JP5110598B2 - 水素発生方法及び水素発生装置 - Google Patents

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本発明は、水素発生方法及び水素発生装置に関する。
近年、環境問題やエネルギー問題から、新しいエネルギー源として水素が有望視されている。例えば水素を直接燃料として用いる水素自動車や水素を用いる燃料電池などの開発が進められている。燃料電池は小型でも高い発電効率を有しており、騒音や振動も発生せず、廃熱を利用することができるなどの優れた利点を有している。
水素をエネルギー源として利用するに当っては、燃料となる水素を安全にかつ安定的に供給することが必要であり、圧縮水素、液体水素として直接供給する方法、水素吸蔵合金などの水素吸蔵材料を利用して水素を貯蔵、供給する方法、メタノールや炭化水素を水蒸気改質して水素を供給する方法など、種々の方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法は、工場規模での生産や実験室で用いる程度の量の水素発生には利用可能であるが、所要量の水素燃料を継続的に供給でき、しかも小型化が要求される、自動車搭載用燃料電池;携帯電話用、パーソナルコンピュータ用等のポータブル燃料電池等の水素供給方法としては適切ではない。
一方、LiAlH4、NaBH4など各種の金属水素化合物を水素発生材料として使用することも
試みられている。特に、現在の多くのポータブル水素発生器では、白金担持カーボン等の金属状態の貴金属を含む触媒を水素化物に加えることによって、水素を発生させる方法が採用されている。しかしながら、金属状態の貴金属からなる触媒を用いる方法では、水溶液中において、水素化物の自己分解反応が進行するために、水素発生量、水素発生速度などの制御が困難である。また、貴金属をバルク金属状態で用いるために貴金属使用量が多いという問題点もある(下記非特許文献1参照)。
また、標準酸化還元電位が0以下の燃料を分解するアノードと、前記アノードに対向配置され、水素を発生させるカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質膜とを備えた水素発生装置も報告されている(下記特許文献1参照)。この文献には、燃料としてはヒドラジン(NHNH)、加水ヒドラジン(NHNH・HO)などのヒドラジン類、アンモニア(NH3)、ギ酸(HCOOH)等が記載されているが、これらの燃料は引火点が低く取り扱いに注意を要する。また、アノード側での副反応でアンモニアや一酸化炭素が発生し、これら副生成物には電極表面に吸着することでアノード側での電極反応を阻害するという問題がある。さらに、上記燃料は電解質膜中をクロスオーバーするので、カソードにて燃料が酸化して水素発生量を低下させるだけでなく、発生する水素ガスにアンモニアや一酸化炭素・二酸化炭素等の不純物が混在するという問題点がある。
Fuel Process. Technol. 87 (2006) 811-819 特開2005−71645号公報
本発明は上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、水素化物を原料として利用し、比較的簡単な構造の装置を用いて、水素発生量、水素発生速度などを制御できる新規な水素発生方法、及びこの方法に使用できる水素発生装置を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ルテニウム酸化物がプロトンの電気化学的還元反応に対して高い活性を有し、且つ水素化物の化学的酸化反応に対する活性が非常に低いという従来知られていない新しい特性を見出した。そして、水素化物の電気化学的酸化反応を利用する水素発生方法において、水素化物の電気化学的酸化反応に対する触媒活性を有する物質をアノード極用触媒として用い、ルテニウム酸化物をカソード極用触媒として用いる場合には、カソード極において水素化物の自然分解を殆ど進行させることがないために、アノード極側の電解液とカソード極側の電解液を区別することなく、水素化物と水酸化物を含む溶液を共通の電解液として用いて、水素発生反応を制御良く進行させることが可能となることを見出した。この方法によれば、アノード極側の電解液とカソード極側の電解液として同一の溶液を使用することから、アノード極側とカソード極側とが隔膜によって分離されていない一室からなる電解槽を用いる場合であっても、外部回路の開閉状態やカソード極に対するアノード極の電位を調整することによって、水素発生量、水素発生速度などを簡単に制御でき、安価で簡単な構造の水素発生装置を用いて、必要量の水素を簡単に取得することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の水素発生方法及び水素発生装置を提供するものである。
1.水素化物と水酸化物を含む電解液中において、水素化物の電気化学的酸化反応を含むアノード反応と、プロトンの還元による水素発生反応を含むカソード反応を生じさせることによる水素発生方法であって、カソード極用触媒としてルテニウム酸化物を用いることを特徴とする方法。
2.ルテニウム酸化物が、組成式:RuO・xHO(xは0〜4の数値である)で表される化合物である上記項1に記載の水素発生方法。
