以下、本発明に係る撮影装置に関する実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る撮影装置101の構成を示すブロック図である。撮影装置101は、メインカメラ102と、サブカメラ103と、共通部104とで構成される。尚、共通部104は、説明が分かり易いように、メインカメラ102とサブカメラ103とに共通するブロックをまとめたものである。従って、実際にはメインカメラ102とサブカメラ103と共通部104との明確な境界はなく、1つの撮影装置101内に搭載されていればよい。
共通部104は、制御部105と、操作部106と、液晶モニタ107と、メモリ108と、メモリカード109を接続するカードI/F110と、加速度センサ111とで構成される。
共通部104において、撮影者は、操作部106を用いて撮影装置101を操作する。制御部105は、内部に予め組み込まれたプログラムに従って動作し、操作部106から得られる操作情報に応じて、撮影装置101の各ブロックを制御する。また、制御部105は、メインカメラ102やサブカメラ103から得られる画像や、メニュー画面などを液晶モニタ107に表示する。メモリ108は、制御部105が処理する際のパラメータや画像情報などが記憶される。また、制御部105は、メインカメラ102やサブカメラ103から得られる撮影画像をカードI/F110を介してメモリカード109に保存する。加速度センサ111は、撮影装置101の手振れなどを検出するセンサである。
次に、メインカメラ102は、レンズ光学系112と、撮像部113と、アナログ信号処理部114と、A/D変換部115と、画像バッファ116と、デジタル信号処理部117と、AE部118と、フラッシュ119と、AF部120と、AFライト121と、レンズ駆動部122とで構成され、第1画像を撮影する。
メインカメラ102において、被写体から入射する光はレンズ光学系112を介して撮像部113の受光面に結像される。
撮像部113は、受光面に光電変換部が二次元状に配置され、結像された光を電気信号に変換し、アナログ信号処理部114に出力する。
アナログ信号処理部114は、撮像部113が出力する電気信号のノイズ除去や増幅などを行ってA/D変換部115に出力する。
A/D変換部115は、アナログの電気信号を画像データに変換し、画像バッファ116に一時的に記憶する。
デジタル信号処理部117は、画像バッファ116に一時的に記憶された画像データの色補正処理などの画像処理を行って制御部105に出力する。制御部105は、デジタル信号処理部117が画像処理したメインカメラ102の撮影画像をメモリ108やメモリカード109に記憶したり、液晶モニタ107に表示する。また、本実施形態では、デジタル信号処理部117は、制御部105の指令に応じて、画像解析処理などを行う。例えば、制御部105の指令に応じて顔認識処理を行い、画像バッファ116に一時的に記憶された撮影画像の撮影画角内に顔が入っているか否かを識別し、識別結果を制御部105に返す。
AE部118は、制御部105が指定したエリアで露出測定した結果を制御部105に出力し、制御部105は、撮像部113での露光量を制御したり、必要に応じてフラッシュ119を発光させる。
AF部120は、制御部105が指定したエリアで焦点位置を検出して制御部105に出力し、制御部105は、AFライト121を点灯させたり、レンズ駆動部122に指令してレンズ光学系112のフォーカスレンズの位置を制御する。尚、制御部105は、操作部106のズーム操作に応じて、レンズ光学系112のズームレンズを移動するようレンズ駆動部122に指令し、レンズ光学系112の焦点距離を可変する。
次に、サブカメラ103は、レンズ光学系123と、撮像部124と、アナログ信号処理部125と、A/D変換部126と、画像バッファ127と、デジタル信号処理部128とで構成され、第2画像を撮影する。
サブカメラ103において、被写体から入射する光はレンズ光学系123を介して撮像部124の受光面に結像される。
撮像部124は、受光面に二次元状に配置された光電変換部で結像された光を電気信号に変換し、アナログ信号処理部125に出力する。
