JP5110059B2 - 微細な炭素繊維および微細な炭素短繊維 - Google Patents

微細な炭素繊維および微細な炭素短繊維 Download PDF

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本発明は導電性、混練性に優れる微細な炭素繊維および微細な炭素短繊維に関する。詳しくは、触媒を使用する気相成長法によって製造される微細な炭素繊維、およびその後、この微細な炭素繊維にずり応力を加えることによって得られる微細な炭素短繊維に関する。
円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)等に代表される炭素繊維は、その形状、形態から様々な応用が期待されている。とりわけ円筒チューブ状の炭素繊維(カーボンナノチューブ)は従来の炭素材料と比較し、強度、導電性等に優れるため、次世代の導電性材料として注目を集めている。
多層カーボンナノチューブ(多層同心円筒状)(非魚骨状)は、例えば、特公平3−64606、特公平3−77288、特表平9−502487、特開2004−299986等に記載されている。
また、魚骨状(フィッシュボーン)型炭素繊維〔カップ積層型炭素繊維〕は、例えば、USP4,855,091、M.EndoおよびY.A.Kimらによる文献〔Appl.Phys.Lett.,vol80(2002)1267〜〕、特開2003−073928、特開2004−360099等に記載されている。この構造は、底のないカップを積層した形状である。
さらに、プレートレット型カーボンナノファイバー(トランプ状)は、例えば、H.MurayamaおよびT.maedaによる文献〔Nature, vol345[No28](1990)791〜793〕、特開2004−300631等に記載されている。
カーボンナノチューブに代表される炭素繊維の製造方法として、従来、アーク放電法、気相成長法、レーザー法、鋳型法等が知られている。この中で触媒粒子を用いる気相成長法は、安価な合成方法として注目されているが、大量生産方法は確立されていない。また生成するカーボンナノチューブは結晶性の低い不均質な繊維となるため、高い導電性を要求される場合には黒鉛化処理が必要である。
例えば、特表平9−502487(特許文献1)には、従来技術として、特表平2−503334又は特開昭62−500943に記載の方法で製造される炭素フィブリル原料(円筒チューブ状)のXRD(X線回折)測定におけるグラファイト面間隔(d002)が0.354nmを示し、結晶性が充分でなくそのままでは導電性が低いことが記載されている。そして、このフィブリル原料を2450℃で処理することにより、グラファイト面間隔(d002)が0.340nmとなり結晶性の改善されたフィブリル材料が得られることが記載されている。
カーボンナノチューブ(多層同心円筒状)は、グラファイト網面が繊維軸と平行であり、これに沿って電子が流れるため、単独の繊維における長軸方向の導電性は良好である。しかしながら、隣接する繊維間での導電性に関しては、側周面が円筒状に閉じたグラファイト網面で構成されているため、π電子の飛び出しによるジャンピング効果(トンネル効果)が期待できない。従って、カーボンナノチューブを導電性フィラーとして利用したポリマーとのコンポジットにおいては、繊維同士の接触が充分に確保されないと導電性が良好に発現されないという問題がある。
また、この構造のカーボンナノチューブの円筒状グラファイト網面は、SP2結合の炭素円筒で構成されているため、一般的に使用される工業的な方法(ボールミル、ビーズミル等)で強固な炭素SP2結合を切断して繊維をさらに短繊維化し、繊維の表面に構造欠陥を与えることなく、工業的に利用可能な炭素短繊維を得ることは困難である。
一方、魚骨状、プレートレット型(トランプ状)の炭素繊維は、側周面にグラファイト網面の開放端が露出するため、隣接する繊維間の導電性はカーボンナノチューブに比べ向上する。しかしながら、グラファイト網面のC軸が繊維軸方向に対し傾斜あるいは直交して積層した構造であるため、単独の繊維における繊維軸長軸方向の導電性は低下してしまう。
一方、短繊維化の観点では、魚骨状(フィッシュボーン型)炭素繊維は、特開2004−241300に記載されているように、繊維軸方向に傾斜を有するコーン形状の炭素基底面が積層した構造であり、炭素基底面間の層剥離や層間のずれを生じさせることが出来るため、繊維をさらに短繊維化することは容易である。しかしながら、上述のように繊維軸方向の導電性が著しく低いため、魚骨状(フィッシュボーン)型炭素繊維のみならず、さらに短繊維化されたものも導電材としては適さない。
プレートレット型(トランプ状)の構造も基本的に魚骨状(フィッシュボーン)型炭素繊維〔カップ積層型炭素繊維〕と同様に繊維軸に対し垂直に炭素基底面円盤が積層した構造であるため、さらに短繊維化することは容易であるが、プレートレット型カーボンナノファイバーのみならず、さらに短繊維化されたものも、魚骨状(フィッシュボーン)型炭素繊維の場合と同様の理由で導電材としては適さない。
上記の構造に加え、特開2006−103996(特許文献2)では、結晶格子の中核をなす炭素原子に化学的に結合した窒素原子を含み、一端が開き他端が閉じた釣鐘型の多層物質が単位構造ユニットとなり1つのユニットの閉じた端部が他のユニットの開いた端部へ差し込まれた形態の繊維構造体とその製造方法が開示されている。しかし、この繊維は、グラファイト網面において炭素原子と化学的に結合した窒素原子が含まれるため、グラファイト網面に構造的歪みが生じ、結晶性が低い、即ち導電性が低いという問題がある。
またApplied Physics A 2001(73)259−264(Ren Z. F. ら)(非特許文献1)においても、“bamboo−structure”と称した、前記特許文献2(特開2006−103996)類似の炭素繊維構造が報告されている。この構造体の合成は、シリカに鉄を担持した触媒を使用し、アセチレン20vol%/アンモニア80vol%の混合ガスを使用して、750℃での気相成長法によって実施されている。この報告では、炭素繊維構造体の化学組成分析は全く記述されていないが、原料中に含まれる不活性でない窒素分の濃度が非常に高いことから(59wt%)、該炭素繊維構造体にも化学的に炭素原子と結合した窒素原子が含まれ、構造的乱れを生じていると考えられる。また、触媒重量に対する生成物重量の比が6程度と著しく低いため、繊維成長が充分でなくアスペクト比が小さいという点も問題である。
さらに、Carbon 2003(41)2949−2959(Gadelle P. ら)(非特許文献2)においても、繊維を構成するグラファイト網面がコーン形状で、その開放端が繊維側周面に適当な間隔で露出した構造が報告されている。この文献では、クエン酸で共沈させたコバルト塩及びマグネシウム塩の混合物0.2gをHで活性化処理した後、CO及びHから成る原料ガス(H濃度:26vol%)と反応させることにより、4.185gの生成物を得ている。しかし、この方法で得られた繊維構造では、コーン形の側周面と繊維軸のなす角は22°程度と、繊維軸に対して大きく傾斜している。このため、単独の繊維の長軸方向の導電性については、前記の魚骨状炭素繊維と同様の問題がある。また、繊維成長が不充分でアスペクト比が小さいことから、ポリマーとのコンポジットにおいて導電性や補強性を付与することが困難である。更に、触媒重量に対する生成物重量が21と小さいため、製造法として効率的でないばかりでなく、不純物含量が多くなるために用途が制限される。