3.アノード極用触媒が、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを含み、配位子として、窒素含有多環式化合物又はCOを含む金属錯体からなる触媒、又は周期表11族に属する元素からなる金属状態の触媒である上記項1又は2に記載の水素発生方法。
4.水素化物が、一般式:X(YH4-nZn)(式中、Xは、アルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類金属である)であり、YはB, Al 又はGaであり、Zはハロゲン原子又は一価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である)で表される化合物であり、水酸化物が、一般式:AOH(式中、Aは、アルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類
金属である)である)で表される化合物である、上記項1〜3のいずれかに記載の水素発生方法。
5.水素化物の電気化学的酸化反応及びプロトンの電気化学的還元反応を生じさせる電解槽と、該電解槽中に挿入されたアノード極及びカソード極とを有する水素発生装置であって、
カソード極用触媒としてルテニウム酸化物を用いることを特徴とする水素発生装置。
6.電解槽がアノード極とカソード極とを分離する隔膜を有しない一室構造である上記項5に記載の水素発生装置。
本発明の水素発生方法は、水素化物と水酸化物を含む溶液において、水素化物の電気化学的酸化反応を含むアノード反応と、プロトンの還元による水素発生反応を含むカソード反応を利用する方法である。
この方法では、水素化物として水素化ホウ素化合物を用いる場合には、下記の反応によって、アノード反応が進行して、水素化物イオン:BH4 が酸化される。
アノード反応:BH4 + 8OH→ BO2 + 6H2O + 8e-
一方、アノード反応によって生じた電子は外部回路を通過してカソード極に供給され、カソード極の表面において水素発生を含む下記のカソード反応が生じる。
カソード反応:8H2O + 8e- → 4H2 + 8 OH-
本発明の水素発生方法は、上記反応を利用する水素発生方法において、カソード極用触媒としてルテニウム酸化物を用いることを特徴とする方法である。
以下、本発明の水素発生方法について具体的に説明する。
電解液
本発明の水素発生方法では、原料溶液、即ち、電解液として、水素化物と水酸化物を含む溶液を用いる。
水素化物としては、例えば、一般式:X(YH4-nZn)で表される化合物を用いることができる。上記一般式において、Xはアルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類金属である)であり、YはB, Al 又はGaであり、Zはハロゲン原子又は一価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。アルカリ金属としては、Li. Na, K, Rb, Cs等を例示でき
、アルカリ土類金属としては、Mg, Ca, Sr, Ba等を例示でき、ハロゲン原子としては、F,
Cl, Br, I等を例示できる。一価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、イソヘキシル、3−メチルペンチル基等を例示できる。
これらの水素化物の内で、特に、LiBH4, NaBH4, KBH4等のアルカリ金属の水素化ホウ素化合物が好ましい。
水酸化物としては、例えば、一般式:AOHで表される化合物を用いることができる。上
記一般式において、Aは、アルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類金属である)である。アルカリ金属としては、Li, Na, K, Rb, Cs等を例示でき、アルカリ土類
金属としては、Mg, Ca, Sr, Ba等を例示できる。これらの水酸化物の内で、特に、LiOH, NaOH, KOH等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
水素化物と水酸化物を含む溶液では、溶媒としては、溶液中において、水素化物:X(YH4-nZn)を、X+と(YH4-nZn)とにイオン解離できる溶媒であれば特に限定なく使用できる
。この様な溶媒としては、水の他に、ルイス塩基性が高く、ルイス酸性が低く、比誘電率が高い非水溶媒を用いることができる。この様な非水溶媒としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、テトラメチルピラン等のエーテル類、二硫化炭素、酢酸メチル、γ-ブチルラクトン、メチルカーボネート
、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、アセトン、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンジアミン、メチルピロリドン、ピリジン、アニリン、N-メチルピロリドン、テトラメチル尿素、テトラメチルグアニジン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、リン酸トリエチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アンモニア等を例示できる。好ましい非水溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ピリジン等である。
