JP5107108B2 - 滑り軸受とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は滑り軸受とその製造方法に関し、特に多孔質構造を有する滑り軸受とその製造方法に関する。
滑り軸受のうち、潤滑油等を含浸させてなる軸受の代表例に焼結含油軸受がある。この滑り軸受は、焼結金属の多孔質構造を有し、その内部気孔に含浸した潤滑油の滲み出し等により軸との摺動部に油膜を形成し、この油膜によって軸を回転支持するものである。この種の軸受は、非常に安価で製作可能であり、また自己給油性能を有する等の技術的特徴を備えることから、種々の駆動機構や動力伝達機構の軸支持部に好適に用いられている。
一方で、この種の滑り軸受は、相互に隣接する内部気孔同士がつながった構造を有するため、内部気孔のうち軸受面に開孔した部分から潤滑油が軸受内部へ吸収され、いわゆる油圧の逃げが生じることで、十分な厚みを有する油膜の形成が難しいとの問題があった。
ここで、例えば下記特許文献1には、内部に空孔を含む多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、回転軸が挿通される軸受孔を形成し、軸受孔の内周面の一部の領域に、内周面で開放された空孔を潰してなる摺動面を設けた焼結含油軸受が開示されている。また、同文献には、上記構造を有し、さらに、軸受本体の摺動面から径方向外方に向かって延在する油圧保持部分の密度を軸受本体の他の部分の密度より高くした焼結含油軸受が開示されている。
特開2002−122142号公報
上記特許文献1に開示の軸受であれば、摺動面ないしその外径側に広がる部分の空孔を潰すようにしているので、油圧の逃げは抑えられるものの、空孔が完全に潰れたわけではないため、油の逃げを完全に防ぐことは難しい。これでは、軸高荷重下での支持や低速回転時における油膜の形成が不十分となる事態を完全に回避するには到らない。特に、低トルク性、静音性が要求されるモータの軸支持部に当該軸受を適用する場合に、かかる問題は顕著となる。
摺動面に開孔する空孔を完全に潰すようにすれば、油圧の逃げは確実に防止できるが、この場合には、摺動面が平坦な形状となるため、焼結金属軸受が本来的に有する流体潤滑機能を失うおそれが生じる。すなわち、焼結金属軸受は、その構造上、内部に多数の気孔を有し、その一部が軸受面などに開孔した形態をなす。これら表面に開孔した部分(表面開孔)は、軸の回転時には油溜りとして作用し、油膜の形成を促進して摺動潤滑性の向上に寄与するものであるが、上記構造の摺動面ではこのような作用は期待できない。
もちろん、上記の問題は、焼結金属に限らず多孔質構造を有する滑り軸受であれば同様に起こり得ることであり、また、軸受内部に含浸可能なグリースなど、潤滑油以外の他の潤滑流体を含浸させて使用する場合にも同様に起こり得る。
以上の事情に鑑み、本発明では、軸受面における潤滑流体の軸受内部への吸収を防いで良好な流体膜の形成を図りつつ、多孔質構造を有する滑り軸受が本来的に有する油膜形成の促進機能を確保することのできる滑り軸受を提供することを技術的課題とする。
前記課題の解決は、本発明の一の側面に係る滑り軸受によって達成される。すなわち、この滑り軸受は、多数の内部気孔と、軸を挿通可能な軸孔とを有する軸受本体からなるものであって、軸孔の内周には軸受面が設けられ、軸受面には内部気孔の一部が開孔しており、かつ、軸の回転に伴い形成される潤滑流体の膜で軸を回転自在に支持可能な滑り軸受において、表面開孔深層側に位置する内部気孔が封孔材で封孔されると共に、内部気孔と表面開孔との連通部が封孔材で封孔され、軸受面は軸受本体の内周面をサイジングすることで得られ、このサイジングにより表面開孔を封孔する封孔材を除去することで、軸受面に開孔し、連通部を封孔する封孔材で底部を形成し、かつ軸受面から底部に向けて漸次縮径する形態をなす多数の凹状空洞部が形成されている点をもって特徴づけられる。