上記の如く様々な構造を有する炭素繊維およびその製法が提案されているが、このような炭素繊維をさらに短繊維化する方法についての提案は少ない。例えば、
(1)走査型トンネル顕微鏡(STM)内で繊維に通電し切断する方法(非特許文献3)
この方法では繊維を一本一本切断するので大量生産に適さない。
(2)酸と硝酸の混酸を用いて酸化分解と超音波切断を併進させる方法(非特許文献4)
この方法では炭素壁の損傷が大きいという問題点がある。また酸化による収率低下の問題もある。
(3)ボールミル切断方法(非特許文献5)
この方法では繊維側面に大きな損傷が生じ、同時にボールミルから不純物が混入する。
(4)フッ素化後、加熱切断する方法(非特許文献6)
この方法もフッ素化部分が脱離するので収率に問題があり、装置が大掛かりになるという問題もある。
(5)高速回転分散機を用い溶媒中で切断する方法(非特許文献7)
この方法は簡便ではあるが、大量処理には問題がある。
特表平9−502487号公報 特開2006−103996号公報
Applied Physics A 2001(73)259−264(Ren Z. F.ら) Carbon 2003(41)2949−2959(Gadelle P.ら) Liesbeth C.Venema etal,Appl.Phys.Lett.71,2629(1997) J.Liu etal,Science 280,1253(1998) N.Pierard etal,Chem.Phys.Lett.335,1(2001) Z.Gu etal,Nano Lett.2,1009(2002) カーボンナノチューブのポリマー・溶媒への可溶化・分散技術セミナーテキスト(田路和幸 技術情報協会 2006年3月31日)
以上のように、従来のカーボンナノチューブ等の炭素繊維は、単独の繊維における長軸方向の導電性と隣接する繊維間での導電性のバランスの点で問題があった。また、効率的かつ品質の安定した製造方法が確立されておらず、商業的な利用にはコストと技術で課題がある。一方、現行の粒状カーボンブラックは、ポリマーとのコンポジット化において、性能、機能の面で満足できる状況にあるとはいえない。
従来のカーボンナノチューブ等の炭素繊維には、さらなる問題として、分散性が悪く、また、高濃度の炭素繊維を複合化させたポリマーコンポジットの製造が困難であるという点が挙げられる。例えば、大量生産に適していると考えられる気相法で合成されるカーボンナノチューブ等の炭素繊維は、実際には繊維が互いに複雑に絡まった二次凝集体構造を形成している。このとき、一次構造における繊維軸方向の長さが長すぎると、二次凝集体における繊維どうしの絡み合いがより複雑になってしまうため、これを解きほぐして分散させることが困難になる。
前記二次凝集体には繊維間の隙間から形成される空隙が存在している。例えば、混練によるポリマーコンポジット製造の初期段階では、この空隙にポリマー分子が取り込まれたペースト状混合物を、せん断力などによって引き伸ばしながら分散させなければならない。ところで、一次構造における繊維軸方向の長さが長過ぎると、二次凝集体における絡み合いの複雑さが増すことによってこれを解きほぐすこと自体が難しくなるのに加え、繊維長さによる補強効果向上によって前記ペースト状混合物がより強固になるため、これを引き伸ばして分散させるのに大きなせん断力が必要となり、摩擦などによる発熱のための温度上昇によってポリマーが劣化してしまう。
前記の問題を解決する方法として、例えば炭素繊維を切断し短くする方法が考えられるが、従来提案されている切断方法には、切断工程において品質が劣化することや、大量に処理することに問題がある。
また、例えば気相成長法における炭素繊維の合成過程において、反応時間を短縮するなどして、一次構造における繊維軸方向の長さを調整することも考えられるが、これは、触媒に由来する金属不純物の増加につながり、品質上好ましくない。更にこのとき、単位量の炭素繊維の製造に要する触媒量が多くなり、製造コストが増加してしまうという問題もある。
一方、二次凝集体中の空隙が大きいと、コンポジットを構成するポリマー成分において、この空隙に取り込まれるポリマー分子の占める割合が高くなってしまう。この結果、コンポジットにおける炭素繊維の濃度を高めることが困難になり、効率的なマスターバッチを製造することの妨げになる。
本発明は、金属不純物が少なく高純度で、ポリマーや粉体とのコンポジット化における分散性や混練性を改善し、コンポジットの加工性に優れ、またコンポジットの導電性、熱伝導性、摺動性、補強等の機能発現に優れる微細な炭素繊維及び/または微細な炭素短繊維、及びそれらの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の事項に関する。なお、本発明において、「微細な炭素繊維」とは、後述する気相成長法により得られる、図2に模式的に示される連結した炭素繊維のことを言う。また、「微細な炭素短繊維」とは、「微細な炭素繊維」にずり応力を加えて連結がいくつか切断された、図5及び図6に示される炭素繊維のことを言う。「微細な炭素繊維」及び「微細な炭素短繊維」は、従来の炭素繊維とは異なる、新規な炭素繊維である。
1.炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、この集合体の長さをLとしたとき、集合体の頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点において測定した、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角の平均値θが15°より小さく
前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結することによって構成され、
含有灰分量が3重量%以下である、気相成長法によって製造される微細な炭素繊維からなる二次凝集体であって、
フタル酸ジブチルの吸収量が300〜500mL/100gであること、N−メチルピロリドンの吸収量が300〜500mL/100gであること、および、動的光散乱法によって測定される粒子径換算の繊維の代表長さが40〜120nmであることを特徴とする微細な炭素繊維からなる二次凝集体。
2.マグネシウムが置換固溶したコバルトのスピネル型酸化物を含む触媒に、CO及びHを含む混合ガスを供給して反応させ微細な炭素繊維を成長させることを特徴とする、項1に記載の微細な炭素繊維からなる二次凝集体
3.炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、この集合体の長さをLとしたとき、集合体の頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点において測定した、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角の平均値θが15°より小さく