水素化物と水酸化物を含む溶液における水素化物の濃度は特に限定的でないが、0.0001〜30mol/L程度とすることが好ましく、0.01〜10mol/L程度とすることがより好ましい。
また、水酸化物の濃度は、0.0001〜20mol/L程度であることが好ましく、0.01〜4mol/L
程度であることがより好ましい。
カソード極
本発明の水素発生方法は、上記した電解液中におけるアノード反応とカソード反応を利用する水素発生方法において、カソード極用触媒として、ルテニウム酸化物を用いることを重要な特徴とするものである。本発明者の研究によれば、ルテニウム酸化物は、プロトンの電気化学的還元反応に対して高い活性を有し、且つ水素化物の化学的分解反応についての活性と電気化学的酸化反応に対する活性が非常に低い物質であることが明らかとなった。従って、ルテニウム酸化物をカソード極用触媒として用いる場合には、上記した水素化物の電気化学的酸化反応をアノード反応として利用する水素発生方法において、カソード反応を円滑に進行させることができるが、電解液中において水素化物の自然分解を殆ど進行させることがない。このため、水素化物と水酸化物を含む溶液を電解液とする場合に、アノード反応に寄与する電解液と、カソード反応に寄与する電解液とを分離する必要がなく、同一の電解液を使用することが可能となる。
本発明では、ルテニウム酸化物としては、IV価のルテニウムを含む酸化物であればよく、例えば、組成式:RuO・xHO(xは0〜4の数値である)で表されるルテニウム酸化物を用いることができる。特に、上記組成式においてx=0である酸化物が電気伝導率が高い点で好ましい。
該ルテニウム酸化物としては、特に、導電性の良好なものが適しており、抵抗率が10−2Ωcm以下であることが好ましく、10−3Ωcm以下であることがより好ましい。
ルテニウム酸化物を触媒とするカソード極の構造については特に限定はなく、各種の電池などに用いられているものと同様の集電体を支持体として用い、これに、常法に従ってルテニウム酸化物を担持させたものをカソード極として用いることができる。この様な支持体としては、例えば、アルミニウム板、カーボンペーパーなどを用いることができる。
ルテニウム酸化物からなる触媒は、導電性担体に担持させたものであってもよい。
導電性担体としては、特に限定はなく、例えば、従来から固体高分子形燃料電池用の触媒担体等として用いられている各種の担体を用いることができる。この様な担体の具体例としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛等の炭素質材料を挙げることができる。これらの内で、カーボンブラックは、導電性に優れ、比表面積も大きいために、導電性担体として特に好ましい物質である。
導電性担体の形状などについては特に限定はないが、例えば、平均粒径が0.1〜100μm程度、好ましくは1〜10μm程度のものを用いることができる。また、カーボンブラックを用いる場合には、例えば、BET法による比表面積が100〜800m/g程度の範囲内にあるものが好ましく、200〜300 m/g程度の範囲内にあるもの
がより好ましい。この様なカーボンブラックの具体例としては、Vulcan XC-72R(Cabot社製)の商標名で市販されているものを用いることができる。
導電性担体に担持させる方法としては、例えば、溶解乾燥法、気相法などの公知の方法を適用できる。
例えば、溶解乾燥法では、金属酸化物を水、有機溶媒等からなる溶媒に溶解させ、この溶液に導電性担体を加えて、例えば、数時間撹拌して、該担体に金属酸化物を吸着させた後、溶媒を乾燥させればよい。また、溶媒中に金属酸化物が多量に含まれる場合には、平
衡に達するまで金属酸化物を導電性担体に吸着させた後、濾過することによって、導電性担体に吸着していない金属酸化物を除去して、該担体と相互作用している金属酸化物のみを該担体の表面に残すことができる。
この方法では、有機溶媒としては、金属酸化物を溶解できるものであれば、特に限定なく使用できる。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系炭化水素やエタノールなど低級アルコールを好適に用いることができる。
濾過によって得られた分散物を、さらに水又は有機溶媒を用いて洗浄液が透明になるまで洗浄すれば、導電性担体との相互作用の弱い金属酸化物を洗い流すことができ、導電性担体に強固に吸着している金属酸化物のみを含む高活性な触媒を得ることができる。
気相法で担持させる場合には、例えば、プラズマ蒸着法、CVD法、加熱蒸着法などを公知の方法を採用できる。
導電性担体上に担持させる触媒の量については、特に限定はないが、例えば、導電性担体1gに対して、金属酸化物を10μmol〜150μmol程度担持させることが好ましく、20μmol〜100μmol程度担持させることがより好ましい。
カソード極におけるルテニウム酸化物の担持量についても特に限定はないが、例えば、0.1〜5.0mg/cm程度とすることができ、0.1〜3.0mg/cm程度とすることが好ましい。
アノード極
アノード極用触媒としては、原料として用いる水素化物の電気化学的酸化反応に対して活性を有する物質であって、且つ開回路時に水素化物の酸化反応が進行しないように、水素化物の化学的酸化反応に対して活性が低い触媒であれば、特に限定なく使用できる。
