JP5109788B2 - 測位制御方法 - Google Patents
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Description
GPS受信機は、複数のGPS衛星から信号を受信し、信号が各GPS衛星から発信された時刻とGPS受信機に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星とGPS受信機との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、各GPS衛星から受信した信号に乗せられている各GPS衛星の衛星軌道情報と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている。
GPS受信機は、4個以上のGPS衛星から信号を受信することができるときは、現在位置の緯度、経度、高度を算出する3次元測位を行うことができる。
そして、GPS受信機は、3個のGPS衛星から信号を受信することができるときは、現在位置の緯度及び経度を算出する2次元測位を行うことができる。GPS受信機は、例えば、地球の中心を一つのGPS衛星とみなし、地球の中心からの現在位置までの距離を擬似距離とする。そして、3次元測位と同様の測位演算を行う。このため、2次元測位においては、GPS受信機は、現在位置の高度情報を予め保持している必要がある。
これに対して、地図データから取得した高度を使用して2次元測位を行う技術(例えば、特許文献1)や、前回測位時にVDOP(Vertical Dilution of Precision)が最小のGPS衛星の組を使用して算出した高度、又は、前回の3次元測位によって算出した高度を使用して2次元測位を行う技術(例えば、特許文献2)が提案されている。
また、前回測位時にVDOPが最小のGPS衛星の組を使用して算出した高度を使用するとしても、前回測位時の不良な測位条件(信号強度が弱い環境、マルチパスが多い環境など)によって、その高度の誤差が大きい場合がある。さらに、前回の3次元測位によって算出した高度を使用する方法においても、前回測位時の不良な測位条件によって、高度の誤差が大きい場合があるという問題がある。
そして、上述の前記信頼性許容範囲内外判断手段によって、前記3次元高度情報の信頼性が、前記信頼性許容範囲内か否かを判断することができるから、前記3次元高度情報が前記信頼性許容範囲内か否かによって、前記3次元高度情報に対する前記高度情報の重みを調整することができる。このため、更新後の前記高度情報が示す高度は、より正確な高度になる。
なお、真の高度に近い高度を、正確な高度と呼ぶ。そして、真の高度に近い高度を示す情報を、正確な高度情報と呼ぶ。
さらに、前記測位装置は、前記更新回数評価手段を有するから、前記高度情報の更新の回数が、予め規定した2次元測位使用許容範囲内か否かを判断することができる。
そして、前記測位装置は、前記2次元座標情報生成手段を有するから、前記更新回数評価手段の判断結果に基づいて、前記衛星信号及び前記高度情報に基づく2次元測位を行って、2次元座標情報を生成することができる。前記3次元高度情報の信頼性は、前記高度情報信頼性判断手段によって、その信頼性が前記信頼性許容範囲内か否かの判断がなされているが、より多くの新たな前記3次元高度情報を使用して前記高度情報を更新することによって、前記高度情報をより正確な高度情報にすることができる。すなわち、前記高度情報の更新の回数が複数回であって、前記2次元測位使用許容範囲内であれば、更新された前記高度情報は正確な情報である。そして、正確な前記高度情報を使用して行う2次元測位によって生成された前記2次元測位座標情報は、真の位置に近い正確な位置を示す情報となる。
ここで、前記測位装置は、前記高度情報を例えば、一つだけ保持し、前記高度情報更新手段によって更新することができるから、高度データを保持する記憶負担は少ない。
これにより、前記測位装置によれば、高度データを保持する記憶負担を低減し、かつ、前回測位時の不良な測位条件の影響を低減しつつ、2次元測位に使用するための正確な高度情報を取得することができる。
一般に、物が地表を移動するときには、平面方向の移動量に比べて、上下方向の移動量は少ない。このため、前記高度情報を複数回更新した結果正確な高度情報になった後においては、新たな前記3次元高度情報を使用して前記高度情報を更新する必要はあるにしても、新たな前記3次元高度情報の重みを軽くして、保持している前記高度情報の重みを重くすることによって、前記高度情報を正確な情報にすることができる。
この点、第2の発明の構成によれば、前記高度情報更新手段は、前記高度情報の更新回数が増えるに連れて、前記3次元高度情報に対する前記高度情報の重みを重くして、前記高度情報を更新する構成となっているから、新たな前記3次元高度情報の要素を取り込みつつも、前記高度情報を正確な情報にすることができる。
この点、第3の発明の構成によれば、前記高度情報更新手段は、前記移動速度が予め規定した速度許容範囲内であれば、前記3次元高度情報に対する前記高度情報の重みを重くして、前記高度情報を更新する構成となっており、前記移動速度が前記速度許容範囲内でなければ、前記3次元高度情報に対する前記高度情報の重みを軽くして、前記高度情報を更新する構成となっているから、前記測位装置の移動速度に基づいて、前記高度情報を一層正確な情報にすることができる。