上記構成によれば、表面開孔の底部が封孔されることになるので、軸の回転時、軸受面上の潤滑流体が表面開孔を介して軸受内部の気孔へ引き込まれる事態を防止することができる。また、封孔されずに残った表面開孔は空洞穴形状をなし、軸受面に多数の凹状空洞部を構成することから、これら凹状空洞部が、軸の回転時には一種の油溜りとして作用する。よって、軸受面と軸の外周面との隙間における油膜形成が促進され、軸との間で良好な摺動潤滑(いわば流体潤滑)を達成することが可能となる。
この場合、軸受本体の内部気孔は、凹状空洞部を構成する表面開孔と、封孔材で封孔される部分とからなるように構成してもよい。このようにすれば、軸受内部に潤滑流体の逃げる余地が完全に取り除かれるため、油圧等の逃げを確実に回避することができ、あるいは、軸受内部に含浸した潤滑流体が軸受端面や外周面から軸受外部へ漏れ出すおそれもない。もちろん、気孔部分が埋められることで、滑り軸受の強度向上も図られる。
あるいは、内部気孔が、凹状空洞部を構成する表面開孔と、封孔材で封孔されている部分、および、潤滑流体が含浸されている部分とからなり、含浸された潤滑流体が軸受面と軸との隙間に供給されるように構成してもよい。このようにすれば、凹状空洞部による油膜の形成促進機能を享受しつつも、焼結含油軸受等の多孔質軸受が本来的に有する自己給油機能を発揮することができる。そのため、良好かつ安定した油膜の形成を継続的に実施することができる。なお、この場合、穿孔等の後加工により封孔領域を貫通して、含油領域と表面開孔とを連通するようにしてもよく、あるいは、封孔材のみを適当な溶剤等で溶解除去することで、含油領域と表面開孔とを連通させるようにしてもよい。これら連通領域の形成位置に関しても任意である。
また、軸受面は、封孔材で被覆されていてもよいが、摺動初期のなじみ性や耐摩耗性を考慮すると、金属で構成されていることが好ましい。この場合、例えば、軸受本体が焼結金属で形成されると共に、軸受面が軸受本体の一部で構成されるようにしてもよい。このように軸受本体を構成する焼結金属の一部を露出させる形で軸受面を構成することで、剥離等の懸念もなく、また、金属皮膜を別途形成する手間も省ける。
また、封孔材としては、軸受本体の内部気孔を封孔できる限りにおいて任意に選択可能であり、例えば軽量化の観点からは樹脂を、また、高強度化の観点からは金属をそれぞれ使用することができる。ただし、封孔材に使用する金属としては、液状で多孔質構造を有する軸受本体に含浸、固化させる点を考慮すると、軸受本体の形成材料よりも融点の低い金属を使用するのがよい。
また、前記課題の解決は、本発明の一の側面に係る滑り軸受の製造方法によっても達成される。すなわち、この滑り軸受の製造方法は、多数の内部気孔と、軸を挿通可能な軸孔とを有する軸受本体からなるものであって、軸孔の内周には軸受面が設けられ、軸受面には内部気孔の一部が開孔しており、かつ、軸の回転に伴い形成される潤滑流体の膜で軸を回転自在に支持可能な滑り軸受の製造方法において、内部気孔を有する軸受本体を形成する工程と、表面開孔を除く内部気孔のうち表面開孔とその深層側でつながる部分と表面開孔共に封孔材で封孔する工程と、軸受面となる面に対してサイジングを行うことで表面開孔から封孔材を除去する工程とを有する点をもって特徴付けられる。
このような製造方法によれば、上述した滑り軸受に係る作用効果と同一の作用効果を得ることができる。
また、凹状空洞部は、封孔工程で、表面開孔とその深層側で連通する領域のみを封孔することで形成してもよく、あるいは封孔工程が、上記深層側領域の内部気孔と併せて表面開孔を封孔材で封孔する段階と、軸受面に対してサイジングを行うことで表面開孔から封孔材を除去する段階とを有するように構成してもよい。このようにすれば、一旦表面開孔部を含めて封孔処理を施すことができるので、当該処理を簡便に実施することができる。また、封孔段階で軸受面が封孔材で被覆されている場合、サイジングにより表面開孔を封孔していた封孔材を除去することで、同時に軸受面を被覆する封孔材が取り除かれる。これにより、軸受本体を構成する金属を露出させ、この露出した面で軸受面を構成することができる。もちろん、例えば液状の封孔材の含浸条件を適正に調整することで、表面開孔に含浸させることなく、その深層側の領域のみに封孔材を含浸させるようにしてもよい。