この様な触媒の具体例としては、金属成分として、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを含み、配位子として、窒素含有多環式化合物又はCOを含む金属錯体を挙げることができる。また、周期表の11族に属する元素も金属状態において本発明の水素発生装置におけるアノード極用触媒として好適に用いることができる。
以下、これらのアノード極用触媒について具体的に説明する。
(i)金属錯体触媒
金属成分として、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを含む金属錯体において、配位子として用いる窒素含有多環式化合物としては、ポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物、サレン化合物等を例示できる。
これらの特定の金属錯体を触媒として用いることによって、低い過電圧で水素化物を電極酸化することが可能となる。また、該金属錯体は、水素化物の化学的酸化反応に対する活性が低いために、上記金属錯体を付与した電極は、カソード極と接続しない状態では、水素化物の分解反応を殆ど進行させることがない。
本発明では、上記した金属成分を含み、且つ、配位子として、窒素含有多環式化合物又はCOを含む貴金属錯体であれば、特に限定なく使用でき、配位子の具体的な構造については特に限定的ではない。
以下、上記した金属錯体の具体例を示す。
(1)化学式:
Figure 0005110598
(式中、R〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、置換基を有することのあるアリール基、水素原子又はハロゲン原子を示し、Mは、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを示す。)で表される金属ポルフィリン錯体。
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムであり、特に、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、置換基を有することのあるアリール基、水素原子又はハロゲン原子を示す。これらの内で、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。置換基を有することのあるアリール基としては、フェニル基、置換基を有するフェニル基、ピリジル基、置換基を有するピリジル基等が好ましい。
これらの内で、R、R、R及びR10が全て置換基を有することのあるアリール基である場合には、メソ位が化学的に保護されているために、酸化反応などに対する安定性が高くなる。
置換基を有するアリール基の内で、置換基を有するピリジル基としては、1−メチルピ
リジル基等を例示できる。置換基を有するフェニル基における置換基としては、低級アルコシキ基、低級アルキル基、ハロゲン原子、−SO(式中、Mは水素原子、アルカリ金属又は−NHである)、−COOM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である)、−OCH−COOM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である)等を例示できる。
これらの内で、置換基として低級アルコキシ基を有するフェニル基としてはパラ-メト
キシフェニル基等、置換基として低級アルキル基を有するフェニル基としては、パラ-メ
チルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基等、置換基としてハロゲン原子を有するフェニル基としてはペンタフルオロフェニル基等を例示できる。
フェニル基の置換基の内で、−SOでは、Mは水素原子、アルカリ金属又は−NHである。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。フェニル基の置換基の内で、−COOMでは、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。アルキル基としては、上記した基と同様の基を例示できる。また、フェニル基の置換基の内
で、−OCH−COOMでは、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。アルキル基としては、上記した基と同様の基を例示できる。
−SO、−COOM、−OCH−COOM等の置換基は、例えばフェニル基の4位に置換することができるが、これに限定されるものではない。
(2)化学式
Figure 0005110598
(式中、R〜Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、基:-SO3M1(式中、M1は、水素原子、アルカリ金属又は−NHである)、又は基:−R−COOM2(式中、Rは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン
基であり、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルキル基である)を示すか、或いは、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合し
て、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。Mは、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを示す。但し、R〜Rの少なくとも一つは基:−R−COOM2である)で表される金属ポルフィリン錯体。