前記集合体が、Head−to−Tail様式で1個ないし数十個連結することによって構成され、
含有灰分量が3重量%以下である、気相成長法を含む方法により製造される微細な炭素短繊維からなる二次凝集体であって、
フタル酸ジブチルの吸収量が180〜320mL/100gであること、N−メチルピロリドンの吸収量が150〜300mL/100gであること、および、動的光散乱法によって測定される粒子径換算の繊維の代表長さが20〜70nmであることを特徴とする微細な炭素短繊維からなる二次凝集体。
4.マグネシウムが置換固溶したコバルトのスピネル型酸化物を含む触媒に、CO及びHを含む混合ガスを供給して反応させることによって成長させた微細な炭素繊維にずり応力を加えて短繊維化することを特徴とする、項に記載の微細な炭素短繊維からなる二次凝集体
本発明の微細な炭素繊維では、繊維を構成するグラファイト網面の開放端が繊維側周面に適当な間隔で露出していると共に、グラファイト網面からなる側周面と繊維軸とのなす角が小さい繊維構造を有する。この微細な炭素繊維の釣鐘状構造単位集合体の繊維軸方向の結合は連続した炭素SP2結合であり、その結合力は大きく、また良好な繊維軸方向の導電性が得られる。また、本炭素繊維は繊維軸方向に対してアスペクト比が2から150程度の頻度でグラファイト網面の開放端が繊維側周面に適当な間隔で露出している部分が存在する。このため、単独の繊維における長軸方向の導電性と隣接する繊維間での導電性とをバランスよく両立させることができる。
更に、本発明の微細な炭素繊維は、繊維軸方向の長さが長過ぎないにもかかわらず、灰分が少なく高純度であるという特徴を有している。この結果、ポリマーコンポジット製造時における混練性、分散性に優れており、ポリマーを劣化させることなくコンポジットを製造できる。また、工業的に有用な、濃度の高いマスターバッチを製造することが可能である。加えて高純度であることから、多くの用途において精製工程が不要であり、ポリマーコンポジットだけでなく様々な分野へ展開することができる。
また、本発明の微細な炭素繊維を構成する釣鐘状構造単位集合体の開放端の部分では、繊維軸に対し傾斜を持った炭素基底面で接合部が形成されている。言い換えれば、この接合部は主として炭素基底面間の結合、即ちファンデルワールス力という緩やかな結合力で釣鐘状構造単位集合体が接合している部分といえる。したがって、この部分にずり応力が加わると、容易に炭素基底面間で滑りが生じ、釣鐘状構造単位集合体は接合部から滑り抜ける、あるいは引き抜けるように切断される。
微細な炭素繊維を微細な炭素短繊維へ短繊維化する方法は、従来の短繊維化技術として(3)で記載したボールミル切断方法と、手段としては同一である。しかし、従来の炭素繊維は、繊維のほぼ全体が炭素SP2結合で出来ているため、この結合を切断するには多大のエネルギーを要す上、切断された繊維の外壁は大きな損傷を受ける。しかしながら、本発明の微細な炭素繊維は、釣鐘状構造単位集合体がファンデルワールス力で接合した構造であるため、小さなエネルギーで接合部を分離することができ、かつ小さなエネルギーで短繊維化することによって、得られた微細な炭素短繊維は何ら損傷を受けることはない。さらに、小さなエネルギーで短繊維化することは、ボールミル容器やボールに与える衝撃が小さく、これら容器やボールが削られて発生するコンタミネーションが少ないことも特徴である。このことは、実施例の表2に記載された短繊維化前後の繊維(参考例B1と実施例B1−6)について、XRDにより測定される炭素層間隔が大きく変化しないこと、真比重がほとんど変化しないこと、および表面積が短繊維化に相当する程度以上には増加しないことから明らかである。
また、微細な炭素繊維の製造方法によれば、不純物の少ない微細な炭素繊維を効率的に製造することができるので、これにずり応力を加えて得られる微細な炭素短繊維の純度も高く、加えて、短繊維化、すなわち接合部位間の分離に大きなエネルギーを要さないので、ボールミルなどからの不純物汚染を軽微なものとすることが出来る。さらには、本発明の微細な炭素短繊維を用いることで、樹脂や粉体と均一に混合する際に要するエネルギーが小さくなる。例えば、樹脂との混合においては、高温下で大きなせん断力を必要としないので、樹脂特性を維持した導電性を有する複合材を製造することが可能であり、また、固体との混合においては、固体の結晶性を破壊することなく固体特性を維持した導電性を有する複合材を製造することが可能である。
(a)微細な炭素繊維を構成する最小構造単位(釣鐘状構造単位)を模式的に示す図である。 (b)釣鐘状構造単位が、2〜30個積み重なった集合体を模式的に示す図である。 (a)集合体が間隔を隔てて連結し、繊維を構成する様子を模式的に示す図である。 (b)集合体が間隔を隔てて連結する際に、屈曲して連結した様子を模式的に示す図である。 実施例A1で製造した微細な炭素繊維のTEM写真像である。 微細な炭素繊維が、ずり応力により微細な炭素短繊維に引き抜かれる様子を模式的に示す図である。 実施例B1−6で短繊維化された微細な炭素短繊維のTEM像である。 図5と同様に実施例B1−6で短繊維化された微細な炭素短繊維のTEM像である。
まず、微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の基本的構造について説明する。
<微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の基本的構造>
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維は、図1(a)に示すような釣鐘状構造を最小構造単位として有する。釣鐘(temple bell)は、日本の寺院で見られ、比較的円筒形に近い胴部を有しており、円錐形に近いクリスマスベルとは形状が異なる。図1(a)に示すように、構造単位11は、釣鐘のように、頭頂部12と、開放端を備える胴部13とを有し、概ね中心軸の周囲に回転させた回転体形状となっている。構造単位11は、炭素原子のみからなるグラファイト網面により形成され、胴部開放端の円周状部分はグラファイト網面の開放端となる。なお、図1(a)において、中心軸および胴部13は、便宜上直線で示されているが、必ずしも直線ではなく、後述する図3、図5及び図6のように曲線の場合もある。
胴部13は、開放端側に緩やかに広がっており、その結果、胴部13の母線は釣鐘状構造単位の中心軸に対してわずかに傾斜し、両者のなす角θは、15°より小さく、より好ましくは1°<θ<15°、更に好ましくは2°<θ<10°である。θが大きくなりすぎると、該構造単位から構成される微細な炭素繊維が魚骨状炭素繊維様の構造を呈してしまい、繊維軸方向の導電性が損なわれてしまう。一方θが小さいと、円筒チューブ状に近い構造となり、構造単位の胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が低くなるため、隣接繊維間の導電性が悪化する。