以上より、本発明に係る滑り軸受によれば、軸受面における潤滑流体の軸受内部への吸収を防いで良好な流体膜の形成を図りつつ、多孔質構造を有する滑り軸受が本来的に有する油膜形成の促進機能を確保することができる。また、良好かつ安定した油膜形成が可能になることで、低トルク化が実現でき、モータへの負担を低減することができる。さらには、軸と直接的に接触する機会を極力減らすことにより静音化を図ることもできる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る焼結金属製滑り軸受1の断面図を示している。図1に示すように、この焼結金属製滑り軸受1は略円筒状をなす軸受本体2からなり、後述する軸3を挿通可能な軸孔4を有している。ここで、焼結金属製滑り軸受1は、焼結密度の調整等により多孔質構造を有するものであることから、その内部には後述する多数の内部気孔6を有する。また、軸孔4の内周には軸受面5が設けられ、軸受面5には内部気孔6の一部が開孔している。そして、焼結金属製滑り軸受1の軸孔4に挿通された軸3の相対回転に伴い潤滑油のポンプ作用が生じ、軸3との隙間に潤滑油を引き込む。このようにして、焼結金属製滑り軸受1と軸3との隙間に後述する潤滑油の油膜11が形成されると共に、この油膜11を介して軸3が焼結金属製滑り軸受1に対して相対回転自在に支持される。
図2は、図1に示す焼結金属製滑り軸受1の要部拡大図であって、軸受面5に開孔した内部気孔6、すなわち表面開孔6aを有する表面開孔部7と、封孔された内部気孔6を有する封孔部8との境界部分を拡大して示している。同図において、1点鎖線は表面開孔部7と封孔部8との境界を示している。ここで、封孔部8では、表面開孔6aとその深層側でつながる内部気孔6は封孔材9で封孔されている。一方、表面開孔部7における表面開孔6aの一部又は全部はその底部を封孔材9で封止され、深層側でつながる内部気孔6と遮断された状態にある。よって、図2に示すように、表面開孔6aの少なくとも一部により凹状の空洞部10が形成される。この凹状空洞部10は軸受面5に開孔し、軸3の回転時には油溜りとして機能する。なお、この実施形態では、軸受本体2のうち、軸受面5に面する表面開孔部7を除く全ての領域が封孔部8となっており、従い、これらの領域に形成される内部気孔6の略全てが封孔材9で封孔されている。
軸受面5は軸孔4の内周面、言い換えると、焼結金属製の軸受本体2の露出した表面で構成されている。同様に、軸受面5に開孔する凹状空洞部10は軸受本体2の露出した表面で構成されている。
次に、上記構成の焼結金属製滑り軸受1の使用態様の一例を図3に基づき説明する。まず、支持すべき軸3を焼結金属製滑り軸受1の軸孔4に挿通した状態で、適当な駆動手段に連結された軸3を所定速度で回転させる。この際、軸3の外周面と軸受面5との隙間に存在する潤滑油が、いわゆるポンプ作用により当該隙間の最小部に向けて引き込まれる。ここで、軸受面5に開孔形成される凹状空洞部10が潤滑油の油溜りとして機能し、軸3の外周面と軸受面5との最小隙間における油膜11の形成が促進される。また、凹状空洞部10の底部は封孔材9で封孔されているので、凹状空洞部10を形成する表面開孔6aとその深層側でつながる領域、すなわち封孔部8の内部気孔6へ潤滑油が引き込まれるおそれはない。以上の作用から、上記最小隙間における油膜11の形成が促進され、軸3との間で良好な流体潤滑状態が達成される。
以上の作用を奏する焼結金属製滑り軸受1は、例えば、軸受本体2を形成する工程と、形成した軸受本体2の内部気孔6のうち、表面開孔6aを除く部分を封孔材9で封孔する工程とを有する製造方法で形成される。ここでは、前記封孔部8に対応する内部気孔6と併せて表面開孔6aを封孔材9で封孔する段階と、軸受面5に対してサイジングを行うことで表面開孔6aから封孔材9を除去する段階とを経て、図2に示す構造(凹状空洞部10を有する構造)の軸受本体2を形成する。