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムであり、特に、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
上記化学式において、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。
ヒドロキシアルキル基のアルキル基部分としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基を例示できる。ヒドロキシ基は、該アルキル基の任意の炭素原子に置換することができる。
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチルアリル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル基等の炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルケニル基を挙げることができる。
基:-SO3M1において、M1は水素原子、アルカリ金属又は−NHである。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。
基:−R−COOM2において、R9で表されるアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1−
メチルトリメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキレン基を例示できる。M2で表されるアルキル基とアルカリ金属は、上記したものと同様である。
上記化学式で表される金属ポルフィリン錯体において、R〜Rの内の2個以上が基:−R−COOM2である化合物は、特に水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有するものである。
(3)化学式
Figure 0005110598
(式中、R〜R16は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示すか、或いは、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。また、Mは、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを示す。)で表される金属フタロシアニン錯体。
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムであり、特に、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
上記化学式において、R〜R16は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アル
キル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示す。更に、これらの内で、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。
これらの内で、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシル基が好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。
上記化学式で表される金属フタロシアニン錯体の内で、例えば、R〜R16が全て水
素原子である化合物は、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有するものである。
また、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせが互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成した化合物として、下記化学式
Figure 0005110598
で表される化合物を例示できる。上記化学式において、R17〜R32は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示す。これらの各基の具体例は、R〜R16と同様である。
(4)化学式:
Figure 0005110598
(式中、Mはロジウム、ルテニウム又はイリジウムである)で表される金属サレン錯体。
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムであり、特に、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
尚、上記したサレン錯体では、サレン環上に任意の置換基が存在しても良い。
(5)金属1原子に対して1分子以上のCOを配位子として含む錯体。
COを配位子として含む錯体では、錯体中の金属原子は1〜10個程度が好ましい。COは一
つの金属に配位してもよく、或いは複数の金属原子に配位してもよい。複数の金属原子に配位する場合には、COで架橋される状態となる。CO以外の配位子の種類については特に限
定はない。錯体中の金属元素はロジウム、ルテニウム又はイリジウムであり、特に、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