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維には、欠陥、不規則な乱れが存在するが、このような不規則性を排除して、全体としての形状を捉えると、胴部13が開放端側に緩やかに広がった釣鐘状構造を有していると言える。本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維は、すべての部分においてθが上記範囲を示すことを意味しているのではなく、欠陥部分や不規則な部分を排除しつつ、構造単位11を全体的に捉えたときに、総合的にθが上記範囲を満たしていることを意味している。そこで、θの測定では、胴部の太さが不規則に変化していることもある頭頂部12付近を除くことが好ましい。より具体的には、例えば、図1(b)に示すように釣鐘状構造単位集合体21の長さをLとすると、頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点においてθを測定してその平均を求め、その値を、構造単位11についての全体的なθとしてもよい。また、Lについては、直線で測定することが理想であるが、実際は胴部13が曲線であることも多いため、胴部13の曲線に沿って測定した方が実際の値に近い場合もある。
頭頂部の形状は、微細な炭素繊維(微細な炭素短繊維においても同じ)として製造される場合、胴部と滑らかに連続し、上側(図において)に凸の曲面となっている。頭頂部の長さは、典型的には、釣鐘状構造単位集合体について説明するD(図1(b))以下程度であり、d(図1(b))以下程度であるときもある。
さらに、後述するように活性な窒素を原料として使用しないため、窒素等の他の原子は、釣鐘状構造単位のグラファイト網面中に含まれない。このため繊維の結晶性が良好である。
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維においては、図1(b)に示すように、このような釣鐘状構造単位が中心軸を共有して2〜30個積み重なって釣鐘状構造単位集合体21(以下、単に集合体という場合がある。)を形成している。積層数は、好ましくは2〜25個であり、より好ましくは2〜15個である。
集合体21の胴部の外径Dは、5〜40nm、好ましくは5〜30nm、更に好ましくは5〜20nmである。Dが大きくなると形成される微細繊維の径が太くなるため、ポリマーとのコンポジットにおいて導電性能等の機能を付与するためには、多くの添加量が必要となってしまう。一方、Dが小さくなると形成される微細繊維の径が細くなって繊維同士の凝集が強くなり、例えばポリマーとのコンポジット調製において、分散させることが困難になる。胴部外径Dの測定は、集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)L及び(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部外径Dを便宜上示しているが、実際のDの値は、上記3点の平均値が好ましい。
また、集合体胴部の内径dは、3〜30nm、好ましくは3〜20nm、更に好ましくは3〜10nmである。胴部内径dの測定についても、釣鐘状構造単位集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)L及び(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部内径dを便宜上示しているが、実際のdの値は、上記3点の平均値が好ましい。
集合体21の長さLと胴部外径Dから算出されるアスペクト比(L/D)は、2〜150、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜10である。アスペクト比が大きいと、形成される繊維の構造が円筒チューブ状に近づき、1本の繊維における繊維軸方向の導電性は向上するが、構造単位胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が低くなるため、隣接繊維間の導電性が悪化する。一方、アスペクト比が小さいと構造単位胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が高くなるため、隣接繊維間の導電性は向上するが、繊維外周面が、繊維軸方向に短いグラファイト網面が多数連結して構成されるため、1本の繊維における繊維軸方向の導電性が損なわれる。
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維は、釣鐘状構造単位および釣鐘状構造単位集合体については、本質的に同じ構成を有しているが、以下ように繊維長が異なる。
まず、本発明の微細な炭素繊維は、図2(a)に示すように、前記集合体がさらにHead−to−Tailの様式で連結することにより形成される。Head−to−Tailの様式とは、微細な炭素繊維の構成において、隣り合った前記集合体どうしの接合部位が、一方の集合体の頭頂部(Head)と他方の集合体の下端部(Tail)の組合せで形成されていることを意味する。具体的な接合部分の形態は、第一の集合体21aの下端開口部において、最内層の釣鐘状構造単位の更に内側に、第二の集合体21bの最外層の釣鐘状構造単位の頭頂部が挿入され、さらに、第二の集合体21bの下端開口部に、第三の集合体21cの頭頂部が挿入され、これがさらに連続することによって繊維が構成される。
微細な炭素繊維の1本の微細繊維を形成する各々の接合部分は、構造的な規則性を有しておらず、例えば第一の集合体と第二の集合体の接合部分の繊維軸方向の長さは、第二の集合体と第三の集合体の接合部分の長さと必ずしも同じではない。また、図2(a)のように、接合される二つの集合体が中心軸を共有して直線状に連結することもあるが、図2(b)の釣鐘状構造単位集合体21bと21cのように、中心軸が共有されずに接合して、結果として接合部分において屈曲構造を生じることもある。前記釣鐘状構造単位集合体の長さLは繊維ごとにおおむね一定である。しかしながら、気相成長法では、原料及び副生のガス成分と触媒及び生成物の固体成分が混在するため、発熱的な炭素析出反応の実施においては、前記の気体及び固体からなる不均一な反応混合物の流動状態によって一時的に温度の高い局所が形成されるなど、反応器内に温度分布が生じ、その結果、長さLにある程度のばらつきが生じることもある。
このようにして構成される微細な炭素繊維は、前記釣鐘状構造単位下端のグラファイト網面の開放端の少なくとも一部が、前記集合体の連結間隔に応じて、繊維外周面に露出する。この結果、1本の繊維における繊維軸方向の導電性を損なうことなく、前記π電子の飛び出しによるジャンピング効果(トンネル効果)によって隣接する繊維間の導電性を向上させることができる。以上のような微細な炭素繊維の構造は、TEM画像によって観察できる。また、本発明の微細な炭素繊維の効果は、集合体自体の曲がり、集合体の連結部分における屈曲が存在しても、ほとんど影響がないと考えられる。従って、TEM画像の中で、比較的直線に近い形状を有する集合体を観察して、構造に関する各パラメータを求め、その繊維についての構造パラメータ(θ、D、d、L)としてよい。