そして、前記測位装置は、前記高度情報更新手段によってその前記高度情報を更新することができる。
このため、前記測位装置は、高度データを保持する記憶負担を最小限度にしつつ、前回測位時の不良な測位条件の影響を低減し、2次元測位に使用するための正確な高度情報を取得することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示すように、測位システム10は、端末20を有する。端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dからの信号である信号S1,S2,S3及びS4を受信することができる。この信号S1等は、衛星信号の一例である。そして、端末20は、測位装置の一例である。
端末20は、その使用者甲に保持されて、地面G上を移動している。
また、端末20は、例えば、3つのGPS衛星12a,12b,12cから信号S1,S2及びS3を受信して、2次元測位を行い、現在位置の座標を緯度及び経度で示す情報を生成することができる。2次元測位においては、端末20は、高度Hを示す情報を予め取得しておく必要がある。そして、高度Hが正確であるほど、精度の高い2次元測位を行うことができる。
なお、高度Hは、地球の中心Eから端末20までの距離である。以後、本明細書において、「高度」は、地球の中心Eから端末20までの距離を意味するものとして使用する。
なお、本実施の形態とは異なり、GPS衛星12a等は4個に限らず例えば、3個でもよいし、5個以上でもよい。
図2は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
また、このバス22には、外部と通信するための通信装置32、各種情報を表示するための表示装置34が接続されている。
図3は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図2の端末GPS装置30に対応するGPS部102、通信装置32に対応する通信部104、速度計測部106等を有する。
この速度計測部106は、GPS部102によって受信した複数の信号S1等のドップラー偏移等に基づいて、端末20の移動速度を示す移動速度情報170を生成する(例えば、特開平8−68651の段落〔0016〕乃至〔0018〕参照)。すなわち、速度計測部106は、速度情報生成手段の一例である。
制御部100は、速度計測部106が生成した速度情報170を第2記憶部150に格納する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20にハードウエアとしての速度計を備え、その速度計によって端末20の移動速度を計測するようにしてもよい。
アルマナック154は、すべてのGPS衛星12a等(図1参照)の概略の軌道を示す情報である。アルマナック154は、例えば、7日間は有効である。このため、端末20は、いずれかのGPS衛星12a等の信号S1等から、7日間ごとにアルマナック154をデコードして更新している。
エフェメリス156は、各GPS衛星12a等(図1参照)の精密な軌道を、その取得時刻とともに示す情報である。エフェメリス156の有効期間は、例えば、4時間(h)である。このため、端末20は、4時間ごとに、観測可能な各GPS衛星12a等のエフェメリス156をデコードして更新している。
具体的には、端末20は、例えば、4個のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間に基づいて、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、各GPS衛星12a等についてのエフェメリス156と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行う。
3次元座標情報160は、端末20の現在位置の緯度及び経度を示す3次元緯度経度情報162、及び、端末20の現在位置の高度H2を示す3次元高度情報164を含む。
制御部100は、生成した3次元座標情報160を第2記憶部150に格納する。
具体的には、端末20は、例えば、3個のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間に基づいて、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、端末20は、地球の中心E(図1参照)を一つのGPS衛星と見なして、高度情報158に示される高度H1を地球の中心Eとの擬似距離と見なす。
次に、各GPS衛星12a等についてのエフェメリス156によって各GPS衛星12a等の現在時刻における衛星軌道上の位置を算出する。地球の中心Eの位置は既知である。そして、端末20は、各GPS衛星12a等の衛星軌道上の位置、地球の中心Eの位置、擬似距離及び高度H1に基づいて、現在位置の測位演算を行う。