この様なCOを配位子として含む金属錯体としては、化学式:Rh2Cl2(CO)4で表される金
属錯体、Rh6(CO)16で表される金属錯体等を例示できる。
上記した(1)から(5)の金属錯体は、例えば、目的とする錯体の配位子となる化合物と金属化合物を溶媒中に溶解し、加熱することによって製造することができる。
例えば、ロジウム錯体については、ロジウム化合物としては、一価のロジウム金属が含まれる化合物体を用いることができる。溶媒としては、上記した配位子となる化合物とロジウム化合物を溶解できる溶媒を用いればよく、例えば、エタノールなどを用いることができる。加熱温度については、例えば、使用する溶媒の還流温度とすればよい。
また、例えば、化学式:Rh2Cl2(CO)4で表されるCOを配位子に含む金属錯体については
、市販品として容易に入手できる。
上記した金属錯体の内で、特に、化学式:
Figure 0005110598
(式中、R〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、置換基を有することのあるアリール基、水素原子又はハロゲン原子を示し、Mはロジウムを示す。)で表される金属ポルフィリン錯体が好ましい。特に、R1, R4, R7及びR10が置換基を有することの
あるフェニル基であって、R2, R3, R5, R6, R8, R9, R11及びR12が水素原子であるテトラフェニルポリフィリン錯体; R1, R4, R7及びR10が水素原子であって、R2, R3, R5, R6, R8, R9, R11及びR12が低級アルキル基であるオクタアルキルポリフィリン錯体等が好ましい。これらの内で、テトラフェニルポリフィリン錯体の好ましい具体例としては、ロジウムテトラフェニルポルフィリン錯体を挙げることができ、オクタアルキルポリフィリン錯体の好ましい具体例としては、ロジウムオクタアルキルポリフィリンを挙げることができる。
上記した金属錯体は、そのままアノード用触媒として用いてもよいが、導電性担体に担持させることにより、水素化物の電気化学的酸化反応に対して高い触媒活性を有するものとすることができる。
導電性担体の種類、担持方法などについてはカソード触媒と同様とすればよい。
導電性担体上に担持させる金属錯体の量については、特に限定はないが、例えば、導電性担体1gに対して、金属錯体を10μmol〜150μmol程度担持させることが好ましく、20μmol〜100μmol程度担持させることがより好ましい。
(ii)周期表11族に属する元素
周期表11族に属する元素については、金属状態において、アノード用触媒として有効に用いることができる(以下、11族金属触媒ということがある)。11族金属触媒の内で、好ましいものとして銅、銀、金などを例示できる。11族金属触媒の形態については特に限定はなく、微粉末状の金属であってもよく、或いは、板状、線状等の金属をそのまま電極として用いることもできる。
(iii)アノード極の構造
アノード極の構造については、上記した金属錯体又は11族金属触媒を触媒として用いること以外は、カソード極と同様に、電池などに用いられているものと同様の集電体を支持体として用い、これに、上記したアノード極用触媒を担持させたものであればよい。
アノード極における触媒の担持量についても特に限定はないが、例えば、0.1〜5.0mg/cm程度とすることができ、0.1〜3.0mg/cm程度とすることが好ましい。
また、板状、線状などの11族金属触媒については、そのままアノード極として使用することも可能である。
水素発生方法
本発明の水素発生方法では、アノード極とカソード極を配置した電解槽中に、上記した原料溶液(電解液)を供給し、外部回路を用いてアノード極とカソード極を電気的に結合すればよい。
この方法では、開回路時のカソード極の電位よりアノード極の電位が低い場合には、外部回路を閉じることによって、カソード反応とアノード反応が自発的に進行する。この場合には、水素発生と同時に、カソード電位とアノード電位の電位差を電気エネルギーとして取得できる。このため、原料とする水素化物から、高いエネルギー変換効率で化学エネルギーと電気エネルギーを得ることが可能となる。更に、水素発生のために外部電源が不要であり、装置の構造を簡略化できるという利点もある。この場合、カソード極に対するアノード極の電位が低くなる程、発生する水素量が減少するので、通常は、カソード極に対するアノード極の電位は−0.05V程度より高い電位とすることが好ましい。
一方、開回路時のアノード極の電位がカソード極の電位より高い場合には、外部電源を用いて、アノード極の電位をより高くすることによって、水素発生反応を進行させることができる。この際、アノード極の電位を調整することによって、水素発生速度、水素発生量などを制御することが可能である。この場合のアノード極の電位については、高くする程発生する水素量が増加するが、電力消費量が増大するので、通常、カソード極に対するアノード極の電位を0.6V以下程度とすることが適当であり、0.25V〜0.35V程度とすることが好ましい。
反応温度については特に限定的ではなく、通常は、室温で反応を進行させることができる。
本発明の水素発生方法では、電解槽としては、上記したカソード極とアノード極を同時に配置でき、且つ原料として用いる水素化物と水酸化物を含む溶液を安定に収容できるものであれば特に限定なく使用できる。例えば、丸型、箱形などの任意の形状の電解槽を用いることができる。また、電解槽の材質についても、特に限定はなく、ステンレスなどの金属製、ポリプロピレンなどの樹脂製等の電解液を安定に収容できるものであればよい。