アナログ信号処理部125は、撮像部124が出力する電気信号のノイズ除去や増幅などを行ってA/D変換部126に出力する。
A/D変換部126は、アナログの電気信号を画像データに変換し、画像バッファ127に一時的に記憶する。
デジタル信号処理部128は、画像バッファ127に一時的に記憶された画像データの色補正処理などの画像処理を行って制御部105に出力する。また、本実施形態では、デジタル信号処理部128は、制御部105の指令に応じて、画像解析処理を行う。例えば、制御部105の指令に応じて顔認識処理を行い、画像バッファ127に一時的に記憶された撮影画像の中に顔があるか否かの判別,顔の特徴や顔の表情の抽出,瞳位置の検出などを行って、その結果を制御部105に出力する。制御部105は、デジタル信号処理部128の処理結果に応じて、撮影装置101の設定や動作を制御する。尚、具体的な処理については、後で詳しく説明する。また、制御部105は、メインカメラ102の場合と同様に、デジタル信号処理部128が画像処理したサブカメラ103の撮影画像をメモリ108やメモリカード109に記憶したり、液晶モニタ107に表示するようにしても構わない。また、サブカメラ103には、メインカメラ102のように、AE部118,フラッシュ119,AF部120,AFライト121,レンズ駆動部122などに相当するブロックは描いてないが、これらのブロックと同等のブロックを設けても構わない。
次に、撮影装置101の外観について説明する。図2(a)は、撮影装置101の正面方向の様子を描いた図である。図2(b)は、撮影装置101の背面方向の様子を描いた図である。図2(a)および図2(b)において、図1と同符号のものは同じものを示す。撮影装置101の筐体には、図1の操作部106に含まれる各種の操作ボタンが配置されている。例えば、電源ボタン151、レリーズボタン152、ズームボタン153、OKボタン154、上下左右のカーソルボタン155,156,157,158が配置されており、これらの操作ボタンの操作情報は、制御部105に出力される。
図2(a)に示すように、撮影装置101の正面部分にはメインカメラ102のレンズ光学系112が配置され、図2(b)に示すように、撮影装置101の背面部分にはサブカメラ103のレンズ光学系123が配置されているので、メインカメラ102のレンズ光学系112とサブカメラ103のレンズ光学系123とは互いに異なる方向を撮影することができる。特に、本実施形態に係る撮影装置101は、サブカメラ103のレンズ光学系123は、図2(b)に示すように、撮影装置101の背面の液晶モニタ107と同方向に配置されているので、液晶モニタ107の画面を見ながら撮影しようとする撮影者の顔を撮影することができるようになっている。尚、サブカメラ103のレンズ光学系123は、メインカメラ102で撮影する画像を表示する液晶モニタにできるだけ近接して配置するのが望ましい。
次に、本実施形態に係る撮影装置101の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。尚、図3のフローチャートは、制御部105の内部に予め組み込まれたプログラムに従って動作し、制御部105は、必要に応じて、メインカメラ102側のデジタル信号処理部117やサブカメラ103側のデジタル信号処理部125に画像処理を行わせる。以下、撮影装置101の動作について順に説明する。
(ステップS101)撮影者は、撮影装置101の電源ボタン151を押下して電源をONする。制御部105は、先ずメインカメラ102を起動し、先に説明したように、レンズ光学系112を介して撮像部113が撮影した画像を液晶モニタ107にプレビュー表示する。撮影者は、このプレビュー表示を見ながら撮影する被写体を確認する。
(ステップS102)制御部105は、サブカメラ103を起動し、先に説明したように、レンズ光学系123を介して撮像部124が撮影する画像は、画像バッファ127に取り込まれる。