まず、軸受本体2の製作工程について述べる。軸受本体2は、既知の手法に基づき製作されるもので、例えばフォーミング(金属粉末の圧縮成形)、シンター(圧粉体の焼結)、および、サイジング(再圧縮整形)を経て製作される。ここで、原料粉末には、焼結作用による十分な固結力(結合強度)を有し、また、支持すべき軸3とのなじみ性や硬度なども考慮して1種又は2種以上の金属粉末が使用される。必要に応じて、潤滑剤や結合促進剤など、種々の有機、無機物質を配合することも可能である。
次に、封孔部8の封孔工程について述べる。最初に、封孔部8に対応する領域だけでなく、表面開孔部7に対応する領域にも封孔材9を含浸させる。そして、これを固化させることで、図4に示すように、表面開孔部7の表面開孔6a(あるいは表面開孔部7に属する表面開孔6aと内部気孔6)を含め、軸受本体2中の全ての内部気孔6を封孔材9で封孔する。同図に示すように、完成品で軸受面5となる領域が封孔材9で被覆されていても構わない。次の段階におけるサイジングで封孔材9の被覆部12は除去可能だからである。ここで、封孔材9としては種々の材料を使用することができ、例えば樹脂や金属などが使用可能である。また、樹脂の場合、熱可塑性樹脂であると熱硬化性樹脂とを問わない。ただし、使用可能な材料は、その材質に拘らず、軸受本体2を形成する金属材料の融点(好ましくは焼結温度)未満で固化可能なものに限られる。
このようにして、一旦表面開孔部7の内部気孔6を封孔した後、軸受面5となる領域に対してサイジングを行うことで、表面開孔6aを封孔していた封孔材9を除去する。この際、表面開孔6aとその深層側でつながる内部気孔6を封孔している封孔材9はそのまま残った状態で、表面開孔6aを封孔していた封孔材9のみが除去される。これにより、図2に示す凹状空洞部10が形成される。なお、図3のように、封孔材9による被覆部12が形成される場合、サイジングにより、表面開孔部7の封孔材9と共に被覆部12が除去可能である。サイジング方法としては、通常、ピン状のサイジング用治具を軸受本体2の軸孔4に押し込み、その内周面を再圧縮する方法が採用される。この際、封孔材9を取り除き易くするため、上記ピン状の治具を回転させながらサイジングを実施するようにしてもよい(いわゆる回転サイジング)。
以上、本発明の第1実施形態に係る焼結金属製滑り軸受1およびその製造方法について説明したが、これら実施態様は、本発明の範囲内で任意に変更可能であることはもちろんである。
例えば、図5は、第2実施形態に係る焼結金属製滑り軸受21の断面図を示している。この焼結金属製滑り軸受21は略円筒状をなす軸受本体22からなるもので、図1に示す滑り軸受1と同様、軸23を挿通可能な軸孔24を有すると共に、その内部に多数の内部気孔26を有する(後述する図6を参照)。また、軸孔24の内周には軸受面25が設けられ、軸受面25には内部気孔26の一部が開孔している点等の構成に関しても図1に示す焼結金属製滑り軸受1と同じである。一方、この実施形態に係る滑り軸受21は、表面開孔26aを有する表面開孔部27と、表面開孔部27の深層側に位置する封孔部28、そして、一部を除きその周囲を封孔部28で包囲される潤滑油の含油部29とで構成される点でおいて、図1に示す滑り軸受1と異なる構造を有する。以下、当該差異について説明する。
図6は、図5に示す焼結金属製滑り軸受1の要部拡大図であって、表面開孔部27と、封孔された内部気孔26を有する封孔部28との境界部分、および、封孔部28と潤滑油が含浸された含油部29との境界部分を拡大して示している。同図において、1点鎖線は表面開孔部27と封孔部28との境界、および、封孔部28と含油部29との境界を示している。表面開孔26aとその深層側でつながる内部気孔26は封孔材30で封孔され、これにより、上記深層側領域には封孔部28が設けられる。この封孔部28は、表面開孔26aを含む表面開孔部27の内部気孔26の底部を閉塞している。従い、表面開孔26aの少なくとも一部は、図1に示す滑り軸受1と同様、軸受面25に多数の凹状空洞部31を形成する(図6を参照)。