本発明の水素発生方法では、カソード極側の電解液とアノード極側の電解液として、いずれも水素化物と水酸化物を含む溶液を用いるので、カソード極とアノード極の間に隔膜を配置しない一室型の電解槽を用いることが可能である。図1は、一室型の電解槽を用いた水素発生装置の概略の構造を示す模式図である。本発明の水素発生方法においてカソード極用触媒として用いるルテニウム酸化物は、原料として用いる水素化物の化学的酸化反応に対する活性が非常に低い物質であり、図1に示す隔膜を配置しない一室型の電解槽を用いる場合であっても、カソード極において水素化物の自己分解反応が進行することが殆どない。このため、一室型の簡単な構造の水素発生装置においても、外部回路の開閉状態やカソード極に対するアノード極の電位を調整することによって、水素発生速度、水素発生量などを制御することが可能となる。
上記した水素発生装置には、更に、必要に応じて、原料入口、発生水素排出口等を設けることができる。これらの各部材を含む水素発生装置の構造は、公知の水素発生装置と同様でよく、例えば、特開2005−71645号公報に記載されている水素発生装置と同様の構造とすることができる。
上記した水素発生装置を用いて発生した水素の用途については特に限定はないが、例えば、燃料電池の燃料等として用いることができる。この場合には、例えば、水素排出口を水素供給ラインに接合して、発生した水素を燃料電池に供給すればよい。
本発明の水素発生方法によれば、アノード極側の電解液とカソード極側の電解液を区別することなく、水素化物と水酸化物を含む溶液を共通の電解液として用いて、水素発生反応を制御良く進行させることができる。
特に、アノード極用触媒として、開回路時のカソード極の電位よりアノード極の電位が低くなる触媒を用いる場合には、外部回路を閉じることによって、カソード反応とアノード反応を自発的に進行させることができ、水素発生と同時に、カソード電位とアノード電位の電位差を電気エネルギーとして取得できる。このため、原料とする水素化物から、高いエネルギー変換効率で化学エネルギーと電気エネルギーを得ることが可能となる。更に、水素発生のために外部電源が不要であり、装置の構造を簡略化できるという利点もある。
また、本発明の水素発生方法によれば、隔膜を配置しない一室からなる電解槽を用いることが可能であり、この場合には、簡単な構造の水素発生装置によって、水素発生反応を制御よく進行させることができ、水素発生量、水素発生速度などを容易に制御することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
参考例1:ルテニウム酸化物のプロトン還元能
市販のルテニウム酸化物(RuO)5 mgを0.5 mLの混合溶媒(水:エタノール = 1 :
1)に懸濁させた後、5 μLの5 % Nafion溶液 (Aldrich製)を加えた。この懸濁液を5分
間超音波洗浄器に掛けることで、よく分散させた後、グラッシーカーボン電極(表面積 =
0.071 cm2)の上に2 μLのせて乾燥させた。
このようにして作製した電極について、水素化ホウ素イオン存在時と非存在時における水素発生活性を、エー・エル・エス製のポテンショスタット(ALS model 711B)を用いて以下の方法で測定した。
ルテニウム酸化物を塗布したグラッシーカーボン電極を作用電極とし、白金電極を対極、Ag/AgCl/KCl(sat.)電極を参照電極として用いた。電解液としては0.1 M NaOHを用いた
。この条件でサイクリックボルタンメトリーを測定した。次に、上記溶液に1 mMになるようにNaBH4を加えた後、電極を3600rpmの速度で回転させながらリニアスイープボルタ
メトリーを測定した。
結果を図2に示す。曲線Aは、NaBH4を含まない電解液についてのサイクリックボルタモグラム、曲線Bは1 mMのNaBH4を含む電解液についてのリニアスイープボルタモグラムである。
曲線AとBでは、ともに-1.0 V付近から還元電流が流れはじめ、水の還元による水素の発生が生じていることがわかる。NaBH4を含む電解液について測定した曲線Bから明らかなように、NaBH4の存在下でも、NaBH4の酸化電流はほとんど流れないことがわかる。この結果から、ルテニウム酸化物はNaBH4の酸化反応を生じさせることなく、電気化学的反応によ
る水素発生に対して活性を有する触媒であることが明らかになった。
実施例1〜7:一室型水素発生装置による水素発生実験
参考例1で作製したルテニウム酸化物の懸濁液0.2 mLをグラッシーカーボン電極(実効表面積 = 4.5 cm2)にのせて乾燥させることによってカソード極を作製した。
一方、下記表1に示す各アノード極用触媒を用いること以外は、カソード極の作製方法
と同様にして、アノード極を作製した。但し、実施例6と7のアノード極については、金又は銀の平板(実効表面積 = 4.5 cm2)を用いた。
10 mMのNaBH4を含む0.1MのNaOH水溶液を、図1に示すシリコン栓で密封されたガラス容器に入れた。アルゴンパージすることにより上記水溶液から溶存酸素を除去した後、この溶液中に、上記した方法で作製したカソード極とアノード極を浸漬した。ガスの出口を塞いで100分間放置し、気相中の水素ガスを定量した。