(ステップS103)制御部105は、加速度センサ111の出力をモニタして、撮影装置101の筐体が静止したか否かを判別する。ここで、加速度センサ111の出力が零または所定範囲内にある時を静止と見なす。撮影装置101の筐体が静止した場合はステップS104に進み、撮影装置101の筐体が静止していない場合はステップS103の処理を繰り返す。尚、この判別処理は、撮影者が被写体を撮影するために撮影装置101を構えたか否かを判別するためのものなので、撮影装置101の筐体が静止したか否かの判別は、筐体の完全な静止を判別する必要はない。例えば、撮影者が撮影装置101をパンやチルトさせているような安定した動作を検出している場合は「Yes」の判断を行うようにしても構わない。
(ステップS104)制御部105は、サブカメラ103のデジタル信号処理部128に、画像解析処理を行うよう指令する。ここで、画像解析処理について説明する。画像解析処理は、サブカメラ103で撮影されている画像を解析して、撮影されている被写体を判別する処理である。特に、本実施形態では、サブカメラ103で撮影されている画像の中に顔があるか否かを解析する。例えば、サブカメラ103で図4(a)のような所定サイズ以上の顔が含まれた画像を撮影している場合は、顔が含まれていると判別する。尚、図4(b)のように顔が完全に含まれていない場合や、図4(c)のように顔の大きさが所定サイズ以下の場合は、顔が含まれていないと判別する。また、顔があるか否かの判別処理は、顔の輪郭や目,鼻,口の配置など顔の特徴量を用いて、顔があるか否かの判別を行っても構わないし、画像自体の相関を取るパターン認識処理によって判別しても構わない。
(ステップS105)制御部105は、ステップS104で画像解析処理の結果、サブカメラ103で撮影されている画像に顔が含まれている場合はステップS106に進み、サブカメラ103で撮影されている画像に顔が含まれていない場合はステップS120の自分撮り撮影モードに進む。
つまり、自分撮り撮影を行う場合は、撮影者はメインカメラ102の被写体となるので、メインカメラ102と逆方向を撮影しているサブカメラ103側で撮影者の顔が撮影されることない、という前提に基づいている。ここでは、サブカメラ103で撮影者の存在を認識できないとき、制御部105は、自動的に自分撮り撮影モードに移行し、同時に人物撮影に好適な露出設定、コントラスト設定などを行う。
(ステップS106)制御部105は、サブカメラ103のデジタル信号処理部128に、表情を検出するよう指令する。ここで、表情とは、例えば顔の形や目・鼻・口の位置や形など顔の特徴を意味する。検出した顔の特徴は、サブカメラ103が起動されて最初に認識した顔の表情とする。尚、後で説明するように、初期表情は、顔の表情の変化を検出する基になる画像である。従って、最も顔の表情の変化が少ないタイミングが好ましい。一般に、撮影開始直後の表情は喜怒哀楽の少ない通常の表情である場合が多いので、電源が投入され、カメラが静止したタイミングで初期表情の検出を行っている。
(ステップS107)制御部105は、ステップS106で検出した顔の特徴がメモリ108に予め登録されている顔の特徴に一致するか否かを判別する。メモリ108に予め登録されている顔の特徴に一致する場合はステップS108に進み、メモリ108に予め登録されている顔の特徴のいずれにも一致しない場合はステップS109に進む。尚、メモリ108に予め登録されている顔の特徴のいずれにも一致しない場合に、検出した顔の特徴を新たにメモリ108に登録するか否かを撮影者に選択させるメニューを液晶モニタ107に表示して、追加登録できるようにしても構わない。
尚、制御部105は、ステップS106で検出した顔の特徴がメモリ108に予め登録されている顔の特徴に一致した場合に、液晶モニタ107を点滅させたり、一致した登録人物の名前や画像を液晶モニタ107に表示したり、液晶モニタ107の明るさを変えて点滅させて、撮影者に登録人物と一致したことを知らせるようにしても構わない。或いは、電子音発生部を設けて電子音で撮影者に知らせるようにしても構わない。
(ステップS108)制御部105は、ステップS106で検出した顔の表情に一致する撮影者専用の撮影モードを撮影装置101に設定する。尚、メモリ108には、登録されている顔の特徴に一致する撮影者に対応させて、撮影装置101の撮影モードを予め記憶してあるものとする。例えば、図5に示すように、撮影モードとして感度・輪郭・コントラストを専用の設定する場合、撮影者Aの顔の特徴に一致する時は感度:ISO400、輪郭:中、コントラスト:弱の撮影モードに設定する。或いは、撮影者Bの顔の特徴に一致する時は感度:ISO100、輪郭:ソフト、コントラスト:中の撮影モードに設定する。同様に、撮影者Cの顔の特徴に一致する時は感度:ISO1600、輪郭:シャープ、コントラスト:強の撮影モードに設定する。