一方、この封孔部28のさらに深層側には含油部29が設けられている。そして、例えば表面開孔部27と含油部29との間で潤滑油の相互流動が可能な領域(連通領域32)を、封孔部28を軸方向に貫通するように設けることで、含油部29にて保持された潤滑油が表面開孔部27を通じて軸受面25と軸23との隙間へ供給することが可能となる。ここでは、半径方向に穴状に伸びる連通領域32が、例えば軸方向の2ヶ所にわたって形成されている。円周方向にわたって複数の連通領域32を形成するようにしても構わないが、あまりに連通領域32を多くすると、連通領域32を介して油圧の逃げが生じるおそれがあるため、かかる観点から連通領域32の数ないし大きさ(軸受面25における連通領域32の占める面積比)を設定することが望ましい。
もちろん、連通領域32は、上記形状に限られるものではなく、例えば、全周にわたって環状あるいは帯状に形成されるなどその機能(潤滑油の流通機能)を果たす限りにおいて任意の形状を採用することができる。また、その配置位置についても特に限定されるものではなく、例えば軸方向中央など、軸受面25ないし凹状空洞部31が機能する限りにおいて任意の位置に配置することができる。
また、連通領域32を軸受本体22の内部気孔26で構成する場合、連通領域32を避けて封孔材30を含浸させる方法、あるいは、一旦連通領域32の内部気孔26を他の封孔すべき内部気孔26と併せて封孔材30で封孔した後、連通領域32の内部気孔26を封孔する封孔材30のみを適当な溶剤等で溶かして除去する方法などを採用することも可能である。封孔後の軸受本体22に対して穿孔などの機械的加工を施すことで連通領域32を形成するようにしても構わない。
もちろん、含油部29は、軸受面25と軸23との隙間に潤滑油を供給可能に構成されていればよく、そのため、必ずしも連通領域32を設ける必要はない。例えば図示は省略するが、図5に示す焼結金属製滑り軸受21の一端面側を封孔部28に代えて含油部29で構成し、当該一端面と軸受面25(あるいは軸23との隙間)とをつなぐ連通部材を取り付けることで、含油部29に含浸された潤滑油を軸23との最小隙間に供給するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、含油部29の周囲を封孔部28で包囲するように構成したが、すなわち、焼結金属製滑り軸受21の両端面および外周面を封孔部28で構成するようにしたが、これには限られない。例えば、表面開孔26aおよび封孔された内部気孔26以外の内部気孔26であって、潤滑油が含浸されない部分が存在する構成など、表面開孔部27の深層側に形成される限りにおいて、封孔部28は任意の形状、配置態様を採ることが可能である。第1実施形態に係る封孔部8に関しても同様である。
また、封孔材30の含浸態様についても種々の方法が採用可能であり、例えば軸受本体22を真空引きしておき、然る後、減圧状態の軸受本体22を液状の封孔材30で満たされた槽内に浸漬させる等、潤滑油の含浸方法と同様の含浸方法を選択使用することが可能である。この際、軸受本体22の多孔質構造が本来的に有する毛細管力による引き込み力を利用して、あるいは、封孔材30の有する表面張力を利用して、封孔材30の種類あるいは含浸量を調整することで表面開孔部27のみ封孔材30が含浸されないようにすることも可能である。
また、表面開孔部27に関し、この表面開孔部27に属する全ての表面開孔26aが凹状空洞部31となる必要はない。また、軸23との隙間に供給される潤滑油を引き込む作用を生じない限りにおいて、例えば凹状空洞部31とその深層側でつながり、かつ、封孔材30で封孔されていない内部気孔26が存在していてもよい。あるいは、図5や図6のように、連通領域32を構成する内部気孔26とその表層側でつながる内部気孔26が存在していてもよい。凹状空洞部31に関しても、軸方向に相互に隣接する複数の凹状空洞部31同士が連通していても構わない。表面開孔部27と同様、軸23との隙間に供給される潤滑油を引き込む作用を生じない限りにおいて、凹状空洞部31は任意の形態を採ることが可能である。以上の説明は、第1実施形態に係る表面開孔部7あるいは凹状空洞部10に関しても同様に当てはまる。