次いで、再度電解液を窒素パージした後、カソード極に対するアノード極の電位が0.3Vとなるように両極間に電圧を加えた後、気相中の水素ガスを定量した。尚、気相中の水素ガスの定量は、実施例1については33分後、実施例2については83分後、実施例3については100分後、実施例4については85分後、実施例5については67分後に行った。また、
実施例6については、カソード極に対するアノード極の電位が0.5Vとなるように両極間に電圧を加えた後、100分後に水素ガス量を定量し、実施例7については、カソード極に対するアノード極の電位が0.6Vになるように両極間に電圧を加えた後、67分後に水
素ガス量を定量した。
下記表1に、電圧を印加しない開回路状態の場合と電圧を印加した場合について単位時間当たりの水素発生量、電圧を加えることによる増加比(電圧印加後の水素量/電圧をか
けない開回路状態のときの水素量)、及び移動した電子のモル数を示す。増加比(電解後の水素量/電圧をかけない開回路状態のときの水素量)が高く、電解後の水素量が高いも
のがよりよい水素発生装置と考えられる。
Figure 0005110598
以上より、実施例1〜7のいずれのアノード極用触媒を用いた場合にも、電圧をかけていない開回路状態では、水素ガス発生量が少ないが、電圧をかけると電流が流れて水素ガス発生量を大きく増加することができることが明らかとなった。従って、この装置は、少しの電圧をかけるだけで水素発生反応を進行させることができる制御可能な水素発生装置といえる。
実施例8
市販のルテニウム酸化物(RuO)5.2 mgを0.5 mLの混合溶媒(水:エタノール = 1
: 1)に懸濁させた後、5 μLの5 % Nafion溶液 (Aldrich製)を加えた。この懸濁液を5
分間超音波洗浄器に掛けることで、よく分散させた後、グラッシーカーボン電極(表面積
= 0.071 cm2)の上に2 μLのせて乾燥させることによってカソード極を作製した。
一方、アノード極用触媒として、実施例1(ロジウムオクタエチルポルフィリン)及び
実施例4(ロジウムヘマトポルフィリン)の各金属錯体を用い、上記したカソード極の作
製方法と同様にして、アノード極を作製した。
10 mMのNaBH4を含む0.1MのNaOH水溶液を、図1に示すシリコン栓で密封されたガラス容器に入れた。窒素パージすることにより上記水溶液から溶存酸素を除去した後、上記したカソード極とアノード極を浸した。RuO2の充電容量の影響を排するため、最初に0.1μAの電流を流し充電容量をすべて充電させて電圧を安定させた後、電位-電流曲線を測定した
。電位については、電流を変えてから1分後の値を記録した。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、この電位領域では、発電しながら水素発生が起こっていることがわかる。
本発明の一室型水素発生装置の一実施形態を示す概略構成図である。 参考例1で測定したボルタモグラムである。 実施例8で測定した電位-電流曲線を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 水素化物と水酸化物を含む電解液中において、水素化物の電気化学的酸化反応を含むアノード反応と、プロトンの還元による水素発生反応を含むカソード反応を生じさせることによる水素発生方法であって、カソード極用触媒としてルテニウム酸化物を用いることを特徴とする方法。
  2. ルテニウム酸化物が、組成式:RuO・xHO(xは0〜4の数値である)で表される化合物である請求項1に記載の水素発生方法。
  3. アノード極用触媒が、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを含み、配位子として、窒素含有多環式化合物又はCOを含む金属錯体からなる触媒、又は周期表11族に属する元素からなる金属状態の触媒である請求項1又は2に記載の水素発生方法。
  4. 水素化物が、一般式:X(YH4-nZn)(式中、Xは、アルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類金属である)であり、YはB, Al 又はGaであり、Zはハロゲン原子又は一価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である)で表される化合物であり、水酸化物が、一般式:AOH(式中、Aは、アルカリ金属、NH4、又はM1/2(式中、Mはアルカリ土類金属
    である)である)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の水素発生方法。
  5. 水素化物と水酸化物を含む溶液を収容する電解槽と、該電解槽中に挿入されたアノード極及びカソード極とを有する水素発生装置であって、
    カソード極用触媒としてルテニウム酸化物を用い
    アノード極用触媒として、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムを含み、配位子として、窒素含有多環式化合物又はCOを含む金属錯体からなる触媒、又は周期表11族に属する元素からなる金属状態の触媒を用い、
    該電解槽が、アノード極とカソード極とを分離する隔膜を有しない一室構造であることを特徴とする、水素化物と水酸化物を含む溶液を電解液とする水素発生装置。
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