(ステップS109)制御部105は、サブカメラ103のデジタル信号処理部128に、瞳位置を検出するよう指令する。この瞳位置の検出によって、撮影者の視線の認識を行うことができる。ここで、瞳位置の検出とは、瞳が目のどの位置にあるかを検出するもので、例えば、図6(a)の場合は「中央」(撮影者の視線は正面方向)、図6(b)の場合は「左」(撮影者の視線は右方向)、図6(c)の場合は「右」(撮影者の視線は左方向)のように検出する。尚、図6は実物の撮影者の目および瞳位置を描いたものではなく、サブカメラ103で撮影された撮影者の目および瞳位置を描いたものなので、例えば図6で瞳位置が紙面左側にあれば撮影者の視線方向は右方向になり、瞳位置が紙面右側にあれば撮影者の視線方向は左方向になる。また、図6では、分かり易いように、瞳位置を中央および左右の3つに分けて検出する場合について示したが、上下方向を含めてさらに細かく瞳位置を検出するようにしても構わない。
(ステップS110)制御部105は、ステップS109で検出した瞳位置に応じて、メインカメラ102で撮影する画像の主要被写体の位置を推定する。例えば、図7の撮影画像201において、図6(a)の場合は撮影画像201の中央部分aの位置に主要被写体があるものと推定する。また、図6(b)の場合は撮影画像201の右側部分bの位置に主要被写体があるものと推定する。同様に、図6(c)の場合は撮影画像201の左側部分cの位置に主要被写体があるものと推定する。
尚、このようにして推定した主要被写体の位置は、撮影時の露出制御やフォーカス制御に利用される。例えば、制御部105はAE部118から入力する際の露出測定を主要被写体の位置で行うことにより、主要被写体に最適な露出制御を行うことができる。或いは、制御部105は、AF部120から入力する焦点位置の検出を主要被写体の位置で行うことにより、主要被写体部分に焦点を合わせることができる。
(ステップS111)制御部105は、サブカメラ103のデジタル信号処理部128に、顔の表情を検出するよう指令する。尚、顔の表情の検出は、ステップS106と同様に、例えば顔の形や目・鼻・口の位置や形など顔の特徴を基に顔の表情を検出する。
ここで、顔の表情を検出する一例として、笑顔の度合いを検出する例について図8を用いて説明する。図8(a)は笑顔のない通常の表情、図8(b)は小さな笑顔の表情、図8(c)は大きな笑顔の表情である。
例えば、笑顔の度合いを検出するために、サブカメラ103のデジタル信号処理部128は、口角と目尻の傾きの変化を検出する。この一例を図9に示す。図9の(a),(b),(c)は、それぞれ図8の(a),(b),(c)の顔の表情に対応し、口と目の特徴を抜き出したものである。一般的な人間の顔は、笑顔になると口角は上がり、逆に目尻は下がる。例えば、図9(a)に描いたように、笑顔のない通常の表情の場合は、口角は上がっておらず、逆に目尻は下がっていない。これに対して、小さな笑顔になると、図9(b)に描いたように、口角は少し上がり、目尻は少し下がる。さらに、大きな笑顔になると、図9(c)に描いたように、口角は大きく上がり、目尻は大きく下がる。このように、点線円で囲んだ部分の傾きを検出することによって、笑顔の度合いを把握することができる。例えば、図9(a)の場合の口角の傾きは0度で目尻の瞼の傾きは30度、図9(b)の場合の口角の傾きは30度で目尻の瞼の傾きは45度、図9(c)の場合の口角の傾きは60度で目尻の瞼の傾きは60度のように数値で表すことも可能である。尚、口角や目尻の傾きは、一般的な画像処理の手法を用いて求めることができる。例えば、エッジ抽出処理で線画に変換後、直線近似した2点間座標から角度を求めることができる。
(ステップS112)制御部105は、ステップS106で検出した顔の初期表情と、ステップS111で検出した現在の顔の表情とを比較して、顔の表情の変化量を検出する。
