでは、図16に示される駆動電流対色度特性にしたがって、色度信号uから電流値信号iへの変換が行われる。本例の色信号が入力されたとすると、図16の電流値対色度特性によれば色度信号0.37に対応する電流値は1mAという事になり、パルス発生部163の出力すべきパルスの電流値Iが1mAであることを指示する電流値信号i=i1を発生し、演算処理部161とパルス発生部163に送る。
次に、演算処理部161には、輝度信号kと上記電流値信号iが入力される。演算処理部161では、図15に示されるようなLEDランプの輝度特性の関係から、デューティDが演算される。ここで輝度としてk100、電流値信号としては上記i1が与えられており、図15よりk=100μWに対応するデューティDはIは0.5でありD=0.5が算出される。これにより、パルス発生部163の出力すべきパルスのデューティDが0.5であることを指示するデューティ信号d=d0.5を発生し、パルス発生部163に送る。
それから、パルス発生部163では、色度信号−電流値信号変換部162から送られてきた電流値信号i=i1と演算処理部161から送られてきたデューティ信号d=d0.5に従って、電流値1mA、デューティ0.5のパルス電流Rを発生し、出力する。このパルス電流RによりLED素子164が駆動され、発光する。以上のような、手順を踏むことにより、駆動電流値に対して色度特性のu値依存性のあるLED素子を用いても、指示された輝度とUSC色度図のu値で発光させることができた。
次に、図15および16において、説明に用いた素子と異なる素子(特性にバラツキのある素子)に対しても、実施の形態1で説明したように、同様の理由から所定の輝度と色度で発光させることが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7において、LED点灯回路に指示する輝度の指示を、10、40、100mcdと時間的に変化させ、かつ、色度特性のu値の指示を実施の形態7と同じ0.37と一定にした場合について説明する。
この場合、色度信号uはu=u0.37で一定であり、輝度信号kがそれぞれ指示された発光強度に応じて、k=k10、k40、k100と変化し入力されるものとする。
色度信号−電流値信号変換部162の出力する電流信号は実施の形態6と同じであり、i=i1である。
演算処理部161の出力するデューティ信号は、実施の形態6と同じ手順にしたがって演算され、k=k10、k40、k100と変化するにしたがって、結果が、D=0.02、0.1、0.42となるから、それぞれの指示するデューティ信号d=d0.02、d0.1、d0.42をパルス発生部163におくる。
これにより、実施の形態6と同様の手順により、外部より入力された、上述の、時間変化する輝度および一定の色度特性(u値)を指示通りに、LED素子164を駆動した。(但し、この場合180mcd以上は出せない。)本実施の形態においては、駆動電流値によって発光波長(色調)の異なるLED素子を用いたにもかかわらず、発光波長(色調)を指定された一定に保持したまま、発光強度のみを変化させることができた。ここで説明に用いた素子とは、特性の異なるLED素子を(特性にバラツキのある素子)を用いても実施の形態1に示したのと同様の方法、理由により、所定の発光色で発光強度のみを変化させることができた。
このような駆動方法は、他の発光色のLED素子と同時に点灯して色調を表現するような表示装置に応用すれば、色ずれを抑制することができ効果が非常に高い。
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態7において、LED点灯回路に指示する色度特性のu値の指示を、0.25、0.37、0.51と時間的に変化させ、かつ、輝度の指示を40mcd一定にした場合について説明する。
この場合、輝度信号は、k=k60で一定であり、色度信号uがそれぞれ指示された発光に応じてu=u0.25、u0.37、u0.51と変化し入力されるものとする。
色度信号−電流値信号変換部162の出力する電流信号は、実施の形態7と同様に図16に従って変換されて、色度信号u=u0.25、u0.37、u0.51に対して、それぞれ電流値0.01mA、1mA、20mAを指示する電流値信号i=i0.01、i1、i20を出力する。
演算処理部161の出力するデューティ信号は、実施の形態7と同じ手順にしたがって演算され、i=i0.01、i1、i20と変化するにしたがって、結果が、D=1、0.22、0.1となるから、それぞれの指示するデューティ信号d=d1、d0.22、d0.1をパルス発生部163におくる。
これにより、実施の形態6と同様の手順により、外部より入力された、上述の、時間変化するu値および一定の輝度である指示通りに、LED素子164が発光した。