次に、本発明の微細な炭素短繊維は、このようにして構成される微細な炭素繊維をさらに短繊維化して得られる。具体的には、微細な炭素繊維にずり応力を加えることにより、集合体接合部で黒鉛基底面間の滑りを生じ、微細な炭素繊維が前記集合体接合部の一部で切断されて短繊維化される。このような短繊維化により得られる微細な炭素短繊維は、集合体が1個から数十個程度(即ち100個以下、80個程度まで、好ましくは70個程度まで)、好ましくは、1個から20個連結した繊維長さに短繊維化されている。この微細な炭素短繊維の集合体のアスペクト比は2ないし150程度である。混合に適する微細な炭素短繊維の集合体のアスペクト比は2ないし50である。ずり応力を加えても、集合体の炭素SP2結合から成る繊維直胴部分では、繊維の切断が起こらず、集合体よりも小さく切断することはできない。
微細な炭素短繊維においても、グラファイト網の端面が露出する結果、1本の繊維における繊維軸方向の導電性を損なうことなく、前記π電子の飛び出しによるジャンピング効果(トンネル効果)によって隣接する繊維間の導電性は短繊維化前の微細な炭素繊維と同様に良好である。以上のような短繊維化後の微細な炭素短繊維の構造は、TEM画像によって観察できる(図5および図6を参照)。また、微細な炭素短繊維の効果は、集合体自体の曲がり、集合体の接合部分における屈曲が存在しても、ほとんど影響がないと考えられる。図5の微細な炭素短繊維は、釣鐘状構造単位集合体が、図に示したように4−a〜4−dの4個連結されており、それぞれのθおよびアスペクト比(L/D)は、4−a:θ=4.8°、(L/D)=2.5、4−b:θ=0.5°、(L/D)=2.0、4−c:θ=4.5°、(L/D)=5.0、4−d:θ=1.1°、(L/D)=5.5である。また、図6の微細な炭素短繊維は、釣鐘状構造単位集合体が、図に示したように5−a〜5−dの4個連結されており、それぞれのθおよびアスペクト比(L/D)は、5−a:θ=10°、(L/D)=4.3、5−b:θ=7.1°、(L/D)=3.4、5−c:θ=9.5°、(L/D)=2.6、5−d:θ=7.1°、(L/D)=4.3である。
微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の学振法によるXRDにおいて、測定される002面のピーク半価幅W(単位:degree)は、2〜4の範囲である。Wが4を超えると、グラファイト結晶性が低く導電性も低い。一方、Wが2未満ではグラファイト結晶性は良いが、同時に繊維径が太くなり、ポリマーに導電性等の機能を付与するためには多くの添加量が必要となってしまう。
微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の学振法によるXRD測定によって求められるグラファイト面間隔d002は、0.350nm以下、好ましくは0.341〜0.348nmである。d002が0.350nmを超えるとグラファイト結晶性が低くなり、導電性が低下する。一方、0.341nm未満の繊維は、製造の際に収率が低い。
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維に含有される灰分は、3重量%以下であり、通常の用途では、精製を必要としない。通常、0.3重量%以上3重量%以下であり、より好ましくは0.3重量%以上2重量%以下である。尚、灰分は、繊維を0.1グラム以上燃焼して残った酸化物の重量から決定される。
次に、本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の製造方法について説明する。本発明の微細な炭素短繊維は、微細な炭素繊維を短繊維化して製造される。
<微細な炭素繊維の製造方法>
本発明の微細な炭素繊維の製造方法は、次のとおりである。コバルトのスピネル型結晶構造を有する酸化物に、マグネシウムが固溶置換した触媒を用いて、CO及びHを含む混合ガスを触媒粒子に供給して気相成長法により、微細な炭素繊維を製造する。
Mgが置換固溶したコバルトのスピネル型結晶構造は、MgCo3−xで表される。ここで、xは、MgによるCoの置換を示す数であり、形式的には0<x<3である。また、yはこの式全体が電荷的に中性になるように選ばれる数で、形式的には4以下の数を表す。即ち、コバルトのスピネル型酸化物Coでは、2価と3価のCoイオンが存在しており、ここで、2価および3価のコバルトイオンをそれぞれCoIIおよびCoIIIで表すと、スピネル型結晶構造を有するコバルト酸化物はCoIICoIII で表される。Mgは、CoIIとCoIIIのサイトの両方を置換して固溶する。MgがCoIIIを置換固溶すると、電荷的中性を保つためにyの値は4より小さくなる。但し、x、y共に、スピネル型結晶構造を維持できる範囲の値をとる。
触媒として使用できる好ましい範囲として、Mgの固溶範囲は、xの値が0.5〜1.5であり、より好ましくは0.7〜1.5である。xの値が0.5未満の固溶量では、触媒の活性は低く、生成する微細な炭素繊維の量は少ない。xの値が1.5を超える範囲では、スピネル型結晶構造を調製することが困難である。
触媒のスピネル型酸化物結晶構造は、XRD測定により確認することが可能であり、結晶格子定数a(立方晶系)は、0.811〜0.818nmの範囲であり、より好ましくは0.812〜0.818nmである。aが小さいとMgの固溶置換が充分でなく、触媒活性が低い。また、0.818nmを超える格子定数を有する前記スピネル型酸化物結晶は調製困難である。
このような触媒が好適である理由として、本発明者らは、コバルトのスピネル構造酸化物にマグネシウムが置換固溶した結果、あたかもマグネシウムのマトリックス中にコバルトが分散配置された結晶構造が形成されることにより、反応条件下においてコバルトの凝集が抑制されていると推定している。
また、触媒の粒子サイズは、適宜選ぶことができるが、例えばメジアン径として、0.1〜100μm、好ましくは、0.1〜10μmである。
触媒粒子は、一般に基板または触媒床等の適当な支持体に、散布するなどの方法により載せて使用する。基板または触媒床への触媒粒子の散布は、触媒粒子を直接散布して良いが、エタノール等の溶媒に懸濁させて散布し、乾燥させることにより所望の量を散布しても良い。
触媒粒子は、原料ガスと反応させる前に、活性化させることも好ましい。活性化は通常、HまたはCOを含むガス雰囲気下で加熱することにより行われる。これらの活性化操作は、必要に応じて、HeやNなどの不活性ガスで希釈することにより実施することができる。活性化を実施する温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは450〜550℃である。
気相成長法の反応装置に特に制限はなく、固定床反応装置や流動床反応装置といった反応装置により実施することができる。
気相成長の炭素源となる原料ガスは、CO及びHを含む混合ガスが利用される。
ガスの添加濃度{H/(H+CO)}は、好ましくは0.1〜30vol%、より好ましくは2〜20vol%である。添加濃度が低すぎると円筒状のグラファイト質網面が繊維軸に平行したカーボンナノチューブ様の構造を形成してしまう。一方、30vol%を超えると釣鐘状構造体の炭素側周面の繊維軸に対する傾斜角が大きくなり、魚骨形状を呈するため繊維方向の導電性の低下を招く。