顔の表情の変化量は、ステップS111で説明した例の場合、口角の傾きの変化量と目尻の瞼の傾きの変化量とで表すことができる。例えば、先の例のように、図9(a)の場合の口角の傾きは0度で目尻の瞼の傾きは30度、図9(b)の場合の口角の傾きは30度で目尻の瞼の傾きは45度、図9(c)の場合の口角の傾きは60度で目尻の瞼の傾きは60度であったとする。
ここで、ステップS106で検出した最初の顔の表情(初期表情)を図8(a)とし、ステップS111で検出した現在の顔の表情を図8(b)とする。この場合、ステップS112で検出する顔の表情の変化量は、図9を用いて、口角の変化量が30度−0度=30度、目尻の変化量が45度−30度=15度と計算できる。同様に、ステップS111で検出した現在の顔の表情を図8(c)とする。この場合、ステップS112で検出する顔の表情の変化量は、図9を用いて、口角の変化量が60度−0度=60度、目尻の変化量が60度−30度=30度と計算できる。
このようにして、顔の表情の変化量を検出することができる。尚、上記の説明では分かり易いように、口角と目尻の傾きを用いて顔の表情の変化を検出するようにしたが、唇の動きなど別の方法により顔の変化を検出するようにしても構わない。
(ステップS113)制御部105は、ステップS112で検出した顔の表情の変化量により、顔の表情が変化したか否かを判別する。顔の表情が変化している場合はステップS114に進み、ステップS111で検出し顔の表情が変化していない場合はステップS116に進む。
ここで、顔の表情が変化したか否かの判別は、先に説明したように、図9の場合は口角と目尻の傾きが所定値以上変化したか否かによって判別することができる。例えば、口角の変化量が20度以上で目尻の変化量が10度以上を所定値として、顔の表情が変化したか否かを判断する場合、図9(b)および図9(c)は、図9(a)に対して口角および目尻共に所定値以上なので、顔の表情が変化したと判断する。先の例において、仮に口角の変化量が45度以上で目尻の変化量が20度以上を所定値とした場合、図9(c)は、図9(a)に対して口角および目尻共に所定値以上なので、顔の表情が変化したと判断するが、図9(b)は、図9(a)に対して口角および目尻共に所定値未満なので、顔の表情が変化していないと判断する。もちろん、図9(a)の状態のままであっても、顔の表情が変化していないと判断する。
(ステップS114)制御部105は、ステップS111で検出した顔の表情より、笑顔であるか否かを判別する。笑顔である場合はステップS115に進み、笑顔でない場合はステップS116に進む。
ここで、顔の表情が笑顔であるか否かの判別は、図8および図9で説明したように、口角の傾きと目尻の傾きとで判断することができる。例えば、口角の傾きが20度以上で目尻の傾きが40度以上を所定値として、顔の表情が笑顔であるか否かを判断する場合、図9(a)は笑顔ではないと判断され、図9(b)および図9(c)は口角および目尻共に所定値以上なので、笑顔であると判断される。もし、口角の傾きが50度以上で目尻の傾きが40度以上を所定値とした場合、図9(c)は、口角および目尻共に所定値以上なので、笑顔であると判断されるが、図9(b)は、口角および目尻共に所定値未満なので、笑顔ではないと判断される。
尚、口角や目尻の上下移動だけでなく、唇が動いているか否かで判別しても構わない。例えば、被写体が人物の場合は、話をしながら撮影する場合が多いので、撮影者の唇は動いており、被写体が人物であると推定できる。また、ここで判別した笑顔の度合いに応じて、メインカメラ102で撮影した画像のレーティングを行うようにしても構わない。
(ステップS115)制御部105は、撮影装置101の撮影モードを人物撮影モードに設定する。尚、人物撮影モードとは、例えば、人の肌などをきれいに見せるための色補正処理や輪郭をソフトにする処理などを行う撮影モードである。人物撮影モードに設定されると、メインカメラ102で画像を撮影する際に、制御部105はメインカメラ102のデジタル信号処理部117に人物撮影に好適な露出設定、コントラスト設定、色補正処理、輪郭処理などを行うよう指令する。