本発明の駆動方法を用いると一つのLED素子で輝度を変えず、発光色を変化させることができた。このように、本実施の形態の方法にしたがって発光色を変化させる場合には、電流値を10倍以上変化させることが色調の変化のためには望ましく、特に、20倍以上変化させることが望ましかった。
このような駆動方法は、表示装置に応用すれば、単一のLEDランプで輝度を変えずに色度特性のu値を変化させるので、人間の目にはどの波長の光も同じ明るさで感じられ、視覚効果の高い表示装置を簡単な構成で実現できる。LED点灯回路に入力する色信号を連続的に変化させて、発光色を連続的に変化させるようなことも、容易にできる。
また、本実施例では、蛍光体を励起して発光するLED素子を用い、更に実施の形態1で説明したLED駆動回路および駆動方法により1つのLED素子で、電流値を変化させることにより、輝度を変化させること無く、青色〜赤色まで発光が実現できた。これまでの素子では得られない程大きな発光色の変化である。
実施の形態1〜9において、LED素子の駆動電流を周期的なパルスの場合で説明したが、発光を観察したときちらつきを感じないことが望ましいため、駆動電流の基本周期は30ms以下であれば良く、特に10ns以下とすることが望ましい。また、個々のパルスの幅は前述のように0.2ns以上、より望ましくは1ns以上とすることで活性層中でのキャリア濃度を確実に制御することが可能となる。
また、実施の形態1〜9において、電流値を一定として、デューティを変化させる、もしくはデューティを一定として電流値を変化させ発光強度と波長を変化させているが、発光色の色目が変化しない程度(所望波長の±3nm以下)であれば電流値、もしくはデューティを所望の波長の±3nm以下に発光波長がなるように変化させてもかまわない。実施の形態5〜9において、蛍光体は所要とする励起スペクトルと発光スペクトルの組み合わせに応じて適当に選択することができる。例えば、赤色発光の蛍光体として、ZnS:Cu、LiAlO2:Fe3+、Al2O3:Cr、Y2O3:Eu3+、Y(P,V)O4:Eu3+、Y2O3:Eu蛍光体、Y2O3:Eu蛍光体とY2O3S:Eu蛍光体との混合体、だいだい色発光の蛍光体として、ZnS:Cu,Mn、(Zn,Cd)S:Ag、ZnS:Mn、(Sr,Mg,Ba)3(PO4)2、緑色発光の蛍光体として、ZnS:Cu、Al、LaPO4:Ce3+Tb3+、Sr(S,Se):Sm,Ce、ZnSiO4:Mn2+、βZnS:Cu、ZnS:Cu,Fe(Co)、ZnS:PbZnS:Cu蛍光体、ZnS:Cu,Al蛍光体とY2Al5O12:Tb蛍光体の混合体、青色発光の蛍光体として、CaS:Bi、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+、SrS:Sm,Ce、Sr2P2O7:Eu2+、βZnS:Ag、(Ba,Ca,Mg)10(PO4)6Cl:Eu2+、3Sr3(PO4)2・CaCl2:Eu2+蛍光体、白色発光の蛍光体として、ZnO:Zn、ZnS:AsZnS:Au,Ag,Al、Ca2P2O7:Dy、Ca3(PO4)2・CaF2:Sb、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+,Mn2+、MgWO4、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+,Mn2+蛍光体を用いる。
(実施の形態10)
上記実施の形態で記述してきたLED駆動方法、もしくはLED装置を用いて表示装置(ディスプレイ等)を実現できる。図19は上記で示したLED点灯回路、もしくはLED点灯方法を用いて作製されたディスプレイの概略図である。171はディスプレイ本体であり、この中に上記実施の形態で記述してきたLED点灯回路が組み込まれている。しかし、点灯回路をディスプレイに組み込まず点灯回路とディスプレイを分離し動作させても良い。
図19において、LED素子もしくはLEDランプ172は、X方向、Y方向にマトリックス状に平面に配置されている。これら多くのLED素子、LEDランプを一度に所望の発光色、明るさで表示しようとするため、従来例で示したLED駆動回路で駆動した場合、各々のLED素子、LEDランプの特性のバラツキが大きく、発光色、明るさがばらついてしまい、ディスプレイの画質等の低下を招く。しかし、本発明の上記実施の形態1〜9で記述してきたLED装置、もしくはLED駆動方法を用いて図19の表示装置(ディスプレイ等)を作製した場合、実施の形態1、3または7で記述したように各LED素子、LEDランプにそれぞれ点灯回路を接続して駆動することにより、特性のばらついた複数のLED素子、LEDランプでも所望の発光色、明るさで発光させることができるため、ディスプレイの表示画像の画質を向上させることができる。