また、原料ガスは不活性ガスを含有していてもよい。不活性ガスとしては、CO、N、He、Ar等が挙げられる。不活性ガスの含有量は、反応速度を著しく低下させない程度が好ましく、例えば80vol%以下、好ましくは50vol%以下の量である。また、HおよびCOを含有する合成ガスまたは転炉排出ガス等の廃棄ガスを、必要により適宜処理して使用することもできる。
気相成長を実施する反応温度は、好ましくは400〜650℃、より好ましくは500〜600℃である。反応温度が低すぎると繊維の成長が進行しない。一方、反応温度が高すぎると収量が低下してしまう。反応時間は、特に限定されないが、例えば2時間以上であり、また12時間程度以下である。
気相成長を実施する反応圧力は、反応装置や操作の簡便化の観点から常圧で行うことが好ましいが、Boudouard平衡の炭素析出が進行する範囲であれば、加圧または減圧の条件で実施しても差し支えない。
この微細な炭素繊維の製造方法によれば、触媒単位重量あたりの微細な炭素繊維の生成量は、従来の製造方法、例えば非特許文献2記載の方法に比べて格段に大きいことが示された。この微細な炭素繊維の製造方法による微細な炭素繊維の生成量は、触媒単位重量あたり40倍以上であり、例えば40〜200倍である。その結果、前述のような不純物、灰分の少ない微細な炭素繊維の製造が可能である。
この微細な炭素繊維の製造方法により製造される微細な炭素繊維に特有な接合部の形成過程は明らかではないが、発熱的なBoudouard平衡と原料ガスの流通による除熱とのバランスから、前記触媒から形成されたコバルト微粒子近傍の温度が上下に振幅するため、炭素析出が断続的に進行することにより形成されるものと考えられる。即ち、[1]釣鐘状構造体頭頂部形成、[2]釣鐘状構造体の胴部成長、[3]前記[1]、[2]過程の発熱による温度上昇のため成長停止、[4]流通ガスによる冷却、の4過程が触媒微粒子上で繰り返されることにより、微細な炭素繊維構造特有の接合部が形成されると推定される。
<微細な炭素短繊維の製造方法>
以上により、本発明の微細な炭素繊維を製造することができる。次に、本発明の微細な炭素短繊維は、微細な炭素繊維を分離して短繊維とすることで製造することができる。好ましくは、微細な炭素繊維にずり応力を加えることにより製造する。具体的な短繊維化処理方法としては擂潰機、回転ボールミル、遠心ボールミル、遠心遊星ボールミル、ビーズミル、マイクロビーズミル、アトライタータイプの高速ボールミル、回転ロッドミル、振動ロッドミル、ロールミル、3本ロールミルなどが好適である。微細な炭素繊維の短繊維化は乾式でも、湿式でも行うことが可能である。湿式で行う場合、樹脂を共存させて、或は樹脂とフィラーを共存させて行うことも出来る。また短繊維化前の微細な炭素繊維は凝集した毛玉のような状態を構成しているので、このような状態を解きほぐす微小なメディアを共存させると解砕、短繊維化が進みやすい。また、微細なフィラーを共存させることで、微細な炭素繊維の短繊維化と、フィラーの混合および分散とを同時に行うことも出来る。乾式短繊維化における雰囲気は不活性雰囲気も酸化雰囲気も目的によって選択することが出来る。
ずり応力を加えることにより容易に微細な炭素繊維が短繊維化する理由は、微細な炭素繊維の構造に由来する。つまり、微細な炭素繊維は、その釣鐘状構造単位集合体がHead−to−Tail様式で間隔をもって連結して繊維を形成しているためである。繊維にずり応力が加わると、繊維は図4の矢印方向の繊維軸方向に引っ張られて、接合部を構成する炭素基底面間で滑りが生じ(図4のA:カタカナの「ハ」形部分)、Head−to−Tail接続部で釣鐘状構造単位集合体が1個から数十個の単位で引き抜かれ、短繊維化が起きる。即ち、Head−to−Tail接合部は同心円状炭素繊維のように繊維軸方向に連続した炭素の二重結合で形成されているのではなく、結合エネルギーの低いファンデルワールス力を主体とする結合で形成されているからである。
<微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の代表長さ>
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の一次構造における個々の繊維の代表長さは動的光散乱法によって近似的に求めることが可能である。動的光散乱法による繊維の代表長さは繊維を球体とみなして求められているため、一次構造における繊維長さとは厳密に一致するものではない。しかしながら、動的光散乱法による繊維の代表長さは、近似値として、一次構造における繊維長さと充分な対応関係を有しており、カーボンナノチューブに代表されるような炭素繊維の一次構造の大きさを評価する方法として有効である。
動的光散乱法によって、測定結果は繊維の代表長さの分布として得られる。この分布のモード値を一次構造における繊維の代表長さと見なして差し支えない。
本発明の微細な炭素繊維の動的光散乱法による繊維の代表長さは、通常40〜120nmであり、好ましくは50〜110nmであり、さらに好ましくは60〜100nmである。
本発明の微細な炭素短繊維の動的光散乱法による繊維の代表長さは、通常20〜70nmであり、好ましくは30〜60nmであり、さらに好ましくは30〜50nmである。
<微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の吸収量>
大量生産に適していると考えられる、気相法で合成されるカーボンナノチューブ等の炭素繊維は、実際には繊維が互いに複雑に絡まった二次凝集体構造を形成している。二次凝集体構造には繊維どうしの隙間から形成される空隙が存在するが、これが大きいと、コンポジットを構成するポリマー成分において、空隙に取り込まれるポリマー分子の占める割合が高くなることにつながり、コンポジットにおける微細な炭素繊維の濃度を高めることができなくなる。
ところで、混練によるポリマーコンポジット製造の初期段階では、前記の空隙にポリマー分子が取り込まれたペースト状混合物が形成されると考えられ、これをせん断力などによって引き伸ばしながら微細な炭素繊維を解きほぐし分散させることになる。従って、このペースト状混合物が混練し難いと、ポリマーコンポジットにおいて良好な分散状態を得ることが困難になる。
前記の空隙の大きさは、比表面積が同程度の大きさであれば、フタル酸ジブチルのような有機化合物の吸収量によって評価することができる。
前記の吸収量はブラベンダー社製のアブソープトメーターCを使用して測定することが出来る。また測定操作は、ゴム用カーボンブラックの基本特性に関するASTM D2414などを参考に設定すれば良い。
前記測定装置(ブラベンダー社製アブソープトメーターC)での吸収量測定においては、ミキサーを備えた試料混合室において、微細な炭素繊維にフタル酸ジブチルなどの有機化合物を滴下して吸収させながら、形成される混合物のミキシングに要するトルクが計測される。このトルクが大きいことは、微細な炭素繊維が有機物などを取り込んだペースト状混合物の混練に要する力が大きいことを意味するため、ポリマーコンポジット製造における分散性も悪いと考えられる。