(ステップS116)制御部105は、撮影装置101の撮影モードを風景撮影モードに設定する。尚、風景撮影モードとは、例えば、濃淡をきれいに見せるためのコントラスト処理や輪郭をシャープにする処理などを行う撮影モードである。風景撮影モードに設定されると、メインカメラ102で画像を撮影する際に、制御部105はメインカメラ102のデジタル信号処理部117に風景撮影に好適な露出設定、コントラスト設定、色補正処理、輪郭処理などを行うよう指令する。
(ステップS117)制御部105は、操作部106のレリーズボタン152が押されると、メインカメラ102での撮影を行う(手動撮影)。撮影処理は、先に説明したように、レンズ光学系112を介して入射される被写体光を撮像部113で光電変換して電気信号に変換し、A/D変換部115でデジタルの画像データに変換され、画像バッファ116に一時的に取り込まれる。
(ステップS118)ステップS117で画像バッファ116に一時的に取り込まれた画像データは、デジタル信号処理部117で撮影モードの応じた色変換処理や輪郭処理などが行われた後、制御部105を介してメモリ108或いはカードI/F110を介してメモリカード109に保存される。また、必要に応じて、液晶モニタ107に表示される。
尚、撮影画像をメモリ108やメモリカード109に保存する際に、ステップS114で判別したレーティング結果を保存する画像データにレーティング情報として付加しても構わない。例えば、Exif規格で画像データを保存する場合、レーティング情報の付加はExif規格のユーザーエリアに記録するようにすれば良い。これによって、撮影済みの画像データをチェックするだけで、笑顔であるか否かや、笑顔の度合いなど容易に知ることができる。また、レーティング情報自体は、数値や記号で表しても構わないし、☆印の数などで表しても構わない。
(ステップS119)一連の撮影処理を終了し、続けて撮影を行う場合は、ステップS102からの処理を繰り返す。
以上、ステップS105の判別処理において、判別結果が「Yes」の場合の処理について説明した。次に、ステップS105の判別結果が「No」の場合の処理について説明する。
(ステップS120)ステップS105の判別結果が「No」の場合、つまり、制御部105は、ステップS104の画像解析処理の結果、サブカメラ103で撮影されている画像に顔が含まれていない場合、自動的に撮影装置101を自分撮り撮影モードに設定する。
ここで、自分撮り撮影モードとは、撮影者自身が被写体となって自分の画像を撮影する撮影モードである。本実施形態における、自分撮り撮影モードでは、メインカメラ102で撮影しようとする画像の画角内に撮影者の顔が収まっているか否かを判別して、撮影者の顔が撮影画角内に収まっている場合は撮影処理を開始し、撮影者の顔が撮影画角内に収まっていない場合は焦点距離を変更したり、撮影者に注意を促すようになっている。以下、自分撮り撮影モードの処理の流れについて説明する。
(ステップS121)制御部105は、メインカメラ102のデジタル信号処理部117に指令して、メインカメラ102で撮影している画像に顔が含まれているか否かを判別する。メインカメラ102で撮影されている画像に顔が含まれている場合はステップS122に進み、メインカメラ102で撮影されている画像に顔が含まれていない場合はステップS128に進む。
尚、メインカメラ102で撮影している画像に顔が含まれている場合に、ステップS107と同様に処理を行って、検出した顔の特徴がメモリ108に予め登録されている顔の特徴に一致した場合に、AFライト121を点滅させたり、電子音発生部を設けて電子音で撮影者に知らせるようにしても構わない。また、ステップS121の判別処理は、ステップS120で自分撮り撮影モードに設定されてから所定時間が経過するまで待機状態にしても構わない。これにより、撮影者がメインカメラ102側に移動する時間だけ判別処理を待たせることができる。
(ステップS122)制御部105は、メインカメラ102で撮影しようとする撮影者自身の顔が撮影画角内にあるか否かを判別する。撮影者の顔が撮影画角内にある場合はステップS127に進み、撮影者の顔が撮影画角内にない場合はステップS123に進む。