2次元座標情報166は、端末20の現在位置を緯度及び経度で示す情報である。
制御部100は、生成した2次元座標情報166を第2記憶部150に格納する。
測位条件情報168は、例えば、PODP、測位衛星数、測位誤差を示す情報である。
なお、本実施の形態とは異なり、測位条件情報は、PODP、測位衛星数、測位誤差のうち、一つ又は二つを示す情報であってもよい。
例えば、制御部100は、測位条件情報168に示されるPDOPが3以下であれば、3次元高度情報164の信頼性が、信頼性許容範囲内であると判断する。PDOPが3以下であるという条件は、予め規定されている。すなわち、PDOPが3以下であるという条件は、信頼性許容範囲内の一例である。
なお、本実施の形態とは異なり、制御部100は、測位条件情報168に示される測位衛星数が5個以上である場合、及び/又は、測位誤差が100メートル(m)以下である場合に、3次元高度情報164の信頼性が、信頼性許容範囲内であると判断するようにしてもよい。
図4(a)に示すように、端末20は、ゲイン決定プログラム122として、ゲインカウンタに対応するゲインを記憶している。ゲイン決定プログラム122は、初期設定として、例えば、ゲインカウンタを5に設定し、ゲインαが3.5になるようにしている。
そして、制御部100は、高度情報信頼性判断プログラム118によって、3次元高度情報164が予め規定した信頼性許容範囲内であると判断して、3次元高度情報164に基づいて高度情報158を更新するときには、ゲインカウンタを1つ大きくして、ゲインαを大きくするようにしている(以後、原則動作と呼ぶ)。例えば、第1回目の更新のときには、制御部100は、ゲインカウンタを6に設定し、ゲインαが4になるようにする。そして、第2回目の更新のときには、制御部100は、ゲインカウンタを7に設定し、ゲインαが4.5になるようにする。このように、制御部100は、高度情報158の更新回数が増えるにつれてゲインαを大きくするようになっている。なお、ゲインαを大きくすることを、ゲインαを強めるともいう。また、ゲインαを小さくすることを、ゲインαを弱めるともいう。制御部100は、高度情報158の更新の度にゲインカウンタを1つづつ大きくすることによって、ゲインを徐々に大きくする。これにより、高度情報158に示される高度H1を真の高度の近傍に、徐々に固定させることができる。
これに対して、制御部100は、高度情報信頼性判断プログラム118によって、3次元高度情報164が予め規定した信頼性許容範囲内ではないと判断して、3次元高度情報164に基づいて高度情報158を更新するときには、ゲインカウンタを最大の9にして、最大のゲインαで高度情報158の更新を行う。これにより、高度情報158の更新の際の、信頼性許容範囲外の3次元高度情報164の影響を最小限にしつつ、新たな3次元高度情報164の要素を取り入れて高度情報158を更新することができる。
図4(b)に示すように、ゲインαが大きくなるほど、更新後の高度情報158に示される高度は、保持している高度情報158の高度H1に近くなる。そして、ゲインαが小さくなるほど、更新後の高度情報158に示される高度は、3次元高度情報164の高度H2に近くなる。
これに対して、制御部100は、速度情報170に示される速度Vが、毎時60キロメートル(km/h)よりも早い場合には、上述の原則動作の例外として、ゲインカウンタを一つ小さくして、ゲインαを小さくする。例えば、第1回目の更新のときには、制御部100は、ゲインカウンタを4に設定し、ゲインαが3になるようにする。
なお、本実施の形態とは異なり、ゲイン決定プログラム122は、図4(c)に示すように、2つの値のゲインカウンタに対して、1つのゲインを割り当てるようにしてもよい。
具体的には、制御部100は、設定したゲインαを使用して、更新後高度H1aを示す更新後高度情報174を生成する。そして、生成した更新後高度情報174を第2記憶部150に格納するとともに、更新後高度情報174を新たな高度情報158として第2記憶部150に格納する。
更新後高度情報174に示される更新後高度H1aは、例えば、H1a=H1+(H2−H1)÷αという式によって算出される。
また、制御部100は、更新後高度情報174を生成すると、更新回数情報176に示される更新回数nを1つ増やす。
具体的には、制御部100は、更新回数nが、2次元測位使用許容回数である例えば、5回以上であれば、更新回数nが2次元測位使用許容回数であると判断する。
具体的には、制御部100は、更新回数nが5回以上であれば、次回の測位を2次元測位で行うことを決定し、2次元測位を示す次回測位方法情報180を生成する。
これに対して、制御部100は、更新回数nが5回未満であれば、次回の測位を3次元測位で行うことを決定し、3次元測位を示す次回測位方法情報180を生成する。更新回数nが5回未満であれば、高度情報158に示される高度H1が安定していないから、次回測位時には、3次元測位の測位結果の方が2次元測位の測位結果よりも信頼性を有すると考えられるからである。
制御部100は、生成した次回測位方法情報180を、第2記憶部150に格納する。
上述のように、端末20は、高度情報158の更新回数が増えるに連れて、ゲインαを大きくして、高度情報158を更新する構成となっている。