吸収量は前記ASTMのProcedure Bに従って求めることができる。すなわち、吸収によって形成される混合物のミキシングに要するトルクの最大値を基準に、その70%のトルクを発生した時点でのフタル酸ジブチルの供給量を、微細な炭素繊維100gあたりの数値に換算することで吸収量を求めることが出来る。
本発明の微細な炭素繊維からなる二次凝集体のフタル酸ジブチルの吸収量は100gあたり300〜500mLであり、好ましくは300〜450mLである。
本発明の微細な炭素短繊維からなる二次凝集体のフタル酸ジブチルの吸収量は100gあたり180〜320mLであり、好ましくは230〜280mLである。
前記ASTMでは、吸収量測定に用いる化合物としてフタル酸ジブチルが示されているが、これ以外の化合物を用いて吸収量を測定することによって、微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維の物性把握に役立てることも出来る。測定に用いる化合物は、前記アブソープドメーターCで使用できる化合物であれば特に制限は無く、アルコール類、エステル類、アミド類、ニトリル類など種々の有機化合物や水を使用することが出来る。例えば、N−メチルピロリドンを使用して測定しても良い。
本発明の微細な炭素繊維からなる二次凝集体のN−メチルピロリドンの吸収量は100gあたり300〜500mLであり、好ましくは350〜450mLである。
本発明の微細な炭素短繊維からなる二次凝集体のN−メチルピロリドンの吸収量は100gあたり150〜300mLであり、好ましくは200〜250mLである。
以下に本発明の実施例を比較例と共に説明する。
動的光散乱による代表長さの測定は大塚電子(株)製の光散乱装置DLS−6000 ALを用いて行った。測定で得られた散乱光分布におけるモード/最大/最小の粒径について、2回の測定の平均値を求めた。また、吸収量測定はブラベンダー社製アブソープトメーターCを用い、操作条件はASTMのD2414と同様とした。試料室に微細な炭素繊維または微細な炭素短繊維を入れ、フタル酸ジブチルのような有機物を滴下すると、混合物のミキシングに要するトルクは単調に増加していき、最大値に達する。この最大トルクに対して70%のトルク発生している時点での吸収量を、フタル酸ジブチルの滴下量に対して発生トルクをプロットした測定チャートから求め、これを微細な炭素繊維または微細な炭素短繊維100gあたりの数値に換算して吸収量とした。
<参考例1:微細な炭素繊維の合成>
イオン交換水500mLに硝酸コバルト〔Co(NO・6HO:分子量291.03〕115g(0.40モル)、硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO:分子量256.41〕102g(0.40モル)を溶解させ、原料溶液(1)を調製した。また、重炭酸アンモニウム〔(NH)HCO:分子量79.06〕粉末220g(2.78モル)をイオン交換水1100mLに溶解させ、原料溶液(2)を調製した。次に、反応温度40℃で原料溶液(1)と(2)を混合し、その後4時間攪拌した。生成した沈殿物のろ過、洗浄を行い、乾燥した。
これを焼成した後、乳鉢で粉砕し、43gの触媒を取得した。本触媒中のスピネル構造の結晶格子定数a(立方晶系)は0.8162nm、置換固溶によるスピネル構造中の金属元素の比はMg:Co=1.4:1.6であった。
石英製反応管(内径75mmφ、高さ650mm)を立てて設置し、その中央部に石英ウール製の支持体を設け、その上に触媒0.9gを散布した。He雰囲気中で炉内温度を550℃に加熱した後、CO、Hからなる混合ガス(容積比:CO/H=95.1/4.9)を原料ガスとして反応管の下部から1.28L/分の流量で7時間流し、微細な炭素繊維を合成した。
収量は53.1gであり、灰分を測定したところ1.5重量%であった。生成物のXRD分析で観察されたピーク半価幅W(degree)は3.156、d002は0.3437nmであった。またTEM画像から、得られた微細な炭素繊維を構成する釣鐘状構造単位及びその集合体の寸法に関するパラメータは、D=12nm、d=7nm、L=114nm、L/D=9.5、θは0から7°であり、平均すると約3°であった。また、集合体を形成する釣鐘状構造単位の積層数は4乃至5であった。尚、D、dおよびθについては、集合体の塔頂から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点について測定した。
参考例1で得られた微細な炭素繊維のTEM像を図3に示す。
<参考例2:微細な炭素短繊維の合成>
イオン交換水500mLに硝酸コバルト〔Co(NO・6HO:分子量291.03〕115g(0.40モル)、硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO:分子量256.41〕102g(0.40モル)を溶解させ、原料溶液(1)を調製した。また、重炭酸アンモニウム〔(NH)HCO:分子量79.06〕粉末220g(2.78モル)をイオン交換水1100mLに溶解させ、原料溶液(2)を調製した。次に、反応温度40℃で原料溶液(1)と(2)を混合し、その後4時間攪拌混合した。生成した沈殿物のろ過、洗浄を行い、乾燥した。
これを焼成した後、乳鉢で粉砕し、43gの触媒を取得した。本触媒中のスピネル構造の結晶格子定数a(立方晶系)は0.8162nm、置換固溶によるスピネル構造中の金属元素の比はMg:Co=1.4:1.6であった。
石英製反応管(内径75mmφ、高さ650mm)を立てて設置し、その中央部に石英ウール製の支持体を設け、その上に触媒0.9gを散布した。He雰囲気中で炉内温度を545℃に加熱した後、CO、Hからなる混合ガス(容積比:CO/H=95.5/4.5)を原料ガスとして反応管の下部から1.45L/分の流量で7時間流し、微細な炭素繊維を合成した。
収量は56.7gであり、灰分を測定したところ1.4重量%であった。生成物のXRD分析で観察されたピーク半価幅W(degree)は3.39、d002は0.3424nmであった。
以上により得られた微細な炭素繊維を直径2mmのセラミックボールミルで所定時間処理して微細な炭素短繊維を調製した。20時間後の微細な炭素短繊維のTEM画像を図5及び図6に示す。また、図5及び図6のTEM画像から、得られた微細な炭素短繊維を構成する釣鐘状構造単位及びその集合体の寸法に関するパラメータは、D=10.6〜13.2nm、L/D=2.0〜5.5、θ=0.5°〜10°であった。なお、ここに示すθはTEM画像の繊維軸中心に対して左右の炭素層傾斜の平均値を記載した。集合体を形成する釣鐘状構造単位の積層数は10〜20であった。
<実施例1:微細な炭素繊維の評価>