ここで、撮影者の顔が撮影画角内にあるか否かの判別は、例えば、ステップS104の画像解析処理と同じように行う。ステップS104と異なる点は、ステップS104の画像解析処理は、サブカメラ103で撮影している画像についてデジタル信号処理部128で解析したが、ステップS121では、メインカメラ102で撮影している画像についてデジタル信号処理部117で解析することである。
また、撮影者の顔が撮影画角内にあるか否かの判別は、図4で説明したように、例えば、メインカメラ102で図4(a)のような所定サイズ以上の顔が撮影画角内に含まれた画像を撮影している場合は、撮影者の顔が撮影画角内にあると判別する。尚、図4(b)のように顔が完全に含まれていない場合や、図4(c)のように顔の大きさが所定サイズ以下で認識できない場合は、撮影者の顔が撮影画角内にないと判別する。また、図10(a)に示すように、撮影者の顔が撮影画角に対して大き過ぎる場合も撮影者の顔が撮影画角内にないと判別する。
(ステップS123)制御部105は、メインカメラ102のレンズ光学系112のズームレンズのズーム位置がWide端(広角端)にあるか否かを判別する。ズームレンズのズーム位置がWide端にある場合はステップS125に進み、ズームレンズのズーム位置がWide端にない場合はステップS124に進む。尚、制御部105は操作部106のズームボタン153の操作によりレンズ駆動部122を制御してレンズ光学系112のズームレンズのズーム位置を可変するので、現状のズーム位置を把握しているものとする。
(ステップS124)制御部105は、メインカメラ102のレンズ光学系112のズームレンズのズーム位置をWide側に移動し、ステップS121に戻る。
ここで、ズーム位置をWide側に移動することで、図10(a)に示したように撮影者の顔が撮影画角に対して大き過ぎる場合でも、図10(b)に示すように撮影者の顔を撮影画角内に収めることができる。
(ステップS125)制御部105は、AFライト121を発光して点滅させ、撮影者の顔が撮影画角内にないことを撮影者に知らせる。尚、通常、AFライト121はAF用の補助光として用いるが、ここでは撮影者の警告発光用として利用している。AFライト121を用いずに、他のLEDやフラッシュ119或いは電子音などによって、撮影者の顔が撮影画角内にないことを撮影者に知らせるようにしても構わない。
この処理ステップは、ステップS124でズーム位置をWide端に移動させても、図10(c)に示したように撮影者の顔が撮影画角に収まらない場合に、撮影者に撮影者の顔を撮影画角内に収めることができないことを警告するための処理である。この警告によって、撮影者は、再度、構図を変更して自分撮り撮影を行うことができ、撮影者の顔が撮影画角に収まっていない画像を誤って撮影してしまうことを防止できる。
(ステップS126)撮影を停止してステップS119に進み、一連の撮影処理を終了する。
(ステップS127)サブカメラ103で認識した撮影者の顔がメインカメラ102で認識され、撮影画角内に撮影者の顔が入っている場合、制御部105は自動的にレリーズボタン152を押下して撮影を行い、ステップS118に進む。具体的には、制御部105は、レリーズボタン152の押下に相当する撮影開始信号を発生して自動撮影する。
(ステップS128)制御部105は、撮影装置101の撮影モードを、自分撮り撮影モードから通常の撮影モードに設定する。尚、通常の撮影モードとは、自分撮り撮影モードのように、メインカメラ102で撮影する画像に顔があるか否かの判別や、撮影画角内に収まっているか否かの判別などの特別な処理を行うことなく、レリーズボタン152が押下されれば、予め設定されている撮影条件(感度設定、露出設定など)で撮影を行う撮影モードである。通常の撮影モードに設定された後、ステップS117に進み、撮影処理を行う。尚、ステップS121でメインカメラ102で撮影者の顔が認識されない場合は、本ステップS128を実行せずに、最初のステップS104に戻るようにしても構わない。
このように、本実施形態に係る撮影装置101は、メインカメラ102とサブカメラ103とが互いに異なる方向を撮影することができる。特に、サブカメラ103は撮影装置101の撮影者の方向を撮影するので、サブカメラ103で撮影した撮影者の画像から撮影者の特徴を取得し、得られた撮影者の特徴に応じてメインカメラ102で撮影する際の撮影装置101の設定を自動的に行うことができる。例えば、撮影装置101を使用する撮影者個人を特定して、図5に示すように、撮影者の好みの撮影モードを撮影者が設定する必要がなく、自動的に設定されるので、撮影者が変わる場合でも撮影モードを設定し直す必要がない。