一般に、物が地表を移動するときには、平面方向の移動量に比べて、上下方向の移動量は少ない。このため、高度情報158を複数回更新した結果正確な高度情報になった後においては、新たな3次元高度情報164を使用して高度情報158を更新する必要はあるにしても、新たな3次元高度情報164の重みを軽くして、保持している高度情報158の重みを重くすることによって、高度情報158を正確な情報にすることができる。
この点、端末20は、高度情報158の更新回数が増えるに連れて、既に保持している高度情報158の重みを重くして、高度情報158を更新する構成になっているから高度情報158を、一層正確な情報にすることができる。
また、上述のように、端末20は、すべての3次元高度情報164(図3参照)を、高度情報158の更新のために同様に使用するのではなくて、例えば、PDOPが大きいなど、不良な測位条件の下に生成された3次元高度情報164を、高度情報158の更新に使用する場合には、ゲインαを最大にする。このため、高度情報158が前回測位時の不良な測位条件の影響を受けることを低減することができる。
一般に、物が地表を移動するときには、高速で移動する場合に比べて、より低速で移動する場合の方が、上下方向の移動量は少ない。言い換えると、物が地表を移動するときには、低速で移動する場合に比べて、より高速で移動する場合の方が、上下方向の移動量は多い。
このため、端末20が高速で移動する場合に比べて、より低速で移動する場合においては、新たな3次元高度情報164の重みを軽くして、保持している高度情報158の重みを重くして高度情報158を更新することによって、高度情報158を正確な情報にすることができる。
この点、端末20は、高速で移動する場合に比べて、より低速で移動する場合において、ゲインαを大きくして高度情報158を更新する。これとは逆に、端末20は、低速で移動する場合に比べて、より高速で移動する場合において、ゲインαを小さくして高度情報158を更新する。このため、端末20は、速度に応じたゲインαによって高度情報158を更新し、正確な情報にすることができる。
そして、端末20は、高度情報158の更新の回数が、例えば、5回以上である場合に、GPS衛星12aからの信号S1等及び高度情報158に基づく2次元測位を行って、2次元座標情報166を生成することができる。端末20は、2次元測位に先立って、3次元高度情報164を高度情報158の更新に使用するかどうかの判断がなされているが、より多くの新たな3次元高度情報164を使用して高度情報158を更新することによって、高度情報158をより正確な高度を示す情報にすることができる。高度情報158を複数回更新することで、個々の3次元高度情報164の誤差が相殺される。このため、例えば、5回以上更新した後の高度情報158は真の高度に近くなるのである。そして、その高度情報158を使用する2次元測位の測位精度は高いものになる。
また、正確な高度情報158を使用して行う2次元測位は、3次元測位よりも測位精度が高い。これは、観測可能なGPS衛星12a等のうち、測位に使用するGPS衛星の組が2次元測位の方が多いため、多数の測位結果から現在位置をより正確に示すものを選択することができるからである。例えば、観測可能なGPS衛星12a等の数が5個の場合、3次元測位の場合には一度の測位演算に使用するGPS衛星は4個以上であるから、測位に使用するGPS衛星の組は、GPS衛星が4個の組が5組、GPS衛星が5個の組が1組の合計6組である。これに対して、観測可能なGPS衛星12a等の数が5個の場合、2次元測位の場合には一度の測位演算に使用するGPS衛星は3個以上であるから、測位に使用するGPS衛星の組は、GPS衛星が3個の組が10組、GPS衛星が4個の組が5組、GPS衛星が5個の組が1組の合計16組である。
ここで、端末20は、高度情報158を一つだけ保持し、3次元高度情報164に基づいて更新するだけであるから、高度データを保持する記憶負担は少ない。
これにより、端末20によれば、高度データを保持する記憶負担を低減し、かつ、前回測位時の不良な測位条件の影響を低減しつつ、2次元測位に使用するための正確な高度情報を取得することができる。
特に、端末20は、高度情報158を一つだけ保持しているから、高度データを保持する記憶負担は最小限度になっている。
図5に示すように、高度情報158に示される高度H1は、3次元高度情報164に基づいて、更新される回数が増えるにつれて、真の高度Hに近づき、かつ、真の高度Hに近い状態で安定する。
図6及び図7は本実施の形態に係る測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
なお、端末20が、3次元高度情報164によって、高度情報158を更新する動作を、フィルタとも呼ぶ。そして、ゲインα(図3参照)を、フィルタのゲインαとも言う。
続いて、端末20は、測位条件情報168(図3参照)を生成する(ステップST2)。このステップST2は、測位条件情報生成ステップの一例である。