参考例1で合成した微細な炭素繊維をカルボキシメチルセルロースナトリウム及び水と1:0.2:98.8の重量比で混合し、これを40分間の超音波処理に供した。こうして得られた分散試料を水と5:95の重量比で混合して希釈し、動的光散乱法による代表長さ測定に供したところ、代表長さの最大値は130nm、最小値は49nmであり、モード値は79nmであった。次に、参考例1で合成した微細な炭素繊維の3.5gを使用し、フタル酸ジブチルの吸収量を測定したところ、吸収量410mL/100gで最大トルクに達し、その値は423mN・mであった。この最大トルクに達した時点でのフタル酸ジブチルと微細な炭素繊維からなる混合物中の微細な炭素繊維の濃度は19.0重量%である。この最大トルクを基準に70%のトルクを発生した時点での吸収量は398mL/100gであり、この時のフタル酸ジブチルと微細な炭素繊維からなる混合物中の微細な炭素繊維の濃度は19.5重量%であった。N−メチルピロリドンを用いて同様の測定を行ったところ、吸収量419mL/100gで最大トルクに達し、その値は371mN・mであった。この最大トルクに達した時点でのN−メチルピロリドンと微細な炭素繊維からなる混合物中の微細な炭素繊維の濃度は18.8重量%である。この最大トルクを基準に70%のトルクを発生した時点での吸収量は397mL/100gであり、この時のN−メチルピロリドンと微細な炭素繊維からなる混合物中の微細な炭素繊維の濃度は19.6重量%であった。また、この微細な炭素繊維の比表面積は251m/gであった。
<実施例2:微細な炭素短繊維の評価>
参考例2で合成した微細な炭素短繊維の動的光散乱法による代表長さ及び吸収量の測定を実施例1と同様の方法で行った。また、この微細な炭素短繊維の比表面積は261m/gであった。
<比較例1>
市販の多層カーボンナノチューブ(ナノシル社製NC7000)の動的光散乱法による代表長さ及び吸収量の測定を実施例1と同様の方法で行った。また、NC7000の比表面積は280m/gであり、灰分は8.2重量%であった。
<比較例2>
市販の多層カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製VGCF−X)の動的光散乱法による代表長さ及び吸収量の測定を実施例1と同様の方法で行った。また、VGCF−Xの比表面積は269m/gであり、灰分は6.8重量%であった。
<比較例3>
市販の多層カーボンナノチューブ(ナノシル社製NC7000)を参考例2と同様の方法によるボールミル処理を行った後、得られたボールミル処理品の動的光散乱法による代表長さ及び吸収量の測定を実施例1と同様の方法で行った。このボールミル処理品の比表面積は308m/gであった。
表1に本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維と市販の多層カーボンナノチューブの動的光散乱法による長さの測定結果、灰分、比表面積をまとめた。
Figure 0005110059
表2に本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維と市販の多層カーボンナノチューブの吸収量の測定結果をまとめた。なお、表2中の項目「比率」における100、70は、対応する行中の数値がそれぞれ最大トルク、70%トルクに達した時点での測定結果であることを示す。
Figure 0005110059
本発明の微細な炭素繊維及び微細な炭素短繊維は、灰分が少なく高純度であるにもかかわらず、繊維軸方向の長さが市販の多層カーボンナノチューブに比べて短い。この結果、二次凝集体における空隙が少ないため、フタル酸ジブチルやN−メチルピロリドンの吸収量が少ない。また、吸収した混合物のミキシングに要するトルクが小さいことから、解きほぐしやすく分散性に優れている。一方、市販の多層カーボンナノチューブは吸収量が大きく、吸収によって形成される混合物中の繊維濃度が低いにもかかわらず、そのミキシングに要するトルクが大きい。従って、分散性が悪く、ポリマーコンポジットなどにおいて、炭素繊維の濃度を上げることが困難である。比較例3では市販品をボールミル処理した後に評価した。動的光散乱法による測定では、代表長さの変化は認められず、この市販品においてはボールミル処理では繊維が切断されないことが示された。このとき、圧密化によって二次凝集体の空隙が少なくなり吸収量は低下したものの、繊維長が変化していないため、依然としてミキシングに要するトルクは大きく、解きほぐしやすさは改善しなかった。
ポリマーや粉体とのコンポジット化における分散性や混練性を改善し、コンポジットの加工性に優れ、またコンポジットの導電性、熱伝導性、摺動性、補強等の機能発現に優れる微細な炭素繊維および/または微細な炭素短繊維、及びそれらの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
11 構造単位
12 頭頂部
13 胴部
21、21a、21b、21c 集合体

Claims (4)

  1. 炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、この集合体の長さをLとしたとき、集合体の頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点において測定した、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角の平均値θが15°より小さく
    前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結することによって構成され、
    含有灰分量が3重量%以下である、気相成長法によって製造される微細な炭素繊維からなる二次凝集体であって、
    フタル酸ジブチルの吸収量が300〜500mL/100gであること、N−メチルピロリドンの吸収量が300〜500mL/100gであること、および、動的光散乱法によって測定される粒子径換算の繊維の代表長さが40〜120nmであることを特徴とする微細な炭素繊維からなる二次凝集体。
  2. マグネシウムが置換固溶したコバルトのスピネル型酸化物を含む触媒に、CO及びHを含む混合ガスを供給して反応させ微細な炭素繊維を成長させることを特徴とする、請求項1に記載の微細な炭素繊維からなる二次凝集体。
  3. 炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、この集合体の長さをLとしたとき、集合体の頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点において測定した、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角の平均値θが15°より小さく
    前記集合体が、Head−to−Tail様式で1個ないし数十個連結することによって構成され、
    含有灰分量が3重量%以下である、気相成長法を含む方法により製造される微細な炭素短繊維からなる二次凝集体であって、
    フタル酸ジブチルの吸収量が180〜320mL/100gであること、N−メチルピロリドンの吸収量が150〜300mL/100gであること、および、動的光散乱法によって測定される粒子径換算の繊維の代表長さが20〜70nmであることを特徴とする微細な炭素短繊維からなる二次凝集体。
  4. マグネシウムが置換固溶したコバルトのスピネル型酸化物を含む触媒に、CO及びHを含む混合ガスを供給して反応させることによって成長させた微細な炭素繊維にずり応力を加えて短繊維化することを特徴とする、請求項3に記載の微細な炭素短繊維からなる二次凝集体。
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