また、サブカメラ103で撮影した画像の撮影者の顔の表情を認識し、且つ表情の変化量を検出するので、顔の表情の変化量に応じて撮影装置101の撮影モード(人物撮影モードや風景撮影モードなど)を自動的に変えることができる。一般に、撮影者は、風景などを撮影する場合は図8(a)に示すように笑顔ではない場合が多く、人物を撮影する場合は、被写体の人物に話し掛けたりするので、図8(b)に示すように撮影者は笑顔になる場合が多い。特に親しい人物の場合は、図8(c)に示すようにさらに笑顔の度合いが大きくなることが多い。本実施形態では、サブカメラ103で撮影される撮影者の顔の表情が笑顔の場合は、メインカメラ102で撮影する被写体が人物であると判断して、人の肌などをきれいに見せるための色補正処理や輪郭をソフトにする処理などを自動的に行うことができる。逆に、サブカメラ103で撮影される撮影者の顔の表情が笑顔でない場合は、メインカメラ102で撮影する被写体が人物でないと判断して、山の輪郭や建造物の濃淡をきれいに見せるためのコントラスト処理や輪郭をシャープにする処理などを撮影者が設定する必要がなく、自動的に行うことができる。
また、本実施形態に係る撮影装置101は、サブカメラ103で撮影される撮影者の瞳位置を認識するので、メインカメラ102で撮影している画像のどの部分の被写体が主要被写体であるかを判別することができ、主要被写体の位置に応じてAE制御やAF制御を行うことにより、撮影者が注目している主要被写体に対して適切な露出設定や焦点制御を撮影者が設定する必要がなく、自動的に行うことができる。
さらに、メインカメラ102で撮影する画像のレーティングを行い、そのレーティング情報を撮影画像に付加して記憶媒体に記憶するので、撮影済みの画像データをチェックするだけで、笑顔であるか否かや、笑顔の度合いなど容易に知ることができ、整理や分類する際に便利である。
尚、本実施形態では、メインカメラ102とサブカメラ103とは、共通部104を介して別々に分けて説明したが、メインカメラ102とサブカメラ103とに共通する部分は、1つにまとめても構わない。例えば、図1において、メインカメラ102の画像バッファ116とサブカメラ103の画像バッファ127とは同じバッファメモリを用いても構わない。同様に、メインカメラ102のデジタル信号処理部117とサブカメラ103のデジタル信号処理部128とは同じデジタル信号処理部としても構わない。
或いは、メインカメラ102とサブカメラ103とを1つの画像取得部として共通化しても構わない。例えば、メインカメラ102のレンズ光学系112と撮像部113の部分と、サブカメラ103のレンズ光学系123と撮像部124の部分とを独立に設けて、メインカメラ102のアナログ信号処理114以降のブロックと、サブカメラ103のアナログ信号処理125以降のブロックとを共通化しても構わない。または、ミラーなどの光学部材を用いて光学経路を切り替える機構を設けて、メインカメラ102のレンズ光学系112と、サブカメラ103のレンズ光学系123とを含む全てのブロックを共通化しても構わない。
また、本実施形態における処理は、説明を分かり易くするための一例であり、例えば人物撮影モードと風景撮影モードの2つの撮影モードを設けたが、この2つの撮影モードに限定されることはない。同様に、笑顔の度合いも通常,笑顔(小),笑顔(大)の3つの度合いに分けて説明したが、さらに細かく分類しても構わないし、怒り顔や泣き顔などの判別を行うようにしても構わない。例えば、図9において、怒り顔の場合は笑顔と反対に表情が変化し、口角が下がると共に目尻が上がる。同様に、泣き顔の場合は口角が下がると共に目尻も下がる。このようにして、様々な顔の表情の変化を判別することができる。従って、レーティングについても、笑顔だけでなく、怒り顔や泣き顔などのレーティングを行うようにしても構わない。
さらに、本実施形態において、顔の表情の検出は、口角や目尻の上下移動を用いて説明したが、顎や唇の動きなどを用いても構わない。