また、以上の説明では、滑り軸受として焼結金属製の滑り軸受を例にとり説明したが、多孔質構造を有し、その内部気孔に潤滑油を含浸可能である限りにおいて、種々の構造が採用可能である。例えば、多孔質物質を配合した樹脂組成物で滑り軸受を形成する場合であっても、本発明に係る構成を適用可能である。
また、多孔質構造を有する滑り軸受に含浸させる潤滑流体に関しても、潤滑油に限らず、例えば流動性に優れたグリース等の種々の潤滑流体を使用でき、これら種々の潤滑流体を含浸してなる滑り軸受に対しても本発明を適用できることはもちろんである。
本発明の第1実施形態に係る焼結金属製滑り軸受の断面図である。 図1に示す焼結金属製滑り軸受の要部拡大断面図である。 凹状空洞部の油膜形成促進作用を概念的に説明する断面図である。 焼結金属製滑り軸受の製造方法の一例を概念的に示す断面図であって、封孔材で表面開孔部を含む全ての内部気孔が封孔された状態の軸受本体の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る焼結金属製滑り軸受の断面図である。 図5に示す焼結金属製滑り軸受の要部拡大断面図である。
符号の説明
1,21 焼結金属製滑り軸受
2,22 軸受本体
3,23 軸
4,24 軸孔
5,25 軸受面
6,26 内部気孔
6a,26a 表面開孔
7,27 表面開孔部
8,28 封孔部
9 封孔材
10 凹状空洞部
11 油膜
12 被覆部
29 含油部
30 封孔材
31 凹状空洞部
32 連通領域

Claims (7)

  1. 多数の内部気孔と、軸を挿通可能な軸孔とを有する軸受本体からなるものであって、前記軸孔の内周には軸受面が設けられ、該軸受面には前記内部気孔の一部が開孔しており、かつ、前記軸の回転に伴い形成される潤滑流体の膜で前記軸を回転自在に支持可能な滑り軸受において、
    前記表面開孔深層側に位置する前記内部気孔が封孔材で封孔されると共に、前記内部気孔と前記表面開孔との連通部が封孔材で封孔され、
    前記軸受面は前記軸受本体の内周面をサイジングすることで得られ、このサイジングにより前記表面開孔を封孔する前記封孔材を除去することで、前記軸受面に開孔し、前記連通部を封孔する封孔材で底部を形成し、かつ前記軸受面から前記底部に向けて漸次縮径する形態をなす多数の凹状空洞部が形成されていることを特徴とする滑り軸受。
  2. 前記内部気孔は、前記表面開孔と、前記封孔材で封孔されている部分とからなる請求項1に記載の滑り軸受。
  3. 前記内部気孔は、前記表面開孔と、前記封孔材で封孔されている部分、および、前記潤滑流体が含浸されている部分とからなり、該含浸された潤滑流体が前記軸受面と前記軸との隙間に供給されるように構成されている請求項1に記載の滑り軸受。
  4. 前記軸受本体が焼結金属で形成されると共に、前記軸受面が前記軸受本体の一部で構成されている請求項1に記載の滑り軸受。
  5. 前記封孔材として樹脂が使用されている請求項1に記載の滑り軸受。
  6. 前記封孔材として前記軸受本体の形成材料よりも融点の低い金属が使用されている請求項1に記載の滑り軸受。
  7. 多数の内部気孔と、軸を挿通可能な軸孔とを有する軸受本体からなるものであって、前記軸孔の内周には軸受面が設けられ、該軸受面には前記内部気孔の一部が開孔しており、かつ、前記軸の回転に伴い形成される潤滑流体の膜で前記軸を回転自在に支持可能な滑り軸受の製造方法において、
    前記内部気孔を有する前記軸受本体を形成する工程と、前記内部気孔のうち前記表面開孔とその深層側でつながる部分と前記表面開孔共に封孔材で封孔する工程と、前記軸受面となる面に対してサイジングを行うことで前記表面開孔から前記封孔材を除去する工程とを有することを特徴とする滑り軸受の製造方法。
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