ステップST3において、端末20が、3次元高度情報164の信頼性が信頼性許容範囲内であると判断した場合には、保持している高度情報158を5回以上更新しているか否かを判断する(ステップST4)。このステップST4は、更新回数評価ステップの一例である。
これに対して、ステップST6において、端末20が、移動速度が毎時60キロメートル(km/h)以上ではないと判断した場合には、フィルタのゲインαを強める(ステップST7A)。ただし、ゲインαを強めすぎると、新しい高度の要素を取り込めなくなるため、最大のゲインαを上回らないようにしている。
上述の、ステップST7、ステップST7A及びステップST8は、高度情報更新ステップの一例である。
端末20は、次回測位時は保持している高度情報158を使用して2次元測位を行う。
続いて、端末20は、フィルタのゲインを強める(ステップST52)。
続いて、端末20は、3次元高度情報164に基づいて、高度情報158を更新する(ステップST53)。このステップST52及びST53もまた、高度情報更新ステップの一例である。
そして、端末20は、次回測位時は信号S1等を受信して、3次元測位を行う。
続いて、端末20は、フィルタのゲインαを最大にする(ステップST63)。
続いて、端末20は、ステップST63で設定したゲインαを使用して、3次元高度情報164に基づいて、保持している高度情報158を更新する(ステップST64)。
上述の、ステップST63及びステップST64もまた、高度情報更新ステップの一例である。
そして、端末20は、次回測位時は保持している高度情報158を使用して2次元測位を行う。
そして、端末20は、高度情報158の更新を行わない。高度情報158が5回以上更新されていない場合には、高度情報158は真の高度とは乖離している場合があり、また、真の高度近傍で安定しているとも限らない。ここで、信頼性許容範囲内ではない3次元高度情報164を使用して、高度情報158を更新すると、更新後の高度情報158は、一層真の高度と乖離する可能性が大きいからである。
そして、端末20は、次回測位時は3次元測位を行う。
図8のグラフにおいて、縦軸は高度を示し、横軸は時刻を示す。
なお、図8のグラフにおいては、高度は、水準面に準拠した標高に引き直されている。
ラインL1は、VDOPが最小のGPS衛星の組合せを使用した測位(以後、従来例と呼ぶ)の結果取得した標高の実測値を示す。
ラインL2は、端末20が生成した標高の実測値を示す。端末20が生成した標高は、高度情報158の高度H1を、水準面に準拠して引き直したものである。
図8に示すように、ラインL1に比べてラインL2の方が早く真の標高である100メートル(m)に近づき、かつ、100メートル(m)近傍で安定する。
この結果、端末20が生成した標高(ラインL2上の値)を使用する2次元測位の測位結果は、従来例の標高を使用する場合に比べて、測位誤差の小さい、精度が高い情報となる。
コンピュータに上述の動作例の3次元座標情報生成ステップと、測位条件情報生成ステップと、高度情報信頼性判断ステップと、高度情報更新ステップと、更新回数評価ステップと、測位方法決定ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
Claims (4)
- 衛星信号を用いた第1の測位と、前記第1の測位の結果に基づいて更新記憶される記憶部に記憶された高度及び衛星信号を用いた第2の測位とが可能な端末の測位制御方法であって、
速度計或いは前記第1の測位で計測された前記端末の移動速度が、所定の速度許容範囲内か否かを判定することと、
1)前記記憶部に記憶された高度、に対する、2)前記第1の測位の結果に含まれる高度、の合成結果が2)の高度に近づく程度を、前記速度許容範囲内か否かの判定結果が肯定の場合よりも否定の場合の方が小さくなるように1)の高度と2)の高度とを合成することで新たな高度を算出して、前記記憶部に記憶された高度を更新する第1の更新を行うことと、
を含む測位制御方法。 - 前記第1の測位の測位結果を用いた前記高度の更新回数に基づいて、前記第1の測位によって測位を行うか又は前記第2の測位によって測位を行うかを決定することを更に含む請求項1に記載の測位制御方法。
- 前記決定することは、前記更新回数が所定回数に達するまでは前記第1の測位によって測位を行い、所定回数に達した場合に前記第2の測位によって測位を行うことを含む請求項2に記載の測位制御方法。
- 前記第1の測位を行った際の測位条件が、測位結果に所定の信頼性があるとみなせる規定の許容条件を満たすか否かを判定することと、
前記更新回数が前記所定回数に達するまでの間、前記許容条件の判定結果が肯定の場合、前記記憶部に記憶された高度を更新する毎に、a)前記記憶部に記憶された高度、に対する、b)前記第1の測位の結果に含まれる高度、の合成結果がb)の高度に近づく程度を徐々に小さくしてa)の高度とb)の高度とを合成することで新たな高度を算出して、前記記憶部に記憶された高度を更新する第2の更新を行うことと、
を含み、
前記第1の更新は、前記更新回数が前記所定回数に達した場合に行う、
請求項1〜3の何れか一項に記載の測位制御方法。
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